JP2004143261A - 光拡散性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた光拡散性を有するとともに、角度によって拡散光に生じる色の差が抑制された光拡散性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】基材樹脂に、平均粒子径が1〜30μmであり、かつ、比表面積が20〜500m2/gであって、細孔径が0.5μm以下である多孔性樹脂微粒子を分散せしめてなる光拡散性樹脂組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】基材樹脂に、平均粒子径が1〜30μmであり、かつ、比表面積が20〜500m2/gであって、細孔径が0.5μm以下である多孔性樹脂微粒子を分散せしめてなる光拡散性樹脂組成物。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光拡散性樹脂組成物に関し、より詳しくは優れた光拡散性を有するとともに、角度によって拡散光に生じる色の差が抑制された照明カバー、各種ディスプレイなどに好適に用いられる光拡散性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、照明カバーや各種ディスプレイなどに用いられている光拡散性部材としては、無機系あるいは有機系の微粒子を基材樹脂である透明合成樹脂中に分散させた材料を成形したものが一般に使用されている。該光拡散性部材は、透明性を有する基材樹脂とこれに分散させた微粒子との屈折率差により、基材樹脂と微粒子との界面で光線を散乱あるいは反射させ、光拡散性を持たせる方法が広く用いられている。この場合の透明樹脂としては、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂、塩化ビニル樹脂等が通常用いられている。
【0003】
上記照明カバーや各種ディスプレイ等の商品においては、より明るくかつ均一であることが強く求められているため、これらの商品に用いられる光拡散性材料には、より光を透過し、かつ光を十分に拡散させる性能が必要となる。
【0004】
従来、光の透過性が高く、かつ光の拡散性能に優れるという相反する性能を兼ね備える部材を得る方法として、例えば、酸化チタン、ガラス等の無機微粒子やポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン等の架橋有機微粒子を光拡散剤として基材樹脂に配合する方法が検討されている。
しかしながら、光拡散剤として無機微粒子を使用した場合には、光線透過率が低下しやすい、成形時の機械破損などを招きやすい、均一に光が拡散しないなどの問題が発生する場合がある。また、有機微粒子としてポリメタクリル酸メチル架橋微粒子を用い、これを基材樹脂であるメタクリル樹脂に添加した場合には、光透過率は向上するものの、両者の屈折率差が小さくなり満足できる光拡散性が得られないという問題点があった。一方、有機微粒子としてポリスチレン架橋微粒子を用いた場合には、該微粒子と基材樹脂としてのメタクリル樹脂との屈折率差が大きいので光拡散性は高くなるものの、ポリスチレン架橋微粒子のアッベ数が小さいので該架橋微粒子とメタクリル樹脂とのアッベ数の差が大きくなり、拡散光は見る角度によって色の差が生じてしまうといった問題点があった。
より具体的には、透明性樹脂に、特定範囲の屈折率差と粒径を有する架橋ポリマー粒子を含有させる方法(例えば、特許文献1参照)、特定の構造と粒径を有するシリコーン樹脂粒子を含有させる方法(例えば、特許文献2参照)なども提案されているが、これらの場合においても、透明性、拡散性(特に見る角度によって見える色の差)などの性能の点で市場の要求を十分満足しているとは言いがたい状況にあった。
【0005】
また、メタクリル樹脂に、メタクリル酸メチル、スチレンおよびアルキルアクリレートからなり特定のパラメーターを満足する架橋樹脂微粒子を分散させることにより、優れた光拡散性を持ち、正面輝度が高い光拡散性樹脂が得られること(例えば、特許文献3参照)が提案されている。
しかしながら、このような光拡散性樹脂は、メタクリル樹脂にポリスチレン架橋微粒子を分散させたものに比べて正面輝度は向上しているが、光拡散性は必ずしも満足できるものではなく、市場の要求により更なる改良が求められているというのが実状である。
【0006】
【特許文献1】
特開昭63−291001号公報(第2−3頁)
【特許文献2】
特開平3−207743号公報(第2−3頁)
【特許文献3】
特開平10−67829号公報(第2−4頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明は、優れた光拡散性を有するとともに、角度によって拡散光に生じる色の差が抑制された、照明カバー、各種ディスプレイなど光の拡散を目的とする部材に適した樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の物性を有する多孔性樹脂微粒子を光拡散剤として用いることが有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
1) 基材樹脂に、平均粒子径が1〜30μmであり、かつ、比表面積が20〜500m2/gであって、細孔径が0.5μm以下である多孔性樹脂微粒子を分散せしめてなる光拡散性樹脂組成物である。
また、本発明は、
2) 基材樹脂がメタクリル樹脂であることを特徴とする上記1)記載の光拡散性樹脂組成物である。
さらに、本発明は、
3) 多孔性樹脂微粒子が膜乳化重合法により得られる多孔性樹脂粒子および/または多孔性樹脂微粒子が(メタ)アクリル酸エステル20〜99.9質量%、架橋性単量体0.1〜80質量%および他の共重合可能な単量体0〜79.9質量%からなる多孔性樹脂微粒子であることを特徴とする上記1)または2)記載の光拡散性樹脂組成物である。
そして、本発明は、
4) 上記1)〜3)のいずれかに記載の光拡散性樹脂組成物からなる成形体である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いる基材樹脂としては、特に制限されず、例えばメタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂、塩化ビニル樹脂等が挙げられる。これらのうち、透明性などの点でメタクリル樹脂が好ましく用いられる。該メタクリル樹脂としては、メタクリル酸メチル単独重合体、メタクリル酸メチルを主体としこれとアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリロニトリル、無水マレイン酸、スチレン、α―メチルスチレンなどの共重合可能な単量体との共重合体などが挙げられるが、基材樹脂中に含まれるメタクリル酸メチルの割合は50質量%以上であることが好ましく、80質量%であることがより好ましい。
【0010】
また、本発明で使用する多孔性樹脂微粒子は、その平均粒子径が1〜30μmの範囲であることが必要であり、2〜20μmの範囲であることが好ましく、2〜10μmであることがより好ましい。多孔性樹脂微粒子の平均粒子径が1μmより小さい場合には、これを基材樹脂中に分散させて得られる樹脂組成物は、短波長の光を選択的に散乱するため、透過光が黄色を帯びやすく好ましくない。一方、多孔性樹脂微粒子の平均粒子径が30μmを超えると、これを基材樹脂中に分散させて得られる樹脂組成物は、光拡散性が低下したり、光が樹脂を透過したときに樹脂粒子が異物として目視されやすくなったりする場合があり好ましくない。多孔性樹脂微粒子の形状としては、楕円球状ないし球状形状にわたる形態であることが好ましく、球状であることがより好ましい。
なお、本明細書でいう平均粒子径とは、後述するように電子顕微鏡観察により得られた写真を用いた実測によって得られる平均粒子径を意味する。
【0011】
上記多孔性樹脂微粒子は、光拡散性と光透過性とのバランスに優れ、成形体とした場合に成形体の部位により光源の像が透けて見えないように、粒子径がある範囲内で揃っていることが好ましく、例えば、粒子径分布の指標として後述する変動係数(CV値)が50%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。
【0012】
また上記多孔性樹脂微粒子の比表面積は、20〜500m2/gの範囲であることが必要であり、50〜300m2/gであることが好ましく、50〜150m2/gであることがより好ましい。樹脂微粒子の比表面積が20m2/gより小さい場合には、これを基材樹脂中に分散させて得られる樹脂組成物は、光拡散性が低くなる傾向にあり好ましくない。一方、比表面積が500m2/gを超えると、該多孔性樹脂微粒子の強度が不十分となり、これを基材樹脂中に分散させる際、圧潰等によって該多孔性樹脂微粒子が破壊され易くなり、このため得られる樹脂組成物の光拡散性が低くなる傾向があり好ましくない。
なお、本明細書でいう比表面積とは、後述するようにBET法(N2)により得られるものを意味する。
【0013】
さらに上記多孔性樹脂微粒子の細孔径は、0.5μm以下であることが必要であり、0.3μm以下であることが好ましく、0.1μm以下であることがより好ましい。該樹脂微粒子の細孔径が0.5μmより大きい場合には、これを基材樹脂中に分散させて得られる樹脂組成物は、短波長の光を選択的に散乱するため、透過光が黄色を帯びやすく好ましくない。
なお、本明細書でいう細孔径とは、後述するように写真を用いた実測によって得られる平均細孔径を意味する。
【0014】
本発明においては、粒子径、比表面積、細孔径が上記特定範囲内にある多孔性樹脂微粒子を基材樹脂に配合・分散させることによって、光透過性、光拡散性等の光学性能をバランスさせた光拡散性樹脂組成物を得ることができる。このような多孔性樹脂微粒子を製造する方法としては、本発明の上記要件が特定の範囲を満足するものが得られる方法である限り特に制限されないが、例えば、
(1)内部にブタン等の揮発性物質を発泡剤として含有させたポリマーを粒子化し、次いで発泡剤を発泡させることからなる方法(特公昭42−26524号公報等参照);
(2)内部にアルカリ膨潤性の物質を含有するポリマー粒子を形成させ、次いで、このポリマー粒子にアルカリ性液体を含浸させてアルカリ膨潤性の物質を膨張させることからなる方法(特開昭56−32513号公報等参照);
(3)親水性単量体、架橋性単量体および他の単量体からなる重合性単量体成分ならびに油性物質からなる分散相を含有するエマルジョンを形成させ、該エマルジョンを加熱下に該重合性単量体成分を重合処理に付することにより、上記油性物質からなる微細油滴部と該重合性単量体成分の重合体からなるマトリクス部とを有する複合樹脂微粒子を形成させ、次いで、該複合樹脂微粒子中の油性物質を除去することからなる多孔性樹脂微粒子の製造方法(特開昭62−127336号公報等参照);
(4)シラス・ポーラス・グラス(SPG)法を用い、架橋性単量体を含有する単量体混合物、油性物質などからなる分散相を、細孔を有するミクロ多孔体膜を通して連続相となる水相液中に圧入することにより、所望の均一な粒子径を有する懸濁液を得る工程(特開平2−95433号公報参照)、該懸濁液を重合槽中に導き重合反応を完結させて重合体粒子を得、次いで該重合体粒子から油性物質を除去する工程などからなる多孔性樹脂微粒子の製造方法;
などの方法を挙げることができる。これらの方法のうち、最後に記載した(4)の方法(以下、膜乳化重合法ということがある)が、多孔性樹脂微粒子の粒子径を狭い範囲に揃えることができ、該多孔性樹脂微粒子を基材に配合することにより光拡散性に優れかつ光源イメージの透過を防ぐことができるなどの観点から好ましく採用される。
【0015】
上記方法における樹脂微粒子の内部に多孔が形成されるメカニズムは、必ずしも明らかではないが、例えば、上記(4)の膜乳化重合法においては、架橋性単量体を必須成分とする単量体混合物と油性物質とからなる均一な粒子径を有する分散粒子を重合させることにより、重合反応と共に架橋が生じて形成される樹脂微粒子が変形し難い状態となるところに重合収縮が同時に進行して粒子内部に歪みが発生し無数の微細油滴部が形成されて微細油滴部を含有する複合樹脂微粒子が得られ、次いで、この後に該複合樹脂微粒子中の油性物質を除去することにより、比表面積および細孔径が狭い範囲に揃えられた多孔性樹脂微粒子が得られるものと考えられる。
【0016】
本発明に用いる上記方法により得られる多孔性樹脂微粒子の組成は、特に限定されず使用する基材樹脂に応じて適宜選定できるが、例えば、メタクリル樹脂を基材樹脂とする場合には、(メタ)アクリル酸エステル、架橋性単量体および所望により他の共重合可能な単量体からなる多孔性樹脂微粒子であることが好ましく、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと架橋性単量体とを重合させて得られる多孔性樹脂微粒子、若しくは(メタ)アクリル酸アルキルエステル、架橋性単量体および他の共重合可能な単量体を重合させて得られる多孔性樹脂微粒子であることが特に好ましい。
【0017】
上記(メタ)アクリル酸エステル(アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルを意味する)としては、特に限定されないが、例えば、炭素数1〜12のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸アルキルエステルであることが好ましい。これらの単量体の具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチルおよびこれらの四級化物、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびそのナトリウム塩などを挙げることができる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらのうち、炭素数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル、炭素数1〜8のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルあるいはこれらの混合物がより好ましく、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、もしくはこれらの混合物がさらに好ましく用いられる。
【0018】
上記(メタ)アクリル酸エステルは、用いる単量体の総量に対して、20〜99.9質量%の範囲で用いることが好ましく、30〜99質量%の範囲で用いることがより好ましく、60〜96質量%の範囲で用いることがさらに好ましい。(メタ)アクリル酸エステルの配合量が20〜99.9質量%の範囲内であると、例えば基材樹脂にメタクリル樹脂を用いた場合、製造された多孔性樹脂微粒子と基材樹脂とのアッベ数の差が小さくなり、拡散光は見る角度によって色の差が生じにくくなり好ましい。
【0019】
また、架橋性単量体としては、特に限定されないが、分子内に2個以上のビニル基を有することが好ましく、例えば、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレートなどのジビニル系単量体あるいはトリビニル系単量体などを挙げることができる。これらは1種単独で用いることができるし、2種以上を併用することもできる。これらのうち、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートなどが好ましく用いられる。
上記架橋性単量体は、用いる単量体の総量に対して、0.1〜80質量%の範囲で用いることが好ましく、1〜70質量%の範囲で用いることがより好ましく、4〜40質量%の範囲で用いることがさらに好ましい。架橋性単量体の配合量が0.1〜80質量%である場合には、製造される多孔性樹脂微粒子が十分架橋され、基材樹脂と溶融混合した際にその形状を十分に保持することができ好ましい。
【0020】
(メタ)アルキル酸エステル、架橋性単量体などと共重合可能な他の単量体としては、特に限定されず、例えば、他のエチレン性不飽和単量体を挙げることができ、より具体的には、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類;塩化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等のハロゲン化オレフィン類;ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類;スチレン、α−メチルスチレン、p−スチレンスルホン酸またはそのナトリウム塩、カリウム塩等のスチレン系単量体;N−ビニルピロリドン等を挙げることができる。これらの他の単量体は、単独で用いることもできるし、2種以上を併用することもできる。上記他の単量体は、本発明に用いる多孔性樹脂微粒子において必須の成分ではないが、用いる単量体の総量に対して、0〜79.9質量%の範囲で用いることが好ましく、0〜40質量%の範囲で用いることがより好ましく、0〜20質量%の範囲で用いることがさらに好ましい。
【0021】
本発明で用いる多孔性樹脂微粒子は、多孔性樹脂微粒子を構成しているマトリックス部分の屈折率が、基材樹脂の屈折率と同じかあるいはそれよりも低い屈折率を有するものであることが、見る角度によって色の差が発生することを防止する観点から好ましい。例えば、多孔性樹脂微粒子を構成しているマトリックス部分の屈折率が基材樹脂の屈折率よりも大きい場合には、光拡散性は高くなるものの、基材樹脂と多孔性樹脂微粒子とのアッベ数の差が大きくなり、拡散光が見る角度によって色の差が生じやすくなることがある。
【0022】
本発明で使用する多孔性樹脂微粒子を製造するにあたっては、上記(メタ)アクリル酸エステルなどの単量体以外に分散相形成成分として油性物質を用いることもできる。該油性物質は、常温付近において液状を呈し、本発明で採用する重合条件下で実質的に重合せず、かつ水に相溶しない有機液体であれば特に制限されない。このような油性物質としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ヘキサデカン、シクロヘキサンなどの比較的揮発性の大きい炭化水素系溶剤;ラウリルアルコール、オクタノールなどのアルコール類;酢酸エチル、酢酸イソアミルなどのエステル類;シトロネラール、ゲラニオール、オイゲノール、シクラメンアルデヒド、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなどの高沸点物質などを挙げることができる。これらの油性物質は、単独で用いることもできるし、2種以上を併用することもできる。
【0023】
上記油性物質は、上記(メタ)アクリル酸エステル、架橋性単量体、他の共重合可能な単量体などの単量体成分の総量100質量部に対して、通常1〜300質量部、好ましくは10〜100質量部の割合で用いられ、通常これらの単量体成分と溶解・混合して用いることができる。溶解や混合の方法は、特に限定されず、例えば、攪拌、震とうなどの各種の方法を適宜選択して採用することができる。
【0024】
本発明に用いる多孔性樹脂微粒子を重合する方法としては、特に制限されないが、通常上記のように水系懸濁重合にて好適に製造することができる。該水系懸濁重合においては、分散相成分として上記単量体および油性物質と共に重合開始剤が配合されるが、熱安定剤、光安定剤などの安定剤、顔料等の添加剤をさらに配合してもよい。
【0025】
水系懸濁重合により多孔性樹脂微粒子を製造する際に使用する重合開始剤としては、例えば過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイルなどの過酸化アシロイル;クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート、i−プロピルパーアセテートなどのアルキル過酸エステル;ジt−ブチルパーオキサイドなどのジアルキルパーオキサイド;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、2,2−アゾビスー2,4−ジメチルバレロニトリルなどのアゾビスアシロニトリルなどを挙げることができる。また、上記以外に、過酸化物と還元剤を組み合わせたレドックス系重合開始剤、α,α−ジメトキシ−α−モノフォリノ−メチルチオフェニルアセトフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルホスフィンオキシド、ベンゾフェノン、チオキサンソン、テトラメチルチウラムモノサルファイドなど光重合開始剤も使用することができる。上記重合開始剤の使用量は、用いる単量体の合計量100質量部に対して通常0.05〜10質量部、好ましくは0.5〜3質量部である。
【0026】
また、水系懸濁重合において用いる溶媒としては、通常純水などの水が用いられるが、エチレングリコール、グリセリンエタノール、メタノール等を用いることもでき、またこれらを併用することもできる。また、均一な微粒子を得る観点から、上記溶媒に界面活性剤、懸濁安定剤などを添加することが好ましい。例えば、懸濁安定剤を使用した場合には、重合時に凝集物の発生が少なく、より均一な粒子径の多孔性樹脂微粒子を得ることができるので好ましい。
【0027】
上記界面活性剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物などのアニオン系界面活性剤;アルキルアンモニウム塩、アルキルベンジルアンモニウム塩、ベタイン、イミダゾリウムベタイン、レシチンなどのカチオン系界面活性剤;ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル、ポリエチレングリコールモノステアレート、ソルビタンモノステアレートなどの非イオン系界面活性剤などが挙げられる。
これらの界面活性剤の使用量は、懸濁液の安定性などの観点から、使用する溶媒全量に対して通常0.1〜10質量%の範囲で用いることが好ましい。
また上記懸濁安定剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルビロリドン、ポリエチレングリコールなどの親水性合成高分子物質;カルボキシメチルセルロースなどの親水性半合成高分子物質などの有機系懸濁安定剤;マグネシウム、バリウム、カルシウムなどのリン酸塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、亜鉛華、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムなどの無機系懸濁安定剤などを挙げることができる。
これらの懸濁安定剤の添加量は、懸濁液の安定性などの観点から、連続相液全量に対して通常0.1〜20質量%の範囲で用いることが好ましい。
【0028】
上記水系懸濁重合における単量体の添加量は、生産性、粒子径の均質性などの観点から、水系溶媒100質量部に対して、通常1〜100重量部であり、1〜30質量部であることが好ましい。
【0029】
上記方法により得られた多孔性樹脂微粒子を基材樹脂へ配合する方法としては、特に限定されず、例えば、基材樹脂ペレットに予め多孔性樹脂微粒子を混合してこれを押出成形または射出成形してペレットなどの形態で光拡散性樹脂組成物とする方法;基材樹脂を押出成形または射出成形する際に多孔性樹脂微粒子を添加し成形してペレットなどの形態で光拡散性樹脂組成物とする方法;一度基材樹脂と多孔性樹脂微粒子とをマスターバッチ化した後に再度所望の配合量とするべく基材樹脂とマスターバッチ品とを押出成形または射出成形してペレットなどの形態で光拡散性樹脂組成物とする方法を採用することができる。
多孔性樹脂微粒子の基材樹脂への添加割合は、本発明の効果が奏されるかぎり少量であってもよく、特に限定されないが、基材樹脂100質量部に対して通常0.5〜15質量部、好ましくは1〜10質量部である。
【0030】
このようにして得られた本発明の光拡散樹脂組成物は、通常の熱可塑性樹脂に適用されるような各種の成形方法に供することができ、それによってシート、フィルム、フィラメント、ロッドなどのほか任意の形状・寸法の成形体を製造することができる。かかる成形方法としては、特に制限されず、例えば、押出成形、射出成形、ブロー成形、カレンダー成形、プレス成形、溶融紡糸などの各種の成形法が採用可能である。また、本発明に用いる多孔性樹脂微粒子を直接キャスト重合時に基材樹脂形成モノマーに添加混合し、板、フィルムなどのほか任意の形状を有する成形体などに重合・成形することもできる。
また、得られる成形体の製品としての商品価値を高めるために、本発明の目的を達成する範囲内で他の添加剤、例えば無機顔料、光安定剤等を少量添加することができる。さらに製品である成形体の輝度調整等を目的として、成形と同時にまたは別個に成形体の表面をマット状、プリズム状、その他光学パターン状等にすることも可能である。
【0031】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、実施例中、特に断りのない限り「%」および「部」はそれぞれ「質量%」および「質量部」である。
【0032】
また、実施例中の測定方法および諸物性の評価方法を以下に示す。
(1)多孔性樹脂微粒子の平均粒子径および変動係数(CV値)
実施例および比較例によって得られた多孔性樹脂微粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察し、得られた写真を用いて粒子数200個の粒子径を実測することにより、平均粒子径、平均粒子径に対する標準偏差を算出した。
また、粒子径分布の指標として、百分率(%)で示される変動係数(CV値)は次式により求めた。
CV値=(平均粒子径に対する標準偏差/平均粒子径)×100
【0033】
(2)多孔性樹脂微粒子の細孔径
実施例および比較例によって得られた多孔性樹脂微粒子を含有する成形試験片断面の中央部からウルトラミクロトーム(ウルトラカットS;ライカ社製)を用いて、厚さ約70nmの超薄切片を作成した。作製した超薄切片を0.5%の四酸化ルテニウム水溶液で蒸気染色(処理時間:室温/10min)し、透過型電子顕微鏡(H−7100FA;日立製作所製)を用い、加速電圧は100KVの条件で多孔性樹脂微粒子の細孔を観察し、得られた写真を用いて細孔数200個の細孔を実測することにより、平均細孔径として算出した。
【0034】
(3)比表面積
実施例によって得られた多孔性樹脂微粒子の比表面積は、JIS−R1626記載のBET法(窒素吸着法)により測定(測定装置:Quantasorb Jr.;Yuasa Ionics Co.製)した。
【0035】
(4)一般光学特性(全光線透過率およびヘイズ値)
成形試験片の一般光学特性(全光線透過率及びヘイズ値)は、ヘイズメータ(DIGITAL HAZE COMPUTER;スガ試験機(株)製)を用いて測定した。
【0036】
(5)正面輝度
成形試験片の正面輝度は、下記の光源を用い下記方法で測定した。
照明光源:冷陰極管(表面輝度:11430cd/cm2)を1本用いた。
測定配置及び測定方法:冷陰極管表面から5mm離して幅50mmの成形試験片を設置し、更に成形試験片表面から1m離れた位置に輝度計(BM−5A;(株)トプコン製)を固定し、正面輝度を測定した。
【0037】
(6)輝度および色温度の角度依存性
成形試験片の輝度および色温度の角度依存性は、次のような光源を用いて下記配置・方法で測定した。
光源:照明光源PHL−50(メジロ プレシジョン社製)を用いた。
測定配置:光源からの光を平行光とするため照明光源から70mm離してレンズを設置した。該レンズから50mm離して成形試験片(縦120mm×横120mm×厚み2mmの平板)を回転ステージ上に固定設置し、更に成形試験片表面から700mm離れた位置に輝度計(BM−5A;(株)トプコン製)を固定した。
測定方法:照明光源と輝度計を結んだ線を中心線とし、該中心線に対して垂直方向に成形試験片を固定(2mm板厚方向を光が透過するように固定)し、該角度を0度とした。この状態の輝度及び色温度を測定し、次に回転ステージを回転走査させながら、成形試験片面の輝度値および色温度を5度間隔で測定した。
なお、輝度比率は、5度間隔で求めた輝度値を角度0度で求めた輝度値で除して百分率(%)で示した。
【0038】
実施例1
(1)以下の成分を混合して分散相液を調製した。
モノマー成分:
メタクリル酸メチル 24.5g
エチレングリコールジメタクリレート 24.5g
油性物質:
ヘプタン 7.44g
ヘキサデカン 0.62g
オクタノール 7.44g
ベンゼン 5.52g
重合開始剤:
ラウリルパーオキサイド 0.294g
(2)次いで、以下の成分を溶解混合して連続相液を調整した。
蒸留水 450g
ポリビニルアルコール 2.93g
(PVA−217;(株)クラレ製)
ラウリル硫酸ナトリウム 0.15g
炭酸水素ナトリウム 0.23g
亜硝酸ナトリウム 0.294g
(3)円筒状多孔質ガラス(細孔径0.90μm、直径10mm、長さ20mm)を装着した膜モジュールA、窒素ガスボンベB、分散相液貯蔵タンクC、連続相液循環タンクDなどからなる膜乳化装置(図1参照)の各タンクに分散相液及び連続相液を投入した後に、多孔質ガラスの内部に連続相液を流通させ、次いで円筒状多孔質ガラスの外側から分散相液を0.020MPa(20KPa)の圧力差で円筒内部に圧入し、エマルジョンを得た。
このようにして得られたエマルジョンを容量1000mlのセパラブルフラスコに入れ、窒素雰囲気下において回転数130rpmで懸濁液を攪拌しながら、温度75℃で6時間にわたり重合を行い、油性物質含有樹脂微粒子を製造した。得られた油性物質含有樹脂微粒子の分散液を一日放置後メタノールにより2回デカンテーションし、その後水洗浄、脱水、乾燥して多孔性樹脂微粒子を単離した。得られた多孔性樹脂微粒子の平均粒子径は4.9μm、変動係数(CV値)は10.8%、細孔径は0.08μmであり、比表面積は84m2/gであることが確認された。この反応における重合収率(モノマー仕込み量に対するポリマー収量)は99%であった。
また、該多孔性樹脂微粒子を用いて、下記のように成形試験片を作製し、得られた成形試験片の評価を行い、得られた全光線透過率、ヘイズ、正面輝度を表1、輝度比率の角度依存性を表2、色温度の角度依存性を表3にそれぞれ示す。
この結果から、本実施例の光拡散性樹脂組成物からなる成形体は、高輝度および高拡散性であると共に、色温度の確度依存性もほぼ良好であることが分かる。
【0039】
(成形試験片の作製)
上記により得られた多孔性樹脂微粒子4.8g、メタクリル樹脂(パラペットEH;(株)クラレ製;屈折率1.495)55.2gを混合調製し、ラボプラストミル(LABO PLASTOMILL;(株)東洋精機製作所製)を用いて230℃、8min、60rpmの条件下で溶融混練し光拡散性樹脂組成物を作製した。該光拡散性樹脂組成物を(縦150mm×横50×厚み2mmである金型を用いて230℃、5MPaで圧縮成形(卓上テストプレス:(株)神藤金属工業所製)し、成形試験片を得た。
【0040】
比較例1
メタクリル酸メチル系光拡散剤として市販されているテクポリマーMBXR−8N(積水化成品工業(株)製:屈折率1.495、平均粒子径8.7μm、変動係数(CV値)41.8%、真球状粒子)4.8g、メタクリル樹脂(EH;(株)クラレ製;屈折率1.495)55.2gを用いる以外は実施例1と同様にして、成形試験片(2mm平板)を得た。得られた成形試験片を用いて評価を行い、全光線透過率、ヘイズ、正面輝度を表1に、輝度比率の角度依存性を表2に、また色温度の角度依存性を表3にそれぞれ示す。
この結果から、この比較例の場合は、輝度および色温度角度依存性は良好であるが、拡散性が低いことが分かる。
【0041】
比較例2
スチレン系光拡散剤として市販されているテクポリマーSBX−12(積水化成品工業(株)製:屈折率1.595、平均粒子径10.6μm、変動係数(CV値)39.8%、真球状粒子)1.8g、メタクリル樹脂(パラペットEH;(株)クラレ製;屈折率1.495)58.2gを用いる以外は実施例1と同様にして、成形試験片(2mm平板)を得た。得られた成形試験片を用いて評価を行い、全光線透過率、ヘイズ、正面輝度を表1に、輝度比率の角度依存性を表2に、また色温度の角度依存性を表3にそれぞれ示す。
この結果から、この比較例の場合には、拡散性は良好であるが、輝度が低く色温度の角度依存性が大きいことが分かる。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
【発明の効果】
以上から明らかなように、本発明の光拡散性樹脂組成物を用いて製造した成形体は、光透過性が高いために明るく、かつ、光拡散性に優れ、かつ、角度によって拡散光に生じる色の差が抑制されているという点で極めて優れたものである。このため本発明によって得られた光拡散性樹脂組成物は、照明カバーや各種ディスプレイ用等に好適にかつ広範囲に利用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例および比較例において使用した膜乳化装置の概略図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、光拡散性樹脂組成物に関し、より詳しくは優れた光拡散性を有するとともに、角度によって拡散光に生じる色の差が抑制された照明カバー、各種ディスプレイなどに好適に用いられる光拡散性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、照明カバーや各種ディスプレイなどに用いられている光拡散性部材としては、無機系あるいは有機系の微粒子を基材樹脂である透明合成樹脂中に分散させた材料を成形したものが一般に使用されている。該光拡散性部材は、透明性を有する基材樹脂とこれに分散させた微粒子との屈折率差により、基材樹脂と微粒子との界面で光線を散乱あるいは反射させ、光拡散性を持たせる方法が広く用いられている。この場合の透明樹脂としては、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂、塩化ビニル樹脂等が通常用いられている。
【0003】
上記照明カバーや各種ディスプレイ等の商品においては、より明るくかつ均一であることが強く求められているため、これらの商品に用いられる光拡散性材料には、より光を透過し、かつ光を十分に拡散させる性能が必要となる。
【0004】
従来、光の透過性が高く、かつ光の拡散性能に優れるという相反する性能を兼ね備える部材を得る方法として、例えば、酸化チタン、ガラス等の無機微粒子やポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン等の架橋有機微粒子を光拡散剤として基材樹脂に配合する方法が検討されている。
しかしながら、光拡散剤として無機微粒子を使用した場合には、光線透過率が低下しやすい、成形時の機械破損などを招きやすい、均一に光が拡散しないなどの問題が発生する場合がある。また、有機微粒子としてポリメタクリル酸メチル架橋微粒子を用い、これを基材樹脂であるメタクリル樹脂に添加した場合には、光透過率は向上するものの、両者の屈折率差が小さくなり満足できる光拡散性が得られないという問題点があった。一方、有機微粒子としてポリスチレン架橋微粒子を用いた場合には、該微粒子と基材樹脂としてのメタクリル樹脂との屈折率差が大きいので光拡散性は高くなるものの、ポリスチレン架橋微粒子のアッベ数が小さいので該架橋微粒子とメタクリル樹脂とのアッベ数の差が大きくなり、拡散光は見る角度によって色の差が生じてしまうといった問題点があった。
より具体的には、透明性樹脂に、特定範囲の屈折率差と粒径を有する架橋ポリマー粒子を含有させる方法(例えば、特許文献1参照)、特定の構造と粒径を有するシリコーン樹脂粒子を含有させる方法(例えば、特許文献2参照)なども提案されているが、これらの場合においても、透明性、拡散性(特に見る角度によって見える色の差)などの性能の点で市場の要求を十分満足しているとは言いがたい状況にあった。
【0005】
また、メタクリル樹脂に、メタクリル酸メチル、スチレンおよびアルキルアクリレートからなり特定のパラメーターを満足する架橋樹脂微粒子を分散させることにより、優れた光拡散性を持ち、正面輝度が高い光拡散性樹脂が得られること(例えば、特許文献3参照)が提案されている。
しかしながら、このような光拡散性樹脂は、メタクリル樹脂にポリスチレン架橋微粒子を分散させたものに比べて正面輝度は向上しているが、光拡散性は必ずしも満足できるものではなく、市場の要求により更なる改良が求められているというのが実状である。
【0006】
【特許文献1】
特開昭63−291001号公報(第2−3頁)
【特許文献2】
特開平3−207743号公報(第2−3頁)
【特許文献3】
特開平10−67829号公報(第2−4頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明は、優れた光拡散性を有するとともに、角度によって拡散光に生じる色の差が抑制された、照明カバー、各種ディスプレイなど光の拡散を目的とする部材に適した樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の物性を有する多孔性樹脂微粒子を光拡散剤として用いることが有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
1) 基材樹脂に、平均粒子径が1〜30μmであり、かつ、比表面積が20〜500m2/gであって、細孔径が0.5μm以下である多孔性樹脂微粒子を分散せしめてなる光拡散性樹脂組成物である。
また、本発明は、
2) 基材樹脂がメタクリル樹脂であることを特徴とする上記1)記載の光拡散性樹脂組成物である。
さらに、本発明は、
3) 多孔性樹脂微粒子が膜乳化重合法により得られる多孔性樹脂粒子および/または多孔性樹脂微粒子が(メタ)アクリル酸エステル20〜99.9質量%、架橋性単量体0.1〜80質量%および他の共重合可能な単量体0〜79.9質量%からなる多孔性樹脂微粒子であることを特徴とする上記1)または2)記載の光拡散性樹脂組成物である。
そして、本発明は、
4) 上記1)〜3)のいずれかに記載の光拡散性樹脂組成物からなる成形体である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いる基材樹脂としては、特に制限されず、例えばメタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂、塩化ビニル樹脂等が挙げられる。これらのうち、透明性などの点でメタクリル樹脂が好ましく用いられる。該メタクリル樹脂としては、メタクリル酸メチル単独重合体、メタクリル酸メチルを主体としこれとアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリロニトリル、無水マレイン酸、スチレン、α―メチルスチレンなどの共重合可能な単量体との共重合体などが挙げられるが、基材樹脂中に含まれるメタクリル酸メチルの割合は50質量%以上であることが好ましく、80質量%であることがより好ましい。
【0010】
また、本発明で使用する多孔性樹脂微粒子は、その平均粒子径が1〜30μmの範囲であることが必要であり、2〜20μmの範囲であることが好ましく、2〜10μmであることがより好ましい。多孔性樹脂微粒子の平均粒子径が1μmより小さい場合には、これを基材樹脂中に分散させて得られる樹脂組成物は、短波長の光を選択的に散乱するため、透過光が黄色を帯びやすく好ましくない。一方、多孔性樹脂微粒子の平均粒子径が30μmを超えると、これを基材樹脂中に分散させて得られる樹脂組成物は、光拡散性が低下したり、光が樹脂を透過したときに樹脂粒子が異物として目視されやすくなったりする場合があり好ましくない。多孔性樹脂微粒子の形状としては、楕円球状ないし球状形状にわたる形態であることが好ましく、球状であることがより好ましい。
なお、本明細書でいう平均粒子径とは、後述するように電子顕微鏡観察により得られた写真を用いた実測によって得られる平均粒子径を意味する。
【0011】
上記多孔性樹脂微粒子は、光拡散性と光透過性とのバランスに優れ、成形体とした場合に成形体の部位により光源の像が透けて見えないように、粒子径がある範囲内で揃っていることが好ましく、例えば、粒子径分布の指標として後述する変動係数(CV値)が50%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。
【0012】
また上記多孔性樹脂微粒子の比表面積は、20〜500m2/gの範囲であることが必要であり、50〜300m2/gであることが好ましく、50〜150m2/gであることがより好ましい。樹脂微粒子の比表面積が20m2/gより小さい場合には、これを基材樹脂中に分散させて得られる樹脂組成物は、光拡散性が低くなる傾向にあり好ましくない。一方、比表面積が500m2/gを超えると、該多孔性樹脂微粒子の強度が不十分となり、これを基材樹脂中に分散させる際、圧潰等によって該多孔性樹脂微粒子が破壊され易くなり、このため得られる樹脂組成物の光拡散性が低くなる傾向があり好ましくない。
なお、本明細書でいう比表面積とは、後述するようにBET法(N2)により得られるものを意味する。
【0013】
さらに上記多孔性樹脂微粒子の細孔径は、0.5μm以下であることが必要であり、0.3μm以下であることが好ましく、0.1μm以下であることがより好ましい。該樹脂微粒子の細孔径が0.5μmより大きい場合には、これを基材樹脂中に分散させて得られる樹脂組成物は、短波長の光を選択的に散乱するため、透過光が黄色を帯びやすく好ましくない。
なお、本明細書でいう細孔径とは、後述するように写真を用いた実測によって得られる平均細孔径を意味する。
【0014】
本発明においては、粒子径、比表面積、細孔径が上記特定範囲内にある多孔性樹脂微粒子を基材樹脂に配合・分散させることによって、光透過性、光拡散性等の光学性能をバランスさせた光拡散性樹脂組成物を得ることができる。このような多孔性樹脂微粒子を製造する方法としては、本発明の上記要件が特定の範囲を満足するものが得られる方法である限り特に制限されないが、例えば、
(1)内部にブタン等の揮発性物質を発泡剤として含有させたポリマーを粒子化し、次いで発泡剤を発泡させることからなる方法(特公昭42−26524号公報等参照);
(2)内部にアルカリ膨潤性の物質を含有するポリマー粒子を形成させ、次いで、このポリマー粒子にアルカリ性液体を含浸させてアルカリ膨潤性の物質を膨張させることからなる方法(特開昭56−32513号公報等参照);
(3)親水性単量体、架橋性単量体および他の単量体からなる重合性単量体成分ならびに油性物質からなる分散相を含有するエマルジョンを形成させ、該エマルジョンを加熱下に該重合性単量体成分を重合処理に付することにより、上記油性物質からなる微細油滴部と該重合性単量体成分の重合体からなるマトリクス部とを有する複合樹脂微粒子を形成させ、次いで、該複合樹脂微粒子中の油性物質を除去することからなる多孔性樹脂微粒子の製造方法(特開昭62−127336号公報等参照);
(4)シラス・ポーラス・グラス(SPG)法を用い、架橋性単量体を含有する単量体混合物、油性物質などからなる分散相を、細孔を有するミクロ多孔体膜を通して連続相となる水相液中に圧入することにより、所望の均一な粒子径を有する懸濁液を得る工程(特開平2−95433号公報参照)、該懸濁液を重合槽中に導き重合反応を完結させて重合体粒子を得、次いで該重合体粒子から油性物質を除去する工程などからなる多孔性樹脂微粒子の製造方法;
などの方法を挙げることができる。これらの方法のうち、最後に記載した(4)の方法(以下、膜乳化重合法ということがある)が、多孔性樹脂微粒子の粒子径を狭い範囲に揃えることができ、該多孔性樹脂微粒子を基材に配合することにより光拡散性に優れかつ光源イメージの透過を防ぐことができるなどの観点から好ましく採用される。
【0015】
上記方法における樹脂微粒子の内部に多孔が形成されるメカニズムは、必ずしも明らかではないが、例えば、上記(4)の膜乳化重合法においては、架橋性単量体を必須成分とする単量体混合物と油性物質とからなる均一な粒子径を有する分散粒子を重合させることにより、重合反応と共に架橋が生じて形成される樹脂微粒子が変形し難い状態となるところに重合収縮が同時に進行して粒子内部に歪みが発生し無数の微細油滴部が形成されて微細油滴部を含有する複合樹脂微粒子が得られ、次いで、この後に該複合樹脂微粒子中の油性物質を除去することにより、比表面積および細孔径が狭い範囲に揃えられた多孔性樹脂微粒子が得られるものと考えられる。
【0016】
本発明に用いる上記方法により得られる多孔性樹脂微粒子の組成は、特に限定されず使用する基材樹脂に応じて適宜選定できるが、例えば、メタクリル樹脂を基材樹脂とする場合には、(メタ)アクリル酸エステル、架橋性単量体および所望により他の共重合可能な単量体からなる多孔性樹脂微粒子であることが好ましく、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと架橋性単量体とを重合させて得られる多孔性樹脂微粒子、若しくは(メタ)アクリル酸アルキルエステル、架橋性単量体および他の共重合可能な単量体を重合させて得られる多孔性樹脂微粒子であることが特に好ましい。
【0017】
上記(メタ)アクリル酸エステル(アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルを意味する)としては、特に限定されないが、例えば、炭素数1〜12のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸アルキルエステルであることが好ましい。これらの単量体の具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチルおよびこれらの四級化物、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびそのナトリウム塩などを挙げることができる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらのうち、炭素数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル、炭素数1〜8のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルあるいはこれらの混合物がより好ましく、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、もしくはこれらの混合物がさらに好ましく用いられる。
【0018】
上記(メタ)アクリル酸エステルは、用いる単量体の総量に対して、20〜99.9質量%の範囲で用いることが好ましく、30〜99質量%の範囲で用いることがより好ましく、60〜96質量%の範囲で用いることがさらに好ましい。(メタ)アクリル酸エステルの配合量が20〜99.9質量%の範囲内であると、例えば基材樹脂にメタクリル樹脂を用いた場合、製造された多孔性樹脂微粒子と基材樹脂とのアッベ数の差が小さくなり、拡散光は見る角度によって色の差が生じにくくなり好ましい。
【0019】
また、架橋性単量体としては、特に限定されないが、分子内に2個以上のビニル基を有することが好ましく、例えば、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレートなどのジビニル系単量体あるいはトリビニル系単量体などを挙げることができる。これらは1種単独で用いることができるし、2種以上を併用することもできる。これらのうち、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートなどが好ましく用いられる。
上記架橋性単量体は、用いる単量体の総量に対して、0.1〜80質量%の範囲で用いることが好ましく、1〜70質量%の範囲で用いることがより好ましく、4〜40質量%の範囲で用いることがさらに好ましい。架橋性単量体の配合量が0.1〜80質量%である場合には、製造される多孔性樹脂微粒子が十分架橋され、基材樹脂と溶融混合した際にその形状を十分に保持することができ好ましい。
【0020】
(メタ)アルキル酸エステル、架橋性単量体などと共重合可能な他の単量体としては、特に限定されず、例えば、他のエチレン性不飽和単量体を挙げることができ、より具体的には、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類;塩化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等のハロゲン化オレフィン類;ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類;スチレン、α−メチルスチレン、p−スチレンスルホン酸またはそのナトリウム塩、カリウム塩等のスチレン系単量体;N−ビニルピロリドン等を挙げることができる。これらの他の単量体は、単独で用いることもできるし、2種以上を併用することもできる。上記他の単量体は、本発明に用いる多孔性樹脂微粒子において必須の成分ではないが、用いる単量体の総量に対して、0〜79.9質量%の範囲で用いることが好ましく、0〜40質量%の範囲で用いることがより好ましく、0〜20質量%の範囲で用いることがさらに好ましい。
【0021】
本発明で用いる多孔性樹脂微粒子は、多孔性樹脂微粒子を構成しているマトリックス部分の屈折率が、基材樹脂の屈折率と同じかあるいはそれよりも低い屈折率を有するものであることが、見る角度によって色の差が発生することを防止する観点から好ましい。例えば、多孔性樹脂微粒子を構成しているマトリックス部分の屈折率が基材樹脂の屈折率よりも大きい場合には、光拡散性は高くなるものの、基材樹脂と多孔性樹脂微粒子とのアッベ数の差が大きくなり、拡散光が見る角度によって色の差が生じやすくなることがある。
【0022】
本発明で使用する多孔性樹脂微粒子を製造するにあたっては、上記(メタ)アクリル酸エステルなどの単量体以外に分散相形成成分として油性物質を用いることもできる。該油性物質は、常温付近において液状を呈し、本発明で採用する重合条件下で実質的に重合せず、かつ水に相溶しない有機液体であれば特に制限されない。このような油性物質としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ヘキサデカン、シクロヘキサンなどの比較的揮発性の大きい炭化水素系溶剤;ラウリルアルコール、オクタノールなどのアルコール類;酢酸エチル、酢酸イソアミルなどのエステル類;シトロネラール、ゲラニオール、オイゲノール、シクラメンアルデヒド、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなどの高沸点物質などを挙げることができる。これらの油性物質は、単独で用いることもできるし、2種以上を併用することもできる。
【0023】
上記油性物質は、上記(メタ)アクリル酸エステル、架橋性単量体、他の共重合可能な単量体などの単量体成分の総量100質量部に対して、通常1〜300質量部、好ましくは10〜100質量部の割合で用いられ、通常これらの単量体成分と溶解・混合して用いることができる。溶解や混合の方法は、特に限定されず、例えば、攪拌、震とうなどの各種の方法を適宜選択して採用することができる。
【0024】
本発明に用いる多孔性樹脂微粒子を重合する方法としては、特に制限されないが、通常上記のように水系懸濁重合にて好適に製造することができる。該水系懸濁重合においては、分散相成分として上記単量体および油性物質と共に重合開始剤が配合されるが、熱安定剤、光安定剤などの安定剤、顔料等の添加剤をさらに配合してもよい。
【0025】
水系懸濁重合により多孔性樹脂微粒子を製造する際に使用する重合開始剤としては、例えば過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイルなどの過酸化アシロイル;クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート、i−プロピルパーアセテートなどのアルキル過酸エステル;ジt−ブチルパーオキサイドなどのジアルキルパーオキサイド;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、2,2−アゾビスー2,4−ジメチルバレロニトリルなどのアゾビスアシロニトリルなどを挙げることができる。また、上記以外に、過酸化物と還元剤を組み合わせたレドックス系重合開始剤、α,α−ジメトキシ−α−モノフォリノ−メチルチオフェニルアセトフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルホスフィンオキシド、ベンゾフェノン、チオキサンソン、テトラメチルチウラムモノサルファイドなど光重合開始剤も使用することができる。上記重合開始剤の使用量は、用いる単量体の合計量100質量部に対して通常0.05〜10質量部、好ましくは0.5〜3質量部である。
【0026】
また、水系懸濁重合において用いる溶媒としては、通常純水などの水が用いられるが、エチレングリコール、グリセリンエタノール、メタノール等を用いることもでき、またこれらを併用することもできる。また、均一な微粒子を得る観点から、上記溶媒に界面活性剤、懸濁安定剤などを添加することが好ましい。例えば、懸濁安定剤を使用した場合には、重合時に凝集物の発生が少なく、より均一な粒子径の多孔性樹脂微粒子を得ることができるので好ましい。
【0027】
上記界面活性剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物などのアニオン系界面活性剤;アルキルアンモニウム塩、アルキルベンジルアンモニウム塩、ベタイン、イミダゾリウムベタイン、レシチンなどのカチオン系界面活性剤;ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル、ポリエチレングリコールモノステアレート、ソルビタンモノステアレートなどの非イオン系界面活性剤などが挙げられる。
これらの界面活性剤の使用量は、懸濁液の安定性などの観点から、使用する溶媒全量に対して通常0.1〜10質量%の範囲で用いることが好ましい。
また上記懸濁安定剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルビロリドン、ポリエチレングリコールなどの親水性合成高分子物質;カルボキシメチルセルロースなどの親水性半合成高分子物質などの有機系懸濁安定剤;マグネシウム、バリウム、カルシウムなどのリン酸塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、亜鉛華、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムなどの無機系懸濁安定剤などを挙げることができる。
これらの懸濁安定剤の添加量は、懸濁液の安定性などの観点から、連続相液全量に対して通常0.1〜20質量%の範囲で用いることが好ましい。
【0028】
上記水系懸濁重合における単量体の添加量は、生産性、粒子径の均質性などの観点から、水系溶媒100質量部に対して、通常1〜100重量部であり、1〜30質量部であることが好ましい。
【0029】
上記方法により得られた多孔性樹脂微粒子を基材樹脂へ配合する方法としては、特に限定されず、例えば、基材樹脂ペレットに予め多孔性樹脂微粒子を混合してこれを押出成形または射出成形してペレットなどの形態で光拡散性樹脂組成物とする方法;基材樹脂を押出成形または射出成形する際に多孔性樹脂微粒子を添加し成形してペレットなどの形態で光拡散性樹脂組成物とする方法;一度基材樹脂と多孔性樹脂微粒子とをマスターバッチ化した後に再度所望の配合量とするべく基材樹脂とマスターバッチ品とを押出成形または射出成形してペレットなどの形態で光拡散性樹脂組成物とする方法を採用することができる。
多孔性樹脂微粒子の基材樹脂への添加割合は、本発明の効果が奏されるかぎり少量であってもよく、特に限定されないが、基材樹脂100質量部に対して通常0.5〜15質量部、好ましくは1〜10質量部である。
【0030】
このようにして得られた本発明の光拡散樹脂組成物は、通常の熱可塑性樹脂に適用されるような各種の成形方法に供することができ、それによってシート、フィルム、フィラメント、ロッドなどのほか任意の形状・寸法の成形体を製造することができる。かかる成形方法としては、特に制限されず、例えば、押出成形、射出成形、ブロー成形、カレンダー成形、プレス成形、溶融紡糸などの各種の成形法が採用可能である。また、本発明に用いる多孔性樹脂微粒子を直接キャスト重合時に基材樹脂形成モノマーに添加混合し、板、フィルムなどのほか任意の形状を有する成形体などに重合・成形することもできる。
また、得られる成形体の製品としての商品価値を高めるために、本発明の目的を達成する範囲内で他の添加剤、例えば無機顔料、光安定剤等を少量添加することができる。さらに製品である成形体の輝度調整等を目的として、成形と同時にまたは別個に成形体の表面をマット状、プリズム状、その他光学パターン状等にすることも可能である。
【0031】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、実施例中、特に断りのない限り「%」および「部」はそれぞれ「質量%」および「質量部」である。
【0032】
また、実施例中の測定方法および諸物性の評価方法を以下に示す。
(1)多孔性樹脂微粒子の平均粒子径および変動係数(CV値)
実施例および比較例によって得られた多孔性樹脂微粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察し、得られた写真を用いて粒子数200個の粒子径を実測することにより、平均粒子径、平均粒子径に対する標準偏差を算出した。
また、粒子径分布の指標として、百分率(%)で示される変動係数(CV値)は次式により求めた。
CV値=(平均粒子径に対する標準偏差/平均粒子径)×100
【0033】
(2)多孔性樹脂微粒子の細孔径
実施例および比較例によって得られた多孔性樹脂微粒子を含有する成形試験片断面の中央部からウルトラミクロトーム(ウルトラカットS;ライカ社製)を用いて、厚さ約70nmの超薄切片を作成した。作製した超薄切片を0.5%の四酸化ルテニウム水溶液で蒸気染色(処理時間:室温/10min)し、透過型電子顕微鏡(H−7100FA;日立製作所製)を用い、加速電圧は100KVの条件で多孔性樹脂微粒子の細孔を観察し、得られた写真を用いて細孔数200個の細孔を実測することにより、平均細孔径として算出した。
【0034】
(3)比表面積
実施例によって得られた多孔性樹脂微粒子の比表面積は、JIS−R1626記載のBET法(窒素吸着法)により測定(測定装置:Quantasorb Jr.;Yuasa Ionics Co.製)した。
【0035】
(4)一般光学特性(全光線透過率およびヘイズ値)
成形試験片の一般光学特性(全光線透過率及びヘイズ値)は、ヘイズメータ(DIGITAL HAZE COMPUTER;スガ試験機(株)製)を用いて測定した。
【0036】
(5)正面輝度
成形試験片の正面輝度は、下記の光源を用い下記方法で測定した。
照明光源:冷陰極管(表面輝度:11430cd/cm2)を1本用いた。
測定配置及び測定方法:冷陰極管表面から5mm離して幅50mmの成形試験片を設置し、更に成形試験片表面から1m離れた位置に輝度計(BM−5A;(株)トプコン製)を固定し、正面輝度を測定した。
【0037】
(6)輝度および色温度の角度依存性
成形試験片の輝度および色温度の角度依存性は、次のような光源を用いて下記配置・方法で測定した。
光源:照明光源PHL−50(メジロ プレシジョン社製)を用いた。
測定配置:光源からの光を平行光とするため照明光源から70mm離してレンズを設置した。該レンズから50mm離して成形試験片(縦120mm×横120mm×厚み2mmの平板)を回転ステージ上に固定設置し、更に成形試験片表面から700mm離れた位置に輝度計(BM−5A;(株)トプコン製)を固定した。
測定方法:照明光源と輝度計を結んだ線を中心線とし、該中心線に対して垂直方向に成形試験片を固定(2mm板厚方向を光が透過するように固定)し、該角度を0度とした。この状態の輝度及び色温度を測定し、次に回転ステージを回転走査させながら、成形試験片面の輝度値および色温度を5度間隔で測定した。
なお、輝度比率は、5度間隔で求めた輝度値を角度0度で求めた輝度値で除して百分率(%)で示した。
【0038】
実施例1
(1)以下の成分を混合して分散相液を調製した。
モノマー成分:
メタクリル酸メチル 24.5g
エチレングリコールジメタクリレート 24.5g
油性物質:
ヘプタン 7.44g
ヘキサデカン 0.62g
オクタノール 7.44g
ベンゼン 5.52g
重合開始剤:
ラウリルパーオキサイド 0.294g
(2)次いで、以下の成分を溶解混合して連続相液を調整した。
蒸留水 450g
ポリビニルアルコール 2.93g
(PVA−217;(株)クラレ製)
ラウリル硫酸ナトリウム 0.15g
炭酸水素ナトリウム 0.23g
亜硝酸ナトリウム 0.294g
(3)円筒状多孔質ガラス(細孔径0.90μm、直径10mm、長さ20mm)を装着した膜モジュールA、窒素ガスボンベB、分散相液貯蔵タンクC、連続相液循環タンクDなどからなる膜乳化装置(図1参照)の各タンクに分散相液及び連続相液を投入した後に、多孔質ガラスの内部に連続相液を流通させ、次いで円筒状多孔質ガラスの外側から分散相液を0.020MPa(20KPa)の圧力差で円筒内部に圧入し、エマルジョンを得た。
このようにして得られたエマルジョンを容量1000mlのセパラブルフラスコに入れ、窒素雰囲気下において回転数130rpmで懸濁液を攪拌しながら、温度75℃で6時間にわたり重合を行い、油性物質含有樹脂微粒子を製造した。得られた油性物質含有樹脂微粒子の分散液を一日放置後メタノールにより2回デカンテーションし、その後水洗浄、脱水、乾燥して多孔性樹脂微粒子を単離した。得られた多孔性樹脂微粒子の平均粒子径は4.9μm、変動係数(CV値)は10.8%、細孔径は0.08μmであり、比表面積は84m2/gであることが確認された。この反応における重合収率(モノマー仕込み量に対するポリマー収量)は99%であった。
また、該多孔性樹脂微粒子を用いて、下記のように成形試験片を作製し、得られた成形試験片の評価を行い、得られた全光線透過率、ヘイズ、正面輝度を表1、輝度比率の角度依存性を表2、色温度の角度依存性を表3にそれぞれ示す。
この結果から、本実施例の光拡散性樹脂組成物からなる成形体は、高輝度および高拡散性であると共に、色温度の確度依存性もほぼ良好であることが分かる。
【0039】
(成形試験片の作製)
上記により得られた多孔性樹脂微粒子4.8g、メタクリル樹脂(パラペットEH;(株)クラレ製;屈折率1.495)55.2gを混合調製し、ラボプラストミル(LABO PLASTOMILL;(株)東洋精機製作所製)を用いて230℃、8min、60rpmの条件下で溶融混練し光拡散性樹脂組成物を作製した。該光拡散性樹脂組成物を(縦150mm×横50×厚み2mmである金型を用いて230℃、5MPaで圧縮成形(卓上テストプレス:(株)神藤金属工業所製)し、成形試験片を得た。
【0040】
比較例1
メタクリル酸メチル系光拡散剤として市販されているテクポリマーMBXR−8N(積水化成品工業(株)製:屈折率1.495、平均粒子径8.7μm、変動係数(CV値)41.8%、真球状粒子)4.8g、メタクリル樹脂(EH;(株)クラレ製;屈折率1.495)55.2gを用いる以外は実施例1と同様にして、成形試験片(2mm平板)を得た。得られた成形試験片を用いて評価を行い、全光線透過率、ヘイズ、正面輝度を表1に、輝度比率の角度依存性を表2に、また色温度の角度依存性を表3にそれぞれ示す。
この結果から、この比較例の場合は、輝度および色温度角度依存性は良好であるが、拡散性が低いことが分かる。
【0041】
比較例2
スチレン系光拡散剤として市販されているテクポリマーSBX−12(積水化成品工業(株)製:屈折率1.595、平均粒子径10.6μm、変動係数(CV値)39.8%、真球状粒子)1.8g、メタクリル樹脂(パラペットEH;(株)クラレ製;屈折率1.495)58.2gを用いる以外は実施例1と同様にして、成形試験片(2mm平板)を得た。得られた成形試験片を用いて評価を行い、全光線透過率、ヘイズ、正面輝度を表1に、輝度比率の角度依存性を表2に、また色温度の角度依存性を表3にそれぞれ示す。
この結果から、この比較例の場合には、拡散性は良好であるが、輝度が低く色温度の角度依存性が大きいことが分かる。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
【発明の効果】
以上から明らかなように、本発明の光拡散性樹脂組成物を用いて製造した成形体は、光透過性が高いために明るく、かつ、光拡散性に優れ、かつ、角度によって拡散光に生じる色の差が抑制されているという点で極めて優れたものである。このため本発明によって得られた光拡散性樹脂組成物は、照明カバーや各種ディスプレイ用等に好適にかつ広範囲に利用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例および比較例において使用した膜乳化装置の概略図である。
Claims (5)
- 基材樹脂に、平均粒子径が1〜30μmであり、かつ、比表面積が20〜500m2/gであって、細孔径が0.5μm以下である多孔性樹脂微粒子を分散せしめることを特徴とする光拡散性樹脂組成物。
- 基材樹脂が、メタクリル樹脂であることを特徴とする請求項1記載の光拡散性樹脂組成物。
- 多孔性樹脂微粒子が、膜乳化重合法により得られる多孔性樹脂微粒子であることを特徴とする請求項1または2記載の光拡散性樹脂組成物。
- 多孔性樹脂微粒子が、(メタ)アクリル酸エステル20〜99.9質量%、架橋性単量体0.1〜80質量%および他の共重合可能な単量体0〜79.9質量%からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光拡散性樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の光拡散性樹脂組成物からなる成形体。
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