JP5473204B2 - 単中空粒子の製造方法 - Google Patents
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Description
内部に空孔を有するポリマー粒子の製造方法としては、特開平5−12517号公報(特許文献1)に記載の方法が知られている。この公報では、親水性単量体と架橋性単量体とからなる単量体混合物中に、異種ポリマーを共存させて懸濁重合が行なわれている。この重合では、異種ポリマーとして、単量体混合物には溶解するが、単量体混合物の重合によって生成した重合体には溶解しない特殊なポリマーを用いることによって、内孔を有する重合体粒子が得られるとしている。
また、本発明によれば、親水性単量体を用いることなく、上記単中空粒子を容易に製造できる。
更に、本発明の単中空微粒子は透明樹脂(特に、スチレン系透明樹脂)との親和性が良好である。そのため本発明の単中空粒子を透明樹脂と溶融混練することで、単中空粒子の特異な形状に由来する優れた光拡散効果を有する光拡散板等の製造用の樹脂組成物を得ることができる。
また更に、光拡散板は、単中空粒子の添加による強度の低下が抑制されている。
上記(メタ)アクリル酸エステル−スチレン系共重合体中、スチレン系単量体に由来する成分(スチレン系成分)としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン等に由来する成分が挙げられる。これらの単量体は単独で使用又は併用できる。
上記(メタ)アクリル酸エステル−スチレン系共重合体としては、相分離が起こりやすく、また安価であることから、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体、メタクリル酸ブチル−スチレン共重合体、アクリル酸ブチル−スチレン共重合体が好ましい。
内側重合体層には、本発明の効果を阻害しない範囲で、上記共重合体以外の他の重合体を含んでいてもよい。他の重合体としては、例えば、ハイインパクトポリスチレン、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
架橋性ビニル系単量体は、スチレン系単量体に対して、10〜50重量%の範囲で疎水性単量体混合物中に含有されていることが好ましい。10重量%より少ない場合には相分離が不十分となることがあり、50重量%を超える場合には過度に相分離が進んでしまうことがある。その結果、所望の単中空粒子を得ることができないことがある。好ましい含有量は、十分に相分離を進める観点から、20〜40重量%である。
(水に対する溶解度の測定方法)
水と疎水性単量体混合物を重量比1:1で混合し、25℃で30分間攪拌する。分液ロートを用い、水相と油相を分離し、水相中に溶解した単量体の量(重量%)を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定する。得られた値が、0.45重量%以下である疎水性単量体混合物を使用することが水分による樹脂劣化を抑制する観点から好ましい。特に、0.4重量%以下であることが好ましい。
粒子を着色するために、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化クロム、酸化ジルコニウム等の酸化金属系顔料を疎水性単量体混合物に加えてもよい。
アニオン性界面活性剤としては、オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油カリ等の脂肪酸油、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等がある。
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレン−オキシプロピレンブロックポリマー等がある。
両性イオン界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミンオキサイド等がある。
なお、単中空粒子の径を揃えるには、マイクロフルイダイザー、ナノマイザー等の液滴同士の衝突や機壁への衝突力を利用した高圧型分散機を用いる方法等を用いればよい。
重合中は、単量体滴の浮上や重合後の単中空粒子の沈降が防止される程度の緩い撹拌を行うのが好ましい。
(空孔の割合の測定方法)
単中空粒子の空孔の割合(%)は、JIS K5201−11−1に準じて粒子比重を測定し、単中空粒子の比重と中実粒子の比重との比較で、次式で算出する。
空孔の割合(%)=100×(中実粒子比重−単中空粒子比重)/中実粒子比重
空孔の割合が1%より小さい場合には、光拡散性が低くなることがある。また、空孔の割合が30%より大きい場合には、単中空粒子の強度が低くなり、透明樹脂に練り込んだ場合に粒子が潰れることがある。より好ましい割合は2〜20%である。
これらの中でも、優れた透明性が求められる場合には、(メタ)アクリル樹脂、(メタ)アクリル酸アクリル−スチレン共重合体、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスチレンが好ましい。これらの熱可塑性樹脂は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(共重合体の重量平均分子量)
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて、重量平均分子量(Mw)を測定する。その測定方法は次の通りである。なお、重量平均分子量(Mw)はポリスチレン(PS)換算重量平均分子量を意味する。
試料50mgをテトラヒドロフラン(THF)10ミリリットルに溶解させ、非水系0.45μmのクロマトディスクで濾過した上でクロマトグラフを用いて測定する。クロマトグラフの条件は下記の通りとする。
カラム:東ソー社製、商品名「TSKgel GMH−XL−L」φ7.8mm×30cm×2本
カラム温度:40℃
キャリアーガス:テトラヒドロフラン(THF)
キャリアーガス流量:1ミリリットル/分
注入・ポンプ温度:35℃
検出:RI
注入量:100マイクロリットル
検量線用標準ポリスチレン:昭和電工社製、商品名「shodex」重量平均分子量:1030000と東ソー社製、重量平均分子量:5480000、3840000、355000、102000、37900、9100、2630、870
孔径50〜280μmの細孔に電解質溶液を満たし、電解質溶液を粒子が通過する際の電界質溶液の導電率変化から体積を求め、平均粒子径を計算する。具体的には、測定した平均粒子径は、ベックマンコールター社製のコールターマルチサイザーIIによって測定した体積平均粒子径である。なお、測定に際してはCoulter Electronics Limited発行のREFERENCE MANUAL FOR THE COULTER MULTISIZER(1987)に従って、測定する粒子の粒子径に適合したアパチャーを用いてキャリブレーションを行い測定する。
具体的には、市販のガラス製の試験管に粒子0.1gと0.1%ノニオン系界面活性剤溶液10mlを投入し、ヤマト科学社製タッチミキサー TOUCHMIXER MT−31で2秒間混合する。この後試験管を市販の超音洗浄機であるヴェルヴォクリーア社製ULTRASONIC CLEANER VS−150を用いて10秒間予備分散させる。分散液を本体備え付けの、ISOTON2(ベックマンコールター社製:測定用電解液)を満たしたビーカー中に、緩く攪拌しながらスポイドで滴下して、本体画面の濃度計の示度を10%前後に合わせる。次にマルチサイザーII本体にアパチャーサイズ、Current,Gain,PolarityをCoulterElectronics Limited発行のREFERENCE MANUAL FOR THE COULTER MULTISIZER(1987)に従って入力し、manualで測定する。測定中はビーカー内を気泡が入らない程度に緩く攪拌しておき、粒子を10万個測定した点で測定を終了する。
ヘイズはJIS K7361によって測定される。具体的には、日本電色工業社製NHD−2000を使用して測定する。ヘイズが99%以上あるものを評価○とする。
アイゾット衝撃値はJIS K7110硬質プラスチックのアイゾット衝撃試験方法に準拠して求める。具体的には、東洋精機製作所社製のアイゾット衝撃試験機を用いてアイゾット衝撃値を求める。ブランク(粒子非添加)の成形板に対し、70%以上の強度を保っているものを○とする。
攪拌機、温度計を備えた重合器にラウリル硫酸ナトリウム(界面活性剤)0.05重量部を溶解させた脱イオン水500重量部を入れ、そこへ第三リン酸カルシウム(分散安定剤)50重量部を分散させた。これに予め調製しておいたスチレン80重量部、ジビニルベンゼン(架橋性ビニル系単量体)20重量部の疎水性単量体混合物にMS800((メタ)アクリル酸エステル−スチレン系共重合体(スチレン成分20重量%)/新日鐵化学社製、Mw=15万)5重量部、過酸化ベンゾイル0.5重量部、アゾビスイソブチロニトリル0.5重量部を溶解させた混合液を入れて、その液をT.Kホモミキサー(特殊機化工業社製)にて5000rpmで10分間攪拌し、液滴径がおよそ5μmになるように調製した。次に、重合器を65℃に加熱して攪拌しながら懸濁重合を行った後冷却した。ここで得られた懸濁液を濾過、洗浄した後乾燥して平均粒子径5.1μmの粒子を得た。この粒子を光学顕微鏡で観察したところ粒子の輪郭が二重に観察され粒子内部に空孔を有する粒子であった。
((メタ)アクリル酸エステル−スチレン系共重合体の製造)
攪拌機、温度計を備えた重合器にラウリル硫酸ナトリウム0.05重量部を溶解させた脱イオン水500重量部を入れ、そこへ第三リン酸カルシウム50重量部を分散させた。これに予め調製しておいたメタクリル酸メチル90重量部、スチレン10重量部の重合性単量体成分に、過酸化ベンゾイル0.5重量部を溶解させた混合液を入れて、その液をT.Kホモミキサー(特殊機化工業社製)にて3000rpmで10分間攪拌し、液滴径がおよそ20μmになるように調製した。次に、重合器を80℃に加熱して攪拌しながら懸濁重合を行った後冷却した。
MS800を上記(メタ)アクリル酸エステル−スチレン系共重合体に変えたこと以外は実施例1と同様にして粒子を得た(平均粒子径5.2μm)。この粒子を光学顕微鏡で観察したところ粒子の輪郭が二重に観察され粒子内部に空隙を有する粒子であった。
また、上記粒子を使用すること以外は実施例1と同様にして成形板を得た。得られた成形板の評価(ヘイズ及びアイゾッド衝撃値)結果を表1に示す。
疎水性単量体混合物として、スチレン85重量部、エチレングリコールジメタクリレート15重量部を使用したこと以外は実施例1と同様にして粒子を得た(平均粒子径5.3μm)。
また、上記粒子を使用すること以外は実施例1と同様にして成形板を得た。得られた成形板の評価(ヘイズ及びアイゾッド衝撃値)結果を表1に示す。
疎水性単量体混合物として、スチレン60重量部、ジビニルベンゼン40重量部を使用したこと以外は実施例1と同様にして粒子を得た(平均粒子径5.0μm)。
また、上記粒子を使用すること以外は実施例1と同様にして成形板を得た。得られた成形板の評価(ヘイズ及びアイゾッド衝撃値)結果を表1に示す。
MS800を8重量部用いたこと以外は実施例1と同様にして粒子を得た(平均粒子径5.1μm)。
また、上記粒子を使用すること以外は実施例1と同様にして成形板を得た。得られた成形板の評価(ヘイズ及びアイゾッド衝撃値)結果を表1に示す。
MS800を2重量部用いたこと以外は実施例1と同様にして粒子を得た(平均粒子径5.2μm)。
また、上記粒子を使用すること以外は実施例1と同様にして成形板を得た。得られた成形板の評価(ヘイズ及びアイゾッド衝撃値)結果を表1に示す。
((メタ)アクリル酸エステル−スチレン系共重合体の製造)
攪拌機、温度計を備えた重合器にラウリル硫酸ナトリウム0.05重量部を溶解させた脱イオン水500重量部を入れ、そこへ第三リン酸カルシウム50重量部を分散させた。これに予め調製しておいたメタクリル酸メチル80重量部、スチレン20重量部の重合性単量体成分、過酸化ベンゾイル0.5重量部、n−ドデシルメルカプタン3重量部を溶解させた混合液を入れて、その液をT.Kホモミキサー(特殊機化工業社製)にて3000rpmで10分間攪拌し、液滴径がおよそ20μmになるように調製した。次に、重合器を80℃に加熱して攪拌しながら懸濁重合を行った後冷却した。
MS800を上記アクリル−スチレン共重合体に変えたこと以外は実施例1と同様にして粒子を得た(平均粒子径5.1μm)。この粒子を光学顕微鏡で観察したところ粒子の輪郭が二重に観察されず空孔のない中実粒子であった。
また、上記粒子を使用すること以外は実施例1と同様にして成形板を得た。得られた成形板の評価(ヘイズ及びアイゾッド衝撃値)結果を表1に示す。
((メタ)アクリル酸エステル−スチレン系共重合体の製造)
攪拌機、温度計を備えた重合器にラウリル硫酸ナトリウム0.05重量部を溶解させた脱イオン水500重量部を入れ、そこへ第三リン酸カルシウム50重量部を分散させた。これに予め調製しておいたメタクリル酸メチル50重量部、スチレン50重量部の重合性単量体成分に、過酸化ベンゾイル0.5重量部を溶解させた混合液を入れて、その液をT.Kホモミキサー(特殊機化工業社製)にて3000rpmで10分間攪拌し、液滴径がおよそ20μmになるように調製した。次に、重合器を80℃に加熱して攪拌しながら懸濁重合を行った後冷却した。
MS800を上記(メタ)アクリル酸エステル−スチレン系共重合体に変えたこと以外は実施例1と同様にして粒子を得た(平均粒子径5.2μm)。この粒子を光学顕微鏡で観察したところ粒子の輪郭が二重に観察されず空孔のない中実粒子であった。
また、上記粒子を使用すること以外は実施例1と同様にして成形板を得た。得られた成形板の評価(ヘイズ及びアイゾッド衝撃値)結果を表1に示す。
((メタ)アクリル酸エステル−スチレン系共重合体の製造)
攪拌機、温度計を備えた重合器にラウリル硫酸ナトリウム0.05重量部を溶解させた脱イオン水500重量部を入れ、そこへ第三リン酸カルシウム50重量部を分散させた。これに予め調製しておいたメタクリル酸メチル80重量部、スチレン20重量部の重合性単量体成分に、過酸化ベンゾイル0.1重量部を溶解させた混合液を入れて、その液をT.Kホモミキサー(特殊機化工業社製)にて3000rpmで10分間攪拌し、液滴径がおよそ20μmになるように調製した。次に、重合器を60℃に加熱して攪拌しながら懸濁重合を行った後冷却した。
MS800を上記(メタ)アクリル酸エステル−スチレン系共重合体に変えたこと以外は実施例1と同様にして粒子の製造を行おうとしたが、重合性単量体成分に(メタ)アクリル酸エステル−スチレン系共重合体が溶解しなかったためその後の操作を行わなかった。
MS800を0.5重量部用いたこと以外は実施例1と同様にして粒子を得た(平均粒子径5.2μm)。この粒子を光学顕微鏡で観察したところ粒子の輪郭が二重に観察されず空孔のない中実粒子であった。
また、上記粒子を使用すること以外は実施例1と同様にして成形板を得た。得られた成形板の評価(ヘイズ及びアイゾッド衝撃値)結果を表1に示す。
MS800を20重量部用いたこと以外は実施例1と同様にして粒子を得た(平均粒子径5.1μm)。この粒子を光学顕微鏡で観察したところ粒子の輪郭が二重に観察されず空孔のない中実粒子であった。
また、上記粒子を使用すること以外は実施例1と同様にして成形板を得た。得られた成形板の評価(ヘイズ及びアイゾッド衝撃値)結果を表1に示す。
アクリル酸メチル20重量部(親水性単量体)、スチレン50重量部、エチレングリコールジメタクリレート30重量部を重合性単量体成分とした以外は実施例1と同様にして粒子を得た(平均粒子径5.2μm)。この粒子を光学顕微鏡で観察したところ粒子の輪郭が二重に観察され粒子内部に空隙を有する粒子であった。
また、上記粒子を使用すること以外は実施例1と同様にして成形板を得た。得られた成形板の評価(ヘイズ及びアイゾッド衝撃値)結果を表1に示す。
粒子を添加しないこと以外は実施例1と同様にしてブランクの成形板を得た。得られた成形板のアイゾッド衝撃値を表1に示す。
実施例と比較例1〜5とから、単中空粒子は、中実粒子より高いヘイズを有し、光拡散性が良好であることがわかる。
実施例と比較例1及び3とから、重量平均分子量が50,000〜400,000の範囲であることで、高いヘイズを有し、光拡散性が良好である粒子を提供できることがわかる。
実施例と比較例2とから、共重合体に占めるスチレン成分の割合が30重量%未満であることで、高いヘイズを有し、光拡散性が良好である粒子を提供できることがわかる。
実施例1と3とから、架橋性ビニル系単量体の種類を変更しても、高いヘイズを有し、光拡散性が良好である粒子を提供できることがわかる。
比較例6から、疎水性(メタ)アクリル酸エステル単量体に代えて親水性単量体を使用すると、アイゾッド衝撃値が低下することがわかる。
b 内側重合体層
c 外側重合体層
1 単中空粒子
2 透明樹脂
Claims (2)
- 10〜50重量%の架橋性ビニル系単量体と90〜50重量%のスチレン系単量体との疎水性単量体混合物100重量部に、50,000〜400,000の範囲の重量平均分子量(GPCによって測定)を有し、かつ30重量%未満のスチレン成分を含む(メタ)アクリル酸エステル−スチレン系共重合体1〜10重量部と重合開始剤0.01〜10重量部とを溶解させ、得られた溶液を、水の存在下で、懸濁重合させることで、中心から外側に向かって、空孔、内側重合体層及び外側重合体層をこの順で備えた単中空粒子を得ることを特徴とする単中空粒子の製造方法。
- 前記水が、分散安定剤としての難水溶性無機化合物を更に含む請求項1に記載の単中空粒子の製造方法。
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