JP2004106517A - ポリマー粒子およびその形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】水および高極性溶媒に容易に分散可能であり、インクジェット受容体媒体に導入されたとき急速流体吸収作用を示し、そしてゲスト着色剤に固有の安定性を与える材料を含んでなるマイクロ粒子を提供する。
【解決手段】不飽和前駆ポリエステル、水不混在性有機溶媒、少なくとも1種の有機溶解性エチレン系不飽和モノマー、及び開始剤を含む混合物を高いエネルギー乳化にかけ、乳化後に前記ポリエステルの架橋を開始させ、次に前記水不混和性有機溶媒を除去して、少なくとも1つの皺を有する表面を有するポリエステル含有粒子の形成方法。
【選択図】 なし
【解決手段】不飽和前駆ポリエステル、水不混在性有機溶媒、少なくとも1種の有機溶解性エチレン系不飽和モノマー、及び開始剤を含む混合物を高いエネルギー乳化にかけ、乳化後に前記ポリエステルの架橋を開始させ、次に前記水不混和性有機溶媒を除去して、少なくとも1つの皺を有する表面を有するポリエステル含有粒子の形成方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、皺付きポリエステル含有粒子に関する。本発明はさらに、皺付きポリエステル含有粒子の調製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
吸着体、クロマトグラフ材料、化粧品添加物、艶消し剤、および多層画像形成媒体の浸透性層としての用途に特化されたマイクロ粒子の発展は非常な関心事である。不規則形状のマイクロ粒子、特に皺付き粒子は、表面積が大きく、間隙容積の増大という特別の利点を提供する。本発明はそのような粒子を特にインクジェット受容体媒体の用途に十分に適合させる。この用途の場合、ゲスト色素および着色剤に固有の安定性を付与する化学組成物の不規則形状粒子は、さらなる関心事である。また、そのような粒子が水および高極性溶媒に対して優れたコロイド安定性を有することも望ましい。
【0003】
典型的なインクジェット記録システムまたは印刷システムの場合、インク滴がノズルから記録要素または記録媒体に向かって高速で射出され、これによりこの媒体上に画像を形成する。インク滴または記録液は一般には記録剤、例えば色素または顔料と、大量の溶媒とを含む。溶媒またはキャリヤ液は典型的には、水、有機材料、例えば1価アルコール、多価アルコールまたはこれらの混合物から形成される。
【0004】
インクジェット記録要素は典型的には支持体を含み、この支持体は少なくともその一方の表面上にインク受容層または画像形成層を有しており、さらに、反射光で記録内容を見るように意図された不透明な支持体、および、透過光によって記録内容を見るように意図された透明な支持体を含む。
ほとんど瞬間的なインク乾燥時間と、良好な品質とを同時に提供するインクジェット記録要素が望ましい。しかし、記録要素が受容する必要のある広範囲なインク組成物およびインク容積を考えると、インクジェット記録媒体のこれらの要件を同時に達成することは難しい。
【0005】
多孔質または無孔質の単層塗膜または多層塗膜を採用するインクジェット記録要素が知られている。これらの塗膜は多孔質または無孔質支持体の一方の面または両面上で好適なインク受容層として作用する。無孔質塗膜を使用する記録要素は、良好な画質および安定性を有するが、しかし、これらが示すインク乾燥時間は不良である。多孔質塗膜を使用する記録要素は、典型的にはコロイド粒子を含有し、これらの画像安定性は無孔質塗膜を使用する記録要素よりも不良ではあるが、しかし、より優れた乾燥時間を示す。
【0006】
インクジェット印刷法を用いる用途の場合、画像記録要素に用いることができると考えられているいくつかの種類の皺付き粒子が知られているが、この分野では多くの未解決の問題があり、またこれらの商業的有用性を著しく制限する多くの欠陥がある。皺付き粒子を含んで成る画像記録層の構成上の主要な課題は、急速に乾燥し、ゲスト着色剤に対する好ましい退色特性を与える塗膜を得ることを可能にすることである。インクジェット記録要素上へ印刷することにより製造されるインクジェット印刷物は、環境的な劣化を被る。これらの印刷物は特に光、および空気中の気体状不純物、例えばオゾンや窒素酸化物により退色しやすい。高膨潤可能な親水性の層は、乾燥するのに望ましくないほどに長い時間がかかることがあり、印刷速度が遅くなる。多孔質層は、インクビヒクルの吸収速度を高くはするが、しかししばしば光沢が不十分となり、色素が著しく退色してしまう。
【0007】
不規則的に成形された微粒子が当業者に知られてはいるものの、これらの粒子は、粒度または組成または製造上の固有の難しさにより、特定の画像形成用途にはあまり適していない。国際公開第92/1655号パンフレットおよび同第03/19099号パンフレットには、エチレン系不飽和カルボン酸含有モノマーから成る架橋された皺付粒子が報告されている。しかしこれらの粒子は、粒度が大きく(>75μm)、ひいては薄い塗膜における使用には適していない。さらに、このモノマー組成物は化学的に攻撃的であり、ゲスト色素および着色剤の退色を促進することになり、従ってこれらの粒子を或る特定の画像形成用途には不適切にする。最後に、これらの材料の液体取込み量は極端に多い。これらの粒子は、液体を吸収すると、そのサイズが劇的に増大する。従って、このような高吸収性物質から成る塗膜は、液体を吸収すると、粒子の寸法が大きく変化することにより、湿潤凝集力を失うことになる。ボウル形の架橋ビニル微粒子が米国特許第5,559,202号明細書に報告されている。しかしこれらの粒子の化学組成は、吸着された色素および着色剤に対する安定性の利点をもたらすことはなく、従ってこれらの粒子はインクジェット受容媒体において使用するには不適切になる。メタクリレートモノマーを含む、皺を有する不規則に成形された粒子がポリマー科学ジャーナル(Journal of Polymer Science)、A章「ポリマー化学」、第38巻、2000年、pp. 4038−4056に開示されている。同様に、これらの粒子の化学組成は、吸着された色素および着色剤に対する安定性の利点をもたらすことはなく、従ってこれらの粒子もインクジェット受容媒体における使用には不適切になる。
【0008】
【特許文献1】
米国特許第5,559,202号明細書
【特許文献2】
国際公開WO92/16565号公報
【特許文献3】
国際公開WO93/19099号公報
【非特許文献1】
スマリータオンスリー(Sumalee Tawonsree)等著、ポリマー科学ジャーナル(Journal of Polymer Science)、A章「ポリマー化学」、第38巻、2000年、pp. 4038−4056
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
水および高極性溶媒に容易に分散可能であり、インクジェット受容体媒体に導入されたとき急速流体吸収作用を示し、そしてゲスト着色剤に固有の安定性を与える材料を含んでなるマイクロ粒子を提供する必要がある。
【0010】
【課題を解決しようとする手段】
本発明は、襞、畝、裂け目、および溝を含む少なくとも1つの皺で被覆された表面を有するポリエステル含有粒子を含んでなる皺付きポリマー粒子を含む。また、不飽和型前駆ポリエステルと、水不混和性有機溶媒と、少なくとも1種の有機可溶性のエチレン系不飽和モノマーと、開始剤とを含む有機相と水性相との混合物を調製し、前記混合物を高エネルギー乳化させ、乳化後に前記ポリエステルの架橋を開始し、そして前記水混和性有機溶媒を除去して皺付ポリエステル含有粒子を回収することを含んでなる、皺付きポリエステル含有粒子の形成方法も開示する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明を用いると、改良されたインク取り込み速度、高い表面光沢を提供し、そして印刷時に優れた画質を有する記録要素を得ることができる。本発明の方法は、ガラス転移温度によって制限されることのない非常に広範な組成上の寛容性のポリエステルを使用できるという利点を提供する。さらに、本発明の方法は、利点として、比較的簡単なプロセス制御を提供し、理想的に大規模生産に適合させることができる。本発明によって調製された粒子のコロイド安定性は優れており、多種多様の不規則形状を実現できる。この方法によって作成される皺付き、ポリエステル系粒子またはビーズは、吸着体、塗膜の不透明化添加物、艶消し剤およびテクスチャ付与剤、ならびにフィラーとして有用である。
本発明の皺付きポリエステル含有粒子は、不飽和型前駆ポリエステルと、エチレン不飽和を含有する1種または2種以上のモノマーとのハイブリッド共重合生成物を含む。前駆ポリエステルは、不飽和基を含有するポリエステルである。このポリエステルは皺付ポリエステル粒子を製造するのに使用される。
【0012】
本発明の、皺付きポリエステル粒子は、平均直径0.05〜50μmの皺付ポリエステル粒子を含む。10μm未満の平均直径が好ましい。より好ましくは、皺付粒子の平均直径範囲は0.1〜5.0μmであり、最も好ましくは、皺付粒子の平均直径範囲は0.1〜2.0μmである。粒子の直径は、当該技術分野で知られた任意の方法により測定することができる。1つのこのような方法は、Horiba LTDによって製造されたHoriba LA−920のような商業的に入手可能な機器を用いた、粒子の希釈分散系のレーザー光散乱である。
【0013】
皺付ポリエステル含有粒子は少くとも1つの皺を表面に有する。皺は襞、畝、裂け目、溝またはこれらの組み合わせを含むことができる。襞、畝、裂け目または溝の頂部間の平均距離は0.02〜2μmとなることができる。好ましくは平均距離は、0.04〜0.4μmである。これらの「皺付」粒子は、襞、畝、裂け目、溝またはこれらの組み合わせが粒子(ビーズともいう)の表面上に存在し、また粒子内部を通る連続的な通路を形成していない点で「多孔質」粒子とは区別される。これらの粒子は、球形状またはボウル形状を含む任意の形状を有していてよい。ポリエステル含有粒子が唯1つの皺を有する場合には、粒子は「ボウル形状」と言うことができる。本発明の皺付き粒子の例を図1〜7に示す。
【0014】
本発明の皺付ポリエステル含有粒子は、水、水混和性有機溶剤、およびこれらの組み合わせにおいて容易に分散可能となることができる。これらの皺付粒子は、分散系として保存されてよく、または溶媒を除去して乾燥材料とし、この乾燥材料を容易に再分散させることもできる。皺付ポリエステル含有粒子は、表面に対して可逆的に吸着、固定、または化学結合され得る界面活性剤、コロイド状無機物質、保護コロイドまたはこれらの組み合わせによって安定化させることができる。或いは粒子は、モノマー成分およびポリマー成分内に共有結合された官能基によって安定化させてもよい。これらの成分は反応して上記粒子を形成する。
【0015】
好ましい実施例の場合、皺付ポリエステル粒子はイオン基を含有する。イオン基はアニオン基、例えばカルボン酸基、スルホン酸基、硫酸基またはチオ硫酸基、或いは、カチオン基、例えばアンモニウム基、ホスホニウム基またはスルホニウム基であってよい。イオン基は好ましくは粒子に共有結合され、イオン単位1モル当たり1,000〜500,000グラムの粒子のイオン基当量、好ましくは、イオン単位1モル当たり2,400〜50,000グラムの粒子のイオン基当量をもたらすような量で存在することになる。これらのイオン単位は、粒子の親成分(モノマーまたは前駆ポリエステル)上に存在することにより粒子内に導入することができ、或いは、粒子が合成された後で、粒子を化学的に改質することにより粒子に導入することもできる。前者の例として、前駆ポリエステルがスルホン化反復単位(例えばスルホイソフタレート)を含有する場合、この単位は粒子内に存在することになる。後者の例としては、粒子の調製に使用されるモノマーの1つがクロロメチルスチレンである場合、粒子と第3アミンとが反応することにより、第4アンモニウムイオンで官能化された粒子がもたらされることになる。
【0016】
本発明の皺付ポリエステル粒子を形成するのに使用可能な前駆ポリエステルは、枝分かれ型または非枝分かれ型であってよく、化学的不飽和を含有してよく、また、水不混和性有機溶媒中または水に可溶であってよい。任意には、前駆ポリエステルはその性質上、水中で自己乳化性であるか、または、両親媒性または界面活性剤様であってよい。前駆ポリエステルはいかなるガラス転移温度を有していてもよいが、ただし、この温度が可溶性要件を満たすことを条件とする。好ましくは数平均分子量(Mn)は1,000〜30,000g/モルである。
【0017】
当業者に良く知られているように、ポリエステルは、多塩基酸または相応の酸と等価の誘導体、例えばエステル、無水物または酸塩化物、および多価アルコールの縮合生成物である。本明細書中で「二酸」または「多酸」に言及する場合、相応の酸と等価の誘導体、例えばエステル、無水物または酸塩化物もこれに含まれることは明らかである。α,β−エチレン不飽和を含有する多塩基酸または多価アルコールを選択することにより、重合可能な不飽和を分子内に導入することができる。例えば、側基不飽和を含有する多価アルコールはグリセロールモノメタクリレートである。しかしほとんどの場合、多塩基酸単位内に不飽和が含有されることになる。任意には、不飽和型多酸に加えて、重縮合技術において一般的な1種または2種以上の多酸を使用することができる。これらのエチレン系不飽和多酸の一例としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、フェニレンジアクリル酸、シトラコン酸およびメサコン酸が挙げられるがこれらに限定されない。化学的不飽和を含有せず、しかもポリエステルにおいて使用することができる他の付加的な多酸が国際公開第01/00703パンフレットに記載されている。これらの二酸の一例としては、マロン酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸およびセバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ナフタレンジカルボン酸、クロレンド酸、トリメリット酸、トリメシン酸およびピロメリット酸の異性体が挙げられるがこれらに限定されない。
【0018】
エチレン不飽和基は、合成改質により前駆ポリエステル中に導入することもできる。例えば、エチレン不飽和単位を導入するために、高アルコール数を有するポリエステルを、アクリル酸またはメタクリル酸の無水物または酸塩化物と反応させることができる。
本発明に適した前駆ポリエステルは、さらに、重縮合技術において良く知られた種々様々な多価アルコールのいずれかから構成することができる。これらの多価アルコールは脂肪族、脂環式またはアラルキルアルコールであってよい。好適な多価アルコールは、国際公開第01/00703号パンフレットにおいて説明されている。これらのアルコールの一例としては、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、ヒドロキノンビス(ヒドロキシエチル)エーテル、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノール、例えばビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキシドアダクトおよびプロピレンオキシドアダクト、ペンタエリトリトール、トリメチロールプロパン、および、ε−カプロラクトンの開環重合により得られるようなポリエステルポリオールが挙げられるがこれらに限定されない。加えて、ヒドロキシル誘導体官能および酸誘導体官能の双方を含有するA−B型重縮合モノマー、ならびに一酸および一価アルコールを使用することができる。
【0019】
本発明の1つの実施態様の場合、水溶性、界面活性剤様、または自己乳化性であって、さらに化学的不飽和を含有する前駆ポリエステルを利用することができる。水溶性、界面活性剤様、および自己乳化性のポリエステルは当業者に良く知られており、1つまたは2つ以上のタイプの親水性の化学基、官能基、またはモノマー、例えばカルボン酸塩、アンモニウム、第4アンモニウム、スルホン酸塩、硫酸塩、スルホニウム、ホスホニウム、イミノスルホニル、ポリマーオキシエチレンまたはオリゴマーオキシエチレンのセグメントを含有することになる。本発明において有用な皺付ポリエステル粒子を形成するのに使用される前駆ポリエステルは、さらに1種または2種以上の多酸モノマーまたはポリオールモノマーを含有することになる。これらのモノマーは、上述のようなエチレン不飽和を含有する。本発明の皺付ポリエステル粒子を形成するために使用される水溶性、界面活性剤様、および自己乳化性の前駆ポリエステルは、1種または2種以上の二酸成分またはジオール成分を含有することができる。これらの成分は、親水特性または水溶性を誘発することができる。このことを目的として使用される最も一般的な親水性ジオールはポリエチレングリコールである。さらに、2つまたは3つのヒドロキシアルキル基で置換された第3アミン単位を、前駆ポリエステル中に導入し、アルキル化剤で4級化するか、または酸で中和することによりイオンにすることができる。ポリエステルに親水性を付与するのに使用される一般的なクラスの二酸成分は、スルホン酸塩またはスルホンイミド塩を含有する化合物を含む。いくつかの好適なスルホン化二酸が、米国特許第4,073,656号明細書および同第5,218,042号明細書に記載されている。このような二酸の例は、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、2−ナトリウムスルホブタン酸、およびジ−Meナトリウムイミノビス(スルホニル−m−ベンゾエート)である。ポリエステルの親水化のための別の一般的な方策は、比較的高い酸価を有するポリエステルの酸末端基の中和を要する。好ましくは、酸価は最小10mgのKOH/gポリマーである。最も好ましくは酸価は25mgを上回るKOH/gポリマーである。中和剤は通常、アルカリ金属水酸化物またはアミンである。エチレン不飽和と、中和された酸末端基とを含有するポリエステルを本発明に用いることもできる。好ましくは、不飽和型前駆ポリエステルは、イオン単位1モル当たり200〜20,000グラムポリマーのイオン基等価分子量を有することになる。最も好ましくは、不飽和型前駆ポリエステルは、イオン単位1モル当たり600〜6,000グラムポリマーのイオン基等価分子量を有するであろう。
【0020】
本発明において前駆ポリエステルを架橋するのに有用なエチレン系不飽和モノマーは、付加重合技術において一般的に用いられるモノマーである。皺付粒子は1官能価または多官能価の1種のモノマーと組み合わされたポリエステルから成ることがしばしば可能ではあるが、しかし好ましい実施態様は、少なくとも1種の1官能価モノマーと少なくとも1種の多官能価モノマーとの組み合わせから成ることになる。この実施態様の場合、1官能価モノマーは組み合わせの50〜99%を成す。好ましくは1官能価モノマーは組み合わせの60〜90%を成すことになる。最も好ましくは1官能価モノマーは組み合わせの75〜90%を成すことになる。好ましい実施態様の場合、モノマーのうちの少なくとも1種が1官能価であり、少なくとも1種が多官能価である。
【0021】
前駆ポリエステルは0.5%〜75%の質量%で粒子内に存在することになる。好ましくは、1%〜50%の質量%で粒子内に存在し、最も好ましくは、1%〜33%の質量%で粒子内に存在する。
【0022】
本発明において有用な1官能価モノマーの一例としては、メタクリル酸エステル、例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレートおよびグリシジルメタクリレート、アクリル酸エステル、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、イソブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、およびグリシジルアクリレート、スチレニクス、例えばスチレン、α−メチルスチレン、3−および4−クロロメチルスチレン、ハロゲン置換型スチレンおよびアルキル置換型スチレン、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、N−アルキル化アクリルアミドおよびメタクリルアミド、ビニルエステル、例えばビニルアセテートおよびビニルベンゾエート、ビニルエーテル、例えばブチルビニルエーテル、アリルアルコールおよびそのエーテルおよびエステル、および、不飽和型のケトンおよびアルデヒド、例えばアクロレイン、およびメチルビニルケトンおよびアクリロニトリルが挙げられるがこれらに限定されない。本発明におけるその入手容易性および有効性のために、スチレンおよびメタクリル酸エステルが最も好ましい。
【0023】
本発明において有用な多官能価モノマーの一例としては、ジビニルベンゼンおよび関連異性体、ジオールジメタクリレート、例えばエチレングリコールジメタクリレート、ジビニルエーテル、例えばシクロヘキサンジメタノールジビニルエーテルおよびエチレングリコールジビニルエーテル、ジビニルエステル、例えばジビニルアジペート、および多官能価アクリレートおよびメタクリレート、例えばトリメチロールプロパントリ(メト)アクリレートが挙げられるがこれらに限定されない。
【0024】
さらに少量(典型的には重合可能な固体の総質量の10%未満)の1種または2種以上の水溶性のエチレン系不飽和モノマーを使用することができる。このようなモノマーの一例としては、スチレニクス、アクリレート、および高極性基で置換されたメタクリレート、不飽和型の炭素およびヘテロ原子の酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸およびこれらの塩、ビニルカルバゾール、ビニルイミダゾール、ビニルピロリドン、およびビニルピリジンが挙げられるがこれらに限定されない。本発明にとって好ましいモノマー(1官能価および多官能価)はスチレニクス、ビニルエーテルおよびビニルエステルである。特に好ましいモノマーは、スチレニクス、例えばスチレンおよびジビニルベンゼンである。
【0025】
本発明の皺付ポリエステル粒子またはビーズの製造方法は、水不混和性有機溶媒の存在において、水中油滴型エマルジョン中で少なくとも1種の不飽和型ポリエステルを少なくとも1種のエチレン系不飽和モノマーと架橋させることを含む。架橋反応は、エチレン系不飽和モノマーのラジカル反応開始型重合となることができる。この不飽和型モノマーは、ポリエステル中の不飽和単位と容易に共重合する。ポリエステルは有機溶解性であってよい。この場合、乳化剤の添加が望ましい。この方法の別の実施態様の場合、ポリエステルはその性質上、水溶性、水分散性または両親媒性であってよく、この場合、ポリエステルは乳化種として作用し、乳化剤の添加は任意のものにすぎない。水不混和性有機溶媒を任意の手段、例えば煮沸、蒸発、溶媒抽出、真空乾燥、または透析により除去して、これにより多孔質の架橋されたポリエステル含有粒子を産出することができる。さらに別の方法の場合、不飽和型前駆ポリエステルと、少なくとも1種の有機可溶性のエチレン系不飽和モノマーと、開始剤とを含む、有機相と水性相との混合物を製造し、前記混合物を高エネルギー乳化させ、乳化後に前記ポリエステルの架橋を開始し、さらに前記水混和性有機溶媒を除去して皺付ポリエステル含有粒子を回収することによって、ボウル形の皺付ポリエステル含有粒子を形成することができる。
【0026】
本発明の方法は容易に規模拡大することができ、種々様々な不飽和型ポリエステルに適用することができる。これらのポリエステルは、水溶性、水分散性または油溶性であってよい。使用可能なポリエステルはガラス転移温度によって制限されることはなく、多様な皺付粒子形態をこの技術によってもたらすことができる。この方法は、不飽和型ポリエステルと、水不混和性有機溶媒と、少なくとも1種の有機溶解性モノマーと、開始剤と、任意には、添加された界面活性剤、乳化剤、補助界面活性剤または安定剤化合物とを含む、有機相と水性相との混合物を製造することを含む。ポリエステルおよび開始剤は、混合物中に水性相または有機相で存在してよい。混合物は種々の方法、例えば高せん断混合、音波処理、均質化およびマイクロ流動化のいずれかによって高エネルギー乳化にかけることができる。加熱または多成分酸化還元開始系の1つの成分を添加することにより、架橋を開始することができる。好ましい実施態様の場合、加熱は30〜100℃の温度範囲内で、0.5〜16時間にわたって行うことが望ましい。次いで水不混和性有機溶媒を除去することにより、多孔質ポリエステル粒子の水性分散系を得てもよい。所望の場合には、次いでこれらの粒子を固形物として分離することができる。
【0027】
この方法に有用な前駆ポリエステルおよびモノマーは、本明細書中の前項に記載されている。この方法の好ましい実施態様の場合、前駆ポリエステルは総二酸単位を基準として、最小20モル%の不飽和型二酸単位を含むことになり、両親媒性、自己乳化性または界面活性剤様になる。また好ましい実施態様において、ポリエステルは、イオン単位1モル当たり600〜6000グラムのポリマーのイオン基等価分子量を提供するのに十分な量で存在することになる。好ましくは、前駆ポリエステルは、スルホン化反復単位を含むことになる。
【0028】
また本発明の好ましい実施態様の場合、モノマーは、少なくとも1種の1官能価モノマーと少なくとも1種の多官能価モノマーとの組み合わせを含むことになる。この場合1官能価モノマーはこの組み合わせの50〜99質量%である。好ましくは、1官能価モノマーはこの組み合わせの60〜90%を含むことになる。最も好ましくは、1官能価モノマーはこの組み合わせの75〜90%を含むことになる。前駆ポリエステルおよび組み合わされたモノマーは、最初の反応混合物中に1:99〜10:1の質量比(前駆ポリエステル:モノマー)で存在することができる。好ましくは、この比は1:19〜1:1となる。最も好ましくは、この比は1:10〜1:2となる。水溶性、水分散性または両親媒性のポリエステルがポリエステル:モノマーの比較的高い比(>1:2)と共に使用される場合、極めて不規則的な表面を有する粒子を得ることができるが、しかし大量のポリエステルがしばしば水性相中に導入されないまま残ってしまう。
【0029】
この方法では、全体有機相は、総反応容積の2〜90%を構成する。好ましくは、それは、総反応容積の5〜50%を構成する。最も好ましくは、それは総反応容積の15〜35%を構成する。
【0030】
付加重合技術において良く知られている一般的な水溶性または有機溶解性のフリーラジカル重合開始剤のいずれも、本発明に使用することができる。これらの開始剤の一例としては、アゾ化合物、例えば2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、(1−フェニルエチル)アゾジフェニルメタン、2−2’−アゾイソブチロニトリル(AIBN)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンジカルボニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、および2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、有機過酸化物、有機ヒドロペルオキシド、過酸エステルおよび過酸、例えば過酸化ベンゾイル、過酸化ラウリル、過酸化カプリル、過酸化アセチル、t−ブチルヒドロペルオキシド、t−ブチルペルベンゾエート、クミルヒドロペルオキシド、過酢酸、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ペルオキシベンゾエート)、およびp−クロロベンゾイルペルオキシド、過硫酸塩、例えば過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムおよび過硫酸アンモニウム、二硫化物、テトラゼン、および酸化還元開始剤系、例えばH2O2/Fe2+、過硫酸塩/亜硫酸水素塩、シュウ酸/Mn3+、チオ尿素/Fe3+、および過酸化ベンゾイル/ジメチルアニリンが挙げられるがこれらに限定されない。
【0031】
本発明において有用な有機溶媒は、室温以下で液体である水不混和性の炭素含有化合物を含むか、またはこのような化合物として定義される。水不混和性有機溶媒が本発明の有機相に含まれてもよい。この溶媒を選択するための唯一の基準は、この溶媒が水不混和性であり、しかも架橋反応を抑制することがないか、または、かなりの程度で、すなわちこのプロセスを妨害するか、或いは望ましくない副産物または汚染物質を導入するような程度でその他の副反応を被ることがないことである。有機溶解性モノマーおよび有機溶解性ポリエステルがこの溶媒に可溶であることが望ましい。しかし、生成物ポリエステル粒子またはビーズが、溶媒との高相溶性を有しているか、または溶媒によって容易に膨潤可能であることは必ずしも必要とならない。さらに、溶媒が大気圧または減圧下での蒸発によって容易に除去されるのに十分に低い沸点を有することが望ましいが、しかしこのことは必ずしも必要ではない。本発明の有用な水不混和性有機溶媒の一例としては、トルエン、ベンゼン、アセテートエステル、例えばエチルアセテート、プロピルアセテート、ブチルアセテート、四塩化炭素、クロロホルム、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、キシレンおよび関連異性体、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、石油エーテル、シクロヘキサノール、ブタノール、1−ドデカノール、シクロヘキサノン、クロロホルム、塩化メチレン、1−オクタノール、シクロヘキサノールおよび1,2−ジクロロエタンが挙げられるがこれらに限定されない。トルエン、エチルアセテートおよびプロピルアセテートが好ましい。ポリエステルがモノマー混合物との極めて制限された溶液相溶性を有する場合のこの方法の或る特定の変更形では、水不混和性有機溶媒を省くことにより、ボウル形粒子をもたらすことができる。
【0032】
任意には、少量の、典型的には有機相の1〜10質量%から成る補助界面活性剤安定剤を、本発明の有機相に添加することができる。これらの疎水性化合物は、或る特定のタイプの乳化および懸濁重合におけるオストワルト(Ostwald)熟成を阻止することで知られている。補助界面活性剤(cosurfactant)に関する優れた論議が、Peter A LovellおよびMohammed S. El−Aaser著「エマルジョン重合およびエマルジョンポリマー(Emulsion Polymerization and Emulsion Polymer)」(John Wiley and Sons: Chichester,1997,第700−721頁)および米国特許第5,858,634号明細書に記載されている。最も一般的な補助界面活性剤はヘキサデカンおよびヘキサデカノールである。その他の有用な補助界面活性剤も他の役割、例えばモノマーまたは開始剤としての役割を有することができる。前者の例はラウリルメタクリレートである。後者の例は過酸化ラウロイルである。
【0033】
水溶性または水分散性でないポリエステルを本発明に使用する場合、水溶性または水分散性のポリエステルと並行して乳化剤を使用することができるが、乳化剤は付加的に使用されることが望ましい。乳化剤は好ましくは水性相に存在することができる。極めて多種多様の乳化剤が当業者に知られているが、これらのほとんどは、3つの基本的なカテゴリー、すなわち界面活性剤、コロイド状無機材料および保護コロイドというカテゴリーに組み込まれる。極めて多数の周知の界面活性剤が存在する。界面活性剤の好ましい照会元は、「Surfactant Handbook」 (GPO: Washington, D.C. 1971)および「McCutcheon’s Emulsifiers and Detergents」 (Manufacturing Confectioner Publishing Company: Glen Rock, 1992)である。本発明において有用な界面活性剤に対して一般的な制限はない。有用な界面活性剤はアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性イオン系界面活性剤、中性界面活性剤、低分子量界面活性剤、マクロ分子界面活性剤、合成界面活性剤、または天然源から抽出または誘導された界面活性剤であってよい。いくつかの例としては、ナトリウムドデシルスルフェート、ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート、スルホスクシネートエステル、例えばAEROSOL(商標)という商品名で販売されているエステル、フルオロ界面活性剤、例えばZONYL(商標)およびFLUORAD(商標)という商品名で販売されているフルオロ界面活性剤、エトキシル化アルキルフェノール、例えばTRITON(商標)X−100およびTRITON(商標)X−705、エトキシル化アルキルフェノールスルフェート、例えばRHODAPEX(商標)CO−436、ホスフェートエステル界面活性剤、例えばGAFAC(商標)RE−90、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ポリオキシエチレン化長鎖アミン、およびこれらの四級化誘導体、エトキシル化シリコーン、アルカノールアミン縮合物、ポリエチレンオキシド−コ−ポリプロピレンオキシドのブロックコポリマー、例えばPluronic(商標)およびTECTRONIC(商標)の商品名で販売されているブロックコポリマー、疎水性物質で末端キャップされたオリゴアクリルアミド、例えば米国特許第6,127,453号明細書;同第6,391,537号明細書、およびErdtmann他により2002年4月9日に出願された係属中の米国特許出願第10/118,725号明細書「分散剤/界面活性剤により安定化されたポリマー粒子および製造方法(Polymer Particle Stabilized by Dispersant/Surfactant and Method of Preparation)」に記載されたオリゴアクリルアミド、N−アルキルベタイン、N−アルキルアミンオキシドおよびフルオロカーボン−ポリ(エチレンオキシド)ブロック界面活性剤、例えばFLUORAD(商標)FC−430が挙げられるがこれらに限定されない。
【0034】
本発明に有用な保護コロイドの一例としては、ポリ(エチレンオキシド)、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、スルホン化ポリスチレン、アルギネート、カルボキシメチルセルロース、ジメチルアミノエチルメタクリレートのポリマーおよびコポリマー、エチレンオキシドと尿素とホルムアルデヒドとの水溶性複合樹脂アミン縮合生成物、ポリエチレンイミン、カゼイン、ゼラチン、アルブミン、グルテンおよびキサンタンガムが挙げられるがこれらに限定されない。保護コロイドは、界面活性剤の代わりにまたはこれに加えて使用できる或る種の乳化剤である。これらの保護コロイドは乳化工程に先立って、水性相中に溶解されるかまたは分散させられるのが典型的である。
【0035】
同様に、限定的な凝集プロセスの一部として、コロイド状無機粒子を乳化剤として使用することもできる。コロイド状無機粒子は、界面活性剤または保護コロイドのような上述の他のタイプの乳化剤の代わりに、またはこれに加えて採用することができる。これらのコロイド状無機粒子は、水性相中に分散させることもできる。限定凝集技術は、米国特許第4,833,060号明細書および同第4,965,131号明細書のような多数の特許明細書に記載されている。本発明において特に有用となることができるコロイド状無機材料は、Du Pontによって販売されているLUDOX(商標)である。
【0036】
好ましくは、乳化剤は、スルホスクシネートエステルおよびこれらの塩、テトラアルキルアンモニウム塩、アルキルフェノールエトキシレート、PEO−PPOブロックコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリ(ビニルピロリドン)、長鎖アルキルスルホネートの塩、スルホン化アルキル化ジフェニルエーテル、ナフタレンスルホネート塩、アルキルベンゼンスルホネート塩、疎水性物質で末端キャップされたアクリルアミドオリゴマー、およびコロイドシリカから成る群から選択される。
【0037】
本発明において有用な配合物に導入することができる付加的な添加剤には、顔料、色素、殺生剤、防カビ剤、電解質、バッファ、UV吸収剤、酸化防止剤および連鎖移動剤が含まれる。
【0038】
ポリエステルおよびエチレン系不飽和モノマーの各量を、質量比(ポリエステル:モノマー)が1:199〜3:1となるように選択することができる。好ましくは、この比は1:100〜1:1であり、最も好ましくは1:100〜1:2である。水不混和性有機溶媒の量を、これが当該有機相の5〜95質量%を構成する量となるように選択することができる。好ましくは、当該有機相の20〜90質量%を構成する。最も好ましくは、当該有機相の40〜90質量%を構成する。
【0039】
ボウル形状粒子が望ましい場合、水不混和性有機溶媒を用いる必要はない。補助界面活性剤の量を、それが有機相の0〜10質量%を構成する量、好ましくは、0.5〜質量%、最も好ましくは、有機相の1〜4%を構成する量のように選択することができる。乳化剤を、ポリエステルとエチレン系不飽和モノマーとの合計に対する乳化剤の質量比が0.20〜0.0025であるような量に選択することができる。好ましくは、この比は、0.1〜0.01であり、最も好ましくは、0.02〜0.07である。水溶性、水分散性、または界面活性剤様ポリエステルを用いる場合、これらの比の下限はゼロ、即ち、乳化剤を用いる必要は無い。水性相の合計が配合物の全質量の20〜95%を構成するような量で水を加えることができる。好ましくは、水性相が40〜80%を構成する。最も好ましくは、水性相は60〜80%を構成する。適当な量の任意の追加の添加物を加えてもよい。添加物の種類の要件によって、反応物の全質量の好ましくは5%未満が追加の添加物となるであろう。
【0040】
本発明の実施では、全ての配合物成分を、それらが溶解できるかまたは分散できる水性相または有機層に溶解または分散させることができる。これら二相を混合することができ、そして音波処理もしくは高剪断混合法または連続して用いるそれらを組み合わせた方法によって乳化することができる。高剪断混合法によるとは、おおよそ105/分以上、より好ましくは106/分以上の剪断速度または速度勾配によって十分な剪断エネルギーが提供されることを意味する。剪断速度とは、二つの平面の速度差の絶対値をこれら二つの平面間の距離で割って得られる値を意味する。9653kPa(1400psi)で運転される高圧ホモジナイザーは、おおよそ6×106/分に相当する剪断速度を提供する。高圧ホモジナイザーが好ましい。高速ブレードミキサー、化学ブレンダー、ローターステーター装置(例えば、Silversonミキサー)または高圧ホモジナイザー(例えば、Manton−Gaulinホモジナイザー)、ソノレーター(Sonolator)、プローブ音波処理装置、またはマイクロフリューダイザ(Microfluidizer(商標))を含めた当該技術分野広く用いられている方法および装置を使って乳化を行うことができる。好ましい、乳化装置は、Model No. 110T Microfluidizer(商標)(Microfluidics Manufacturing)である。
【0041】
乳化されたポリエステル粒子またはビーズ調合物を、窒素またはアルゴン等の不活性ガスで通気することによって脱気させることが好ましい。その後この調合物を、重合開始剤が十分に活性となることが分かっている温度に上げ、架橋反応が十分に完了する時間保持することができる。例えば、AIBNまたは過硫酸カリウムを用いて、2〜24時間、60〜80℃で、通常は十分である。過硫酸塩/亜硫酸水素塩レドックス系の場合、2〜24時間、25〜40℃で通常は十分である。随意選択的に、室温開始剤系または二成分レドックス開始剤系の一つの成分を乳化の後に添加して、架橋を開始させることができる。
【0042】
架橋反応が終了したとき、水不混和性有機溶媒を除去してもよい。これは、回転蒸留器、共沸蒸留器、低圧蒸留(LPD)により、必要に応じて窒素等の不活性ガス流の下で沸騰させることにより、または粒子を濾過または沈降させ、その後揮発性の中極性溶媒で連続洗浄することにより行うことができる。一定の溶媒(水と共沸混合物を形成する)、例えばトルエンを単に蒸留することによって容易の除去することができる。溶剤除去のもう一つの有用な方法は、水と有機溶媒の両方に溶解性の中極性溶媒を用いた、透析、ダイアフィルトレーション、または限外濾過となることができる。アルコール(例えば、メタノール、エタノールおよびイソプロパノール)がこの方法によく用いられる。あるいは、粒子分散体を水混和性有機溶媒に注ぎ、そして粒子を濾過または沈降によって回収することによって、水不混和性有機溶媒を除去することができる。
【0043】
生成粒子またはビーズ(優れたコロイド安定性を有する)を水性分散物として保存するか、または凍結乾燥させて水に容易に再分散する固体粉末を生成させる。
【0044】
【実施例】
下記の例により本発明をさらに説明するが、これらの例は本発明を限定するものではない。
前駆ポリエステル1の合成
【0045】
【表1】
【0046】
試薬1および4、6および7を500mlの三口フラスコ内で混合した。このフラスコは、ステンレス鋼製攪拌ロッド、窒素取入口およびアームを備えている。このアームは、制御された真空システムに接続されたドライアイス/アセトン凝縮器に延びている。この真空システムはメスシリンダーを備えており、このメスシリンダーは、捕集された凝縮物を測定するために、凝縮器の下方に取り付けられたすりガラスジョイントを備えている。この反応物を、加熱用合金を含有する浴内で加熱した。窒素の定常流を、10分間にわたって反応混合物に通し、次いで僅かに正の流れに減少させた。反応混合物を200℃で120分間加熱し、その時点で既に、透明なプレポリマーが形成され、所期量のメタノール凝縮物が捕集された。残りの試薬を添加し、攪拌を再開した。反応物を50分間にわたって220℃まで徐々に加熱し、220℃で120分間保持し、次いで30分間にわたって250℃まで徐々に加熱した。26.66kPa(200トル)で減圧開始し、66.7Pa(0.5トル)まで20分間にわたって徐々に減圧した。66.7Pa(0.5トル)になってから10分後には、粘度が増大しており、この時点でポリエステルをもはや効果的には攪拌できず、反応は終結した。ポリマーの分子量をサイズ排除クロマトグラフィ(SEC)(ジメチルホルムアミド、PEO当量)によって、Mn=4200およびMw=15,100を有することを見極めた。
【0047】
前駆ポリエステル2の合成
【0048】
【表2】
【0049】
同じ装置を使用して、調製例1の反応と同様の2段階式重縮合反応で、ポリエステルを製造した。ただしこのPP−3の場合、全体的に周囲圧で反応を実施した。試薬1〜5を220℃で加熱し、さらに460分間にわたってゆっくりと徐々に250℃まで加熱し、その時点で既に、透明なプレポリマーが結果として得られ、所期量のメタノールが捕集された。反応物を加熱浴から取り出し、試薬6を添加した。反応を220℃で持続させ、10〜15分以内に水凝縮物がトラップ内に集まり始めた。ポリエステルが高粘度になって攪拌できなくなるまで、反応を220℃でさらに400分間持続させた。ジメチルホルムアミド溶離剤におけるサイズ排除クロマトグラフィにより、ポリエステルは、Mn=2720およびMw=6400を有することが見出された。
【0050】
前駆ポリエステル3の合成
前駆ポリエステル3は、前駆ポリエステル2と同じ実施であり、同様の手順で1/3の規模で製造された。分子量は僅かに低い(Mn=2520、Mw=8040)ことが判った。
下記の合成製造において、AIBN(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル)をエーテルから一度再結晶させた。スチレンおよびジビニルベンゼンを塩基性アルミナの短カラムに通すことにより、阻害物質を除去した。ジビニルベンゼンは、80%のmおよびpジビニルベンゼン異性体から成り、残余はエチルスチレン異性体である。
【0051】
例1:粒子1の合成
【0052】
【表3】
【0053】
前駆ポリエステル1を750.0mlの水中で、〜60℃で1時間加熱し、これにより透明な、僅かに黄色がかった溶液を得た。この溶液を室温に冷却した。試薬3〜7を混合することにより、有機相を生成した。ポリエステル溶液と有機相とを2Lのビーカー内で混合し、Silverson L4Rミキサーを使用して最高速度設定で10分間混合した。その結果得られた分散系を、機械的攪拌器と還流凝縮器と窒素取入口とを備えた2Lの三口丸底フラスコ内に注ぎ入れ、気泡を窒素で10分間脱気させた。次いで反応物をサーモスタット付水浴内で16時間、70℃で加熱し、回転蒸発器を使用してトルエンを水共沸混合物としてストリッピングした。100Kカットオフ・カートリッジを有するMillipore Amicon(商標)限外濾過システムを使用して、4容量の水を用いたダイアフィルトレーションによって、粒子分散系を精製した。生成物分散系は14.8質量%固形分を有することが判った。Horiba LA−90粒度分析器を使用して、平均粒度は1.35μmであることが見極められた。電子顕微鏡検査による粒子分析(図1を参照されたい)は、濃密な皺を有する球体粒子を示した。
【0054】
粒子のポリエステル含有率を、下記の方法により測定した。10mlの試料に20mlのメタノールを添加し、この分散系を9000RPMで3時間遠心分離した。透明な上澄みをデカントし、白色固形物を25mlのメタノール中に再分散させ、この手順を繰り返した。その結果得られた固形物を真空炉内で80℃で16時間乾燥させた。精製された試料の燃焼分析は、0.15%の硫黄を与えた。その結果は、粒子が6.38%のポリエステルから成ることを示す。
【0055】
例2:粒子2の合成
【0056】
【表4】
【0057】
この例は、モノマー混合物との制限された溶液相溶性を有する前駆ポリエステルを用いて、水不溶性有機溶媒無しで調製を行った場合に、どのようなボウル形状粒子が得られるかを実証する。
【0058】
乳化をSilverson ミキサーを用いて5分間行い、粒子をダイアフィルトレーションしなかった以外は、粒子の調製と分析を例1と同様の様式で行った。粒径分析は、平均粒径0.403μmを有する、広がった、二項分布を示した。電子顕微鏡検査による粒子分析(図2を参照されたい)は、ボウル形状粒子を示した。
例3:粒子3の合成
【0059】
【表5】
【0060】
有機相がさらにトルエンを含有した以外は、粒子の調製と分析を例2と同様の様式で行った。粒径分析は、平均粒径0.504μmを有する、広がった、多項分布を示した。電子顕微鏡検査による粒子分析(図3を参照されたい)は、よりちいさな、濃密な皺を有する不規則形状粒子と、より大きな、濃密な皺を有するボウル形状粒子とを示した。
【0061】
例4:粒子4の合成
【0062】
【表6】
【0063】
粒子の調製および分析を、下記の点以外は、例1の調製および分析と同様に行った。10分間Silverson ミキサーを使用して乳化を行ったあと、Vibra Cellプローブ音波処理器(Sonics & Materials Inc.)を最高出力設定で7分間使用して音波処理を行った。音波処理中、分散系を氷浴内で冷却することにより、重合開始を回避した。窒素通気を行いながら、90℃で4時間分散系を加熱することにより、トルエンを除去した。さらに、粒子にはダイアフィルタリングを施さなかった。粒度分析は、平均粒度0.185μmの二項性分布を示した。電子顕微鏡検査による粒子の分析(図4を参照されたい)は、不規則形状の皺付粒子と、ボウル形皺付粒子とを示した。
【0064】
例5:粒子5の合成
【0065】
【表7】
【0066】
粒子の調製および分析を例1と同様に行った。生成物分散系は12.9質量%固形分を有することが判った。平均粒度は1.408μmであると測定された。電子顕微鏡検査による粒子の分析(図5を参照されたい)は、濃密な皺を有する粒子を示した。この粒子は0.33%の硫黄を含有することが判った。このことは6.18%のポリエステル含有率に相当する。
【0067】
例6:粒子6の合成
【0068】
【表8】
【0069】
異なる乳化手順を用いた以外は、粒子の調製および分析を例5と同様に行った。混合する相を、Silverson L4R ミキサーを高速設定で、〜3分間使用して混合し、その後、Model No. 110T Microfluidizer(Microfluidics Manufacturing)を2回通してマイクロ流動化した。生成物分散系は19.3質量%固形分を有することが判った。平均粒度は0.378μmであることが見極められた。しかし、分布は、おそらく凝集化のために1〜10μmに広がる第二の項を有した。それ故、実際の平均径は、おそらく統計学上の項の値(0.139μm)により近い。電子顕微鏡検査による粒子の分析(図6を参照されたい)は、直径0.050〜0.250μmの皺付きで、ボウル形状粒子を示した。この粒子は1.29%の硫黄を含有することが判った。このことは24.16%のポリエステル含有率に相当する。
【0070】
例7:粒子7の合成
【0071】
【表9】
【0072】
この例は、有機溶解性ポリエステルおよび第四級アンモニウムイオン性基を含んだ皺付きポリエステル含有粒子の調製を具体的に示す。
【0073】
トルエン(6)中で試薬1〜5を溶解することによって有機相を調製した。水(7)に界面活性剤8を溶解することによって水性相を調製した。混合する相を、Silverson L4R ミキサーを高速設定で、〜3分間使用して混合し、その後、Model No. 110T Microfluidizer(Microfluidics Manufacturing)を2回通してマイクロ流動化した。その結果得られた分散系を、機械的攪拌器と還流凝縮器と窒素取入口とを備えた2Lの三口丸底フラスコ内に注ぎ入れ、気泡を窒素で10分間脱気させた。次いで反応物をサーモスタット付水浴内で16時間、70℃で加熱し、ジメチルエタノールアミン(8)を添加し、反応物を24時間、70℃でさらに加熱した。10%K2CO3でpHを〜9に調節し、回転蒸発器を使用してトルエンを水共沸混合物としてストリッピングし、そしてこの分散系を、12〜14Kカットオフ透析管系を用いて一晩透析させた。生成物分散系は20.3質量%固形分を有することが判った。平均粒度は1.52μmであることが見極められた。しかし、分布は、〜0.3μmおよび〜2μmのところに項を有する二項性であった。電子顕微鏡検査による粒子分析は、直径が0.1〜0.5μmの範囲の、皺付き、ボウル形状粒子を示した(図7を参照されたい)。従って第二の項(広い)は凝集化のためであると思われる
【0074】
例8:皺付きポリエステル含有粒子を含んでなるインク受容要素の調製および評価
79.0質量%の粒子5の水性分散系と、1.8質量%のポリ(ビニルアルコール)PVA(Nippon Gohsei Co.から入手したGohsenol(商標)GH−17)と、19.2質量%の水とから、塗被用組成物を製造した[従って、PVAに対する皺付ポリエステル粒子の相対比率(質量)は85/15である]。予めコロナ放電処理が施されているポリエチレン樹脂コート写真用紙から成るベース支持体上に、較正された塗被用ナイフを使用して溶液を塗被した。そしてこの溶液を乾燥させてほとんど全ての溶媒成分を除去することにより、インク受容層を形成した。乾燥したインク受容層の厚さは約10±2μmと測定された。
【0075】
Lexmark Z51インクジェットプリンタと、銅フタロシアニン色素を有する標準的な配合物(Clariant Direct Turquoise Blue FRL−SF)を用いて製造されたシアン・インクジェット用インクと、米国特許第6,001,161号明細書から得られる色素6を有する標準的な配合物を用いて製造されたマゼンタインクとを使用して、上記インク受容要素に印刷を施した。D−max(最高濃度設定)の赤チャネル濃度(シアン)パッチと、緑チャネル濃度(マゼンタ)パッチとを、X−Rite(商標)820デンシトメータを使用して読み取った。次いで印刷済み要素を、5ppmのオゾンを含有する窒素流に4日間暴露した。X−Rite(商標)820デンシトメータを使用して、暴露試験後にそれぞれのパッチの濃度を読み取った。暴露試験前の濃度に対する暴露試験後の濃度の比として、色素保持率(%)を算出した。このインク受容要素はシアン保持率88%およびマゼンタ保持率99%を示した。
【0076】
対照要素C − 1の調製
この試験のための対照要素は、大量のシリカ微粒子を含有する、Epsonから商業的に入手可能なインクジェット用多孔質受容紙「Epson Premium Glossy PhotoPaper」カタログ番号SO41286であった。この対照要素に上述のように印刷してオゾンに暴露させた。
両方の色素において、対照要素はほとんど完全な退色を示したが、本発明の試験要素は優れた保持率を示した。
【0077】
【表10】
【0078】
本発明のその他の特徴
本発明の、少なくとも1つの皺を有する表面を有する、ポリエステルを含む粒子を含んでなるポリマー粒子は、また以下のような特徴も有する。1つの特徴は、前記皺付粒子の平均直径は10μm未満である。別の特徴において、前記粒子の平均直径は0.1〜5μmの範囲にある。他の特徴において、ポリエステル含有粒子は不飽和前駆ポリエステルから形成される。別の特徴では、この前駆ポリエステルは、1,000〜30000g/モルの分子量を有する。別の特徴では、前駆ポリエステルは、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、フェニレンジアクリル酸、シトラコン酸およびメサコン酸から成る群の少なくとも1つを含む。別の特徴では、前駆ポリエステルはさらにスルホン化モノマーを含む。別の特徴では、ポリエステル含有粒子は、少なくとも1種の有機溶解性モノマーからさらに形成される。別の特徴では、前記有機溶解性モノマーは1官能価モノマーおよび多官能価モノマーを含む。
【0079】
本発明の別の特徴では、前記1官能価モノマーは全有機溶解性モノマーの少なくとも50質量%を構成するか、または前記1官能価モノマーはスチレニクス、アクリレートエステル、およびメタクリル酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。本発明の別の特徴では、前記多官能価モノマーは、ジビニルベンゼンイソマー、エチレングリコールジビニルエーテル、ジビニルアジペート、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、およびエチレングリコールジメタクリレートから成る群より選ばれる少なくとも1つを含む。別の特徴では、前記粒子はイオン単位1モル当たり1,000〜500,000グラムの粒子のイオン基当量を有する。別の特徴では、前記粒子はドライであり、または前記粒子は水性分散物中にあり、または前記粒子は界面活性剤で安定化されている。別の特徴では、前記粒子はコロイド状無機材料によって安定化されているか、または保護コロイドによって安定化されている。別の特徴では、前記粒子は本質的に球体形状であるか、またはボウル形状である。
【0080】
本発明はまた、有機相および水性相の混合物を調製すること、ここで、前記混合物は不飽和前駆ポリエステル、水不混和性有機溶媒、少なくとも1種の有機溶解性エチレン系不飽和モノマー、および開始剤を含む;前記混合物を高エネルギー乳化にかけること;乳化後に前記ポリエステルの架橋を開始させること;および前記水不混和性有機溶媒を除去して、皺付きポリエステル含有粒子を回収することを含んでなる皺付きポリエステル含有粒子の形成方法を含む。前記方法は追加の特徴を有する。前記方法の1つの特徴では、加熱が30〜100℃の温度範囲内である。前記方法の別の特徴では、加熱が0.5〜16時間にわたることである。前記方法の別の特徴では、混合物の調製前に、前駆ポリエステルが前記水性相にあるか、または混合物の調製前に、前駆ポリエステルが前記有機相にある。前記方法の別の特徴では、混合物はさらに乳化剤を含む。前記方法の別の特徴では、前記乳化剤は、疎水性物質で末端キャップされたアクリルアミドオリゴマー、スルホスクシネートエステルおよびこれらの塩、テトラアルキルアンモニウム塩、アルキルフェノールエトキシレート、PEO−PPOブロックコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリ(ビニルピロリドン)、長鎖アルキルスルホネートの塩、スルホン化アルキル化ジフェニルエーテル、ナフタレンスルホネート塩、アルキルベンゼンスルホネート塩、およびコロイドシリカから成る群から選択される。
【0081】
前記方法のさらに別の特徴では、前記混合物は前記水性相中に乳化剤をさらに含む。前記方法の別の特徴では、架橋開始はレドックス開始剤による。前記方法の別の特徴では、前記有機溶媒の除去は架橋後に前記混合物を水混和性有機溶媒に注ぎ、そして濾過または沈降により前記粒子を回収することによる。前記方法の別の特徴では、前記水不混和性有機溶媒除去後の粒子を凍結乾燥させる。前記方法の別の特徴では、前記混合物はさらに補助界面活性剤安定化剤を含むか、またはさらにコロイド状無機粒子を含む。前記方法の別の特徴では、前駆ポリエステルは、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、フェニレンジアクリル酸、シトラコン酸およびメサコン酸から成る群の少なくとも1つを含む。前記方法の別の特徴では、前駆ポリエステルはさらにスルホン化モノマーを含む。前記方法の別の特徴では、この前駆ポリエステルは、1,000〜30000g/モルの分子量(Mn)を有する。前記方法の別の特徴では、有機溶解性エチレン系不飽和モノマーは、スチレン、アルキルスチレン、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジビニルエーテル、ジビニルアジペート、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、およびメタクリレートエステルから成る群より選ばれる少なくとも1つを含む。前記方法の別の特徴では、前記開始剤は、アゾ化合物、有機過酸化物、有機ヒドロペルオキシド、過硫酸塩、およびレドックス開始剤から成る群より選ばれる。前記方法の別の特徴では、前記水不混和性有機溶媒は、ベンゼン、トルエン、キシレンイソマー、アセテートエステル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、クロロホルム、四塩化炭素、および1,2−ジクロロエタンから成る群より選ばれる少なくとも1種である。
【0082】
前記方法のさらに別の特徴では、前駆ポリエステルおよび前記少なくとも1種の有機溶解性エチレン系不飽和モノマーは、1:99〜10:1の質量比で存在する。前記方法の別の特徴では、前駆ポリエステルは、総二酸単位を基準として、最小20モル%の不飽和型二酸単位を含む。前記方法の別の特徴では、前駆ポリマーは、イオン単位1モル当たり600〜6000グラムのポリマーのイオン基等価分子量を有する。前記方法の別の特徴では、前記有機溶解性モノマーは少なくとも1種の1官能価モノマーおよび少なくとも1種の多官能価モノマーを含む。
【0083】
前記方法の別の特徴では、前記1官能価モノマーは全有機溶解性モノマーの少なくとも50質量%を構成する。前記方法の別の特徴では、前記1官能価モノマーはスチレニクス、およびメタクリル酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。前記方法の別の特徴では、前記多官能価モノマーは、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジビニルエーテル、ジビニルアジペート、およびシクロヘキサンジメタノールジビニルエーテルから成る群より選ばれる少なくとも1種を含む。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、粒子1の電子顕微鏡検査写真である。
【図2】図2は、粒子2の電子顕微鏡検査写真である。
【図3】図3は、粒子3の電子顕微鏡検査写真である。
【図4】図4は、粒子4の電子顕微鏡検査写真である。
【図5】図5は、粒子5の電子顕微鏡検査写真である。
【図6】図6は、粒子6の電子顕微鏡検査写真である。
【図7】図7は、粒子7の電子顕微鏡検査写真である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、皺付きポリエステル含有粒子に関する。本発明はさらに、皺付きポリエステル含有粒子の調製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
吸着体、クロマトグラフ材料、化粧品添加物、艶消し剤、および多層画像形成媒体の浸透性層としての用途に特化されたマイクロ粒子の発展は非常な関心事である。不規則形状のマイクロ粒子、特に皺付き粒子は、表面積が大きく、間隙容積の増大という特別の利点を提供する。本発明はそのような粒子を特にインクジェット受容体媒体の用途に十分に適合させる。この用途の場合、ゲスト色素および着色剤に固有の安定性を付与する化学組成物の不規則形状粒子は、さらなる関心事である。また、そのような粒子が水および高極性溶媒に対して優れたコロイド安定性を有することも望ましい。
【0003】
典型的なインクジェット記録システムまたは印刷システムの場合、インク滴がノズルから記録要素または記録媒体に向かって高速で射出され、これによりこの媒体上に画像を形成する。インク滴または記録液は一般には記録剤、例えば色素または顔料と、大量の溶媒とを含む。溶媒またはキャリヤ液は典型的には、水、有機材料、例えば1価アルコール、多価アルコールまたはこれらの混合物から形成される。
【0004】
インクジェット記録要素は典型的には支持体を含み、この支持体は少なくともその一方の表面上にインク受容層または画像形成層を有しており、さらに、反射光で記録内容を見るように意図された不透明な支持体、および、透過光によって記録内容を見るように意図された透明な支持体を含む。
ほとんど瞬間的なインク乾燥時間と、良好な品質とを同時に提供するインクジェット記録要素が望ましい。しかし、記録要素が受容する必要のある広範囲なインク組成物およびインク容積を考えると、インクジェット記録媒体のこれらの要件を同時に達成することは難しい。
【0005】
多孔質または無孔質の単層塗膜または多層塗膜を採用するインクジェット記録要素が知られている。これらの塗膜は多孔質または無孔質支持体の一方の面または両面上で好適なインク受容層として作用する。無孔質塗膜を使用する記録要素は、良好な画質および安定性を有するが、しかし、これらが示すインク乾燥時間は不良である。多孔質塗膜を使用する記録要素は、典型的にはコロイド粒子を含有し、これらの画像安定性は無孔質塗膜を使用する記録要素よりも不良ではあるが、しかし、より優れた乾燥時間を示す。
【0006】
インクジェット印刷法を用いる用途の場合、画像記録要素に用いることができると考えられているいくつかの種類の皺付き粒子が知られているが、この分野では多くの未解決の問題があり、またこれらの商業的有用性を著しく制限する多くの欠陥がある。皺付き粒子を含んで成る画像記録層の構成上の主要な課題は、急速に乾燥し、ゲスト着色剤に対する好ましい退色特性を与える塗膜を得ることを可能にすることである。インクジェット記録要素上へ印刷することにより製造されるインクジェット印刷物は、環境的な劣化を被る。これらの印刷物は特に光、および空気中の気体状不純物、例えばオゾンや窒素酸化物により退色しやすい。高膨潤可能な親水性の層は、乾燥するのに望ましくないほどに長い時間がかかることがあり、印刷速度が遅くなる。多孔質層は、インクビヒクルの吸収速度を高くはするが、しかししばしば光沢が不十分となり、色素が著しく退色してしまう。
【0007】
不規則的に成形された微粒子が当業者に知られてはいるものの、これらの粒子は、粒度または組成または製造上の固有の難しさにより、特定の画像形成用途にはあまり適していない。国際公開第92/1655号パンフレットおよび同第03/19099号パンフレットには、エチレン系不飽和カルボン酸含有モノマーから成る架橋された皺付粒子が報告されている。しかしこれらの粒子は、粒度が大きく(>75μm)、ひいては薄い塗膜における使用には適していない。さらに、このモノマー組成物は化学的に攻撃的であり、ゲスト色素および着色剤の退色を促進することになり、従ってこれらの粒子を或る特定の画像形成用途には不適切にする。最後に、これらの材料の液体取込み量は極端に多い。これらの粒子は、液体を吸収すると、そのサイズが劇的に増大する。従って、このような高吸収性物質から成る塗膜は、液体を吸収すると、粒子の寸法が大きく変化することにより、湿潤凝集力を失うことになる。ボウル形の架橋ビニル微粒子が米国特許第5,559,202号明細書に報告されている。しかしこれらの粒子の化学組成は、吸着された色素および着色剤に対する安定性の利点をもたらすことはなく、従ってこれらの粒子はインクジェット受容媒体において使用するには不適切になる。メタクリレートモノマーを含む、皺を有する不規則に成形された粒子がポリマー科学ジャーナル(Journal of Polymer Science)、A章「ポリマー化学」、第38巻、2000年、pp. 4038−4056に開示されている。同様に、これらの粒子の化学組成は、吸着された色素および着色剤に対する安定性の利点をもたらすことはなく、従ってこれらの粒子もインクジェット受容媒体における使用には不適切になる。
【0008】
【特許文献1】
米国特許第5,559,202号明細書
【特許文献2】
国際公開WO92/16565号公報
【特許文献3】
国際公開WO93/19099号公報
【非特許文献1】
スマリータオンスリー(Sumalee Tawonsree)等著、ポリマー科学ジャーナル(Journal of Polymer Science)、A章「ポリマー化学」、第38巻、2000年、pp. 4038−4056
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
水および高極性溶媒に容易に分散可能であり、インクジェット受容体媒体に導入されたとき急速流体吸収作用を示し、そしてゲスト着色剤に固有の安定性を与える材料を含んでなるマイクロ粒子を提供する必要がある。
【0010】
【課題を解決しようとする手段】
本発明は、襞、畝、裂け目、および溝を含む少なくとも1つの皺で被覆された表面を有するポリエステル含有粒子を含んでなる皺付きポリマー粒子を含む。また、不飽和型前駆ポリエステルと、水不混和性有機溶媒と、少なくとも1種の有機可溶性のエチレン系不飽和モノマーと、開始剤とを含む有機相と水性相との混合物を調製し、前記混合物を高エネルギー乳化させ、乳化後に前記ポリエステルの架橋を開始し、そして前記水混和性有機溶媒を除去して皺付ポリエステル含有粒子を回収することを含んでなる、皺付きポリエステル含有粒子の形成方法も開示する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明を用いると、改良されたインク取り込み速度、高い表面光沢を提供し、そして印刷時に優れた画質を有する記録要素を得ることができる。本発明の方法は、ガラス転移温度によって制限されることのない非常に広範な組成上の寛容性のポリエステルを使用できるという利点を提供する。さらに、本発明の方法は、利点として、比較的簡単なプロセス制御を提供し、理想的に大規模生産に適合させることができる。本発明によって調製された粒子のコロイド安定性は優れており、多種多様の不規則形状を実現できる。この方法によって作成される皺付き、ポリエステル系粒子またはビーズは、吸着体、塗膜の不透明化添加物、艶消し剤およびテクスチャ付与剤、ならびにフィラーとして有用である。
本発明の皺付きポリエステル含有粒子は、不飽和型前駆ポリエステルと、エチレン不飽和を含有する1種または2種以上のモノマーとのハイブリッド共重合生成物を含む。前駆ポリエステルは、不飽和基を含有するポリエステルである。このポリエステルは皺付ポリエステル粒子を製造するのに使用される。
【0012】
本発明の、皺付きポリエステル粒子は、平均直径0.05〜50μmの皺付ポリエステル粒子を含む。10μm未満の平均直径が好ましい。より好ましくは、皺付粒子の平均直径範囲は0.1〜5.0μmであり、最も好ましくは、皺付粒子の平均直径範囲は0.1〜2.0μmである。粒子の直径は、当該技術分野で知られた任意の方法により測定することができる。1つのこのような方法は、Horiba LTDによって製造されたHoriba LA−920のような商業的に入手可能な機器を用いた、粒子の希釈分散系のレーザー光散乱である。
【0013】
皺付ポリエステル含有粒子は少くとも1つの皺を表面に有する。皺は襞、畝、裂け目、溝またはこれらの組み合わせを含むことができる。襞、畝、裂け目または溝の頂部間の平均距離は0.02〜2μmとなることができる。好ましくは平均距離は、0.04〜0.4μmである。これらの「皺付」粒子は、襞、畝、裂け目、溝またはこれらの組み合わせが粒子(ビーズともいう)の表面上に存在し、また粒子内部を通る連続的な通路を形成していない点で「多孔質」粒子とは区別される。これらの粒子は、球形状またはボウル形状を含む任意の形状を有していてよい。ポリエステル含有粒子が唯1つの皺を有する場合には、粒子は「ボウル形状」と言うことができる。本発明の皺付き粒子の例を図1〜7に示す。
【0014】
本発明の皺付ポリエステル含有粒子は、水、水混和性有機溶剤、およびこれらの組み合わせにおいて容易に分散可能となることができる。これらの皺付粒子は、分散系として保存されてよく、または溶媒を除去して乾燥材料とし、この乾燥材料を容易に再分散させることもできる。皺付ポリエステル含有粒子は、表面に対して可逆的に吸着、固定、または化学結合され得る界面活性剤、コロイド状無機物質、保護コロイドまたはこれらの組み合わせによって安定化させることができる。或いは粒子は、モノマー成分およびポリマー成分内に共有結合された官能基によって安定化させてもよい。これらの成分は反応して上記粒子を形成する。
【0015】
好ましい実施例の場合、皺付ポリエステル粒子はイオン基を含有する。イオン基はアニオン基、例えばカルボン酸基、スルホン酸基、硫酸基またはチオ硫酸基、或いは、カチオン基、例えばアンモニウム基、ホスホニウム基またはスルホニウム基であってよい。イオン基は好ましくは粒子に共有結合され、イオン単位1モル当たり1,000〜500,000グラムの粒子のイオン基当量、好ましくは、イオン単位1モル当たり2,400〜50,000グラムの粒子のイオン基当量をもたらすような量で存在することになる。これらのイオン単位は、粒子の親成分(モノマーまたは前駆ポリエステル)上に存在することにより粒子内に導入することができ、或いは、粒子が合成された後で、粒子を化学的に改質することにより粒子に導入することもできる。前者の例として、前駆ポリエステルがスルホン化反復単位(例えばスルホイソフタレート)を含有する場合、この単位は粒子内に存在することになる。後者の例としては、粒子の調製に使用されるモノマーの1つがクロロメチルスチレンである場合、粒子と第3アミンとが反応することにより、第4アンモニウムイオンで官能化された粒子がもたらされることになる。
【0016】
本発明の皺付ポリエステル粒子を形成するのに使用可能な前駆ポリエステルは、枝分かれ型または非枝分かれ型であってよく、化学的不飽和を含有してよく、また、水不混和性有機溶媒中または水に可溶であってよい。任意には、前駆ポリエステルはその性質上、水中で自己乳化性であるか、または、両親媒性または界面活性剤様であってよい。前駆ポリエステルはいかなるガラス転移温度を有していてもよいが、ただし、この温度が可溶性要件を満たすことを条件とする。好ましくは数平均分子量(Mn)は1,000〜30,000g/モルである。
【0017】
当業者に良く知られているように、ポリエステルは、多塩基酸または相応の酸と等価の誘導体、例えばエステル、無水物または酸塩化物、および多価アルコールの縮合生成物である。本明細書中で「二酸」または「多酸」に言及する場合、相応の酸と等価の誘導体、例えばエステル、無水物または酸塩化物もこれに含まれることは明らかである。α,β−エチレン不飽和を含有する多塩基酸または多価アルコールを選択することにより、重合可能な不飽和を分子内に導入することができる。例えば、側基不飽和を含有する多価アルコールはグリセロールモノメタクリレートである。しかしほとんどの場合、多塩基酸単位内に不飽和が含有されることになる。任意には、不飽和型多酸に加えて、重縮合技術において一般的な1種または2種以上の多酸を使用することができる。これらのエチレン系不飽和多酸の一例としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、フェニレンジアクリル酸、シトラコン酸およびメサコン酸が挙げられるがこれらに限定されない。化学的不飽和を含有せず、しかもポリエステルにおいて使用することができる他の付加的な多酸が国際公開第01/00703パンフレットに記載されている。これらの二酸の一例としては、マロン酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸およびセバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ナフタレンジカルボン酸、クロレンド酸、トリメリット酸、トリメシン酸およびピロメリット酸の異性体が挙げられるがこれらに限定されない。
【0018】
エチレン不飽和基は、合成改質により前駆ポリエステル中に導入することもできる。例えば、エチレン不飽和単位を導入するために、高アルコール数を有するポリエステルを、アクリル酸またはメタクリル酸の無水物または酸塩化物と反応させることができる。
本発明に適した前駆ポリエステルは、さらに、重縮合技術において良く知られた種々様々な多価アルコールのいずれかから構成することができる。これらの多価アルコールは脂肪族、脂環式またはアラルキルアルコールであってよい。好適な多価アルコールは、国際公開第01/00703号パンフレットにおいて説明されている。これらのアルコールの一例としては、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、ヒドロキノンビス(ヒドロキシエチル)エーテル、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノール、例えばビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキシドアダクトおよびプロピレンオキシドアダクト、ペンタエリトリトール、トリメチロールプロパン、および、ε−カプロラクトンの開環重合により得られるようなポリエステルポリオールが挙げられるがこれらに限定されない。加えて、ヒドロキシル誘導体官能および酸誘導体官能の双方を含有するA−B型重縮合モノマー、ならびに一酸および一価アルコールを使用することができる。
【0019】
本発明の1つの実施態様の場合、水溶性、界面活性剤様、または自己乳化性であって、さらに化学的不飽和を含有する前駆ポリエステルを利用することができる。水溶性、界面活性剤様、および自己乳化性のポリエステルは当業者に良く知られており、1つまたは2つ以上のタイプの親水性の化学基、官能基、またはモノマー、例えばカルボン酸塩、アンモニウム、第4アンモニウム、スルホン酸塩、硫酸塩、スルホニウム、ホスホニウム、イミノスルホニル、ポリマーオキシエチレンまたはオリゴマーオキシエチレンのセグメントを含有することになる。本発明において有用な皺付ポリエステル粒子を形成するのに使用される前駆ポリエステルは、さらに1種または2種以上の多酸モノマーまたはポリオールモノマーを含有することになる。これらのモノマーは、上述のようなエチレン不飽和を含有する。本発明の皺付ポリエステル粒子を形成するために使用される水溶性、界面活性剤様、および自己乳化性の前駆ポリエステルは、1種または2種以上の二酸成分またはジオール成分を含有することができる。これらの成分は、親水特性または水溶性を誘発することができる。このことを目的として使用される最も一般的な親水性ジオールはポリエチレングリコールである。さらに、2つまたは3つのヒドロキシアルキル基で置換された第3アミン単位を、前駆ポリエステル中に導入し、アルキル化剤で4級化するか、または酸で中和することによりイオンにすることができる。ポリエステルに親水性を付与するのに使用される一般的なクラスの二酸成分は、スルホン酸塩またはスルホンイミド塩を含有する化合物を含む。いくつかの好適なスルホン化二酸が、米国特許第4,073,656号明細書および同第5,218,042号明細書に記載されている。このような二酸の例は、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、2−ナトリウムスルホブタン酸、およびジ−Meナトリウムイミノビス(スルホニル−m−ベンゾエート)である。ポリエステルの親水化のための別の一般的な方策は、比較的高い酸価を有するポリエステルの酸末端基の中和を要する。好ましくは、酸価は最小10mgのKOH/gポリマーである。最も好ましくは酸価は25mgを上回るKOH/gポリマーである。中和剤は通常、アルカリ金属水酸化物またはアミンである。エチレン不飽和と、中和された酸末端基とを含有するポリエステルを本発明に用いることもできる。好ましくは、不飽和型前駆ポリエステルは、イオン単位1モル当たり200〜20,000グラムポリマーのイオン基等価分子量を有することになる。最も好ましくは、不飽和型前駆ポリエステルは、イオン単位1モル当たり600〜6,000グラムポリマーのイオン基等価分子量を有するであろう。
【0020】
本発明において前駆ポリエステルを架橋するのに有用なエチレン系不飽和モノマーは、付加重合技術において一般的に用いられるモノマーである。皺付粒子は1官能価または多官能価の1種のモノマーと組み合わされたポリエステルから成ることがしばしば可能ではあるが、しかし好ましい実施態様は、少なくとも1種の1官能価モノマーと少なくとも1種の多官能価モノマーとの組み合わせから成ることになる。この実施態様の場合、1官能価モノマーは組み合わせの50〜99%を成す。好ましくは1官能価モノマーは組み合わせの60〜90%を成すことになる。最も好ましくは1官能価モノマーは組み合わせの75〜90%を成すことになる。好ましい実施態様の場合、モノマーのうちの少なくとも1種が1官能価であり、少なくとも1種が多官能価である。
【0021】
前駆ポリエステルは0.5%〜75%の質量%で粒子内に存在することになる。好ましくは、1%〜50%の質量%で粒子内に存在し、最も好ましくは、1%〜33%の質量%で粒子内に存在する。
【0022】
本発明において有用な1官能価モノマーの一例としては、メタクリル酸エステル、例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレートおよびグリシジルメタクリレート、アクリル酸エステル、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、イソブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、およびグリシジルアクリレート、スチレニクス、例えばスチレン、α−メチルスチレン、3−および4−クロロメチルスチレン、ハロゲン置換型スチレンおよびアルキル置換型スチレン、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、N−アルキル化アクリルアミドおよびメタクリルアミド、ビニルエステル、例えばビニルアセテートおよびビニルベンゾエート、ビニルエーテル、例えばブチルビニルエーテル、アリルアルコールおよびそのエーテルおよびエステル、および、不飽和型のケトンおよびアルデヒド、例えばアクロレイン、およびメチルビニルケトンおよびアクリロニトリルが挙げられるがこれらに限定されない。本発明におけるその入手容易性および有効性のために、スチレンおよびメタクリル酸エステルが最も好ましい。
【0023】
本発明において有用な多官能価モノマーの一例としては、ジビニルベンゼンおよび関連異性体、ジオールジメタクリレート、例えばエチレングリコールジメタクリレート、ジビニルエーテル、例えばシクロヘキサンジメタノールジビニルエーテルおよびエチレングリコールジビニルエーテル、ジビニルエステル、例えばジビニルアジペート、および多官能価アクリレートおよびメタクリレート、例えばトリメチロールプロパントリ(メト)アクリレートが挙げられるがこれらに限定されない。
【0024】
さらに少量(典型的には重合可能な固体の総質量の10%未満)の1種または2種以上の水溶性のエチレン系不飽和モノマーを使用することができる。このようなモノマーの一例としては、スチレニクス、アクリレート、および高極性基で置換されたメタクリレート、不飽和型の炭素およびヘテロ原子の酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸およびこれらの塩、ビニルカルバゾール、ビニルイミダゾール、ビニルピロリドン、およびビニルピリジンが挙げられるがこれらに限定されない。本発明にとって好ましいモノマー(1官能価および多官能価)はスチレニクス、ビニルエーテルおよびビニルエステルである。特に好ましいモノマーは、スチレニクス、例えばスチレンおよびジビニルベンゼンである。
【0025】
本発明の皺付ポリエステル粒子またはビーズの製造方法は、水不混和性有機溶媒の存在において、水中油滴型エマルジョン中で少なくとも1種の不飽和型ポリエステルを少なくとも1種のエチレン系不飽和モノマーと架橋させることを含む。架橋反応は、エチレン系不飽和モノマーのラジカル反応開始型重合となることができる。この不飽和型モノマーは、ポリエステル中の不飽和単位と容易に共重合する。ポリエステルは有機溶解性であってよい。この場合、乳化剤の添加が望ましい。この方法の別の実施態様の場合、ポリエステルはその性質上、水溶性、水分散性または両親媒性であってよく、この場合、ポリエステルは乳化種として作用し、乳化剤の添加は任意のものにすぎない。水不混和性有機溶媒を任意の手段、例えば煮沸、蒸発、溶媒抽出、真空乾燥、または透析により除去して、これにより多孔質の架橋されたポリエステル含有粒子を産出することができる。さらに別の方法の場合、不飽和型前駆ポリエステルと、少なくとも1種の有機可溶性のエチレン系不飽和モノマーと、開始剤とを含む、有機相と水性相との混合物を製造し、前記混合物を高エネルギー乳化させ、乳化後に前記ポリエステルの架橋を開始し、さらに前記水混和性有機溶媒を除去して皺付ポリエステル含有粒子を回収することによって、ボウル形の皺付ポリエステル含有粒子を形成することができる。
【0026】
本発明の方法は容易に規模拡大することができ、種々様々な不飽和型ポリエステルに適用することができる。これらのポリエステルは、水溶性、水分散性または油溶性であってよい。使用可能なポリエステルはガラス転移温度によって制限されることはなく、多様な皺付粒子形態をこの技術によってもたらすことができる。この方法は、不飽和型ポリエステルと、水不混和性有機溶媒と、少なくとも1種の有機溶解性モノマーと、開始剤と、任意には、添加された界面活性剤、乳化剤、補助界面活性剤または安定剤化合物とを含む、有機相と水性相との混合物を製造することを含む。ポリエステルおよび開始剤は、混合物中に水性相または有機相で存在してよい。混合物は種々の方法、例えば高せん断混合、音波処理、均質化およびマイクロ流動化のいずれかによって高エネルギー乳化にかけることができる。加熱または多成分酸化還元開始系の1つの成分を添加することにより、架橋を開始することができる。好ましい実施態様の場合、加熱は30〜100℃の温度範囲内で、0.5〜16時間にわたって行うことが望ましい。次いで水不混和性有機溶媒を除去することにより、多孔質ポリエステル粒子の水性分散系を得てもよい。所望の場合には、次いでこれらの粒子を固形物として分離することができる。
【0027】
この方法に有用な前駆ポリエステルおよびモノマーは、本明細書中の前項に記載されている。この方法の好ましい実施態様の場合、前駆ポリエステルは総二酸単位を基準として、最小20モル%の不飽和型二酸単位を含むことになり、両親媒性、自己乳化性または界面活性剤様になる。また好ましい実施態様において、ポリエステルは、イオン単位1モル当たり600〜6000グラムのポリマーのイオン基等価分子量を提供するのに十分な量で存在することになる。好ましくは、前駆ポリエステルは、スルホン化反復単位を含むことになる。
【0028】
また本発明の好ましい実施態様の場合、モノマーは、少なくとも1種の1官能価モノマーと少なくとも1種の多官能価モノマーとの組み合わせを含むことになる。この場合1官能価モノマーはこの組み合わせの50〜99質量%である。好ましくは、1官能価モノマーはこの組み合わせの60〜90%を含むことになる。最も好ましくは、1官能価モノマーはこの組み合わせの75〜90%を含むことになる。前駆ポリエステルおよび組み合わされたモノマーは、最初の反応混合物中に1:99〜10:1の質量比(前駆ポリエステル:モノマー)で存在することができる。好ましくは、この比は1:19〜1:1となる。最も好ましくは、この比は1:10〜1:2となる。水溶性、水分散性または両親媒性のポリエステルがポリエステル:モノマーの比較的高い比(>1:2)と共に使用される場合、極めて不規則的な表面を有する粒子を得ることができるが、しかし大量のポリエステルがしばしば水性相中に導入されないまま残ってしまう。
【0029】
この方法では、全体有機相は、総反応容積の2〜90%を構成する。好ましくは、それは、総反応容積の5〜50%を構成する。最も好ましくは、それは総反応容積の15〜35%を構成する。
【0030】
付加重合技術において良く知られている一般的な水溶性または有機溶解性のフリーラジカル重合開始剤のいずれも、本発明に使用することができる。これらの開始剤の一例としては、アゾ化合物、例えば2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、(1−フェニルエチル)アゾジフェニルメタン、2−2’−アゾイソブチロニトリル(AIBN)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンジカルボニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、および2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、有機過酸化物、有機ヒドロペルオキシド、過酸エステルおよび過酸、例えば過酸化ベンゾイル、過酸化ラウリル、過酸化カプリル、過酸化アセチル、t−ブチルヒドロペルオキシド、t−ブチルペルベンゾエート、クミルヒドロペルオキシド、過酢酸、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ペルオキシベンゾエート)、およびp−クロロベンゾイルペルオキシド、過硫酸塩、例えば過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムおよび過硫酸アンモニウム、二硫化物、テトラゼン、および酸化還元開始剤系、例えばH2O2/Fe2+、過硫酸塩/亜硫酸水素塩、シュウ酸/Mn3+、チオ尿素/Fe3+、および過酸化ベンゾイル/ジメチルアニリンが挙げられるがこれらに限定されない。
【0031】
本発明において有用な有機溶媒は、室温以下で液体である水不混和性の炭素含有化合物を含むか、またはこのような化合物として定義される。水不混和性有機溶媒が本発明の有機相に含まれてもよい。この溶媒を選択するための唯一の基準は、この溶媒が水不混和性であり、しかも架橋反応を抑制することがないか、または、かなりの程度で、すなわちこのプロセスを妨害するか、或いは望ましくない副産物または汚染物質を導入するような程度でその他の副反応を被ることがないことである。有機溶解性モノマーおよび有機溶解性ポリエステルがこの溶媒に可溶であることが望ましい。しかし、生成物ポリエステル粒子またはビーズが、溶媒との高相溶性を有しているか、または溶媒によって容易に膨潤可能であることは必ずしも必要とならない。さらに、溶媒が大気圧または減圧下での蒸発によって容易に除去されるのに十分に低い沸点を有することが望ましいが、しかしこのことは必ずしも必要ではない。本発明の有用な水不混和性有機溶媒の一例としては、トルエン、ベンゼン、アセテートエステル、例えばエチルアセテート、プロピルアセテート、ブチルアセテート、四塩化炭素、クロロホルム、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、キシレンおよび関連異性体、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、石油エーテル、シクロヘキサノール、ブタノール、1−ドデカノール、シクロヘキサノン、クロロホルム、塩化メチレン、1−オクタノール、シクロヘキサノールおよび1,2−ジクロロエタンが挙げられるがこれらに限定されない。トルエン、エチルアセテートおよびプロピルアセテートが好ましい。ポリエステルがモノマー混合物との極めて制限された溶液相溶性を有する場合のこの方法の或る特定の変更形では、水不混和性有機溶媒を省くことにより、ボウル形粒子をもたらすことができる。
【0032】
任意には、少量の、典型的には有機相の1〜10質量%から成る補助界面活性剤安定剤を、本発明の有機相に添加することができる。これらの疎水性化合物は、或る特定のタイプの乳化および懸濁重合におけるオストワルト(Ostwald)熟成を阻止することで知られている。補助界面活性剤(cosurfactant)に関する優れた論議が、Peter A LovellおよびMohammed S. El−Aaser著「エマルジョン重合およびエマルジョンポリマー(Emulsion Polymerization and Emulsion Polymer)」(John Wiley and Sons: Chichester,1997,第700−721頁)および米国特許第5,858,634号明細書に記載されている。最も一般的な補助界面活性剤はヘキサデカンおよびヘキサデカノールである。その他の有用な補助界面活性剤も他の役割、例えばモノマーまたは開始剤としての役割を有することができる。前者の例はラウリルメタクリレートである。後者の例は過酸化ラウロイルである。
【0033】
水溶性または水分散性でないポリエステルを本発明に使用する場合、水溶性または水分散性のポリエステルと並行して乳化剤を使用することができるが、乳化剤は付加的に使用されることが望ましい。乳化剤は好ましくは水性相に存在することができる。極めて多種多様の乳化剤が当業者に知られているが、これらのほとんどは、3つの基本的なカテゴリー、すなわち界面活性剤、コロイド状無機材料および保護コロイドというカテゴリーに組み込まれる。極めて多数の周知の界面活性剤が存在する。界面活性剤の好ましい照会元は、「Surfactant Handbook」 (GPO: Washington, D.C. 1971)および「McCutcheon’s Emulsifiers and Detergents」 (Manufacturing Confectioner Publishing Company: Glen Rock, 1992)である。本発明において有用な界面活性剤に対して一般的な制限はない。有用な界面活性剤はアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性イオン系界面活性剤、中性界面活性剤、低分子量界面活性剤、マクロ分子界面活性剤、合成界面活性剤、または天然源から抽出または誘導された界面活性剤であってよい。いくつかの例としては、ナトリウムドデシルスルフェート、ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート、スルホスクシネートエステル、例えばAEROSOL(商標)という商品名で販売されているエステル、フルオロ界面活性剤、例えばZONYL(商標)およびFLUORAD(商標)という商品名で販売されているフルオロ界面活性剤、エトキシル化アルキルフェノール、例えばTRITON(商標)X−100およびTRITON(商標)X−705、エトキシル化アルキルフェノールスルフェート、例えばRHODAPEX(商標)CO−436、ホスフェートエステル界面活性剤、例えばGAFAC(商標)RE−90、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ポリオキシエチレン化長鎖アミン、およびこれらの四級化誘導体、エトキシル化シリコーン、アルカノールアミン縮合物、ポリエチレンオキシド−コ−ポリプロピレンオキシドのブロックコポリマー、例えばPluronic(商標)およびTECTRONIC(商標)の商品名で販売されているブロックコポリマー、疎水性物質で末端キャップされたオリゴアクリルアミド、例えば米国特許第6,127,453号明細書;同第6,391,537号明細書、およびErdtmann他により2002年4月9日に出願された係属中の米国特許出願第10/118,725号明細書「分散剤/界面活性剤により安定化されたポリマー粒子および製造方法(Polymer Particle Stabilized by Dispersant/Surfactant and Method of Preparation)」に記載されたオリゴアクリルアミド、N−アルキルベタイン、N−アルキルアミンオキシドおよびフルオロカーボン−ポリ(エチレンオキシド)ブロック界面活性剤、例えばFLUORAD(商標)FC−430が挙げられるがこれらに限定されない。
【0034】
本発明に有用な保護コロイドの一例としては、ポリ(エチレンオキシド)、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、スルホン化ポリスチレン、アルギネート、カルボキシメチルセルロース、ジメチルアミノエチルメタクリレートのポリマーおよびコポリマー、エチレンオキシドと尿素とホルムアルデヒドとの水溶性複合樹脂アミン縮合生成物、ポリエチレンイミン、カゼイン、ゼラチン、アルブミン、グルテンおよびキサンタンガムが挙げられるがこれらに限定されない。保護コロイドは、界面活性剤の代わりにまたはこれに加えて使用できる或る種の乳化剤である。これらの保護コロイドは乳化工程に先立って、水性相中に溶解されるかまたは分散させられるのが典型的である。
【0035】
同様に、限定的な凝集プロセスの一部として、コロイド状無機粒子を乳化剤として使用することもできる。コロイド状無機粒子は、界面活性剤または保護コロイドのような上述の他のタイプの乳化剤の代わりに、またはこれに加えて採用することができる。これらのコロイド状無機粒子は、水性相中に分散させることもできる。限定凝集技術は、米国特許第4,833,060号明細書および同第4,965,131号明細書のような多数の特許明細書に記載されている。本発明において特に有用となることができるコロイド状無機材料は、Du Pontによって販売されているLUDOX(商標)である。
【0036】
好ましくは、乳化剤は、スルホスクシネートエステルおよびこれらの塩、テトラアルキルアンモニウム塩、アルキルフェノールエトキシレート、PEO−PPOブロックコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリ(ビニルピロリドン)、長鎖アルキルスルホネートの塩、スルホン化アルキル化ジフェニルエーテル、ナフタレンスルホネート塩、アルキルベンゼンスルホネート塩、疎水性物質で末端キャップされたアクリルアミドオリゴマー、およびコロイドシリカから成る群から選択される。
【0037】
本発明において有用な配合物に導入することができる付加的な添加剤には、顔料、色素、殺生剤、防カビ剤、電解質、バッファ、UV吸収剤、酸化防止剤および連鎖移動剤が含まれる。
【0038】
ポリエステルおよびエチレン系不飽和モノマーの各量を、質量比(ポリエステル:モノマー)が1:199〜3:1となるように選択することができる。好ましくは、この比は1:100〜1:1であり、最も好ましくは1:100〜1:2である。水不混和性有機溶媒の量を、これが当該有機相の5〜95質量%を構成する量となるように選択することができる。好ましくは、当該有機相の20〜90質量%を構成する。最も好ましくは、当該有機相の40〜90質量%を構成する。
【0039】
ボウル形状粒子が望ましい場合、水不混和性有機溶媒を用いる必要はない。補助界面活性剤の量を、それが有機相の0〜10質量%を構成する量、好ましくは、0.5〜質量%、最も好ましくは、有機相の1〜4%を構成する量のように選択することができる。乳化剤を、ポリエステルとエチレン系不飽和モノマーとの合計に対する乳化剤の質量比が0.20〜0.0025であるような量に選択することができる。好ましくは、この比は、0.1〜0.01であり、最も好ましくは、0.02〜0.07である。水溶性、水分散性、または界面活性剤様ポリエステルを用いる場合、これらの比の下限はゼロ、即ち、乳化剤を用いる必要は無い。水性相の合計が配合物の全質量の20〜95%を構成するような量で水を加えることができる。好ましくは、水性相が40〜80%を構成する。最も好ましくは、水性相は60〜80%を構成する。適当な量の任意の追加の添加物を加えてもよい。添加物の種類の要件によって、反応物の全質量の好ましくは5%未満が追加の添加物となるであろう。
【0040】
本発明の実施では、全ての配合物成分を、それらが溶解できるかまたは分散できる水性相または有機層に溶解または分散させることができる。これら二相を混合することができ、そして音波処理もしくは高剪断混合法または連続して用いるそれらを組み合わせた方法によって乳化することができる。高剪断混合法によるとは、おおよそ105/分以上、より好ましくは106/分以上の剪断速度または速度勾配によって十分な剪断エネルギーが提供されることを意味する。剪断速度とは、二つの平面の速度差の絶対値をこれら二つの平面間の距離で割って得られる値を意味する。9653kPa(1400psi)で運転される高圧ホモジナイザーは、おおよそ6×106/分に相当する剪断速度を提供する。高圧ホモジナイザーが好ましい。高速ブレードミキサー、化学ブレンダー、ローターステーター装置(例えば、Silversonミキサー)または高圧ホモジナイザー(例えば、Manton−Gaulinホモジナイザー)、ソノレーター(Sonolator)、プローブ音波処理装置、またはマイクロフリューダイザ(Microfluidizer(商標))を含めた当該技術分野広く用いられている方法および装置を使って乳化を行うことができる。好ましい、乳化装置は、Model No. 110T Microfluidizer(商標)(Microfluidics Manufacturing)である。
【0041】
乳化されたポリエステル粒子またはビーズ調合物を、窒素またはアルゴン等の不活性ガスで通気することによって脱気させることが好ましい。その後この調合物を、重合開始剤が十分に活性となることが分かっている温度に上げ、架橋反応が十分に完了する時間保持することができる。例えば、AIBNまたは過硫酸カリウムを用いて、2〜24時間、60〜80℃で、通常は十分である。過硫酸塩/亜硫酸水素塩レドックス系の場合、2〜24時間、25〜40℃で通常は十分である。随意選択的に、室温開始剤系または二成分レドックス開始剤系の一つの成分を乳化の後に添加して、架橋を開始させることができる。
【0042】
架橋反応が終了したとき、水不混和性有機溶媒を除去してもよい。これは、回転蒸留器、共沸蒸留器、低圧蒸留(LPD)により、必要に応じて窒素等の不活性ガス流の下で沸騰させることにより、または粒子を濾過または沈降させ、その後揮発性の中極性溶媒で連続洗浄することにより行うことができる。一定の溶媒(水と共沸混合物を形成する)、例えばトルエンを単に蒸留することによって容易の除去することができる。溶剤除去のもう一つの有用な方法は、水と有機溶媒の両方に溶解性の中極性溶媒を用いた、透析、ダイアフィルトレーション、または限外濾過となることができる。アルコール(例えば、メタノール、エタノールおよびイソプロパノール)がこの方法によく用いられる。あるいは、粒子分散体を水混和性有機溶媒に注ぎ、そして粒子を濾過または沈降によって回収することによって、水不混和性有機溶媒を除去することができる。
【0043】
生成粒子またはビーズ(優れたコロイド安定性を有する)を水性分散物として保存するか、または凍結乾燥させて水に容易に再分散する固体粉末を生成させる。
【0044】
【実施例】
下記の例により本発明をさらに説明するが、これらの例は本発明を限定するものではない。
前駆ポリエステル1の合成
【0045】
【表1】
【0046】
試薬1および4、6および7を500mlの三口フラスコ内で混合した。このフラスコは、ステンレス鋼製攪拌ロッド、窒素取入口およびアームを備えている。このアームは、制御された真空システムに接続されたドライアイス/アセトン凝縮器に延びている。この真空システムはメスシリンダーを備えており、このメスシリンダーは、捕集された凝縮物を測定するために、凝縮器の下方に取り付けられたすりガラスジョイントを備えている。この反応物を、加熱用合金を含有する浴内で加熱した。窒素の定常流を、10分間にわたって反応混合物に通し、次いで僅かに正の流れに減少させた。反応混合物を200℃で120分間加熱し、その時点で既に、透明なプレポリマーが形成され、所期量のメタノール凝縮物が捕集された。残りの試薬を添加し、攪拌を再開した。反応物を50分間にわたって220℃まで徐々に加熱し、220℃で120分間保持し、次いで30分間にわたって250℃まで徐々に加熱した。26.66kPa(200トル)で減圧開始し、66.7Pa(0.5トル)まで20分間にわたって徐々に減圧した。66.7Pa(0.5トル)になってから10分後には、粘度が増大しており、この時点でポリエステルをもはや効果的には攪拌できず、反応は終結した。ポリマーの分子量をサイズ排除クロマトグラフィ(SEC)(ジメチルホルムアミド、PEO当量)によって、Mn=4200およびMw=15,100を有することを見極めた。
【0047】
前駆ポリエステル2の合成
【0048】
【表2】
【0049】
同じ装置を使用して、調製例1の反応と同様の2段階式重縮合反応で、ポリエステルを製造した。ただしこのPP−3の場合、全体的に周囲圧で反応を実施した。試薬1〜5を220℃で加熱し、さらに460分間にわたってゆっくりと徐々に250℃まで加熱し、その時点で既に、透明なプレポリマーが結果として得られ、所期量のメタノールが捕集された。反応物を加熱浴から取り出し、試薬6を添加した。反応を220℃で持続させ、10〜15分以内に水凝縮物がトラップ内に集まり始めた。ポリエステルが高粘度になって攪拌できなくなるまで、反応を220℃でさらに400分間持続させた。ジメチルホルムアミド溶離剤におけるサイズ排除クロマトグラフィにより、ポリエステルは、Mn=2720およびMw=6400を有することが見出された。
【0050】
前駆ポリエステル3の合成
前駆ポリエステル3は、前駆ポリエステル2と同じ実施であり、同様の手順で1/3の規模で製造された。分子量は僅かに低い(Mn=2520、Mw=8040)ことが判った。
下記の合成製造において、AIBN(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル)をエーテルから一度再結晶させた。スチレンおよびジビニルベンゼンを塩基性アルミナの短カラムに通すことにより、阻害物質を除去した。ジビニルベンゼンは、80%のmおよびpジビニルベンゼン異性体から成り、残余はエチルスチレン異性体である。
【0051】
例1:粒子1の合成
【0052】
【表3】
【0053】
前駆ポリエステル1を750.0mlの水中で、〜60℃で1時間加熱し、これにより透明な、僅かに黄色がかった溶液を得た。この溶液を室温に冷却した。試薬3〜7を混合することにより、有機相を生成した。ポリエステル溶液と有機相とを2Lのビーカー内で混合し、Silverson L4Rミキサーを使用して最高速度設定で10分間混合した。その結果得られた分散系を、機械的攪拌器と還流凝縮器と窒素取入口とを備えた2Lの三口丸底フラスコ内に注ぎ入れ、気泡を窒素で10分間脱気させた。次いで反応物をサーモスタット付水浴内で16時間、70℃で加熱し、回転蒸発器を使用してトルエンを水共沸混合物としてストリッピングした。100Kカットオフ・カートリッジを有するMillipore Amicon(商標)限外濾過システムを使用して、4容量の水を用いたダイアフィルトレーションによって、粒子分散系を精製した。生成物分散系は14.8質量%固形分を有することが判った。Horiba LA−90粒度分析器を使用して、平均粒度は1.35μmであることが見極められた。電子顕微鏡検査による粒子分析(図1を参照されたい)は、濃密な皺を有する球体粒子を示した。
【0054】
粒子のポリエステル含有率を、下記の方法により測定した。10mlの試料に20mlのメタノールを添加し、この分散系を9000RPMで3時間遠心分離した。透明な上澄みをデカントし、白色固形物を25mlのメタノール中に再分散させ、この手順を繰り返した。その結果得られた固形物を真空炉内で80℃で16時間乾燥させた。精製された試料の燃焼分析は、0.15%の硫黄を与えた。その結果は、粒子が6.38%のポリエステルから成ることを示す。
【0055】
例2:粒子2の合成
【0056】
【表4】
【0057】
この例は、モノマー混合物との制限された溶液相溶性を有する前駆ポリエステルを用いて、水不溶性有機溶媒無しで調製を行った場合に、どのようなボウル形状粒子が得られるかを実証する。
【0058】
乳化をSilverson ミキサーを用いて5分間行い、粒子をダイアフィルトレーションしなかった以外は、粒子の調製と分析を例1と同様の様式で行った。粒径分析は、平均粒径0.403μmを有する、広がった、二項分布を示した。電子顕微鏡検査による粒子分析(図2を参照されたい)は、ボウル形状粒子を示した。
例3:粒子3の合成
【0059】
【表5】
【0060】
有機相がさらにトルエンを含有した以外は、粒子の調製と分析を例2と同様の様式で行った。粒径分析は、平均粒径0.504μmを有する、広がった、多項分布を示した。電子顕微鏡検査による粒子分析(図3を参照されたい)は、よりちいさな、濃密な皺を有する不規則形状粒子と、より大きな、濃密な皺を有するボウル形状粒子とを示した。
【0061】
例4:粒子4の合成
【0062】
【表6】
【0063】
粒子の調製および分析を、下記の点以外は、例1の調製および分析と同様に行った。10分間Silverson ミキサーを使用して乳化を行ったあと、Vibra Cellプローブ音波処理器(Sonics & Materials Inc.)を最高出力設定で7分間使用して音波処理を行った。音波処理中、分散系を氷浴内で冷却することにより、重合開始を回避した。窒素通気を行いながら、90℃で4時間分散系を加熱することにより、トルエンを除去した。さらに、粒子にはダイアフィルタリングを施さなかった。粒度分析は、平均粒度0.185μmの二項性分布を示した。電子顕微鏡検査による粒子の分析(図4を参照されたい)は、不規則形状の皺付粒子と、ボウル形皺付粒子とを示した。
【0064】
例5:粒子5の合成
【0065】
【表7】
【0066】
粒子の調製および分析を例1と同様に行った。生成物分散系は12.9質量%固形分を有することが判った。平均粒度は1.408μmであると測定された。電子顕微鏡検査による粒子の分析(図5を参照されたい)は、濃密な皺を有する粒子を示した。この粒子は0.33%の硫黄を含有することが判った。このことは6.18%のポリエステル含有率に相当する。
【0067】
例6:粒子6の合成
【0068】
【表8】
【0069】
異なる乳化手順を用いた以外は、粒子の調製および分析を例5と同様に行った。混合する相を、Silverson L4R ミキサーを高速設定で、〜3分間使用して混合し、その後、Model No. 110T Microfluidizer(Microfluidics Manufacturing)を2回通してマイクロ流動化した。生成物分散系は19.3質量%固形分を有することが判った。平均粒度は0.378μmであることが見極められた。しかし、分布は、おそらく凝集化のために1〜10μmに広がる第二の項を有した。それ故、実際の平均径は、おそらく統計学上の項の値(0.139μm)により近い。電子顕微鏡検査による粒子の分析(図6を参照されたい)は、直径0.050〜0.250μmの皺付きで、ボウル形状粒子を示した。この粒子は1.29%の硫黄を含有することが判った。このことは24.16%のポリエステル含有率に相当する。
【0070】
例7:粒子7の合成
【0071】
【表9】
【0072】
この例は、有機溶解性ポリエステルおよび第四級アンモニウムイオン性基を含んだ皺付きポリエステル含有粒子の調製を具体的に示す。
【0073】
トルエン(6)中で試薬1〜5を溶解することによって有機相を調製した。水(7)に界面活性剤8を溶解することによって水性相を調製した。混合する相を、Silverson L4R ミキサーを高速設定で、〜3分間使用して混合し、その後、Model No. 110T Microfluidizer(Microfluidics Manufacturing)を2回通してマイクロ流動化した。その結果得られた分散系を、機械的攪拌器と還流凝縮器と窒素取入口とを備えた2Lの三口丸底フラスコ内に注ぎ入れ、気泡を窒素で10分間脱気させた。次いで反応物をサーモスタット付水浴内で16時間、70℃で加熱し、ジメチルエタノールアミン(8)を添加し、反応物を24時間、70℃でさらに加熱した。10%K2CO3でpHを〜9に調節し、回転蒸発器を使用してトルエンを水共沸混合物としてストリッピングし、そしてこの分散系を、12〜14Kカットオフ透析管系を用いて一晩透析させた。生成物分散系は20.3質量%固形分を有することが判った。平均粒度は1.52μmであることが見極められた。しかし、分布は、〜0.3μmおよび〜2μmのところに項を有する二項性であった。電子顕微鏡検査による粒子分析は、直径が0.1〜0.5μmの範囲の、皺付き、ボウル形状粒子を示した(図7を参照されたい)。従って第二の項(広い)は凝集化のためであると思われる
【0074】
例8:皺付きポリエステル含有粒子を含んでなるインク受容要素の調製および評価
79.0質量%の粒子5の水性分散系と、1.8質量%のポリ(ビニルアルコール)PVA(Nippon Gohsei Co.から入手したGohsenol(商標)GH−17)と、19.2質量%の水とから、塗被用組成物を製造した[従って、PVAに対する皺付ポリエステル粒子の相対比率(質量)は85/15である]。予めコロナ放電処理が施されているポリエチレン樹脂コート写真用紙から成るベース支持体上に、較正された塗被用ナイフを使用して溶液を塗被した。そしてこの溶液を乾燥させてほとんど全ての溶媒成分を除去することにより、インク受容層を形成した。乾燥したインク受容層の厚さは約10±2μmと測定された。
【0075】
Lexmark Z51インクジェットプリンタと、銅フタロシアニン色素を有する標準的な配合物(Clariant Direct Turquoise Blue FRL−SF)を用いて製造されたシアン・インクジェット用インクと、米国特許第6,001,161号明細書から得られる色素6を有する標準的な配合物を用いて製造されたマゼンタインクとを使用して、上記インク受容要素に印刷を施した。D−max(最高濃度設定)の赤チャネル濃度(シアン)パッチと、緑チャネル濃度(マゼンタ)パッチとを、X−Rite(商標)820デンシトメータを使用して読み取った。次いで印刷済み要素を、5ppmのオゾンを含有する窒素流に4日間暴露した。X−Rite(商標)820デンシトメータを使用して、暴露試験後にそれぞれのパッチの濃度を読み取った。暴露試験前の濃度に対する暴露試験後の濃度の比として、色素保持率(%)を算出した。このインク受容要素はシアン保持率88%およびマゼンタ保持率99%を示した。
【0076】
対照要素C − 1の調製
この試験のための対照要素は、大量のシリカ微粒子を含有する、Epsonから商業的に入手可能なインクジェット用多孔質受容紙「Epson Premium Glossy PhotoPaper」カタログ番号SO41286であった。この対照要素に上述のように印刷してオゾンに暴露させた。
両方の色素において、対照要素はほとんど完全な退色を示したが、本発明の試験要素は優れた保持率を示した。
【0077】
【表10】
【0078】
本発明のその他の特徴
本発明の、少なくとも1つの皺を有する表面を有する、ポリエステルを含む粒子を含んでなるポリマー粒子は、また以下のような特徴も有する。1つの特徴は、前記皺付粒子の平均直径は10μm未満である。別の特徴において、前記粒子の平均直径は0.1〜5μmの範囲にある。他の特徴において、ポリエステル含有粒子は不飽和前駆ポリエステルから形成される。別の特徴では、この前駆ポリエステルは、1,000〜30000g/モルの分子量を有する。別の特徴では、前駆ポリエステルは、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、フェニレンジアクリル酸、シトラコン酸およびメサコン酸から成る群の少なくとも1つを含む。別の特徴では、前駆ポリエステルはさらにスルホン化モノマーを含む。別の特徴では、ポリエステル含有粒子は、少なくとも1種の有機溶解性モノマーからさらに形成される。別の特徴では、前記有機溶解性モノマーは1官能価モノマーおよび多官能価モノマーを含む。
【0079】
本発明の別の特徴では、前記1官能価モノマーは全有機溶解性モノマーの少なくとも50質量%を構成するか、または前記1官能価モノマーはスチレニクス、アクリレートエステル、およびメタクリル酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。本発明の別の特徴では、前記多官能価モノマーは、ジビニルベンゼンイソマー、エチレングリコールジビニルエーテル、ジビニルアジペート、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、およびエチレングリコールジメタクリレートから成る群より選ばれる少なくとも1つを含む。別の特徴では、前記粒子はイオン単位1モル当たり1,000〜500,000グラムの粒子のイオン基当量を有する。別の特徴では、前記粒子はドライであり、または前記粒子は水性分散物中にあり、または前記粒子は界面活性剤で安定化されている。別の特徴では、前記粒子はコロイド状無機材料によって安定化されているか、または保護コロイドによって安定化されている。別の特徴では、前記粒子は本質的に球体形状であるか、またはボウル形状である。
【0080】
本発明はまた、有機相および水性相の混合物を調製すること、ここで、前記混合物は不飽和前駆ポリエステル、水不混和性有機溶媒、少なくとも1種の有機溶解性エチレン系不飽和モノマー、および開始剤を含む;前記混合物を高エネルギー乳化にかけること;乳化後に前記ポリエステルの架橋を開始させること;および前記水不混和性有機溶媒を除去して、皺付きポリエステル含有粒子を回収することを含んでなる皺付きポリエステル含有粒子の形成方法を含む。前記方法は追加の特徴を有する。前記方法の1つの特徴では、加熱が30〜100℃の温度範囲内である。前記方法の別の特徴では、加熱が0.5〜16時間にわたることである。前記方法の別の特徴では、混合物の調製前に、前駆ポリエステルが前記水性相にあるか、または混合物の調製前に、前駆ポリエステルが前記有機相にある。前記方法の別の特徴では、混合物はさらに乳化剤を含む。前記方法の別の特徴では、前記乳化剤は、疎水性物質で末端キャップされたアクリルアミドオリゴマー、スルホスクシネートエステルおよびこれらの塩、テトラアルキルアンモニウム塩、アルキルフェノールエトキシレート、PEO−PPOブロックコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリ(ビニルピロリドン)、長鎖アルキルスルホネートの塩、スルホン化アルキル化ジフェニルエーテル、ナフタレンスルホネート塩、アルキルベンゼンスルホネート塩、およびコロイドシリカから成る群から選択される。
【0081】
前記方法のさらに別の特徴では、前記混合物は前記水性相中に乳化剤をさらに含む。前記方法の別の特徴では、架橋開始はレドックス開始剤による。前記方法の別の特徴では、前記有機溶媒の除去は架橋後に前記混合物を水混和性有機溶媒に注ぎ、そして濾過または沈降により前記粒子を回収することによる。前記方法の別の特徴では、前記水不混和性有機溶媒除去後の粒子を凍結乾燥させる。前記方法の別の特徴では、前記混合物はさらに補助界面活性剤安定化剤を含むか、またはさらにコロイド状無機粒子を含む。前記方法の別の特徴では、前駆ポリエステルは、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、フェニレンジアクリル酸、シトラコン酸およびメサコン酸から成る群の少なくとも1つを含む。前記方法の別の特徴では、前駆ポリエステルはさらにスルホン化モノマーを含む。前記方法の別の特徴では、この前駆ポリエステルは、1,000〜30000g/モルの分子量(Mn)を有する。前記方法の別の特徴では、有機溶解性エチレン系不飽和モノマーは、スチレン、アルキルスチレン、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジビニルエーテル、ジビニルアジペート、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、およびメタクリレートエステルから成る群より選ばれる少なくとも1つを含む。前記方法の別の特徴では、前記開始剤は、アゾ化合物、有機過酸化物、有機ヒドロペルオキシド、過硫酸塩、およびレドックス開始剤から成る群より選ばれる。前記方法の別の特徴では、前記水不混和性有機溶媒は、ベンゼン、トルエン、キシレンイソマー、アセテートエステル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、クロロホルム、四塩化炭素、および1,2−ジクロロエタンから成る群より選ばれる少なくとも1種である。
【0082】
前記方法のさらに別の特徴では、前駆ポリエステルおよび前記少なくとも1種の有機溶解性エチレン系不飽和モノマーは、1:99〜10:1の質量比で存在する。前記方法の別の特徴では、前駆ポリエステルは、総二酸単位を基準として、最小20モル%の不飽和型二酸単位を含む。前記方法の別の特徴では、前駆ポリマーは、イオン単位1モル当たり600〜6000グラムのポリマーのイオン基等価分子量を有する。前記方法の別の特徴では、前記有機溶解性モノマーは少なくとも1種の1官能価モノマーおよび少なくとも1種の多官能価モノマーを含む。
【0083】
前記方法の別の特徴では、前記1官能価モノマーは全有機溶解性モノマーの少なくとも50質量%を構成する。前記方法の別の特徴では、前記1官能価モノマーはスチレニクス、およびメタクリル酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。前記方法の別の特徴では、前記多官能価モノマーは、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジビニルエーテル、ジビニルアジペート、およびシクロヘキサンジメタノールジビニルエーテルから成る群より選ばれる少なくとも1種を含む。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、粒子1の電子顕微鏡検査写真である。
【図2】図2は、粒子2の電子顕微鏡検査写真である。
【図3】図3は、粒子3の電子顕微鏡検査写真である。
【図4】図4は、粒子4の電子顕微鏡検査写真である。
【図5】図5は、粒子5の電子顕微鏡検査写真である。
【図6】図6は、粒子6の電子顕微鏡検査写真である。
【図7】図7は、粒子7の電子顕微鏡検査写真である。
Claims (3)
- 少なくとも1つの皺を有する表面を有する、ポリエステルを含む粒子を含んでなるポリマー粒子。
- 有機相および水性相の混合物を調製すること、ここで、前記混合物は不飽和前駆ポリエステル、水不混和性有機溶媒、少なくとも1種の有機溶解性エチレン系不飽和モノマー、および開始剤を含む;
前記混合物を高エネルギー乳化にかけること;
乳化後に前記ポリエステルの架橋を開始させること;および
前記水不混和性有機溶媒を除去して、皺付きポリエステル含有粒子を回収すること
を含んでなる皺付きポリエステル含有粒子の形成方法。 - 有機相および水性相の混合物を調製すること、ここで、前記混合物は不飽和前駆ポリエステル、水不混和性有機溶媒、少なくとも1種の有機溶解性エチレン系不飽和モノマー、および開始剤を含む;
前記混合物を高エネルギー乳化にかけること;
乳化後に前記ポリエステルの架橋を開始させること;および
前記水不混和性有機溶媒を除去して、皺付きポリエステル含有粒子を回収すること
を含んでなるボウル形状皺付きポリエステル含有粒子の形成方法。
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