JP2013059550A - 生体吸収性複合中空粒子及びその製造方法 - Google Patents

生体吸収性複合中空粒子及びその製造方法 Download PDF

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Tsutomu Furuzono
勉 古薗
Masahiro Okada
正弘 岡田
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康充 小粥
Hideki Takamori
秀樹 高森
Shojiro Matsuda
晶二郎 松田
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【課題】本発明の目的は、生体吸収性高分子からなる中空粒子の表面のみに無機粒子が吸着した生体吸収性複合中空粒子、及びその製造方法を提供することである。
【解決手段】疎水性溶媒中に生体吸収性高分子を5重量%以上の濃度で溶解させた疎水性溶液、無機粒子、及び親水性溶液を含む混合液に対して、ホモジナイザーを用いて3.8m/s以上の速度で撹拌してピッカリングエマルジョンを形成させた後に、当該ピッカリングエマルジョンから疎水性溶媒を除去することにより、生体吸収性高分子からなる中空粒子の表面のみに無機粒子が吸着した生体吸収性複合中空粒子が製造できる。
【選択図】なし

Description

本発明は、生体吸収性高分子からなる中空粒子の表面に無機粒子が吸着した生体吸収性複合中空粒子に関する。更に、本発明は、当該生体吸収性複合中空粒子の製造方法に関する。
近年、細胞の再生機能を有効に活用して組織や臓器の機能を再生させる再生医療の技術がめざましく進歩している。再生医療において、培養細胞を用いて機能低下や機能不全に陥った組織・臓器の再生を行う際には、投与される培養細胞を担持させるための細胞移植用スキャホールド(細胞担体)が不可欠である。
ハイドロキシアパタイト等の無機物は、生体適合性が高く、しかも細胞の接着と増殖をも可能にするため、細胞移植用スキャホールドに使用されている。また、無機物には、強度や靱性が低いという欠点があり、この欠点を補うために、無機物と生体吸収性高分子を複合化させた複合粒子が開発されている。例えば、特許文献1には、ポリエステル又は極性末端基を含む重合体により形成された支持体表面に、カルシウム塩によって形成されたナノ粒子が固定化されてなる非球形微粒子が開示されている。
一方、無機物と生体吸収性高分子からなる複合粒子を細胞移植用スキャホールドとして使用する場合、その基本性能として、治療の効果が求められる期間は複合粒子に無機粒子が保持されており、その期間を過ぎたら速やかに消失することが必要とされる。生体内での上記複合粒子の分解は、表面から無機物が剥離することから進行し、最終的に粒子にクラックが入り、崩壊するという経緯で起こる。そのため、特許文献1が開示する非球形微粒子のように中空構造を採らない場合には、粒子にクラックが入り難く、所定期間経過後でも生体内に残存し易くなるという欠点がある。
また、無機物と樹脂を複合化させた中空粒子についても報告されている。例えば、特許文献2には、低沸点有機溶剤を内包する熱可塑性樹脂マイクロカプセルを加熱膨脹させてなるマイクロバルーンの表面にバインダー樹脂を介して無機物微粒子を固着させることにより、無機物微粒子と樹脂とを複合化させた中空粒子を製造できることが開示されている。また、特許文献3には、炭酸カルシウム及び有機高分子化合物を含む有機溶媒を水中または水溶性高分子を含有する水溶液中に投入し、酸の存在下で撹拌することにより、有機高分子化合物と炭酸カルシウムとの複合物を主成分として内部に空洞を有する略球状の高分子複合体粒子を製造できることが開示されている。しかしながら、特許文献2及び3で得られる複合粒子は、中空構造を形成する樹脂の内部まで無機物が入り込んだ状態になっている。このような状態の複合粒子では、粒子の密度が高くなり沈殿し易い、或いは生体内での分解性が低い無機物が粒子全体に分散しているので、複合粒子の分解が遅くなる等の欠点があり、細胞移植用スキャホールドとして適切な生体内挙動を示し難くなっている。
このような従来技術を背景として、生体内で適切な分解挙動を示す細胞移植用スキャホールドの開発、より具体的には、生体吸収性高分子からなる中空粒子の表面のみに無機粒子が吸着した生体吸収性複合中空粒子の開発が切望されている。
特開2010−235686号公報 特開平6−240040号公報 特開2005−559号公報
本発明は、生体吸収性高分子からなる中空粒子の表面のみに無機粒子が吸着した生体吸収性複合中空粒子、及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、驚くべきことに、疎水性溶媒中に生体吸収性高分子を5重量%以上の濃度で溶解させた疎水性溶液、無機粒子、及び親水性溶液を含む混合液に対して、ホモジナイザーを用いて3.8m/s以上の速度で撹拌してピッカリングエマルジョンを形成させた後に、当該ピッカリングエマルジョンから疎水性溶媒を除去することにより、生体吸収性高分子からなる中空粒子の表面のみに無機粒子が吸着した生体吸収性複合中空粒子が製造できることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて更に検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる生体吸収性複合中空粒子及びその製造方法を提供する。
項1. 生体吸収性高分子からなる中空粒子の表面に無機粒子が吸着した生体吸収性複合中空粒子の製造方法であって、
疎水性溶媒中に生体吸収性高分子を5重量%以上の濃度で溶解させた疎水性溶液、無機粒子、及び親水性溶液を含む混合液に対して、ホモジナイザーを用いて3.8m/s以上の速度で撹拌してピッカリングエマルジョンを形成させる第1工程、及び
前記第1工程で形成されたピッカリングエマルジョンから疎水性溶媒を除去して、生体吸収性複合中空粒子を回収する第2工程
を含む、生体吸収性複合中空粒子の製造方法。
項2. 前記第1工程における撹拌が、4.5〜8m/sの撹拌速度で行われる、項1に記載の製造方法。
項3. 前記生体吸収性高分子が、乳酸−グリコール酸共重合体、及び/又はポリ乳酸である、項1又は2に記載の製造方法。
項4. 前記無機粒子が、ハイドロキシアパタイトである、項1〜3の何れかに記載の製造方法。
項5. 生体吸収性高分子からなる中空粒子の表面に無機粒子が吸着されていることを特徴とする、生体吸収性複合中空粒子。
項6. 項1〜4の何れかに記載の製造方法で得られる、生体吸収性複合中空粒子。
本発明の生体吸収性複合中空粒子は、生体吸収性高分子からなる中空構造の粒子の表面のみに無機粒子が吸着しているので、細胞を定着させて増殖させる特性と、生体内で所定期間が経過した後に速やかに崩壊して消失する特性を兼ね備えており、細胞移植用スキャホールド等の医用材料として好適に使用できる。また、本発明の複合中空粒子は、中空部分に各種薬剤を内包させることもでき、細胞の担持だけでなく薬剤の徐放も可能になっているので、医用材料としての有用性が極めて高い。
また、本発明の生体吸収性複合中空粒子の製造方法によれば、生体吸収性高分子からなる中空構造の粒子の表面に無機粒子を均一に吸着させることができ、更には無機粒子による被覆率を略100%にまで高めることもできるので、高品質な生体吸収性複合中空粒子の提供が可能になる。
(a)に実施例1で得られた複合中空粒子を光学顕微鏡により観察結果、(b)に実施例2で得られた複合中空粒子を光学顕微鏡により観察結果を示す。 (a)に実施例1で得られた複合中空粒子をデジタルカメラにより観察結果、(b)に実施例2で得られた複合中空粒子をデジタルカメラにより観察結果を示す。 (a)に実施例1で得られた複合中空粒子を走査電子顕微鏡により観察結果、(b)に実施例2で得られた複合中空粒子を走査電子顕微鏡により観察結果を示す。 (a)に実施例1で得られた複合中空粒子の表面を走査電子顕微鏡(5,000倍)により観察結果、(b)に実施例2で得られた複合中空粒子の表面を走査電子顕微鏡(10,000倍)を走査電子顕微鏡により観察結果を示す。 (a)に実施例1で得られた複合中空粒子の表面を走査電子顕微鏡(10,000倍)により観察結果、(b)に実施例2で得られた複合中空粒子の表面を走査電子顕微鏡(50,000倍)を走査電子顕微鏡により観察結果を示す。 (a)に実施例1で得られた複合中空粒子(硝酸処理後)の層構造を走査電子顕微鏡により観察結果、(b)に実施例1で得られた複合中空粒子(硝酸処理前)の層構造を走査電子顕微鏡により観察結果を示す。 実施例1で得られた複合中空粒子、ハイドロキシアパタイト粒子、及び乳酸−グリコール酸共重合体について、FT−IR分析を行った結果を示す。 実施例1で得られた複合中空粒子、ハイドロキシアパタイト粒子、乳酸−グリコール酸共重合体、及び比較例1で得られた複合非中空粒子について、示差熱-熱重量同時測定を行った結果を示す。
1.複合中空粒子
本発明の生体吸収性複合中空粒子は、生体吸収性高分子からなる中空粒子の表面に無機粒子が吸着した構造の粒子であることを特徴とする。以下、本発明の生体吸収性複合中空粒子について詳述する。なお、以下、用語「生体吸収性複合中空粒子」を単に「複合中空粒子」と略記する。
本発明で使用される生体吸収性高分子は、生体内で分解・吸収される高分子化合物である限り特に制限されないが、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸−グリコール酸共重合体、乳酸−εカプロラクトン共重合体、グリコール酸−εカプロラクトン共重合体、ポリジオキサノン、グリコール酸−トリメチレンカーボネート共重合体、ポリ−3−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸−ヒドロキシ吉草酸共重合体、ポリブチレンサクシネート、ポリεカプロラクトン、セルロース、酢酸セルロース、ポリエチレンサクシネート、ポリエステルアミド、ポリアミド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリカーボネート、キチン、キトサン、デンプン、ポリグルタミン酸、ポリジオキサノン、シアノアクリレート重合体、ヒアルロン酸、ポリリンゴ酸、ポリコハク酸ブチレン、変性ポリエステル等が挙げられる。これらの生体吸収性高分子は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの生体吸収性高分子の中でも、中空構造の形成能に優れ、無機粒子に対する一層均一な表面吸着作用に優れるという観点から、好ましくは脂肪族ポリエステル系高分子、更に好ましくは乳酸−グリコール酸共重合体及びポリ乳酸、乳酸−εカプロラクトン共重合体、グリコール酸−εカプロラクトン共重合体、特に好ましくは乳酸−グリコール酸共重合体が挙げられる。
また、本発明に使用される生体吸収性高分子の重量平均分子量については、生体吸収性高分子の種類等に応じて適宜設定され、特に制限されるものではないが、例えば、50,000〜700,000、好ましくは100,000〜300,000が挙げられる。本発明において、生体吸収性高分子の重量平均分子量は、GPC分析により算出される値である。
より具体的には、乳酸−グリコール酸共重合体を使用する場合であれば、その平均分子量として、50,000〜700,000、好ましくは100,000〜300,000、更に好ましくは150,000〜200,000が挙げられる。また、乳酸−グリコール酸共重合体における構成モノマーの比率についても、特に制限されないが、例えば、乳酸1モル当たり、グリコール酸が通常0.01〜50モル、好ましくは0.05〜20モル、更に好ましくは0.1〜10モルが挙げられる。このような平均分子量及び比率を充足する乳酸−グリコール酸共重合体を使用することにより、中空構造を形成能及び無機粒子に対する表面吸着作用を一層有効に発揮させることが可能になる。
また、ポリ乳酸を使用する場合であれば、その重量平均分子量として、50,000〜500,000、好ましくは100,000〜300,000、更に好ましくは150,000〜200,000が挙げられる。このような平均分子量を充足するポリ乳酸を使用することにより、中空構造を形成能及び無機粒子に対する表面吸着作用を一層有効に発揮させることが可能になる。
本発明の複合中空粒子において、生体吸収性高分子の含有割合としては、特に制限されないが、例えば、当該複合中空粒子の総重量当たり、80〜99質量%、好ましくは85〜97質量%、更に好ましくは90〜95質量%が挙げられる。
また、本発明で使用される無機粒子を構成する無機化合物の種類については、特に制限されないが、例えば、リン酸カルシウム、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニア、酸化鉄、酸化錫、酸化亜鉛、金、銀、パラジウム、白金、カーボンブラック、炭酸カルシウム、クレイ(例えば、モンモリロナイト)等が挙げられる。これらの無機化合物は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの無機化合物の中でも、好ましくはリン酸カルシウムが挙げられる。
リン酸カルシウムとしては、具体的には、ハイドロキシアパタイト(Ca10(PO(OH))、リン酸トリカルシウム(Ca(PO)、メタリン酸カルシウム(Ca(PO)、フッ化アパタイト(Ca10(PO)、クロロアパタイト(Ca10(POCl)等が挙げられる。これらのリン酸カルシウムは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらのリン酸カルシウムの中でも、後述する製造方法の第1工程において生体高分子を良好に分散させてピッカリングエマルジョンにする作用に優れ、生体吸収性高分子に対する吸着性、生体適合性、移植用細胞の保持・増殖性等にも優れているという観点から、好ましくはハイドロキシアパタイトが挙げられる。
また、これらの無機化合物は、焼結処理に供された焼結物であることが好ましい。上記無機化合物の焼結物を使用することにより、耐熱性や化学的安定性を備えさせることが可能になる。
本発明で使用される無機粒子の平均粒子径については、無機粒子を構成する無機化合物の種類や本発明の複合中空粒子の用途等に応じて適宜設定されるが、後述する製造方法の第1工程において生体高分子を良好に分散させてピッカリングエマルジョンにする作用を高め、生体吸収性高分子に対する吸着性を向上させるという観点から、10〜1000nm、好ましくは10〜800nm、更に好ましくは15〜500nmが挙げられる。当該平均粒子径は、走査型電子顕微鏡を用いて、無機粒子50個以上の粒径を測定し、平均値を算出することにより求められる値である。このような粒子径の無機粒子は、例えば、湿式法、水熱法、熱分解法、ゾルゲル法、アルコキシド法等の製法によって得ることができる。
本発明の複合中空粒子において、無機粒子の含有割合としては、特に制限されないが、例えば、当該複合中空粒子の総重量当たり、1〜20質量%、好ましくは3〜15質量%、更に好ましくは5〜10質量%が挙げられる。
本発明の複合中空粒子の平均粒径については、当該複合中空粒子の用途等に応じて適宜設定されるが、例えば1〜1000μm、好ましくは5〜500μmが挙げられる。平均粒径は、光学顕微鏡を用いて、本発明の複合中空粒子50個以上の粒径を測定し、平均値を算出することにより求められる値である。また、本発明の複合中空粒子における粒度分布としては、例えば、全粒子に対する75μm以上300μm未満の粒子の割合が5〜100%、好ましくは10〜100%が挙げられる。これらの粒度分布は、走査型電子顕微鏡を用いて測定される。
本発明の複合中空粒子は、生体吸収性高分子からなる中空粒子の表面に無機粒子が吸着した構造を採り、空気からなる核(中空部分)、生体吸収性高分子からなる中間層、及び無機粒子からなる表層を含む三層構造の粒子である。
本発明の複合中空粒子において、生体吸収性高分子からなる層(前記中間層)の厚さ、無機粒子からなる層(前記表層)の厚さについては、特に制限されず、複合中空粒子の粒子径、生体吸収性高分子や無機粒子の含有量等に応じて適宜設定すればよい。
本発明の複合中空粒子は、培養細胞や生体内の細胞や組織に接着し、細胞増殖の足場として使用されるので、医用材料として好適に使用される。医用材料として、具体的には、細胞培養用の担体、骨補充材、軟組織補充材、細胞担持用担体等が例示される。とりわけ、本発明の複合中空粒子は、再生医療等によって細胞を移植する際に、移植細胞を担持させる担体(細胞移植用スキャホールド)として好適である。
また、本発明の複合中空粒子において、接着させる細胞の種類については、特に制限されないが、例えば、ES細胞、iPS細胞、各種間葉系幹細胞、骨髄単核細胞、末梢血単核細胞、血管内皮前駆細胞、血小板、血管内皮細胞、平滑筋細胞、中皮細胞、骨格筋芽細胞、骨芽細胞、前骨芽細胞、線維芽細胞、脂肪細胞、神経細胞等が挙げられる。ES細胞、iPS細胞、及び間葉系幹細胞は分化されたものであってもよい。これらの細胞中でも、好ましくは単核細胞、更に好ましくは骨髄単核細胞が挙げられる。本発明の複合中空粒子に骨髄単核細胞を担持させて、これを細胞製剤として使用することにより、血管新生を顕著に増幅させることができ、より効果的な細胞移植による血管新生療法が可能になる。
本発明の複合中空粒子に上記細胞を接着させる方法としては、特に限定されないが、例えば、複合中空粒子の存在下で細胞を培養し、複合中空粒子と細胞の間の相互作用を介して接着させる方法が挙げられる。
また、本発明の複合中空粒子には、その中空部分に薬剤を充填することができる。このような薬剤としては、例えば、担持させる細胞の増殖や分化を制御する薬剤や、疾患の治療に有効な薬剤等が挙げられる。本発明の複合中空粒子に薬剤を内包させることにより、当該複合中空粒子が適用された患部において薬剤を除放させることが可能になり、当該複合中空粒子に接着している細胞の作用と相まって、一層有効な治療効果を奏することが可能になる。本発明の複合中空粒子の中空部分に薬剤を充填するには、例えば、薬剤を含む溶液中に当該複合中空粒子を含浸させればよい。
2.製造方法
本発明は、更に、生体吸収性高分子からなる中空粒子の表面に無機粒子が吸着した複合中空粒子の製造方法を提供する。本発明の製造方法は、以下に説明する第1工程及び第2工程を含有するものである。
第1工程
第1工程では、疎水性溶媒中に生体吸収性高分子を5重量%以上の濃度で溶解させた疎水性溶液、無機粒子、及び親水性溶液を含む混合液に対して、ホモジナイザーを用いて3.8m/s以上の速度で撹拌してピッカリングエマルジョンを形成させる。
本第1工程において、疎水性溶液に使用される疎水性溶媒としては、生体吸収性高分子を溶解できることを限度として特に制限されないが、例えば、モノクロロメタン、ジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラクロロメタン、トリフルオロ酢酸、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール等のハロゲン系炭化水素;トルエン等が挙げられる。これらの疎水性溶媒は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、生体吸収性高分子による中空構造の形成作用と、無機粒子に対する均一な表面吸着作用をより一層有効に発揮させるという観点から、好ましくはハロゲン系炭化水素、更に好ましくはジクロロメタンが挙げられる。
本第1工程で使用される疎水性溶液において、生体吸収性高分子の含有割合は、5重量%以上であればよく、好ましくは7重量%〜生体吸収性高分子の飽和濃度、更に好ましくは9重量%〜生体吸収性高分子の飽和濃度が挙げられる。このような濃度で生体吸収性高分子を含む疎水性溶液を使用することにより、生体吸収性高分子によって中空構造の粒子を形成することが可能になる。
また、本第1工程で使用される親水性溶液としては、前記疎水性溶液と相溶性のないことを限度として特に制限されず、例えば、水、メタノール、エタノール等が挙げられる。これらの親水性溶液は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、生体吸収性高分子による中空構造の形成作用と、無機粒子に対する均一な表面吸着作用をより一層有効に発揮させるという観点から、好ましくは水が挙げられる。
本第1工程では、先ず、前記疎水性溶液、無機粒子、及び親水性溶液を混合して、混合液を調製する。当該混合液において、前記疎水性溶液、無機粒子、及び親水性溶液の各含有量については特に制限されないが、例えば、前記疎水性溶液は1〜20質量%、好ましくは5〜15質量%、更に好ましくは8〜12質量%;前記無機粒子は、0.05〜2質量%、好ましくは0.1〜1質量%、更に好ましくは0.2〜0.5質量%;前記親水性溶液は78〜98.95質量%、好ましくは84〜94.9質量%、更に好ましくは87.5〜91.8質量%を充足するように設定すればよい。
また、前記混合液の調製において、前記疎水性溶液、無機粒子、及び親水性溶液の添加順序については特に制限されないが、複合中空粒子の表面に無機粒子を一層均一に吸着させるという観点から、前記無機粒子と親水性溶液を混合した後に、これに前記疎水性溶液を添加することが望ましい。また、前記無機粒子と親水性溶液を混合する際には、必要に応じて超音波処理等に供して、無機粒子の凝集を抑制させておくことが望ましい。
本第1工程において、前記混合液に対して、ホモジナイザーを用いて3.8m/s以上で撹拌処理することにより、ピッカリングエマルジョンが形成される。ホモジナイザーによる撹拌速度として、好ましくは4.5〜8m/s、更に好ましくは4.5〜7m/sが挙げられる。また、ホモジナイザーによる撹拌時間としては、例えば0.1分間以上、好ましくは0.5〜5分間、更に好ましくは1〜2分間が挙げられる。このような条件で撹拌を行うことにより、撹拌に供される混合液中で、無機粒子が界面活性を示し、生体吸収性高分子が中空の球状粒子を形成して当該中空部分に疎水性溶媒が封入された状態になると共に、生体吸収性高分子からなる中空粒子の表面に無機粒子が吸着して、ピッカリングエマルジョンが形成される。即ち、上記条件で撹拌処理することにより、疎水性溶媒からなる核層、当該核層を被覆する生体吸収性高分子からなる中間層、及び当該中間層を被覆する無機微粒子からなる表層の3層構造の複合粒子が、親水性溶液に分散した状態のピッカリングエマルジョンが形成される。
第2工程
本第2工程では、前記第1工程で形成されたピッカリングエマルジョンから疎水性溶媒を除去して、複合中空粒子を回収する。
ピッカリングエマルジョンから疎水性溶媒を除去する方法としては、特に制限されず、使用する疎水性溶媒の種類に応じて、常温・常圧で揮散させる方法、分散剤を減圧蒸留により留去する方法、加熱乾燥する方法等の中から適宜設定すればよい。
疎水性溶媒として、ハロゲン系炭化水素を使用する場合であれば、本第2工程における分散媒の除去方法の好適な例として、ホットミル回転台を使用して常温で10〜50rpmの回転速度でハロゲン系炭化水素を揮散させる方法が挙げられる。
本第2工程によって、複合粒子の核層を形成している疎水性溶媒が除去された後、遠心分離、留去等によって親水性溶液を分離することにより、目的物である複合中空粒子が得られる。なお、本第2工程では、疎水性溶媒の除去と共に、親水性溶液の除去も同時に行ってもよい。
斯して回収された複合中空粒子は、超音波処理、エタノールや水等の洗浄液による洗浄処理等の更なる洗浄処理に供してもよい。このような洗浄処理に供することにより、複合中空粒子から、未吸着の無機粒子、中空粒子を形成していない生体吸収性高分子、吸着力が弱い無機粒子等を除去することができる。
以下、実施例を挙げて、本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1:乳酸−グリコール酸共重合体とハイドロキシアパタイトからなる複合中空粒子
1.低結晶性ハイドロキシアパタイト粒子の調製
球状形態の低結晶性ハイドロキシアパタイト粒子を以下に示す湿式法で調製した。なお、Ca(NO4HO及び(NHHPOは、ナカライテスク株式会社製のものを用い、25%アンモニア水は和光純薬工業株式会社製のものを用い、純水としてMilli−Q waterを使用した。
先ず、25%アンモニア水でpHを12に調整したCa(NO水溶液(42mN、80mL)を、冷却管及び半月状撹拌翼を接続した1Lフラスコに注ぎいれ、室温に保った。このフラスコに、アンモニア水でpHを12に調整したNHHPO水溶液(100mN、200mL)を室温にて添加し、10時間反応させた。次に、得られた反応物を遠心分離により分離洗浄することにより、低結晶性ハイドロキシアパタイト粒子を得た。
2.高結晶性ハイドロキシアパタイト粒子の調製
上記で得られた低結晶性ハイドロキシアパタイト粒子を、次に示す方法によって焼成することで高結晶性ハイドロキシアパタイトナノ粒子を作製した。
まず、融着防止剤として、0.5gのポリアクリル酸(ALDRICH社製、重量平均分子量15,000g/mol)を含むpH7.0の水溶液(以下、水溶液A)100mlに、0.5gの低結晶性ハイドロキシアパタイトナノ粒子を分散させることで、同粒子表面にポリアクリル酸を吸着させた。次に、上記で調製した分散液に、水酸化カルシウム〔Ca(OH)〕飽和水溶液500mlを添加することで、同粒子表面にポリアクリル酸カルシウムを析出させた。結果として生じる沈殿物を回収し、減圧下80℃にて乾燥させることで、混合粒子を取得した。
上記混合粒子をルツボに入れ、焼結温度800℃にて一時間焼結を行なった。この際、ポリアクリル酸カルシウムは熱分解し、酸化カルシウム〔CaO〕となった。
次に、上記で調製した水溶液A500mlに得られた焼結体を懸濁し、遠心分離により分離洗浄し、さらに蒸留水に懸濁し、同様に遠心分離により分離洗浄を行なうことによって、融着防止剤および硝酸アンモニウムを除去し、高結晶性ハイドロキシアパタイトナノ粒子を回収した。
得られた高結晶性ハイドロキシアパタイトナノ粒子を走査型電子顕微鏡にて観察して粒子径を測定した結果、同粒子径は48nmであった。なお、走査型電子顕微鏡は、日本電子株式会社製、モデル名JSM-6301Fを用いて、倍率90,000倍で観察を行った。
3.複合中空粒子の調製
乳酸−グリコール酸共重合体からなる中空粒子の表面にハイドロキシアパタイト粒子が吸着した複合中空粒子を以下の方法に従って調製した。なお、乳酸−グリコール酸共重合体は、乳酸とグリコール酸のモル比70:30、重量平均分子量15万、グンゼ株式会社製を用い、純水としてMilli−Q waterを使用した。
上記で得られた高結晶性ハイドロキシアパタイト粒子0.15gを純水50gに分散させ、1分間超音波処理を行った。これに、乳酸−グリコール酸共重合体0.5gをジクロロメタン4.5gに溶解させたジクロロメタン溶液5gを添加して、ホモジナイザー(ローター径6.1mm、Dispergierantried T10 basic;IKA社製)で撹拌速度14,500rpm(周速度4.63m/s)で1分間撹拌することにより、ピッカリングエマルジョンを形成させた。次に、得られたピッカリングエマルジョンに対して、ポットミル回転高架台(ANZ−51S;日陶科学株式会社製)にて20rpmの速度で室温で24時間回転させながら、ジクロロメタンを除去して、複合中空粒子の分散液を得た。
次いで、複合中空粒子の分散液を遠心分離(300rpm、2分間)した後、上澄みを除去して沈殿物(複合中空粒子)を回収した。回収した沈殿物にエタノールに添加して、30秒間の超音波処理を行った後に、遠心分離(300rpm、2分間)により、沈殿物(複合中空粒子)を回収した(エタノール洗浄)。得られ沈殿物に対して、再度4回繰り返し行った後に乾燥することにより、複合中空粒子を得た(収率13.8%)。
実施例2:ポリ乳酸とハイドロキシアパタイトからなる複合中空粒子−1
乳酸−グリコール酸共重合体0.5gをジクロロメタン4.5gに溶解させたジクロロメタン溶液5gの代わりに、ポリ乳酸(ポリL−乳酸、重量平均分子量15万、グンゼ株式会社製)0.5gをジクロロメタン4.5gに溶解させたジクロロメタン溶液5gを用いる以外は、上記実施例1と同様の条件で、複合中空粒子を調製した(収率17.1%)。得られた複合中空粒子を走査型電子顕微鏡にて観察して粒度分布を測定したところ、75μm以上300μm未満の粒子の割合が約39%、300μm以上1000μm未満の粒子の割合が約61%であった。
実施例3:ポリ乳酸とハイドロキシアパタイトからなる複合中空粒子−2
乳酸−グリコール酸共重合体0.5gをジクロロメタン4.5gに溶解させたジクロロメタン溶液5gの代わりに、ポリ乳酸(ポリL−乳酸、重量平均分子量15万、グンゼ株式会社製)0.25gをジクロロメタン4.5gに溶解させたジクロロメタン溶液4.75gを用いる以外は、上記実施例1と同様の条件で、複合中空粒子を調製した(収率3.63%)。得られた複合中空粒子を走査型電子顕微鏡にて観察して粒度分布を測定したところ、75μm以上300μm未満の粒子の割合が約100%であった。
実施例4:ポリ乳酸とハイドロキシアパタイトからなる複合中空粒子−3
乳酸−グリコール酸共重合体0.5gをジクロロメタン4.5gに溶解させたジクロロメタン溶液5gの代わりに、ポリ乳酸(ポリL−乳酸、重量平均分子量15万、グンゼ株式会社製)0.25gをジクロロメタン4.5gに溶解させたジクロロメタン溶液4.75gを用い、ピッカリングエマルジョンを形成させるためのホモジナイザーの撹拌速度を20,500rpm(周速度6.54m/s)に変更する以外は、上記実施例1と同様の条件で、複合中空粒子を調製した(収率7.52%)。得られた複合中空粒子を走査型電子顕微鏡にて観察して粒度分布を測定したところ、75μm以上300μm未満の粒子の割合が約9%、300μm以上1000μm未満の粒子の割合が約91%であった。
実施例5:ポリ乳酸とハイドロキシアパタイトからなる複合中空粒子−4
乳酸−グリコール酸共重合体0.5gをジクロロメタン4.5gに溶解させたジクロロメタン溶液5gの代わりに、ポリ乳酸(ポリL−乳酸、重量平均分子量15万、グンゼ株式会社製)0.5gをジクロロメタン4.5gに溶解させたジクロロメタン溶液5gを用い、ハイドロキシアパタイト粒子の使用量を0.3gに変更し、且つピッカリングエマルジョンを形成させるためのホモジナイザーの撹拌速度を20,500rpm(周速度6.54m/s)に変更する以外は、上記実施例1と同様の条件で、複合中空粒子を調製した(収率7.29%)。得られた複合中空粒子を走査型電子顕微鏡にて観察して粒度分布を測定したところ、75μm以上300μm未満の粒子の割合が約12%、300μm以上1000μm未満の粒子の割合が約88%であった。
比較例1:乳酸−グリコール酸共重合体とハイドロキシアパタイトからなる複合非中空粒子
乳酸−グリコール酸共重合体0.5gをジクロロメタン4.5gに溶解させたジクロロメタン溶液5gの代わりに、ポリ乳酸(ポリL−乳酸、重量平均分子量15万、グンゼ株式会社製)0.05gをジクロロメタン4.5gに溶解させたジクロロメタン溶液5gを用いる以外は、上記実施例1と同様の条件で、複合粒子を調製した。
試験例1:複合中空粒子の外観表面の評価
実施例1及び2で得られた複合中空粒子を、光学顕微鏡(ECLIPSE TE−V;ニコン株式会社製)、デジタルカメラ(Caplio GX100;株式会社リコー製)及び走査電子顕微鏡(JSM−6301F;日本電子株式会社製)を用いて観察した。
なお、走査電子顕微鏡の観察に使用した複合中空粒子のサンプルは、以下の手順に従って作製した。先ず、実施例1及び2で得られた複合中空粒子を1質量%となるようにエタノールに分散させて、エタノール分散体を得た。次いで、ステンレス製の試料台にカーボンテープを用いて固定したカバーガラス上に上記エタノール分散体を滴下し、60℃にて乾燥した後に、スパッタコーターを用いて金をコーティングすることにより作製した。
光学顕微鏡による観察結果を図1、デジタルカメラによる観察結果を図2、及び走査電子顕微鏡による観察結果を図3、及び走査電子顕微鏡により複合中空粒子の表面を拡大倍率で観察した結果を図4−5に示す。図1〜3に示されるように、実施例1及び2で得られた複合中空粒子は、均質な球状であることが確認された。また、目視及び図2の結果から、実施例1及び2で得られた複合中空粒子は、半透明であることも確認された。更に、図4−5から分かるように、実施例1及び2で得られた複合中空粒子は、表面には均一且つ単層でヒドロキシアパタイトがコーティングされており、ヒドロキシアパタイトの被覆率は略100%であることも明らかとなった。
試験例2:複合中空粒子の構造評価
以下に示す方法で、実施例1で得られた複合中空粒子の構造を評価した。先ず、実施例1で得られた複合中空粒子を10mMの硝酸水溶液に添加して、1分間超音波処理を行うことにより、複合中空粒子に含まれるハイドロキシアパタイトを除去した(硝酸処理)。次いで、純水で洗浄して、硝酸処理後の複合中空粒子を回収した。その後、試験例2において走査電子顕微鏡の観察に使用したサンプルと同じ前処理を行って、観察用のサンプルを作成し、これを走査電子顕微鏡(JSM−6301F;日本電子株式会社製)を用いて観察した。
得られた結果を図6に示す。図6の(a)に、硝酸処理を行った複合中空粒子の観察結果を示す。この結果から、実施例1で得られた複合中空粒子は、核(中空部分)、生体吸収性高分子からなる中間層、及び無機粒子からなる表層の三層構造を有していることが確認された。また、硝酸処理前の複合中空粒子の中で亀裂を生じている粒子特定し、これを走査電子顕微鏡で観察したところ、同様に、三層構造を確認できた(図6の(b)参照)。また、比較例1で得られた複合粒子についても、同様に構造評価を行ったところ、乳酸−グリコール酸共重合体を核層として当該核層がハイドロキシアパタイトで覆われた非中空構造であることが確認された。
試験例3:複合中空粒子のFT−IRによる評価
以下に示す方法で、実施例1で得られた複合中空粒子についてフーリエ変換赤外分光光度計を用いて分析した。実施例1で得られた複合中空粒子0.002gと、粉末状になるまで細かく砕いた臭化カリウム0.2gを十分に混ぜた後、FT−IR(Spectrum One;株式会社パーキンエルマージャパン製)にて分析を行った。また、比較のために、実施例1で調製したヒドロキシアパタイト粒子、及び乳酸−グリコール酸共重合体(乳酸とグリコール酸のモル比70:30、重量平均分子量15万、グンゼ株式会社製)についても、同様に分析を行った。
得られた結果を図7に示す。図7から明らかなように、乳酸−グリコール酸共重合体の1757cm−1に現れる主鎖エステルと末端カルボキシル基の吸収ピークが、実施例1で得られた複合中空粒子では一部レッドシフトしていた。これは、ヒドロキシアパタイトにリッチなCa2+と乳酸−グリコール酸共重合体のカルボキシレート(−COO)の相互作用に起因していると推測される。
試験例4:複合中空粒子のTG−DTAによる評価
以下に示す方法で、実施例1で得られた複合中空粒子について示差熱-熱重量同時測定(TG−DTA)を行った。実施例1で得られた複合中空粒子をTG−DTA装置(TG−DTA6300;エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製)を用いて、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分で30℃から500℃まで加熱し、重量減少を測定した。それぞれの重量減量から、実施例1で得られた複合中空粒子に含まれるヒドロキシアパタイト量と乳酸−グリコール酸共重合体量を算出した。また、比較のために、実施例1で調製したヒドロキシアパタイト粒子、乳酸−グリコール酸共重合体(乳酸とグリコール酸のモル比70:30、重量平均分子量15万、グンゼ株式会社製)、及び比較例1で得られた複合非中空粒子についても、同様に分析を行った。
得られた結果を図8に示す。ヒドロキシアパタイト単独では、ヒドロキシアパタイト表面に吸着した水の重量分が緩やかに減少し、500℃では6.5%の重量減量が確認された。また、乳酸−グリコール酸共重合体単独では、260℃付近から分解が始まり、500℃では略100%分解した。これに対して、実施例1で得られた複合中空粒子及び比較例1で得られた複合非中空粒子において、乳酸−グリコール酸共重合体の分解は、乳酸−グリコール酸共重合体単独の場合に比して高温側にシフトしていた。これは、表層を構成しているヒドロキシアパタイトが、乳酸−グリコール酸共重合体を完全に覆っているため、乳酸−グリコール酸共重合体の分解温度に至っても、分解した乳酸−グリコール酸共重合体がヒドロキシアパタイトの表層内部に留まったためと考えられる。比較例1で得られた複合非中空粒子は、最終的に95.9%の重量減量が認められた。この結果を踏まえると、比較例1で得られた複合非中空粒子におけるヒドロキシアパタイト含量は4.1%と算出される。次に、実施例1で得られた複合中空粒子について同様に計算すると、ヒドロキシアパタイト含量は7.8%と算出された。
以上の結果から、ヒドロキシアパタイト含量は、実施例1で得られた複合中空粒子の方が、比較例1で得られた複合非中空粒子よりも多いことが示された。
実施例1と比較例1で得られた複合中空粒子は、粒子径がほぼ同じであり、且つヒドロキシアパタイトの被覆率が共に略100%であることを踏まえると、本試験例4の結果は、実施例1で得られた複合中空粒子が、三層構造になっていることを示す試験例2の結果を裏付けているといえる。。

Claims (6)

  1. 生体吸収性高分子からなる中空粒子の表面に無機粒子が吸着した生体吸収性複合中空粒子の製造方法であって、
    疎水性溶媒中に生体吸収性高分子を5重量%以上の濃度で溶解させた疎水性溶液、無機粒子、及び親水性溶液を含む混合液に対して、ホモジナイザーを用いて3.8m/s以上の速度で撹拌してピッカリングエマルジョンを形成させる第1工程、及び
    前記第1工程で形成されたピッカリングエマルジョンから疎水性溶媒を除去して、生体吸収性複合中空粒子を回収する第2工程
    を含む、生体吸収性複合中空粒子の製造方法。
  2. 前記第1工程における撹拌が、4.5〜8m/sの撹拌速度で行われる、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記生体吸収性高分子が、乳酸−グリコール酸共重合体、及び/又はポリ乳酸である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記無機粒子が、ハイドロキシアパタイトである、請求項1〜3の何れかに記載の製造方法。
  5. 生体吸収性高分子からなる中空粒子の表面に無機粒子が吸着されていることを特徴とする、生体吸収性複合中空粒子。
  6. 請求項1〜4の何れかに記載の製造方法で得られる、生体吸収性複合中空粒子。

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