JP2009120442A - 酸化物磁性材料及びその製造方法並びに焼結磁石 - Google Patents

酸化物磁性材料及びその製造方法並びに焼結磁石 Download PDF

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Abstract

【課題】 従来のCaLaCoフェライトに比較して高Bと高HcJの両方を満足する、新規で高性能な酸化物磁性材料及びその製造方法並びに焼結磁石の提供。
【解決手段】 本発明の酸化物磁性材料は、組成式(1−x)CaO・(x/2)R・(n−y/2)Fe・yMOで表わされ、Rは、La、Nd、Prから選択される少なくとも一種の元素であってLaを必ず含み、Mは、Co、Zn、Ni、Mnから選択される少なくとも一種の元素であってCoを必ず含み、モル比を表わすx、y、nがそれぞれ、0.45≦x≦0.7、0.35<y≦0.55、4.9≦n≦5.8であり、かつ1.2≦x/y≦1.65の関係式を満足する組成を有する、六方晶のM型マグネトプランバイト構造を有するフェライトを主相とする。
【選択図】図5

Description

本発明は、M型マグネトプランバイト構造を有するフェライトを主相として含有する酸化物磁性材料及びその製造方法並びに焼結磁石に関する。
フェライトは二価の金属の酸化物と三価の酸化鉄とが作る化合物の総称であり、フェライト磁石は各種回転機や発電機、スピーカーなどの種々の用途に使用されている。フェライト磁石の材料としては、六方晶のマグネトプランバイト構造を持つSrフェライト(SrFe1219)やBaフェライト(BaFe1219)が広く用いられている。これらのフェライトは、酸化鉄とストロンチウム(Sr)またはバリウム(Ba)等の炭酸塩を原料とし、粉末冶金法によって比較的安価に製造される。
近年、上記のSrフェライトにおけるSrの一部をLaなどの希土類元素で置換し、Feの一部をCoで置換することにより、保磁力HcJや残留磁束密度Bを向上させることが提案されている(特許文献1、特許文献2)。
特許文献1及び特許文献2による、Srの一部をLaなどの希土類元素で置換し、Feの一部をCoなどで置換したSrフェライト(以下「SrLaCoフェライト」という)は、磁石特性に優れることから、従来のSrフェライトやBaフェライトに代わり、各種用途に多用されつつある。
一方、上記Srフェライトの場合と同様に、Caフェライトにおいても、Caの一部をLaなどの希土類元素で置換し、Feの一部をCoなどで置換することが提案されている(特許文献3)。
Caフェライトは、CaO−FeまたはCaO−2Feという構造が安定であり、Laを添加することによって六方晶フェライトを形成することが知られている。しかし、得られる磁石特性は、従来のBaフェライトの磁石特性と同程度であり、充分に高くはなかった。そこで、特許文献3は、残留磁束密度B、保磁力HcJの向上、及び保磁力HcJの温度特性の改善を図るためにLaとCoとを同時に含有させたCaフェライト(以下「CaLaCoフェライト」という)を開示している。
特許文献3が開示しているCaLaCoフェライトでは、Caの一部をLaなどの希土類元素で置換し、Feの一部をCoなどで置換しており、その異方性磁界Hについては、Srフェライトの異方性磁界Hに比べて最高で10%以上高い20kOe以上の値が得られると報告されている。
しかし、特許文献3によるCaLaCoフェライトは、異方性磁界HではSrLaCoフェライトを上回る特性を有し、B、HcJもSrLaCoフェライトに匹敵する特性を有するが、角型比が非常に悪く、高い保磁力と高い角型比の両方を満足することができず、モータなどの各種用途に応用されるまでには至っていない。
出願人は、CaLaCoフェライトが、SrLaCoフェライトを上回る異方性磁界Hを有することに着目した。そして、CaLaCoフェライトの高性能化について鋭意研究した結果、CaLaCoフェライトにおいて、R(Laなど)のモル比xの量、M(Coなど)のモル比yの量、およびnの値に最適な領域があることを見出すとともに、xおよびyが特定の比率となるようにRおよびMを含有させることにより、高B、高HcJを有し、かつ高い角型比を有する酸化物磁性材料が得られることを見出し、先に提案した(特許文献4)。
特開平10−149910号公報 特開平11−154604号公報 特開2000−223307号公報 特開2006−104050号公報
特許文献4によるCaLaCoフェライトは高い磁石特性を有するが、ユーザーからの高性能化の要求は益々厳しくなっており、更なる磁石特性の向上が求められている。
本発明は、従来のCaLaCoフェライトに比較して高Bと高HcJの両方を満足する、新規で高性能な酸化物磁性材料及びその製造方法並びに焼結磁石の提供を目的とする。
上記目的は、下記のいずれかの構成により達成される。
(1) 組成式(1−x)CaO・(x/2)R・(n−y/2)Fe・yMOで表わされ、Rは、La、Nd、Prから選択される少なくとも一種の元素であってLaを必ず含み、Mは、Co、Zn、Ni、Mnから選択される少なくとも一種の元素であってCoを必ず含み、モル比を表わすx、y、nがそれぞれ、
0.45≦x≦0.7、
0.35<y≦0.55、
4.9≦n≦5.8
であり、かつ1.2≦x/y≦1.65の関係式を満足する組成を有し、六方晶のM型マグネトプランバイト構造を有するフェライトを主相とする酸化物磁性材料。
(2) 上記(1)の酸化物磁性材料の製造方法であって、仮焼前及び/又は仮焼後にHBOを0.3質量%以下添加する酸化物磁性材料の製造方法。
(3) 上記(1)又は(2)の酸化物磁性材料を含有する焼結磁石。
(4) 23℃における残留磁束密度B(単位:mT)と固有保磁力HcJ(単位:kA/m)とが、B≧450、B+HcJ/4≧559の関係を満足する上記(3)に記載の焼結磁石。
この発明によれば、従来のCaLaCoフェライトに比較して高Bと高HcJの両方を満足する酸化物磁性材料を提供することができる。
本発明による酸化物磁性材料を含有する焼結磁石は、残留磁束密度B(単位:mT)と固有保磁力HcJ(単位:kA/m)とが、B≧450、B+HcJ/4≧559の関係を満足する極めて優れた磁石特性を有するため、各種回転機や発電機、スピーカーなどの種々の用途に最適である。
本発明による酸化物磁性材料は、以下の式で表わされる。
組成式(1−x)CaO・(x/2)R・(n−y/2)Fe・yMO
本発明者は、上記特許文献4によるCaLaCoフェライトのさらなる高性能化について鋭意研究した。その結果、組成式(1−x)CaO・(x/2)R・(n−y/2)Fe・yMOで表されるCaLaCoフェライトにおいて、さらに残留磁束密度Bと固有保磁力HcJを向上させることができる最適な組成範囲があることを見出した。
すなわち、酸化物磁性材料のxを0.45〜0.7とし、yを特許文献4の範囲よりも多い0.35を超え0.55以下とすることにより、当該酸化物磁性材料を含有する焼結磁石において高B、高HcJの両方を満足する磁石特性が得られ、本発明の好ましい態様では、特許文献4に記載されている最高特性を上回る、23℃における残留磁束密度B(単位:mT)と固有保磁力HcJ(単位:kA/m)とが、B≧450、B+HcJ/4≧559の関係を満足する極めて優れた磁石特性を有する焼結磁石が得られることを見出した。
本発明は、CaLaCoフェライトの改良に関するものであり、Caは必須元素である。基本的には、SrやBaの代わりとしてCaのみを用いるが、磁石特性が劣化しない程度でCaの一部をSrおよび/またはBaで置換してもよい。
Rは、La、Nd、Prから選択される少なくとも一種の元素であって、Laを必ず含むものとする。上記以外の希土類元素であっても、不可避的不純物として混入するものは許容することができる。
Mは、Co、Zn、Ni、Mnから選択される少なくとも一種の元素であって、Coを必ず含むものとする。上記以外の元素であっても、不可避的不純物として混入するものは許容することができる。
本発明においては、上記のようにCoの一部をZn、Ni、Mnで置換することができる。特に、Coの一部をNi及びMnで置換することにより、磁石特性を低下させずに製造コストを低減することができる。また、Coの一部をZnで置換すると、HcJは若干低下するが、Bを向上させることができる。Zn、Ni、Mnの置換量はモル比でCoの50%以下である。
xは、Rの含有量を示し、0.45≦x≦0.7が好ましい。xが0.45未満及び0.7を超えるとB及び角型比が低下するためである。
yは、Mの含有量を示し、0.35<y≦0.55が好ましい。先述の通り、本出願人が先に提案した特許文献4では、yの好ましい範囲は0.2〜0.35が最適あると考えていた。ところがyを0.35を超えて含有させ、後述のようにxとyの比率であるx/yを適正化すると、Bをほとんど低下させずに、固有保磁力HcJをより一層向上できることを見出した。yが0.35以下では高いB及びHcJを得ることができず、0.55を超えるとHcJが低下するため好ましくない。
CaO、RとFe、MOの比を規定するn値は、4.9≦n≦5.8が好ましい。また、xとyの比率であるx/yは、後述する実施例に示す如く1.2≦x/y≦1.65が好ましい。このx/yの範囲は、上記yの範囲と同様に、本出願人が先に提案した特許文献4と好ましい範囲が相違している。このn値及びx/yを上記の範囲とし、x及びyを上記の好ましい範囲とした時に、23℃における残留磁束密度B(単位:mT)と固有保磁力HcJ(単位:kA/m)とが、B≧450、B+HcJ/4≧559の関係を満足する極めて優れた磁石特性を有する焼結磁石が得られる。
なお、本発明において、磁石特性の目標値を、23℃における残留磁束密度B(単位:mT)と固有保磁力HcJ(単位:kA/m)とが、B≧450、B+HcJ/4≧559の関係を満足するとしたのは、高Bと高HcJの両方を満足できる指標として、B450mTを下限とし、Bが450mTの時HcJが437.7kA/m(5.5kOe)以上、Bが460mTの時HcJが397.9kA/m(5.0kOe)以上の高いレベルを目標としたことによる。もちろん、上記の磁石特性は上述した特許文献4では達成されていない。
次に、本発明の酸化物磁性材料の製造方法を説明する。
まず、CaCO、Fe、La、Co等の原料粉末を準備する。準備した粉末を上述した組成式に基づき、x、y、nがそれぞれ好ましい範囲になるように配合する。なお、原料粉末は、価数にかかわらず酸化物や炭酸塩以外に、水酸化物、硝酸塩、塩化物などでもよく、溶液状態であってもよい。また、焼結磁石を製造する場合は、CaCO、Fe及びLa以外の原料粉末は、原料混合時から添加しておいてもよいし、後述する仮焼後に添加してもよい。例えば、CaCO、Fe、Laを配合、混合、仮焼した後、Co等を添加し、粉砕した後、成形、焼結することもできる。また、仮焼時の反応性促進のため、必要に応じて、B、HBOなどを含む化合物を1質量%程度添加しても良い。
特にHBOの添加は、HcJ及びBの向上に有効である。HBOの添加量は、0.3質量%以下であることが好ましい。添加量の最も好ましい値は0.2質量%近傍である。HBOの添加量を0.1質量%よりも少なくすると、Bの向上効果が得られず、0.3質量%よりも多くするとBが低下するため好ましくない。なお、HBOは焼結時の結晶粒の制御などの効果も有するため、仮焼後(微粉砕前や焼結前)に添加することも効果的であり、仮焼前、仮焼後の両方で添加することもできる。
原料粉末の配合は、湿式、乾式いずれでもよい。スチールボールなどの媒体とともに原料粉末を撹拌するとより均一に混合することができる。湿式の場合は、溶媒に水を用いる。原料粉末を分散させる目的でポリカルボン酸アンモニウムやグルコン酸カルシウムなどの公知の分散剤を用いてもよい。混合した原料スラリーは脱水して混合原料粉末となる。
混合原料粉末は、電気炉、ガス炉等を用いて加熱し、固相反応によってマグネトプランバイト型フェライト化合物を形成する。このプロセスを「仮焼」と呼び、得られた化合物を「仮焼体」と呼ぶ。
仮焼工程は、酸素濃度が5%以上の雰囲気中で行うことが好ましい。酸素濃度が5%未満であると、固相反応が進行し難いためである。より好ましい酸素濃度は20%以上である。
仮焼工程では、温度の上昇と共に固相反応によりフェライト相が形成され、約1100℃で完了するが、この温度以下では、未反応のヘマタイト(酸化鉄)が残存しており磁石特性が低い。1100℃を超えると本発明の効果が発生する。一方、仮焼温度が1450℃を超えると結晶粒が成長し過ぎ、粉砕工程において粉砕に多大な時間を要することになる等の不都合を生じる恐れがある。従って、仮焼温度は、1100℃〜1450℃が好ましい。より好ましくは1200℃〜1350℃である。また、仮焼時間は、0.5〜5時間であることが好ましい。
仮焼前にHBOを添加した場合は、上記反応が促進されるため、1100℃〜1300℃で仮焼を行うことができる。
上記仮焼工程によって得られた仮焼体は、以下の化学式で表わされる六方晶のM型マグネトプランバイト型フェライトの主相を有しており、本発明の酸化物磁性材料となる。
組成式(1−x)CaO・(x/2)R・(n−y/2)Fe・yMO
0.45≦x≦0.7、0.35<y≦0.55、4.9≦n≦5.8。
このような仮焼体を粉砕及び/又は解砕することによって、磁性粉末を得ることができ、これをボンド磁石や磁気記録媒体に適用することができる。なお、上記の仮焼体の製造は、噴霧熱分解法や共沈法など公知の製造技術を採用することもできる。
磁性粉末をボンド磁石に適用する場合は、磁性粉末をフレキシビリティのあるゴムや硬質軽量のプラスチックなどを混合した後、成形加工を行う。成形加工は、射出成形、押し出し成形、ロール成形などの方法によって実行すればよい。また、磁性粉末をボンド磁石に適用する場合、磁性粉末の結晶歪を緩和するために、700℃〜1100℃の温度範囲で、0.1〜3時間程度熱処理することが好ましい。より好ましい温度範囲は900℃〜1000℃である。
また、磁性粉末を磁気記録媒体に適用する場合は、磁性粉末に上記熱処理を施した後、公知の各種バインターと混練して基板に塗布することによって、塗布型の磁気記録媒体を作成することができる。また、本発明の酸化物磁性材料及びそれを用いた焼結磁石をターゲットとして用い、スパッタ法などにより、磁気記録媒体に用いられる薄膜磁性層を形成することもできる。
次に、上記酸化物磁性材料を用いた焼結磁石の製造方法を説明する。
上記仮焼体を、振動ミル、ボールミル及び/又はアトライターによって微粉砕し、微粒子となす。微粒子の平均粒径は0.4〜0.8μm程度(空気透過法)にすることが好ましい。微粉砕工程は、乾式粉砕と湿式粉砕のいずれもよいが、双方を組み合わせて行うことが好ましい。
湿式粉砕に際しては、水などの水系溶媒や種々の非水系溶媒(例えば、アセトン、エタノール、キシレンなどの有機溶剤)を用いることができる。湿式粉砕により、溶媒と仮焼体とが混合されたスラリーが生成される。スラリーには公知の各種分散剤及び界面活性剤を固形分比率で0.2質量%〜2.0質量%を添加することが好ましい。湿式粉砕後は、スラリーを濃縮、混練することが好ましい。
上記微粉砕工程において、磁石特性向上のため、仮焼体に対して、CaCO、SiO、SrCO、Cr、Alなどの添加物を添加することもできる。これら添加物を添加する場合は、CaCOをCaO換算で1.8質量%以下、SiO1.0質量%以下、SrCO0.5質量%以下、Cr5.0質量%以下、Al5.0質量%以下が好ましい。
特にCaCO、SiO、SrCOの添加は好ましく、前記のHBO添加と併用することにより、高B、高HcJを得ることができる。なお、SiOは仮焼時の結晶粒の制御などの効果も有するため、仮焼前に添加することも効果的であり、仮焼前、微粉砕前の両方で添加することもできる。
次に、スラリー中の溶媒を除去しながら、磁界中または無磁界中でプレス成形する。磁界中でプレス成形することにより、粉末粒子の結晶方位を整列(配向)させることができる。磁界中プレス成形によって、磁石特性を飛躍的に向上させることができる。さらに、配向を向上させるために、分散剤、潤滑剤を0.01〜1.0質量%加えることもできる。
プレス成形により得られた成形体は、必要に応じて脱脂工程を施した後、焼結工程を行う。焼結工程は、電気炉、ガス炉等を用いて行う。
焼結工程は、酸素濃度が10%以上の雰囲気中で行うことが好ましい。酸素濃度が10%未満であると、異常粒成長や異相の生成を招き、磁石特性が劣化するので好ましくない。より好ましい酸素濃度は20%以上であり、最も好ましくは酸素濃度100%である。
焼結温度は、1150℃〜1250℃が好ましい。また、焼結時間は、0.5〜2時間が好ましい。焼結工程によって得られる焼結磁石の平均結晶粒径は、約0.5〜2μmである。
焼結工程の後は、加工工程、洗浄工程、検査工程などの公知の製造プロセスを経て、最終的にフェライト焼結磁石の製品が完成される。
実施例1
組成式(1−x)CaO・(x/2)La・(n−y/2)Fe・yCoOにおいて、0.46≦x≦0.7、y=0.4、1.15≦x/y≦1.75、n=5.2になるように、CaCO粉末、La(OH)粉末、Fe粉末、Co粉末を配合し、さらに、前記配合後の粉末100質量%に対して外枠量でHBO粉末を0.1質量%添加した。得られた原料粉末を湿式ボールミルで4時間混合し、乾燥して整粒した。次いで、大気中において1200℃で3時間仮焼し、得られた仮焼体をハンマーミルで粗粉砕して、粗粉砕粉を得た。
上記粗粉砕粉に対して、CaCO粉末をCaO換算で0.3質量%、SiO粉末を0.4質量%添加し、水を溶媒とした湿式ボールミルで、空気透過法による平均粒度が0.55μmになるまで微粉砕した。次いで、得られた微粉砕スラリー中の溶媒を除去しながら、磁場中で成形した。成形は約50MPaの圧力で加圧方向と磁場方向が平行になるように磁場強度約13Tで行った。得られた成形体を大気中、12000℃で1時間焼成し、焼結磁石を得た。得られた焼結磁石の残留磁束密度Bを測定した。測定結果を図1に示す。図1において、縦軸はB(mT)、横軸はxとy(LaとCo)の相対比x/yである。
図1から明らかなように、1.2≦x/y≦1.65の範囲で450mT以上の高いBが得られている。x/yが1.2未満あるいは1.65を超えるとBが低下する傾向を示す。これは、適正組成からのずれによる異相の生成が原因であると推測される。また、同様な傾向が0.35<y≦0.55でも見られることを確認している。従って、x/yの値としては1.2≦x/y≦1.65の範囲が望ましい。
実施例2
組成式(1−x)CaO・(x/2)La・(n−y/2)Fe・yCoOにおいて、x=0.51、y=0.36、4.8≦n≦5.6(実施例2−1)、x=0.66、y=0.50、5.0≦n≦6.0(実施例2−2)とする以外は実施例1と同様にして焼結磁石を作製した。得られた焼結磁石の残留磁束密度Bを測定した。実施例2−1の測定結果を図2に、実施例2−2の測定結果を図3に示す。図2及び図3において、縦軸はB(mT)、横軸はnの値である。
図2から明らかなように、y=0.36の場合は4.9≦n≦5.4で450mT以上の高いBが得られており、また、図3から明らかなように、y=0.50の場合は5.2≦n≦5.8で450mT以上の高いBが得られている。これらの結果から、0.35<y≦0.55におけるnの値は4.9≦n≦5.8が望ましい。
nが4.9未満あるいは5.8を超えると、Bが低下する傾向を示す。これは、適正組成からのずれによる異相の生成が原因であると推測される。
実施例3
組成式(1−x)CaO・(x/2)La・(n−y/2)Fe・yCoOにおいて、x=0.60、y=0.40、n=5.2とし、HBO粉末を0〜0.4質量%添加した以外は実施例1と同様にして焼結磁石を作製した。得られた焼結磁石の残留磁束密度Bを測定した。測定結果を図4に示す。
図4から明らかなように、HBO粉末の添加量が0.3質量%以下の範囲で450mT以上の高いBが得られている。HBO粉末の添加量が0.3質量%を超えるとBが低下する傾向を示す。これは、非磁性の異相の生成量が増加することが原因であると推測される。従って、HBO粉末の添加量は0.3質量%以下が望ましい。
実施例4
組成式(1−x)CaO・(x/2)La・(n−y/2)Fe・yCoOにおいて、y=0.36、0.40、0.50、0.60に対して、0.40≦x≦0.75、4.8≦n≦6.0、HBO粉末を0〜0.4質量%添加した以外は実施例1と同様にして焼結磁石を作製した。得られた焼結磁石の磁石特性から、各yの値に対して良好な磁石特性が得られた組成を表1に示す。また、表1の各組成における磁石特性を図5に示す。図5において縦軸はB(mT)、横軸はHcJ(kA/m)である。なお、サンプルの比較例4-1(y=0.30)は、特許文献4の実施例2(n=5.2)相当である。
表1及び図5から明らかなように、0.35<y<0.60の範囲内で組成を適正化することにより、B≧450であり、かつB+HcJ/4≧559を満足する極めて高い磁石特性が得られている。yが0.35以下あるいは0.55を超えると、組成の適正化を図っても、適正組成からのずれによる異相の生成により、本願実施例のような高い磁石特性は得られない。従って、yの値としては、0.35<y≦0.55の範囲が望ましい。
本発明による酸化物磁性材料を含有する焼結磁石は、残留磁束密度B(単位:mT)と固有保磁力HcJ(単位:kA/m)とが、B≧450、B+HcJ/4≧559の関係を満足する極めて優れた磁石特性を有するため、各種回転機や発電機、スピーカーなどの種々の用途に最適である。
焼結磁石の残留磁束密度BとLaの置換量xとCoの置換量yの比x/yとの関係を示すグラフである。 焼結磁石の残留磁束密度Bとモル比nとの関係を示すグラフである。 焼結磁石の残留磁束密度Bとモル比nとの関係を示すグラフである。 焼結磁石の残留磁束密度BとHBO粉末の添加量との関係を示すグラフである。 焼結磁石の残留磁束密度Bと固有保磁力HcJとの関係を示すグラフである。

Claims (4)

  1. 組成式(1−x)CaO・(x/2)R・(n−y/2)Fe・yMOで表わされ、Rは、La、Nd、Prから選択される少なくとも一種の元素であってLaを必ず含み、Mは、Co、Zn、Ni、Mnから選択される少なくとも一種の元素であってCoを必ず含み、モル比を表わすx、y、nがそれぞれ、
    0.45≦x≦0.7、
    0.35<y≦0.55、
    4.9≦n≦5.8
    であり、かつ1.2≦x/y≦1.65の関係式を満足する組成を有し、六方晶のM型マグネトプランバイト構造を有するフェライトを主相とする酸化物磁性材料。
  2. 請求項1に記載の酸化物磁性材料の製造方法であって、仮焼前及び/又は仮焼後にHBOを0.3質量%以下添加する酸化物磁性材料の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の酸化物磁性材料を含有する焼結磁石。
  4. 23℃における残留磁束密度B(単位:mT)と固有保磁力HcJ(単位:kA/m)とが、B≧450、B+HcJ/4≧559の関係を満足する請求項3に記載の焼結磁石。
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