JP2009067946A - 単中空粒子、その製造方法、樹脂組成物及び光拡散板 - Google Patents

単中空粒子、その製造方法、樹脂組成物及び光拡散板 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた光拡散性を有する単中空粒子を提供することを課題とする。
【解決手段】中心から外側に向かって、空孔、内側重合体層及び外側重合体層をこの順で備え、前記内側重合体層が、50,000〜400,000の範囲の重量平均分子量(GPCによって測定)を有し、かつ20〜70重量%の(メタ)アクリル酸エステル成分を含む(メタ)アクリル酸エステル−スチレン系共重合体を含み、前記外側重合体層が、10〜50重量%の架橋性ビニル系単量体と90〜50重量%の疎水性(メタ)アクリル酸エステル単量体との単量体混合物に由来する共重合体を含むことを特徴とする単中空粒子により上記課題を解決する。
【選択図】図3

Description

本発明は、単中空粒子、その製造方法、樹脂組成物及び光拡散板に関する。更に詳しくは、本発明は、優れた光拡散性を有する単中空粒子、その製造方法、それを含有する樹脂組成物及び光拡散板に関する。本発明の単中空粒子は、TV用スクリーン、照明カバー、液晶バックライト等に使用される光拡散板及び光拡散シート用の原料として好適である。
従来、懸濁重合により製造されるポリマー粒子は、塗料、化粧料等の光反射材や液晶バックライト用光拡散板等の光拡散剤として用いられている。すなわち、塗料、化粧料等において、光拡散剤は、光を屈折、反射させて白色性を付与している。光拡散板において、光拡散剤は、光拡散板の側面から冷陰極管等により入射された光を光拡散板の面内から均一な明るさで発し得るように入射された光を散乱させている。このような、ポリマー粒子としては、例えば、アクリル系ポリマー粒子やスチレン系ポリマー粒子が用いられている。更に、内部に空孔を有することで光を反射させたり、散乱させたりする効果を高めたポリマー粒子も知られている。
内部に空孔を有するポリマー粒子の製造方法としては、特開平5−12517号公報(特許文献1)に記載の方法が知られている。この公報では、親水性単量体と架橋性単量体とからなる単量体混合物中に、異種ポリマーを共存させて懸濁重合が行なわれている。この重合では、異種ポリマーとして、単量体混合物には溶解するが、単量体混合物の重合によって生成した重合体には溶解しない特殊なポリマーを用いることによって、内孔を有する重合体粒子が得られるとしている。
特開平5−12517号公報
しかし、上記公報に記載の方法では、親水性単量体が使用されているため、得られる粒子の親水性が高くなる。そのため、必然的にポリマー粒子中の水分量が多くなる。光拡散板では、透明樹脂とポリマー粒子とが混合されているが、上記公報のポリマー粒子を使用した場合、水分による透明樹脂の劣化が起こる可能性があった。
本発明の発明者等は、親水性単量体を使用することなく、容易に内部に単一な空孔を有する樹脂粒子(単中空粒子)を製造する方法について鋭意検討した結果、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン系共重合体と、架橋性ビニル系単量体を含む(メタ)アクリル酸エステルとの混合物を水性媒体の存在下で懸濁重合すれば、上記課題を解決できることを見い出すことにより、本発明を完成した。
かくして本発明によれば、中心から外側に向かって、空孔、内側重合体層及び外側重合体層をこの順で備え、前記内側重合体層が、50,000〜400,000の範囲の重量平均分子量(GPCによって測定)を有し、かつ20〜70重量%の(メタ)アクリル酸エステル成分を含む(メタ)アクリル酸エステル−スチレン系共重合体を含み、前記外側重合体層が、10〜50重量%の架橋性ビニル系単量体と90〜50重量%の疎水性(メタ)アクリル酸エステル単量体との単量体混合物に由来する共重合体を含むことを特徴とする単中空粒子が提供される。
また、本発明によれば、10〜50重量%の架橋性ビニル系単量体と90〜50重量%の疎水性(メタ)アクリル酸エステル単量体との単量体混合物100重量部に、50,000〜400,000の範囲の重量平均分子量(GPCによって測定)を有し、かつ20〜70重量%の(メタ)アクリル酸エステル成分を含む(メタ)アクリル酸エステル−スチレン系共重合体1〜10重量部と重合開始剤0.01〜10重量部とを溶解させ、得られた溶液を、水性媒体の存在下で、懸濁重合させることで、中心から外側に向かって、空孔、内側重合体層及び外側重合体層をこの順で備えた単中空粒子を得ることを特徴とする単中空粒子の製造方法が提供される。
更に、本発明によれば、上記単中空粒子と透明樹脂との混合物を含む樹脂組成物及び、その樹脂組成物を含む光拡散板が提供される。
本発明によれば、優れた光拡散性を有する単中空粒子が提供できる。
また、本発明によれば、親水性単量体を用いることなく、上記単中空粒子を容易に製造できる。
更に、本発明の単中空粒子を透明樹脂と溶融混練することで、単中空粒子の特異な形状に由来する優れた光拡散効果を有する光拡散板等の製造用の樹脂組成物を得ることができる。
本発明における「単中空粒子」とは、略球状の粒子であって、内部に一つの空孔を有する粒子のことを示す。また、本発明の単中空粒子は、図1に示すように、中心から外側に向かって、空孔a、内側重合体層b及び外側重合体層cをこの順で備えている。図1中、参照番号1は、単中空粒子を意味する。単中空粒子の大きさは、特に限定されず、その用途に応じて適宜設定できる。例えば、光拡散板の用途の場合、2〜50μmの平均粒子径を有することが好ましい。この範囲であれば、単中空粒子を多量に使用しなくても十分な光拡散性を確保できる。より好ましい平均粒子径は、3〜30μmである。
内側重合体層は、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン系共重合体を含んでいる。一方、外側重合体層は、架橋性ビニル系単量体と疎水性(メタ)アクリル酸エステル単量体との単量体混合物に由来する共重合体を含んでいる。ここで、(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルを意味する。
上記共重合体中、スチレン系単量体(スチレン系成分)としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン等が挙げられる。これらの単量体は単独で使用又は併用できる。
また、(メタ)アクリル酸エステル単量体((メタ)アクリル酸エステル成分)としては、アクリル酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリロニトリル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。これらの単量体は単独で使用又は併用できる。
これら単量体以外に、アクリル酸成分、メタクリル酸成分、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)等のジエン成分が含まれていてもよい。
上記(メタ)アクリル酸エステル−スチレン系共重合体としては、相分離が起こりやすく、また安価であることから、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体、メタクリル酸ブチル−スチレン共重合体、アクリル酸ブチル−スチレン共重合体が好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル−スチレン系共重合体は、50,000〜400,000の重量平均分子量(GPC:ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定)を有している。重量平均分子量が、50,000より低いと、単量体混合物との相分離がうまく行かず、望みの空孔のある粒子が得られないことがある。400,000より大きいと、単量体混合物への溶解が困難となり、望みの空孔のある粒子が得られないことがある。また、溶解を促進するためにトルエン等の油性物質が必要となる。更に、油性物質を使用しない場合には、溶解に膨大な時間を要するために生産上現実的ではないことがある。より好ましい範囲は、単量体混合物への溶解性のよさから、70,000〜200,000である。重量平均分子量の定義は下記する。
本明細書において溶解とは、(メタ)アクリル酸エステル単量体と架橋性ビニル系単量体との単量体混合物に(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体を加え、プロペラ翼式攪拌機を用い、室温(約25℃)で24時間攪拌した後に目視で溶液を確認した結果、溶液が浮遊物なく均質な状態である場合を意味する。
共重合体に占める(メタ)アクリル酸エステル成分の含有量は、20〜70重量%である。20重量%より少ない場合には、相分離が不十分となることがあり、70重量%より多い場合には、過度に相分離が進んでしまうことがある。その結果、所望の単中空粒子にならないことがある。好ましい含有量は、十分に相分離を進める観点から、25〜65重量%である。
内側重合体層には、本発明の効果を阻害しない範囲で、上記共重合体以外の他の重合体を含んでいてもよい。他の重合体としては、例えば、ハイインパクトポリスチレン、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
単量体混合物中の疎水性(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル等が挙げられる。これらの単量体は単独で使用又は併用できる。
これらの疎水性(メタ)アクリル酸エステル単量体の中でも、水に対する溶解度が0.45重量%以下の単量体を使用することが、水分による樹脂劣化を抑制する観点から好ましい。このような溶解度をもつ単量体としては、上記の疎水性(メタ)アクリル酸エステル単量体が挙げられる。特に溶解度が0.4重量%以下である上記の疎水性(メタ)アクリル酸エステル単量体を使用することがより好ましい。
なお、本明細書において、水への溶解度は、例えば次の方法で測定する。
(水に対する溶解度の測定方法)
水と(メタ)アクリル酸エステル単量体を重量比1:1で混合し、25℃で30分間攪拌する。分液ロートを用い、水相と油相を分離し、水相中に溶解した(メタ)アクリル酸エステル単量体の量(重量%)を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定する。
架橋性ビニル系単量体としては、例えば、トリアクリル酸トリメチロールプロパン、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸ジエチレングリコール、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、ジメタクリル酸デカエチレングリコール、ジメタクリル酸ペンタデカエチレングリコール、ジメタクリル酸ペンタコンタヘクタエチレングリコール、ジメタクリル酸1,3−ブチレン、メタクリル酸アリル、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン、テトラメタクリル酸ペンタエリスリトール、ジメタクリル酸フタル酸ジエチレングリコール等の脂肪族ジビニル化合物;ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、これらの誘導体等の芳香族ジビニル化合物等を挙げられる。これらの単量体は単独で使用又は併用できる。
架橋性ビニル系単量体は、疎水性(メタ)アクリル酸エステル単量体に対して、10〜50重量%の範囲で単量体混合物中に含有されていることが好ましい。10重量%より少ない場合には相分離が不十分となることがあり、50重量%を超える場合には過度に相分離が進んでしまうことがある。その結果、所望の単中空粒子を得ることができないことがある。好ましい含有量は、十分に相分離を進める観点から、20〜40重量%である。
また、単量体混合物には、(メタ)アクリル酸エステル単量体と共重合可能な他の単量体が含まれていてもよい。他の単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ビニルピロリドン等が挙げられる。これらの単量体は単独で使用又は併用できる。また、本発明の効果を阻害しない範囲で、親水性単量体を使用できる。
粒子を着色するために、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化クロム、酸化ジルコニウム等の酸化金属系顔料を単量体混合物に加えてもよい。
上記(メタ)アクリル酸エステル−スチレン系共重合体の試料割合は、単量体混合物100重量部に対して、1〜10重量部であることが好ましい。共重合体の使用割合が1重量部未満の場合、内部に空孔が形成されにくいことがある。10重量部より多い場合もまた内部に空孔が形成されにくいことがある。より好ましい使用割合は、2〜8重量部である。
重合開始剤としては、通常懸濁重合に用いられる油溶性の過酸化物系あるいはアゾ系開始剤が利用できる。例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化オクタノイル、オルソクロロ過酸化ベンゾイル、オルソメトキシ過酸化ベンゾイル、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、キュメンハイドロパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等の過酸化物系開始剤、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,3−ジメチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,3,3−トリメチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−イソプロピルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メチキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリン酸)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート等が挙げられる。この中でも、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)は、目的とする単中空粒子が得られやすい。
重合開始剤の使用割合は、目的とする単中空粒子を得る観点から、単量体混合物(疎水性(メタ)アクリル酸エステル単量体、架橋性ビニル系単量体及びその他の単量体の合計量)100重量部に対して、0.01〜10重量部が好ましく、0.1〜5重量部が更に好ましい。
水性媒体の使用量は、単量体混合物及び(メタ)アクリル酸エステル−スチレン系共重合体の合計100重量部に対して、100〜1000重量部程度であることが好ましく、110〜500重量部程度であることがより好ましい。水性媒体としては、水単独、水と水溶性溶媒(例えば、メタノール、エタノール等)との混合媒体等が挙げられる。また、水性媒体には、懸濁粒子の安定化を図るために、分散安定剤が添加されていてもよい。
分散安定剤としては、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛等のリン酸塩、ピロリン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、ピロリン酸アルミニウム、ピロリン酸亜鉛等のピロリン酸塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、コロイダルシリカ等の難水溶性無機化合物等が挙げられる。これらの中でも、目的とする単中空粒子を安定して得ることができるという点において、第三リン酸カルシウム、複分解生成法によるピロリン酸マグネシウムやピロリン酸カルシウム、あるいはコロイダルシリカが特に好ましい。
また、水性媒体は、分散安定剤と、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等の界面活性剤とを併用することも可能である。
アニオン性界面活性剤としては、オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油カリ等の脂肪酸油、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等がある。
カチオン性界面活性剤としては、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩等がある。
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレン−オキシプロピレンブロックポリマー等がある。
両性イオン界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミンオキサイド等がある。
これら分散安定剤や界面活性剤は、得られる単中空粒子の粒子径の大きさ、重合時の分散安定性等を考慮して、上記例示中から適宜選択できる。また、目的とする単中空粒子を安定して得ることができるという点において、分散安定剤の単量体混合物に対する添加量は、0.5〜15重量%程度であることが好ましく、界面活性剤の添加量は水性媒体に対し0.001〜0.1重量%程度であることが好ましい。
また、水性媒体中での単量体の重合を抑制し、液滴内部での相分離を促進するために、水性媒体中に0.01〜1重量%程度の水溶性重合禁止剤を添加してもよい。水溶性重合禁止剤としては特に限定されないが、例えば亜硝酸塩類、ハイドロキノン、アスコルビン酸類、水溶性ビタミンB類、クエン酸、ポリフェノール類等を挙げることができる。
懸濁重合に際して、水性媒体に、単量体混合物と(メタ)アクリル酸エステル−スチレン系共重合体との溶液が分散される。分散方法としては、プロペラ翼等の撹拌力によって単量体滴に分散する方法や、ローターとステーターから構成される高剪断力を利用する方法等が挙げられる。後者の方法には、ホモミキサー、超音波分散機等の分散機を用いることができる。
単中空粒子の平均最大粒子径(平均粒子径)は、単量体混合物と水との混合条件や、分散安定剤等の添加量及び攪拌条件、分散条件等により調整可能である。この平均最大粒子径は、単中空粒子の用途に応じて適宜調整できる。
なお、単中空粒子の径を揃えるには、マイクロフルイダイザー、ナノマイザー等の液滴同士の衝突や機壁への衝突力を利用した高圧型分散機を用いる方法等を用いればよい。
懸濁重合は、単量体混合物と(メタ)アクリル酸エステル−スチレン系共重合体との溶液が分散された水性媒体を、必要に応じて加熱することにより行なってもよい。加熱温度は、通常30〜100℃が好ましく、より好ましくは40〜80℃である。重合温度を保持しながら重合させる時間としては、一般的に0.1〜10時間程度である。なお、(メタ)アクリル酸エステル単量体と架橋性ビニル系単量体の沸点が重合温度付近又は重合温度以上である場合には、(メタ)アクリル酸エステル単量体と架橋性ビニル系単量体が揮発しないように、オートクレーブ等の耐圧重合設備を使用して、密閉下あるいは加圧下で重合させるのが好ましい。
重合中は、単量体滴の浮上や重合後の単中空粒子の沈降が防止される程度の緩い撹拌を行うのが好ましい。
重合後、単中空粒子を吸引ろ過、遠心脱水、遠心分離、加圧脱水等の方法により含水ケーキとして分離し、更に、得られた含水ケーキを水洗し、乾燥して目的の単中空粒子を得ることができる。ここで、単中空粒子の平均粒子径の調整は、単量体含有溶液と水との混合条件、懸濁安定剤や界面活性剤等の添加量及び上記攪拌機の攪拌条件、分散条件を調整することで可能である。
本発明の単中空粒子は、内部に空孔があるために光の複雑な屈折が起こる。そのため空孔のない中実粒子に比べ、より高い光拡散性が期待できる。例えば、単中空粒子を透明樹脂に含有させた光拡散板は、単中空粒子の添加量が少なくても優れた光学特性を示す。また、単中空粒子は、疎水性単量体から製造されるため、透明樹脂と溶融混練する際に水分による透明樹脂の劣化が少ない。よって、成形体の成形性を改善できる。
空孔が単中空粒子に占める割合は、1〜30%であることが、より優れた光拡散性を提供する観点から好ましい。空穴の割合は、例えば以下の方法で測定できる。
(空孔の割合の測定方法)
単中空粒子の空孔の割合(%)は、JIS K5201−11−1に準じて粒子比重を測定し、単中空粒子の比重と中実粒子の比重との比較で、次式で算出する。
空孔の割合(%)=100×(中実粒子比重−単中空粒子比重)/中実粒子比重
空孔の割合が1%より小さい場合には、光拡散性が低くなることがある。また、空孔の割合が30%より大きい場合には、単中空粒子の強度が低くなり、透明樹脂に練りこんだ場合に粒子が潰れることがある。より好ましい割合は2〜20%である。
本発明の単中空粒子は、光を拡散させることが望まれる用途であればいずれの用途にも使用できる。そのような用途として、光拡散板が挙げられる。光拡散板は図2に例示されるように、透明樹脂2に光拡散性粒子1が配合された構成を有している。なお、本明細書において、透明には、半透明も含まれる。また、透明とは、所望する波長の光に対して透明であることを意味し、必ずしも全波長の光に対して透明であることを要さない。
透明樹脂としては、通常、熱可塑性樹脂が使用され、熱可塑性樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、(メタ)アクリル酸アルキル−スチレン共重合体、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等が挙げられる。
これらの中でも、優れた透明性が求められる場合には、(メタ)アクリル樹脂、(メタ)アクリル酸アクリル−スチレン共重合体、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスチレンが好ましい。これらの熱可塑性樹脂は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
透明樹脂への単中空粒子の添加割合は、透明樹脂100重量部に対して、0.1〜15重量部であることが好ましい。0.1重量部未満の場合、光拡散性を与えにくくなることがある。15重量部より多い場合、光拡散性は得られるが光透過性が低くなることがある。より好ましい添加割合は、0.5〜10重量部である。
光拡散板は、透明樹脂と単中空粒子とを一軸や二軸の押出機等で溶融混練し、次いで成形することにより得ることができる。例えば、溶融混練した透明樹脂と単中空粒子とからなる樹脂組成物を、Tダイ、ロールユニットを介して板状に成形してもよい。また、一軸、二軸の押出し機等で溶融混練して得られた樹脂組成物をペレット化し、射出成形やプレス成形等により板状に成形してもよい。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によって制限されるものではない。なお、共重合体の重量平均分子量、単中空粒子の平均粒子径、単中空粒子含有成形体の全光線透過率、ヘイズは以下の方法によって測定した。
(共重合体の重量平均分子量)
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて、重量平均分子量(Mw)を測定する。その測定方法は次の通りである。なお、重量平均分子量(Mw)はポリスチレン(PS)換算重量平均分子量を意味する。
試料50mgをテトラヒドロフラン(THF)10ミリリットルに溶解させ、非水系0.45μmのクロマトディスクで濾過した上でクロマトグラフを用いて測定する。クロマトグラフの条件は下記の通りとする。
液体クロマトグラフ:東ソー社製、商品名「ゲルパーミエーションクロマトグラフ HLC−8020」
カラム:東ソー社製、商品名「TSKgel GMH−XL−L」φ7.8mm×30cm×2本
カラム温度:40℃
キャリアーガス:テトラヒドロフラン(THF)
キャリアーガス流量:1ミリリットル/分
注入・ポンプ温度:35℃
検出:RI
注入量:100マイクロリットル
検量線用標準ポリスチレン:昭和電工社製、商品名「shodex」重量平均分子量:1030000と東ソー社製、重量平均分子量:5480000、3840000、355000、102000、37900、9100、2630、870
(平均粒子径の測定方法)
孔径50〜280μmの細孔に電解質溶液を満たし、電解質溶液を粒子が通過する際の電界質溶液の導電率変化から体積を求め、平均粒子径を計算する。具体的には、測定した平均粒子径は、ベックマンコールター社製のコールターマルチサイザーIIによって測定した体積平均粒子径である。なお、測定に際してはCoulter Electronics Limited発行のREFERENCE MANUAL FOR THE COULTER MULTISIZER(1987)に従って、測定する粒子の粒子径に適合したアパチャーを用いてキャリブレーションを行い測定する。
具体的には、市販のガラス製の試験管に粒子0.1gと0.1%ノニオン系界面活性剤溶液10mlを投入し、ヤマト科学社製タッチミキサー TOUCHMIXER MT−31で2秒間混合する。この後試験管を市販の超音洗浄機であるヴェルヴォクリーア社製ULTRASONIC CLEANER VS−150を用いて10秒間予備分散させる。分散液を本体備え付けの、ISOTON2(ベックマンコールター社製:測定用電解液)を満たしたビーカー中に、緩く攪拌しながらスポイドで滴下して、本体画面の濃度計の示度を10%前後に合わせる。次にマルチサイザーII本体にアパチャーサイズ、Current,Gain,PolarityをCoulterElectronics Limited発行のREFERENCE MANUAL FOR THE COULTER MULTISIZER(1987)に従って入力し、manualで測定する。測定中はビーカー内を気泡が入らない程度に緩く攪拌しておき、粒子を10万個測定した点で測定を終了する。
(全光線透過率及びヘイズ)
全光線透過率及びヘイズはJISK7361によって測定される。具体的には、日本電色工業社製NHD−2000を使用して測定する。ヘイズが99%以上あるものを評価○とする。
(成形性)
連続して10枚成形し、その成形板表面に銀条(シルバーストリーク)が現れていないか目視で評価する。10枚全てに銀条が現れなかった場合は成形良好とし、評価○とする。1枚でも銀条が現れた場合は成形不良とし、評価×とする。
実施例1
攪拌機、温度計を備えた重合器にラウリル硫酸ナトリウム(界面活性剤)0.05重量部を溶解させた脱イオン水500重量部を入れ、そこへ第三リン酸カルシウム(分散安定剤)50重量部を分散させた。これに予め調製しておいたアクリル酸ブチル(疎水性(メタ)アクリル酸エステル単量体)70重量部、ジメタクリル酸エチレングリコール(架橋性ビニル系単量体)30重量部の単量体混合物にMS300(メタクリル酸メチル−スチレン共重合体(メタクリル酸メチル成分30重量%)/新日鐵化学社製、Mw=17万)5重量部、過酸化ベンゾイル0.5重量部、アゾビスイソブチロニトリル0.5重量部を溶解させた混合液を入れて、その液をT.Kホモミキサー(特殊機化工業社製)にて5000rpmで10分間攪拌し、液滴径がおよそ5μmになるように調製した。次に、重合器を65℃に加熱して攪拌しながら懸濁重合を行った後冷却した。ここで得られた懸濁液を濾過、洗浄した後乾燥して平均粒子径5.1μmの粒子を得た。この粒子を光学顕微鏡で観察したところ粒子の輪郭が二重に観察され粒子内部に空孔を有する粒子であった。
また、この粒子をエポキシ樹脂で包接し、粒子中心を通る面にて二分割し、この分割面を四酸化ルテニウム(RuO4)にて染色し、透過型電子顕微鏡で観察した。四酸化ルテニウムで染色すると、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン系共重合体は、架橋性ビニル系単量体と(メタ)アクリル酸エステル単量体との単量体混合物に由来する共重合体よりも濃く染色されるので、粒子中における各共重合体の分布状態がわかる。顕微鏡写真を図3に示す。図3から、得られた粒子は、多層構造になっており、染色の程度から、中心から外側に向かって、空孔、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン系共重合体由来の内側重合体層及び単量体混合物由来の外側重合体層をこの順で備えた、単中空粒子であった。
またこの粒子を1.0重量部、透明樹脂として、ポリスチレン樹脂(トーヨースチロールGP G200、東洋スチレン社製)100重量部とを80℃に設定したオーブンで3時間乾燥した後、押出機中で200℃にて溶融混練した後、ペレット化した。得られたペレットを射出成形機(シリンダー温度230℃、滞留時間15分)で成形することにより、2mm厚、50mm×100mmの成形板を作製した。得られた成形板の評価(全光線透過率、ヘイズ及び成形性)結果を表1に示す。
実施例2
MS300に代えて、MS600(メタクリル酸メチル−スチレン共重合体(メタクリル酸メチル成分60重量%)/新日鐵化学社製、Mw=16万)を用いたこと以外は実施例1と同様にして平均粒子径5.2μmの粒子を得た。この粒子を光学顕微鏡で観察したところ、実施例1と同様、粒子の輪郭が二重に観察され粒子内部に空孔を有する単中空粒子であった。また、実施例1と同様にして成形板を作製し、得られた成形板の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例3
(メタクリル酸メチル−スチレン共重合体の製造)
攪拌機、温度計を備えた重合器にラウリル硫酸ナトリウム0.05重量部を溶解させた脱イオン水500重量部を入れ、そこへ第三リン酸カルシウム50重量部を分散させた。これに予め調製しておいたメタクリル酸メチル50重量部、スチレン50重量部の重合性単量体成分と、過酸化ベンゾイル0.5重量部とを溶解させた混合液を入れた。得られた分散液をT.Kホモミキサー(特殊機化工業社製)にて3000rpmで10分間攪拌し、液滴径がおよそ20μmになるように調製した。次に、重合器を80℃に加熱して攪拌しながら懸濁重合を行った後冷却した。
ここで得られた懸濁液を濾過、洗浄した後乾燥してメタクリル酸メチル−スチレン共重合体の粒子を得た。得られた粒子をGPCによって分子量を測定したところ、Mw=9万であった。
(成形体の製造)
MS300の代わりに上記メタクリル酸メチル−スチレン共重合体(メタクリル酸メチル成分50重量%)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして平均粒子径4.9μmの粒子を得た。この粒子を光学顕微鏡で観察したところ、実施例1と同様、粒子の輪郭が二重に観察され粒子内部に空孔を有する単中空粒子であった。また、実施例1と同様にして成形板を作製し、得られた成形板の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例4
アクリル酸ブチル60重量部、エチレングリコールジメタクリレート40重量部を単量体混合物としたこと以外は実施例1と同様にして平均粒子径5.3μmの粒子を得た。この粒子を光学顕微鏡で観察したところ、実施例1と同様、粒子の輪郭が二重に観察され粒子内部に空孔を有する単中空粒子であった。また、実施例1と同様にして成形板を作製し、得られた成形板の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例5
メタクリル酸ブチル85重量部、エチレングリコールジメタクリレート15重量部を単量体混合物としたこと以外は実施例1と同様にして平均粒子径5.0μmの粒子を得た。この粒子を光学顕微鏡で観察したところ、実施例1と同様、粒子の輪郭が二重に観察され粒子内部に空孔を有する単中空粒子であった。また、実施例1と同様にして成形板を作製し、得られた成形板の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例6
MS300を8重量部用いたこと以外は実施例1と同様にして平均粒子径5.1μmの粒子を得た。この粒子を光学顕微鏡で観察したところ、実施例1と同様、粒子の輪郭が二重に観察され粒子内部に空孔を有する単中空粒子であった。また、実施例1と同様にして成形板を作製し、得られた成形板の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例7
MS300を2重量部用いたこと以外は実施例1と同様にして平均粒子径5.3μmの粒子を得た。この粒子を光学顕微鏡で観察したところ、実施例1と同様、粒子の輪郭が二重に観察され粒子内部に空孔を有する単中空粒子であった。また、実施例1と同様にして成形板を作製し、得られた成形板の評価を行った。結果を表1に示す。
比較例1
(メタクリル酸メチル−スチレン共重合体の製造)
攪拌機、温度計を備えた重合器にラウリル硫酸ナトリウム0.05重量部を溶解させた脱イオン水500重量部を入れ、そこへ第三リン酸カルシウム50重量部を分散させた。これに予め調製しておいたメタクリル酸メチル50重量部、スチレン50重量部の重合性単量体成分と、過酸化ベンゾイル0.5重量部と、n−ドデシルメルカプタン3重量部とを溶解させた混合液を入れた。得られた分散液をT.Kホモミキサー(特殊機化工業社製)にて3000rpmで10分間攪拌し、液滴径がおよそ20μmになるように調製した。次に、重合器を80℃に加熱して攪拌しながら懸濁重合を行った後冷却した。
ここで得られた懸濁液を濾過、洗浄した後乾燥してメタクリル酸メチル−スチレン共重合体の粒子を得た。得られた粒子をGPCによって分子量を測定したところ、Mw=4万であった。
(成形体の製造)
MS300の代わりに上記メタクリル酸メチル−スチレン共重合体(メタクリル酸メチル成分50重量%)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして平均粒子径4.9μmの粒子を得た。この粒子を光学顕微鏡で観察したところ粒子の輪郭が二重に観察されず空孔のない中実粒子であった。また、実施例1と同様にして成形板を作製し、得られた成形板の評価を行った。結果を表1に示す。
比較例2
(メタクリル酸メチル−スチレン共重合体の製造)
攪拌機、温度計を備えた重合器にラウリル硫酸ナトリウム0.05重量部を溶解させた脱イオン水500重量部を入れ、そこへ第三リン酸カルシウム50重量部を分散させた。これに予め調製しておいたメタクリル酸メチル95重量部、スチレン5重量部の重合性単量体成分と、過酸化ベンゾイル0.5重量部とを溶解させた混合液を入れた。得られた分散液をT.Kホモミキサー(特殊機化工業社製)にて3000rpmで10分間攪拌し、液滴径がおよそ20μmになるように調製した。次に、重合器を80℃に加熱して攪拌しながら懸濁重合を行った後冷却した。
ここで得られた懸濁液を濾過、洗浄した後乾燥してメタクリル酸メチル−スチレン共重合体の粒子を得た。得られた粒子をGPCによって分子量を測定したところ、Mw=10万であった。
MS300の代わりに上記メタクリル酸メチル−スチレン共重合体(メタクリル酸メチル成分95重量%)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして平均粒子径5.1μmの粒子を得た。この粒子を光学顕微鏡で観察したところ粒子の輪郭が二重に観察されず空孔のない中実粒子であった。また、実施例1と同様にして成形板を作製し、得られた成形板の評価を行った。結果を表1に示す。
比較例3
(メタクリル酸メチル−スチレン共重合体の製造)
攪拌機、温度計を備えた重合器にラウリル硫酸ナトリウム0.05重量部を溶解させた脱イオン水500重量部を入れ、そこへ第三リン酸カルシウム50重量部を分散させた。これに予め調製しておいたメタクリル酸メチル30重量部、スチレン70重量部の重合性単量体成分と、過酸化ベンゾイル0.1重量部とを溶解させた混合液を入れた。得られた分散液をT.Kホモミキサー(特殊機化工業社製)にて3000rpmで10分間攪拌し、液滴径がおよそ20μmになるように調製した。次に、重合器を60℃に加熱して攪拌しながら懸濁重合を行った後冷却した。
ここで得られた懸濁液を濾過、洗浄した後乾燥してメタクリル酸メチル−スチレン共重合体の粒子を得た。得られた粒子をGPCによって分子量を測定したところ、Mw=50万であった。
MS300の代わりに上記メタクリル酸メチル−スチレン共重合体(メタクリル酸メチル成分30重量%)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして粒子を得ようとしたが、重合性単量体成分にメタクリル酸メチル−スチレン共重合体が溶解しなかったためその後の操作を行わなかった。
比較例4
MS300を0.5重量部用いたこと以外は実施例1と同様にして平均粒子径5.2μmの粒子を得た。この粒子を光学顕微鏡で観察したところ粒子の輪郭が二重に観察されず空孔のない中実粒子であった。また、実施例1と同様にして成形板を作製し、得られた成形板の評価を行った。結果を表1に示す。
比較例5
MS300を20重量部用いたこと以外は実施例1と同様にして平均粒子径5.1μmの粒子を得た。この粒子を光学顕微鏡で観察したところ粒子の輪郭が二重に観察されず空孔のない中実粒子であった。また、実施例1と同様にして成形板を作製し、得られた成形板の評価を行った。結果を表1に示す。
比較例6
アクリル酸メチル(親水性単量体)20重量部、メタクリル酸メチル(親水性単量体)50重量部、エチレングリコールジメタクリレート30重量部を単量体混合物としたこと以外は実施例1と同様にして平均粒子径5.2μmの粒子を得た。この粒子を光学顕微鏡で観察したところ、実施例1と同様、粒子の輪郭が二重に観察され粒子内部に空孔を有する粒子であった。また、実施例1と同様にして成形板を作製し、得られた成形板の評価を行った。結果を表1に示す。
比較例7
(メタクリル酸メチル−スチレン共重合体の製造)
攪拌機、温度計を備えた重合器にラウリル硫酸ナトリウム0.05重量部を溶解させた脱イオン水500重量部を入れ、そこへ第三リン酸カルシウム50重量部を分散させた。これに予め調製しておいたメタクリル酸メチル10重量部、スチレン90重量部の重合性単量体成分、過酸化ベンゾイル0.5重量部、n−ドデシルメルカプタン3重量部を溶解させた混合液を入れた。得られた分散液をT.Kホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)にて3000rpmで10分間攪拌し、液滴径がおよそ20μmになるように調製した。次に、重合器を80℃に加熱して攪拌しながら懸濁重合を行った後冷却した。
ここで得られた懸濁液を濾過、洗浄した後乾燥してメタクリル酸メチル−スチレン共重合体の粒子を得た。得られた粒子をGPCによって分子量を測定したところ、Mw=10万であった。
MS300の代わりに上記メタクリル酸メチル−スチレン系共重合体(メタクリル酸エステル成分10重量%)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして平均粒子径5.1μmの粒子を得た。この粒子を光学顕微鏡で観察したところ粒子の輪郭は二重に観察されず空孔のない中実粒子であった。また実施例1と同様にして成形板を作製し、得られた成形板の評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例8)
アクリル酸ブチル95重量部、ジメタクリル酸エチレングリコール5重量部としたこと以外は実施例1と同様にして平均粒子径5.2μmの粒子を得た。この粒子を光学顕微鏡で観察したところ粒子の輪郭は二重に観察されず空孔のない中実粒子であった。また実施例1と同様にして成形板を作製し、得られた成形板の評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例9)
アクリル酸ブチル40重量部、ジメタクリル酸エチレングリコール60重量部としたこと以外は実施例1と同様にして平均粒子径5.3μmの粒子を得た。この粒子を光学顕微鏡で観察したところ粒子の輪郭は二重に観察されず空孔のない中実粒子であった。また実施例1と同様にして成形板を作製し、得られた成形板の評価を行った。結果を表1に示す。
表1から以下のことがわかる。
実施例と比較例1〜5とから、単中空粒子は、中実粒子より高いヘイズを有し、光拡散性が良好であることがわかる。
実施例と比較例1及び3とから、重量平均分子量が50,000〜400,000の範囲であることで、高いヘイズを有し、光拡散性が良好である粒子を提供できることがわかる。
実施例と比較例2及び7とから、共重合体に占める(メタ)アクリル酸成分の割合が20〜70重量%の範囲であることで、高いヘイズを有し、光拡散性が良好である粒子を提供できることがわかる。
実施例と比較例4及び5とから、共重合体の添加量が1〜10重量部の範囲であることで、高いヘイズを有し、光拡散性が良好である粒子を提供できることがわかる。
実施例と比較例8及び9とから、架橋性ビニル系単量体の添加量が10〜50重量%の範囲であることで、高いヘイズを有し、光拡散性が良好である粒子を提供できることがわかる。
実施例1と5とから、疎水性(メタ)アクリル酸エステル単量体の種類を変更しても、高いヘイズを有し、光拡散性が良好である粒子を提供できることがわかる。
比較例6から、疎水性(メタ)アクリル酸エステル単量体に代えて親水性単量体を使用すると、成形性が低下することがわかる。
単中空粒子の概略断面図である。 光拡散板の概略図である。 実施例1の単中空粒子の断面の電子顕微鏡写真である。
符号の説明
a 空孔
b 内側重合体層
c 外側重合体層
1 単中空粒子(光拡散性粒子)
2 透明樹脂

Claims (5)

  1. 中心から外側に向かって、空孔、内側重合体層及び外側重合体層をこの順で備え、前記内側重合体層が、50,000〜400,000の範囲の重量平均分子量(GPCによって測定)を有し、かつ20〜70重量%の(メタ)アクリル酸エステル成分を含む(メタ)アクリル酸エステル−スチレン系共重合体を含み、前記外側重合体層が、10〜50重量%の架橋性ビニル系単量体と90〜50重量%の疎水性(メタ)アクリル酸エステル単量体との単量体混合物に由来する共重合体を含むことを特徴とする単中空粒子。
  2. 10〜50重量%の架橋性ビニル系単量体と90〜50重量%の疎水性(メタ)アクリル酸エステル単量体との単量体混合物100重量部に、50,000〜400,000の範囲の重量平均分子量(GPCによって測定)を有し、かつ20〜70重量%の(メタ)アクリル酸エステル成分を含む(メタ)アクリル酸エステル−スチレン系共重合体1〜10重量部と重合開始剤0.01〜10重量部とを溶解させ、得られた溶液を、水性媒体の存在下で、懸濁重合させることで、中心から外側に向かって、空孔、内側重合体層及び外側重合体層をこの順で備えた単中空粒子を得ることを特徴とする単中空粒子の製造方法。
  3. 前記水性媒体が、分散安定剤としての難水溶性無機化合物を更に含む請求項2に記載の単中空粒子の製造方法。
  4. 請求項1に記載の単中空粒子と透明樹脂との混合物を含む樹脂組成物。
  5. 請求項4に記載の樹脂組成物を含む光拡散板。
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