JP5626716B2 - 多孔質中空ポリマー粒子の製造方法及び多孔質中空ポリマー粒子 - Google Patents
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Description
また、中空ポリマー粒子は、その樹脂層と内部空隙層との屈折率差により可視光の散乱が起こることが知られており、光拡散剤として使用されている。このような光拡散剤は蛍光、白色光の照明カバー、バックライト式半透明の看板、ディスプレイ、電飾、内装の半透明パーティションのほか液晶ディスプレイ、液晶テレビジョンの光拡散シートや板、プロジェクターやプロジェクションテレビのスクリーン等の多方面に使用されている。
特に、光拡散シートや光拡散板に用いる中空ポリマー粒子は、全光線透過率が高く、低屈折率であることが要求される。
しかしながら、従来の中空ポリマー粒子の製造方法では、得られる多孔質中空ポリマー粒子内部の気孔径が大きいものとなり、光拡散シートや光拡散板等に用いた場合に、粒子内部で可視光の散乱が生じるため、光透過率の悪化を招き、安定した光学特性を確保することは困難であった。
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
このような工程を行うことで、上記両親媒性溶媒の水混合液に溶解している水からなる微小の液滴が生成し、上記重合性モノマー溶液は、上記重合性モノマーと両親媒性溶媒との溶液中に水が分散した分散液となる。
なかでも、多孔性で透明性の高い中空ポリマー粒子が得られることから、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸等のアクリル系モノマー、及び、スチレン等のスチレン系モノマーを用いることが好ましい。
また、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、(メタ)アクリル酸等のアクリル系モノマーを用いた場合は、焼成時にすすや灰分を生じにくくなる。
上記トリ(メタ)アクリレートとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記重合性モノマーを添加する方法としては特に限定されないが、微量定量ポンプを用いる方法や、滴下等の方法によって連続的又は逐次的に添加する方法を用いることが好ましい。
上記分散安定剤としては、例えば、シリカ、リン酸三カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化第二鉄、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、シュウ酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン等の無機物、部分ケン化ポリ酢酸ビニル、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム塩、ポリオキシエチレン等の水溶性ポリマー、あるいは、各種アニオン系乳化剤、カチオン系乳化剤、ノニオン系乳化剤等が用いられる。
上記重合を行う際、又は、実施した後に添加する添加剤としては特に限定されず、例えば、pH調整剤、老化防止剤、酸化防止剤、防腐剤等が挙げられる。
この内包された水は必要に応じて、得られる粒子の分散液にスチーム、窒素、空気等の気体を吹き込む方法や、系を減圧条件下におく方法等により除去することができる。本発明の製造方法により得られた多孔質中空ポリマー粒子は乾燥させ、粉体として用途に供することもできる。
本発明の多孔質中空ポリマー粒子は、平均気孔径が150nm以下という極めて微細な気孔を有し、光学的に透明性有することから、特に、光拡散剤、光反射防止材料および屈折率調整材料として用いることができ、また粒子内部の比表面積が大きいことから、吸水、吸油用組成物、体感性向上組成物、吸着材料および触媒やめっきの担持体に好適に用いることができる。
なお、本明細書においてCV値とは、下記式(1)により求められる数値のことである。
粒子径のCV値(%)=(σ2/Dn2)×100 (1)
式(1)中、σ2は粒子径の標準偏差を表し、Dn2は体積平均粒子径を表す。
なお、本明細書において空隙率とは、多孔質中空ポリマー粒子全体積中に占める中空部体積を百分率(%)で表示したものであり、例えば、ガス吸着法細孔分布測定装置トライスター3000(島津製作所社製)を用いて封入窒素圧力0〜760mmHgの条件等にて測定することができる。
このような低屈折率性ポリマー粒子は、高屈折率樹脂からなるバインダー等と組み合わせることにより優れた光拡散性を有することから、各種フィルムの光拡散剤、マット剤、表面処理剤、樹脂成形物用添加剤等の光拡散剤用途に用いることができる。また、インク、塗料、接着剤、艶消し剤、カラム充填剤、研磨剤、流動性制御剤、水性インク、水性塗料、コーティング剤、ペースト組成物用途に使用することができる。
また、このような低屈折率性ポリマー粒子は、優れた反射防止性を有することから、各種光学シート、ガラスパネル等の反射防止コーティング剤として使用できる。
更に、本発明の多孔質中空ポリマー粒子の液体吸収性を利用して、おむつ、ナプキン、農園芸保水剤、工業用保水剤、吸湿剤、除湿剤、建材等の吸水・吸油用組成物用途、徐放性の農薬や医薬、帯電防止剤等に用いることができる。
加えて、本発明の多孔質中空ポリマー粒子は、体感性向上効果が高いことから、ファンデーション、白粉、頬紅、アイシャドー、ボディパウダー、ベビーパウダー、プレシェーブローション、ボディローション、ローション等の化粧品を含めた体感性向上組成物として用いることができる。
なかでも、本発明の多孔質中空ポリマー粒子は、光拡散剤に使用することが好ましい。
本発明の多孔質中空ポリマー粒子を用いることで、樹脂組成によらず優れた拡散効果を得ることができるため、光の出射面に対する角度の違いにより、輝度分布がばらつくことがなく、どのような角度にも対応することができ、粒子強度が高く、安定した光散乱性能を確保することが可能な光拡散剤が得られる。また多孔質の空隙サイズを100nmに制御することにより光の乱反射を抑制し、光線透過率の低下を防止できる。
(多孔質中空ポリマー粒子の作製)
イオン交換水100g及び両親媒性溶媒としてエタノール1000gを混合、撹拌し、両親和性溶媒の水混合液を調製した。次いで、スチレンモノマー200gに重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル1.0gを添加したスチレンモノマー溶液を、得られた両親和性溶媒の水混合液に、微量定量ポンプを用いて30分間で注入し、混合、撹拌することにより重合性モノマー溶液を調製した。
次に、イオン交換水に分散安定剤としてリン酸三カルシウム1.0重量%及び分散安定助剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.01重量%を含有する水溶液3000gに得られた重合性モノマー溶液を添加、ホモジナイザーにて撹拌し、懸濁液を調製した。
その後、撹拌機、ジャケット、還流冷却器及び温度計を備えた5Lの重合器に、得られた懸濁液を一括投入したのち、重合槽を75℃まで昇温し、重合を開始した。4時間で重合を終了し、重合槽を室温まで冷却した。スラリーをセントルにて脱水し、その後真空乾燥により両親和性溶媒及び水を除去することで、多孔質中空ポリマー粒子を得た。
スチレンモノマー溶液を、得られた両親和性溶媒の水混合液に注入する時間を30分間から60分間に変更した以外は実施例1と同様にして多孔質中空ポリマー粒子を得た。
スチレンモノマー溶液を、得られた両親和性溶媒の水混合液に注入する時間を30分間から120分間に変更した以外は実施例1と同様にして多孔質中空ポリマー粒子を得た。
イオン交換水100g及び両親媒性溶媒としてテトラヒドロフラン100gを混合、撹拌し、両親和性溶媒の水混合液を調製した。次いで、メチルメタクリレート25g及びトリメチロールプロパントリメタクリレート25gの混合モノマーに重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.25gを添加したモノマー溶液を、得られた両親和性溶媒の水混合液に、微量定量ポンプを用いて60分間で注入し、混合、撹拌することにより重合性モノマー溶液を調製した。
次に、イオン交換水に分散安定剤として部分ケン化ポリ酢酸ビニル0.5重量%及びメチルセルロース0.1重量%を含有する水溶液1500gに得られた重合性モノマー溶液を添加、ホモジナイザーにて撹拌し、懸濁液を調製した。
その後、撹拌機、ジャケット、還流冷却器及び温度計を備えた3Lの重合器に、得られた懸濁液を一括投入したのち、重合槽を75℃まで昇温し、重合を開始した。4時間で重合を終了し、重合槽を室温まで冷却した。スラリーをセントルにて脱水し、その後真空乾燥により両親和性溶媒及び水を除去することで、多孔質中空ポリマー粒子を得た。
メチルメタクリレートの添加量を25gから150gに、トリメチロールプロパントリメタクリレートの添加量を25gから150gに、アゾビスイソブチロニトリルの添加量を0.25gから1.5gに変更した以外は実施例4と同様にして多孔質中空ポリマー粒子を得た。
スチレンモノマー200gに重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル1.0gを添加したスチレンモノマー溶液を、イオン交換水100gに、微量定量ポンプを用いて30分間で注入し、混合、撹拌することにより重合性モノマー水分散液を調製した。
次に、分散安定剤としてリン酸三カルシウム1.0重量%及び分散安定助剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.01重量%を含有する水溶液3000gに得られた重合性モノマー水分散液を添加、ホモジナイザーにて撹拌し、懸濁液を調製した。
その後、撹拌機、ジャケット、還流冷却器及び温度計を備えた5Lの重合器に、得られた懸濁液を一括投入したのち、重合槽を75℃まで昇温し、重合を開始した。4時間で重合を終了し、重合槽を室温まで冷却した。スラリーをセントルにて脱水し、その後真空乾燥により水を除去することで、ポリマー粒子を得た。
スチレンモノマー200gと有機溶媒としてトルエン100g、および重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル1.0gを混合、撹拌し、重合性モノマー混合液を調製した。
次に、分散安定剤としてリン酸三カルシウム1.0重量%及び分散安定助剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.01重量%を含有する水溶液3000gに得られた重合性モノマー混合液を添加、ホモジナイザーにて撹拌し、懸濁液を調製した。
その後、撹拌機、ジャケット、還流冷却器及び温度計を備えた5Lの重合器に、得られた懸濁液を一括投入したのち、重合槽を75℃まで昇温し、重合を開始した。4時間で重合を終了し、重合槽を室温まで冷却した。スラリーをセントルにて脱水し、その後真空乾燥により水を除去することで、多孔質中空ポリマー粒子を得た。
実施例及び比較例で得られた多孔質中空ポリマー粒子について、以下の方法により評価を行った。結果を表1に示した。
得られた多孔質中空ポリマー粒子について、レーザー回折粒度分布計(LA−910、堀場製作所社製)を用いて体積平均粒子径及びCV値を測定した。
得られた多孔質中空ポリマー粒子について、ガス吸着法細孔分布測定装置トライスター3000(島津製作所社製)を用いて封入窒素圧力0〜760mmHgの条件にて測定し、平均気孔径及び空隙率を求めた。
Claims (3)
- 粒子内部に複数の中空部を有する多孔質中空ポリマー粒子の製造方法であって、
水に重合性モノマー及び水に対して親媒性を有する両親媒性溶媒を溶解させ、両親媒性溶媒の水混合液を調製する工程、
前記両親媒性溶媒の水混合液に重合性モノマーを添加して重合性モノマー溶液を調製する工程、
前記重合性モノマー溶液を水に添加して懸濁させる工程、及び、
前記重合性モノマーを重合させる工程を有し、
両親媒性溶媒の水混合液を調製する工程において、水100重量部に対して、前記両親媒性溶媒を30〜2000重量部添加する
ことを特徴とする多孔質中空ポリマー粒子の製造方法。 - 重合性モノマーは、スチレン系モノマー又はアクリル系モノマーであることを特徴とする請求項1記載の多孔質中空ポリマー粒子の製造方法。
- アクリル系モノマーは、ジ(メタ)アクリレート又はトリ(メタ)アクリレートを含有することを特徴とする請求項2記載の多孔質中空ポリマー粒子の製造方法。
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