JP2009228972A - 冷凍装置 - Google Patents

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Atsushi Yoshimi
敦史 吉見
Shuji Fujimoto
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Abstract

【課題】放熱器から蒸発器に送られる冷媒を分岐して圧縮機構に戻す戻し管と、放熱器から蒸発器に送られる冷媒と戻し管を流れる冷媒との熱交換を行う冷却器とを備えた冷凍装置において、冷却器の戻し管側の流路への冷凍機油の溜まり込みによる圧縮機構の油切れを生じにくくする。
【解決手段】空気調和装置1は、圧縮機構2と、冷媒を放熱させる熱源側熱交換器4と、冷媒を蒸発させる利用側熱交換器6と、熱源側熱交換器4から利用側熱交換器6に送られる冷媒を分岐して圧縮機構2に戻す後段側インジェクション管19と、熱源側熱交換器4から利用側熱交換器6に送られる冷媒と後段側インジェクション管19を流れる冷媒との熱交換を行うエコノマイザ熱交換器20とを備え、エコノマイザ熱交換器20の後段側インジェクション管19側の流路に溜まる冷凍機油を後段側インジェクション管19を通じて圧縮機構2に回収する冷却器油回収運転を行う。
【選択図】図6

Description

本発明は、冷凍装置、特に、放熱器から蒸発器に送られる冷媒を分岐して圧縮機構に戻す戻し管と、放熱器から蒸発器に送られる冷媒と戻し管を流れる冷媒との熱交換を行う冷却器とを備えた冷凍装置に関する。
従来より、冷凍装置の1つとして、特許文献1に示されるような、二段圧縮式冷凍サイクルを行う空気調和装置がある。この空気調和装置は、主として、直列に接続された前後段2つの圧縮要素を有する圧縮機と、室外熱交換器と、室内熱交換器と、室外熱交換器と室内熱交換器との間を流れる冷媒を気液分離する気液分離器と、気液分離器から冷媒を後段側の圧縮要素に戻すための後段側インジェクション管とを有している。
そして、この空気調和装置においては、圧縮機の後段側の圧縮要素から吐出された後に放熱器として機能する室外熱交換器及び室内熱交換器の一方から蒸発器として機能する室外熱交換器及び室内熱交換器の他方に送られる冷媒の一部を、後段側インジェクション管を通じて気液分離器から後段側の圧縮要素に戻すことによって、圧縮機の前段側の圧縮要素から吐出されて後段側の圧縮要素に吸入される中間圧の冷媒と合流させる中間圧インジェクションを行うことができる。
特開2007−232263号公報
また、上述のような気液分離器による中間圧インジェクションに代えて、放熱器として機能する室外熱交換器及び室内熱交換器の一方から蒸発器として機能する室外熱交換器及び室内熱交換器の他方に送られる冷媒を分岐して後段側の圧縮要素に戻すように後段側インジェクション管を設け、そして、放熱器として機能する室外熱交換器及び室内熱交換器の一方から蒸発器として機能する室外熱交換器及び室内熱交換器の他方に送られる冷媒と後段側インジェクション管を流れる冷媒との熱交換を行うエコノマイザ熱交換器を設けることで、エコノマイザ熱交換器による中間圧インジェクションを行うことも考えられる。
しかし、エコノマイザ熱交換器による中間圧インジェクションを行う場合には、冷凍機油がエコノマイザ熱交換器の後段側インジェクション管側の流路に溜まり込みやすく、圧縮機の油切れの問題が生じやすい。
また、放熱器として機能する室外熱交換器及び室内熱交換器の一方から蒸発器として機能する室外熱交換器及び室内熱交換器の他方に送られる冷媒の温度を低下させる等の目的で、放熱器として機能する室外熱交換器及び室内熱交換器の一方から蒸発器として機能する室外熱交換器及び室内熱交換器の他方に送られる冷媒を分岐して圧縮機の吸入側に戻すように吸入戻し管を設け、そして、放熱器として機能する室外熱交換器及び室内熱交換器の一方から蒸発器として機能する室外熱交換器及び室内熱交換器の他方に送られる冷媒と吸入戻し管を流れる冷媒との熱交換を行う過冷却熱交換器を設けることも考えられるが、この際にも、冷凍機油が過冷却熱交換器の吸入戻し管側の流路に溜まり込みやすく、圧縮機の油切れの問題が生じやすい。
このように、放熱器から蒸発器に送られる冷媒を分岐して圧縮機構に戻す戻し管と、放熱器から蒸発器に送られる冷媒と戻し管を流れる冷媒との熱交換を行う冷却器とを備えた冷凍装置においては、冷却器の戻し管側の流路に冷凍機油の溜まり込みやすく、圧縮機構の油切れの問題が生じやすい。
本発明の課題は、放熱器から蒸発器に送られる冷媒を分岐して圧縮機構に戻す戻し管と、放熱器から蒸発器に送られる冷媒と戻し管を流れる冷媒との熱交換を行う冷却器とを備えた冷凍装置において、冷却器の戻し管側の流路への冷凍機油の溜まり込みによる圧縮機構の油切れを生じにくくすることにある。
第1の発明にかかる冷凍装置は、冷媒を圧縮する圧縮機構と、圧縮機構によって圧縮された冷媒を放熱させる放熱器と、放熱器によって放熱された冷媒を蒸発させる蒸発器と、放熱器から蒸発器に送られる冷媒を分岐して圧縮機構に戻す戻し管と、放熱器から蒸発器に送られる冷媒と戻し管を流れる冷媒との熱交換を行う冷却器とを備えている。そして、この冷凍装置では、冷却器の戻し管側の流路に溜まる冷凍機油を戻し管を通じて圧縮機構に回収する冷却器油回収運転を行う。
放熱器から蒸発器に送られる冷媒を分岐して圧縮機構に戻す戻し管と、放熱器から蒸発器に送られる冷媒と戻し管を流れる冷媒との熱交換を行う冷却器とを備えた冷凍装置において、冷却器の戻し管側の流路への冷凍機油の溜まり込みが生じる原因としては、戻し管に分岐された冷媒に同伴する冷凍機油が、冷媒とともに冷却器に流入し、冷却器の戻し管側の流路において冷媒が加熱されて蒸発する際に、そのまま冷却器の戻し管側の流路に溜まり込んでしまうことが挙げられる。しかも、戻し管や冷却器の戻し管側の流路を流れる冷媒は、圧縮機、放熱器、冷却器(より具体的には、冷却器の放熱器から蒸発器に送られる冷媒が流れる側の流路)、蒸発器の順に冷媒を循環させる主冷媒回路を流れる冷媒に比べて流量が小さいことから、冷却器の戻し管側の流路を流れる冷媒の流速が小さくなる傾向にあるため、冷凍機油がさらに溜まり込みやすくなる原因となっている。
そこで、この冷凍装置では、冷却器の戻し管側の流路に溜まる冷凍機油を戻し管を通じて圧縮機構に回収する冷却器油回収運転を行うようにしている。これにより、この冷凍装置では、冷却器の戻し管側の流路への冷凍機油の溜まり込みによる圧縮機構における油切れを生じにくくすることができる。また、冷凍機油の溜まり込みによる冷却器の伝熱性能の低下を防ぐこともできる。
第2の発明にかかる冷凍装置は、第1の発明にかかる冷凍装置において、戻し管には、開度制御が可能な戻し弁が設けられており、戻し弁は、冷却器油回収運転の際に、全開状態にされる。
この冷凍装置では、冷却器油回収運転の際に、戻し弁が全開状態にされるため、冷却器の戻し管側の流路を流れる冷媒の流速が増加して、冷却器の戻し管側の流路に溜まった冷凍機油が下流に押し流されることになり、冷却器の戻し管側の流路に溜まり込んだ冷凍機油の圧縮機構への回収が促進される。
第3の発明にかかる冷凍装置は、第1の発明にかかる冷凍装置において、戻し管には、開度制御が可能な戻し弁が設けられており、戻し弁は、冷却器油回収運転の際に、冷却器の戻し管側の流路を流れる冷媒のフルード数が1以上になる開度に設定される。
この冷凍装置では、冷却器油回収運転の際に、戻し弁が冷却器の戻し管側の流路を流れる冷媒のフルード数が1以上になる開度に設定されるため、例えば、冷却器の戻し管側の流路が垂直に立ち上がった部分を有しており、この垂直に立ち上がった部分を冷媒が上方に向かって流れるように構成されている場合であっても、冷却器の戻し管側の流路に溜まった冷凍機油が、冷却器の戻し管側の流路が垂直に立ち上がった部分を確実に上昇するようになり、冷却器の戻し管側の流路に溜まり込んだ冷凍機油の圧縮機構への回収が促進される。
第4の発明にかかる冷凍装置は、第1の発明にかかる冷凍装置において、圧縮機構は、運転容量を可変することが可能であり、冷却器油回収運転の際に、冷却器の戻し管側の流路を流れる冷媒のフルード数が1以上になるように運転容量が設定される。
この冷凍装置では、冷却器油回収運転の際に、圧縮機構が冷却器の戻し管側の流路を流れる冷媒のフルード数が1以上になる運転容量に設定されるため、例えば、冷却器の戻し管側の流路が垂直に立ち上がった部分を有しており、この垂直に立ち上がった部分を冷媒が上方に向かって流れるように構成されている場合であっても、冷却器の戻し管側の流路に溜まった冷凍機油が、冷却器の戻し管側の流路が垂直に立ち上がった部分を確実に上昇するようになり、冷却器の戻し管側の流路に溜まり込んだ冷凍機油の圧縮機構への回収が促進される。
第5の発明にかかる冷凍装置は、第1〜第4の発明のいずれかにかかる冷凍装置において、冷凍機油は、冷媒に非相溶である。
この冷凍装置では、冷媒に非相溶の冷凍機油が使用されていることから、冷媒と冷凍機油が分離しやすいため、冷却器の戻し管側の流路に冷凍機油がさらに溜まりやすくなっている。
しかし、この冷凍装置においても、上述の第1〜第4の発明のいずれかにかかる冷凍装置と同様の冷却器油回収運転を行うようにしているため、冷却器の戻し管側の流路への冷凍機油の溜まり込みによる圧縮機構における油切れを生じにくくすることができる。
第6の発明にかかる冷凍装置は、第1〜第5の発明のいずれかにかかる冷凍装置において、冷却器油回収運転は、冷媒が圧縮機構、放熱器、冷却器、蒸発器の順に循環する主冷媒回路に溜まる冷凍機油を圧縮機構に回収する主冷媒回路油回収運転を含む油回収運転の一部として行われる。
この冷凍装置では、冷却器油回収運転が主冷媒回路油回収運転を含む油回収運転の一部として行われるため、通常運転(すなわち、必要冷凍能力に応じた冷凍サイクル)を行うことができない時間を極力少なくできる。
第7の発明にかかる冷凍装置は、第6の発明にかかる冷凍装置において、油回収運転において、主冷媒回路油回収運転は、冷却器油回収運転よりも前に開始される。
この冷凍装置では、主冷媒回路油回収運転を冷却器油回収運転よりも前に開始することで、主冷媒回路の各所に溜まった冷凍機油が圧縮機構に回収されるため、冷却器油回収運転を行う際には、主冷媒回路の各所に溜まった冷凍機油が戻し管を通じて冷却器の戻し管側の流路に流入することのない状態となる。このため、この冷凍装置では、冷却器油回収運転を短時間で行うことができる。また、主冷媒回路油回収運転は、戻し管によって放熱器から蒸発器に送られる冷媒が分岐されない状態で行われることになるため、主冷媒回路を循環する冷媒の流量を確保しやすくなる。このため、この冷凍装置では、主冷媒回路油回収運転において、主冷媒回路の各所に溜まった冷凍機油の圧縮機構への回収が促進され、また、主冷媒回路油回収運転を短時間で行うことができる。
第8の発明にかかる冷凍装置は、第1〜第7の発明のいずれかにかかる冷凍装置において、圧縮機構は、複数の圧縮要素を有しており、複数の圧縮要素のうちの前段側の圧縮要素から吐出された冷媒を後段側の圧縮要素で順次圧縮するように構成されており、戻し管は、放熱器から蒸発器に送られる冷媒を分岐して後段側の圧縮要素に戻す後段側インジェクション管であり、冷却器は、放熱器から蒸発器に送られる冷媒と後段側インジェクション管を流れる冷媒との熱交換を行うエコノマイザ熱交換器であり、冷却器油回収運転は、エコノマイザ熱交換器の後段側インジェクション管側の流路に溜まる冷凍機油を後段側インジェクション管を通じて圧縮機構に回収するエコノマイザ熱交油回収運転である。ここでいう「圧縮機構」とは、複数の圧縮要素が一体に組み込まれた圧縮機や、単一の圧縮要素が組み込まれた圧縮機及び/又は複数の圧縮要素が組み込まれた圧縮機を複数台接続したものを含む構成を意味している。また、「複数の圧縮要素のうちの前段側の圧縮要素から吐出された冷媒を後段側の圧縮要素で順次圧縮する」とは、「前段側の圧縮要素」及び「後段側の圧縮要素」という直列に接続された2つの圧縮要素を含むことだけを意味しているのではなく、複数の圧縮要素が直列に接続されており、各圧縮要素間の関係が、上述の「前段側の圧縮要素」と「後段側の圧縮要素」との関係を有することを意味している。
この冷凍装置は、圧縮機構が、複数の圧縮要素を有しており、複数の圧縮要素のうちの前段側の圧縮要素から吐出された冷媒を後段側の圧縮要素で順次圧縮するように構成された多段圧縮式冷凍サイクルを行う冷凍装置であって、上述の第1〜第7の発明のいずれかにかかる冷凍装置における戻し管及び冷却器としての後段側インジェクション管及びエコノマイザ熱交換器が設けられることによって、エコノマイザ熱交換器による中間圧インジェクションを行うことができるようになっている。
そして、この冷凍装置においても、上述の第1〜第7の発明のいずれかにかかる冷凍装置における冷却器油回収運転と同様のエコノマイザ熱交油回収運転を行うようにしているため、エコノマイザ熱交換器の後段側インジェクション管側の流路への冷凍機油の溜まり込みによる圧縮機構における油切れを生じにくくすることができる。
第9の発明にかかる冷凍装置は、第1〜第7の発明のいずれかにかかる冷凍装置において、戻し管は、放熱器から蒸発器に送られる冷媒を分岐して圧縮機構の吸入側に戻す吸入戻し管であり、冷却器は、放熱器から蒸発器に送られる冷媒と吸入戻し管を流れる冷媒との熱交換を行う過冷却熱交換器であり、冷却器油回収運転は、過冷却熱交換器の吸入戻し管側の流路に溜まる冷凍機油を吸入戻し管を通じて圧縮機構に回収する過冷却熱交油回収運転である。
この冷凍装置は、放熱器から蒸発器に送られる冷媒の温度を低下させる等の目的で、上述の第1〜第7の発明のいずれかにかかる冷凍装置における戻し管及び冷却器としての吸入戻し管及び過冷却熱交換器が設けられている。
そして、この冷凍装置においても、上述の第1〜第7の発明のいずれかにかかる冷凍装置における冷却器油回収運転と同様の過冷却熱交油回収運転を行うようにしているため、過冷却熱交換器の吸入戻し管側の流路への冷凍機油の溜まり込みによる圧縮機構における油切れを生じにくくすることができる。
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
第1又は第5の発明では、冷却器の戻し管側の流路への冷凍機油の溜まり込みによる圧縮機構における油切れを生じにくくすることができる。また、冷凍機油の溜まり込みによる冷却器の伝熱性能の低下を防ぐこともできる。
第2の発明では、冷却器の戻し管側の流路を流れる冷媒の流速が増加して、冷却器の戻し管側の流路に溜まった冷凍機油が下流に押し流されることになり、冷却器の戻し管側の流路に溜まり込んだ冷凍機油の圧縮機構への回収が促進される。
第3又は第4の発明では、冷却器の戻し管側の流路が垂直に立ち上がった部分を有しており、この垂直に立ち上がった部分を冷媒が上方に向かって流れるように構成されている場合であっても、冷却器の戻し管側の流路に溜まった冷凍機油が、冷却器の戻し管側の流路が垂直に立ち上がった部分を確実に上昇するようになり、冷却器の戻し管側の流路に溜まり込んだ冷凍機油の圧縮機構への回収が促進される。
第6の発明では、通常運転を行うことができない時間を極力少なくできる。
第7の発明では、冷却器油回収運転を短時間で行うことができ、また、主冷媒回路油回収運転を短時間で行うことができる。
第8の発明では、エコノマイザ熱交換器の後段側インジェクション管側の流路への冷凍機油の溜まり込みによる圧縮機構における油切れを生じにくくすることができる。
第9の発明では、過冷却熱交換器の吸入戻し管側の流路への冷凍機油の溜まり込みによる圧縮機構における油切れを生じにくくすることができる。
以下、図面に基づいて、本発明にかかる冷凍装置の実施形態について説明する。
(1)空気調和装置の構成
図1は、本発明にかかる冷凍装置の一実施形態としての空気調和装置1の概略構成図である。空気調和装置1は、冷房運転が可能となるように構成された冷媒回路10を有している。そして、この冷媒回路10には、超臨界域で作動する冷媒(ここでは、二酸化炭素)が封入されており、二段圧縮式冷凍サイクルが行われるようになっている。
空気調和装置1の冷媒回路10は、主として、圧縮機構2と、熱源側熱交換器4と、膨張機構5、第1後段側インジェクション管19と、エコノマイザ熱交換器20と、利用側熱交換器6とを有している。
圧縮機構2は、本実施形態において、2つの圧縮要素で冷媒を二段圧縮する圧縮機21から構成されている。圧縮機21は、ケーシング21a内に、圧縮機駆動モータ21bと、駆動軸21cと、圧縮要素2c、2dとが収容された密閉式構造となっている。圧縮機駆動モータ21bは、駆動軸21cに連結されている。そして、この駆動軸21cは、2つの圧縮要素2c、2dに連結されている。すなわち、圧縮機21は、2つの圧縮要素2c、2dが単一の駆動軸21cに連結されており、2つの圧縮要素2c、2dがともに圧縮機駆動モータ21bによって回転駆動される、いわゆる一軸二段圧縮構造となっている。圧縮要素2c、2dは、本実施形態において、ロータリ式やスクロール式等の容積式の圧縮要素である。また、圧縮機駆動モータ21bは、本実施形態において、インバータ装置(図示せず)によって運転周波数が制御されることで、運転容量を可変することが可能になっている。そして、圧縮機21は、吸入管2aから冷媒を吸入し、この吸入された冷媒を圧縮要素2cによって圧縮した後に中間冷媒管8に吐出し、中間冷媒管8に吐出された冷媒を圧縮要素2dに吸入させて冷媒をさらに圧縮した後に吐出管2bに吐出するように構成されている。ここで、中間冷媒管8は、圧縮要素2cの前段側に接続された圧縮要素2cから吐出された冷凍サイクルにおける中間圧の冷媒を、圧縮要素2cの後段側に接続された圧縮要素2dに吸入させるための冷媒管である。また、吐出管2bは、圧縮機構2から吐出された冷媒を放熱器としての熱源側熱交換器4に送るための冷媒管であり、吐出管2bには、油分離機構41と逆止機構42とが設けられている。油分離機構41は、圧縮機構2から吐出される冷媒に同伴する冷凍機油を冷媒から分離して圧縮機構2の吸入側へ戻す機構であり、主として、圧縮機構2から吐出される冷媒に同伴する冷凍機油を冷媒から分離する油分離器41aと、油分離器41aに接続されており冷媒から分離された冷凍機油を圧縮機構2の吸入管2aに戻す油戻し管41bとを有している。油戻し管41bには、油戻し管41bを流れる冷凍機油を減圧する減圧機構41cが設けられている。減圧機構41cは、本実施形態において、キャピラリチューブが使用されている。逆止機構42は、圧縮機構2の吐出側から放熱器としての熱源側熱交換器4への冷媒の流れを許容し、かつ、放熱器としての熱源側熱交換器4から圧縮機構2の吐出側への冷媒の流れを遮断するための機構であり、本実施形態において、逆止弁が使用されている。
このように、圧縮機構2は、本実施形態において、2つの圧縮要素2c、2dを有しており、これらの圧縮要素2c、2dのうちの前段側の圧縮要素から吐出された冷媒を後段側の圧縮要素で順次圧縮するように構成されており、その運転容量を可変することが可能になっている。また、冷媒回路10には、圧縮機構2(ここでは、圧縮機21)の圧縮要素2c、2d等の摺動部を潤滑するための冷凍機油として、ポリアルキレングリコール(以下、PAGとする)が冷媒とともに封入されている。このPAGは、本実施形態のように、冷媒として二酸化炭素を使用することで冷凍サイクルにおける高圧が超臨界域になるような場合であっても、高粘性の特性を有しており、圧縮要素2c、2d等の摺動部に対して良好な潤滑性を示すものであるが、冷媒に対する相溶性が低い、いわゆる、冷媒に非相溶の冷凍機油である。そして、この冷凍機油の大部分は、圧縮機21のケーシング21a内に溜まっているが、冷凍機油の一部は、圧縮機構2(ここでは、圧縮機21)の前段側の圧縮要素2cから冷媒に同伴して中間冷媒管8に吐出されたり、後段側の圧縮要素2dから冷媒に同伴して吐出管2bに吐出されることで、圧縮機構2(ここでは、圧縮機21のケーシング21a)の外部に流出することになる。
熱源側熱交換器4は、圧縮機構2によって圧縮された冷媒の放熱器として機能する熱交換器である。熱源側熱交換器4は、その一端が圧縮機構2に接続されており、その他端がエコノマイザ熱交換器20を介して膨張機構5に接続されている。尚、ここでは図示しないが、熱源側熱交換器4には、熱源側熱交換器4を流れる冷媒と熱交換を行う冷却源として水や空気が供給されるようになっている。
膨張機構5は、放熱器としての熱源側熱交換器4から蒸発器としての利用側熱交換器6に送られる冷媒を減圧する機構であり、本実施形態において、膨張弁の一種である電動膨張弁が使用されている。膨張機構5は、その一端がエコノマイザ熱交換器20を介して熱源側熱交換器4に接続され、その他端が利用側熱交換器6に接続されている。また、本実施形態において、膨張機構5は、放熱器としての熱源側熱交換器4において冷却された高圧の冷媒を蒸発器としての利用側熱交換器6に送る前に冷凍サイクルにおける低圧付近まで減圧する。
利用側熱交換器6は、放熱器としての熱源側熱交換器4によって放熱された冷媒を蒸発させる蒸発器として機能する熱交換器である。利用側熱交換器6は、その一端が膨張機構5に接続されており、その他端が圧縮機構2に接続されている。尚、ここでは図示しないが、利用側熱交換器6には、利用側熱交換器6を流れる冷媒と熱交換を行う加熱源としての水や空気が供給されるようになっている。
第1後段側インジェクション管19は、放熱器としての熱源側熱交換器4から蒸発器としての利用側熱交換器6に送られる冷媒を分岐して後段側の圧縮要素2dに戻す戻し管として機能する冷媒管である。本実施形態において、第1後段側インジェクション管19は、放熱器としての熱源側熱交換器4から膨張機構5に送られる冷媒を分岐するように設けられている。より具体的には、第1後段側インジェクション管19は、エコノマイザ熱交換器20の上流側の位置(すなわち、放熱器としての熱源側熱交換器4とエコノマイザ熱交換器20との間)から冷媒を分岐して中間冷媒管8に戻すように設けられている。この第1後段側インジェクション管19には、開度制御が可能な戻し弁として機能する第1後段側インジェクション弁19aが設けられている。第1後段側インジェクション弁19aは、本実施形態において、電動膨張弁である。
エコノマイザ熱交換器20は、放熱器としての熱源側熱交換器4から蒸発器としての利用側熱交換器6に送られる冷媒と戻し管としての第1後段側インジェクション管19を流れる冷媒(より具体的には、戻し弁としての第1後段側インジェクション弁19aにおいて中間圧付近まで減圧された後の冷媒)との熱交換を行う冷却器として機能する熱交換器である。本実施形態において、エコノマイザ熱交換器20は、膨張機構5の上流側の位置(すなわち、第1後段側インジェクション管19が分岐される位置と膨張機構5との間)を流れる冷媒と第1後段側インジェクション管19を流れる冷媒との熱交換を行うように設けられている。また、本実施形態において、エコノマイザ熱交換器20は、第1後段側インジェクション管19が分岐される位置よりも下流側に設けられている。このため、放熱器としての熱源側熱交換器4において冷却された冷媒は、冷却器としてのエコノマイザ熱交換器20を通過する前に、戻し管としての第1後段側インジェクション管19に分岐され、エコノマイザ熱交換器20において、第1後段側インジェクション管19を流れる冷媒と熱交換を行うことになる。
そして、このようなエコノマイザ熱交換器20としては、種々の型式のものが採用可能であるが、例えば、図2に示されるような配管熱交換器を採用することができる。図2に示されるエコノマイザ熱交換器20は、主として、管状の第1管20aと、管状の第2管20bとを有しており、第1管20aの外周面と第2管20bの外周面とが接触することによって構成されている。より具体的には、エコノマイザ熱交換器20は、第1管20aを第2管20bの外周に巻き付けることによって構成されている。第1管20aは、放熱器としての熱源側熱交換器4から蒸発器としての利用側熱交換器6に送られる冷媒が流れる冷媒管に接続されており、放熱器としての熱源側熱交換器4から蒸発器としての利用側熱交換器6に送られる冷媒が流れる流路Xを形成している。第2管20bは、第1後段側インジェクション管19に接続されており、第1後段側インジェクション管19を流れる冷媒が流れる流路Yを形成している。そして、第2管20bは、垂直に立ち上がるように配置されており、その流路Yを冷媒が上方に向かって流れるように第1後段側インジェクション管19に接続されている。また、第1管20aは、その流路Xを流れる冷媒と流路Yを流れる冷媒とが対向流となるように設けられている。また、配管熱交換器に代えて、図3に示される二重管熱交換器からなるエコノマイザ熱交換器20を採用してもよい。図3に示されるエコノマイザ熱交換器20は、主として、管状の内管20cと、内管20cよりも大径の外管20dとを有しており、外管20dが内管20cの外周を取り囲むように配置されることによって構成されている。内管20cは、放熱器としての熱源側熱交換器4から蒸発器としての利用側熱交換器6に送られる冷媒が流れる冷媒管に接続されており、放熱器としての熱源側熱交換器4から蒸発器としての利用側熱交換器6に送られる冷媒が流れる流路Xを形成している。外管20dは、第1後段側インジェクション管19に接続されており、第1後段側インジェクション管19を流れる冷媒が流れる流路Yを形成している。そして、内管20c及び外管20dは、垂直に立ち上がるように配置されており、外管20dの流路Yを冷媒が上方に向かって流れるように第1後段側インジェクション管19に接続されている。また、内管20cは、その流路Xを流れる冷媒と流路Yを流れる冷媒とが対向流となるように配置されている。尚、第2管20bや外管20dは、図2や図3に示されるように、垂直に立ち上がった部分のみから構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、上下に折り返した構成等のように、垂直に立ち上がった部分を有する構成であってもよい。
このように、本実施形態の空気調和装置1の冷媒回路10は、主として、冷媒が圧縮機構2(ここでは、中間冷媒管8も含む)、放熱器としての熱源側熱交換器4、冷却器としてのエコノマイザ熱交換器20(より具体的には、エコノマイザ熱交換器20の熱源側熱交換器4から利用側熱交換器6に送られる冷媒が流れる側の流路X)、蒸発器としての利用側熱交換器6の順に冷媒を循環させる主冷媒回路10aと、この主冷媒回路10aに接続される戻し管としての第1後段側インジェクション管19及び冷却器としてのエコノマイザ熱交換器20(より具体的には、エコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Y)とから構成されている。
さらに、空気調和装置1には、各種のセンサが設けられている。具体的には、中間冷媒管8又は圧縮機構2には、中間冷媒管8を流れる冷媒の圧力を検出する中間圧力センサ54が設けられている。エコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の出口には、エコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の出口における冷媒の温度を検出するエコノマイザ出口温度センサ55が設けられている。また、空気調和装置1は、ここでは図示しないが、圧縮機構2、膨張機構5、第1後段側インジェクション弁19a等の空気調和装置1を構成する各部の動作を制御する制御部を有しており、この制御部は、マイクロコンピュータ、メモリや圧縮機駆動モータ21bを制御するインバータ回路等を有している。
(2)空気調和装置の動作
次に、本実施形態の空気調和装置1の通常運転及び油回収運転の動作について、図1〜図8を用いて説明する。ここで、通常運転とは、必要冷凍能力に応じた冷凍サイクルを行う運転(ここでは、必要冷房能力に応じた冷房運転)を行うことをいう。また、図4は、通常運転としての冷房運転時の冷凍サイクルが図示された圧力−エンタルピ線図であり、図5は、通常運転としての冷房運転時の冷凍サイクルが図示された温度−エントロピ線図であり、図6は、油回収運転のフローチャートであり、図7は、主冷媒回路油回収運転における空気調和装置1内の冷媒の流れを示す図であり、図8は、エコノマイザ熱交油回収運転における空気調和装置1内の冷媒の流れを示す図である。尚、以下の通常運転としての冷房運転や油回収運転における運転制御は、上述の制御部(図示せず)によって行われる。また、以下の説明において、「高圧」とは、冷凍サイクルにおける高圧(すなわち、図4、図5の点D、D’、E、Hにおける圧力)を意味し、「低圧」とは、冷凍サイクルにおける低圧(すなわち、図4、図5の点A、F、F’における圧力)を意味し、「中間圧」とは、冷凍サイクルにおける中間圧(すなわち、図4、図5の点B1、G、J、Kにおける圧力)を意味している。
<通常運転としての冷房運転>
通常運転としての冷房運転時は、膨張機構5は、開度調節される。また、第1後段側インジェクション弁19aも、開度調節される。より具体的には、本実施形態において、第1後段側インジェクション弁19aは、エコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の出口における冷媒の過熱度が目標値になるように開度調節される、いわゆる過熱度制御がなされるようになっている。本実施形態において、エコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の出口における冷媒の過熱度は、中間圧力センサ54により検出される中間圧を飽和温度に換算し、エコノマイザ出口温度センサ55により検出される冷媒温度からこの冷媒の飽和温度値を差し引くことによって得られる。尚、本実施形態では採用していないが、エコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の入口に温度センサを設けて、この温度センサにより検出される冷媒温度をエコノマイザ出口温度センサ55により検出される冷媒温度から差し引くことによって、エコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の出口における冷媒の過熱度を得るようにしてもよい。また、第1後段側インジェクション弁19aの開度調節は、過熱度制御に限られるものではなく、例えば、冷媒回路10における冷媒循環量等に応じて所定開度だけ開けるようにするものであってもよい。
この冷媒回路10の状態において、低圧の冷媒(図1、図4、図5の点A参照)は、吸入管2aから圧縮機構2に吸入され、まず、圧縮要素2cによって中間圧まで圧縮された後に、中間冷媒管8に吐出される(図1、図4、図5の点B1参照)。この前段側の圧縮要素2cから吐出された中間圧の冷媒は、第1後段側インジェクション管19から後段側の圧縮機構2dに戻される冷媒(図1、図4、図5の点K参照)と合流することで冷却される(図1、図4、図5の点G参照)。次に、第1後段側インジェクション管19から戻る冷媒と合流した中間圧の冷媒は、圧縮要素2cの後段側に接続された圧縮要素2dに吸入されてさらに圧縮されて、圧縮機構2から吐出管2bに吐出される(図1、図4、図5の点D参照)。ここで、圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、圧縮要素2c、2dによる二段圧縮動作によって、臨界圧力(すなわち、図4に示される臨界点CPにおける臨界圧力Pcp)を超える圧力まで圧縮されている。そして、この圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、冷媒の放熱器として機能する熱源側熱交換器4に送られて、冷却源としての水や空気と熱交換を行って冷却される(図1、図4、図5の点E参照)。そして、放熱器としての熱源側熱交換器4において冷却された高圧の冷媒は、その一部が戻し管としての第1後段側インジェクション管19に分岐される。そして、第1後段側インジェクション管19を流れる冷媒は、戻し弁としての第1後段側インジェクション弁19aにおいて中間圧付近まで減圧された後に、冷却器としてのエコノマイザ熱交換器20に送られる(図1、図4、図5の点J参照)。また、第1後段側インジェクション管19に分岐された後の冷媒は、エコノマイザ熱交換器20に流入し、第1後段側インジェクション管19を流れる冷媒と熱交換を行って冷却される(図1、図4、図5の点H参照)。一方、第1後段側インジェクション管19を流れる冷媒は、放熱器としての熱源側熱交換器4において冷却された高圧の冷媒と熱交換を行って加熱されて(図1、図4、図5の点K参照)、上述のように、前段側の圧縮要素2cから吐出された中間圧の冷媒に合流することになる。そして、エコノマイザ熱交換器20において冷却された高圧の冷媒は、膨張機構5によって減圧されて、低圧の気液二相状態の冷媒となり、冷媒の蒸発器として機能する利用側熱交換器6に送られる(図1、図4、図5の点F参照)。そして、蒸発器としての利用側熱交換器6に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、加熱源としての水や空気と熱交換を行って加熱されて、蒸発することになる(図1、図4、図5の点A参照)。そして、この蒸発器としての利用側熱交換器6において加熱され蒸発した低圧の冷媒は、圧縮機構2に吸入される。このようにして、冷房運転が行われる。
このように、本実施形態の空気調和装置1では、エコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションを採用しているため、外部への放熱を行うことなく、後段側の圧縮要素2dに吸入される冷媒の温度を低く抑えることができる(図5の点B1、G参照)。これにより、エコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションを採用していない場合(この場合には、図4、図5の点A→点B1→点D’→点E→点F’の順で冷凍サイクルが行われる)に比べて、圧縮機構2から吐出される冷媒の温度が低く抑えられ(図5の点D、D’参照)、図5の点B1、D’、D、Gを結ぶことによって囲まれる面積に相当する分の放熱ロスを小さくできることから、圧縮機構2の消費動力を減らし、運転効率を向上させることができる。
また、この空気調和装置1では、冷却器としてのエコノマイザ熱交換器20として、放熱器としての熱源側熱交換器4から膨張機構5に送られる冷媒と第1後段側インジェクション管19を流れる冷媒とが対向するように流れる流路を有する熱交換器を採用しているため、エコノマイザ熱交換器20における熱源側熱交換器4から膨張機構5に送られる冷媒と第1後段側インジェクション管19を流れる冷媒との温度差を小さくすることができ、高い熱交換効率を得ることができる。
<油回収運転>
上述のような空気調和装置1においては、通常運転としての冷房運転を長時間継続すると、冷媒とともに圧縮機構2(ここでは、圧縮機21のケーシング21a)の外部に流出した冷凍機油が、主冷媒回路10aに溜まり込んでしまい、主冷媒回路10aへの冷凍機油の溜まり込みによる圧縮機構2の油切れが生じるおそれがある。しかも、本実施形態の空気調和装置1では、戻し管としての第1後段側インジェクション管19及び冷却器としてのエコノマイザ熱交換器20を設けて中間圧インジェクションを行うようにしているため、冷凍機油が、主冷媒回路10aだけでなく、第1後段側インジェクション管19及び冷却器としてのエコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Yにも溜まり込んでしまい、エコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Yへの冷凍機油の溜まり込みによる圧縮機構2の油切れが生じるおそれがある。ここで、冷却器としてのエコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Yへの冷凍機油の溜まり込みが生じる原因としては、戻し管としての第1後段側インジェクション管19に分岐された冷媒に同伴する冷凍機油が、冷媒とともにエコノマイザ熱交換器20に流入し、エコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Yにおいて冷媒が加熱されて蒸発する際に、そのままエコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Yに溜まり込んでしまうことが挙げられる。しかも、戻し管としての第1後段側インジェクション管19及び冷却器としてのエコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Yを流れる冷媒は、主冷媒回路10aを流れる冷媒に比べて流量が小さいことから、エコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Yを流れる冷媒の流速が小さくなる傾向にあり、これにより、冷凍機油がさらに溜まり込みやすくなる原因となっている(図2、3参照)。また、本実施形態では、冷却器としてのエコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Yが垂直に立ち上がった部分を有しており、この垂直に立ち上がった部分を冷媒が上方に向かって流れるように構成されているため、エコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Yに溜まりやすくなっている(図2、3参照)。さらに、本実施形態では、冷媒に非相溶の冷凍機油が使用されていることから、冷媒と冷凍機油が分離しやすいため、冷却器としてのエコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Yに溜まりやすくなっている。
そこで、本実施形態では、主冷媒回路10に溜まる冷凍機油を圧縮機構2に回収する主冷媒回路油回収運転と、冷却器としてのエコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Yに溜まる冷凍機油を戻し管としての第1後段側インジェクション管19を通じて圧縮機構2に回収する冷却器油回収運転としてのエコノマイザ熱交油回収運転とからなる油回収運転を行うようにしている。以下、本実施形態の油回収運転について、図6〜図8を用いて説明する。
まず、ステップS1の通常運転(ここでは、冷房運転)が行われている際に、ステップS2において、油回収運転を行うべきかどうかを判定する。この判定は、空気調和装置1の運転時間に基づいて行われる。例えば、空気調和装置1が運転された時間を積算した時間である第1積算運転時間が第1所定時間t1を超えた場合、又は、圧縮機構2の運転周波数が所定周波数以上の条件で空気調和装置1が運転された時間を積算した時間である第2積算運転時間が第2所定時間t2を超えた場合には、油回収運転を行うべきと判定し、このような時間条件に該当しない場合には、油回収運転を行わなくてよいと判定するものである。ここで、第1積算運転時間は、通常運転がある程度の時間(ここでは、第1所定時間t1)行われた場合には、その運転負荷の大小等の条件にかかわらず、冷媒回路10の各所に冷凍機油が溜まっているものとみなして、油回収運転を行うことを意図するものであり、第2積算運転時間は、運転負荷の高い条件で通常運転が行われた場合には、第1積算運転時間が第1所定時間t1を超えていなくても(すなわち、第1所定時間t1よりも短い第2所定時間t2を超えた時点において)、冷媒回路10の各所に冷凍機油が溜まっているものとみなして、油回収運転を行うことを意図するものである。そして、ステップS2において、油回収運転を行うべきと判定された場合には、ステップS3の処理に移行する。
次に、ステップS3において、主冷媒回路油回収運転を開始する。この主冷媒回路油回収運転は、膨張機構5の開度を通常運転としての冷房運転よりも大きな開度に設定するとともに、戻し管としての第1後段側インジェクション管19によって放熱器としての熱源側熱交換器4から蒸発器としての利用側熱交換器6に送られる冷媒が分岐されない状態(すなわち、戻し弁としての第1後段側インジェクション弁19aを全閉にした状態)において、主冷媒回路10a、すなわち、圧縮機構2(ここでは、中間冷媒管8も含む)、熱源側熱交換器4、エコノマイザ熱交換器20の熱源側熱交換器4から利用側熱交換器6に送られる冷媒が流れる側の流路X、膨張機構5、利用側熱交換器6の順に冷媒を循環させる運転である(図7参照)。すなわち、主冷媒回路油回収運転は、膨張機構5の開度を通常運転としての冷房運転よりも大きな開度に設定する点、及び、戻し管としての第1後段側インジェクション管19によって放熱器としての熱源側熱交換器4から蒸発器としての利用側熱交換器6に送られる冷媒が分岐されない状態にする点を除いて、上述の冷房運転と同様である。そして、この主冷媒回路油回収運転を開始すると、膨張機構5の開度が通常運転としての冷房運転よりも大きな開度に設定されているため、主冷媒回路10aを循環する冷媒の流速が増加して、主冷媒回路10aの各所に溜まり込んだ冷凍機油が下流に押し流されることになり、主冷媒回路10aの各所に溜まり込んだ冷凍機油が圧縮機構2に回収される。しかも、この主冷媒回路油回収運転では、戻し管としての第1後段側インジェクション管19によって放熱器としての熱源側熱交換器4から蒸発器としての利用側熱交換器6に送られる冷媒が分岐されない状態で行われているため、主冷媒回路10aを循環する冷媒の流量を確保しやすくなり、主冷媒回路10aの各所に溜まった冷凍機油の圧縮機構2への回収が促進され、また、主冷媒回路油回収運転を短時間で行うことができるようになっている。そして、この主冷媒回路油回収運転は、ステップS4において、主冷媒回路油回収運転の運転時間である主冷媒回路油回収運転時間が第3所定時間t3を超えるまで行われる。
次に、ステップS5において、冷却器油回収運転としてのエコノマイザ熱交油回収運転を開始する。このエコノマイザ熱交油回収運転は、主冷媒回路油回収運転の状態から戻し管としての第1後段側インジェクション管19によって放熱器としての熱源側熱交換器4から蒸発器としての利用側熱交換器6に送られる冷媒が分岐される状態(すなわち、戻し弁としての第1後段側インジェクション弁19aを開けた状態)にして、冷却器としてのエコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Yに溜まる冷凍機油を第1後段側インジェクション管19を通じて圧縮機構2に回収する運転である(図8参照)。ここで、戻し弁としての第1後段側インジェクション弁19aは、全開状態にされ、膨張機構5の開度は、主冷媒回路油回収運転よりも小さな開度に設定される。そして、このエコノマイザ熱交油回収運転を開始すると、冷却器としてのエコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Yに溜まる冷凍機油が戻し管としての第1後段側インジェクション管19を通じて後段側の圧縮要素2dに戻され、圧縮機構2に回収される。しかも、このエコノマイザ熱交油回収運転では、戻し弁としての第1後段側インジェクション弁19aが全開状態にされているため、冷却器としてのエコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Yを流れる冷媒の流速が増加して、エコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Yに溜まった冷凍機油が下流に押し流されることになり、エコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Yに溜まり込んだ冷凍機油の圧縮機構2への回収が促進されている。また、このエコノマイザ熱交油回収運転では、膨張機構5の開度が主冷媒回路油回収運転よりも小さな開度に設定されているため、主冷媒回路10aを循環する冷媒の流量が減少し、その分だけ、戻し管としての第1後段側インジェクション管19に分岐される冷媒の流量が増加して、冷却器としてのエコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Yに溜まった冷凍機油の圧縮機構2への回収が促進され、また、エコノマイザ熱交油回収運転を短時間で行うことができるようになっている。そして、このエコノマイザ熱交油回収運転は、ステップS6において、エコノマイザ熱交油回収運転の運転時間である冷却器油回収運転としてのエコノマイザ熱交油回収運転時間が第4所定時間t4を超えるまで行われて、ステップS1の通常運転としての冷房運転に復帰することになる。尚、第4所定時間t4は、第3所定時間t3よりも短い時間に設定されている。
このように、本実施形態の空気調和装置1では、冷却器油回収運転としてのエコノマイザ熱交油回収運転を行うことによって、冷却器としてのエコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Yへの冷凍機油の溜まり込みによる圧縮機構2における油切れを生じにくくすることができる。また、冷凍機油の溜まり込みによるエコノマイザ熱交換器20の伝熱性能の低下を防ぐこともできる。特に、この空気調和装置1では、冷媒(ここでは、二酸化炭素)に非相溶の冷凍機油(ここでは、PAG)が使用されていることから、冷媒と冷凍機油が分離しやすく、冷却器としてのエコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Yに冷凍機油がさらに溜まりやすくなっているため、上述の冷却器油回収運転としてのエコノマイザ熱交油回収運転を行うことが有効である。
また、この空気調和装置1では、冷却器油回収運転としてのエコノマイザ熱交油回収運転が主冷媒回路油回収運転を含む油回収運転の一部として行われるため、通常運転としての冷房運転を行うことができない時間を極力少なくできる。
さらに、この空気調和装置1では、主冷媒回路油回収運転を冷却器油回収運転としてのエコノマイザ熱交油回収運転よりも前に開始することで、主冷媒回路10aの各所に溜まった冷凍機油が圧縮機構2に回収されるため、エコノマイザ熱交油回収運転を行う際には、主冷媒回路10aの各所に溜まった冷凍機油が戻し管としての第1後段側インジェクション管19を通じて冷却器としてのエコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Yに流入することのない状態となる。このため、この空気調和装置1では、エコノマイザ熱交油回収運転を短時間で行うことができる。
(3)変形例1
上述の実施形態にかかる油回収運転では、冷却器油回収運転としてのエコノマイザ熱交油回収運転が主冷媒回路油回収運転を含む油回収運転を行う毎に行われるようになっているが(図6参照)、図9に示されるように、油回収運転が複数回(ここでは、n回)行われる毎に1回だけエコノマイザ熱交油回収運転を行うようにしてもよい。より具体的には、図6に示されるステップS1〜S6からなる油回収運転において、例えば、主冷媒回路油回収運転の完了を判定するステップS4の後に、油回収運転(より具体的には、主冷媒回路油回収運転)が行われた回数kが冷却器油回収運転としてのエコノマイザ熱交油回収運転を行うべき回数nに達したかどうかを判定するステップS7、油回収運転が行われた回数kを1回ずつ加算するステップS8、及び、油回収運転が行われた回数kをゼロ(すなわち、回数kをリセットする)ステップS9を追加することができる(図9参照)。
そして、このようなステップS7〜S9が追加された本変形例にかかる油回収運転においては、まず、ステップS7において、回数kが回数nに達するまでは、ステップS8において、油回収運転が行われた回数kを1回ずつ加算しながら、ステップS1の通常運転としての冷房運転、ステップS2における油回収運転を行うべきかどうかの判定、及び、ステップS3、S4の主冷媒回路油回収運転を繰り返す。そして、ステップS7において、油回収運転の回数kが回数nに達したと判定された場合には、ステップS5、S6の冷却器油回収運転としてのエコノマイザ熱交油回収運転を行い、ステップS6において、エコノマイザ熱交油回収運転が完了したと判定された場合には、ステップS9において、油回収運転が行われた回数kをゼロにして(すなわち、回数kをリセットして)、ステップS1の通常運転としての冷房運転に戻る処理が行われる。
このように、本変形例の空気調和装置1では、上述の実施形態と同様の作用効果が得られるとともに、油回収運転が複数回行われる毎に1回だけエコノマイザ熱交油回収運転を行うようにしているため、通常運転としての冷房運転を行うことができない時間をさらに少なくできる。
(4)変形例2
上述の実施形態及びその変形例にかかる空気調和装置1では、冷却器油回収運転としてのエコノマイザ熱交油回収運転の際に、戻し弁としての第1後段側インジェクション弁19aを全開状態にしているが、冷却器としてのエコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Y(図2、図3参照)を流れる冷媒のフルード数(Fr数)が1以上になるように、第1後段側インジェクション弁19aの開度を設定するようにしてもよい。
まず、エコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Yを流れる冷媒のフルード数が1以上にする意味について説明する。図2や図3に示される冷却器としてのエコノマイザ熱交換器20のように、戻し管としての第1後段側インジェクション管19側の流路Yが垂直に立ち上がった部分を有しており、この垂直に立ち上がった部分を冷媒が上方に向かって流れるように構成されている場合には、第1後段側インジェクション管19に分岐された冷媒に同伴する冷凍機油が、冷媒とともにエコノマイザ熱交換器20に流入し、エコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Yにおいて冷媒が加熱されて蒸発する際に、エコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Yに溜まり込んでしまいやすく、しかも、冷却器油回収運転としてのエコノマイザ熱交油回収運転の際に、エコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Yを流れる冷媒の流速を大きくしなければ、エコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Yに溜まった冷凍機油がこの流路Yの垂直に立ち上がった部分を上昇して下流に押し流されるような流れを得ることができない。
しかし、エコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Yを流れる冷媒の流速をどの程度に設定するかは、冷凍機油がこの流路Yの垂直に立ち上がった部分を上昇するかどうかで決定されるべきものである。
そして、冷凍機油がこの流路Yの垂直に立ち上がった部分を上昇するためには、冷却器としてのエコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Yを流れる冷媒のフルード数が1以上にすることが望ましいことから、上述のように、エコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Yを流れる冷媒のフルード数が1以上になるように、第1後段側インジェクション弁19aの開度を設定している。
次に、戻し弁としての第1後段側インジェクション弁19aの開度の設定について説明する。
まず、エコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Yを流れる冷媒のフルード数は、次式で表される。
Fr=(ρr/ρo)×(u2/gD)
ここで、ρrは、冷却器としてのエコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Yを流れる冷媒の密度であり、ρoは、エコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Yを流れる冷凍機油の密度であり、uは、エコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Yを流れる冷媒の流速であり、gは、重力加速度であり、Dは、エコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Yの内径である。
そして、重力加速度g及び内径Dは、既知の値であり、密度ρr、ρoは、冷却器油回収運転としてのエコノマイザ熱交油回収運転において想定される冷媒回路10の各所における冷媒の圧力及び温度の値から得られる値であるため、上式より、フルード数が1となる際の冷媒の流速uを得ることができる。
そうすると、この流速uの値、冷却器油回収運転としてのエコノマイザ熱交油回収運転において想定される冷媒回路10の各部における冷媒の圧力及び温度の値、及び、既知の第1後段側インジェクション弁19aの開度−Cv値特性から、エコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Yを流れる冷媒のフルード数が1以上になる第1後段側インジェクション弁19aの開度を得ることができ、予め設定しておくことができる。尚、本変形例では、採用していないが、冷媒回路10の各所に圧力センサや温度センサを設けて、これらの実測値を用いて、エコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Yを流れる冷媒のフルード数が1以上になる第1後段側インジェクション弁19aの開度を得るようにしてもよい。
このように、本変形例の空気調和装置1では、上述の実施形態及びその変形例と同様の作用効果が得られるとともに、冷却器油回収運転としてのエコノマイザ熱交油回収運転の際に、戻し弁としての第1後段側インジェクション弁19aが冷却器としてのエコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Yを流れる冷媒のフルード数が1以上になる開度に設定されるため、エコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Yが垂直に立ち上がった部分を有しており、この垂直に立ち上がった部分を冷媒が上方に向かって流れるように構成されている場合であっても、エコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Yに溜まった冷凍機油が、エコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Yが垂直に立ち上がった部分を上昇するようになり、エコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Yに溜まり込んだ冷凍機油の圧縮機構2への回収が促進される。
(5)変形例3
上述の変形例2にかかる空気調和装置1では、冷却器油回収運転としてのエコノマイザ熱交油回収運転の際に、冷却器としてのエコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Y(図2、図3参照)を流れる冷媒のフルード数が1以上になるように、戻し弁としての第1後段側インジェクション弁19aの開度を設定しているが、エコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Yを流れる冷媒のフルード数が1以上になるように、圧縮機構2の運転容量を設定してもよい。
この場合には、上述の変形例2と同様、冷凍機油がエコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Yの垂直に立ち上がった部分を上昇することができる流速uが得られるように、圧縮機駆動モータ21bの運転周波数を設定することになる。例えば、上述の実施形態及び変形例1のように、戻し弁としての第1後段側インジェクション弁19aを全開状態として冷却器油回収運転としてのエコノマイザ熱交油回収運転を行う場合には、第1後段側インジェクション弁19aの全開状態におけるCv値、及び、冷却器油回収運転としてのエコノマイザ熱交油回収運転において想定される冷媒回路10の各部における冷媒の圧力及び温度の値から、冷却器としてのエコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Yを流れる冷媒のフルード数が1以上になる流速u及び流量を得て、さらに、主冷媒回路10aを流れる冷媒の流量を考慮して、冷媒回路10全体の冷媒循環量を得て、この冷媒循環量に対応する圧縮機構2の運転容量(ここでは、圧縮機駆動モータ21bの運転周波数)を予め設定することができる。尚、本変形例では、採用していないが、冷媒回路10の各所に圧力センサや温度センサを設けて、これらの実測値を用いて、エコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Yを流れる冷媒のフルード数が1以上になる圧縮機構2の運転容量を得るようにしてもよい。
このように、本変形例の空気調和装置1においても、上述の変形例2と同様に、冷却器油回収運転としてのエコノマイザ熱交油回収運転の際に、圧縮機構2が冷却器としてのエコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Yを流れる冷媒のフルード数が1以上になる運転容量に設定されるため、エコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Yが垂直に立ち上がった部分を有しており、この垂直に立ち上がった部分を冷媒が上方に向かって流れるように構成されている場合であっても、エコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Yに溜まった冷凍機油が、エコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Yが垂直に立ち上がった部分を上昇するようになり、エコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Yに溜まり込んだ冷凍機油の圧縮機構2への回収が促進される。
(6)変形例4
上述の実施形態及びその変形例では、冷房運転が可能に構成された二段圧縮式冷凍サイクルを行う空気調和装置1において、第1後段側インジェクション管19及びエコノマイザ熱交換器20を設けることで、エコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションを行うことができるようにしているが、この構成に加えて、冷房運転と暖房運転とが切換可能な構成にしてもよい。
例えば、図10に示されるように、二段圧縮式の圧縮機構2が採用された上述の実施形態の冷媒回路10(図1参照)において、冷房運転と暖房運転とを切換可能にするための切換機構3が設けられ、そして、膨張機構5に代えて第1膨張機構5a及び第2膨張機構5bが設けられるとともに、ブリッジ回路17、及び、レシーバ18が設けられた冷媒回路110にすることができる。
ここで、切換機構3は、冷媒回路110内における冷媒の流れの方向を切り換えるための機構であり、冷房運転時には、熱源側熱交換器4を圧縮機構2から吐出される冷媒の放熱器として、かつ、利用側熱交換器6を熱源側熱交換器4において冷却された冷媒の蒸発器として機能させるために、圧縮機構2の吐出側と熱源側熱交換器4の一端とを接続するとともに圧縮機21の吸入側と利用側熱交換器6とを接続し(図10の切換機構3の実線を参照、以下、この切換機構3の状態を「冷却運転状態」とする)、暖房運転時には、利用側熱交換器6を圧縮機構2から吐出される冷媒の放熱器として、かつ、熱源側熱交換器4を利用側熱交換器6において冷却された冷媒の蒸発器として機能させるために、圧縮機構2の吐出側と利用側熱交換器6とを接続するとともに圧縮機構2の吸入側と熱源側熱交換器4の一端とを接続することが可能である(図10の切換機構3の破線を参照、以下、この切換機構3の状態を「加熱運転状態」とする)。本変形例において、切換機構3は、圧縮機構2の吸入側、圧縮機構2の吐出側、熱源側熱交換器4及び利用側熱交換器6に接続された四路切換弁である。尚、切換機構3は、四路切換弁に限定されるものではなく、例えば、複数の電磁弁を組み合わせる等によって、上述と同様の冷媒の流れの方向を切り換える機能を有するように構成したものであってもよい。
また、ブリッジ回路17は、熱源側熱交換器4と利用側熱交換器6との間に設けられており、レシーバ18の入口に接続されるレシーバ入口管18a、及び、レシーバ18の出口に接続されるレシーバ出口管18bに接続されている。ブリッジ回路17は、本変形例において、4つの逆止弁17a、17b、17c、17dを有している。そして、入口逆止弁17aは、熱源側熱交換器4からレシーバ入口管18aへの冷媒の流通のみを許容する逆止弁である。入口逆止弁17bは、利用側熱交換器6からレシーバ入口管18aへの冷媒の流通のみを許容する逆止弁である。すなわち、入口逆止弁17a、17bは、熱源側熱交換器4及び利用側熱交換器6の一方からレシーバ入口管18aに冷媒を流通させる機能を有している。出口逆止弁17cは、レシーバ出口管18bから利用側熱交換器6への冷媒の流通のみを許容する逆止弁である。出口逆止弁17dは、レシーバ出口管18bから熱源側熱交換器4への冷媒の流通のみを許容する逆止弁である。すなわち、出口逆止弁17c、17dは、レシーバ出口管18bから熱源側熱交換器4及び利用側熱交換器6の他方に冷媒を流通させる機能を有している。また、本変形例において、冷却器としてのエコノマイザ熱交換器20は、レシーバ入口管18aに設けられており、戻し管としての第1後段側インジェクション管19は、レシーバ入口管18aを流れる冷媒を分岐するように接続されている。
また、第1膨張機構5aは、レシーバ入口管18aに設けられた冷媒を減圧する機構であり、本変形例において、電動膨張弁が使用されている。また、本変形例において、第1膨張機構5aは、冷房運転時には、熱源側熱交換器4において冷却された高圧の冷媒をエコノマイザ熱交換器20及びレシーバ18を介して利用側熱交換器6に送る前に冷媒の飽和圧力付近まで減圧し、暖房運転時には、利用側熱交換器6において冷却された高圧の冷媒をエコノマイザ熱交換器20及びレシーバ18を介して熱源側熱交換器4に送る前に冷媒の飽和圧力付近まで減圧する。
また、レシーバ18は、冷房運転と暖房運転との間で冷媒回路110における冷媒の循環量が異なる等の運転状態に応じて発生する余剰冷媒を溜めることができるように、第1膨張機構5aで減圧された後の冷媒を一時的に溜めるために設けられた容器であり、その入口がレシーバ入口管18aに接続されており、その出口がレシーバ出口管18bに接続されている。また、レシーバ18には、レシーバ18内から冷媒を抜き出して圧縮機構2の吸入管2a(すなわち、圧縮機構2の前段側の圧縮要素2cの吸入側)に戻すことが可能な第1吸入戻し管18fが接続されている。この第1吸入戻し管18fには、第1吸入戻し開閉弁18gが設けられている。第1吸入戻し開閉弁18gは、本変形例において、電磁弁である。
また、第2膨張機構5bは、レシーバ出口管18bに設けられた冷媒を減圧する機構であり、本変形例において、電動膨張弁が使用されている。また、本変形例において、第2膨張機構5bは、冷房運転時には、第1膨張機構5aによって減圧された冷媒をレシーバ18を介して利用側熱交換器6に送る前に冷凍サイクルにおける低圧になるまでさらに減圧し、暖房運転時には、第1膨張機構5aによって減圧された冷媒をレシーバ18を介して熱源側熱交換器4に送る前に冷凍サイクルにおける低圧になるまでさらに減圧する。
このように、本変形例の冷媒回路110は、主として、冷媒が圧縮機構2(ここでは、中間冷媒管8も含む)、放熱器としての熱源側熱交換器4、冷却器としてのエコノマイザ熱交換器20(より具体的には、エコノマイザ熱交換器20の熱源側熱交換器4から利用側熱交換器6に送られる冷媒が流れる側の流路X(図2、図3参照))、蒸発器としての利用側熱交換器6の順に冷媒を循環させる主冷媒回路110aと、この主冷媒回路110aに接続される戻し管としての第1後段側インジェクション管19及び冷却器としてのエコノマイザ熱交換器20(より具体的には、エコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Y(図2、図3参照))とから構成されており、切換機構3及びブリッジ回路17によって、圧縮機構2、熱源側熱交換器4、エコノマイザ熱交換器20、第1膨張機構5a、レシーバ18、第2膨張機構5b、利用側熱交換器6の順に冷媒を循環させる冷却運転状態と、圧縮機構2、利用側熱交換器6、第1膨張機構5a、エコノマイザ熱交換器20、レシーバ18、第2膨張機構5b、熱源側熱交換器4の順に冷媒を循環させる加熱運転状態とを切り換えることができるようになっている。
次に、本変形例の空気調和装置1の通常運転及び油回収運転の動作について、図10〜図12を用いて説明する。ここで、通常運転とは、必要冷凍能力に応じた冷凍サイクルを行う運転(ここでは、必要冷房能力に応じた冷房運転及び必要暖房能力に応じた暖房運転)を行うことをいう。また、図11は、本変形例における通常運転としての冷房運転時の冷凍サイクルが図示された圧力−エンタルピ線図であり、図12は、本変形例における通常運転としての冷房運転時の冷凍サイクルが図示された温度−エントロピ線図である。また、本変形例における暖房運転時の冷凍サイクルについては、図11及び図12を用いて説明するものとする。より具体的には、図11及び図12における点Eと点Fとを入れ替えることによって代用して、暖房運転時の冷凍サイクルについて説明する。尚、以下の通常運転としての冷暖房運転や油回収運転における運転制御は、上述の実施形態と同様の制御部(図示せず)によって行われる。また、以下の説明において、「高圧」とは、冷凍サイクルにおける高圧(すなわち、図11、図12の点D、D’、E、H、Iにおける圧力)を意味し、「低圧」とは、冷凍サイクルにおける低圧(すなわち、図11、図12の点A、Fにおける圧力)を意味し、「中間圧」とは、冷凍サイクルにおける中間圧(すなわち、図11、図12の点B1、G、J、Kにおける圧力)を意味している。
<通常運転としての冷房運転>
通常運転としての冷房運転時は、切換機構3が図10の実線で示される冷却運転状態とされる。また、第1膨張機構5a及び第2膨張機構5bは、開度調節される。また、第1後段側インジェクション弁19aは、上述の実施形態及びその変形例と同様の開度調節がなされる。
この冷媒回路110の状態において、低圧の冷媒(図10〜図12の点A参照)は、吸入管2aから圧縮機構2に吸入され、まず、圧縮要素2cによって中間圧まで圧縮された後に、中間冷媒管8に吐出される(図10〜図12の点B1参照)。この前段側の圧縮要素2cから吐出された中間圧の冷媒は、戻し管としての第1後段側インジェクション管19から後段側の圧縮機構2dに戻される冷媒(図10〜図12の点K参照)と合流することで冷却される(図10〜図12の点G参照)。次に、第1後段側インジェクション管19から戻る冷媒と合流した(すなわち、冷却器としてのエコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションが行われた)中間圧の冷媒は、圧縮要素2cの後段側に接続された圧縮要素2dに吸入されてさらに圧縮されて、圧縮機構2から吐出管2bに吐出される(図10〜図12の点D参照)。ここで、圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、圧縮要素2c、2dによる二段圧縮動作によって、臨界圧力(すなわち、図11に示される臨界点CPにおける臨界圧力Pcp)を超える圧力まで圧縮されている。そして、この圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、油分離機構41を構成する油分離器41aに流入し、同伴する冷凍機油が分離される。また、油分離器41aにおいて高圧の冷媒から分離された冷凍機油は、油分離機構41を構成する油戻し管41bに流入し、油戻し管41bに設けられた減圧機構41cで減圧された後に圧縮機構2の吸入管2aに戻されて、再び、圧縮機構2に吸入される。次に、油分離機構41において冷凍機油が分離された後の高圧の冷媒は、逆止機構42及び切換機構3を通じて、冷媒の放熱器として機能する熱源側熱交換器4に送られる。そして、熱源側熱交換器4に送られた高圧の冷媒は、熱源側熱交換器4において、冷却源としての水や空気と熱交換を行って冷却される(図10〜図12の点E参照)。そして、熱源側熱交換器4において冷却された高圧の冷媒は、ブリッジ回路17の入口逆止弁17aを通じてレシーバ入口管18aに流入し、その一部が戻し管としての第1後段側インジェクション管19に分岐される。そして、第1後段側インジェクション管19を流れる冷媒は、第1後段側インジェクション弁19aにおいて中間圧付近まで減圧された後に、冷却器としてのエコノマイザ熱交換器20に送られる(図10〜図12の点J参照)。また、第1後段側インジェクション管19に分岐された後の冷媒は、エコノマイザ熱交換器20に流入し、第1後段側インジェクション管19を流れる冷媒と熱交換を行って冷却される(図10〜図12の点H参照)。一方、第1後段側インジェクション管19を流れる冷媒は、放熱器としての熱源側熱交換器4において冷却された高圧の冷媒と熱交換を行って加熱されて(図10〜図12の点K参照)、上述のように、前段側の圧縮要素2cから吐出された中間圧の冷媒に合流することになる。そして、エコノマイザ熱交換器20において冷却された高圧の冷媒は、第1膨張機構5aによって飽和圧力付近まで減圧されてレシーバ18内に一時的に溜められる(図10〜図12の点I参照)。そして、レシーバ18内に溜められた冷媒は、レシーバ出口管18bに送られて、第2膨張機構5bによって減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となり、ブリッジ回路17の出口逆止弁17cを通じて、冷媒の蒸発器として機能する利用側熱交換器6に送られる(図10〜図12の点F参照)。そして、利用側熱交換器6に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、加熱源としての水や空気と熱交換を行って加熱されて、蒸発することになる(図10〜図12の点A参照)。そして、この利用側熱交換器6において加熱された低圧の冷媒は、切換機構3を経由して、再び、圧縮機構2に吸入される。このようにして、冷房運転が行われる。
このように、本変形例の空気調和装置1では、上述の実施形態及びその変形例と同様に、エコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションを採用しているため、外部への放熱を行うことなく、後段側の圧縮要素2dに吸入される冷媒の温度を低く抑えることができ、これにより、エコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションを採用していない場合に比べて、圧縮機構2から吐出される冷媒の温度が低く抑えられ、図12の点B1、D’、D、Gを結ぶことによって囲まれる面積に相当する分の放熱ロスを小さくできることから、圧縮機構2の消費動力を減らし、運転効率を向上させることができる。
<通常運転としての暖房運転>
暖房運転時は、切換機構3が図10の破線で示される加熱運転状態とされる。また、第1膨張機構5a及び第2膨張機構5bは、開度調節される。また、第1後段側インジェクション弁19aは、上述の冷房運転時と同様の開度調節がなされる。
この冷媒回路110の状態において、低圧の冷媒(図10〜図12の点A参照)は、吸入管2aから圧縮機構2に吸入され、まず、圧縮要素2cによって中間圧まで圧縮された後に、中間冷媒管8に吐出される(図10〜図12の点B1参照)。この前段側の圧縮要素2cから吐出された中間圧の冷媒は、冷房運転時と同様に、戻し管としての第1後段側インジェクション管19から後段側の圧縮機構2dに戻される冷媒(図10〜図12の点K参照)と合流することで冷却される(図10〜図12の点G参照)。次に、第1後段側インジェクション管19から戻る冷媒と合流した中間圧の冷媒は、圧縮要素2cの後段側に接続された圧縮要素2dに吸入されてさらに圧縮されて、圧縮機構2から吐出管2bに吐出される(図10〜図12の点D参照)。ここで、圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、冷房運転時と同様、圧縮要素2c、2dによる二段圧縮動作によって、臨界圧力(すなわち、図11に示される臨界点CPにおける臨界圧力Pcp)を超える圧力まで圧縮されている。そして、この圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、油分離機構41を構成する油分離器41aに流入し、同伴する冷凍機油が分離される。また、油分離器41aにおいて高圧の冷媒から分離された冷凍機油は、油分離機構41を構成する油戻し管41bに流入し、油戻し管41bに設けられた減圧機構41cで減圧された後に圧縮機構2の吸入管2aに戻されて、再び、圧縮機構2に吸入される。次に、油分離機構41において冷凍機油が分離された後の高圧の冷媒は、逆止機構42及び切換機構3を通じて、冷媒の放熱器として機能する利用側熱交換器6に送られて、冷却源としての水や空気と熱交換を行って冷却される(図10の点F、及び、図11、図12の点Eを点Fに読み替えて参照)。そして、利用側熱交換器6において冷却された高圧の冷媒は、ブリッジ回路17の入口逆止弁17bを通じてレシーバ入口管18aに流入し、その一部が第1後段側インジェクション管19に分岐される。そして、第1後段側インジェクション管19を流れる冷媒は、第1後段側インジェクション弁19aにおいて中間圧付近まで減圧された後に、冷却器としてのエコノマイザ熱交換器20に送られる(図10〜図12の点J参照)。また、第1後段側インジェクション管19に分岐された後の冷媒は、エコノマイザ熱交換器20に流入し、第1後段側インジェクション管19を流れる冷媒と熱交換を行って冷却される(図10〜図12の点H参照)。一方、第1後段側インジェクション管19を流れる冷媒は、放熱器としての利用側熱交換器6において冷却された高圧の冷媒と熱交換を行って加熱されて(図10〜図12の点K参照)、上述のように、前段側の圧縮要素2cから吐出された中間圧の冷媒に合流することになる。そして、エコノマイザ熱交換器20において冷却された高圧の冷媒は、第1膨張機構5aによって飽和圧力付近まで減圧されてレシーバ18内に一時的に溜められる(図10〜図12の点I参照)。そして、レシーバ18内に溜められた冷媒は、レシーバ出口管18bに送られて、第2膨張機構5bによって減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となり、ブリッジ回路17の出口逆止弁17dを通じて、冷媒の蒸発器として機能する熱源側熱交換器4に送られる(図10の点E、及び、図11、図12の点Fを点Eに読み替えて参照)。そして、熱源側熱交換器4に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、加熱源としての水や空気と熱交換を行って加熱されて、蒸発することになる(図10〜図12の点A参照)。そして、この熱源側熱交換器4において加熱された低圧の冷媒は、切換機構3を経由して、再び、圧縮機構2に吸入される。このようにして、暖房運転が行われる。
このように、本変形例の空気調和装置1では、暖房運転時においても、冷房運転時と同様に、エコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションを採用しているため、外部への放熱を行うことなく、後段側の圧縮要素2dに吸入される冷媒の温度を低く抑えることができ、これにより、エコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションを採用していない場合に比べて、圧縮機構2から吐出される冷媒の温度が低く抑えられ、図12の点B1、D’、D、Gを結ぶことによって囲まれる面積に相当する分の放熱ロスを小さくできることから、圧縮機構2の消費動力を減らし、運転効率を向上させることができる。
<油回収運転>
本変形例の空気調和装置1においても、上述の実施形態及びその変形例と同様、通常運転としての冷房運転及び暖房運転を長時間継続すると、冷媒とともに圧縮機構2(ここでは、圧縮機21のケーシング21a)の外部に流出した冷凍機油が、主冷媒回路110aや戻し管としての第1後段側インジェクション管19及び冷却器としてのエコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Yに溜まり込んでしまい、圧縮機構2の油切れが生じるおそれがある。
このため、本変形例においても、上述の実施形態及びその変形例と同様に、主冷媒回路110aに溜まる冷凍機油を圧縮機構2に回収する主冷媒回路油回収運転と、冷却器としてのエコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Yに溜まる冷凍機油を戻し管としての第1後段側インジェクション管19を通じて圧縮機構2に回収する冷却器油回収運転としてのエコノマイザ熱交油回収運転とからなる油回収運転を行う必要がある。
尚、本変形例の油回収運転は、上述の実施形態及びその変形例と基本的に同じであるため、ここでは詳細な説明を省略する。但し、本変形例の冷媒回路110では、冷房運転及び暖房運転のいずれにおいても、エコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションを行っており、これにより、冷房運転及び暖房運転のいずれにおいても、冷却器としてのエコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Yに溜まり込んでしまうことから、ステップS2(図6、図9及びその関連記載を参照)における第1積算運転時間や第2積算運転時間は、冷房運転及び暖房運転の両方の時間を積算することが好ましい。また、本変形例の冷媒回路110が冷房運転と暖房運転とが切換可能な構成であるため、油回収運転の動作の簡略化や利用側への影響を少なくする観点から、ステップS2において、油回収運転を行うべきと判定された場合には、切換機構3の切換状態をその判定がされた時点における切換状態を変えることなく、すなわち、油回収運転を行うべきと判定された場合における運転が冷房運転であれば、切換機構3を冷却運転状態で維持し、また、油回収運転を行うべきと判定された場合における運転が暖房運転であれば、切換機構3を加熱運転状態で維持したままで、ステップS3以降の処理を行うことが好ましい。
このように、本変形例の空気調和装置1においても、上述の実施形態及びその変形例と同様に、冷却器油回収運転としてのエコノマイザ熱交油回収運転を行うことによって、冷却器としてのエコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Yへの冷凍機油の溜まり込みによる圧縮機構2における油切れを生じにくくすることができる。
(7)変形例5
上述の変形例4における冷媒回路110(図10参照)においては、上述のように、切換機構3を冷却運転状態にする冷房運転及び切換機構3を加熱運転状態にする暖房運転のいずれにおいても、エコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションを行うことで、後段側の圧縮要素2dから吐出される冷媒の温度を低下させるとともに、圧縮機構2の消費動力を減らし、運転効率の向上を図るようにしている。そして、エコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションは、冷凍サイクルにおける中間圧が臨界圧力付近まで上昇した条件においても使用可能であることから、上述の実施形態及びその変形例における冷媒回路10、110(図1、図10参照)のように、1つの利用側熱交換器6を有する構成では、超臨界域で作動する冷媒を使用する場合には、特に、有利であると考えられる。
しかし、複数の空調空間の空調負荷に応じた冷房や暖房を行うこと等を目的として、互いに並列に接続された複数の利用側熱交換器6を有する構成にするとともに、各利用側熱交換器6を流れる冷媒の流量を制御して各利用側熱交換器6において必要とされる冷凍負荷を得ることができるようにするために、気液分離器としてのレシーバ18と利用側熱交換器6との間において各利用側熱交換器6に対応するように利用側膨張機構5cを設ける場合がある。
例えば、詳細は図示しないが、上述の変形例4におけるブリッジ回路17を有する冷媒回路110(図10参照)において、互いが並列に接続された複数(ここでは、2つ)の利用側熱交換器6を設けるとともに、気液分離器としてのレシーバ18(より具体的には、ブリッジ回路17)と利用側熱交換器6との間において各利用側熱交換器6に対応するように利用側膨張機構5cを設け(図13参照)、レシーバ出口管18bに設けられていた第2膨張機構5bを削除し、また、ブリッジ回路17の出口逆止弁17dに代えて、暖房運転時に冷凍サイクルにおける低圧まで冷媒を減圧する第3膨張機構(図示せず)を設けることが考えられる。
そして、このような構成においても、切換機構3を冷却運転状態にする冷房運転のように、放熱器としての熱源側熱交換器4において冷却された後に熱源側膨張機構としての第1膨張機構5a以外に大幅な減圧操作が行われることなく、冷凍サイクルにおける高圧から冷凍サイクルの中間圧付近までの圧力差を利用できる条件においては、上述の変形例4と同様、エコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションが有利である。
しかし、切換機構3を加熱運転状態にする暖房運転のように、各利用側膨張機構5cが放熱器としての各利用側熱交換器6において必要とされる冷凍負荷が得られるように放熱器としての各利用側熱交換器6を流れる冷媒の流量を制御しており、放熱器としての各利用側熱交換器6を通過する冷媒の流量が、放熱器としての各利用側熱交換器6の下流側でかつエコノマイザ熱交換器20の上流側に設けられた利用側膨張機構5cの開度制御による冷媒の減圧操作によって概ね決定される条件においては、各利用側膨張機構5cの開度制御による冷媒の減圧の程度が、放熱器としての各利用側熱交換器6を流れる冷媒の流量だけでなく、複数の放熱器としての利用側熱交換器6間の流量分配の状態によって変動することになり、複数の利用側膨張機構5c間で減圧の程度が大きく異なる状態が生じたり、利用側膨張機構5cにおける減圧の程度が比較的大きくなったりする場合があるため、エコノマイザ熱交換器20の入口における冷媒の圧力が低くなるおそれがあり、このような場合には、エコノマイザ熱交換器20における交換熱量(すなわち、第1後段側インジェクション管19を流れる冷媒の流量)が小さくなってしまい使用が困難になるおそれがある。特に、このような空気調和装置1を、主として圧縮機構2、熱源側熱交換器4及びレシーバ18を含む熱源ユニットと、主として利用側熱交換器6を含む利用ユニットとが連絡配管によって接続されたセパレート型の空気調和装置として構成する場合には、利用ユニット及び熱源ユニットの配置によっては、この連絡配管が非常に長くなることがあり得るため、その圧力損失による影響も加わり、エコノマイザ熱交換器20の入口における冷媒の圧力がさらに低下することになる。そして、エコノマイザ熱交換器20の入口における冷媒の圧力が低下するおそれがある場合には、気液分離器圧力が臨界圧力よりも低い圧力であれば気液分離器圧力と冷凍サイクルにおける中間圧(ここでは、中間冷媒管8を流れる冷媒の圧力)との圧力差が小さい条件であっても使用可能な気液分離器による中間圧インジェクションが有利である。
そこで、本変形例では、図13に示されるように、レシーバ18を気液分離器として機能させて中間圧インジェクションを行うことができるようにするために、レシーバ18に第2後段側インジェクション管18cを接続するようにして、冷房運転時には、エコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションを行い、暖房運転時には、気液分離器としてのレシーバ18による中間圧インジェクションを行うことが可能な冷媒回路210としている。
尚、第2後段側インジェクション管18cは、レシーバ18から冷媒を抜き出して圧縮機構2の後段側の圧縮要素2dに戻す中間圧インジェクションを行うことが可能な冷媒管であり、本変形例において、レシーバ18の上部と中間冷媒管8(すなわち、圧縮機構2の後段側の圧縮要素2dの吸入側)とを接続するように設けられている。この第2後段側インジェクション管18cには、第2後段側インジェクション開閉弁18dと第2後段側インジェクション逆止機構18eとが設けられている。第2後段側インジェクション開閉弁18dは、開閉動作が可能な弁であり、本変形例において、電磁弁である。第2後段側インジェクション逆止機構18eは、レシーバ18から後段側の圧縮要素2dへの冷媒の流れを許容し、かつ、後段側の圧縮要素2dからレシーバ18への冷媒の流れを遮断するための機構であり、本変形例において、逆止弁が使用されている。尚、第2後段側インジェクション管18cと第1吸入戻し管18fとは、レシーバ18側の部分が一体となっている。また、第2後段側インジェクション管18cと第1後段側インジェクション管19とは、中間冷媒管8側の部分が一体となっている。また、本変形例において、利用側膨張機構5cは、電動膨張弁である。また、本変形例では、上述のように、第1後段側インジェクション管19及びエコノマイザ熱交換器20を冷房運転時に使用し、第2後段側インジェクション管18cを暖房運転時に使用するようにしていることから、エコノマイザ熱交換器20への冷媒の流通方向を冷房運転及び暖房運転を問わず一定にする必要がないため、ブリッジ回路17を省略して、冷媒回路210の構成を簡単化している。
次に、本変形例の空気調和装置1の通常運転及び油回収運転の動作について、図13、図11、図12、図14、図15を用いて説明する。ここで、通常運転とは、上述の変形例4と同様に、必要冷凍能力に応じた冷凍サイクルを行う運転(ここでは、必要冷房能力に応じた冷房運転及び必要暖房能力に応じた暖房運転)を行うことをいう。また、図14は、本変形例における暖房運転時の冷凍サイクルが図示された圧力−エンタルピ線図であり、図15は、暖房運転時の冷凍サイクルが図示された温度−エントロピ線図である。また、本変形例における冷房運転時の冷凍サイクルについては、図11、図12を用いて説明するものとする。尚、以下の通常運転としての冷暖房運転や油回収運転における運転制御は、上述の実施形態と同様の制御部(図示せず)によって行われる。また、以下の説明において、「高圧」とは、冷凍サイクルにおける高圧(すなわち、図11、図12の点D、D’、E、H、Iにおける圧力や図14、図15の点D、D’、Fにおける圧力)を意味し、「低圧」とは、冷凍サイクルにおける低圧(すなわち、図11、図12の点A、Fにおける圧力や図14、図15の点A、E)を意味し、「中間圧」とは、冷凍サイクルにおける中間圧(すなわち、図11、図12の点B1、G、J、Kにおける圧力や図14、図15の点B1、G、I、L、M)を意味している。
<通常運転としての冷房運転>
通常運転としての冷房運転時は、切換機構3が図13の実線で示される冷却運転状態とされる。熱源側膨張機構としての第1膨張機構5a及び利用側膨張機構5cは、開度調節される。また、切換機構3を冷却運転状態にしている際には、気液分離器としてのレシーバ18による中間圧インジェクションを行わずに、第1後段側インジェクション管19を通じて、エコノマイザ熱交換器20において加熱された冷媒を後段側の圧縮要素2dに戻すエコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションを行うようにしている。より具体的には、第2後段側インジェクション開閉弁18dは閉状態にされて、第1後段側インジェクション弁19aは、上述の実施形態及びその変形例と同様の開度調節がなされる。
この冷媒回路210の状態において、低圧の冷媒(図13、図11、図12の点A参照)は、吸入管2aから圧縮機構2に吸入され、まず、圧縮要素2cによって中間圧まで圧縮された後に、中間冷媒管8に吐出される(図13、図11、図12の点B1参照)。この前段側の圧縮要素2cから吐出された中間圧の冷媒は、戻し管としての第1後段側インジェクション管19から後段側の圧縮機構2dに戻される冷媒(図13、図11、図12の点K参照)と合流することで冷却される(図13、図11、図12の点G参照)。次に、第1後段側インジェクション管19から戻る冷媒と合流した(すなわち、冷却器としてのエコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションが行われた)中間圧の冷媒は、圧縮要素2cの後段側に接続された圧縮要素2dに吸入されてさらに圧縮されて、圧縮機構2から吐出管2bに吐出される(図13、図11、図12の点D参照)。ここで、圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、圧縮要素2c、2dによる二段圧縮動作によって、臨界圧力(すなわち、図11に示される臨界点CPにおける臨界圧力Pcp)を超える圧力まで圧縮されている。そして、この圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、油分離機構41を構成する油分離器41aに流入し、同伴する冷凍機油が分離される。また、油分離器41aにおいて高圧の冷媒から分離された冷凍機油は、油分離機構41を構成する油戻し管41bに流入し、油戻し管41bに設けられた減圧機構41cで減圧された後に圧縮機構2の吸入管2aに戻されて、再び、圧縮機構2に吸入される。次に、油分離機構41において冷凍機油が分離された後の高圧の冷媒は、逆止機構42及び切換機構3を通じて、冷媒の放熱器として機能する熱源側熱交換器4に送られる。そして、熱源側熱交換器4に送られた高圧の冷媒は、熱源側熱交換器4において、冷却源としての水や空気と熱交換を行って冷却される(図13、図11、図12の点E参照)。そして、熱源側熱交換器4において冷却された高圧の冷媒は、その一部が戻し管としての第1後段側インジェクション管19に分岐される。そして、第1後段側インジェクション管19を流れる冷媒は、第1後段側インジェクション弁19aにおいて中間圧付近まで減圧された後に、冷却器としてのエコノマイザ熱交換器20に送られる(図13、図11、図12の点J参照)。また、第1後段側インジェクション管19に分岐された後の冷媒は、エコノマイザ熱交換器20に流入し、第1後段側インジェクション管19を流れる冷媒と熱交換を行って冷却される(図13、図11、図12の点H参照)。一方、第1後段側インジェクション管19を流れる冷媒は、放熱器としての熱源側熱交換器4において冷却された高圧の冷媒と熱交換を行って加熱されて(図13、図11、図12の点K参照)、上述のように、前段側の圧縮要素2cから吐出された中間圧の冷媒に合流することになる。そして、エコノマイザ熱交換器20において冷却された高圧の冷媒は、第1膨張機構5aによって飽和圧力付近まで減圧されてレシーバ18内に一時的に溜められる(図13、図11、図12の点I参照)。そして、レシーバ18内に溜められた冷媒は、利用側膨張機構5cに送られて、利用側膨張機構5cよって減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となり、冷媒の蒸発器として機能する利用側熱交換器6に送られる(図13、図11、図12の点F参照)。そして、利用側熱交換器6に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、加熱源としての水や空気と熱交換を行って加熱されて、蒸発することになる(図13、図11、図12の点A参照)。そして、この利用側熱交換器6において加熱された低圧の冷媒は、切換機構3を経由して、再び、圧縮機構2に吸入される。このようにして、冷房運転が行われる。
このように、本変形例の空気調和装置1では、冷房運転時においては、上述の実施形態及びその変形例と同様に、エコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションが行われるため、外部への放熱を行うことなく、後段側の圧縮要素2dに吸入される冷媒の温度を低く抑えることができ、これにより、圧縮機構2から吐出される冷媒の温度が低く抑えられ、圧縮機構2の消費動力を減らし、運転効率を向上させることができる。
<通常運転としての暖房運転>
通常運転としての暖房運転時は、切換機構3が図13の破線で示される加熱運転状態とされる。熱源側膨張機構としての第1膨張機構5a及び利用側膨張機構5cは、開度調節される。また、切換機構3を加熱運転状態にしている際には、エコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションを行わずに、第2後段側インジェクション管18cを通じて、気液分離器としてのレシーバ18から冷媒を後段側の圧縮要素2dに戻すレシーバ18による中間圧インジェクションを行うようにしている。より具体的には、第2後段側インジェクション開閉弁18dが開状態にされて、第1後段側インジェクション弁19aが全閉状態にされる。
この冷媒回路210の状態において、低圧の冷媒(図13〜図15の点A参照)は、吸入管2aから圧縮機構2に吸入され、まず、圧縮要素2cによって中間圧まで圧縮された後に、中間冷媒管8に吐出される(図13〜図15の点B1参照)。この前段側の圧縮要素2cから吐出された中間圧の冷媒は、冷房運転時とは異なり、レシーバ18から第2後段側インジェクション管18cを通じて後段側の圧縮機構2dに戻される冷媒(図13〜図15の点M参照)と合流することで冷却される(図13〜図15の点G参照)。次に、第2後段側インジェクション管18cから戻る冷媒と合流した(すなわち、気液分離器としてのレシーバ18による中間圧インジェクションが行われた)中間圧の冷媒は、圧縮要素2cの後段側に接続された圧縮要素2dに吸入されてさらに圧縮されて、圧縮機構2から吐出管2bに吐出される(図13〜図15の点D参照)。ここで、圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、冷房運転時と同様、圧縮要素2c、2dによる二段圧縮動作によって、臨界圧力(すなわち、図14に示される臨界点CPにおける臨界圧力Pcp)を超える圧力まで圧縮されている。そして、この圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、油分離機構41を構成する油分離器41aに流入し、同伴する冷凍機油が分離される。また、油分離器41aにおいて高圧の冷媒から分離された冷凍機油は、油分離機構41を構成する油戻し管41bに流入し、油戻し管41bに設けられた減圧機構41cで減圧された後に圧縮機構2の吸入管2aに戻されて、再び、圧縮機構2に吸入される。次に、油分離機構41において冷凍機油が分離された後の高圧の冷媒は、逆止機構42及び切換機構3を通じて、冷媒の放熱器として機能する利用側熱交換器6に送られて、冷却源としての水や空気と熱交換を行って冷却される(図13〜図15の点Fを参照)。そして、利用側熱交換器6において冷却された高圧の冷媒は、利用側膨張機構5cによって中間圧付近まで減圧された後に、レシーバ18内に一時的に溜められるとともに気液分離が行われる(図13〜図15の点I、L、M参照)。そして、レシーバ18において気液分離されたガス冷媒は、第2後段側インジェクション管18cによってレシーバ18の上部から抜き出されて、上述のように、前段側の圧縮要素2cから吐出された中間圧の冷媒に合流することになる。そして、レシーバ18内に溜められた液冷媒は、第1膨張機構5aによって減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となり、冷媒の蒸発器として機能する熱源側熱交換器4に送られる(図13〜図15の点E参照)。そして、熱源側熱交換器4に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、加熱源としての水や空気と熱交換を行って加熱されて、蒸発することになる(図13〜図15の点A参照)。そして、この熱源側熱交換器4において加熱された低圧の冷媒は、切換機構3を経由して、再び、圧縮機構2に吸入される。このようにして、暖房運転が行われる。
このように、本変形例の空気調和装置1では、暖房運転時においては、エコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションに代えて、気液分離器としてのレシーバ18による中間圧インジェクションが行われるため、外部への放熱を行うことなく、後段側の圧縮要素2dに吸入される冷媒の温度を低く抑えることができ、これにより、レシーバ18による中間圧インジェクションを採用していない場合に比べて、圧縮機構2から吐出される冷媒の温度が低く抑えられ、図15の点B1、D’、D、Gを結ぶことによって囲まれる面積に相当する分の放熱ロスを小さくできることから、圧縮機構2の消費動力を減らし、運転効率を向上させることができる。
<油回収運転>
本変形例の空気調和装置1においては、上述の変形例4とは異なり、通常運転としての冷房運転にのみ、エコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションを行うようにしているため、冷房運転を長時間継続すると、冷媒とともに圧縮機構2(ここでは、圧縮機21のケーシング21a)の外部に流出した冷凍機油が、主冷媒回路210aや戻し管としての第1後段側インジェクション管19及び冷却器としてのエコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Y(図2、図3参照)に溜まり込むが、暖房運転を長時間継続しても、冷媒とともに圧縮機構2(ここでは、圧縮機21のケーシング21a)の外部に流出した冷凍機油が、主冷媒回路210aに溜まり込むことはあるが、第1後段側インジェクション管19及びエコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Yに溜まり込むことはほとんどない。
このため、本変形例においては、上述の変形例4とは異なり、主冷媒回路210aに溜まる冷凍機油を圧縮機構2に回収する主冷媒回路油回収運転については、冷房運転及び暖房運転のいずれにおいても行う必要があるが、冷却器としてのエコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Yに溜まる冷凍機油を戻し管としての第1後段側インジェクション管19を通じて圧縮機構2に回収する冷却器油回収運転としてのエコノマイザ熱交油回収運転については、冷房運転のみ行うようにしてもよい。すなわち、エコノマイザ熱交油回収運転に関するステップS5、S6(図6、図9及びその関連記載を参照)の処理の前に、油回収運転を行う直前の運転が冷房運転であるかどうかを判定して、冷房運転であれば、主冷媒回路油回収運転が完了した後に、ステップS5、S6の処理に移行して、エコノマイザ熱交油回収運転を行い、冷房運転でなければ(すなわち、暖房運転であれば)、主冷媒回路油回収運転が完了した後に、エコノマイザ熱交油回収運転を行うことなく、ステップS1に戻るようにしてもよい。
このように、本変形例の空気調和装置1においては、通常運転としての冷房運転にのみ、エコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションを行う点が変形例4とは異なることから、冷却器油回収運転としてのエコノマイザ熱交油回収運転を行うことによる効果が冷房運転時に限定されることになるが、上述の実施形態及びその変形例と同様に、冷却器としてのエコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Yへの冷凍機油の溜まり込みによる圧縮機構2における油切れを生じにくくすることができる。
(8)変形例6
上述の変形例5における冷媒回路210(図13参照)においては、複数の空調空間の空調負荷に応じた冷房や暖房を行うこと等を目的として、互いに並列に接続された複数の利用側熱交換器6を有する構成にするとともに、各利用側熱交換器6を流れる冷媒の流量を制御して各利用側熱交換器6において必要とされる冷凍負荷を得ることができるようにするために、レシーバ18と利用側熱交換器6との間において各利用側熱交換器6に対応するように利用側膨張機構5cを設けた構成を採用している。このような構成では、冷房運転時において、第1膨張機構5aによって飽和圧力付近まで減圧されてレシーバ18内に一時的に溜められた冷媒(図13の点L参照)が、各利用側膨張機構5cに分配されるが、レシーバ18から各利用側膨張機構5cに送られる冷媒が気液二相状態であると、各利用側膨張機構5cへの分配時に偏流を生じるおそれがあるため、レシーバ18から各利用側膨張機構5cに送られる冷媒をできるだけ過冷却状態にすることが望ましい。
そこで、本変形例では、図16に示されるように、上述の変形例5における冷媒回路210において、レシーバ18と利用側膨張機構5cとの間に、冷却器としての過冷却熱交換器96及び戻し管としての第2吸入戻し管95を設けた冷媒回路310としている。
ここで、第2吸入戻し管95は、放熱器としての熱源側熱交換器4から蒸発器としての利用側熱交換器6に送られる冷媒を分岐して圧縮機構2の吸入側(すなわち、吸入管2a)に戻す戻し管として機能する冷媒管である。本変形例において、第2吸入戻し管95は、レシーバ18から利用側膨張機構5cに送られる冷媒を分岐するように設けられている。より具体的には、第2吸入戻し管95は、過冷却熱交換器96の上流側の位置(すなわち、レシーバ18とエコノマイザ熱交換器20との間)から冷媒を分岐して中間冷媒管8に戻すように設けられている。この第2吸入戻し管95には、開度制御が可能な戻し弁として機能する第2吸入戻し弁95aが設けられている。第2吸入戻し弁95aは、本変形例において、電動膨張弁である。
また、過冷却熱交換器96は、放熱器としての熱源側熱交換器4から蒸発器としての利用側熱交換器6に送られる冷媒と第2吸入戻し管95を流れる冷媒(より具体的には、戻し管としての第2吸入戻し弁95aにおいて低圧付近まで減圧された後の冷媒)との熱交換を行う熱交換器である。本変形例において、過冷却熱交換器96は、利用側膨張機構5cの上流側の位置(すなわち、第2吸入戻し管95が分岐される位置と利用側膨張機構5cとの間)を流れる冷媒と第2吸入戻し管95を流れる冷媒との熱交換を行うように設けられている。また、本変形例において、過冷却熱交換器96は、第2吸入戻し管95が分岐される位置よりも下流側に設けられている。このため、放熱器としての熱源側熱交換器4において冷却された冷媒は、冷却器としてのエコノマイザ熱交換器20を通過した後に、戻し管としての第2吸入戻し管95に分岐され、過冷却熱交換器96において、第2吸入戻し管95を流れる冷媒と熱交換を行うことになる。そして、このような過冷却熱交換器96としては、種々の型式のものが採用可能であるが、例えば、エコノマイザ熱交換器20と同様に、図2及び図3に示されるような配管熱交換器や二重管熱交換器を採用することができる。
また、吸入管2a又は圧縮機構2には、圧縮機構2の吸入側を流れる冷媒の圧力を検出する吸入圧力センサ60が設けられている。過冷却熱交換器96の第2吸入戻し管95側の出口には、過冷却熱交換器96の第2吸入戻し管95側の出口における冷媒の温度を検出する過冷却熱交出口温度センサ59が設けられている。
次に、本変形例の空気調和装置1の通常運転及び油回収運転の動作について、図16〜図18、図14、図15を用いて説明する。ここで、通常運転とは、上述の変形例4、5と同様に、必要冷凍能力に応じた冷凍サイクルを行う運転(ここでは、必要冷房能力に応じた冷房運転及び必要暖房能力に応じた暖房運転)を行うことをいう。また、図17は、本変形例における冷房運転時の冷凍サイクルが図示された圧力−エンタルピ線図であり、図18は、冷房運転時の冷凍サイクルが図示された温度−エントロピ線図である。また、本変形例における暖房運転時の冷凍サイクルについては、図14、図15を用いて説明するものとする。尚、以下の通常運転としての冷暖房運転や油回収運転における運転制御は、上述の実施形態と同様の制御部(図示せず)によって行われる。また、以下の説明において、「高圧」とは、冷凍サイクルにおける高圧(すなわち、図17、図18の点D、E、H、I、Rにおける圧力や図14、図15の点D、D’、Fにおける圧力)を意味し、「低圧」とは、冷凍サイクルにおける低圧(すなわち、図17、図18の点A、F、S、Uにおける圧力や図14、図15の点A、E)を意味し、「中間圧」とは、冷凍サイクルにおける中間圧(すなわち、図17、図18の点B1、G、J、Kにおける圧力や図14、図15の点B1、G、I、L、M)を意味している。
<通常運転としての冷房運転>
通常運転としての冷房運転時は、切換機構3が図16の実線で示される冷却運転状態とされる。熱源側膨張機構としての第1膨張機構5a及び利用側膨張機構5cは、開度調節される。また、切換機構3を冷却運転状態にしている際には、気液分離器としてのレシーバ18による中間圧インジェクションを行わずに、第1後段側インジェクション管19を通じて、エコノマイザ熱交換器20において加熱された冷媒を後段側の圧縮要素2dに戻すエコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションを行うようにしている。より具体的には、第2後段側インジェクション開閉弁18dは閉状態にされて、第1後段側インジェクション弁19aは、上述の実施形態及びその変形例と同様の開度調節がなされる。また、切換機構3を冷却運転状態にしている際には、冷却器としての過冷却熱交換器96を使用するため、戻し弁としての第2吸入戻し弁95aについても、開度調節される。より具体的には、本変形例において、第2吸入戻し弁95aは、過冷却熱交換器96の第2吸入戻し管95側の出口における冷媒の過熱度が目標値になるように開度調節される、いわゆる過熱度制御がなされるようになっている。本変形例において、過冷却熱交換器96の第2吸入戻し管95側の出口における冷媒の過熱度は、吸入圧力センサ60により検出される低圧を飽和温度に換算し、過冷却熱交出口温度センサ59により検出される冷媒温度からこの冷媒の飽和温度値を差し引くことによって得られる。尚、本変形例では採用していないが、過冷却熱交換器96の第2吸入戻し管95側の入口に温度センサを設けて、この温度センサにより検出される冷媒温度を過冷却熱交出口温度センサ59により検出される冷媒温度から差し引くことによって、過冷却熱交換器96の第2吸入戻し管95側の出口における冷媒の過熱度を得るようにしてもよい。また、第2吸入戻し弁95aの開度調節は、過熱度制御に限られるものではなく、例えば、冷媒回路310における冷媒循環量等に応じて所定開度だけ開けるようにするものであってもよい。
この冷媒回路310の状態において、低圧の冷媒(図16〜図18の点A参照)は、吸入管2aから圧縮機構2に吸入され、まず、圧縮要素2cによって中間圧まで圧縮された後に、中間冷媒管8に吐出される(図16〜図18の点B1参照)。この前段側の圧縮要素2cから吐出された中間圧の冷媒は、戻し管としての第1後段側インジェクション管19から後段側の圧縮機構2dに戻される冷媒(図16〜図18の点K参照)と合流することで冷却される(図16〜図18の点G参照)。次に、第1後段側インジェクション管19から戻る冷媒と合流した(すなわち、冷却器としてのエコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションが行われた)中間圧の冷媒は、圧縮要素2cの後段側に接続された圧縮要素2dに吸入されてさらに圧縮されて、圧縮機構2から吐出管2bに吐出される(図16〜図18の点D参照)。ここで、圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、圧縮要素2c、2dによる二段圧縮動作によって、臨界圧力(すなわち、図17に示される臨界点CPにおける臨界圧力Pcp)を超える圧力まで圧縮されている。そして、この圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、油分離機構41を構成する油分離器41aに流入し、同伴する冷凍機油が分離される。また、油分離器41aにおいて高圧の冷媒から分離された冷凍機油は、油分離機構41を構成する油戻し管41bに流入し、油戻し管41bに設けられた減圧機構41cで減圧された後に圧縮機構2の吸入管2aに戻されて、再び、圧縮機構2に吸入される。次に、油分離機構41において冷凍機油が分離された後の高圧の冷媒は、逆止機構42及び切換機構3を通じて、冷媒の放熱器として機能する熱源側熱交換器4に送られる。そして、熱源側熱交換器4に送られた高圧の冷媒は、熱源側熱交換器4において、冷却源としての水や空気と熱交換を行って冷却される(図16〜図18の点E参照)。そして、熱源側熱交換器4において冷却された高圧の冷媒は、その一部が戻し管としての第1後段側インジェクション管19に分岐される。そして、第1後段側インジェクション管19を流れる冷媒は、第1後段側インジェクション弁19aにおいて中間圧付近まで減圧された後に、冷却器としてのエコノマイザ熱交換器20に送られる(図16〜図18の点J参照)。また、第1後段側インジェクション管19に分岐された後の冷媒は、エコノマイザ熱交換器20に流入し、第1後段側インジェクション管19を流れる冷媒と熱交換を行って冷却される(図16〜図18の点H参照)。一方、第1後段側インジェクション管19を流れる冷媒は、放熱器としての熱源側熱交換器4において冷却された高圧の冷媒と熱交換を行って加熱されて(図16〜図18の点K参照)、上述のように、前段側の圧縮要素2cから吐出された中間圧の冷媒に合流することになる。そして、エコノマイザ熱交換器20において冷却された高圧の冷媒は、第1膨張機構5aによって飽和圧力付近まで減圧されてレシーバ18内に一時的に溜められる(図16〜図18の点I参照)。そして、レシーバ18内に溜められた冷媒は、その一部が戻し管としての第2吸入戻し管95に分岐される。そして、第2吸入戻し管95を流れる冷媒は、戻し弁としての第2吸入戻し弁95aにおいて低圧付近まで減圧された後に、冷却器としての過冷却熱交換器96に送られる(図16〜図18の点S参照)。また、第2吸入戻し管95に分岐された後の冷媒は、過冷却熱交換器96に流入し、第2吸入戻し管95を流れる冷媒と熱交換を行ってさらに冷却される(図16〜図18の点R参照)。一方、第2吸入戻し管95を流れる冷媒は、エコノマイザ熱交換器20において冷却された高圧の冷媒と熱交換を行って加熱されて(図16〜図18の点U参照)、圧縮機構2の吸入側(ここでは、吸入管2a)を流れる冷媒に合流することになる。この過冷却熱交換器96において冷却された冷媒は、利用側膨張機構5cに送られて、利用側膨張機構5cよって減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となり、冷媒の蒸発器として機能する利用側熱交換器6に送られる(図16〜図18の点F参照)。そして、利用側熱交換器6に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、加熱源としての水や空気と熱交換を行って加熱されて、蒸発することになる(図16〜図18の点A参照)。そして、この利用側熱交換器6において加熱された低圧の冷媒は、切換機構3を経由して、再び、圧縮機構2に吸入される。このようにして、冷房運転が行われる。
このように、本変形例の空気調和装置1では、冷房運転時においては、上述の変形例5と同様の作用効果が得られるとともに、レシーバ18から利用側膨張機構5cへ送られる冷媒(図17、図18の点I参照)を冷却器としての過冷却熱交換器96によって過冷却状態まで冷却することができるため(図17、図18の点R参照)、各利用側膨張機構5cへの分配時に偏流を生じるおそれを少なくすることができる。
<通常運転としての暖房運転>
通常運転としての暖房運転時は、切換機構3が図16の破線で示される加熱運転状態とされる。熱源側膨張機構としての第1膨張機構5a及び利用側膨張機構5cは、開度調節される。また、切換機構3を加熱運転状態にしている際には、エコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションを行わずに、第2後段側インジェクション管18cを通じて、気液分離器としてのレシーバ18から冷媒を後段側の圧縮要素2dに戻すレシーバ18による中間圧インジェクションを行うようにしている。より具体的には、第2後段側インジェクション開閉弁18dが開状態にされて、第1後段側インジェクション弁19aが全閉状態にされる。また、切換機構3を加熱運転状態にしている際には、過冷却熱交換器96を使用しないため、第2吸入戻し弁95aについても全閉状態にされる。
この冷媒回路310の状態において、低圧の冷媒(図16、図14、図15の点A参照)は、吸入管2aから圧縮機構2に吸入され、まず、圧縮要素2cによって中間圧まで圧縮された後に、中間冷媒管8に吐出される(図16、図14、図15の点B1参照)。この前段側の圧縮要素2cから吐出された中間圧の冷媒は、冷房運転時とは異なり、レシーバ18から第2後段側インジェクション管18cを通じて後段側の圧縮機構2dに戻される冷媒(図16、図14、図15の点M参照)と合流することで冷却される(図16、図14、図15の点G参照)。次に、第2後段側インジェクション管18cから戻る冷媒と合流した(すなわち、気液分離器としてのレシーバ18による中間圧インジェクションが行われた)中間圧の冷媒は、圧縮要素2cの後段側に接続された圧縮要素2dに吸入されてさらに圧縮されて、圧縮機構2から吐出管2bに吐出される(図16、図14、図15の点D参照)。ここで、圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、冷房運転時と同様、圧縮要素2c、2dによる二段圧縮動作によって、臨界圧力(すなわち、図14に示される臨界点CPにおける臨界圧力Pcp)を超える圧力まで圧縮されている。そして、この圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、油分離機構41を構成する油分離器41aに流入し、同伴する冷凍機油が分離される。また、油分離器41aにおいて高圧の冷媒から分離された冷凍機油は、油分離機構41を構成する油戻し管41bに流入し、油戻し管41bに設けられた減圧機構41cで減圧された後に圧縮機構2の吸入管2aに戻されて、再び、圧縮機構2に吸入される。次に、油分離機構41において冷凍機油が分離された後の高圧の冷媒は、逆止機構42及び切換機構3を通じて、冷媒の放熱器として機能する利用側熱交換器6に送られて、冷却源としての水や空気と熱交換を行って冷却される(図16、図14、図15の点Fを参照)。そして、利用側熱交換器6において冷却された高圧の冷媒は、利用側膨張機構5cによって中間圧付近まで減圧された後に、レシーバ18内に一時的に溜められるとともに気液分離が行われる(図16、図14、図15の点I、L、M参照)。そして、レシーバ18において気液分離されたガス冷媒は、第2後段側インジェクション管18cによってレシーバ18の上部から抜き出されて、上述のように、前段側の圧縮要素2cから吐出された中間圧の冷媒に合流することになる。そして、レシーバ18内に溜められた液冷媒は、第1膨張機構5aによって減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となり、冷媒の蒸発器として機能する熱源側熱交換器4に送られる(図16、図14、図15の点E参照)。そして、熱源側熱交換器4に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、加熱源としての水や空気と熱交換を行って加熱されて、蒸発することになる(図16、図14、図15の点A参照)。そして、この熱源側熱交換器4において加熱された低圧の冷媒は、切換機構3を経由して、再び、圧縮機構2に吸入される。このようにして、暖房運転が行われる。
このように、本変形例の空気調和装置1では、暖房運転時においては、上述の変形例5と同様の作用効果が得られる。
<油回収運転>
本変形例の空気調和装置1においては、上述の変形例5と同様に、通常運転としての冷房運転にのみ、エコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションを行うようにしているため、冷房運転を長時間継続すると、冷媒とともに圧縮機構2(ここでは、圧縮機21のケーシング21a)の外部に流出した冷凍機油が、主冷媒回路310aや戻し管としての第1後段側インジェクション管19及び冷却器としてのエコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Y(図2、図3参照)に溜まり込むことになる。しかも、本変形例では、戻し管及び冷却器としての第2吸入戻し管95及び過冷却熱交換器96を設けて、通常運転としての冷房運転において、過冷却熱交換器96によって利用側膨張機構5cに送られる冷媒を過冷却状態まで冷却するようにしているため、第2吸入戻し管95及び過冷却熱交換器96の第2吸入戻し管95側の流路Yにも冷凍機油が溜まり込むことになる。
このため、本変形例においては、冷却器としてのエコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Yに溜まる冷凍機油を戻し管としての第1後段側インジェクション管19を通じて圧縮機構2に回収する冷却器油回収運転としてのエコノマイザ熱交油回収運転に加えて、冷却器としての過冷却熱交換器96の第2吸入戻し管95側の流路Y(図2、図3参照)に溜まる冷凍機油を戻し管としての第2吸入戻し管95を通じて圧縮機構2に回収する冷却器油回収運転としての過冷却熱交油回収運転を行う必要がある。
ここで、過冷却熱交油回収運転は、ステップS5、S6として、エコノマイザ熱交油回収運転とともに行ったり(図6、図9及びその関連記載を参照)、又は、エコノマイザ熱交油回収運転とは別のステップとして行うことができる。例えば、フルード数が1以上になる流速を確保しやすくする観点では、エコノマイザ熱交油回収運転と過冷却熱交油回収運転を別に行うほうが好ましく、また、油回収運転全体の処理時間を短縮する観点では、エコノマイザ熱交油回収運転と過冷却熱交油回収運転を同時に行うほうが好ましい。尚、本変形例の油回収運転は、上述の変形例5と基本的に同じであるため、ここでは詳細な説明を省略する。
このように、本変形例の空気調和装置1においても、上述の変形例5と同様に、冷却器油回収運転としてのエコノマイザ熱交油回収運転を行うことによって、冷却器としてのエコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Yへの冷凍機油の溜まり込みによる圧縮機構2における油切れを生じにくくすることができるとともに、冷却器油回収運転としての過冷却熱交油回収運転を行うことによって、冷却器としての過冷却熱交換器96の第2吸入戻し管95側の流路Yへの冷凍機油の溜まり込みによる圧縮機構2における油切れを生じにくくすることができる。
(9)変形例7
上述の実施形態及びその変形例における冷媒回路10、110、210、310(図1、10、13、16参照)においては、気液分離器としてのレシーバ18による中間圧インジェクションやエコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションを行うことで、後段側の圧縮要素2dから吐出される冷媒の温度を低下させるとともに、圧縮機構2の消費動力を減らし、運転効率の向上を図るようにしたり、第2吸入戻し管95及び過冷却熱交換器96を設けて、過冷却熱交換器96によって利用側膨張機構5cに送られる冷媒を過冷却状態まで冷却するようにしているが、この構成に加えて、前段側の圧縮要素2cから吐出された冷媒を後段側の圧縮要素2dに吸入させるための中間冷媒管8に前段側の圧縮要素2cから吐出されて後段側の圧縮要素2dに吸入される冷媒の冷却器として機能する中間熱交換器7をさらに設けるようにしてもよい。
例えば、図19に示されるように、上述の変形例6の冷媒回路310において、中間熱交換器7及び中間熱交換器バイパス管9が設けられた冷媒回路410にすることができる。
ここで、中間熱交換器7は、中間冷媒管8に設けられており、前段側の圧縮要素2cから吐出されて圧縮要素2dに吸入される冷媒の冷却器として機能する熱交換器である。中間熱交換器7は、空気や水を熱源(すなわち、冷却源)とする熱交換器である。このように、中間熱交換器7は、冷媒回路410を循環する冷媒を用いたものではないという意味で、外部熱源を用いた冷却器ということができる。
また、中間冷媒管8には、中間熱交換器7をバイパスするように、中間熱交換器バイパス管9が接続されている。この中間熱交換器バイパス管9は、中間熱交換器7を流れる冷媒の流量を制限する冷媒管である。そして、中間熱交換器バイパス管9には、中間熱交換器バイパス開閉弁11が設けられている。中間熱交換器バイパス開閉弁11は、本変形例において、電磁弁である。この中間熱交換器バイパス開閉弁11は、本変形例において、基本的には、切換機構3を冷却運転状態にしている際に閉め、切換機構3を加熱運転状態にしている際に開ける制御がなされる。すなわち、中間熱交換器バイパス開閉弁11は、冷房運転を行う際に閉め、暖房運転を行う際に開ける制御がなされる。
また、中間冷媒管8には、中間熱交換器バイパス管9の前段側の圧縮要素2c側端との接続部から中間熱交換器7の前段側の圧縮要素2c側端までの部分に、中間熱交換器開閉弁12が設けられている。この中間熱交換器開閉弁12は、中間熱交換器7を流れる冷媒の流量を制限する機構である。中間熱交換器開閉弁12は、本変形例において、電磁弁である。この中間熱交換器開閉弁12は、本変形例において、基本的には、切換機構3を冷却運転状態にしている際に開け、切換機構3を加熱運転状態にしている際に閉める制御がなされる。すなわち、中間熱交換器開閉弁12は、冷房運転を行う際に開け、暖房運転を行う際に閉める制御がなされる。
また、中間冷媒管8には、前段側の圧縮要素2cの吐出側から後段側の圧縮要素2dの吸入側への冷媒の流れを許容し、かつ、後段側の圧縮要素2dの吸入側から前段側の圧縮要素2cの吐出側への冷媒の流れを遮断するための逆止機構15が設けられている。逆止機構15は、本変形例において、逆止弁である。尚、逆止機構15は、本変形例において、中間冷媒管8の中間熱交換器7の後段側の圧縮要素2d側端から中間熱交換器バイパス管9の後段側の圧縮要素2d側端との接続部までの部分に設けられている。
次に、本変形例の空気調和装置1の通常運転及び油回収運転の動作について、図19〜図21、図14、図15を用いて説明する。ここで、通常運転とは、上述の変形例4〜6と同様に、必要冷凍能力に応じた冷凍サイクルを行う運転(ここでは、必要冷房能力に応じた冷房運転及び必要暖房能力に応じた暖房運転)を行うことをいう。また、図20は、本変形例における冷房運転時の冷凍サイクルが図示された圧力−エンタルピ線図であり、図21は、冷房運転時の冷凍サイクルが図示された温度−エントロピ線図である。また、本変形例における暖房運転時の冷凍サイクルについては、図14、図15を用いて説明するものとする。尚、以下の通常運転としての冷暖房運転や油回収運転における運転制御は、上述の実施形態と同様の制御部(図示せず)によって行われる。また、以下の説明において、「高圧」とは、冷凍サイクルにおける高圧(すなわち、図20、図21の点D、E、H、I、Rにおける圧力や図14、図15の点D、D’、Fにおける圧力)を意味し、「低圧」とは、冷凍サイクルにおける低圧(すなわち、図20、図21の点A、F、S、Uにおける圧力や図14、図15の点A、E)を意味し、「中間圧」とは、冷凍サイクルにおける中間圧(すなわち、図20、図21の点B1、C1、G、J、Kにおける圧力や図14、図15の点B1、G、I、L、M)を意味している。
<通常運転としての冷房運転>
通常運転としての冷房運転時は、切換機構3が図19の実線で示される冷却運転状態とされる。熱源側膨張機構としての第1膨張機構5a及び利用側膨張機構5cは、開度調節される。また、切換機構3を冷却運転状態にしている際には、気液分離器としてのレシーバ18による中間圧インジェクションを行わずに、第1後段側インジェクション管19を通じて、エコノマイザ熱交換器20において加熱された冷媒を後段側の圧縮要素2dに戻すエコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションを行うようにしている。より具体的には、第2後段側インジェクション開閉弁18dは閉状態にされて、第1後段側インジェクション弁19aは、上述の実施形態及びその変形例と同様の開度調節がなされる。また、切換機構3を冷却運転状態にしている際には、冷却器としての過冷却熱交換器96を使用するため、戻し弁としての第2吸入戻し弁95aについても、上述の変形例6と同様の開度調節がなされる。さらに、切換機構3を冷却運転状態にしている際には、中間熱交換器開閉弁12が開けられ、また、中間熱交換器バイパス管9の中間熱交換器バイパス開閉弁11が閉められることによって、中間熱交換器7が冷却器として機能する状態とされる。
この冷媒回路410の状態において、低圧の冷媒(図19〜図21の点A参照)は、吸入管2aから圧縮機構2に吸入され、まず、圧縮要素2cによって中間圧まで圧縮された後に、中間冷媒管8に吐出される(図19〜図21の点B1参照)。この前段側の圧縮要素2cから吐出された中間圧の冷媒は、中間熱交換器7において、冷却源としての水や空気と熱交換を行うことで冷却される(図19〜図21の点C1参照)。この中間熱交換器7において冷却された冷媒は、戻し管としての第1後段側インジェクション管19から後段側の圧縮機構2dに戻される冷媒(図19〜図21の点K参照)と合流することでさらに冷却される(図19〜図21の点G参照)。次に、第1後段側インジェクション管19から戻る冷媒と合流した(すなわち、冷却器としてのエコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションが行われた)中間圧の冷媒は、圧縮要素2cの後段側に接続された圧縮要素2dに吸入されてさらに圧縮されて、圧縮機構2から吐出管2bに吐出される(図19〜図21の点D参照)。ここで、圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、圧縮要素2c、2dによる二段圧縮動作によって、臨界圧力(すなわち、図20に示される臨界点CPにおける臨界圧力Pcp)を超える圧力まで圧縮されている。そして、この圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、油分離機構41を構成する油分離器41aに流入し、同伴する冷凍機油が分離される。また、油分離器41aにおいて高圧の冷媒から分離された冷凍機油は、油分離機構41を構成する油戻し管41bに流入し、油戻し管41bに設けられた減圧機構41cで減圧された後に圧縮機構2の吸入管2aに戻されて、再び、圧縮機構2に吸入される。次に、油分離機構41において冷凍機油が分離された後の高圧の冷媒は、逆止機構42及び切換機構3を通じて、冷媒の放熱器として機能する熱源側熱交換器4に送られる。そして、熱源側熱交換器4に送られた高圧の冷媒は、熱源側熱交換器4において、冷却源としての水や空気と熱交換を行って冷却される(図19〜図21の点E参照)。そして、熱源側熱交換器4において冷却された高圧の冷媒は、その一部が戻し管としての第1後段側インジェクション管19に分岐される。そして、第1後段側インジェクション管19を流れる冷媒は、第1後段側インジェクション弁19aにおいて中間圧付近まで減圧された後に、冷却器としてのエコノマイザ熱交換器20に送られる(図19〜図21の点J参照)。また、第1後段側インジェクション管19に分岐された後の冷媒は、エコノマイザ熱交換器20に流入し、第1後段側インジェクション管19を流れる冷媒と熱交換を行って冷却される(図19〜図21の点H参照)。一方、第1後段側インジェクション管19を流れる冷媒は、放熱器としての熱源側熱交換器4において冷却された高圧の冷媒と熱交換を行って加熱されて(図19〜図21の点K参照)、上述のように、前段側の圧縮要素2cから吐出された中間圧の冷媒に合流することになる。そして、エコノマイザ熱交換器20において冷却された高圧の冷媒は、第1膨張機構5aによって飽和圧力付近まで減圧されてレシーバ18内に一時的に溜められる(図19〜図21の点I参照)。そして、レシーバ18内に溜められた冷媒は、その一部が戻し管としての第2吸入戻し管95に分岐される。そして、第2吸入戻し管95を流れる冷媒は、戻し弁としての第2吸入戻し弁95aにおいて低圧付近まで減圧された後に、冷却器としての過冷却熱交換器96に送られる(図19〜図21の点S参照)。また、第2吸入戻し管95に分岐された後の冷媒は、過冷却熱交換器96に流入し、第2吸入戻し管95を流れる冷媒と熱交換を行ってさらに冷却される(図19〜図21の点R参照)。一方、第2吸入戻し管95を流れる冷媒は、エコノマイザ熱交換器20において冷却された高圧の冷媒と熱交換を行って加熱されて(図19〜図21の点U参照)、圧縮機構2の吸入側(ここでは、吸入管2a)を流れる冷媒に合流することになる。この過冷却熱交換器96において冷却された冷媒は、利用側膨張機構5cに送られて、利用側膨張機構5cよって減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となり、冷媒の蒸発器として機能する利用側熱交換器6に送られる(図19〜図21の点F参照)。そして、利用側熱交換器6に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、加熱源としての水や空気と熱交換を行って加熱されて、蒸発することになる(図19〜図21の点A参照)。そして、この利用側熱交換器6において加熱された低圧の冷媒は、切換機構3を経由して、再び、圧縮機構2に吸入される。このようにして、冷房運転が行われる。
このように、本変形例の空気調和装置1では、冷房運転時においては、上述の変形例6と同様の作用効果が得られるとともに、中間熱交換器7を冷却器として機能する状態にしていることから、後段側の圧縮要素2dに吸入される冷媒の温度をさらに低くなり(図20の点B1、C1参照)、圧縮機構2から吐出される冷媒の温度をさらに低く抑えることができるため、中間熱交換器7を冷却器として機能させていない場合に比べて、放熱ロスをさらに小さくできる。
<通常運転としての暖房運転>
通常運転としての暖房運転時は、切換機構3が図19の破線で示される加熱運転状態とされる。熱源側膨張機構としての第1膨張機構5a及び利用側膨張機構5cは、開度調節される。また、切換機構3を加熱運転状態にしている際には、エコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションを行わずに、第2後段側インジェクション管18cを通じて、気液分離器としてのレシーバ18から冷媒を後段側の圧縮要素2dに戻すレシーバ18による中間圧インジェクションを行うようにしている。より具体的には、第2後段側インジェクション開閉弁18dが開状態にされて、第1後段側インジェクション弁19aが全閉状態にされる。また、切換機構3を加熱運転状態にしている際には、過冷却熱交換器96を使用しないため、第2吸入戻し弁95aについても全閉状態にされる。さらに、切換機構3を加熱運転状態にしている際には、中間熱交換器開閉弁12が閉められ、また、中間熱交換器バイパス管9の中間熱交換器バイパス開閉弁11が開けられることによって、中間熱交換器7が冷却器として機能しない状態とされる。
この冷媒回路410の状態において、低圧の冷媒(図19、図14、図15の点A参照)は、吸入管2aから圧縮機構2に吸入され、まず、圧縮要素2cによって中間圧まで圧縮された後に、中間冷媒管8に吐出される(図19、図14、図15の点B1参照)。この前段側の圧縮要素2cから吐出された中間圧の冷媒は、冷房運転時とは異なり、中間熱交換器7を通過せずに(すなわち、冷却されることなく)、中間熱交換器バイパス管9を通過して(図19の点C1参照)、レシーバ18から第2後段側インジェクション管18cを通じて後段側の圧縮機構2dに戻される冷媒(図19、図14、図15の点M参照)と合流することで冷却される(図19、図14、図15の点G参照)。次に、第2後段側インジェクション管18cから戻る冷媒と合流した(すなわち、気液分離器としてのレシーバ18による中間圧インジェクションが行われた)中間圧の冷媒は、圧縮要素2cの後段側に接続された圧縮要素2dに吸入されてさらに圧縮されて、圧縮機構2から吐出管2bに吐出される(図19、図14、図15の点D参照)。ここで、圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、冷房運転時と同様、圧縮要素2c、2dによる二段圧縮動作によって、臨界圧力(すなわち、図14に示される臨界点CPにおける臨界圧力Pcp)を超える圧力まで圧縮されている。そして、この圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、油分離機構41を構成する油分離器41aに流入し、同伴する冷凍機油が分離される。また、油分離器41aにおいて高圧の冷媒から分離された冷凍機油は、油分離機構41を構成する油戻し管41bに流入し、油戻し管41bに設けられた減圧機構41cで減圧された後に圧縮機構2の吸入管2aに戻されて、再び、圧縮機構2に吸入される。次に、油分離機構41において冷凍機油が分離された後の高圧の冷媒は、逆止機構42及び切換機構3を通じて、冷媒の放熱器として機能する利用側熱交換器6に送られて、冷却源としての水や空気と熱交換を行って冷却される(図19、図14、図15の点Fを参照)。そして、利用側熱交換器6において冷却された高圧の冷媒は、利用側膨張機構5cによって中間圧付近まで減圧された後に、レシーバ18内に一時的に溜められるとともに気液分離が行われる(図19、図14、図15の点I、L、M参照)。そして、レシーバ18において気液分離されたガス冷媒は、第2後段側インジェクション管18cによってレシーバ18の上部から抜き出されて、上述のように、前段側の圧縮要素2cから吐出された中間圧の冷媒に合流することになる。そして、レシーバ18内に溜められた液冷媒は、第1膨張機構5aによって減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となり、冷媒の蒸発器として機能する熱源側熱交換器4に送られる(図19、図14、図15の点E参照)。そして、熱源側熱交換器4に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、加熱源としての水や空気と熱交換を行って加熱されて、蒸発することになる(図19、図14、図15の点A参照)。そして、この熱源側熱交換器4において加熱された低圧の冷媒は、切換機構3を経由して、再び、圧縮機構2に吸入される。このようにして、暖房運転が行われる。
このように、本変形例の空気調和装置1では、暖房運転時においては、上述の変形例6と同様の作用効果が得られるとともに、中間熱交換器7を冷却器として機能させない状態にしていることから、冷房運転と同様に中間熱交換器7を冷却器として機能させた場合に比べて、中間熱交換器7による外部への放熱ロスを抑えて、利用側熱交換器6における加熱能力の低下を抑えることができる。
<油回収運転>
本変形例の空気調和装置1においては、中間冷媒管8に中間熱交換器7が設けられている点が上述の変形例6とは異なるが、通常運転としての冷房運転にのみ、エコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクション、及び、過冷却熱交換器96によって利用側膨張機構5cに送られる冷媒を過冷却状態まで冷却する操作を行う点については、上述の変形例6と同じであり、したがって、本変形例の油回収運転も、上述の変形例6と基本的に同じである。
このため、本変形例の空気調和装置1においても、上述の変形例6と同様に、冷却器油回収運転としてのエコノマイザ熱交油回収運転を行うことによって、冷却器としてのエコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Y(図2、図3参照)への冷凍機油の溜まり込みによる圧縮機構2における油切れを生じにくくすることができるとともに、冷却器油回収運転としての過冷却熱交油回収運転を行うことによって、冷却器としての過冷却熱交換器96の第2吸入戻し管95側の流路Yへの冷凍機油の溜まり込みによる圧縮機構2における油切れを生じにくくすることができる。
(10)変形例8
上述の変形例7における冷媒回路410(図19参照)においては、気液分離器としてのレシーバ18による中間圧インジェクションやエコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションを行うことで、後段側の圧縮要素2dから吐出される冷媒の温度を低下させるとともに、圧縮機構2の消費動力を減らし、運転効率の向上を図るようにしたり、第2吸入戻し管95及び過冷却熱交換器96を設けて、過冷却熱交換器96によって利用側膨張機構5cに送られる冷媒を過冷却状態まで冷却するとともに、冷房運転時の熱源側熱交換器4における放熱ロスを低減するために、前段側の圧縮要素2cから吐出された冷媒を後段側の圧縮要素2dに吸入させるための中間冷媒管8に前段側の圧縮要素2cから吐出されて後段側の圧縮要素2dに吸入される冷媒の冷却器として機能する中間熱交換器7をさらに設けるとともに、暖房運転時における加熱能力の低下を抑えるために、中間熱交換器7をバイパスする中間熱交換器バイパス管9を設けるようにしている。
しかし、このような構成では、暖房運転時に中間熱交換器7を使用しない状態にするため、中間熱交換器7は、暖房運転時には利用されない機器となっている。
そこで、暖房運転時における中間熱交換器7の有効利用を図るために、本変形例では、図22に示されるように、上述の変形例7の冷媒回路410において、中間熱交換器7の一端と圧縮機構2の吸入側とを接続させるための第3吸入戻し管92を設けるとともに、利用側熱交換器6と熱源側熱交換器4との間と中間熱交換器7の他端とを接続させるための中間熱交換器戻し管94を設けることで、冷媒回路510を構成するようにしている。
ここで、第3吸入戻し管92は、中間熱交換器7の一端(ここでは、前段側の圧縮要素2c側端)に接続されており、中間熱交換器戻し管94は、中間熱交換器7の他端(ここでは、後段側の圧縮要素2d側端)に接続されている。この第3吸入戻し管92は、中間熱交換器バイパス管9を通じて前段側の圧縮要素2cから吐出された冷媒を後段側の圧縮要素2dに吸入させる状態にしている際に、中間熱交換器7の一端と圧縮機構2の吸入側(ここでは、吸入管2a)とを接続させるための冷媒管である。また、この中間熱交換器戻し管94は、中間熱交換器バイパス管9を通じて前段側の圧縮要素2cから吐出された冷媒を後段側の圧縮要素2dに吸入させる状態にし、かつ、切換機構3を加熱運転状態にしている際に、利用側熱交換器6と熱源側熱交換器4との間(ここでは、冷凍サイクルにおける低圧になるまで冷媒を減圧する熱源側膨張機構としての第1膨張機構5aと蒸発器としての熱源側熱交換器4との間)と中間熱交換器7の他端とを接続させるための冷媒管である。本変形例において、第3吸入戻し管92は、その一端が、中間冷媒管8の中間熱交換器バイパス管9の前段側の圧縮要素2c側端との接続部から中間熱交換器7の前段側の圧縮要素2c側端までの部分に接続されており、他端が、圧縮機構2の吸入側(ここでは、吸入管2a)に接続されている。また、中間熱交換器戻し管94は、その一端が、第1膨張機構5aから熱源側熱交換器4までの部分に接続されており、他端が、中間冷媒管8の中間熱交換器7の前段側の圧縮要素2c側端から逆止機構15までの部分に接続されている。そして、第3吸入戻し管92には、第3吸入戻し開閉弁92aが設けられており、中間熱交換器戻し管94には、中間熱交換器戻し開閉弁94aが設けられている。第3吸入戻し開閉弁92a及び中間熱交換器戻し開閉弁94aは、本変形例において、電磁弁である。この第3吸入戻し開閉弁92aは、本変形例において、基本的には、切換機構3を冷却運転状態にしている際に閉め、切換機構3を加熱運転状態にしている際に開ける制御がなされる。また、中間熱交換器戻し開閉弁94aは、基本的には、切換機構3を冷却運転状態にしている際に閉め、切換機構3を加熱運転状態にしている際に開ける制御がなされる。
このように、本変形例では、主として、中間熱交換器バイパス管9、第3吸入戻し管92及び中間熱交換器戻し管94によって、冷房運転時には、中間冷媒管8を流れる中間圧の冷媒を中間熱交換器7によって冷却することができ、暖房運転時には、中間冷媒管8を流れる中間圧の冷媒を中間熱交換器バイパス管9によって、中間熱交換器7をバイパスさせるとともに、第3吸入戻し管92及び中間熱交換器戻し管94によって、利用側熱交換器6において冷却された冷媒の一部を中間熱交換器7に導いて蒸発させ、圧縮機構2の吸入側に戻すことができるようになっている。
次に、本変形例の空気調和装置1の通常運転及び油回収運転の動作について、図22、図20、図21、図23、図24を用いて説明する。ここで、通常運転とは、上述の変形例4〜7と同様に、必要冷凍能力に応じた冷凍サイクルを行う運転(ここでは、必要冷房能力に応じた冷房運転及び必要暖房能力に応じた暖房運転)を行うことをいう。また、図23は、本変形例における暖房運転時の冷凍サイクルが図示された圧力−エンタルピ線図であり、図24は、暖房運転時の冷凍サイクルが図示された温度−エントロピ線図である。また、本変形例における冷房運転時の冷凍サイクルについては、図20、図21を用いて説明するものとする。尚、以下の通常運転としての冷暖房運転や油回収運転における運転制御は、上述の実施形態と同様の制御部(図示せず)によって行われる。また、以下の説明において、「高圧」とは、冷凍サイクルにおける高圧(すなわち、図20、図21の点D、E、H、I、Rにおける圧力や図23、図24の点D、Fにおける圧力)を意味し、「低圧」とは、冷凍サイクルにおける低圧(すなわち、図20、図21の点A、F、S、Uにおける圧力や図23、図24の点A、E、V)を意味し、「中間圧」とは、冷凍サイクルにおける中間圧(すなわち、図20、図21の点B1、C1、G、J、Kにおける圧力や図23、図24の点B1、G、I、L、M)を意味している。
<通常運転としての冷房運転>
通常運転としての冷房運転時は、切換機構3が図22の実線で示される冷却運転状態とされる。熱源側膨張機構としての第1膨張機構5a及び利用側膨張機構5cは、開度調節される。また、切換機構3を冷却運転状態にしている際には、気液分離器としてのレシーバ18による中間圧インジェクションを行わずに、第1後段側インジェクション管19を通じて、エコノマイザ熱交換器20において加熱された冷媒を後段側の圧縮要素2dに戻すエコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションを行うようにしている。より具体的には、第2後段側インジェクション開閉弁18dは閉状態にされて、第1後段側インジェクション弁19aは、上述の実施形態及びその変形例と同様の開度調節がなされる。また、切換機構3を冷却運転状態にしている際には、冷却器としての過冷却熱交換器96を使用するため、戻し弁としての第2吸入戻し弁95aについても、上述の変形例6と同様の開度調節がなされる。さらに、切換機構3を冷却運転状態にしている際には、中間熱交換器開閉弁12が開けられ、また、中間熱交換器バイパス管9の中間熱交換器バイパス開閉弁11が閉められることによって、中間熱交換器7が冷却器として機能する状態とされるとともに、第3吸入戻し管92の第3吸入戻し開閉弁92aが閉められることによって、中間熱交換器7と圧縮機構2の吸入側とが接続していない状態にされ、また、中間熱交換器戻し管94の中間熱交換器戻し開閉弁94aが閉められることによって、利用側熱交換器6と熱源側熱交換器4との間と中間熱交換器7とが接続していない状態にされる。
この冷媒回路510の状態において、低圧の冷媒(図22、図20、図21の点A参照)は、吸入管2aから圧縮機構2に吸入され、まず、圧縮要素2cによって中間圧まで圧縮された後に、中間冷媒管8に吐出される(図22、図20、図21の点B1参照)。この前段側の圧縮要素2cから吐出された中間圧の冷媒は、中間熱交換器7において、冷却源としての水や空気と熱交換を行うことで冷却される(図22、図20、図21の点C1参照)。この中間熱交換器7において冷却された冷媒は、戻し管としての第1後段側インジェクション管19から後段側の圧縮機構2dに戻される冷媒(図22、図20、図21の点K参照)と合流することでさらに冷却される(図22、図20、図21の点G参照)。次に、第1後段側インジェクション管19から戻る冷媒と合流した(すなわち、冷却器としてのエコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションが行われた)中間圧の冷媒は、圧縮要素2cの後段側に接続された圧縮要素2dに吸入されてさらに圧縮されて、圧縮機構2から吐出管2bに吐出される(図22、図20、図21の点D参照)。ここで、圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、圧縮要素2c、2dによる二段圧縮動作によって、臨界圧力(すなわち、図20に示される臨界点CPにおける臨界圧力Pcp)を超える圧力まで圧縮されている。そして、この圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、油分離機構41を構成する油分離器41aに流入し、同伴する冷凍機油が分離される。また、油分離器41aにおいて高圧の冷媒から分離された冷凍機油は、油分離機構41を構成する油戻し管41bに流入し、油戻し管41bに設けられた減圧機構41cで減圧された後に圧縮機構2の吸入管2aに戻されて、再び、圧縮機構2に吸入される。次に、油分離機構41において冷凍機油が分離された後の高圧の冷媒は、逆止機構42及び切換機構3を通じて、冷媒の放熱器として機能する熱源側熱交換器4に送られる。そして、熱源側熱交換器4に送られた高圧の冷媒は、熱源側熱交換器4において、冷却源としての水や空気と熱交換を行って冷却される(図22、図20、図21の点E参照)。そして、熱源側熱交換器4において冷却された高圧の冷媒は、その一部が戻し管としての第1後段側インジェクション管19に分岐される。そして、第1後段側インジェクション管19を流れる冷媒は、第1後段側インジェクション弁19aにおいて中間圧付近まで減圧された後に、冷却器としてのエコノマイザ熱交換器20に送られる(図22、図20、図21の点J参照)。また、第1後段側インジェクション管19に分岐された後の冷媒は、エコノマイザ熱交換器20に流入し、第1後段側インジェクション管19を流れる冷媒と熱交換を行って冷却される(図22、図20、図21の点H参照)。一方、第1後段側インジェクション管19を流れる冷媒は、放熱器としての熱源側熱交換器4において冷却された高圧の冷媒と熱交換を行って加熱されて(図22、図20、図21の点K参照)、上述のように、前段側の圧縮要素2cから吐出された中間圧の冷媒に合流することになる。そして、エコノマイザ熱交換器20において冷却された高圧の冷媒は、第1膨張機構5aによって飽和圧力付近まで減圧されてレシーバ18内に一時的に溜められる(図22、図20、図21の点I参照)。そして、レシーバ18内に溜められた冷媒は、その一部が戻し管としての第2吸入戻し管95に分岐される。そして、第2吸入戻し管95を流れる冷媒は、戻し弁としての第2吸入戻し弁95aにおいて低圧付近まで減圧された後に、冷却器としての過冷却熱交換器96に送られる(図22、図20、図21の点S参照)。また、第2吸入戻し管95に分岐された後の冷媒は、過冷却熱交換器96に流入し、第2吸入戻し管95を流れる冷媒と熱交換を行ってさらに冷却される(図22、図20、図21の点R参照)。一方、第2吸入戻し管95を流れる冷媒は、エコノマイザ熱交換器20において冷却された高圧の冷媒と熱交換を行って加熱されて(図22、図20、図21の点U参照)、圧縮機構2の吸入側(ここでは、吸入管2a)を流れる冷媒に合流することになる。この過冷却熱交換器96において冷却された冷媒は、利用側膨張機構5cに送られて、利用側膨張機構5cよって減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となり、冷媒の蒸発器として機能する利用側熱交換器6に送られる(図22、図20、図21の点F参照)。そして、利用側熱交換器6に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、加熱源としての水や空気と熱交換を行って加熱されて、蒸発することになる(図22、図20、図21の点A参照)。そして、この利用側熱交換器6において加熱された低圧の冷媒は、切換機構3を経由して、再び、圧縮機構2に吸入される。このようにして、冷房運転が行われる。
このように、本変形例の空気調和装置1では、冷房運転時においては、上述の変形例7と同様の作用効果が得られる。
<通常運転としての暖房運転>
通常運転としての暖房運転時は、切換機構3が図22の破線で示される加熱運転状態とされる。熱源側膨張機構としての第1膨張機構5a及び利用側膨張機構5cは、開度調節される。また、切換機構3を加熱運転状態にしている際には、エコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションを行わずに、第2後段側インジェクション管18cを通じて、気液分離器としてのレシーバ18から冷媒を後段側の圧縮要素2dに戻すレシーバ18による中間圧インジェクションを行うようにしている。より具体的には、第2後段側インジェクション開閉弁18dが開状態にされて、第1後段側インジェクション弁19aが全閉状態にされる。また、切換機構3を加熱運転状態にしている際には、過冷却熱交換器96を使用しないため、第2吸入戻し弁95aについても全閉状態にされる。さらに、切換機構3を加熱運転状態にしている際には、中間熱交換器開閉弁12が閉められ、また、中間熱交換器バイパス管9の中間熱交換器バイパス開閉弁11が開けられることによって、中間熱交換器7が冷却器として機能しない状態とされる。さらに、切換機構3が加熱運転状態となるため、第3吸入戻し管92の第3吸入戻し開閉弁92aが開けられることによって、中間熱交換器7と圧縮機構2の吸入側とを接続されている状態にされ、また、中間熱交換器戻し管94の中間熱交換器戻し開閉弁94aが開けられることによって、利用側熱交換器6と熱源側熱交換器4との間と中間熱交換器7とが接続されている状態にされる。
この冷媒回路510の状態において、低圧の冷媒(図22〜図24の点A参照)は、吸入管2aから圧縮機構2に吸入され、まず、圧縮要素2cによって中間圧まで圧縮された後に、中間冷媒管8に吐出される(図22〜図24の点B1参照)。この前段側の圧縮要素2cから吐出された中間圧の冷媒は、冷房運転時とは異なり、中間熱交換器7を通過せずに(すなわち、冷却されることなく)、中間熱交換器バイパス管9を通過して(図22の点C1参照)、レシーバ18から第2後段側インジェクション管18cを通じて後段側の圧縮機構2dに戻される冷媒(図22〜図24の点M参照)と合流することで冷却される(図22〜図24の点G参照)。次に、第2後段側インジェクション管18cから戻る冷媒と合流した(すなわち、気液分離器としてのレシーバ18による中間圧インジェクションが行われた)中間圧の冷媒は、圧縮要素2cの後段側に接続された圧縮要素2dに吸入されてさらに圧縮されて、圧縮機構2から吐出管2bに吐出される(図22〜図24の点D参照)。ここで、圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、冷房運転時と同様、圧縮要素2c、2dによる二段圧縮動作によって、臨界圧力(すなわち、図23に示される臨界点CPにおける臨界圧力Pcp)を超える圧力まで圧縮されている。そして、この圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、油分離機構41を構成する油分離器41aに流入し、同伴する冷凍機油が分離される。また、油分離器41aにおいて高圧の冷媒から分離された冷凍機油は、油分離機構41を構成する油戻し管41bに流入し、油戻し管41bに設けられた減圧機構41cで減圧された後に圧縮機構2の吸入管2aに戻されて、再び、圧縮機構2に吸入される。次に、油分離機構41において冷凍機油が分離された後の高圧の冷媒は、逆止機構42及び切換機構3を通じて、冷媒の放熱器として機能する利用側熱交換器6に送られて、冷却源としての水や空気と熱交換を行って冷却される(図22〜図24の点Fを参照)。そして、利用側熱交換器6において冷却された高圧の冷媒は、利用側膨張機構5cによって中間圧付近まで減圧された後に、レシーバ18内に一時的に溜められるとともに気液分離が行われる(図22〜図24の点I、L、M参照)。そして、レシーバ18において気液分離されたガス冷媒は、第2後段側インジェクション管18cによってレシーバ18の上部から抜き出されて、上述のように、前段側の圧縮要素2cから吐出された中間圧の冷媒に合流することになる。そして、レシーバ18内に溜められた液冷媒は、第1膨張機構5aによって減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となり、冷媒の蒸発器として機能する熱源側熱交換器4に送られるとともに、中間熱交換器戻し管94を通じて、冷媒の蒸発器として機能する中間熱交換器7にも送られる(図22〜図24の点E参照)。そして、熱源側熱交換器4に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、加熱源としての水や空気と熱交換を行って加熱されて、蒸発することになる(図22〜図24の点A参照)。また、中間熱交換器7に送られた低圧の気液二相状態の冷媒も、加熱源としての水や空気と熱交換を行って加熱されて、蒸発することになる(図22〜図24の点V参照)。そして、この熱源側熱交換器4において加熱されて蒸発した低圧の冷媒は、切換機構3を経由して、再び、圧縮機構2に吸入される。また、この中間熱交換器7において加熱されて蒸発した低圧の冷媒は、第3吸入戻し管92を通じて、再び、圧縮機構2に吸入される。このようにして、暖房運転が行われる。
このように、本変形例の空気調和装置1では、暖房運転時においては、上述の変形例7と同様の作用効果が得られるとともに、熱源側熱交換器4とともに、中間熱交換器7を利用側熱交換器7において放熱した冷媒の蒸発器として機能させるようにして、暖房運転時にも有効利用し、これにより、暖房運転時における冷媒の蒸発能力を高めて、利用側熱交換器6における加熱能力が低くなるのを抑えて、暖房運転時の運転効率が低下しないようにすることができる。
<油回収運転>
本変形例の空気調和装置1においては、中間熱交換器7の一端と圧縮機構2の吸入側とを接続させるための第3吸入戻し管92、及び、利用側熱交換器6と熱源側熱交換器4との間と中間熱交換器7の他端とを接続させるための中間熱交換器戻し管94が設けられている点が上述の変形例7とは異なるが、通常運転としての冷房運転にのみ、エコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクション、及び、過冷却熱交換器96によって利用側膨張機構5cに送られる冷媒を過冷却状態まで冷却する操作を行う点については、上述の変形例7と同じであり、したがって、本変形例の油回収運転も、上述の変形例7と基本的に同じである。
このため、本変形例の空気調和装置1においても、上述の変形例7と同様に、冷却器油回収運転としてのエコノマイザ熱交油回収運転を行うことによって、冷却器としてのエコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の流路Y(図2、図3参照)への冷凍機油の溜まり込みによる圧縮機構2における油切れを生じにくくすることができるとともに、冷却器油回収運転としての過冷却熱交油回収運転を行うことによって、冷却器としての過冷却熱交換器96の第2吸入戻し管95側の流路Yへの冷凍機油の溜まり込みによる圧縮機構2における油切れを生じにくくすることができる。
(11)変形例9
上述の実施形態及びその変形例では、1台の一軸二段圧縮構造の圧縮機21によって、2つの圧縮要素2c、2dのうちの前段側の圧縮要素から吐出された冷媒を後段側の圧縮要素で順次圧縮する二段圧縮式の圧縮機構2が構成されているが、三段圧縮式等のような二段圧縮式よりも多段の圧縮機構を採用してもよいし、また、単一の圧縮要素が組み込まれた圧縮機及び/又は複数の圧縮要素が組み込まれた圧縮機を複数台直列に接続することで多段の圧縮機構を構成してもよい。また、利用側熱交換器6が多数接続される場合等のように、圧縮機構の能力を大きくする必要がある場合には、多段圧縮式の圧縮機構を2系統以上並列に接続した並列多段圧縮式の圧縮機構を採用してもよい。
例えば、図25に示されるように、上述の変形例8における冷媒回路510(図22参照)において、二段圧縮式の圧縮機構2に代えて、二段圧縮式の圧縮機構103、104を並列に接続した圧縮機構102を採用した冷媒回路610にしてもよい。
ここで、第1圧縮機構103は、本変形例において、2つの圧縮要素103c、103dで冷媒を二段圧縮する圧縮機29から構成されており、圧縮機構102の吸入母管102aから分岐された第1吸入枝管103a、及び、圧縮機構102の吐出母管102bに合流する第1吐出枝管103bに接続されている。第2圧縮機構104は、本変形例において、2つの圧縮要素104c、104dで冷媒を二段圧縮する圧縮機30から構成されており、圧縮機構102の吸入母管102aから分岐された第2吸入枝管104a、及び、圧縮機構102の吐出母管102bに合流する第2吐出枝管104bに接続されている。尚、圧縮機29、30は、上述の実施形態及びその変形例における圧縮機21と同様の構成であるため、圧縮要素103c、103d、104c、104dを除く各部を示す符号をそれぞれ29番台や30番台に置き換えることとし、ここでは、説明を省略する。そして、圧縮機29は、第1吸入枝管103aから冷媒を吸入し、この吸入された冷媒を圧縮要素103cによって圧縮した後に中間冷媒管8を構成する第1入口側中間枝管81に吐出し、第1入口側中間枝管81に吐出された冷媒を中間冷媒管8を構成する中間母管82及び第1出口側中間枝管83を通じて圧縮要素103dに吸入させて冷媒をさらに圧縮した後に第1吐出枝管103bに吐出するように構成されている。圧縮機30は、第2吸入枝管104aから冷媒を吸入し、この吸入された冷媒を圧縮要素104cによって圧縮した後に中間冷媒管8を構成する第2入口側中間枝管84に吐出し、第2入口側中間枝管84に吐出された冷媒を中間冷媒管8を構成する中間母管82及び第2出口側中間枝管85を通じて圧縮要素104dに吸入させて冷媒をさらに圧縮した後に第2吐出枝管104bに吐出するように構成されている。中間冷媒管8は、本変形例において、圧縮要素103d、104dの前段側に接続された圧縮要素103c、104cから吐出された冷媒を、圧縮要素103c、104cの後段側に接続された圧縮要素103d、104dに吸入させるための冷媒管であり、主として、第1圧縮機構103の前段側の圧縮要素103cの吐出側に接続される第1入口側中間枝管81と、第2圧縮機構104の前段側の圧縮要素104cの吐出側に接続される第2入口側中間枝管84と、両入口側中間枝管81、84が合流する中間母管82と、中間母管82から分岐されて第1圧縮機構103の後段側の圧縮要素103dの吸入側に接続される第1出口側中間枝管83と、中間母管82から分岐されて第2圧縮機構104の後段側の圧縮要素104dの吸入側に接続される第2出口側中間枝管85とを有している。また、吐出母管102bは、圧縮機構102から吐出された冷媒を切換機構3に送るための冷媒管であり、吐出母管102bに接続される第1吐出枝管103bには、第1油分離機構141と第1逆止機構142とが設けられており、吐出母管102bに接続される第2吐出枝管104bには、第2油分離機構143と第2逆止機構144とが設けられている。第1油分離機構141は、第1圧縮機構103から吐出される冷媒に同伴する冷凍機油を冷媒から分離して圧縮機構102の吸入側へ戻す機構であり、主として、第1圧縮機構103から吐出される冷媒に同伴する冷凍機油を冷媒から分離する第1油分離器141aと、第1油分離器141aに接続されており冷媒から分離された冷凍機油を圧縮機構102の吸入側に戻す第1油戻し管141bとを有している。第2油分離機構143は、第2圧縮機構104から吐出される冷媒に同伴する冷凍機油を冷媒から分離して圧縮機構102の吸入側へ戻す機構であり、主として、第2圧縮機構104から吐出される冷媒に同伴する冷凍機油を冷媒から分離する第2油分離器143aと、第2油分離器143aに接続されており冷媒から分離された冷凍機油を圧縮機構102の吸入側に戻す第2油戻し管143bとを有している。本変形例において、第1油戻し管141bは、第2吸入枝管104aに接続されており、第2油戻し管143cは、第1吸入枝管103aに接続されている。このため、第1圧縮機構103内に溜まった冷凍機油の量と第2圧縮機構104内に溜まった冷凍機油の量との間に偏りに起因して第1圧縮機構103から吐出される冷媒に同伴する冷凍機油の量と第2圧縮機構104から吐出される冷媒に同伴する冷凍機油の量との間に偏りが生じた場合であっても、圧縮機構103、104のうち冷凍機油の量が少ない方に冷凍機油が多く戻ることになり、第1圧縮機構103内に溜まった冷凍機油の量と第2圧縮機構104内に溜まった冷凍機油の量との間の偏りが解消されるようになっている。また、本変形例において、第1吸入枝管103aは、第2油戻し管143bとの合流部から吸入母管102aとの合流部までの間の部分が、吸入母管102aとの合流部に向かって下り勾配になるように構成されており、第2吸入枝管104aは、第1油戻し管141bとの合流部から吸入母管102aとの合流部までの間の部分が、吸入母管102aとの合流部に向かって下り勾配になるように構成されている。このため、圧縮機構103、104のいずれか一方が停止中であっても、運転中の圧縮機構に対応する油戻し管から停止中の圧縮機構に対応する吸入枝管に戻される冷凍機油は、吸入母管102aに戻ることになり、運転中の圧縮機構の油切れが生じにくくなっている。油戻し管141b、143bには、油戻し管141b、143bを流れる冷凍機油を減圧する減圧機構141c、143cが設けられている。逆止機構142、144は、圧縮機構103、104の吐出側から切換機構3への冷媒の流れを許容し、かつ、切換機構3から圧縮機構103、104の吐出側への冷媒の流れを遮断するための機構である。
このように、圧縮機構102は、本変形例において、2つの圧縮要素103c、103dを有するとともにこれらの圧縮要素103c、103dのうちの前段側の圧縮要素から吐出された冷媒を後段側の圧縮要素で順次圧縮するように構成された第1圧縮機構103と、2つの圧縮要素104c、104dを有するとともにこれらの圧縮要素104c、104dのうちの前段側の圧縮要素から吐出された冷媒を後段側の圧縮要素で順次圧縮するように構成された第2圧縮機構104とを並列に接続した構成となっている。
また、中間熱交換器7は、本変形例において、中間冷媒管8を構成する中間母管82に設けられており、冷房運転時には、第1圧縮機構103の前段側の圧縮要素103cから吐出された冷媒と第2圧縮機構104の前段側の圧縮要素104cから吐出された冷媒とが合流したものを冷却する熱交換器である。すなわち、中間熱交換器7は、冷房運転時には、2つの圧縮機構103、104に共通の冷却器として機能するものとなっている。このため、多段圧縮式の圧縮機構103、104を複数系統並列に接続した並列多段圧縮式の圧縮機構102に対して中間熱交換器7を設ける際の圧縮機構102周りの回路構成の簡素化が図られている。
また、中間冷媒管8を構成する第1入口側中間枝管81には、第1圧縮機構103の前段側の圧縮要素103cの吐出側から中間母管82側への冷媒の流れを許容し、かつ、中間母管82側から前段側の圧縮要素103cの吐出側への冷媒の流れを遮断するための逆止機構81aが設けられており、中間冷媒管8を構成する第2入口側中間枝管84には、第2圧縮機構103の前段側の圧縮要素104cの吐出側から中間母管82側への冷媒の流れを許容し、かつ、中間母管82側から前段側の圧縮要素104cの吐出側への冷媒の流れを遮断するための逆止機構84aが設けられている。本変形例においては、逆止機構81a、84aとして逆止弁が使用されている。このため、圧縮機構103、104のいずれか一方が停止中であっても、運転中の圧縮機構の前段側の圧縮要素から吐出された冷媒が中間冷媒管8を通じて、停止中の圧縮機構の前段側の圧縮要素の吐出側に達するということが生じないため、運転中の圧縮機構の前段側の圧縮要素から吐出された冷媒が、停止中の圧縮機構の前段側の圧縮要素内を通じて圧縮機構102の吸入側に抜けて停止中の圧縮機構の冷凍機油が流出するということが生じなくなり、これにより、停止中の圧縮機構を起動する際の冷凍機油の不足が生じにくくなっている。尚、圧縮機構103、104間に運転の優先順位を設けている場合(例えば、第1圧縮機構103を優先的に運転する圧縮機構とする場合)には、上述の停止中の圧縮機構に該当することがあるのは、第2圧縮機構104に限られることになるため、この場合には、第2圧縮機構104に対応する逆止機構84aだけを設けるようにしてもよい。
また、上述のように、第1圧縮機構103を優先的に運転する圧縮機構とする場合においては、中間冷媒管8が圧縮機構103、104に共通に設けられているため、運転中の第1圧縮機構103に対応する前段側の圧縮要素103cから吐出された冷媒が中間冷媒管8の第2出口側中間枝管85を通じて、停止中の第2圧縮機構104の後段側の圧縮要素104dの吸入側に達し、これにより、運転中の第1圧縮機構103の前段側の圧縮要素103cから吐出された冷媒が、停止中の第2圧縮機構104の後段側の圧縮要素104d内を通じて圧縮機構102の吐出側に抜けて停止中の第2圧縮機構104の冷凍機油が流出して、停止中の第2圧縮機構104を起動する際の冷凍機油の不足が生じるおそれがある。そこで、本変形例では、第2出口側中間枝管85に開閉弁85aを設け、第2圧縮機構104が停止中の場合には、この開閉弁85aによって第2出口側中間枝管85内の冷媒の流れを遮断するようにしている。これにより、運転中の第1圧縮機構103の前段側の圧縮要素103cから吐出された冷媒が中間冷媒管8の第2出口側中間枝管85を通じて、停止中の第2圧縮機構104の後段側の圧縮要素104dの吸入側に達することがなくなるため、運転中の第1圧縮機構103の前段側の圧縮要素103cから吐出された冷媒が、停止中の第2圧縮機構104の後段側の圧縮要素104d内を通じて圧縮機構102の吐出側に抜けて停止中の第2圧縮機構104の冷凍機油が流出するということが生じなくなり、これにより、停止中の第2圧縮機構104を起動する際の冷凍機油の不足がさらに生じにくくなっている。尚、本変形例においては、開閉弁85aとして電磁弁が使用されている。
また、第1圧縮機構103を優先的に運転する圧縮機構とする場合においては、第1圧縮機構103の起動に続いて第2圧縮機構104を起動することになるが、この際、中間冷媒管8が圧縮機構103、104に共通に設けられているため、第2圧縮機構104の前段側の圧縮要素103cの吐出側の圧力及び後段側の圧縮要素103dの吸入側の圧力が、前段側の圧縮要素103cの吸入側の圧力及び後段側の圧縮要素103dの吐出側の圧力よりも高くなった状態から起動することになり、安定的に第2圧縮機構104を起動することが難しい。そこで、本変形例では、第2圧縮機構104の前段側の圧縮要素104cの吐出側と後段側の圧縮要素104dの吸入側とを接続する起動バイパス管86を設けるとともに、この起動バイパス管86に開閉弁86aを設け、第2圧縮機構104が停止中の場合には、この開閉弁86aによって起動バイパス管86内の冷媒の流れを遮断し、かつ、開閉弁85aによって第2出口側中間枝管85内の冷媒の流れを遮断するようにし、第2圧縮機構104を起動する際に、開閉弁86aによって起動バイパス管86内に冷媒を流すことができる状態にすることで、第2圧縮機構104の前段側の圧縮要素104cから吐出される冷媒を第1圧縮機構103の前段側の圧縮要素104cから吐出される冷媒に合流させることなく、起動バイパス管86を通じて後段側の圧縮要素104dに吸入させるようにして、圧縮機構102の運転状態が安定した時点(例えば、圧縮機構102の吸入圧力、吐出圧力及び中間圧力が安定した時点)で、開閉弁85aによって第2出口側中間枝管85内に冷媒を流すことができる状態にし、かつ、開閉弁86aによって起動バイパス管86内の冷媒の流れを遮断して、通常の冷房運転に移行することができるようになっている。尚、本変形例において、起動バイパス管86は、その一端が第2出口側中間枝管85の開閉弁85aと第2圧縮機構104の後段側の圧縮要素104dの吸入側との間に接続され、その他端が第2圧縮機構104の前段側の圧縮要素104cの吐出側と第2入口側中間枝管84の逆止機構84aとの間に接続されており、第2圧縮機構104を起動する際に、第1圧縮機構103の中間圧部分の影響を受けにくい状態にできるようになっている。また、本変形例においては、開閉弁86aとして電磁弁が使用されている。
また、本変形例の空気調和装置1の通常運転としての冷暖房運転や油回収運転の動作は、圧縮機構2に代えて設けられた圧縮機構102によって、圧縮機構102周りの回路構成がやや複雑化したことによる変更点を除いては、上述の変形例8における動作(図22〜図24、図20、図21及びその関連記載)と基本的に同じであるため、ここでは、説明を省略する。
そして、本変形例の構成においても、上述の変形例8と同様の作用効果を得ることができる。
(12)他の実施形態
以上、本発明の実施形態及びその変形例について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態及びその変形例に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上述の実施形態及びその変形例においては、エコノマイザ熱交換器20の冷却源となる冷媒が流れる第1後段側インジェクション管19が、エコノマイザ熱交換器20の上流側の位置から分岐されているが、エコノマイザ熱交換器20の下流側の位置から分岐するようにしてもよい。また、上述の実施形態及びその変形例においては、過冷却熱交換器96の冷却源となる冷媒が流れる第2吸入戻し管95が、過冷却熱交換器96の上流側の位置から分岐されているが、過冷却熱交換器96の下流側の位置から分岐するようにしてもよい。
また、上述の変形例6〜9では、二段圧縮式の圧縮機構2、102を使用するとともに、戻し管及び冷却器としての第1後段側インジェクション管19及びエコノマイザ熱交換器20を設けて、エコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションを行うことができるようにするとともに、戻し管及び冷却器としての第2吸入戻し管95及び過冷却熱交換器96を設けて、過冷却熱交換器96によって利用側膨張機構5cに送られる冷媒を過冷却状態まで冷却するようにしているが、一段圧縮式の圧縮機構を使用する場合には、戻し管及び冷却器としての第1後段側インジェクション管19及びエコノマイザ熱交換器20を削除した構成にしてもよい。この場合には、冷却器油回収運転として過冷却熱交油回収運転のみが行われることになる。
また、上述の実施形態及びその変形例において、利用側熱交換器6を流れる冷媒と熱交換を行う加熱源又は冷却源としての水やブラインを使用するとともに、利用側熱交換器6において熱交換された水やブラインと室内空気とを熱交換させる二次熱交換器を設けた、いわゆる、チラー型の空気調和装置に本発明を適用してもよい。
また、上述のチラータイプの空気調和装置の他の型式の冷凍装置であっても、超臨界域で作動する冷媒を冷媒として使用して多段圧縮式冷凍サイクルを行うものであれば、本発明を適用可能である。
また、超臨界域で作動する冷媒としては、二酸化炭素に限定されず、エチレン、エタンや酸化窒素等を使用してもよい。
また、冷媒と非相溶の冷凍機油の組み合わせは、二酸化炭素とPAGに限定されるものではない。
本発明を利用すれば、放熱器から蒸発器に送られる冷媒を分岐して圧縮機構に戻す戻し管と、放熱器から蒸発器に送られる冷媒と戻し管を流れる冷媒との熱交換を行う冷却器とを備えた冷凍装置において、冷却器の戻し管側の流路への冷凍機油の溜まり込みによる圧縮機構の油切れを生じにくくすることができる。
本発明にかかる冷凍装置の一実施形態としての空気調和装置の概略構成図である。 配管熱交換器によって構成されたエコノマイザ熱交換器を示す部分断面図である。 二重管熱交換器によって構成されたエコノマイザ熱交換器を示す断面図である。 通常運転としての冷房運転時の冷凍サイクルが図示された圧力−エンタルピ線図である。 通常運転としての冷房運転時の冷凍サイクルが図示された温度−エントロピ線図である。 油回収運転のフローチャートである。 主冷媒回路油回収運転における空気調和装置内の冷媒の流れを示す図である。 エコノマイザ熱交油回収運転における空気調和装置内の冷媒の流れを示す図である。 変形例1にかかる油回収運転のフローチャートである。 変形例4にかかる空気調和装置の概略構成図である。 変形例4における通常運転としての冷房運転時の冷凍サイクルが図示された圧力−エンタルピ線図である。 変形例4における通常運転としての冷房運転時の冷凍サイクルが図示された温度−エントロピ線図である。 変形例5にかかる空気調和装置の概略構成図である。 変形例5における通常運転としての暖房運転時の冷凍サイクルが図示された圧力−エンタルピ線図である。 変形例5における通常運転としての暖房運転時の冷凍サイクルが図示された温度−エントロピ線図である。 変形例6にかかる空気調和装置の概略構成図である。 変形例6における通常運転としての冷房運転時の冷凍サイクルが図示された圧力−エンタルピ線図である。 変形例6における通常運転としての冷房運転時の冷凍サイクルが図示された温度−エントロピ線図である。 変形例7にかかる空気調和装置の概略構成図である。 変形例7における通常運転としての冷房運転時の冷凍サイクルが図示された圧力−エンタルピ線図である。 変形例7における通常運転としての冷房運転時の冷凍サイクルが図示された温度−エントロピ線図である。 変形例8にかかる空気調和装置の概略構成図である。 変形例8における通常運転としての暖房運転時の冷凍サイクルが図示された圧力−エンタルピ線図である。 変形例8における通常運転としての暖房運転時の冷凍サイクルが図示された温度−エントロピ線図である。 変形例9にかかる空気調和装置の概略構成図である。
符号の説明
1 空気調和装置(冷凍装置)
2、102 圧縮機構
4 熱源側熱交換器(放熱器、蒸発器)
6 利用側熱交換器(蒸発器、放熱器)
19 第1後段側インジェクション管(戻し管)
19a 第1後段側インジェクション弁(戻し弁)
20 エコノマイザ熱交換器(冷却器)
95 第2吸入戻し管(戻し管)
95a 第2吸入戻し弁(戻し弁)
96 過冷却熱交換器(冷却器)

Claims (9)

  1. 冷媒を圧縮する圧縮機構(2、102)と、
    前記圧縮機構によって圧縮された冷媒を放熱させる放熱器(4、6)と、
    前記放熱器によって放熱された冷媒を蒸発させる蒸発器(6、4)と、
    前記放熱器から前記蒸発器に送られる冷媒を分岐して前記圧縮機構に戻す戻し管(19、95)と、
    前記放熱器から前記蒸発器に送られる冷媒と前記戻し管を流れる冷媒との熱交換を行う冷却器(20、96)とを備え、
    前記冷却器の前記戻し管側の流路に溜まる冷凍機油を前記戻し管を通じて前記圧縮機構に回収する冷却器油回収運転を行う、
    冷凍装置(1)。
  2. 前記戻し管(19、95)には、開度制御が可能な戻し弁(19a、95a)が設けられており、
    前記戻し弁は、前記冷却器油回収運転の際に、全開状態にされる、
    請求項1に記載の冷凍装置(1)。
  3. 前記戻し管(19、95)には、開度制御が可能な戻し弁(19a、95a)が設けられており、
    前記戻し弁は、前記冷却器油回収運転の際に、前記冷却器(20、96)の前記戻し管側の流路を流れる冷媒のフルード数が1以上になる開度に設定される、
    請求項1に記載の冷凍装置(1)。
  4. 前記圧縮機構(2、102)は、運転容量を可変することが可能であり、前記冷却器油回収運転の際に、前記冷却器(20、96)の前記戻し管(19、95)側の流路を流れる冷媒のフルード数が1以上になるように運転容量が設定される、請求項1に記載の冷凍装置(1)。
  5. 前記冷凍機油は、冷媒に非相溶である、請求項1〜4のいずれかに記載の冷凍装置(1)。
  6. 前記冷却器油回収運転は、冷媒が前記圧縮機構(2、102)、前記放熱器(4、6)、前記冷却器(20、96)、前記蒸発器(6、4)の順に循環する主冷媒回路に溜まる冷凍機油を前記圧縮機構に回収する主冷媒回路油回収運転を含む油回収運転の一部として行われる、請求項1〜5のいずれかに記載の冷凍装置(1)。
  7. 前記油回収運転において、前記主冷媒回路油回収運転は、前記冷却器油回収運転よりも前に開始される、請求項6に記載の冷凍装置(1)。
  8. 前記圧縮機構(2、102)は、複数の圧縮要素を有しており、前記複数の圧縮要素のうちの前段側の圧縮要素から吐出された冷媒を後段側の圧縮要素で順次圧縮するように構成されており、
    前記戻し管は、前記放熱器(4、6)から前記蒸発器(6、4)に送られる冷媒を分岐して前記後段側の圧縮要素に戻す後段側インジェクション管(19)であり、
    前記冷却器は、前記放熱器から前記蒸発器に送られる冷媒と前記後段側インジェクション管を流れる冷媒との熱交換を行うエコノマイザ熱交換器(20)であり、
    前記冷却器油回収運転は、前記エコノマイザ熱交換器の前記後段側インジェクション管側の流路に溜まる冷凍機油を前記後段側インジェクション管を通じて前記圧縮機構に回収するエコノマイザ熱交油回収運転である、
    請求項1〜7のいずれかに記載の冷凍装置(1)。
  9. 前記戻し管は、前記前記放熱器(4、6)から前記蒸発器(6、4)に送られる冷媒を分岐して前記圧縮機構(2、102)の吸入側に戻す吸入戻し管(95)であり、
    前記冷却器は、前記放熱器から前記蒸発器に送られる冷媒と前記吸入戻し管を流れる冷媒との熱交換を行う過冷却熱交換器(96)であり、
    前記冷却器油回収運転は、前記過冷却熱交換器の前記吸入戻し管側の流路に溜まる冷凍機油を前記吸入戻し管を通じて前記圧縮機構に回収する過冷却熱交油回収運転である、
    請求項1〜7のいずれかに記載の冷凍装置(1)。
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