JP2009228571A - エンジンの点火時期制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】このため、エンジン運転状態に応じて基本点火時期を設定する基本点火時期設定手段を備え、サージタンクあるいはサージタンクよりも上流側の吸気通路に吸入空気温度を検出する吸入空気温度検出手段を設け、エンジンルーム内の雰囲気温度を算出する雰囲気温度算出手段を備え、雰囲気温度算出手段からの雰囲気温度に基づいて、吸入空気温度検出手段からの吸入空気温度を補正する吸入空気温度補正値算出手段を備え、吸入空気温度補正値算出手段からの吸入空気温度補正値に基づいて、基本点火時期設定手段により設定された基本点火時期を補正する点火時期補正手段を備えている。
【選択図】図1
Description
吸気温センサは、サージタンク位置に装備されており、サージタンク位置での吸入空気温度を参照し、点火時期の補正を行っている。
つまり、前記サージタンク位置からインテークマニホルド内を通過する間に周囲の温度(「エンジンルーム温度」や「雰囲気温度」と換言できる。)の影響を受け、高温になり易いためである。
特に、低回転域では、ガス流速が低いので受熱期間が長くなり、その傾向が顕著である。
また、高回転域では、サージタンク位置の吸入空気温度と燃焼室に入る直前の吸入空気温度が略同等であるが、低回転では、サージタンク位置の吸入空気温度よりも燃焼室に入る直前の吸入空気温度が大となるため、一次元のテーブルでの補正ではどちら付かずの補正となってしまうという不都合がある。
そして、ノッキング発生と関係しているのは燃焼室に入る直前の吸入空気温度であり、この燃焼室に入る直前の吸入空気温度による補正を行うことが重要である。
点火時期ADVは、以下の式によって算出される。
点火時期ADV=BASE+・・・・+吸気温補正
BASE:基本点火時期
・・・・:従来から公知の様々な補正パラメータ
このとき、一般的な点火時期補正を行う場合には、以下の表1に開示される「吸入空気温度」と「補正量」との関係に基づいて行われている。
流速の遅い低回転域ほどインテークマニホルドのブランチ内を通過する時間が長いため、影響は大である。
例えば、エンジンルーム内が90度の高温時に、吸入空気の温度は、1000rpmの場合に、サージタンク位置では「40度」であり、燃焼室に入る直前の位置(図3のB点参照。)では「60度」である。
また、4000rpmの場合の吸入空気の温度は、サージタンク位置では「40度」であり、燃焼室に入る直前の位置では「42度」である。
つまり、1000rpmにおいては、上記の表1を参照すれば、本来「60度」の「−2」が要求する補正量であるのに対して、センサ値「40度」の「−1」が点火時期に反映されてしまうため、ノッキングが発生してしまう。
このノッキングの発生を回避するためには、吸入空気温度補正値を更に遅角(「リタード」ともいう。)する方策か、点火時期のベースマップ1000rpm領域を遅角(「リタード」ともいう。)する方策が考えられる。
しかし、前者の吸入空気温度補正値を更に遅角(「リタード」ともいう。)する場合には、高回転域でパワーダウンを招くという不都合があり、後者の点火時期のベースマップ1000rpm領域を遅角(「リタード」ともいう。)する場合には、エンジンルームが高温でない通常エンジンルーム温度「50度」でも作用してしまうため、パワーダウンを招くという不都合がある。
つまり、低回転域では吸気温センサの検出する吸入空気温度をそのまま参照できないため、さらなる補正が必要となるという不都合がある。
従って、エンジンの点火時期を正確に制御するのに必要な燃焼室に入る直前の吸入空気温度を、直接該当する位置(燃焼室に吸入空気が入る直前で測定できそうな箇所)にセンサを追加して設けることなく、エンジンの雰囲気温度から算出できるので、センサの数の増加を防止することが可能である。
また、エンジンの雰囲気温度を用いた燃焼室に入る直前の吸入空気温度を算出し、算出した値を用いて点火時期を補正しているため、精度の高い点火時期制御を実現することが可能である。これにより、燃料消費量を少なくし、かつ出力性能を高めることが可能である。
図2及び図3において、1は点火時期制御装置、2はエンジンである。
このエンジン2は、図3に示す如く、吸気系と排気系とを備えている。
つまり、吸気系において、前記エンジン2に、上流側からサージタンク3とインテークマニホルド(「吸気マニホルド」ともいう。)4とが順次接続される。
また、排気系においては、前記エンジン2に、エキゾーストマニホルド(「排気マニホルド」ともいう。)5が接続されている。
そして、前記エンジン2の燃焼室6には、前記インテークマニホルド4内に形成される吸気通路7が連通される一方、前記エキゾーストマニホルド5内に形成される排気通路8も連通される。
ノッキングの有無を考える場合には、前記エンジン2の燃焼室6に吸入される吸入空気の吸入空気温度が重要であり、センサ値にエンジンルーム内温度である雰囲気温度分を考慮し補正する必要がある。
例えば、渋滞や登坂などのエンジンルーム高温時を考えると、因子としては以下のものが考えられる。
(イ)走行風が十分に得られないとき−−−車速参照
(ロ)エンジンルーム高温時の時間(熱こもりの時間)が長いとき−−−時間参照
(ハ)エンジンからの発熱量がある程度高いとき−−−インジェクタ駆動時間参照
なお、低速走行などで熱がこもり易くなる状況をエンジンルーム高温モードとする。
そして、エンジンルーム高温モードと通常モードとに切り換えて吸入空気温度の補正を行う。
特に、低回転程、エンジンルーム温度の受熱補正を行う。
ただし、外気温度が低い場合には、エンジンルームは高温とはなり難いので、エンジンルーム高温モードにしない。
以下の3つの条件が全て成立している状態が、積算で常時判定サンプル区間(例えば、10秒間)内にしきい値P(例えば、50%)以上となった時に、エンジンルーム高温モード時と判定する。
(1)外気温度センサ値>10度
(2)ある車速V(例えば、40km/h)以下
(3)ある発熱量の指数とし一定負荷インジェクタ噴射時間T(例えば、2ms)以上
このような場合には、水温センサ値と吸気温センサ値より外気温度を推定しても良い。
例えば、「始動時水温Ts(例えば、40度)以下」かつ「|始動時吸入空気温度−始動時水温|<5度」の時では、エンジン停止時間が長いと考え、その時の吸気温センサ値Tair1を推定外気温とみなしても良い。
つまり、外気温センサが装備されていない場合のエンジンルーム高温モードの判定条件としては、以下の3つの条件が全て成立している状態が、積算で常時判定サンプル区間(例えば、10秒間)内にしきい値P(例えば、50%)以上となった時に、エンジンルーム高温モード時と判定する。
(1a)推定外気温Tair1>10度
(2a)ある車速V(例えば、40km/h)以下
(3a)ある発熱量の指数とし一定負荷インジェクタ噴射時間T(例えば、2ms)以上
頻度判定の演算におけるエンジンルーム高温モードの判定条件は、以下の3つの条件が全て成立している状態が、積算で常時判定サンプル区間(例えば、10秒間)内にしきい値P(例えば、50%)以上となった時に、エンジンルーム高温モード時と判定する。
(1b)仮想推定外気温Tair1>10度−−−仮想外気温が低くない。
(2b)ある車速V(例えば、40km/h)以下
(3b)ある発熱量の指数とし一定負荷インジェクタ噴射時間T(例えば、2ms)以上
このとき、上記の(1b)〜(3b)までの全ての条件が成立した時は、図3の「●(黒丸)」とする一方、非成立時には「○(白抜き丸)」とし、1秒毎に判定を実施してあるサンプル期間(例えば、10秒間)中でその割合から頻度を常時算出するものにおいて、1秒毎に図3に示すような結果であった場合には、頻度は図3中に記載したパーセント値のように変化するものとする。
詳述すれば、前記吸入空気温度検出手段10は、前記サージタンク3に取り付けられる吸気温センサからなる。
そして、前記エンジン2の点火時期制御装置1において、吸入空気温度補正値算出手段12は、図2に示す如く、前記吸入空気温度検出手段10により検出された吸入空気温度の検出信号を入力する一方、前記雰囲気温度算出手段11により算出された雰囲気温度の算出信号をも入力し、この雰囲気温度算出手段11により算出された雰囲気温度に基づいて、前記吸入空気温度検出手段10により検出された吸入空気温度を補正する。
また、前記点火時期補正手段13は、前記吸入空気温度補正値算出手段12により算出された吸入空気温度補正値を入力し、この吸入空気温度補正値に基づいて、前記基本点火時期設定手段9により設定された基本点火時期を補正するものである。
追記すれば、前記点火時期制御装置1による制御においては、以下の式によって点火時期ADVを算出している。
点火時期ADV=BASE+・・・・+新吸気温補正
BASE:基本点火時期
・・・・:従来から公知の様々な補正パラメータ
なお、用語の使用において、相違点の理解を容易とするために、従来では「吸気温補正」として説明し、この発明の実施例では「新吸気温補正」として、つまり「新」の文字を追加して説明している。
ノッキングは前記燃焼室6に入る吸入空気温度により変化するため、吸入空気温度参照値自体を「吸気温センサ値+エンジンルーム高温補正」とし、前記燃焼室6直前の吸入空気温度に見立てた新吸気温補正を行う。
つまり、点火時期補正(「新吸気温補正」とも換言できる。)を行う場合には、以下の表2に開示されるパラメータである「吸気温センサ値+エンジンルーム高温補正」と「補正量」との関係に基づいて行われる。
詳述すれば、前記点火時期制御装置1による制御の際には、エンジンルーム高温補正が実施されるためである。
すなわち、エンジンルーム高温モードである場合、言い換えれば、前記雰囲気温度算出手段11により算出された雰囲気温度が設定値より高い場合に、エンジンルーム高温補正を勘案して点火時期の遅角制御を行っているため、前記雰囲気温度算出手段11により算出された雰囲気温度が設定値より低い場合と比較すると、点火時期がより遅角側に制御されるものである。
一般に、前記燃焼室6直前の吸入空気温度は、低回転域ほど高温になり易い。
従って、以下の表3に開示するように、エンジンルーム高温補正の際のパラメータを「エンジン回転数Ne(rpm)」と「補正量」との関係とし、エンジン回転数Ne(rpm)が上昇するに連れて補正量が減少するように設定する。
つまり、前記雰囲気温度算出手段11により算出された雰囲気温度と設定値とを比較するエンジンルーム高温モード時の判定において、頻度が50%以上の場合に、以下の3つの判定条件を使用しているためである。
(1)外気温度>10度
(2)車速V<40km/h
(3)インジェクタ噴射時間T(2ms)以上
なお、前記雰囲気温度算出手段11により算出された雰囲気温度と設定値とを比較し、エンジンルーム高温モードであるか否かの判定(102)は、頻度が50%以上の場合に、以下の3つの判定条件を全て満足しているか否かの判断を行うものである。
(1)外気温度>10度
(2)車速V<40km/h
(3)インジェクタ噴射時間T(2ms)以上
そして、この判定(102)がNOの場合には、判定(102)がYESとなるまで繰り返し判定(102)の行う。
また、判定(102)がYESの場合には、吸気温度補正実施の処理(103)に移行する。
そして、吸気温度補正実施の処理(103)の後には、前記エンジン2の点火時期制御装置1の制御用プログラムのエンド(104)に移行する。
従って、エンジン2の点火時期を正確に制御するのに必要な燃焼室に入る直前の吸入空気温度を、直接該当する位置(燃焼室に吸入空気が入る直前で測定できそうな箇所)にセンサを追加して設けることなく、エンジン2の雰囲気温度から算出できるので、センサの数の増加を防止することが可能である。
また、エンジン2の雰囲気温度を用いた燃焼室6に入る直前の吸入空気温度を算出し、算出した値を用いて点火時期を補正しているため、精度の高い点火時期制御を実現することが可能である。これにより、燃料消費量を少なくし、かつ出力性能を高めることが可能である。
従って、エンジンルームが高温状態である場合には、吸入空気温度が検出した値に基づいた点火時期よりも遅角させているため、ノッキングの起こり難いエンジン制御を実現することが可能である。
従って、特別に専用のセンサを新たに追加することなく、既存のデータを用いてエンジンルームの雰囲気温度を算出することができる。
この第2実施例において、上述第1実施例のものと同一機能を果たす箇所には、同一符号を付して説明する。
このとき、前記エンジンにおいては、インテークマニホルド23のブランチの長さをロングポートとショートポートとに切り換えて変化させる前記可変吸気機構22を備えている。
つまり、前記可変吸気機構22としては、図6(a)及び図6(b)に示す如く、前記インテークマニホルド23内の吸気通路25のロングポートをU字状に形成した際に、このロングポートの途中部位を連通する切換通路26を形成し、この切換通路26の途中には切換通路26の開閉を行うインテークコントロールバルブ(「ICV」ともいう。)27を設けるものである。
さすれば、前記インテークコントロールバルブ(「ICV」ともいう。)27を閉鎖してロングポートを使用する場合には、図6(a)に示す如く、吸入空気の通過する時間が長くなり、エンジンルームから受熱され易くなる。
一方、前記インテークコントロールバルブ(「ICV」ともいう。)27を開放してショートポートを使用する場合には、図6(b)に示す如く、吸入空気の大半が前記切換通路26を通過するため、吸入空気の通過する時間が短くなり、エンジンルームから受熱され難くなる。
つまり、吸入空気温度参照値自体を以下の表4に開示される「吸気温センサ値+エンジンルーム高温補正×ブランチ長補正」とし、燃料室直前の吸入空気温度に見立てる。
また、「ブランチ長補正」の際には、以下の表5に開示されるようにロングポートの場合に「補正量」を「1.0」とする一方、ショートポーの場合には「補正量」を「0.5」とする。
従って、エンジンの運転状態に応じてインタークマニホルド23のブランチの長さが変化する可変吸気機構22を備えたエンジンにおいても、精度の高い点火時期制御を実現することが可能である。
2 エンジン
3 サージタンク
4 インテークマニホルド(「吸気マニホルド」ともいう。)
5 エキゾーストマニホルド(「排気マニホルド」ともいう。)
6 燃焼室
7 吸気通路
8 排気通路
9 基本点火時期設定手段
10 吸入空気温度検出手段
11 雰囲気温度算出手段
12 吸入空気温度補正値算出手段
13 点火時期補正手段
Claims (4)
- エンジンの運転状態に応じて基本点火時期を設定する基本点火時期設定手段を備え、サージタンク、あるいはサージタンクよりも上流側の吸気通路の任意の位置に吸入空気温度を検出する吸入空気温度検出手段を設け、エンジンルーム内の雰囲気温度を算出する雰囲気温度算出手段を備え、この雰囲気温度算出手段により算出された雰囲気温度に基づいて、前記吸入空気温度検出手段により検出された吸入空気温度を補正する吸入空気温度補正値算出手段を備え、この吸入空気温度補正値算出手段により算出された吸入空気温度補正値に基づいて、前記基本点火時期設定手段により設定された基本点火時期を補正する点火時期補正手段を備えていることを特徴とするエンジンの点火時期制御装置。
- 前記雰囲気温度算出手段により算出された雰囲気温度が設定値より高い場合には、設定値より低い場合と比較して、点火時期がより遅角側に制御されることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの点火時期制御装置。
- 前記雰囲気温度算出手段は、外気温度と、車両速度と、燃料噴射弁の開弁時間とを用いて算出していることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの点火時期制御装置。
- 前記雰囲気温度算出手段により算出された雰囲気温度を、インテークマニホルドのブランチの長さに応じて補正するブランチ長補正手段を備えていることを特徴とする請求項3に記載のエンジンの点火時期制御装置。
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