JP5576752B2 - 単中空粒子及びその製造方法 - Google Patents
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Description
特開昭59−193901号公報では、水性媒体中で、疎水性単量体を重合させるに際して、水性媒体にイオン性界面活性剤を添加し、疎水性単量体に非イオン性界面活性剤を添加することで、中空の重合体粒子が得られるとされている。
特開2006−117920号公報では、特定の構造の界面活性剤を含む水性媒体中で、(メタ)アクリル酸エステル系単量体を重合させることで、複数の空孔を有する重合体粒子が得られるとされている
また、特開2006−117920号公報では、複数の中空を有する粒子は記載されているが、芳香族系の架橋性ビニル系単量体を使用した場合に、単中空粒子を得る技術は報告されていなかった。
かくして本発明によれば、水性媒体中、親水性(メタ)アクリル系単量体と芳香族単量体とを含む単量体混合物100重量部を、分子内に親水部と疎水部とを有する櫛形高分子からなる界面活性剤0.01〜4重量部の存在下で、懸濁重合させることで、単中空粒子を得る工程からなり、
前記単量体混合物が、前記親水性(メタ)アクリル系単量体90〜10重量%と、前記芳香族単量体10〜90重量%とを含み、
前記芳香族単量体が、前記単量体混合物に対して、10重量%以上の架橋性スチレン系単量体を含み、
前記櫛型高分子は、親水部を有する主鎖に、疎水部を構成する2以上の側鎖がグラフト結合した高分子であり、20〜80の酸価を与える酸基からなる官能基と、1000〜2000の塩基度を与える塩基からなる官能基とを備え、2000〜100000の重量平均分子量を有することを特徴とする単中空粒子の製造方法が提供される。
また、本発明によれば、上記方法により得られた単中空粒子が提供される。
また、櫛型高分子は、親水部を有する主鎖に、疎水部を構成する2以上の側鎖がグラフト結合した高分子であり、20〜80の酸価を与える酸基からなる官能基と、1000〜2000の塩基度を与える塩基からなる官能基とを備え、2000〜100000の重量平均分子量を有する場合、単中空粒子をより効率よく得ることができる。
上記単中空粒子は、水性媒体中、親水性(メタ)アクリル系単量体と、架橋性スチレン系単量体を少なくとも含む芳香族単量体とを含む単量体混合物を、分子内に親水部と疎水部とを有する櫛形高分子からなる界面活性剤の存在下で、懸濁重合させることで得ることができる。ここで、(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルを意味する。
(1)親水性(メタ)アクリル系単量体
単量体混合物に含まれる親水性(メタ)アクリル系単量体としては、カルボキシル基や水酸基等の親水性の置換基を有する(メタ)アクリル系単量体が挙げられる。例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル等の(メタ)アクリル酸誘導体や、アクリル酸、アルキレンオキサイド基を有する(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。この内、特にアクリル酸アルキル及び/又はアルキレンオキサイド基を有する(メタ)アクリル酸エステルがよい。これら単量体は、単独で使用してもよく、2種以上組み合わせて使用してもよい。
アルキレンオキサイド基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、下記式1の化合物が挙げられる。
なお、式1の単量体において、mが50より大きい場合及びnが50より大きい場合、重合安定性が低下し合着粒子が発生することがある。好ましいm及びnの範囲は0〜30であり、より好ましいm及びnの範囲は0〜15ある。
芳香族単量体は、単量体混合物中、10〜90重量%含まれていることが好ましい。含有量が10重量%未満の場合、単中空に成り難く、多中空粒子になる傾向がある。90重量%より多い場合、単中空に成り難く、中実粒子又は多中空粒子になる傾向がある。芳香族単量体は、少なくとも架橋性スチレン系単量体を含んでいる。
芳香族単量体は、更に芳香族単官能ビニル単量体を含んでいることが好ましい。芳香族単官能ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン等が挙げられる。
芳香族単官能ビニル単量体は、単量体混合物に対して、30〜60重量%含まれていることが好ましい。この範囲で芳香族単官能ビニル単量体が含まれることで、空隙率の高い単中空粒子が得られる傾向がある。
更に、トリアクリル酸トリメチロールプロパン、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸ジエチレングリコール、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、ジメタクリル酸デカエチレングリコール、ジメタクリル酸ペンタデカエチレングリコール、ジメタクリル酸ペンタコンタヘクタエチレングリコール、ジメタクリル酸1,3−ブチレン、メタクリル酸アリル、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン、テトラメタクリル酸ペンタエリスリトール、ジメタクリル酸フタル酸ジエチレングリコール、トリアクリル酸トリエチレングリコール、N,N−ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルファイト等のジビニル化合物及びトリビニル化合物が含まれていてもよい。
単量体混合物には、含まれる単量体の重合を促進させる重合開始剤が含まれていることが好ましい。重合開始剤としては、一般に懸濁重合に用いられる重合開始剤を用いることができる。例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化オクタノイル、オルソクロロ過酸化ベンゾイル、オルソメトキシ過酸化ベンゾイル、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、キュメンハイドロパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等の過酸化物系重合開始剤、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,3,3−トリメチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−イソプロピルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリン酸)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート等を単独又は複数を混合して用いることができる。なお、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)は、単量体に溶解しやすく取り扱いが容易である点において好適である。また、前記重合開始剤の配合量は、使用する単量体の種類にもよるが、通常、単量体混合物100重量部に対して、0.01〜1重量部である。
本発明で使用される界面活性剤は、分子内に親水部と疎水部とを有する櫛形高分子である。ここで、櫛型高分子とは、線状主鎖に線状側鎖が結合した三叉分岐点を数多く有する高分子を意味する。例えば、親水部からなる主鎖上に、2以上の疎水部が櫛状に結合した形状、又はその逆の疎水部からなる主鎖上に、2以上の親水部が櫛状に結合した形状を有する高分子が使用できる。この内、前者の形状を有する高分子は、単量体混合物中に分散させた単中空を形成するための水性媒体を粒状に安定して保持させやすい点から好ましい。主鎖と側鎖との結合形式は、特に限定されないが、通常グラフトによる結合形式である。
主鎖が、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離カルボン酸基を有するポリエステルとの反応物に由来する鎖である
高分子が挙げられる。低級アルキレンとは、エチレン、トリエチレン、テトラエチレン等が挙げられる。
櫛型高分子は、2000〜100000の重量平均分子量の物を使用することができる。より好ましい重量平均分子量は20000〜30000である。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定された値である。
一方、塩基価が1000未満の場合、中空形成が困難となることがある。2000を越える場合も、中空形成が困難となることがある。なお、塩基価は、櫛型高分子1gに含まれる塩基性成分を中和するのに要する塩酸と当量の水酸化カリウムのmg数として測定できる。
水性媒体としては、特に限定されず、水、水と水溶性有機溶媒(例えば、メタノール、エタノール等の低級アルコール)の混合物が挙げられる。
水性媒体は、通常、単量体混合物100重量部に対して、150〜1000重量部使用される。
水性媒体には、単量体混合物を水性媒体中でエマルジョン状態として安定させるべく分散安定剤や水性媒体用の界面活性剤を配合できる。
分散安定剤は、通常、単量体混合物100重量部に対し、0.1〜20重量部の割合で水性媒体に配合できる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ジエチルスルホコハク酸ナトリウム等が挙げられる。
水性媒体用界面活性剤は、通常、水性媒体に、0.005〜0.3重量%の濃度になるように配合される。
単量体混合物を、水性媒体中、上記櫛型高分子からなる界面活性剤の存在下で懸濁重合させることにより単中空粒子が得られる。単量体混合物は、櫛型高分子からなる界面活性剤と油相を構成し、水性媒体中で重合する。
懸濁重合では、まず、油相と水性媒体とをそれぞれ別容器にて所定配合に調製する。
油相は、親水性(メタ)アクリル系単量体と架橋性スチレン系単量体、任意に芳香族単官能ビニル単量体及び重合開始剤とを含む単量体混合物と、櫛型高分子からなる界面活性剤とを所定の割合で混合攪拌することにより得られる。このとき用いる混合攪拌手段としては、全体的に均一となるような混合攪拌手段が好ましく、例えば、一般的なミキサー、ホモジナイザーが挙げられる。
油相と水性媒体の調製後、水性媒体に、油相を添加し、混合攪拌し懸濁液(水相/油相/水相エマルジョン)を得る。なお、油相は油滴を構成し、水相エマルジョンは油滴中に存在する。このとき、攪拌手段としてホモジナイザーを用いることで攪拌時間、回転数等の攪拌条件を変化させて油滴サイズ、他の攪拌手段を用いた場合に比べて容易に調製できる。油滴サイズを調整できることは、油滴から得られる単中空粒子のサイズを調製できることを意味する。
単中空粒子における中空の割合(空隙率)は、特に限定されないが、本発明の方法によれば、30%以上とすることができる。空隙率の上限は、50%程度である。
単中空粒子の大きさは、特に限定されず、その用途に応じて適宜設定できる。例えば、光拡散板の用途の場合、3〜100μmの平均粒子径を有することが好ましい。この範囲であれば、単中空粒子を多量に使用しなくても十分な光拡散性を確保できる。より好ましい平均粒子径は3〜50μmであり、更に好ましい平均粒子径は3〜30μmである。
本発明の単中空粒子は、界面活性剤等のブリードが抑制されている。ブリードする物質は、通常、低分子量で、熱や光により劣化しやすい。そのため、例えば、単中空粒子を熱可塑性樹脂に分散させた後、加熱成型させて得られた成形品には、ブリードした物質が成形時の熱による劣化に由来する黄変が発生することがある。これに対して、本発明の単中空粒子は、成形体に生じる黄変を抑制できる点で優れている。
本発明の単中空粒子は、例えば、光拡散性樹脂組成物(成形用材料等)や塗料等の原料として使用できる。
光拡散性樹脂組成物(成形用材料)としては、TV用スクリーン、照明カバー、バックライト式液晶ディスプレイパネルの光拡散板や導光板等の成形用材料が挙げられる。このような成形用材料は、例えば、常温固体状態の透明な基材樹脂(透明樹脂)に単中空粒子を含有させることにより得られる。透明な基材樹脂としては、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、メチルメタクリレート−スチレン共重合体、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ノルボルネン系重合体、ビニル脂環式炭化水素重合体等が好適である。
成形用材料には単中空粒子が0.1〜10重量%含まれることが好ましい。この範囲であれば、優れた光拡散性能と、黄変等の変色の発生の防止を両立できる。特に本発明の単中空粒子を透明樹脂中に配合することにより得られた成形用材料を公知の方法で成形性することにより得られた照明カバーは、単中空粒子の構成に依存して、高い光拡散性を有している。そのため、光源が照明カバー越しに視認されることを防止できる。この視認の防止は、LED光源のような、照射される光の拡散性に劣る光源を使用した照明に特に有用である。なお、照明カバーの形状は、公知の形状と同様にできる。
本発明の単中空粒子を含む塗料は、光拡散性塗料やつや消し塗料等に好適に使用できる。この光拡散性塗料やつや消し塗料には、例えば、粒径3〜50μmの単中空粒子とバインダーとの混合物を用いることができる。この混合物には、溶剤が含まれていてもよい。なお、光拡散性塗料においては、バインダーは透明なものを用いることが好ましく、つや消し塗料においては、バインダー樹脂は透明であっても有色のものであってもよい。塗料中の固形成分(バインダー+単中空粒子)に占める単中空粒子の含有量は、光拡散性塗料においては、5〜70重量%が好ましく、つや消し塗料においては、10〜30重量%であることが好ましい。
(櫛型高分子の重量平均分子量)
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて、重量平均分子量(Mw)を測定する。その測定方法は次の通りである。なお、重量平均分子量(Mw)はポリスチレン(PS)換算重量平均分子量を意味する。
試料50mgをテトラヒドロフラン(THF)10ミリリットルに溶解させ、非水系0.45μmのクロマトディスクで濾過した上でクロマトグラフを用いて測定する。クロマトグラフの条件は下記の通りとする。
カラム:東ソー社製、商品名「TSKgel GMH−XL−L」φ7.8mm×30cm×3本の直列接続
カラム温度:40℃
キャリアーガス:テトラヒドロフラン(THF)
キャリアーガス流量:0.8ミリリットル/分
注入・ポンプ温度:35℃
検出:RI
注入量:100マイクロリットル
検量線用標準ポリスチレン:昭和電工社製、商品名「shodex」重量平均分子量:1030000と東ソー社製、重量平均分子量:5480000、3840000、355000、102000、37900、9100、2630、870
孔径50〜280μmの細孔に電解質溶液を満たし、電解質溶液を粒子が通過する際の電界質溶液の導電率変化から体積を求め、平均粒子径を計算する。具体的には、測定した平均粒子径は、ベックマンコールター社製のコールターマルチサイザーIIによって測定した体積平均粒子径である。なお、測定に際してはCoulter Electronics Limited発行のREFERENCE MANUAL FOR THE COULTER MULTISIZER(1987)に従って、測定する粒子の粒子径に適合したアパチャーを用いてキャリブレーションを行い測定する。
単中空粒子の空隙率(%)は、次のように測定する。まず、単中空粒子の断面を1000倍の電子顕微鏡で撮影する。得られた写真から中央付近で切断されている単中空粒子を任意に、10個選択する。選択した個々の単中空粒子の外径r1と内径r2を以下のように算出する。
得られたr1とr2とから、次式により個々の単中空粒子の空隙率を算出する。なお、空隙率は、10個の個々の空隙率の平均値である。
空隙率(%)=(r2/r1)2×100
芳香族単官能ビニル単量体としてのスチレン60重量部と架橋性スチレン系単量体としてのジビニルベンゼン30重量部、親水性(メタ)アクリル系単量体としてのアクリル酸メチル10重量部、重合開始剤としてのアゾビスバレロニトリル0.4重量部とを混合して単量体混合物を得た。この単量体混合物に櫛形高分子からなる界面活性剤(ルーブリゾール社製ソルスパース26000、重量平均分子量26000、酸価50±4、塩基度1500±150)を1重量部添加することで油相を得た。
イオン交換水150重量部に分散安定剤としての第3リン酸カルシウム10重量部と界面活性剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.02重量部とを添加することで水相を得た。
水相に油相を入れて得られた混合物をホモジナイザーにて4000rpmで10分間攪拌した。その後、60℃で12時間単量体を重合させることで単中空粒子を得た。図2に単中空粒子の断面の電子顕微鏡写真を示す。
得られた単中空粒子5kgとポリメチルメタクリレート樹脂(住友化学社製スミペックスMG−5、屈折率1.490)95kgとを混合し、押出成型機により240℃で成形して、ペレットを作製した。
更に、このペレットから射出成型機により、厚みが1mmで半筒状(φ25mm×高さ520mmの筒を縦に半分に割った形)の成形品(照明カバー)を作製した。
半筒状の成形品について、蛍光管型LED照明(CREE社製、40W相当タイプ)の照明カバー部と付け替えて輝度の測定を行った。
輝度は、照明カバーより50cm離れた所に設置した輝度計(CA−1000、コニカミノルタ社製)を用いて、測定した。その結果、輝度は10400cd/cm2であった。
また、LED光源の一つ一つは照明カバー越しには確認できず、LED光源からの光が十分に拡散していることを確認した。
スチレンを35重量部、アクリル酸メチルを35重量部とすること以外は実施例1と同様の方法で単中空粒子を得た。図3に単中空粒子の断面の電子顕微鏡写真を示す。
実施例1と同様にして半筒状の成形品を得た。この成形品を、実施例1と同様に、LED照明カバー部と付け替えて、輝度を測定したところ、輝度は11000cd/cm2であった。また、LED光源の一つ一つは照明カバー越しには確認できず、LED光源からの光が十分に拡散していることを確認した。
実施例3
アクリル酸メチル10重量部及びスチレン60重量部をアルキレンオキサイド基を有する(メタ)アクリル酸エステル(日油社製ブレンマー50PEP300)35重量部及びスチレン35重量部とすること以外は実施例1と同様の方法で単中空粒子を得た。
実施例1と同様にして半筒状の成形品を得た。この成形品を、実施例1と同様に、LED照明カバー部と付け替えて、輝度を測定したところ、輝度は11900cd/cm2であった。また、LED光源の一つ一つは照明カバー越しには確認できず、LED光源からの光が十分に拡散していることを確認した。
実施例4
ジビニルベンゼンを90重量部、アクリル酸メチルを10重量部とし、スチレンを添加しないこと以外は実施例1と同様の方法で単中空粒子を得た。
実施例1と同様にして半筒状の成形品を得た。この成形品を、実施例1と同様にLED照明カバー部と付け替えて、輝度を測定したところ、輝度は12200cd/cm2であった。また、LED光源の一つ一つは照明カバー越しには確認できず、LED光源からの光が十分に拡散していることを確認した。
櫛形高分子からなる界面活性剤を添加しないこと以外は実施例1と同様の方法で粒子を得た。図4に粒子の断面の電子顕微鏡写真を示す。
比較例2
スチレンを70重量部、ジビニルベンゼン30重量部とし、アクリル酸メチルを添加しないこと以外は実施例1と同様の方法で粒子を得た。図5に粒子の断面の電子顕微鏡写真を示す。
比較例3
スチレンを65重量部、アルキレンオキサイド基を有する(メタ)アクリル酸エステル(日油社製ブレンマー50PEP300)を5重量部、ジビニルベンゼンを30重量部とすること以外は実施例1と同様の方法で粒子を得た。図6に粒子の断面の電子顕微鏡写真を示す。
比較例4
スチレンを85重量部、アクリル酸メチルを10重量部、ジビニルベンゼンを5重量部とすること以外は実施例1と同様の方法で粒子を得た。
上記実施例及び比較例で使用した単量体及び櫛形高分子からなる界面活性剤の使用量(数値は重量部)、形状、空隙率及び平均粒子径を表1に示す。
実施例と比較例1とから、分子内に親水部と疎水部とを有する櫛形高分子からなる界面活性剤を使用することで、単中空粒子が簡便に得られることがわかる。
実施例と比較例2とから、親水性(メタ)アクリル系単量体を使用することで、単中空粒子が簡便に得られることがわかる。
実施例と比較例3とから、親水性(メタ)アクリル系単量体の使用量を10重量%以上とすることで、単中空粒子が簡便に得られることがわかる。
実施例と比較例4とから、架橋性スチレン単量体の使用量を10重量%以下とすることで、単中空粒子が簡便に得られることがわかる。
実施例1〜3と実施例4とから、芳香族単官能ビニル単量体を含むことで、より空隙率の高い単中空粒子が簡便に得られることがわかる。
b 重合体層
1 単中空粒子
A 中点
L1 長径
L2 交点間の長さ
Claims (5)
- 水性媒体中、親水性(メタ)アクリル系単量体と芳香族単量体とを含む単量体混合物100重量部を、分子内に親水部と疎水部とを有する櫛形高分子からなる界面活性剤0.01〜4重量部の存在下で、懸濁重合させることで、単中空粒子を得る工程からなり、
前記単量体混合物が、前記親水性(メタ)アクリル系単量体90〜10重量%と、前記芳香族単量体10〜90重量%とを含み、
前記芳香族単量体が、前記単量体混合物に対して、10重量%以上の架橋性スチレン系単量体を含み、
前記櫛型高分子は、親水部を有する主鎖に、疎水部を構成する2以上の側鎖がグラフト結合した高分子であり、20〜80の酸価を与える酸基からなる官能基と、1000〜2000の塩基度を与える塩基からなる官能基とを備え、2000〜100000の重量平均分子量を有することを特徴とする単中空粒子の製造方法。 - 前記単量体混合物が、前記親水性(メタ)アクリル系単量体40〜10重量%と、前記芳香族単量体60〜90重量%とを含み、
前記芳香族単量体が、前記単量体混合物に対して、30〜60重量%の芳香族単官能ビニル単量体を更に含む請求項1に記載の単中空粒子の製造方法。 - 請求項1又は2に記載の方法により得られ、単量体混合物に由来する重合体100重量部と、分子内に親水部と疎水部とを有する櫛形高分子からなる界面活性剤0.01〜4重量部とから構成された単中空粒子であり、
前記単量体混合物が、親水性(メタ)アクリル系単量体90〜10重量%と芳香族系単量体10〜90重量%とを含み、
前記芳香族系単量体が、前記単量体混合物に対して、10重量%以上の架橋性スチレン系単量体を含み、
前記櫛形高分子が、親水部を有する主鎖に、疎水部を構成する2以上の側鎖がグラフト結合した高分子であり、20〜80の酸価を与える酸基からなる官能基と、1000〜2000の塩基度を与える塩基からなる官能基とを備え、2000〜100000の重量平均分子量を有する単中空粒子。 - 透明樹脂中に請求項3に記載の単中空粒子を配合することにより得られた光拡散性樹脂組成物。
- 請求項4に記載の光拡散性樹脂組成物より得られた照明カバー。
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