JP2009120806A - 多孔質中空ポリマー粒子、多孔質中空ポリマー粒子の製造方法、香料担持ポリマー粒子、及び、香料担持ポリマー粒子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 粒子内部に複数の空孔を有する多孔質中空ポリマー粒子であって、粒子外表面及び粒子内表面がポリビニルアルコールで被覆されている多孔質中空ポリマー粒子。
【選択図】 なし
Description
また、中空ポリマー粒子は、その樹脂層と内部空隙層との屈折率差により可視光の散乱が起こることが知られており、光拡散剤として使用されている。このような光拡散剤は蛍光、白色光の照明カバー、バックライト式半透明の看板、ディスプレイ、電飾、内装の半透明パーティションのほか液晶ディスプレイ、液晶テレビジョンの光拡散シートや光拡散板、プロジェクターやプロジェクションテレビのスクリーン等の多方面に使用されている。
しかしながら、従来の中空ポリマー粒子は耐溶剤性や強度が弱く、塗料との混練過程でその多くが破壊されてしまうという欠点があった。更に、中空ポリマー粒子は、浮力が大きく、水、有機溶剤等の溶媒に配合する場合、塗料中に均一に分散させるのが困難であった。
更に、特許文献5には、表層及び/又はその内部にOH基を有する被担持体樹脂粒子に液体香料を担持させた徐放性香料担持樹脂粒子が開示されている。
しかしながら、特許文献3の方法では、香料の放出が極端に遅かったり、内部に存在する香料が放出されず、放出が途中で止まったりするという問題があった。
また、特許文献4や特許文献5の方法でも、香料の担持量が不充分であったり、長期間に亘って香料を一定の速度で放出させることができず、放出させる香料濃度(香気の強さ)が時間とともに低下してしまったりするという問題があった。
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
なかでも、透明性の高い多孔質中空ポリマー粒子が得られ、焼成時にすすや灰分を生じにくいことから、アクリル系モノマーの使用が好ましく、より好ましくは、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、(メタ)アクリル酸が挙げられる。
上記多官能性モノマーを用いることで得られる多孔質中空ポリマー粒子の収縮が抑制され、耐圧縮強度が改善される。
上記トリ(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記ジビニル化合物としては、例えば、ジビニルベンゼン、ブタジエンが挙げられる。
なお、本明細書においてCV値とは、下記式(1)により求められる数値のことである。
粒子径のCV値(%)=(σ2/Dn2)×100 (1)
式(1)中、σ2は粒子径の標準偏差を表し、Dn2は数平均粒子径を表す。
なお、本明細書において空隙率とは、多孔質中空ポリマー粒子全体積中に占める中空部体積を百分率(%)で表示したものであり、例えば、アムコ社製ポロシメーター2000を用いて封入水銀圧力2000kg/cm2の条件等にて測定することができる。
なお、上記溶剤としては、メタノール、エタノール、n−ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアルデヒド、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、エタノール/トルエン混合溶媒=50%/50%が用いられる。
なお、上記d/Dは、任意の一方向の軸を基準軸として定め、電子顕微鏡を用いて、任意に選択した20個の多孔質中空ポリマー粒子について、上記基準軸に対して平行な方向における幅の最大値を外径として測定するとともに、上記基準軸に対して平行な方向における気孔の幅が最大のものの気孔径を測定し、更に、測定した外径(D)と気孔径(d)とから気孔径/外径(d/D)を算出する。そして、測定した20個の多孔質中空ポリマー粒子の気孔径/外径(d/D)を算術平均した算出することにより求めることができる。
更に、このような液体吸収性を利用して、おむつ、ナプキン、農園芸保水剤、工業用保水剤、吸湿剤、除湿剤、建材等の吸水用や吸油用の組成物用途、徐放性の農薬や医薬、帯電防止剤等に用いることができる。
加えて、本発明の多孔質中空ポリマー粒子は、体感性向上効果が高いことから、ファンデーション、白粉、頬紅、アイシャドー、ボディパウダー、ベビーパウダー、プレシェーブローション、ボディローション、ローション等の化粧品を含めた体感性向上組成物として用いることができる。
なかでも、本発明の多孔質中空ポリマー粒子は、香料担持ポリマー粒子、光拡散剤及びペースト組成物に使用することが好ましい。
上記重合性モノマーとは反応しない有機溶剤の添加量は、少なすぎると粒子の空隙率が低くなり、多すぎると空隙率が大きくなりすぎて粒子の強度が低下するため、重合用モノマー成分100重量部に対して1〜400重量部の割合で添加されることが好ましく、より好ましくは10〜200重量部である。
また、形成される層は、非常に薄いものであるため、光拡散剤に用いる場合でも、光拡散性に影響を及ぼすことがなく、光拡散性と耐溶剤性や耐久性等とを両立することができる。
より好ましい下限は0.3重量部、より好ましい上限は5重量部である。
まず、撹拌機及び温度計等を備えた容器に、水、水溶性高分子分散安定剤、及び、必要に応じて、補助安定剤、pH調整剤、水溶性重合禁止剤等を添加して初期仕込物を調製する。次いで、重合用モノマー及び上記重合性モノマーとは反応しない有機溶剤を混合した重合用モノマー溶液に重合開始剤を予め溶解しておき、初期仕込物に添加した後、重合開始剤が実質的に作用しない温度で所定時間撹拌し、重合開始剤が作用する温度以上に昇温して、所定時間撹拌を続けて重合を行う方法等が挙げられる。
なお、上記重合用モノマー及び上記重合性モノマーとは反応しない有機溶剤を混合した重合用モノマー溶液は、そのまま初期仕込物に添加してもよいが、予め分散媒中に微分散したものを添加することが好ましい。また、重合用モノマー溶液をそのまま初期仕込物に添加し、機械的撹拌力の作用により系内で微分散する方法を用いてもよい。
上記重合の結果得られる多孔質中空ポリマー粒子の粒子径は分散媒中に微分散された重合性モノマー溶液の油滴径に依存するため、分散安定剤の種類や量や、機械的分散機の撹拌力により容易に多孔質中空ポリマー粒子の粒子径をコントロールすることができる。
上記重合を行う際、又は、実施した後に添加する添加剤としては特に限定されず、例えば、pH調整剤、老化防止剤、酸化防止剤、防腐剤等が挙げられる。
この内包された有機溶剤は必要に応じて、得られる粒子の分散液にスチーム、窒素、空気等の気体を吹き込む方法や、系を減圧条件下におく方法等により除去することができる。
また、本発明の製造方法により得られた多孔質中空ポリマー粒子は、乾燥させ、粉体としての用途に供することもできる。
上記ケトン類の香料としては、例えば、α−イソメチルイオノン等が挙げられる。
上記アルコール類の香料としては、例えば、ジピロピレングリコール、シス−3−ヘキセノール、リナロール、ジヒドロファルネソール等が挙げられる。
上記ラクトン類の香料としては、例えば、デカラクトン、γ−ウンデカラクトン等が挙げられる。
上記エステル類の香料としては、例えば、酢酸ゲラニル、酢酸イソボルニル、サルチル酸ヘキシル等が挙げられる。
上記アルデヒド類の香料としては、例えば、シトロネラール、α−ヘキシルシンナミックアルデヒド、p−t−ブチル−α−メチルヒドロシンナミックアルデヒド等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
更に、本発明の香料担持ポリマー粒子は、香料が粒子の内部に担持されるため、べたつき等が無いため、ファンデーション等の化粧品分野にも好適に使用することができる。
上記混合機としては、例えば、ナウターミキサー(ホソカワミクロン社製)、リボン型混合機(徳寿工作所社製)、V型ブレンダ(ダルトン社製)、ハイスピードミキサー(深江工業社製)、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)、スーパーミキサー(カワタ社製)、ベンチニーダ(入江商会社製)等が挙げられる。
即ち、上記多孔質中空ポリマー粒子を浸漬させる際に、香料の含浸する速度が遅い場合には、所望の香気を得るために長時間浸漬させる必要があり、香料が含浸する速度が早い場合には、所望の香気を得るまでには短時間で浸漬を終了させることができる。
(多孔質中空ポリマー粒子の作製)
単官能モノマーとしてメチルメタクリレート50重量部及びイソブチルメタクリレート30重量部、多官能性モノマーとしてトリメチロールプロパントリアクリレート20重量部、有機溶剤としてシクロヘキサン100重量部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.25重量部を混合、撹拌し、重合用モノマー溶液を調製した。
次いで、極性溶媒としてのイオン交換水300重量部を用いた部分けん化ポリビニルアルコール(けん化度88モル%、平均重合度2000)の15%水溶液30重量部を添加、ホモジナイザーにて撹拌し、懸濁液を調製した。一方、撹拌機、ジャケット、還流冷却器及び温度計を備えた20リットルの重合器に、残りのイオン交換水、水溶性重合禁止剤としての亜硫酸ナトリウム0.25重量部を入れて、攪拌を開始した。重合器内を減圧して容器内の脱酸素をおこなった後、窒素により圧力を大気圧まで戻して、内部を窒素雰囲気とし、懸濁液を重合槽に一括投入したのち、重合槽を60℃まで昇温し重合を開始した。4時間で重合を終了し、1時間の熟成期間をおいた後、重合槽を室温まで冷却した。スラリーをセントルにて脱水し、その後真空乾燥により有機増剤を除去することで、多孔質中空ポリマー粒子を得た。
なお、使用する部分けん化ポリビニルアルコールのけん化度は、残存酢酸ビニル構造単位の加水分解に要するアルカリ消費量から求めた。また、部分けん化ポリビニルアルコールの平均重合度は、JIS K 6726に従って求めた。
得られた多孔質中空ポリマー粒子1.000gを秤量した後、ASTM D1483に準拠した方法で、多孔質中空ポリマー粒子に、香料であるリモネン0.05%水溶液を吸収させ、香料担持ポリマー粒子を得た。香料の吸収量は0.800gであった。なお、香料の吸収量は、吸収後の重量を測定することで算出した。
部分けん化ポリビニルアルコール(けん化度81モル%、重合度2000)を添加したこと以外は、実施例1と同様にして多孔質中空ポリマー粒子及び香料担持ポリマー粒子を得た。
部分けん化ポリビニルアルコール(けん化度88モル%、重合度500)を添加したこと以外は、実施例1と同様にして多孔質中空ポリマー粒子及び香料担持ポリマー粒子を得た。
部分けん化ポリビニルアルコールに代えて、コロイド状無機系分散安定剤としてのコロイダルシリカの20重量%水溶液を45重量部、分散安定剤としてポリビニルピロリドン0.45重量部、塩化ナトリウム30重量部及び塩酸の35重量%水溶液を0.3重量部添加したこと以外は実施例1と同様にして多孔質中空ポリマー粒子及び香料担持ポリマー粒子を作製した。
実施例1の(多孔質中空ポリマー粒子の作製)において、有機溶剤としてシクロヘキサン100重量部を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にしてポリマー粒子及び香料担持ポリマー粒子を作製した。
比較例2と同様の方法でポリマー粒子を得た後、(香料担持ポリマー粒子の作製)において、ポリマー粒子とリモネン0.05%水溶液とをTEM50(東芝機械社製、同方向二軸押出機)を用いて、押出混練を行うことにより、香料を吸収させた以外は実施例1と同様にして香料担持ポリマー粒子を作製した。
実施例及び比較例で得られた多孔質中空ポリマー粒子、ポリマー粒子及び香料担持ポリマー粒子について、以下の方法により評価を行った。結果を表1に示した。
得られた多孔質中空ポリマー粒子及びポリマー粒子について、レーザー回折粒度分布計(LA−910、堀場製作所社製)を用いて体積平均粒子径及びCV値を測定した。
得られた多孔質中空ポリマー粒子について、透過型電子顕微鏡(日本電子社製、「JEM―1200EXII」)を用いて、多孔質中空ポリマー粒子の外径に対する気孔径の比の平均値を測定した。
アムコ社製ポロシメーター2000を用いて封入水銀圧力2000kg/cm2の条件にて測定し、多孔質中空ポリマー粒子及びポリマー粒子の全体積中に占める中空部の体積を算出した。
得られた多孔質中空ポリマー粒子及びポリマー粒子をメチルエチルケトン中に、25℃で24時間浸漬した後の粒子径D1と、浸漬前の粒子径D0を上記レーザー回折粒度分布計にて測定し、比率(D1/D0)を算出した。
得られた香料担時ポリマー粒子をシャーレに移し、表面を平坦にならした後、シャーレをチャック付きのポリエチレン袋に入れ、においセンサー(新コスモス電機社製、「XP329III」を用いて、においレベルを測定した。測定後、シャーレをポリエチレン袋から取り出し、50℃のオーブンに入れ、10分毎にシャーレを取り出し、においレベルを測定した。
図3に、実施例1及び比較例1で得られた香料担持ポリマー粒子の加熱時間に対するにおいレベルの変化を表すグラフを示し、図4に、実施例1及び比較例1で得られた香料担持ポリマー粒子の最初の測定時のにおいレベルを100とした場合の相対値の変化を表すグラフを示す。
また、初期(加熱時間0分)のにおいレベルに対する加熱時間60分後のにおいレベル(相対値)を表1に示した。
(光拡散シートの作製)
以下の原料を攪拌、混合することによって光拡散層用溶液を調整した。
(バインダー)
アクリルバインダー 20重量部
(溶剤)
トルエン 40重量部
メチルエチルケトン 20重量部
(多孔質中空ポリマー粒子)
実施例1で得られた粒子 20重量部
なお、塗膜の乾燥重量は16g/m2、乾燥後の塗膜の厚みは30μmであった。
多孔質中空ポリマー粒子として、実施例2で得られた粒子を用いた以外は実施例4と同様にして光拡散シートを得た。
多孔質中空ポリマー粒子として、実施例3で得られた粒子を用いた以外は実施例4と同様にして光拡散シートを得た。
多孔質中空ポリマー粒子として、比較例1で得られた粒子を用いた以外は実施例4と同様にして光拡散シートを得た。
実施例及び比較例で得られた光拡散シートについて、以下の方法により評価を行った。結果を表2に示した。
得られた光拡散シートについて、ヘイズメーター(東京電色株式会社製 、「TC−H3PDK」、JIS K7105に準拠)を用いて全光線透過率及びヘイズを測定した。
全光線透過率90%以上、ヘイズ80%以上のものを良品と判断した。
Claims (6)
- 粒子内部に複数の空孔を有する多孔質中空ポリマー粒子であって、
粒子外表面及び粒子内表面がポリビニルアルコールで被覆されている
ことを特徴とする多孔質中空ポリマー粒子。 - ポリビニルアルコールは、部分けん化ポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項1記載の多孔質中空ポリマー粒子。
- 平均粒子径が10〜100μm、CV値が15〜35%、及び、空隙率が20〜80%であることを特徴とする請求項1又は2記載の多孔質中空ポリマー粒子。
- 請求項1、2又は3記載の多孔質中空ポリマー粒子を製造する方法であって、
重合性モノマーと、前記重合性モノマーとは反応しない有機溶剤とを混合し、重合性モノマー溶液を調製する工程、
前記重合性モノマー溶液と、ポリビニルアルコールからなる分散安定剤とを極性溶媒に添加して懸濁させる工程、及び、
前記重合性モノマーを重合させる工程を有する
ことを特徴とする多孔質中空ポリマー粒子の製造方法。 - 粒子内部に複数の空孔を有する多孔質中空ポリマー粒子に香料を担持させてなる香料担持ポリマー粒子であって、
前記多孔質中空ポリマー粒子は、粒子外表面及び粒子内表面がポリビニルアルコールで被覆されている
ことを特徴とする香料担持ポリマー粒子。 - 請求項5記載の香料担持ポリマー粒子を製造する方法であって、
重合性モノマーと、前記重合性モノマーとは反応しない有機溶剤とを混合し、重合性モノマー溶液を調製する工程、
前記重合性モノマー溶液と、ポリビニルアルコールからなる分散安定剤とを極性溶媒に添加して懸濁させる工程、
前記重合性モノマーを重合させ、多孔質中空ポリマー粒子を作製する工程、及び、
前記多孔質中空ポリマー粒子に香料を担持させる工程を有する
ことを特徴とする香料担持ポリマー粒子の製造方法。
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