JP6579307B2 - 車体骨格構造 - Google Patents
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Description
多くの車室部は、フロアのフロント側にフロントシートが配置され、フロアのリヤ側にリヤシートが配置されるため、車体骨格構造は、特許文献1や特許文献2に開示されているように車室部の下部両側(車幅方向)に、車体前後方向に延びる一対のサイドメンバ部材を配置し、これらサイドメンバ部材、さらにサイドメンバ部材の車幅方向外側に配置されているサイドシル間に渡り、フロントシートやリヤシートの下部を通るクロスメンバを設けた格子形の構造が用いられる。
ところが、単純に格子形にしただけの車体骨格構造は、車両の前突、すなわち車両の前部端に衝突荷重が加わる衝突の場合、衝突荷重が車幅方向両側のサイドメンバ部材に集中して入力されるため、車体骨格構造の各部が衝突荷重に耐えきれずに歪んでしまうことがある。
しかし、衝突荷重は過大になる傾向があるため、単純に個々の部材を補強する対策だけでは、十分に対応できず、車室部の変形は抑えられ難い。
図1は本発明の要部となる乗用車など車両の車体骨格構造1aを示し、図2は同車体骨格構造1aの断面図(図1中のA−A線)、図3は同車体骨格構造1aの下面図(図1中の矢視B方向)を示している。
上記車体骨格構造1aは、乗員の居る車室部1の下部を支える下部骨格部15を有して構成される。
そして、この下部骨格部15は、前突(車体前部に衝突荷重が加わる衝突)や側突(車体側部に衝突荷重が加わる衝突)の衝突荷重から、車室部1が耐えられるように構造が工夫されている。
図1および図3に示されるようにサイドメンバ部材19は、車室部1のセンタピラー部18より前側で車両後方に向かうにしたがって車幅方向外側へ延在する前方傾斜部37と、前方傾斜部37に続いてセンタピラー部18より後側で車両後方に向かうにしたがって車幅方向内側へ延在する後方傾斜部41とを有して構成される。
つまり、サイドメンバ部材19は、車室部1の下方において、車室部1の前部から車幅方向外側斜め後方へ延びてサイドシル17のセンタピラー部18が結合される部位に結合された後、車幅方向内側斜め後方へ延びるよう構成されている。
具体的には、図1および図3に示されるようにサイドメンバ部材19がサイドシル17に連結される前方傾斜部37と後方傾斜部41との境界部の間、すなわちサイドメンバ部材19とサイドシル17とが結合される部位の間には、クロスメンバ36の一つであるセンタクロスメンバ36aが車幅方向に沿って掛け渡される。センタクロスメンバ36aの各端部は、それぞれ境界部に連結され、前方傾斜部37および後方傾斜部41に車幅方向に対する耐力を与えている。つまり、前方傾斜部37の後部間に掛け渡されるセンタクロスメンバ36aによって、前方傾斜部37から伝わる前突の衝突荷重や、サイドシル17から伝わる側突の衝突荷重に対して有効な剛性強度を与えている。なお、本実施形態では、センタクロスメンバ36aは、フロントシート7の直後に配置されている。
つぎに、図1〜図5を参照して本実施形態の車体骨格構造1aの衝突時おける衝突荷重の伝達状態とその作用効果について説明する。
ここで、サイドシル17に分散された衝突荷重は、サイドシル17の長手方向に沿って車両後方に伝達されると同時に車幅方向外側に向かって作用する。そのため、サイドシル17には、車幅方向外側へ変形させようとする力が働くが、前方傾斜部37の後部は、最も高い剛性強度をもたらす、センタピラー部18の基端部(下端部)が結合された部分に固定されている上、センタクロスメンバ36aで支持されているので、図4(b)に示されるように前方傾斜部37から伝わる衝突荷重は、センタピラー部18およびセンタクロスメンバ36aがもたらす剛性強度で受け止められる。つまり、サイドシル17やサイドメンバ部材19の車幅方向外側への変形は抑えられる。
同作用効果は、図3および図4(a)に示されるようにオフセット前突、例えば車体前方片側から衝突荷重F3が片方のサイドレール部材19に加わる場合についても同様である。
図5中の矢印に示されるように加わる衝撃荷重F2は、サイドシル17とセンタピラー部18とサイドメンバ部材19との三者が結合される結合部37aから、前方傾斜部37や後方傾斜部41やセンタクロスメンバ36aへそれぞれ分散される。前方傾斜部37に分散された衝突荷重は、前方傾斜部37から車両前方側へ伝達されるとともにフロントクロスメンバ36bに伝達される。一方、後方傾斜部41へ分散された衝突荷重は、後方傾斜部41から車両後方側へ伝達されるとともにリヤクロスメンバ36cに伝達される。つまり、側突に伴う衝突荷重F2は、サイドシル17やセンタクロスメンバ36aといった特定の部材に集中せずに、サイドメンバ部材19を介して前後のクロスメンバ36b、36cへ分散されるため、サイドシル17およびセンタクロスメンバ36aの負担は軽減される。しかも、センタピラー部18との結合がもたらすサイドシル17の高い剛性強度や、センタクロスメンバ36aの周りに形成される六角形状の構造物(六角形の枠部45)がもたらす剛性強度や、同六角形状の構造物周りのトラス構造がもたらす剛性強度により、前突時と同様、サイドメンバ部材19や各部材(フロントシート7およびリヤシート11下を通る部材)の変形を抑えることができる。
したがって、前突や側突時などにおいて、フロントシート7周辺やリヤシート11周辺の乗員の足元を置く領域の変形を抑え、乗員の居る車室部1の変形を確実に抑えることができる。
7 フロントシート
11 リヤシート
15 下部骨格部
17 サイドシル
18 センタピラー部
19 サイドメンバ部材
36a センタクロスメンバ
36b フロントクロスメンバ
36c リヤクロスメンバ
37 前方傾斜部
41 後方傾斜部
47 フロントガセット
49 リヤガセット
Claims (5)
- フロントシートの後側にリヤシートが配置され、前記フロントシートと前記リヤシートの間に上下方向に延びるセンタピラー部が配置される車室部を有する車体骨格構造であって、
前記車室部の下部の車幅方向両側の最外側で車体前後方向に沿って延設され、前記センタピラー部の下端部が結合される一対のサイドシルと、
前記各サイドシルの内側でそれぞれ車体前部から車体後部にかけて車体前後方向に沿って延設された一対のサイドメンバ部材と、を備え、
前記サイドメンバ部材は、前記車室部の前端から車幅方向外側斜め後方に延びて前記サイドシルの前記センタピラー部が結合される部位に連結された後、車幅方向内側斜め後方へ延設されるよう構成される
ことを特徴とする車体骨格構造。 - 車幅方向に延設され、前記サイドメンバ部材の前記サイドシルとの結合部間を連結するように掛け渡されたセンタクロスメンバを備える
ことを特徴とする請求項1に記載の車体骨格構造。 - 前記センタクロスメンバより前方で車幅方向に延設され、前記サイドメンバ部材間に掛け渡されたフロントクロスメンバと、
前記センタクロスメンバより後方で車幅方向に延設され、前記サイドメンバ部材間に掛け渡されたリヤクロスメンバと、を備え、
前記車室部の下部に前記一対のサイドメンバ部材と前記フロントクロスメンバと前記リヤクロスメンバとで六角形状の枠部を構成した
ことを特徴とする請求項2に記載の車体骨格構造。 - 前記フロントクロスメンバが前記車室部の前端に配置され、前記リヤクロスメンバが前記リヤシートの下方に配置される
ことを特徴とする請求項3に記載の車体骨格構造。 - 前記サイドメンバ部材の前部と前記サイドシルの前部との間を連結するフロントガセットと、
前記サイドメンバ部材の後部と前記サイドシルの後部との間を連結するリヤガセットとを有し、
前記フロントガセットは、前記フロントクロスメンバの延長線上の位置に配置され、前記リヤガセットは、前記リヤクロスメンバの延長線上の位置に配置される
ことを特徴する請求項3または請求項4に記載の車体骨格構造。
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