JP2009184657A - 車両用シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車両用シート2は、車両左右方向に並設されたシート21、22が車両前後方向に移動可能に構成されている。シート21、22は、車両の側面衝突時において車体側部との間で衝撃荷重の入出力を行う又は隣接するシート21、22との間で衝撃荷重の入出力を行う一対の荷重入出力部材31と、一対の荷重入出力部材31間において衝撃荷重を伝達する荷重伝達部材32とを備えている。隣接するシート21、22間において対峙する一方のシートの荷重入出力部材31と他方のシートの荷重入出力部材31とは、シート21、22の移動可能範囲内において常に少なくとも一部が車両左右方向に重合しており、車両の側面衝突時に接触可能に構成されている。
【選択図】図1
Description
例えば、セダンの後部座席等のようにシートが固定されたタイプでは、衝撃荷重を伝達して分散するパイプ、シャフト等の荷重伝達部材を併設された複数のシートの内部を連続して貫通させるように車両左右方向に設け、その荷重伝達部材を車両のフロアに連結して固定した構造がある。これにより、車体側部が受けた衝撃荷重を荷重伝達部材に伝達して車両のフロアに分散させることができる。
上記各シートは、該シートの左右端部に設けられ、車両の側面衝突時において車体側部との間で衝撃荷重の入出力を行う又は隣接する上記シートとの間で衝撃荷重の入出力を行う一対の荷重入出力部材と、
該一対の荷重入出力部材間を連結するよう設けられ、該一対の荷重入出力部材間において衝撃荷重を伝達する1又は複数の荷重伝達部材とを備えており、
隣接する上記シート間において対峙する一方の上記シートの上記荷重入出力部材と他方の上記シートの上記荷重入出力部材とは、上記シートの移動可能範囲内において常に少なくとも一部が車両左右方向に重合しており、車両の側面衝突時に接触可能に構成されていることを特徴とする車両用シートにある(請求項1)。
そのため、側面衝突が起きた場合には、シートに伝達された衝撃荷重は、該シートの一方の荷重入出力部材に入力され、荷重伝達部材を介して他方の荷重入出力部材に伝達される。これにより、シート内における衝撃荷重の伝達を一対の荷重入出力部材及び荷重伝達部材によって確実に行うことができる。
そのため、側面衝突が起きた場合には、各シートが車両前後方向の移動可能範囲内においてどのような位置にあったとしても、車両左右方向に隣接するシート間において対峙する荷重入出力部材同士が衝突に伴うシート変形時に必ず接触する。これにより、シート間における衝撃荷重の伝達を隣接するシート間において対峙する荷重入出力部材同士によって確実に行うことができる。
すなわち、本発明の車両用シートは、側面衝突時において、その衝撃荷重を一方の車体側部から他方の車体側部へと確実に伝達することができる。そして、車体が受けた衝撃荷重を充分かつ確実に分散させることができる。
また、上記シートは、通常、スライド機構等を介して車両の床面に固定されている。そのため、側面衝突時において、上記シートに伝達された衝撃荷重の一部は、スライド機構等を介して車両の床面に逃がすことができる。
この場合には、上記荷重入出力部材の剛性を高めることができる。そのため、上記荷重入出力部材に衝撃荷重が入力された場合に、その衝撃荷重を分散・緩和させながら伝達することができる。これにより、衝撃荷重によって上記荷重入出力部材に折れ等が生じ、衝撃荷重の伝達を良好に行うことができないといった不具合を抑制することができる。
特に、隣接する上記シート間において対峙する上記荷重入出力伝達部材は、衝突に伴う上記シートの変形によって接触するため、上記荷重入出力伝達部材の剛性を高めて上記不具合の発生を抑制することが非常に有効である。
この場合には、全ての上記荷重入出力部材の剛性を高めることができる。そして、上述した効果を充分に得ることができる。
この場合には、上記1本の荷重伝達部材を介して、上記シートの一方の上記荷重入出力部材に入力された衝撃荷重を他方の上記荷重入出力部材へ確実に伝達し、効率よく分散させることができる。また、上記荷重伝達部材を1本とすることにより、該荷重伝達部材が占めるスペースを最小に抑えることができ、シート設計の自由度を高めることができる。
なお、上記荷重伝達部材は、内部が中空状に設けられていることが好ましく、これによって衝撃荷重をより分散・緩和させながら伝達することができる。
この場合には、側面衝突時において、車体側部と該車体側部に隣接する上記シートとの間における衝撃荷重の伝達を上記荷重入出力点部において確実に行うことができる。
この場合には、上記2本の荷重伝達部材を介して、上記シートの一方の上記荷重入出力部材に入力された衝撃荷重を他方の上記荷重入出力部材へ確実に伝達し、効率よく分散させることができる。
なお、上記荷重伝達部材は、上述のごとく、内部が中空状に設けられていることが好ましく、これによって衝撃荷重をより分散・緩和させながら伝達することができる。
この場合には、上記2本の荷重伝達部材を介して、上記シートの一方の上記荷重入出力部材に入力された衝撃荷重を他方の上記荷重入出力部材へ確実に伝達し、効率よく分散させるという効果をより充分に発揮することができる。
また、この場合には、上記各シートは、上記一対の荷重入出力部材と上記2本の荷重伝達部材とにより囲われて構成された四角形状の枠構造を有するものとなる。そのため、衝撃荷重の伝達方向のばらつきによる軸ずれを抑制することができる。
この場合には、側面衝突時において、隣接する上記シート間における衝撃荷重の伝達をより一層確実に行うことができる。
この場合には、側面衝突時において、車体側部と該車体側部に隣接する上記シートとの間における衝撃荷重の伝達を上記荷重入出力点部において確実に行うことができる。
また、この場合において、上記荷重伝達部材を複数(2本)設けてあるため、上記荷重入出力点部に入力された衝撃荷重を複数の上記荷重伝達部材によって効率よく分散させることができる。
この場合には、上記荷重入出力部材の外側面の剛性を上記補強成形部によって高めることができる。すなわち、側面衝突の際に、上記シート間において上記荷重入出力部材同士が接触する際の接触面の剛性を上記補強成形部によって高めることができる。そのため、衝撃荷重を分散・緩和させながら伝達することができる。
本発明の実施例にかかる車両用シートについて、図1〜図4を用いて説明する。
本例の車両用シート2は、図1、図2に示すごとく、例えばミニバン等の車両の後部座席(リアシート)に使用されるものである。車両用シート2は、左右方向に併設された第1シート21及び第2シート22の2つのシートを有している。第1シート21及び第2シート22は、左右方向に略4:6の幅寸法に分割されたものであり、前後方向にスライドして移動可能に構成されている。
また、図3、図4に示すごとく、第1シート21は、車体1の車体左側部11側に設けられており、第2シート22は、車体1の車体右側部12側に設けられている。
また、車体側荷重入出力部材311aは、第1シート21の前端側にある荷重伝達部材32の軸線上において車体左側部11側に延設され、車両の側面衝突時に車体左側部11と接触して衝撃荷重の入出力を行う荷重入出力点部33を有している。
また、車体側荷重入出力部材311bは、第2シート22の前端側にある荷重伝達部材32の軸線上において車体右側部12側に延設され、車両の側面衝突時に車体右側部12と接触して衝撃荷重の入出力を行う荷重入出力点部33を有している。
クッションサイド部34及びクッションセンター部35は、第1シート21及び第2シート22の後端側の荷重伝達部材32を貫通させている。
さらに、第2シート22のバックフレーム40は、両バックサイド部41の間に、バックセンター部44を備えている。バックセンター部44は、その後端部において連結部材45を介してシートクッション3のクッションセンター部35と連結されている。
シートスライド装置5は、シートクッション3の下側に配設され、前後方向に延設された相互に平行な一対のレールユニット50を有している。レールユニット50は、車体フロアに固設された車体側レール51と、車体側レール51に対して前後方向にスライド可能に嵌合し、第1シート21及び第2シート22を支持するシート側レール52とにより構成されている。
図3は、図1に示した第1シート21及び第2シートの位置における各部材の位置関係を示したものである。また、図4は、図2に示した第1シート21及び第2シートの位置における各部材の位置関係を示したものである。
本例の車両用シート2は、左右方向に並設された複数のシート21、22が前後方向に相対移動可能に構成されている。そして、各シート21、22は、シート21、22の左右端部に設けられた一対の荷重入出力部材31と、一対の荷重入出力部材31間を連結するよう設けられた荷重伝達部材32とを備えている。
また、シート21、22は、一対の荷重入出力部材31と2本の荷重伝達部材32とにより囲われて構成された四角形状の枠構造を有するものとなる。そのため、衝撃荷重の伝達方向のばらつきによる軸ずれを抑制することができる。
また、本例では、荷重伝達部材32を複数(2本)設けた構成であるため、荷重入出力点部33に入力された衝撃荷重を複数の荷重伝達部材32によって効率よく分散させることができる。
本例は、3つのシートを有する車両用シートの例である。
本例の車両用シート2は、図5に示すごとく、左右方向に併設された第1シート23、第2シート24及び第3シート25の3つのシートを有している。第1シート23、第2シート24及び第3シート25は、前後方向にスライドして移動可能に構成されている。
また、図6、図7に示すごとく、第1シート23は、車体1の車体左側部11側に設けられており、第3シート25は、車体1の車体右側部12側に設けられている。第2シート24は、第1シート23と第3シート25との間に設けられている。
また、第2シート24は、両側に第1シート23及び第3シート25が設けられている。そのため、第2シート24において、シートクッション3の左右端部には、シート側荷重入出力部材312dがそれぞれ設けられている。
また、第3シート25において、シートクッション3の左端部には、シート側荷重入出力部材312eが設けられており、シートクッション3の右端部には、車体側荷重入出力部材311eが設けられている。車体側荷重入出力部材311eは、荷重入出力点部33を有している。
その他、各シート23、24、25の基本的な構成は、実施例1の第1シート21(図1、図2参照)と同様の構成である。
その他は、実施例1と同様の作用効果を有する。
本例は、実施例2の車両用シート2において、荷重入出力部材31及び荷重伝達部材32の構成を変更した例である。
図8に示すごとく、第1シート23は、その前端側のみに車体側荷重入出力部材311cが設けられている。また、2本の荷重伝達部材32のうち、後端側の荷重伝達部材32は、第1シート23の左前端部から右後端部にかけて斜めに設けられている。
その他は、実施例2と同様の構成である。
その他は、実施例1、2と同様の作用効果を有する。
なお、本例のような荷重入出力部材31及び荷重伝達部材32の構成は、実施例1の車両用シート2にも適用することができる。
本例は、実施例2の車両用シート2において、荷重入出力部材31及び荷重伝達部材32の構成を変更した例である。
図9に示すごとく、各シート23、24、25は、1本の荷重伝達部材32をシート23、24、25の前端側に備えている。また、各シート23、24、25において、荷重入出力部材31と荷重伝達部材32とが成す角部における荷重伝達部材32の前後側には、補強部材36が設けられている。
その他は、実施例2と同様の構成である。
その他は、実施例1、2と同様の作用効果を有する。
なお、本例のような荷重入出力部材31及び荷重伝達部材32の構成は、実施例1の車両用シート2にも適用することができる。
本例は、3つのシートを有する車両用シートの別例である。
本例の車両用シート2は、図10に示すごとく、左右方向に併設された第1シート23、第2シート24及び第3シート25の3つのシートを有している。各シート23、24、25の基本的な構成は、実施例2と同様である。
以下、実施例2の構成と異なる部分を説明する。
第1部材31xは、クッションサイド部34に溶接されている。また、第2部材31yは、上部が第1部材31xに溶接されており、下部がクッションサイド部34及びシート側レール52と共にナット53で締結されている。
また、車体側荷重入出力部材311cは、荷重伝達部材32の軸線上において車体左側部11側に延設された荷重入出力点部33を有している。また、荷重伝達部材32は、車体側荷重入出力部材311cの第1部材31x及び第2部材31yの両方を貫通して設けられている。荷重伝達部材32と荷重入出力点部33とが成す角部には、両者をつなぐ補強片部37(図10)が設けられている。
第1部材31xは、クッションサイド部34に溶接されている。また、第2部材31yは、上部が第1部材31xに溶接されており、下部がクッションサイド部34及びシート側レール52と共にナット53で締結されている。
なお、荷重伝達部材32は、シート側荷重入出力部材312cの第2部材31yのみを貫通して設けられている。
なお、図11は、車両用シート2の左半分の構造を示したものであり、右半分もほぼ左右対称となるだけであって同様の構造である。
また、第3シート25において、シート側荷重入出力部材312eは、第1シート23のシート側荷重入出力部材312cと左右対称で同様の構造である。また、車体側荷重入出力部材311eは、第1シート23の車体側荷重入出力部材311cと左右対称で同様の構造である。
その他は、実施例2と同様の構成である。
特に、隣接する第1シート23と第2シート24との間、及び第2シート24と第3シート25との間において対峙する荷重入出力伝達部材31は、衝突に伴うシートの変形によって接触するため、荷重入出力伝達部材31の剛性を高めて上記の不具合を発生させないようにすることが非常に有効である。
なお、本例では、補強成形部319を凹状としたが、例えば凸状にしたり、その他の形状にしたりすることもできる。
その他は、実施例1、2と同様の作用効果を有する。
11 車体側部(車体左側部)
12 車体側部(車体右側部)
2 車両用シート
21 シート(第1シート)
22 シート(第2シート)
31 荷重入出力部材
32 荷重伝達部材
Claims (10)
- 車両左右方向に並設された複数のシートを有し、該複数のシートが車両前後方向に相対移動可能に構成されている車両用シートであって、
上記各シートは、該シートの左右端部に設けられ、車両の側面衝突時において車体側部との間で衝撃荷重の入出力を行う又は隣接する上記シートとの間で衝撃荷重の入出力を行う一対の荷重入出力部材と、
該一対の荷重入出力部材間を連結するよう設けられ、該一対の荷重入出力部材間において衝撃荷重を伝達する1又は複数の荷重伝達部材とを備えており、
隣接する上記シート間において対峙する一方の上記シートの上記荷重入出力部材と他方の上記シートの上記荷重入出力部材とは、上記シートの移動可能範囲内において常に少なくとも一部が車両左右方向に重合しており、車両の側面衝突時に接触可能に構成されていることを特徴とする車両用シート。 - 請求項1において、上記荷重入出力部材のうち、少なくとも、隣接する上記シート間において対峙する荷重入出力部材は、内部に中空部を有し、車両左右方向の断面が閉断面形状であることを特徴とする車両用シート。
- 請求項1において、全ての上記荷重入出力部材は、内部に中空部を有し、車両左右方向の断面が閉断面形状であることを特徴とする車両用シート。
- 請求項1〜3のいずれか1項において、上記各シートは、該シートの左右端部に設けられた上記一対の荷重入出力部材と、該一対の荷重入出力部材間を連結するよう設けられた棒状の1本の上記荷重伝達部材とを備えていることを特徴とする車両用シート。
- 請求項4において、上記荷重入出力部材のうち、上記車体側部との間で衝撃荷重の入出力を行う荷重入出力部材は、上記荷重伝達部材の軸線上において上記車体側部側に延設され、車両の側面衝突時に上記車体側部と接触して衝撃荷重の入出力を行う荷重入出力点部を有することを特徴とする車両用シート。
- 請求項1〜3のいずれか1項において、上記各シートは、該シートの左右端部に設けられた上記一対の荷重入出力部材と、該一対の荷重入出力部材間を連結するよう設けられた棒状の2本の上記荷重伝達部材とを備えていることを特徴とする車両用シート。
- 請求項6において、上記2本の荷重伝達部材は、上記シートの前後側に分かれて車両左右方向に略平行に設けられていることを特徴とする車両用シート。
- 請求項6又は7において、隣接する上記シート間における一方の上記シートの上記荷重入出力部材と2本の上記荷重伝達部材とが連結される2つの連結点のうちの少なくとも一方の連結点は、上記シートの移動可能範囲内のいずれの位置にあっても、車両前後方向において、他方の上記シートの上記荷重入出力部材と2本の上記荷重伝達部材とが連結される2つの連結点と同じ位置又はこれらの間に存在することを特徴とする車両用シート。
- 請求項6〜8のいずれか1項において、上記荷重入出力部材のうち、上記車体側部との間で衝撃荷重の入出力を行う荷重入出力部材は、上記シートの前側にある上記荷重伝達部材の軸線上において上記車体側部側に延設され、車両の側面衝突時に上記車体側部と接触して衝撃荷重の入出力を行う荷重入出力点部を有することを特徴とする車両用シート。
- 請求項1〜9のいずれか1項において、上記荷重入出力部材のうち、隣接する上記シート間において対峙する荷重入出力部材の外側面には、車両前後方向に延びる凸状又は凹状に成形した補強成形部が設けられていることを特徴とする車両用シート。
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