JP2018100317A - ピッカリング粒子及びその製造方法、並びに気体内包粒子 - Google Patents

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Abstract

【課題】安定的に、かつ効率的に気体を内包することができるピッカリング粒子及びその製造方法、並びに気体内包粒子を提供する。【解決手段】ポリマー粒子により気体が内包されていることを特徴とするピッカリング粒子。【選択図】図2

Description

本発明は、ピッカリング粒子及びその製造方法、並びに気体内包粒子に関し、さらに詳しくは、気体をポリマー粒子で安定に内包するピッカリング粒子及びその製造方法、並びに気体内包粒子に関するものである。
従来より、ポリマー粒子は、塗料、化粧料等の光反射剤や液晶バックライト用光拡散板、プロジェクターのスクリーン等の光拡散剤として広く用いられている。また、ポリマー粒子として、内部に中空部分を有することでポリマー層との屈折率の差により光拡散性を向上させた中空ポリマー粒子を用いることも知られている。このような中空ポリマー粒子は、断熱性、遮音性、耐衝撃性等を付与するなど、各種物質を内包するためのマイクロカプセルとして有用であり、様々な分野で利用されている。
このような中空ポリマー粒子について、近年、塗料や化粧料分野等において、均一な光拡散性を有する中空ポリマー粒子が求められるようになっている。光が均一に拡散することにより、中空ポリマー粒子を含有する塗料や化粧料を塗布した際に、よりムラなどがなく、良好な皮膜外観が得られるものである。
例えば、特許文献1には、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン系共重合体と、架橋性ビニル系単量体を含む(メタ)アクリル酸エステルとの混合物を水性媒体の存在下で懸濁重合することにより得られる、内側重合体層及び外側重合体層を備える単中空粒子が開示されており、これを用いて得られる形成板は高いヘイズと良好な光拡散性を有することが記載されている。
また、特許文献2には、粒子外表面及び粒子内表面がポリビニルアルコールで被覆されている、粒子内部に複数の空孔を有する多孔質中空ポリマー粒子が開示されており、香料の徐放性、光拡散性、液体吸収性、体感性、耐溶剤性及び機械的強度に優れることが記載されている。
特開2009−67946号公報 特開2009−120806号公報
しかしながら、上記特許文献1の開示の方法は、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン系共重合体をモノマーに溶解させて重合することで粒子中心から空孔、内側重合体層及び外側重合体層を備えた中空粒子が得られるが、空孔の選択(内包する気体の選択)ができないものであり、また、特許文献2の開示の方法は、重合性モノマーと反応しない有機溶剤を内包し、これを除去する工程が必要であり、効率的な方法ではないものであることから、まだまだ改良の余地があるものであった。
一方、水と油により水中油型エマルションを作製するにあたり、界面活性剤を用いず、粉末を界面に吸着させることによって調製するエマルションは、ピッカリングエマルションとして知られているが、かかるエマルションは油を内包するものであり、気体を内包することに関してはこれまで検討されていなかった。ここで、気体を内包するか、油を内包するかの違いではあるが、気体と油とでは密度の大きく異なるものであり、このような密度の大きく異なるものに対して、水中油型エマルションの内包技術を気体内包に適用しようとはすることまで想起しないものである。
そこで、本発明はこのような背景下において、安定的に、かつ効率的に気体を内包することができるピッカリング粒子及びその製造方法、並びに気体内包粒子を提供することを目的とする。
しかるに本発明者等は、かかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、これまでの芯物質とそれを囲むシェル層からなる粒子より芯物質を除去するのではなく、ポリマー粒子により気体を内包し安定化させることによって、効率的に気体内包粒子を製造できることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の要旨は、ポリマー粒子により気体が内包されているピッカリング粒子に関するものである。
また、本発明は、上記ピッカリング粒子を製造する方法であって、ポリマー粒子の分散液を周先端速度5〜30m/secの撹拌条件で撹拌する工程を備えるピッカリング粒子の製造方法を第2の要旨とする。
さらに、本発明は、上記ピッカリング粒子の粒子界面上にポリマー層を形成する気体内包粒子を第3の要旨とする。
本発明のピッカリング粒子は、ポリマー粒子により気体が内包されていることから、安定的に、かつ効率的に気体を内包することができる。
また、上記ピッカリング粒子の平均粒子径が30nm〜30μmであると、ピッカリング粒子の安定性に優れるようになる。
そして、上記ポリマー粒子の平均粒子径が10nm〜10μmであると、形成されるピッカリング粒子の安定性・生産性に優れるようになる。
ポリマー粒子の平均粒子径に対する標準偏差の割合(Cv値)が、30以下であると、更に形成されるピッカリング粒子の安定性・生産性に優れるようになる。
さらに、上記ポリマー粒子が水溶性高分子で安定化されていると、懸濁安定性に優れるようになる。
また、水溶性高分子の含有量が、ポリマー粒子を構成するモノマー成分の合計量100重量部に対して0.5〜50重量部であると、重合安定性に優れるようになる。
そして、水溶性高分子がポリビニルピロリドンであると、懸濁安定性及び重合安定性により優れるようになる。
また、ポリマー粒子が重量平均分子量10,000以上の水溶性高分子を含まずに安定化されていても、懸濁安定性に優れるようになる。
さらに、ポリマー粒子の分散液を周先端速度5〜30m/secの撹拌条件で撹拌する工程を備えるピッカリング粒子の製造方法により上記ピッカリング粒子を製造すると、安定的、かつ効率的に気体を内包したピッカリング粒子を得ることができる。
そして、上記ピッカリング粒子の粒子界面上にポリマー層を形成していると、より一層安定的に気体を内包した気体内包粒子が得られるようになる。
本発明のピッカリング粒子を用いて気体内包粒子を製造する工程を示した粒子断面の模式図である。 本発明のピッカリング粒子を撮影した走査型電子顕微鏡写真である。 本発明の気体内包粒子を撮影した走査型電子顕微鏡写真であり、(a)は粒子全体を、(b)は粒子断面を撮影したものである。
以下、本発明を詳細に説明するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものである。なお、本明細書において、(メタ)アクリルとはアクリルあるいはメタクリルを、(メタ)アクリロイルとはアクリロイルあるいはメタクリロイルを、(メタ)アクリレートとはアクリレートあるいはメタクリレートをそれぞれ意味するものである。
<ピッカリング粒子>
本発明のピッカリング粒子は、ポリマー粒子により気体が内包(ピッカリング)された粒子であり、気体を安定的に内包している。例えば、図1(a)はピッカリング粒子の粒子断面の模式図を示すが、この図に示すように、ピッカリング粒子は、ポリマー粒子1からなる外殻を有し、その内部に単一の空隙部分、すなわち気体2を有するものである。一般に、コロイド粒子や粉体粒子を用いて安定化したエマルションをピッカリングエマルションといい、本書では、そのエマルション粒子をピッカリング粒子という。
以下、ピッカリング粒子を構成するポリマー粒子について説明する。
〈ポリマー粒子〉
上記ピッカリング粒子の外殻を形成するポリマー粒子を構成するモノマー成分としては、エチレン性不飽和基を1つ有するエチレン性不飽和化合物(以下、「単官能モノマー」と記載することがある。)やエチレン性不飽和基を2つ以上有するエチレン性不飽和化合物(以下、「多官能モノマー」と記載することがある。)があげられる。中でも通常は、単官能モノマーであることが好ましく、必要に応じて多官能モノマーが併用される。
上記単官能モノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー;ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサチック酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル等のビニルエステル系モノマー;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の脂肪族系(メタ)アクリレート系モノマー;イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環族の(メタ)アクリレート系モノマー;フェノキシ(メタ)アクリレート等の芳香族系(メタ)アクリレート系モノマー;(メタ)アクリル酸トリフルオロエチル等のハロゲン系(メタ)アクリレート系モノマー;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、イタコン酸、フマル酸、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
これらの中でも、ピッカリング粒子の形成性の点から、スチレン系モノマーが好ましく、その含有量としては、モノマー成分全体の5重量%以上、さらに好ましくは10重量%以上、特に好ましくは20重量%以上であり、上限は100重量%であることが好ましい。なかでも、スチレン系モノマーとしてはスチレンが好ましい。
上記多官能モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート;ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルオキシエチレン、マレイン酸ジアリル、テトラアリルオキシエタン等のアリル基を2個以上有するモノマー;アリル(メタ)アクリレート等があげられる。これらは単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、重合安定性の点からジビニルベンゼンを用いることが好ましい。
上記多官能モノマーの含有割合としては、ポリマー粒子の重合安定性の点からモノマー成分全体の30重量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは20重量%以下、特に好ましくは1重量%以下である。多官能モノマーの含有量が多すぎるとポリマー粒子の重合安定性が低下する傾向がある。
上記モノマー成分を重合してポリマー粒子懸濁液を得、該ポリマー粒子懸濁液中のポリマー粒子を用いて、本発明のピッカリング粒子を製造することができる。
〈ポリマー粒子懸濁液の製造方法〉
ポリマー粒子懸濁液は、モノマー成分を含有するモノマー溶液を、水性媒体中で重合することにより得られる。
上記水性媒体としては、例えば、水、または水/アルコール混合溶液があげられ、ポリマー粒子径のコントロールの点から、好ましくは水/エタノール混合溶液である。水/アルコール混合溶液における、水のアルコールに対する重量比(水/アルコール)は、10/90〜100/0、好ましくは20/80〜90/10であることがピッカリング粒子の安定性につながるポリマー粒子径が得られる点から好ましい。
また、本発明においては、重合安定性の向上の点から、水性媒体に分散安定剤としての水溶性高分子を含有することが好ましい。
上記水溶性高分子としては、例えば、ビニル系高分子(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等)、ポリオキシエチレン系高分子、アクリル系高分子(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等)、ポリエチレンイミン、カチオンポリマー等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。これらの中でも、重合安定性の点からビニル系高分子、中でもポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンを用いることが好ましく、とりわけポリビニルピロリドンが好ましい。
水溶性高分子の含有量としては、モノマー成分の合計量100重量部に対して0.5〜50重量部であることが好ましく、さらに好ましくは5〜45重量部、特に好ましくは10〜40重量部である。水溶性高分子の含有量が多すぎると分散媒への溶解性が低下する傾向があり、含有量が少なすぎると重合中の安定性が低下する傾向がある。
また、本発明においては、ポリマー粒子の形成を、重量平均分子量10,000以上の水溶性高分子(分散安定剤)を多量に使用しないソープフリー乳化重合にて、行うことも好ましい。
さらに、通常、重合においては、重合開始剤を用いることが好ましく、その他必要に応じて、重合調整剤、pH調整剤等を配合することができる。
上記重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、4,4’−アゾビス−4−シアノバレリックアシッドのアンモニウム(アミン)塩、2,2’−アゾビス(2−メチルアミドオキシム)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−メチルブタンアミドオキシム)ジヒドロクロライドテトラヒドレート、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル〕−プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド〕等のアゾ系化合物;過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の無機過酸化物;アルキルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、p−メタンヒドロパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクロルベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、ジ−イソブチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、過酸化水素等の有機過酸化物;各種レドックス系触媒(この場合酸化剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、p−メタンハイドロパーオキサイド等が、還元剤としては亜硫酸ナトリウム、酸性亜硫酸ナトリウム、ロンガリット、アスコルビン酸等が用いられる。)等があげられる。
これらの重合開始剤は単独であるいは2種以上併せて用いられる。これらの中でも重合安定性に優れる点で、アゾ系化合物や有機過酸化物等の油溶性開始剤が好ましく、さらにアゾ系化合物、特にアゾビスイソブチロニトリルが好ましい。
上記重合開始剤の使用量は、用いるモノマー成分の種類や重合条件等によって異なるが、通常、モノマー成分100重量部に対して、0.01〜30重量部であることが好ましく、さらに好ましくは0.5〜25重量部、特に好ましくは1〜20重量部である。重合開始剤の使用量が少なすぎると、重合速度が遅くなる傾向があり、多すぎると、得られる重合体の分子量が低下し、ポリマー粒子の強度が低下する傾向がある。
なお、上記重合開始剤の添加方法としては、モノマー溶液に全量含有させて一括して添加する方法や、重合の経過に伴って必要に応じて重合途中に複数回に分けて分割し缶に添加する方法等を用いることができる。
また、前記重合調整剤としては、例えば、連鎖移動剤、pH緩衝剤等があげられる。
上記連鎖移動剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の炭素数1〜6、好ましくは1〜4のアルコール;アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド等のアルデヒド類;n−ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸、チオグリコール酸オクチル、チオグリセロール等のメルカプタン類等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
また、上記pH緩衝剤としては、例えば、ソーダ灰(炭酸ナトリウム)、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、リン酸一ナトリウム、リン酸一カリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、蟻酸ナトリウム、蟻酸アンモニウム等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
さらに、前記pH調整剤としては、例えば、アンモニア、苛性ソーダ、アミン類等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
本発明のポリマー粒子懸濁液は、これらの上記成分を用いて得られるが、より具体的には、例えば、(1)分散重合により製造する方法、(2)ソープフリー乳化重合により製造する方法があげられる。なお、かかる方法に限定するものではない。
(1)分散重合として、例えば、以下の通り行うことが好ましい。
1 重合開始剤、水溶性高分子(分散安定剤)をモノマー成分、水性媒体に溶解させる。
2 溶解した溶液を混合(透明な溶液)にする。
3 通常の重合設備(懸濁重合等)にて反応する。
4 反応時の温度条件としては、常圧下において通常40〜100℃であり、特に好ましくは60〜90℃である。
5 上記重合反応に要する時間としては、通常、1〜48時間とすることが好ましく、より好ましくは3〜24時間である。
(2)ソープフリー乳化重合として、例えば、以下の通り行うことが好ましい。
1 重合開始剤、モノマー成分、水性媒体に仕込む。
2 仕込んだ溶液を撹拌する。
3 通常の重合設備(懸濁重合等)にて反応する。
4 反応時の温度条件としては、常圧下において通常40〜100℃であり、特に好ましくは60〜90℃である。
5 上記重合反応に要する時間としては、通常、1〜48時間とすることが好ましく、より好ましくは3〜24時間である。
また、重合時には、撹拌することが好ましく、その際の撹拌方法としては、懸濁重合等に使用する方法があげられ、中でも撹拌翼による撹拌方法が好ましい。また、邪魔板付重合缶を使用してもよい。さらに、懸濁重合に使用する撹拌装置を用いることが生産効率の点から好ましい。
かくして、上記の製造方法により、ポリマー粒子が水性媒体中に分散してなるポリマー粒子懸濁液が得られる。
上記ポリマー粒子懸濁液中に、分散してなるポリマー粒子の平均粒子径は、10nm〜10μmであることが好ましく、さらに50nm〜5μm、特に100nm〜1μmである。ポリマー粒子の平均粒子径が大きすぎると、形成されるピッカリング粒子の安定性が低下する傾向があり、小さすぎるとピッカリング粒子を製造しにくい傾向がある。
上記ポリマー粒子の平均粒子径は、走査型電子顕微鏡(VE−900:キーエンス社製)により観察・撮影した画像から、200個のポリマー粒子径を測定し、それから個数平均を算出することにより得られる。
また、本発明においては、ポリマー粒子の平均粒子径に対する標準偏差の割合(Cv値)が30以下であることが、形成されるピッカリング粒子の安定性・生産性の点で好ましく、より好ましくは25以下、特に好ましくは20以下である。かかる標準偏差の割合(Cv値)が高すぎるとピッカリング粒子の生成が低下する傾向がある。
なお、ポリマー粒子の平均粒子径に対する標準偏差の割合(Cv値)は以下の通りにて算出される。
Cv値(%)=標準偏差÷粒子径平均値×100
〔ピッカリング粒子の製造方法〕
ピッカリング粒子は、下記の工程[I]及び[II]を経ることにより製造できる。
[I]上記ポリマー粒子懸濁液を遠心分離機にて、ポリマー粒子と分散液とを分離し、上澄みの分散液を水、特にイオン交換水により置換し、ポリマー粒子分散液を調製する工程。
[II]上記ポリマー粒子分散液を高速撹拌装置により高速撹拌することによりピッカリング粒子を製造する工程。
前記[II]の工程における高速撹拌については、気体を巻き込みながら行うことや気体を注入しながら行うことが好ましい。
上記工程[I]において、上澄みの分散液を水、特にイオン交換水により置換するが、置換後のポリマー粒子分散液のポリマー粒子濃度が0.5重量%以上となるように水、特にイオン交換水で調整することが、気体の内包しやすさの点から好ましい。なお、ポリマー粒子濃度の上限値としては、通常、50重量%である。
上記工程[II]において用いる高速撹拌装置としては、例えば、ロータ・ステータ型ホモジナイザー等のホモジナイザー、タービン翼等の各種撹拌翼を備えた撹拌機等があげられるが、これらの中でもロータ・ステータ型ホモジナイザーが好ましく用いられる。
また、撹拌においては、マイクロ・ナノバブル発生装置にて気泡を発生させ、この存在下にて撹拌する方法も挙げられる。
また、上記工程[II]における高速撹拌の回転速度は、周先端速度5〜30m/secであることが好ましく、特には周先端速度6〜29m/sec、更には周先端速度6〜28m/secであることが好ましい。回転速度が小さすぎると気泡を巻き込まずピッカリング粒子を形成し難くなる傾向があり、大きすぎるとポリマー粒子の安定性が低下する傾向がある。
なお、周先端速度U(m/sec)は、以下の通りにて算出される。
U=πND/60
U:周先端速度U(m/sec)
N:回転数(rpm)
D:撹拌翼直径(m)
更に、撹拌時間は1〜120分間であることが好ましく、特には3〜60分間、更には5〜30分間であることが好ましい。撹拌時間が短すぎるとピッカリング粒子の生成が不充分となる傾向があり、長すぎるとポリマー粒子が不安定になる傾向がある。
さらに、上記工程[II]において、高速撹拌装置により巻き込まれる気体は、ピッカリング粒子に内包される気体となる。このような気体としては、特に限定されないが、常温(25℃±10℃)・常圧下において気体であればよく、例えば、大気中の空気や、ヘリウム、水素、窒素、一酸化炭素、酸素、メタン、一酸化窒素、エタン、エチレン、プロパン、オゾン、二酸化炭素等があげられる。上記気体は単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
このようにして得られるピッカリング粒子は、例えば、図2に示すように、多数のポリマー粒子が外殻を形成し、その外殻により気体が内包されるようになる。
上記ピッカリング粒子の平均粒子径は、30nm〜30μmであることが好ましく、さらに150nm〜15μm、特に300nm〜3μmである。ピッカリング粒子の平均粒子径が大きすぎると、ピッカリング粒子が不安定になる傾向があり、ピッカリング粒子の平均粒子径が小さすぎると、ピッカリング粒子の数が増え、ピッカリング粒子を形成するためのポリマー粒子が多くなり、ポリマー粒子を均一に分散することが難しくなる傾向がある。
上記ピッカリング粒子の平均粒子径は、レーザー顕微鏡(VK−8510:キーエンス社製)、走査型電子顕微鏡(VE−9800:キーエンス社製)により観察・撮影した画像から、200個のピッカリング粒子径を測定し、それから個数平均を算出することにより得られる。
<気体内包粒子>
上記ピッカリング粒子の粒子界面上にポリマー層を形成することによって、本発明の気体内包粒子が得られる。例えば、図1(a)に示すピッカリング粒子を用い、図1(b)に示すように、このピッカリング粒子を構成するポリマー粒子1にモノマー成分3を吸油させ、図1(c)に示すように、この吸油したモノマー成分3が重合することによって、ピッカリング粒子の粒子界面上にポリマー層4が形成され、本発明の新規な気体内包粒子が得られる。
〈気体内包粒子の製造方法〉
本発明の気体内包粒子は、前記工程[II]において得られる、ピッカリング粒子を用い、下記の工程[III]〜[V]を経ることにより、ピッカリング粒子の粒子界面上にポリマー層が形成された気体内包粒子を製造することができる。
[III]ピッカリング粒子の界面に界面活性剤を吸着させる工程。
[IV]界面活性剤の吸着層(疎水基層)に、モノマー成分、及び重合開始剤を吸油させる工程。
[V]吸油したモノマー成分を重合させポリマー層を形成させる工程。
上記工程[III]における界面活性剤としては、イオン性界面活性剤であることが好ましく、かかるイオン性界面活性剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及び両性イオン界面活性剤等の界面活性剤があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
上記アニオン性界面活性剤としては、例えば、オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油カリ石けん等の脂肪酸油、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、環状ペプチド構造を有する生分解性界面活性剤(カネカ社製「カネカ・サーファクチン(SFNa)」) 等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
上記カチオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
上記両性イオン界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミンオキサイド等があげられる。
界面活性剤の含有量は、ピッカリング粒子分散液中のピッカリング粒子(ポリマー粒子)1重量部に対し、0.1〜10重量部であることがピッカリング粒子に電荷を付与する点から好ましい。
上記工程[III]において、上記界面活性剤をピッカリング粒子の界面に吸着させる方法としては、前記工程[II]において得られたピッカリング粒子分散液に、界面活性剤を添加し、撹拌することにより吸着させる方法があげられる。撹拌方法としては、特に限定されないが、例えば、パドル型、タービン型、インペラ型等の棒・板・プロペラ状の撹拌子が槽内で回転する装置を用いた、撹拌翼による撹拌方法や、ローターとステーターから構成される装置を用いた方法、ステティックミキサー、バイプロミキサー、ホモジナイザー、ホモミキサー等の公知の分散機を用いた方法等があげられる。これらの中でも、撹拌翼による撹拌方法が好ましい。また、邪魔板付重合缶を使用してもよい。
撹拌条件としては、特に限定されないが、例えば、常温・常圧下において、回転速度が10〜600rpmであることが好ましく、特に20〜400rpmであることが好ましい。撹拌時間は10分〜3時間であることが好ましく、特に30分〜2時間であることが好ましい。
上記工程[IV]において、界面活性剤の吸着層に、モノマー成分、及び必要に応じて重合開始剤を吸油させるが、この吸油においては、好ましくは、イオン性界面活性剤と、イオン性重合開始剤を用いて、そのイオン性から、静電的相互作用を利用して行われる。なお、モノマー成分の水への溶解度が低ければ、静電的相互作用を要せずとも吸油することもできる。
上記モノマー成分としては、例えば、ポリマー粒子を構成するモノマー成分として例示する前記単官能モノマーや多官能モノマーがあげられ、中でも単官能モノマーが重合安定性の点から好ましく用いられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
上記モノマー成分の含有量は、ピッカリング粒子分散液中のピッカリング粒子(ポリマー粒子)1重量部に対し、0.2〜30重量部であることが好ましく、特には0.5〜20重量部であることが好ましく、更には1〜10重量部であることが好ましい。かかるモノマー成分の含有量が少なすぎるとシェル構造が不充分となる傾向があり、多すぎるとシェル層が厚くなり気体内包粒子の内包率が低下する傾向になる。
上記重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、4,4’−アゾビス−4−シアノバレリックアシッドのアンモニウム(アミン)塩、2,2’−アゾビス(2−メチルアミドオキシム)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−メチルブタンアミドオキシム)ジヒドロクロライドテトラヒドレート、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル〕−プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド〕等のアゾ系化合物;過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の無機過酸化物;アルキルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、p−メタンヒドロパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクロルベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、ジ−イソブチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、過酸化水素等の有機過酸化物;各種レドックス系触媒(この場合酸化剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、p−メタンハイドロパーオキサイド等が、還元剤としては亜硫酸ナトリウム、酸性亜硫酸ナトリウム、ロンガリット、アスコルビン酸等が用いられる。)が挙げられる。中でもイオン性重合開始剤が好ましく、具体例としては、2,2’−アゾビス(2−メチルアミドオキシム)ジヒドロクロライド、4,4’−アゾビス−4−シアノバレリックアシッドのアンモニウム(アミン)塩や、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の無機過酸化物があげられる。
重合開始剤の含有量は、ピッカリング粒子分散液中のピッカリング粒子(ポリマー粒子)1重量部に対し、0.05〜5重量部であることが重合安定性の点から好ましい。
上記工程[V]においてモノマー成分を重合させるには、上記工程[IV]において得られた、モノマー成分等が界面活性剤の吸着層に吸油しているピッカリング粒子を、常圧下、40〜100℃の温度範囲において、10〜600rpmの回転速度で、3〜10時間撹拌することが好ましい。
上記撹拌方法としては、特に限定されないが、上記工程[III]において例示した方法があげられる。例えば、パドル型、タービン型、インペラ型等の棒・板・プロペラ状の撹拌子が槽内で回転する装置を用いた、撹拌翼による撹拌方法や、ローターとステーターから構成される装置を用いた方法、スタティックミキサー、バイプロミキサー、ホモジナイザー、ホモミキサー等の公知の分散機を用いた方法等があげられる。これらの中でも、撹拌翼による撹拌方法が好ましい。また、邪魔板付重合缶を使用してもよい。
このようにして、図3(a)に示すように、ピッカリング粒子界面上にポリマー層が形成され、図3(b)の粒子断面図に示すように、気体を内包する気体内包粒子が得られる。
上記気体内包粒子の平均粒子径は、前記ピッカリング粒子の平均粒子径と大きく変わらないものであり、30nm〜30μmであることが好ましく、さらに150nm〜15μm、特に300nm〜3μmであることが好ましい。なお、気体内包粒子は、前記ピッカリング粒子と同様に、レーザー顕微鏡、走査型電子顕微鏡により観察できる。
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中「%」及び「部」とあるのは重量基準を意味する。
〔実施例1〕
〈ポリマー粒子(A−1)を用いたピッカリング粒子〉
スチレン10部、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.6部を混合、撹拌することによりモノマー溶液を調製した。
次に、セパラブルフラスコに、エタノール50部、イオン交換水40部、ポリビニルピロリドン(和光純薬工業社製、PVP K90:重量平均分子量36万)1.8部を溶解、撹拌し、ポリビニルピロリドン溶液を調製した。
撹拌機、ジャケット、還流冷却機及び温度計を備えた重合器を用意し、この重合器内に、上記モノマー溶液、ポリビニルピロリドン溶液を一括投入した後、100rpmにて撹拌し、重合器を70℃まで昇温して、重合反応を開始した。上記重合反応を70℃で8時間かけて行なった後、重合器を室温(25℃)まで冷却することにより、ポリマー粒子(A−1)分散液を得た。ポリマー粒子(A−1)の平均粒子径は0.3μm、Cv値は15.7だった。
ポリマー粒子(A−1)分散液を遠心分離機にて、ポリマー粒子と分散液を分離し、上澄みの分散液をイオン交換水により置換し、置換後ポリマー粒子分散液を得た。
置換後ポリマー粒子分散液が0.5%濃度になるようにイオン交換水で調整した。
この分散液をロータ・ステータ型ホモジナイザー(ローター径28mm、ステータ径32mm)により空気を巻き込みながら周先端速度20m/sec、13分で高速撹拌し、ピッカリング粒子を得た。
得られたピッカリング粒子は、平均粒子径1.9μmのピッカリング粒子であった。2週間静置させてもこの状態に変化は無かった。
〔実施例2〕
〈ポリマー粒子(A−2)を用いたピッカリング粒子〉
上記実施例1のポリマー粒子(A−1)において、エタノール60部、イオン交換水30部に変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリマー粒子(A−2)を調製した。得られたポリマー粒子(A−2)の平均粒子径は0.6μm、Cv値は14.9であった。
このポリマー粒子(A−2)を用いて、ピッカリング粒子を形成させたところ、平均粒子径3.0μmのピッカリング粒子を得た。
〔実施例3〕
〈ポリマー粒子(A−3)を用いたピッカリング粒子〉
上記実施例2のポリマー粒子(A−2)において、ポリビニルピロリドン(PVP K90)1.8部を、ポリビニルピロリドン(和光純薬工業社製、PVP K30:重量平均分子量4万)3.6部に変更した以外は、実施例2と同様にして、ポリマー粒子(A−3)を調製した。得られたポリマー粒子(A−3)の平均粒子径は0.7μm、Cv値は12.7であった。
このポリマー粒子(A−3)を用いて、ピッカリング粒子を形成させたところ、平均粒子径3.6μmのピッカリング粒子を得た。
〔実施例4〕
〈ポリマー粒子(A−4)を用いたピッカリング粒子〉
上記実施例2のポリマー粒子(A−2)において、ポリビニルピロリドン1.8部を、0.5部に変更した以外は、実施例2と同様にして、ポリマー粒子(A−4)を調製した。得られたポリマー粒子(A−4)の平均粒子径は0.6μm、Cv値は14.6だった。
このポリマー粒子(A−4)を用いて、ピッカリング粒子を形成させたところ、平均粒子径3.3μmのピッカリング粒子と、平均粒子径約10μmのピッカリング粒子凝集体を得た。
〔実施例5〕
〈ポリマー粒子(B−1)を用いたピッカリング粒子〉
スチレン10部、過硫酸カリウム1部、水100部を混合し、モノマー分散液を調製した。
撹拌機、ジャケット、還流冷却機及び温度計を備えた重合器を用意し、この重合器内に、上記モノマー分散液を、100rpmにて撹拌し、重合器を70℃まで昇温して、重合反応を開始した。上記重合反応を70℃で8時間かけて行なった後、重合器を室温(25℃)まで冷却することにより、ポリマー粒子(B−1)分散液を得た。ポリマー粒子(B−1)の平均粒子径は0.4μm、Cv値は28.1だった。
ポリマー粒子(B−1)分散液を遠心分離機にて、ポリマー粒子と分散液を分離し、上澄みの分散液をイオン交換水により置換し、置換後ポリマー粒子分散液を得た。
置換後ポリマー粒子分散液が0.5%濃度になるようにイオン交換水で調整した。
この分散液をロータ・ステータ型ホモジナイザー(ローター径28mm、ステータ径32mm)により空気を巻き込みながら周先端速度20m/sec、13分で高速撹拌し、ピッカリング粒子を得た。
得られたピッカリング粒子は、平均粒子径2.2μmのピッカリング粒子であり、その個数密度は低かった。
〔実施例6〕
実施例5のポリマー粒子(B−1)において、水100部を200部に変更した以外は、実施例5と同様にして、ポリマー粒子(B−2)を調製した。得られたポリマー粒子(B−2)の平均粒子径は0.3μm、Cv値は13.3であった。
このポリマー粒子(B−2)を用いて、ピッカリング粒子を形成させたところ、平均粒子径2.2μmのピッカリング粒子であり、個数密度は高かった。
〔比較例1:ポリマー粒子なし〕
部分けん化ポリビニルアルコール(和光純薬工業社製、PVA500:重合度500)を10%水溶液になるように調製した。ロータ・ステータ型ホモジナイザーで7,000rpm、13分撹拌し、充分な泡を形成させた。気泡は、観察中に消失し、安定化した気泡は得られなかった。
〔比較例2:ポリマー粒子なし〕
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)(関東化学社製)を10%水溶液になるように調製した。ロータ・ステータ型ホモジナイザーで7,000rpm、13分撹拌し、充分な泡を形成させた。気泡は、観察中に消失し、安定化した気泡は得られなかった。
〔実施例7〕
〈気体内包粒子〉
実施例2にて調製したピッカリング粒子分散液200部に、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド(カチオン性界面活性剤)(花王社製、コータミン 24p)を2部添加し、邪魔板4枚が設置されたセパラブルフラスコにおいて、室温(25℃)で6枚羽根ディスクタービンにより300rpmで1時間撹拌した。この作業によりピッカリング粒子の界面に、カチオン性界面活性剤を吸着させた。そして、過硫酸カリウム(KPS)(アニオン性重合開始剤)1部とメタクリル酸メチル(MMA)モノマー4部を添加し、6枚羽根ディスクタービンにより300rpm、恒温槽温度70℃で、6時間重合を行った。
得られた粒子を乾燥し、マイクロトーム(リトラトームREM−710:大和光機工業社製)を用いて粒子をスライスし、断面を走査型電子顕微鏡で観察した。その結果、粒子内部に空隙が確認でき、気体内包粒子(中空粒子)が得られたことが分かった。
本発明のピッカリング粒子及びそれを用いた気体内包粒子は、中空構造を有することから、化粧料、塗料等、各種分野において好適に用いられる。また、本発明のピッカリング粒子の製造方法によれば、光拡散性に優れ、断熱性にも優れるピッカリング粒子を安定的に製造することができる。
1 ポリマー粒子
2 気体
3 モノマー成分
4 ポリマー層

Claims (10)

  1. ポリマー粒子により気体が内包されていることを特徴とするピッカリング粒子。
  2. 平均粒子径が30nm〜30μmであることを特徴とする請求項1記載のピッカリング粒子。
  3. ポリマー粒子の平均粒子径が10nm〜10μmであることを特徴とする請求項1または2記載のピッカリング粒子。
  4. ポリマー粒子の平均粒子径に対する標準偏差の割合(Cv値)が、30以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のピッカリング粒子。
  5. ポリマー粒子が水溶性高分子で安定化されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のピッカリング粒子。
  6. 水溶性高分子の含有量が、ポリマー粒子を構成するモノマー成分の合計量100重量部に対して0.5〜50重量部であることを特徴とする請求項5記載のピッカリング粒子。
  7. 水溶性高分子がポリビニルピロリドンであることを特徴とする請求項5または6記載のピッカリング粒子。
  8. ポリマー粒子が重量平均分子量10,000以上の水溶性高分子を含まずに安定化されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のピッカリング粒子。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載のピッカリング粒子を製造する方法であって、ポリマー粒子の分散液を周先端速度5〜30m/secの撹拌条件で撹拌する工程を備えることを特徴とするピッカリング粒子の製造方法。
  10. 請求項1〜8のいずれか一項に記載のピッカリング粒子の粒子界面上にポリマー層を形成することを特徴とする気体内包粒子。
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