JP2934365B2 - 軽量ポリエステルビードの製造方法 - Google Patents

軽量ポリエステルビードの製造方法

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  • Polymerisation Methods In General (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、多孔性の軽量ポリエス
テルビードの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、軽量化を図るために、プラス
ラック、ゴム、塗料、油粘土、及び紙粘土などに添加さ
れる軽量化材が知られている。この軽量化材は、内部に
空隙を有する粉体であり、例えば、シリカバルーン、ガ
ラスバルーン、シラスバルーン、及びガロライトなどの
シリカ系のバルーンが知られている。これらのシリカ系
バルーンは、シリカを主成分とする無機物から形成され
ている。
【0003】しかしながら、シリカ系バルーンはプラス
チック及びゴムなどに配合混練する際にバルーン構造が
破壊されてしまい、軽量化材としての機能を達成できな
いという問題があった。
【0004】また、熱可塑性樹脂から形成される軽量化
材が知られており、このようなものとしては酢酸ビニ
ル、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、
メタクリル酸エステル、スチレン、塩化ビニリデンなど
の熱可塑性樹脂から形成された中空あるいは多孔性熱可
塑性樹脂ビードが知られている。
【0005】しかしながら、このような多孔性熱可塑性
樹脂ビードの場合にもプラスチック及びゴムなどに配合
した際、熱によってビードが変形又は溶融してしまい、
やはり軽量化材としての機能を達成できない場合があっ
た。
【0006】特公平3−54127号公報には、不飽和
ポリエステル樹脂を用いた多孔性ポリエステル樹脂ビー
ドの製造方法が開示されている。この公報では、不飽和
ポリエステルと重合性単量体とからなる溶液を、金属酸
化物または金属水酸化物などの塩基の存在下に水中で乳
化させ、このエマルジョンを懸濁安定剤を含む水溶液中
に添加して再分散し、これを架橋硬化させて、多孔性ポ
リエステル樹脂粒子を製造している。このような多孔性
ポリエステル樹脂粒子は、架橋硬化させた樹脂から形成
されるため、熱可塑性樹脂ビードのように加熱混練の際
に変形または溶融することがなく、また多孔性であるた
め、バルーンのように破壊されやすいこともなく、軽量
化材として充分に機能を達成できるものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記公報においては不
飽和ポリエステルと重合性単量体を水中に分散させる際
の塩基として酸化マグネシウムがもっとも好ましい旨記
載されているが、塩基として酸化マグネシウムを用いた
場合、所望の空隙率を有する軽量ポリエステルビードを
短時間で効率良く製造することができないという問題が
あった。従って、このような軽量ポリエステルビードを
商業ベースにのせて工業的に生産することができないと
いう問題があった。
【0008】本発明の目的は、より軽量の、すなわち見
かけ比重が小さく空隙率の高い多孔性ポリエステルビー
ドを短時間で効率良く製造することのできる方法を提供
することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記従来
の問題点を解決するため鋭意検討を重ねた結果、不飽和
ポリエステルと重合性単量体を水中に分散させる際に用
いる塩基として、4°Be’濃度で20〜90ml/1
00ml,1hrの沈降容積の水酸化カルシウムスラリ
ー及び/または水酸化マグネウシムスラリーを用いるこ
とにより、見かけ比重が小さく空隙率の高い多孔性ポリ
エステルビーードを短時間で効率良く製造し得ることを
見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】すなわち、本発明の製造方法は、不飽和ポ
リエステルを重合性単量体からなる油相100重量部
に、アルカリ土類金属の水酸化物の水懸濁液100〜8
00重量部を添加して分散させ、該分散液を懸濁安定剤
を含む水溶液中に添加し、再分散して架橋硬化させた
後、これを乾燥させることによって軽量ポリエステルビ
ードを製造する方法であり、アルカリ土類金属の水酸化
物として、4°Be’濃度で20〜90ml/100m
l,hrの水酸化カルシウムスラリー及び/または水酸
化マグネシウムスラリーを用い、該水酸化カルシウムス
ラリー及び/または水酸化マグネシウムスラリーを用い
て水懸濁液を調製することを特徴としている。
【0011】本発明の製造方法は、不飽和ポリエステル
と重合性単量体からなる油相を水中に分散させる際の塩
基として、4°Be’濃度における沈降容積が20〜9
0ml/100ml,1hr(以下、沈降容積の単位を
「ml」と略記する。)の水酸化カルシウム及び/また
は水酸化マグネシウムスラリーを用いることを特徴とし
ている。
【0012】本発明に用いる水酸化カルシウムスラリー
としては、例えば、石灰石を焼成して得られる生石灰を
水中に添加することによって得られる水酸化カルシウム
スラリーを用いることができる。また、本発明に用いる
水酸化マグネシウムスラリーとしては、マグネサイト鉱
を焼成して得られるマグネシアを水中に添加することに
よって得られる水酸化マグネシウムスラリー、または海
水あるいは苦汁(塩化マグネシウム)を水酸化カルシウ
ムと反応させて得られる水酸化マグネシウムスラリーな
どを用いることができる。しかしながら、本発明に用い
る水酸化カルシウムスラリー及び水酸化マグネシウムス
ラリーは、このようなものに限定されるものではなく、
例えば、沈降容積の小さなスラリーを湿式摩砕すること
により本発明の沈降容積の範囲内としたようなものも用
いることができる。
【0013】4°Be’濃度における沈降容積の測定
は、ボーメ度計(比重計の一種)で4°Be’にスラリ
ー濃度を調整し、そのスラリー100mlをメスシリン
ダー中で静置し、1hr後の沈降容積を測定することに
よって行うことができる。
【0014】本発明では、沈降容積が20〜90mlの
スラリーを用いている。沈降容積が20ml未満である
と、安定な油中水型エマルジョンができず、見かけ比重
が小さく空隙率の大きなポリエステルビードを短時間で
効率良く製造することができず、沈降容積が90mlを
超えると、そのようなスラリーの入手が困難となり、ま
たこのようなスラリーを用いた場合水懸濁液の粘度が高
くなるので取り扱いにくくなる。また、本発明におい
て、スラリーの4°Be’濃度の沈降容積は、より好ま
しくは40〜60mlである。
【0015】本発明では、不飽和ポリエステルと重合性
単量体からなる油相100重量部に対して、上記のスラ
リーを用いて調製した水懸濁液を100〜800重量部
添加し、分散させている。本発明では、このようにして
分散させた分散液を懸濁安定剤を含む水溶液中に添加し
再分散させて架橋硬化させ、これを乾燥させることによ
って多孔質の軽量ポリエステルビードとしている。乾燥
の際、ポリエステルビード中の水が蒸発し、水が存在し
ていた部分が空隙となる。従って、分散粒子中における
水の量が多ければ多いほど、空隙率の高いポリエステル
ビードとすることができる。従って、油相100重量部
に対する水の懸濁液の添加量が100重量部未満の場合
には、見かけ比重が小さく、空隙率の高い多孔性ポリエ
ステルビードを得ることができなくなる。また油相10
0重量部に対し800重量部を超える水懸濁液を添加す
ると、安定な油中水型エマルジョンを形成することが困
難となる。
【0016】本発明に従えば、不飽和ポリエステルと重
合性単量体とを混合して、まず油相が調製される。不飽
和ポリエステルとしては、特に限定されるものではな
く、例えば、α,β−不飽和酸もしくはそれと飽和酸と
の混合物と、2価アルコールもしくは3価アルコールと
を重合させたものなどを挙げることができる。
【0017】不飽和酸としては、例えば、フマル酸、マ
レイン酸、イタコン酸などが、飽和酸としては、例え
ば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク
酸、グルタル酸、テトラヒドロフタル酸、アジピン酸、
及びセバチン酸などが挙げられる。
【0018】また、2価アルコール及び3価アルコール
としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレング
リコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコ
ール、1,3−プロパンジオール、1,6ヘキサンジオ
ール、トリメチロールプロパンなどが挙げられる。
【0019】不飽和ポリエステルの酸価は特に限定され
ないが、油中水型エマルジョンの安定性を考慮すると、
5〜30mgKOH/g程度の酸価を有する不飽和ポリ
エステルを使用するのが好ましい。
【0020】重合性単量体としては、特に限定されず、
例えば、スチレン、クロルスチレン、ビニルトルエン、
ジビニルベンゼン、アクリル酸、メチルアクリレート、
アクリロニトリル、エチルアクリレート、及びジアリル
フタレートなどが挙げられる。
【0021】不飽和エステルと重合性単量体との配合割
合は、特に限定されるものではないが、不飽和ポリエス
テル20〜80重量%、重合性単量体80〜20重量%
が好ましい。不飽和ポリエステルが20重量%未満であ
ると、架橋硬化した多孔質ビードの耐熱性が低下する場
合がある。80重量%を超えると、油相の粘度が高くな
り、攪拌がしにくくなる場合がある。
【0022】以上のようにして形成された油相に対し、
上記スラリーから調製された水懸濁液が添加され分散さ
れて油中水型エマルジョンが形成される。また添加され
るスラリー中の水酸化カルシウムあるいは水酸化マグネ
シウムの量は、油相100重量部に対し、水酸化シルシ
ウムあるいは水酸化マグネシウムとして通常0.05〜
5重量部程度、好ましくは0.1〜2重量部程度であ
る。添加される水酸化カルシウムあるいは水酸化マグネ
シウムの量が0.05重量部未満であると、安定な油中
水型エマルジョンが形成されにくい場合がある。5重量
部を超えると、油中水型エマルジョンの粘度が高くな
り、スラリーの添加量が制限される場合がある。
【0023】油相に水酸化カルシウムあるいは水酸化マ
グネシウムの水懸濁液を加えて油中水型エマルジョンを
形成するには、攪拌などの一般的な方法を採用すること
ができる。例えば、油相中に水懸濁液を徐々に添加し、
ディスパーミル、コロイドミルなどで激しく攪拌すれば
よい。攪拌速度は特に限定されないが、通常攪拌羽根の
周速度が10〜60m/秒程度、好ましくは15〜30
m/秒程度であればよい。
【0024】以上のようにして形成された油中水型アマ
ルジョンは、懸濁安定剤を含む水溶液中に添加され再分
散される。油中水型エマルジョンを再分散させる懸濁安
定剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、部分ケ
ン化ポリビニルアルコール、ヒドロキシメチルセルロー
ス、ヒドロキシエチルセルロースなどが挙げられる。
【0025】懸濁安定剤は単独又は2種以上の混合物で
使用できる。水溶液中の懸濁安定剤の濃度は、目的とす
る多孔性ポリエステル樹脂粒子の粒子径などに応じて適
宜選択すればよいが、通常0.05〜3重量%程度が好
ましい。
【0026】油中水型エマルジョンを懸濁安定剤の水溶
液中に再分散するときの攪拌速度は、得ようとする多孔
性架橋ポリエステルビードの粒子径などに応じて適宜選
択することができる。一般的には、攪拌速度が速いと小
さい粒子径のものが得られ、攪拌速度が遅いと大きいも
のが得られる。
【0027】次に、再分散された油中水型エマルジョン
を架橋硬化する。架橋硬化の方法は、通常の方法で行う
ことができ、例えば、再分散体を攪拌しながら重合開始
剤を加えて架橋硬化することができる。重合開始剤とし
ては、不飽和ポリエステル樹脂の重合開始剤として用い
られるものを使用することができる。具体的には、例え
ば、過酸化ベンゾイル、メチルエチルケトンパーオキサ
イド、クメンパーオキサイド、t−ブチルパーオキサイ
ドなどの有機過酸化物、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナ
トリウム、過硫酸カリウムなどの無機過酸化物、メチル
エチルケトンパーオキサイド−コバルト有機酸塩、クメ
ンハイドロパーオキサイド−コバルト有機酸塩などのレ
ドックス系重合開始剤などを用いることができる。
【0028】重合開始剤は、不飽和ポリエステル及び重
合性単量体の油相中に加えておいてもよい。また2成分
からなるレドックス系重合開始剤は、一方の成分を油相
に加え、もう一方の成分を再分散体に加えておいてもよ
い。
【0029】重合開始剤の使用量は特に制限されない
が、通常油相100重量部に対して、0.5〜5重量部
程度とすればよい。重合温度は特に制限されないが、通
常10〜40℃程度でよい。また攪拌速度も特に制限さ
れないが、通常攪拌羽根の周速度を1〜10m/秒程度
とすればよい。
【0030】架橋硬化後の乾燥は、一般には加熱乾燥に
よって行うことができる。加熱温度としては特に制限さ
れないが、通常80〜120℃程度で行うことができ
る。本発明では、この乾燥によってポリエステルビード
中の水分が蒸発し、空隙が形成される。従って、乾燥に
際しては各ポリエステルビードを十分混合しながら乾燥
することが好ましく、乾燥機としては回転式乾燥機を用
いて乾燥することが好ましい。
【0031】
【発明の作用効果】本発明では、油中水型エマルジョン
を形成する際の塩基として、4°Be’濃度における沈
降容積が20〜90mlの水酸化カルシウム及び/また
は水酸化マグネシウムスラリーを用いている。工業用薬
品としての水酸化カルシウム及び水酸化マグネシウムの
4°Be’濃度における沈降容積は、通常15ml以下
であるので、本発明に用いる水酸化カルシウム及び/ま
たは水酸化マグネシウムスラリーの沈降容積は通常の工
業用薬品よりも高いものである。沈降容積は、通常粒子
サイズに相対的に反比例するものと考えられているの
で、本発明に用いる水酸化カルシウム及び水酸化マグネ
シウムスラリーは通常の工業用薬品よりも粒子サイズが
小さく、活性度の高いものである。本発明では、このよ
うな活性度の高い水酸化カルシウム及び水酸化マグネシ
ウムスラリーを用いることにより、短時間で効率良く多
孔性ポリエステルビードを製造することができる。
【0032】また、本発明ではこのような活性度の高い
スラリーを用いることにより、見かけ比重が小さく空隙
率の高い多孔性ポリエステルビードを製造している。
【0033】
【実施例】種々の沈降容積(以下、「沈降度」とい
う。)の水酸化カルシウム水懸濁液を以下のようにして
調製し、これを用いて軽量ポリエステルビードを作製し
た。なお、下記の〜では石灰石の焼成温度を変化さ
せた生石灰を用い、異なる沈降度のスラリーとした。
【0034】水酸化カルシウム水懸濁液 沈降度8ml 市販の工業用薬品の水酸化カルシウムを用い、これを水
に懸濁させて調製した。 沈降度22ml 生石灰を水化した石灰乳スラリーを用いた。 沈降度41ml 生石灰を水化した石灰乳スラリーを用いた。 沈降度55ml 生石灰を水化した石灰乳スラリーを用いた。 沈降度75ml 上記の沈降度41mlの石灰乳スラリーを、ダイノーミ
ル(シンマーエンタープライゼズ社製;KDL−pil
ot型)で湿式摩砕して調製した。 沈降度86ml 上記の沈降度55mlの石灰乳スラリーを、ダイノーミ
ル(シンマーユンタープライゼズ社製;KDL−pil
ot型)で湿式摩砕して調製した。
【0035】以上の種々の沈降度の水酸化カルシウム水
懸濁液を用い、以下のようにしてポリエステルビードを
製造した。ポリエステルビードの製造 不飽和ポリエステル樹脂(商品名:エポラックN−14
B,酸価12,スチレン含有量40%,日本触媒社製)
50重量部、スチレン50重量部、及びナフテル酸コバ
ルト(コバルト含有量6重量%)0.5重量部をディス
パー攪拌機で、23.3m/秒の周速で攪拌しながら、
上記の水酸化カルシウム水懸濁液を徐々に加えて油中水
型エマルジョンを得た。水酸化カルシウム水懸濁液は、
水酸化カルシウムが固形分として0.5重量部添加され
るように調製した。また、水懸濁液中の水は、200重
量部、400重量部、及び600重量部となるように3
種の濃度の水酸化カルシウム水懸濁液を調製して用い
た。
【0036】次に、このエマルジョンをPVA(重合度
2000,けん化度80%)4.0重量%水溶液300
重量部に加え、ベロペラ攪拌機で8m/秒の周速で10
分間攪拌した。
【0037】さらに硬化触媒メチルエチルケトンパーオ
キサイド(MEKPO)1.5重量部を添加し、30℃
で緩やかに攪拌を続け、不飽和ポリエステル粒子のスラ
リーを得た。
【0038】このポリエステル粒子をろ過し、得られた
ポリエステル粒子のケーキを105℃で1昼夜乾燥し、
多孔性の軽量ポリエステルビードを得た。得られた軽量
ポリエステルビードについて、見かけ比重(以下、単に
「比重」という。)を以下のようにして測定した。
【0039】ポリエステルビードの比重の測定方法 得られたポリエステルビードをエポキシ樹脂中に混合
し、硬化させた後、硬化後のエポキシ樹脂をJIS−K
7112に準拠して水中置換法により測定した。得られ
たエポキシ樹脂硬化体の比重から、樹脂中に混合したポ
リエステルビードの比重を算出した。
【0040】測定されたポリエステルビードの比重と、
水酸化カルシウムスラリーの沈降度との関係を図1に示
す。図1から明らかなように、沈降度10ml以下の通
常の工業薬品の水酸化カルシウムを用いた場合には、
0.6以上の比重であるのに対し、沈降度20ml以上
の水酸化カルシウム水懸濁液を用いた場合には、0.6
以下の比重となっている。特に沈降度が40ml以上の
場合には、非常に小さな比重のポリエステルビードが得
られている。
【0041】また、図1から明らかなように、水の添加
量の多いものほど比重の小さいビードが得られており、
空隙率の量は添加する水の量に比例することが明らかで
ある。
【0042】図2は、水の添加量とこの水の添加量から
計算したポリエステルビードの比重の理論上の計算値と
の関係を示す図である。比重は、以下の計算式から求め
ることができる。
【0043】
【数1】
【0044】ここで、1.16は油相の比重であり、A
は油相100重量部に対して添加した水の重量部であ
る。図2から明らかなように、水の添加量が200重量
部の場合は、比重の計算値が0.35であり、水の添加
量が400重量部の場合は比重の計算値が0.21であ
り、水の添加量が600重量部の場合は比重の計算値が
0.15である。これらの計算値の値は、図1に示す本
発明に従い実際に得られたポリエステルビードの比重と
非常によく一致しており、本発明に従えば水の添加量に
応じた理論値に近い比重のポリエステルビードを得るこ
とができる。従って、本発明に従えば、多孔質軽量ポリ
エステルビードとして理想的な状態で空隙を形成するこ
とができ、空隙率の高い多孔性軽量ポリエステルビード
を製造することができる。
【0045】次に、水酸化マグネシウムスラリーを用い
て、ポリエステルビードを製造した。この水酸化マグネ
シウム水懸濁液は以下のようにして調製した。水酸化マグネシウム水懸濁液 沈降度12ml 市販の工業用薬品の水酸化カルシウムを用い、これを水
に懸濁させて調製した。 沈降度25ml 酸化マグネシウムを水化した水酸化マグネシウムスラリ
ーを用いた。 沈降度48ml 苦汁を水酸化カルシウムと反応させて調製した水酸化マ
グネシウムスラリーを用いた。 沈降度52ml 上記の沈降度25mlの水酸化マグネシウムスラリー
を、ダイノーミル(シンマーエンタープライゼズ社製;
KDL−pilot型)で湿式摩砕して調製した。 沈降度89ml 上記の沈降度48mlの水酸化マグネシウムスラリー
を、ダイノーミル(シンマーエンタープライゼズ社製;
KDL−pilot型)で湿式摩砕して調製した。
【0046】以上の種々の沈降度の水酸化マグネシウム
水懸濁液を用い、上記実施例と同様にしてポリエステル
ビードを製造した。得られたポリエステルビードについ
て、上記実施例と同様にして比重を測定した。ポリエス
テルビードの比重と、水酸化マグネシウムスラリーの沈
降度との関係を図3に示す。
【0047】図3から明らかなように、水酸化カルシウ
ムスラリーを用いた場合と同様に、水酸化マグネシウム
スラリーを用いた場合にも、本発明に従えば、水の添加
量に応じた理論値に近い比重のポリエステルビードを得
ることができ、多孔質軽量ポリエステルビードとして理
想的な状態で空隙を形成することができることがわか
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】水酸化カルシウムスラリーの沈降度と、その水
酸化カルシウムスラリーを用いて製造されるポリエステ
ルビードの比重との関係を示す図。
【図2】水の添加量とポリエステルビードの比重の計算
値との関係を示す図。
【図3】水酸化マグネシウムスラリーの沈降度と、その
水酸化マグネシウムスラリーを用いて製造されるポリエ
ステルビードの比重との関係を示す図。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08J 9/16 CFE C08J 9/16 CFE 9/28 CFE 9/28 CFE // C08L 67:00 (56)参考文献 特開 平3−81313(JP,A) 特開 昭50−29691(JP,A) 特開 平4−226518(JP,A) 特開 昭48−90381(JP,A) 特開 昭56−72011(JP,A) 特公 平8−864(JP,B2) 特公 平3−54127(JP,B2) 特公 昭44−31831(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08F 283/00 - 283/01 C08F 290/00 - 290/14 C08F 299/00 - 299/08 C08F 2/00 - 2/60 C08J 3/00 - 3/28 C08J 9/00 - 9/42 C08L 1/00 - 101/14

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不飽和ポリエステルと重合性単量体から
    なる油相100重量部に、アルカリ土類金属の水酸化物
    の水懸濁液100〜800重量部を添加して分散させ、
    該分散液を懸濁安定剤を含む水溶液中に添加し、再分散
    して架橋硬化させた後、これを乾燥させることによって
    軽量ポリエステルビードを製造する方法において、 前記アルカリ土類金属の水酸化物として、4°Be’濃
    度における水中沈降容積が20〜90ml/100m
    l,1hrである水酸化カルシウムスラリー及び/また
    は水酸化マグネシウムスラリーを用い、該水酸化カルシ
    ウムスラリー及び/または水酸化マグネシウムスラリー
    を用いて前記水懸濁液を調製することを特徴とする、軽
    量ポリエステルビードの製造方法。
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