JP2009150371A - エンジンの制御装置 - Google Patents
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Abstract
触媒の高性能化および触媒制御の高精度化が進み、エンジンからの排気は、始動時に排出される量が支配的であり、特に、最新の排気規制のおよび今後の排気規制に適合するためには、初爆の発生からアイドル運転開始までの始動時のごく初期における排気低減が重要な課題となってきている。
【解決手段】
エンジン始動時のクランキング時もしくは最初の燃焼からアイドル回転数に達するまでの期間において、点火時期をMBTより所定値以上リタードする手段を備えたことを特徴とするエンジンの制御装置。
【選択図】図1
Description
図11は本実施例を示すシステム図である。多気筒で構成されるエンジン9において、外部からの空気はエアクリーナ1を通過し、吸気マニホールド4,コレクタ5を経てシリンダー内に流入する。流入空気量は電子スロットル3により調節される。エアフロセンサ2では流入空気量が検出される。クランク角センサ15では、クランク軸の回転角1゜と燃焼周期毎の信号が出力される。水温センサ14はエンジンの冷却水温度を検出する。またアクセル開度センサ13は、アクセル6の踏み込み量を検出し、それによって運転者の要求トルクを検出する。アクセル開度センサ13,エアフロセンサ2,電子スロットル3に取り付けられたスロットル開度センサ17,クランク角センサ15,水温センサ14のそれぞれの信号はコントロールユニット16に送られ、これらセンサ出力からエンジンの運転状態を得て、空気量,燃料噴射量,点火時期のエンジンの主要な操作量が最適に演算される。コントロールユニット16内で演算された燃料噴射量は開弁パルス信号に変換され、燃料噴射弁7に送られる。またコントロールユニット16で演算された点火時期で点火されるよう駆動信号が点火プラグ8に送られる。噴射された燃料は吸気マニホールドからの空気と混合されエンジン9のシリンダー内に流入し混合気を形成する。吸気弁31は、可変動弁であり、開弁時期,閉弁時期がそれぞれ制御可能である。混合気は所定の点火時期で点火プラグ8から発生される火花により爆発しその燃焼圧によりピストンを押し下げエンジンの動力となる。爆発後の排気は排気マニホールド10を経て三元触媒11に送り込まれる。排気還流管18を通って排気の一部は吸気側に還流される。還流量はバルブ19によって制御される。A/Fセンサ12はエンジン9と三元触媒11の間に取り付けられており、排気中に含まれる酸素濃度に対して線形の出力特性を持つ。排気中の酸素濃度と空燃比の関係はほぼ線形になっており、したがって酸素濃度を検出するA/Fセンサ12により空燃比を求めることが可能となる。コントロールユニット16ではA/Fセンサ12の信号から三元触媒11上流の空燃比を算出し、O2センサ20の信号から、三元触媒下流のO2濃度もしくはストイキに対してリッチもしくはリーンであるかを算出する。また、両センサの出力を用いて三元触媒11の浄化効率が最適となるよう燃料噴射量もしくは空気量を逐次補正するF/B制御を行う。また、吸気温センサ29で、吸気温が、筒内圧(燃焼圧)センサ30で、筒内圧(燃焼圧)が、それぞれ検出される。
・ 基準点火時期演算部
・ リタード量演算部(図14)
「基準点火時期演算部」で基準点火時期(Adv0)を演算する。Adv0はMBT近傍とするが、その演算方式は、従来よりある一般的なものなので、ここでは詳述しない。例えば、回転速度,充填効率などから求める。「リタード量演算部」では、リタード量(Rtd)を求める。筒内圧センサ30の出力(P)から燃焼の安定度を検出し、安定限界までリタード量を徐々に増やすものである。
本演算部では、リタード量(Rtd)の演算を行う。具体的には図14に示される。
・ 筒内圧センサ30の検出値から図示平均有効圧(Pi)を演算する。
・ 充填効率(Ita_c)とエンジン回転速度(Ne)から、テーブルを参照して、安 定限界相当図示平均有効圧(Pi_us)を求める。充填効率(Ita_c)は、エ アフロセンサ2から得られ空気量(Qa)と回転速度(Ne)から求める。充填効率 の演算方式は、従来技術なので、ここでは詳述しない。
・ PiとPi_usを比較して、Pi>Pi_usのときは、燃焼圧が十分に高く、安 定限界に達していないとし、リタード量更新分(dRtd)を前回リタード補正値に 加えて、最新のリタード量(Rtd)とする。一方、Pi<Pi_usのときは、燃 焼圧が低く、安定限界に達しているとし、進角量更新分(dAdv)を前回リタード 補正値に加えて、最新のリタード量(Rtd)とする。dRtdおよびdAdvは、 Neから決める。なお、dAdvは負の値となる。また、リタード量は、2サイクル 目までは0とする。
実施例2では、筒内圧(燃焼圧)からリタードによる安定限界を検出したが、実施例2では、エンジンのクランク角度信号を用いて検出する。
・ 基準点火時期演算部
・ リタード量演算部(図16)
「基準点火時期演算部」で基準点火時期(Adv0)を演算する。Adv0はMBT近傍とするが、その演算方式は、従来よりある一般的なものなので、ここでは詳述しない。「リタード量演算部」では、リタード量(Rtd)を求める。クランク角センサ15の出力から角加速度を演算し、さらに角加速度から筒内圧(燃焼圧)を推定する。推定した筒内圧(燃焼圧)から燃焼の安定度を検出し、安定限界までリタード量を徐々に増やすものである。
本演算部では、リタード量(Rtd)の演算を行う。具体的には図16に示される。
・ クランク角センサ15の出力信号から演算される回転速度(Ne)から角加速度(d
Ne)を演算する。dNeに定数Kを乗じ、角加速度相当トルク(燃焼圧)を求め、 その後、慣性トルク分(P_I)を引き、摩擦トルク分(P_f)を足した値を、図 示平均有効圧推定値(Pi_est)を求める。P_Iは、Neからテーブルを参照 して求める。P_fは、NeとTwnからテーブルを参照して求める。
・ 充填効率(Ita_c)とエンジン回転速度(Ne)から、テーブルを参照して、安 定限界相当図示平均有効圧(Pi_us)を求める。充填効率(Ita_c)は、エ アフロセンサ2から得られ空気量(Qa)と回転速度(Ne)から求める。充填効率 の演算方式は、従来技術なので、ここでは詳述しない。
・ Pi_estとPi_usを比較して、Pi_est>Pi_usのときは、燃焼圧 が十分に高く、安定限界に達していないとし、リタード量更新分(dRtd)を前回 リタード補正値に加えて、最新のリタード量(Rtd)とする。一方、Pi<Pi_ usのときは、燃焼圧が低く、安定限界に達しているとし、進角量更新分(dAdv )を前回リタード補正値に加えて、最新のリタード量(Rtd)とする。dRtdお よびdAdvは、Neから決める。なお、dAdvは負の値となる。また、リタード 量は、2サイクル目までは0とする。
実施例1および実施例2では、2サイクル目以降からリタードを実施したが、実施例3では、燃焼室内温度に基づいて、リタードの実施を決定するものである。なお、安定限界は、実施例2と同様に、エンジンのクランク角度信号を用いて検出する。
・ 基準点火時期演算部
・ 燃焼室内温度推定演算部(図18)
・ リタード量演算部(図19)
「基準点火時期演算部」で基準点火時期(Adv0)を演算する。Adv0はMBT近傍とするが、その演算方式は、従来よりある一般的なものなので、ここでは詳述しない。「燃焼室内温度推定値演算部」では、燃焼室内温度推定値(Tcyl)を演算する。「リタード量演算部」では、リタード量(Rtd)を求める。クランク角センサ15の出力から角加速度を演算し、さらに角加速度から筒内圧(燃焼圧)を推定する。推定した筒内圧(燃焼圧)から燃焼の安定度を検出し、安定限界までリタード量を徐々に増やすものである。ただし、リタードを行うか否かは、燃焼室内温度(Tcyl)に基づいて決定する。
本演算部では、燃焼室内温度(Tcyl)の演算を行う。具体的には図18に示される。燃料噴射量(Ti)を引数として、マップを参照して、基本発熱量を求める。基本発熱量に、燃焼空燃比補正,点火時期補正を乗じ、さらに、熱容量係数(C)、熱伝導係数(κ)を乗じて、供給分熱量とする。燃焼空燃比補正係数は、目標空燃比(Tg_AF)を引数としてマップを参照して求める。Tg_AFの演算方法は、従来よりある一般的な方法なので、ここでは詳述しない。例えば、エンジン回転速度,充填効率(もしくは目標トルク)など、運転条件を代表するパラメータから求める。点火時期補正係数は、点火時期(Adv)を引数としてマップを参照して求める。放熱分は、水温(Twn)を引数としてマップ参照して求める。始動時吸気温(Ths)を燃焼室内温度推定値の初期値とする。その後、燃焼発生毎に、供給分と放熱分の収支演算を行い、燃焼室内温度推定値を更新する。なお各マップ値は、実験から求めるのもよい。
本演算部では、リタード量(Rtd)の演算を行う。具体的には図19に示される。
・ クランク角センサ15の出力信号から演算される回転速度(Ne)から角加速度(d Ne)を演算する。dNeに定数Kを乗じ、角加速度相当トルク(燃焼圧)を求め、 その後、慣性トルク分(P_I)を引き、摩擦トルク分(P_f)を足した値を、図 示平均有効圧推定値(Pi_est)を求める。P_Iは、Neからテーブルを参照 して求める。P_fは、NeとTwnからテーブルを参照して求める。
・ 充填効率(Ita_c)とエンジン回転速度(Ne)から、テーブルを参照して、安 定限界相当図示平均有効圧(Pi_us)を求める。充填効率(Ita_c)は、エ アフロセンサ2から得られ空気量(Qa)と回転速度(Ne)から求める。充填効率 の演算方式は、従来技術なので、ここでは詳述しない。
・ Pi_estとPi_usを比較して、Pi_est>Pi_usのときは、燃焼圧 が十分に高く、安定限界に達していないとし、リタード量更新分(dRtd)を前回 リタード補正値に加えて、最新のリタード量(Rtd)とする。一方、Pi<Pi_ usのときは、燃焼圧が低く、安定限界に達しているとし、進角量更新分(dAdv )を前回リタード補正値に加えて、最新のリタード量(Rtd)とする。dRtdお よびdAdvは、Neから決める。なお、dAdvは負の値となる。
・ なお、点火時期のリタードは、Tcyl>Tcyl_rtdのが成立したら開始する 。
実施例4では、点火時期(リタード量)と燃焼圧に基づいて、燃料性状を推定する。図11は本実施例を示すシステム図であり、実施例1と同様であるので詳述はしない。図12はコントロールユニット16の内部を示したものであり、実施例1と同様であるので詳述しない。
・ 基準点火時期演算部
・ リタード量演算部(図21)
・ 燃料性状検出部(図22)
「基準点火時期演算部」で基準点火時期(Adv0)を演算する。Adv0はMBT近傍とするが、その演算方式は、従来よりある一般的なものなので、ここでは詳述しない。「リタード量演算部」では、リタード量(Rtd)および安定限界到達フラグ(F_us)を求める。筒内圧センサ30の出力(P)から燃焼の安定度を検出し、安定限界までリタード量(Rtd)を徐々に増やすものである。また、安定限界に達したらF_us=1とする。「燃料性状検出部」では、F_us=1となったとき、すなわち安定限界に達したときの点火時期(リタード量)から燃料性状を検出する。
本演算部では、リタード量(Rtd)の演算を行う。具体的には図21に示される。
・ 筒内圧センサ30の検出値から図示平均有効圧(Pi)を演算する。
・ 充填効率(Ita_c)とエンジン回転速度(Ne)から、テーブルを参照して、安 定限界相当図示平均有効圧(Pi_us)を求める。充填効率(Ita_c)は、エ アフロセンサ2から得られ空気量(Qa)と回転速度(Ne)から求める。充填効率 の演算方式は、従来技術なので、ここでは詳述しない。
・ PiとPi_usを比較して、Pi>Pi_usのときは、燃焼圧が十分に高く、安 定限界に達していないとし、リタード量更新分(dRtd)を前回リタード補正値に 加えて、最新のリタード量(Rtd)とする。一方、Pi<Pi_usのときは、燃 焼圧が低く、安定限界に達しているとし、安定限界到達フラグ(F_us)を1とし て、進角量更新分(dAdv)を前回リタード補正値に加えて、最新のリタード量( Rtd)とする。dRtdおよびdAdvは、Neから決める。なお、dAdvは負 の値となる。また、リタード量は、2サイクル目までは0とする。
本演算部では、燃料性状指数(Ind_f)の演算を行う。具体的には図22に示される。
・ 安定限界到達フラグ(F_us)が1のときの点火時期(Adv)から、テーブルを 参照して、燃料性状指数(Ind_f)を求める。
2 エアフロセンサ
3 電子スロットル
4,10 マニホールド
5 コレクタ
6 アクセル
7 燃料噴射弁
8 点火プラグ
9 エンジン
11 三元触媒
12 A/Fセンサ
13 アクセル開度センサ
14 水温センサ
15 クランク角センサ
16 コントロールユニット
17 スロットル開度センサ
18 排気還流管
19 バルブ
20 O2センサ
21 コントロールユニット内に実装されるCPU
22 コントロールユニット内に実装されるROM
23 コントロールユニット内に実装されるRAM
24 コントロールユニット内に実装される各種センサの入力回路
25 入出力ポート
26 点火プラグに適切なタイミングで駆動信号を出力する点火出力回路
27 燃料噴射弁に適切なパルスを出力する燃料噴射弁駆動回路
28 電子スロットル駆動回路
29 吸気温センサ
30 筒内圧センサ
Claims (14)
- エンジン始動時のクランキング時もしくは最初の燃焼からアイドル回転数に達するまでの期間において、
点火時期をMBTより所定値以上リタードする手段を
備えたことを特徴とするエンジンの制御装置。 - エンジン始動時のクランキング時もしくは最初の燃焼からアイドル回転数に達するまでの期間において、
点火時期をMBTより所定値以上リタードする手段と、
一燃焼毎に発生する筒内圧を直接的もしくは間接的に検出する手段と、
前記筒内圧に基づいて、前記リタード量を補正する手段とを
備えたことを特徴とする請求項1に記載のエンジンの制御装置。 - エンジン始動時のクランキング時もしくは最初の燃焼からアイドル回転数に達するまでの期間において、
点火時期をMBTより所定値以上リタードする手段と、
一燃焼毎にクランク角の角加速度を検出する手段と、
前記角加速度に基づいて、前記リタード量を補正する手段とを
備えたことを特徴とする請求項1に記載のエンジンの制御装置。 - 請求項1において、
基準点火時期を演算する手段と、
燃焼回数が増加するに応じて、点火時期のリタード量を更新する手段とを
備えたことを特徴とするエンジンの制御装置。 - 請求項1において、
基準点火時期を演算する手段と、
燃焼回数が増加するに応じて、点火時期のリタード量を更新する手段と、
前記燃焼圧もしくは前記角加速度に基づいて、リタード量を演算する手段とを
備えたことを特徴とするエンジンの制御装置。 - 請求項1において、
基準点火時期を演算する手段と、
燃焼回数が増加するに応じて、点火時期のリタード量を更新する手段と、
前記燃焼圧が所定値A以下もしくは角加速度が所定値B以下となったとき、リタードを停止もしくは点火時期を前記基準値まで戻す手段とを
備えたことを特徴とするエンジンの制御装置。 - 請求項6において、
前記所定値Aもしくは所定値Bは、
初爆からの燃焼回数または/かつ回転速度または/かつ燃焼室の空気の充填効率に基づいて決める手段を
備えたことを特徴とするエンジンの制御装置。 - 請求項6において、
前記更新されるリタード量は、
初爆からの燃焼回数または/かつ回転速度または/かつ燃焼室の空気の充填効率に基づいて決める手段を
備えたことを特徴とするエンジンの制御装置。 - 前記検出される角加速度から筒内圧を推定する手段を
備えたことを特徴とする請求項1〜8に記載のエンジンの制御装置。 - 請求項9において、
前記、角加速度から筒内圧を推定する手段において、
エンジンの慣性トルク及び/又は摩擦トルク分を補正する手段を
備えたことを特徴とするエンジンの制御装置。 - 請求項1において、
燃焼室の温度もしくは作動ガスの温度を直接的もしくは間接的に検出する手段を備え、
前記燃焼室の温度もしくは作動ガスの温度に基づいて、
リタードの実施を許可する手段及び/又はリタード量を演算する手段を
備えたことを特徴とするエンジンの制御装置。 - 請求項1において、
初回サイクルは、リタードを実施せず、2サイクル目以降から実施することを
特徴とするエンジンの制御装置。 - 請求項1において、
前記点火時期をリタードする手段は、
エンジン始動時のクランキング時もしくは最初の燃焼からアイドル回転数に達するまでの期間において、
少なくとも5°ATDCよりリタードすることを
特徴とするエンジンの制御装置。 - 「点火時期もしくはリタード量」と「前記燃焼圧もしくは角加速度」に基づいて、
燃料性状を推定する手段を備えたことを特徴とする
エンジンの制御装置。
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