JP2016168922A - 車体下部骨格構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、フロントシート7、リヤシート11が配置される車室部1の下部を支える構造で、車室部の下部の車幅方向両側に一対で配置され、車体前後方向に沿って延びるサイドメンバ部材19と、フロントシートの下側で車幅方向に沿って延設され、サイドメンバ部材間を連結するフロントシートクロスメンバ29と、リヤシートの下側で車幅方向に沿って延設され、フロントシートクロスメンバの後方でサイドメンバ部材間を連結するリヤシートクロスメンバ31と、サイドメンバ部材より車幅方向内側で車両前後方向に沿って延設され、フロントシートクロスメンバとリヤシートクロスメンバとを連結する連結部材45とを備え、フロントシートクロスメンバおよびリヤシートクロスメンバの車幅両端側の部位をそれぞれ車体前後方向で二股状に分岐する分岐構造とした。
【選択図】図3
Description
多くの車室部は、車幅方向中央のバックボーンの両側のフロア部分にフロントシートが配置され、同フロントシートの後側のフロア部分にリヤシートが配置される構造のため、下部骨格部は、特許文献1に開示されているように車室部の下部両側(車幅方向)に、車体前後方向に延びる一対のサイドメンバ部材を配置し、これらサイドメンバ部材間に、フロントシート下部を通るフロントシートクロスメンバ、リヤシート下部を通るリヤシートクロスメンバを設けた格子形の構造が用いられる。
ところが、上記のような単純な格子形の下部骨格部の構造では、車両の前方片側に衝突荷重が集中して加わるオフセット前突をした場合、衝突荷重が、各クロスメンバに分散されにくく、車幅方向片側のサイドメンバ部材だけに集中して入力されるため、衝突した側のサイドメンバ部材が車体後方へ後退して下部骨格部が歪み、車室部が変形してしまうことがある。
しかし、衝突荷重は過大になる傾向があるため、単純に個々の部材を補強する対策だけでは、十分に対応できず、車室部の変形は抑えられ難い。
図1は本発明の車体下部骨格構造を示し、図2は同車体下部骨格構造を含む車室部の断面図(図1中のA−A線)、図3は車体下部骨格構造の下面図(図1中の矢視B方向)を示している。
図1〜図3に示すように車両における乗員の居住空間である車室部1の下部には、下部骨格部15が構成されている。
以下に、フロントシートクロスメンバ29およびリヤシートクロスメンバ31、そして桁部材45の構成についてより詳細に説明する。
この車体下部骨格構造によって、フロントシート7およびリヤシート11直下のフロア3の剛性が確保されるとともにオフセット前突時や側突時において、衝突側のサイドメンバ部材19へ加わる衝突荷重が、分岐メンバ部37の前側の分岐部分37aや傾斜メンバ部材47、桁部材45を介してフロントシートクロスメンバ29やリヤシートクロスメンバ31に分散され、下部骨格部15の非衝突側のサイドメンバ部材19へ効率よく伝達されるようにしている。図4〜図7には、様々な衝突における衝突荷重の分散の状態が模式図を用いて示されている。
図3および図4に示されるように大きなダメージが生じやすいオフセット前突、例えば車体前方片側から衝突荷重F1が片方(衝突側)のサイドメンバ部材19xへ集中して加わる場合について説明すると、サイドメンバ部材19xの前部端から入力される衝突荷重F1は、図4中の矢印に示されるようにフロントシート7の直下の部位から、分岐メンバ部37の前側の分岐部分37aおよび傾斜メンバ部材47へ分散される。
これにより、サイドメンバ部材19xには衝突荷重F1が集中して加わるものの、同衝突荷重F1は、入力側(衝突側)の分岐メンバ部37(前側の分岐部分37a)や傾斜メンバ部材47によって効率よくフロントシートクロスメンバ29およびリヤシートクロスメンバ31へ分散されて反対側(非衝突側)のサイドメンバ部材19yへ伝達されるため、サイドメンバ部材19xの負担は軽減される。しかも、衝突側の分岐メンバ部37(前側の分岐部分37a)や傾斜メンバ部材47によって分散された衝突荷重F1は、入力側(衝突側)とは反対側(非衝突側)にある分岐メンバ部37(前側の分岐部分37aおよび後側の分岐部分37b)や傾斜メンバ部材47によってさらに分散された状態で非衝突側のサイドメンバ部材19yに伝達されるので、反対側(非衝突側)のサイドメンバ部材19yの一部分に衝突荷重が集中することがない。
むろん、図示はしないが車体前面に衝撃荷重が加わる前面衝突時でも、剛性確保や荷重分散により、同衝突荷重による車室部1の変形は抑えられ、乗員の居る車室部1は護られる。
荷重F3をフロントシートクロスメンバ29だけで受けた場合、図7中の二点鎖線に示されるようにフロントシートクロスメンバ29に過大な曲げ応力が生じ、フロントシートクロスメンバ29が車幅方向中央から車室部1内へ曲がる挙動を示すが、本実施形態の下部骨格部15であれば、分岐メンバ部37や桁部材45によってフロントシートクロスメンバ29の負担は抑えられ、曲げが抑制される。すなわち、フロントシートクロスメンバ29に加わる荷重F3は、図6に示されるように分岐メンバ部37の前側の分岐部分37aおよび後側の分岐部分37a、桁部材45に分散されて両側のサイドメンバ部材19やリヤシートクロスメンバ31に伝わり支持される。しかも、フロントシートクロスメンバ29のバックボーン部5より幅方向外側は、トラス構造に構成されているので、フロントシートクロスメンバ29は、剛性強度が与えられつつ負担が軽減される。ちなみに図6中の二重の矢印は、トラス構造が安定状態となる圧縮状態、引張状態を示している。
側突によりサイドメンバ部材19xに入力された衝突荷重F2は、図5中の矢印に示されるようにフロントシート7の直下に配置されるフロントシートクロスメンバ29の分岐メンバ部37と傾斜メンバ部材47とリヤシートクロスメンバ31の車幅方向外側の部位に分散されて支持される。つまり、衝突荷重F2は、バックボーン5の車幅方向外側において形成されるトラス構造によって支持され、分岐メンバ部37、すなわち前側の分岐部分37aおよび後側の分岐部分37bを介してフロントシートクロスメンバ29に伝達されるとともに、傾斜メンバ部材47およびリヤシートクロスメンバ31の車幅方向外側の部位を介してリヤシートクロスメンバ31に伝達される。そして、フロントシートクロスメンバ29に伝達された衝突荷重F2は、衝突荷重F2の入力側(衝突側)とは反対側(非衝突側)に有る分岐メンバ部37で前側の分岐部分37aと後側の分岐部分37bへ分散されながら、反対側のサイドメンバ部材19yに伝わる。
これにより、入力側(衝突側)のサイドメンバ部材19xには、一部に集中して衝突荷重F2が加わるものの、入力側(衝突側)の分岐メンバ部37(前側の分岐部分37a)や傾斜メンバ部材47によって衝突荷重F2がフロントシートクロスメンバ29とリヤシートクロスメンバ31とに効率よく分散されて支持される。そして、分散された衝突荷重F2は、反対側(非衝突側)のサイドメンバ部材19yへ伝達されるため、同サイドメンバ部材19xの負担は軽減される。
以上、説明したように本発明の車体下部骨格構造は、下部骨格部15のフロントシートクロスメンバ29およびリヤシートクロスメンバ31の車幅方向両端側の部位が二股状に構成され、フロントシートクロスメンバ29とリヤシートクロスメンバ31とが桁部材45(連結部材)によって車両前後方向で連結されているので、衝突荷重を効率よくフロントシートクロスメンバ29とリヤシートクロスメンバ31とに分散させて下部骨格部15の非衝突側のサイドメンバ部材19yへ伝達させることができる。しかも、フロントシートクロスメンバ29とリヤシートクロスメンバ31の車幅方向両端側とサイドメンバ部材19との間にトラス形状が構築されることで、フロントシート7およびリヤシート11周囲の剛性を向上させることができる。
また桁部材45は、フロントシートクロスメンバ29が分岐される基点の部位(前側の分岐部分37aと後側の分岐部分37bとが交差する基端部)と、リヤシートクロスメンバ31が分岐される基点の部位(傾斜メンバ部材47とリヤシートクロスメンバ31との連結部46)との間を連結して、それぞれの分岐の基点の部位を互いに補強し合う構成としたので、衝突荷重が集中しやすい分岐の基点でのフロントシートクロスメンバ29およびリヤシートクロスメンバ31の変形を抑制することができる。しかも、桁部材45は、バックボーン部5の車幅方向両側部に沿って設けられているので、桁部材45の強度が確保され、フロントシートクロスメンバ29とリヤシートクロスメンバ31とをより強固に連結することができる。
そして、上記の構造を組み合わせることで、バックボーン部5より車幅方向外側におけるフロントシート7およびリヤシート11の下部の領域に、フロントシートクロスメンバの分岐メンバ部37、傾斜メンバ部材47およびリヤシートクロスメンバ31、サイドメンバ部材19、桁部材45とで3つの三角形を組み合わせたトラス形状が構築され、フロントシート7およびリヤシート11の下部の剛性を、より一層向上することができる。
5 バックボーン部
7 フロントシート
11 リヤシート
15 下部骨格部
19 サイドメンバ部材
29 フロントシートクロスメンバ
31 リヤシートクロスメンバ
37 分岐メンバ部
37a 前側の分岐部分
37b 後側の分岐部分
45 桁部材(連結部材)
46 連結部
47 傾斜メンバ部材
Claims (4)
- フロントシートおよびリヤシートが配置される車室部の下部を支える車体下部骨格構造であって、
前記車室部の下部の車幅方向両側に一対で配置され、車体前後方向に沿って延びるサイドメンバ部材と、
前記フロントシートの下側で車幅方向に沿って延設され、前記サイドメンバ部材間を連結するフロントシートクロスメンバと、
前記リヤシートの下側で車幅方向に沿って延設され、前記フロントシートクロスメンバの後方で前記サイドメンバ部材間を連結するリヤシートクロスメンバと、
前記サイドメンバ部材より車幅方向内側で車両前後方向に沿って延設され、前記フロントシートクロスメンバと前記リヤシートクロスメンバとを連結する連結部材とを備え、
前記フロントシートクロスメンバおよび前記リヤシートクロスメンバの車幅両端側の部位をそれぞれ車体前後方向で二股状に分岐する分岐構造とした
ことを特徴とする車体下部骨格構造。 - 前記連結部材は、前記フロントシートクロスメンバの分岐される基点の部位と、前記リヤシートクロスメンバの分岐される基点の部位との間を連結する
ことを特徴とする請求項1に記載の車体下部骨格構造。 - 前記車室部は、車幅方向中央において車両前後方向に延設されたバックボーン部を有し、
前記フロントシートクロスメンバおよび前記リヤシートクロスメンバは、前記バックボーン部の車幅方向両外側で分岐されるとともに前記連結部材が前記バックボーン部の車幅方向両側部に沿って車両前後方向に延設される
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車体下部骨格構造。 - 前記フロントシートクロスメンバの後側の分岐部分の端部と前記リヤシートクロスメンバの前側の分岐部分の端部とが連結される
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の車体下部骨格構造。
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