JP4591684B2 - フェライト磁性材料及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、フェライト磁性材料に関し、特にLa及びCoを含有するM型フェライトの残留磁束密度(Br)の向上に関するものである。
永久磁石として用いられるフェライト磁性材料としては、一般に六方晶系のマグネトプランバイト型(M型)Srフェライト又はBaフェライトが主に用いられている。これらのM型フェライトは、比較的安価で高い磁気特性を有するという特徴から、焼結磁石やボンディッド磁石として利用され、例えば家電製品や自動車等に搭載されるモータなどに応用されている。
近年、電子部品の小型化、高性能化への要求が高まっており、それに伴ってフェライト焼結磁石への小型化、高性能化が強く要求されている。例えば、特開平11−154604号公報(特許文献1)、特開平11−195516号公報(特許文献2)、特開2000−195715号公報(特許文献3)には、従来のM型フェライト焼結磁石では達成不可能であった高い残留磁束密度と高い保持力とを有する、フェライト焼結磁石が提案されている。このフェライト焼結磁石は、少なくともSr、La及びCoを含有するためLa−Coフェライトと称される。
特開平11−154604号公報 特開平11−195516号公報 特開2000−195715号公報
以上のLa−Coフェライトは、高い磁気特性を有することが知られているが、残留磁束密度(Br)は4.5kG程度であった。W型フェライト焼結磁石が高い残留磁束密度(Br)を示すことは知られているが、W型フェライト焼結磁石は保磁力(HcJ)が2kOe以下と低い。または、高い保磁力(HcJ)を得るためには焼成時の雰囲気を制御する必要がある。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、La−Coフェライトの残留磁束密度(Br)を向上することを目的とする。
本発明者等は、特許文献1等に開示されるLa−Coフェライト焼結磁石におけるM(マグネトプランバイト)相の存在比率を確認した。元素R及び元素Meの量が多くM相の存在比率が高いほど高い磁気特性、特に残留磁束密度(Br)が得られると考えたためである。その結果、後述する実施例に示すように、特許文献1に開示されるLa−Coフェライト焼結磁石は、元素R及び元素Meの量が多いとM相の焼結体中における存在比率が80%以下に留まっていた。ところが、本発明は、元素R及び元素Meの量が多い組成であっても、その組成に適した製造方法を採用することにより、La−Coフェライト焼結磁石に占めるM相の比率をこれまでにない高い値にすることを可能とした組成について言及すれば、La及びCoの量を多くする。また、製造方法については、仮焼及び焼成の温度を高くする。そうすることにより、M相の比率を95モル%以上と高く、かつ残留磁束密度(Br)の高い、好ましくは残留磁束密度(Br)が4.6kG以上のLa−Coフェライト焼結磁石を得ることができる。
以上の知見に基づく本発明のフェライト磁性材料は、AをSr、Ba、Ca及びPbから選択される少なくとも1種の元素、Rを希土類元素(Yを含む)及びBiから選択される少なくとも1種の元素であってLaを必ず含むものとし、MeをCoであるかCo及びZnとしたとき、A、R、Fe及びMeそれぞれの金属元素の総計の構成比率を、A1-xx(Fe12-yMeyz の組成式(1)で表したとき、0.6≦x≦0.84、0.3≦y≦0.6、0.8≦z≦1.1である組成を有する酸化物焼結体からなり、組織中に占めるM相の比率が95モル%以上であることを特徴とする。
本発明のフェライト磁性材料は、以上の構成を採用することにより、4.6kG以上の残留磁束密度(Br)を備えることができる。しかもこの残留磁束密度(Br)は、2kOeあるいは3kOe以上の保磁力(HcJ)を備えることを前提としている。
本発明のフェライト磁性材料において、x、y及びzの好ましい値は以下の通りである。
<x>
好ましい範囲:0.7≦x≦0.84、より好ましい範囲:0.75≦x≦0.82
<y>
好ましい範囲:0.3≦y≦0.55、より好ましい範囲:0.35≦y≦0.52
<z>
好ましい範囲:0.82≦z≦1.08、より好ましい範囲:0.84≦z≦1.06
本発明がM相の存在比率を95モル%以上にできる製造工程上の特徴は、前述したように、仮焼温度及び焼成温度を、特許文献1等に比べて高く設定した点にある。このような特徴を有する本発明のフェライト磁性材料の製造方法は、Fe、元素A、元素R、元素Meを主成分とする六方晶M型フェライトを含むフェライト磁性材料の製造方法であって、所定の原料粉末を1350〜1450℃の温度範囲で所定時間保持する仮焼工程と、仮焼工程で得られた仮焼体を粉砕する工程と、粉砕により得られた粉砕粉末を磁場中成形する工程と、磁場中成形により得られた成形体を1250〜1360℃の温度範囲で所定時間保持する焼成工程とを備えることを特徴とする。
仮焼工程の温度を1370〜1430℃、焼成工程の温度を1280〜1320℃とすることが本発明にとって好ましい。
以上のフェライト磁性材料の製造方法において、全ての原料粉末を当初から添加することを要しない。特に、本発明のフェライト磁性材料の必須元素であるLa及びCoについては、Laは仮焼前に添加し、Coは仮焼した後に添加することが好ましい。
以上説明したように、本発明によれば、R及びMeを従来に比べて高めに設定しているが、仮焼及び焼成の温度をこれまた従来対比高く設定することにより、95モル%以上のM相の存在比率を獲得した。その結果として、本発明のフェライト磁性材料は、2kOeはもちろんのこと3kOe以上の保磁力(HcJ)を有しながら、4.6kG以上の残留磁束密度(Br)を得ることを可能とした。
以下、本発明のフェライト磁性材料を詳細に説明する。
特許文献1は、上記組成式(1)のx及びyについて、0.04≦x≦0.9、0.04≦y≦0.5であることを開示している。特許文献1は、好ましいx及びyを以下のように示している。
<x>
好ましい範囲:0.04≦x≦0.6
より好ましい範囲:0.04≦x≦0.5
さらに好ましい範囲:0.1≦x≦0.4
<y>
好ましい範囲:0.1≦y≦0.4
以上の特許文献1に対して本発明のフェライト磁性材料は、AをSr、Ba、Ca及びPbから選択される少なくとも1種の元素、Rを希土類元素(Yを含む)及びBiから選択される少なくとも1種の元素であってLaを必ず含むものとし、MeをCoであるかCo及びZnとしたとき、A、R、Fe及びMeそれぞれの金属元素の総計の構成比率を、A1-xx(Fe12-yMeyz の組成式(1)で表したとき、0.6≦x≦0.84、0.3≦y≦0.6、0.8≦z≦1.1である組成を有する。
つまり、本発明のフェライト磁性材料は、元素R及び元素Meの量が多くM相単相が得られにくい組成において、M相の比率を向上しようとしたものである。この点については、本発明の製造方法の説明、実施例の記載から明らかになる。
以下、組成式(1)について詳しく説明する。
A:
Aは、Sr、Ba、Ca及びPbから選択される少なくとも1種の元素である。Aの中ではSrを用いるのが保磁力(HcJ)向上の観点から最も好ましい。
R(x):
上記組成式(1)においてxが0.6未満になると小さすぎると、すなわちRの量が少なすぎると、残留磁束密度(Br)が4.6kGを超えるM相を得ることができない。しかし、xが0.84を超えると、M相比率の低下により残留磁束密度(Br)が低下する。そこで本発明は0.6≦x≦0.84とする。好ましいxの値は0.7≦x≦0.84、さらに好ましいxの値は0.75≦x≦0.82である。
Rは、希土類元素(Yを含む)及びBiから選択される少なくとも1種の元素であるが、Rの中ではLaを用いるのが残留磁束密度(Br)向上の観点から好ましい。そのため、本発明ではLaを必須とする。
Me(y):
Co又はCo+Zn量を示すyもxと同様、本発明においては高い残留磁束密度(Br)を得るために高めに設定する。つまり、yが0.3未満では95モル%以上のM相の存在比率を得ることが困難である。一方、yが0.6を超えると六方晶M型フェライト中に置換固溶できない過剰な元素Meが存在することになる。そこで本発明は0.3≦y≦0.6とする。好ましいyの値は0.3≦y≦0.55、さらに好ましいyの値は0.35≦y≦0.52である。
z:
zが小さすぎると、A及びRを含む非磁性相が増えるため、飽和磁化が低くなってくる。一方、zが大きすぎると、α−Fe23相又は、Meを含む非磁性スピネルフェライト相が増えるため、飽和磁化が低くなってくる。そこで本発明は0.8≦z≦1.1とする。好ましいzの値は0.82≦z≦1.08、さらに好ましいzの値は0.84≦z≦1.06である。
本発明の組成式(1)は、A、R、Fe及びMeそれぞれの金属元素の総計の構成比率を示したものであるが、酸素Oも含めた場合には、A1-xx(Fe12-yMeyz 19で表すことができる。ここで、酸素Oの原子数は19となっているが、これは、Meがすべて2価、Fe、Rがすべて3価であって、かつx=y、z=1のときの、酸素の化学量論組成比を示したものである。x、y、zの値によって、酸素の原子数は異なってくる。また、例えば焼成雰囲気が還元性雰囲気の場合は、酸素の欠損(ベイカンシー)ができる可能性がある。さらに、FeはM型フェライト中においては通常3価で存在するが、これが2価などに変化する可能性もある。また、Co及び/又はMeも価数が変化する可能性があり、さらにRにおいても3価以外の価数をとる可能性があり、これらにより金属元素に対する酸素の比率は変化する。以上では、また後述する実施例において、x、y、zの値によらず酸素の原子数を19と表示してあるが、実際の酸素の原子数は、これから多少偏倚した値を示すことがあり、そのような場合をも本願発明は包含する。
本発明によるフェライト磁性材料の組成は、蛍光X線定量分析などにより測定することができる。
また、本発明のフェライト磁性材料におけるM相の存在は、以下の条件によるX線回折や電子線回折などにより確認することができる。また本発明におけるM相の組織中に占めるモル比は、M型フェライト、W型フェライト、ヘマタイト、スピネルそれぞれの粉末試料を所定比率で混合し、その混合物について得られたX線回折強度と、実際に製造されたフェライト磁性材料について得られたX線回折強度とを比較算定することにより算出した。
X線発生装置:3kW
管電圧:45kV
管電流:40mA
サンプリング幅:0.02deg
走査速度:4.00deg/min
発散スリット:1.00deg
散乱スリット:1.00deg
受光スリット:0.30mm
本発明によるフェライト磁性材料は、Si成分及びCa成分を副成分として含有することができる。Si成分及びCa成分は、六方晶M型フェライトの焼結性の改善、磁気特性の制御及び焼結体の結晶粒径の調整等を目的として添加される。
Si成分としてはSiO2を、Ca成分としてはCaCO3を、それぞれを使用するのが好ましいが、この例に限定されるものではなく、他の化合物を適宜使用することができる。添加量は、Si成分について好ましくは、SiO2換算で0.15〜1.35wt%で、かつCa成分のモル量とSi成分のモル量の比Ca/Siが0.35〜2.10、より好ましくはSiO2換算で0.30〜0.90wt%で、Ca/Siが0.70〜1.75、さらに好ましくはSiO2換算で0.45〜0.90wt%で、Ca/Siが1.05〜1.75である。
本発明のフェライト磁性材料は、Al23及び/又はCr23を副成分として含有することができる。Al23及び/又はCr23は、保磁力を向上させるが残留磁束密度を低下させる。Al23及び/又はCr23の含有量は、残留磁束密度の低下を抑えるために好ましくは3.0wt%以下とする。なお、Al23及び/又はCr23添加の効果を充分に発揮させるためには、その含有量を0.1wt%以上とすることが好ましい。
本発明のフェライト磁性材料には、副成分としてB23が含まれていてもよい。B23を含むことにより仮焼温度及び焼結温度を低くすることができるので、生産上有利である。B23の含有量は、フェライト磁性材料全体の0.5wt%以下であることが好ましい。B23含有量が多すぎると、飽和磁化が低くなってしまう。
本発明のフェライト磁性材料には、Na、K、Rb等のアルカリ金属元素は含まれないことが好ましいが、不純物として含有されていてもよい。これらをNa2O、K2O、Rb2O等の酸化物に換算して含有量を求めたとき、これらの含有量の合計は、フェライト磁性材料全体の3.0wt%以下であることが好ましい。これらの含有量が多すぎると、飽和磁化が低くなってしまう。
また、以上のほか、例えばGa、In、Li、Mg、Ti、Zr、Ge、Sn、V、Nb、Ta、Sb、As、W、Mo等が酸化物として含有されていてもよい。これらの含有量は、化学量論組成の酸化物に換算して、それぞれ酸化ガリウム5.0wt%以下、酸化インジウム3.0wt%以下、酸化リチウム1wt%以下、酸化マグネシウム3.0wt%以下、酸化チタン3.0wt%以下、酸化ジルコニウム3.0wt%以下、酸化ゲルマニウム3.0wt%以下、酸化スズ3.0wt%以下、酸化バナジウム3.0wt%以下、酸化ニオブ3.0wt%以下、酸化タンタル3.0wt%以下、酸化アンチモン3.0wt%以下、酸化砒素3.0wt%以下、酸化タングステン3.0wt%以下、酸化モリブデン3.0wt%以下であることが好ましい。
本発明のフェライト磁性材料がフェライト焼結体の形態をなす場合、その平均結晶粒径は、好ましくは1.5μm以下、より好ましくは1.0μm以下、さらに好ましくは0.2〜1.0μmである。結晶粒径は走査型電子顕微鏡によって測定することができる。
本発明のフェライト磁性材料は、前述のように、フェライト焼結磁石、フェライト磁石粉末、樹脂中に分散されるフェライト磁石粉末としてボンディッド磁石及び膜状の磁性層として磁気記録媒体などを構成することができる。
本発明によるフェライト焼結磁石、及びボンディッド磁石は所定の形状に加工され、以下に示すような幅広い用途に使用される。例えば、フューエルポンプ用、パワーウィンド用、ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)用、ファン用、ワイパ用、パワーステアリング用、アクティブサスペンション用、スタータ用、ドアロック用、電動ミラー用等の自動車用モータとして使用することができる。また、FDDスピンドル用、VTRキャプスタン用、VTR回転ヘッド用、VTRリール用、VTRローディング用、VTRカメラキャプスタン用、VTRカメラ回転ヘッド用、VTRカメラズーム用、VTRカメラフォーカス用、ラジカセ等キャプスタン用、CD/LD/MDスピンドル用、CD/LD/MDローディング用、CD/LD光ピックアップ用等のOA/AV機器用モータとして使用することができる。さらに、エアコンコンプレッサー用、冷凍庫コンプレッサー用、電動工具駆動用、ドライヤーファン用、シェーバー駆動用、電動歯ブラシ用等の家電機器用モータとしても使用することができる。さらにまた、ロボット軸、関節駆動用、ロボット主駆動用、工作機器テーブル駆動用、工作機器ベルト駆動用等のFA機器用モータとしても使用することが可能である。その他の用途としては、オートバイ用発電器、スピーカ・ヘッドホン用マグネット、マグネトロン管、MRI用磁場発生装置、CD−ROM用クランパ、ディストリビュータ用センサ、ABS用センサ、燃料・オイルレベルセンサ、マグネトラッチ、アイソレータ等に、好適に使用される。
また、本発明のフェライト磁性材料が粉末の形態をなす場合、その平均粒径を0.1〜5.0μmとすることが望ましい。ボンディッド磁石用粉末のより望ましい平均粒径は0.1〜2.0μm、さらに望ましい平均粒径は0.1〜1.0μmである。ボンディッド磁石を製造する際には、フェライト磁石粉末を樹脂、金属、ゴム等の各種バインダと混練し、磁場中又は無磁場中で成形する。バインダとしては、NBR(アクリロニトリルブタジエンゴム)、塩素化ポリエチレン、ポリアミド樹脂などが好ましい。成形後、硬化を行ってボンディッド磁石とする。
本発明のフェライト磁性材料を用いて、磁性層を有する磁気記録媒体を作製することができる。この磁性層は、M型フェライト相を95モル%以上含む。磁性層の形成には、例えば蒸着法、スパッタ法などを用いることができる。スパッタ法で磁性層を形成する場合には、本発明によるフェライト焼結磁石をターゲットとして使用することもできる。なお、磁気記録媒体としては、ハードディスク、フレキシブルディスク、磁気テープ等が挙げられる。
次に、本発明のフェライト磁性材料の好ましい製造方法について述べる。
本発明のフェライト焼結磁石の製造方法は、配合工程、仮焼工程、粗粉砕工程、微粉砕工程、磁場中成形工程及び焼成工程を含む。
<配合工程>
配合工程は、原料粉末を所定の割合となるように秤量後、湿式アトライタ、ボールミル等で1〜20時間程度混合、粉砕処理する。出発原料としては、フェライト構成元素(Fe、元素A、元素R、元素M等)の1種を含有する化合物、またはこれらの2種以上を含有する化合物を用いればよい。化合物としては酸化物、または焼成により酸化物となる化合物、例えば炭酸塩、水酸化物、硝酸塩等を用いる。出発原料の平均粒径は特に限定されないが、通常、0.1〜2.0μm程度とすることが好ましい。出発原料は、仮焼前の本工程ですべてを混合する必要はなく、各化合物の一部または全部を仮焼の後に添加する構成にしても良い。例えば、Co等の元素Meは、一部または全部を後添加とする方が好ましい。なお、本願明細書において、仮焼工程の前に添加する行為を前添加といい、仮焼工程の後に添加する行為を後添加ということにする。
本発明においては、配合工程において、添加物としてのSi成分を所定量添加することを推奨する。Si成分は、例えばSiO2粉末として添加することができる。配合時におけるSi成分の添加(前添加)量は、六方晶M型フェライトの構成成分からなる主成分に対して、SiO2換算で総添加量の40%以上とするのが好ましい。Si成分の前添加の量は50%以上、さらには80%とするのが好ましく、全量を前添加とすることが最も好ましい。Si成分の前添加量をこの範囲とすることで、高い磁気特性を得やすい。
この他、配合工程において、Ca成分を添加(前添加)してもよい。Ca成分はSi成分と同様、六方晶M型フェライトの焼結性の改善、磁気特性の制御、及び焼結体の結晶粒径の調整等を目的として添加される。Ca成分としては、例えばCaCO3、CaO等を使用することができる。Ca成分の添加量は、本工程ですべてを混合する必要はなく、一部、好ましくは全部を後述する後添加としてもよい。
<仮焼工程>
配合工程で得られた原料組成物を仮焼する。仮焼は、通常、空気中等の酸化性雰囲気中で行われる。本発明では、仮焼温度を1350〜1450℃の温度範囲とすることが推奨される。特許文献1は、仮焼を1000〜1350℃の温度範囲で行うべきであることを述べている。つまり、本発明は仮焼の温度が高い。このように高い仮焼温度を採用するのは、高い値に設定したx、yに対応するもので、多量に添加されたLaを十分に元素Aのサイトに置換させ、またCoを十分にFeのサイトに置換させるためである。ここで、十分に置換するとは、置換しきれずに余剰となるLa、Coを十分に少なくすることを意図している。仮焼温度は1370〜1430℃、さらには1390〜1410℃が好ましく、安定時間は1秒間〜10時間、さらには1秒間〜3時間が好ましい。仮焼後の物質は、実質的にマグネトプランバイト(M)型のフェライト構造を有し、その一次粒子径は、好ましくは10μm以下、より好ましくは2μm以下である。
<粉砕工程>
仮焼体は、一般に顆粒状、塊状等になっており、そのままでは所望の形状に成形ができないため、粉砕する。また、所望の最終組成に調整するための原料粉末、及び添加物等を混合するために、粉砕工程が必要である。本工程で主成分、副成分の原料の一部を添加することができ、それが後添加である。粉砕工程は、粗粉砕工程と微粉砕工程に分かれる。なお、仮焼体を所定の粒度に粉砕することにより、ボンディッド磁石用のフェライト磁石粉末とすることもできる。粉砕工程でCoを添加することが磁気特性向上にとって好ましい。
<粗粉砕工程>
前述のように、仮焼体は一般に顆粒状、塊状等であるので、これを粗粉砕することが好ましい。粗粉砕工程では、振動ミル等を使用し、平均粒径が0.5〜5μmになるまで処理される。なお、ここで得られた粉末を粗粉砕粉と呼ぶことにする。
<微粉砕工程>
粗粉砕粉を湿式アトライタ、ボールミル、あるいはジェットミル等によって粉砕し、平均粒径0.08〜2.0μm、好ましくは0.1〜1.0μm、より好ましくは0.2〜0.8μm程度に粉砕する。得られた微粉砕粉の比表面積(BET法により求められる)としては、7〜12m2/g程度とすることが好ましい。粉砕時間は、粉砕方法にもよるが、例えば湿式アトライタでは30分間〜10時間、ボールミルによる湿式粉砕では10〜40時間程度、処理すればよい。
本発明において、後添加物は微粉砕工程で添加されることが好ましい。また、本発明においては、焼結体の磁気的配向度を高めるために、一般式Cn(OH)nHn+2で示される多価アルコールを微粉砕工程で添加することが好ましい。ここで、前記一般式において、炭素数を表すnの好ましい値は4〜100、より好ましくは4〜30、さらに好ましくは4〜20、より一層好ましくは4〜12である。多価アルコールとしては、例えばソルビトールが望ましいが、2種類以上の多価アルコールを併用しても良い。さらに、多価アルコールに加えて、他の公知の分散剤を使用しても良い。
前述の一般式は、骨格がすべて鎖式であって、かつ不飽和結合を含んでいない場合の一般式である。多価アルコール中の水酸基数、水素数は、一般式で表される数よりも多少少なくても良い。すなわち、飽和結合に限らず、不飽和結合を含んでいても良い。基本骨格は鎖式であっても環式であっても良いが、鎖式であることが好ましい。また、水酸基数が炭素数nの50%以上であれば、本発明の効果が実現するが、水酸基数は多い方が好ましく、水酸基数と炭素数が同程度であることが最も好ましい。この多価アルコールの添加量としては、添加対象物に対して0.05〜5.0wt%、好ましくは0.1〜3.0wt%、より好ましくは0.3〜2.0wt%程度とすればよい。なお、添加した多価アルコールは、磁場中成形工程後の焼成工程で熱分解除去される。
微粉砕工程は、以下に示すように、第1の微粉砕工程と第2の微粉砕工程に分け、かつ第1の微粉砕工程と第2の微粉砕工程の間に粉末熱処理工程を行うことができる。
<第1の微粉砕工程>
第1の微粉砕工程では粗粉をアトライタやボールミル、或いはジェットミルなどによって、湿式或いは乾式粉砕して平均粒径で0.08〜0.8μm、好ましくは0.1〜0.4μm、より好ましくは0.1〜0.2μmに粉砕する。この第1の微粉砕工程は、粗粉をなくすこと、さらには磁気特性向上のために焼結後の組織を微細にすることを目的として行うものであり、比表面積(BET法による)としては20〜25m2/gの範囲とするのが好ましい。
粉砕方法にもよるが、粗粉砕粉末をボールミルで湿式粉砕する場合には、粗粉砕粉末200gあたり60〜100時間処理すればよい。
なお、保磁力の向上や結晶粒径の調整のために、第1の微粉砕工程に先立ってCaCO3とSiO2、或いはさらにSrCO3やBaCO3等の粉末を添加してもよい。
<粉末熱処理工程>
粉末熱処理工程では、第1の微粉砕で得られた微粉を600〜1200℃、より好ましくは700〜1000℃で、1秒〜100時間保持する熱処理を行う。
第1の微粉砕を経ることにより0.1μm未満の粉末である超微粉が不可避的に生じてしまう。超微粉が存在すると後続の磁場中成形工程で不具合が生じることがある。例えば、湿式成形時に超微粉が多いと水抜けが悪く成形できない等の不具合が生じる。そこで、本実施の形態では磁場中成形工程に先立ち熱処理を行う。つまり、この熱処理は、第1の微粉砕で生じた0.1μm未満の超微粉をそれ以上の粒径の微粉(例えば0.1〜0.2μmの微粉)と反応させることにより、超微粉の量を減少させることを目的として行うものである。この熱処理により超微粉が減少し、成形性を向上させることができる。このときの熱処理雰囲気は、大気中とすればよい。
<第2の微粉砕工程>
続く第2の微粉砕工程では熱処理された微粉砕粉末をアトライタやボールミル、或いはジェットミルなどによって、湿式或いは乾式粉砕して0.8μm以下、好ましくは0.1〜0.4μm、より好ましくは0.1〜0.2μmに粉砕する。この第2の微粉砕工程は、粒度調整やネッキングの除去、添加物の分散性向上を目的として行うものであり、比表面積(BET法による)としては10〜20m2/g、さらには10〜15m2/gの範囲とするのが好ましい。この範囲に比表面積が調整されると、超微粒子が存在していたとしてもその量は少なく、成形性に悪影響を与えない。つまり、第1の微粉砕工程、粉末熱処理工程及び第2の微粉砕工程を経ることにより、成形性に悪影響を与えることなく、かつ焼結後の組織を微細化するという要求を満足することができる。
粉砕方法にもよるが、ボールミルで湿式粉砕する場合には、微粉砕粉末200gあたり10〜40時間処理すればよい。第2の微粉砕工程を第1の微粉砕工程と同程度の条件で行うと超微粉が再度生成されることになることと、第1の微粉砕工程ですでに所望する粒径がほとんど得られていることから、第2の微粉砕工程は、通常、第1の微粉砕工程よりも粉砕条件が軽減されたものとする。ここで、粉砕条件が軽減されているか否かは、粉砕時間に限らず、粉砕時に投入される機械的なエネルギを基準にして判断すればよい。
なお、保磁力の向上や結晶粒径の調整のために、第2の微粉砕工程に先立ってCaCO3とSiO2、或いはさらにSrCO3やBaCO3等の粉末を添加してもよい。
<磁場中成形工程>
磁場中成形工程は、乾式成形、もしくは湿式成形のいずれの方法でも行うことができるが、磁気的配向度を高くするためには、湿式成形で行うことが好ましい。よって、以下では、湿式成形用スラリーの調製について説明した上で、磁場中成形工程の説明を行う。
湿式成形を行う場合、微粉砕工程を湿式で行い、得られたスラリーを所定の濃度に濃縮し、湿式成形用スラリーとする。濃縮は、遠心分離やフィルタープレス等によって行えば良い。この場合、微粉砕粉が、湿式成形用スラリー中の30〜80wt%程度を占めることが好ましい。また、分散媒としては水が好ましく、さらに、グルコン酸及び/又はグルコン酸塩、ソルビトール等の界面活性剤が添加されていることが好ましい。次いで、湿式成形用スラリーを用いて磁場中成形を行う。成形圧力は0.1〜0.5ton/cm2程度、印加磁場は5〜15kOe程度とすれば良い。なお、分散媒は水に限らず、非水系溶媒を使用しても良い。非水系の分散媒を使用する場合には、トルエンやキシレン等の有機溶媒を使用することができる。この場合には、オレイン酸等の界面活性剤を添加することが好ましい。
<焼成工程>
得られた成形体を焼成し、焼結体とする。焼成は、通常、空気中等の酸化性雰囲気中で行われる。本発明は、焼成を1250〜1360℃の温度範囲で行うことを推奨する。特許文献1は、焼成温度を1150〜1270℃、好ましくは1160〜1240℃の温度範囲で行うべきであることを述べている。つまり、本発明は焼成温度が高い。このように高い焼成温度を採用するのは、仮焼温度を高く設定することと同様に、高い値に設定したx、yに対応するものである。つまり、多量に添加されたLaが十分に元素Aのサイトを置換させ、またCoが十分にFeのサイトを置換させるためである。ただし、1360℃を超える温度とになると結晶粒が成長しすぎて保磁力(HcJ)の低下が顕著となる。好ましくは1280〜1320℃に保持する時間は0.5〜3時間程度とすれば良い。
湿式成形で成形体を得た場合、成形体を充分に乾燥させないまま急激に加熱すると、成形体にクラックが発生する可能性がある。その場合、室温から100℃程度まで、例えば10℃/時間程度のゆっくりとした昇温速度にすることで、成形体を充分に乾燥し、クラック発生を抑制することが好ましい。また、界面活性剤(分散剤)等を添加した場合、100〜500℃程度の範囲で、例えば2.5℃/時間程度の昇温速度とすることで脱脂処理を行い、分散剤を充分に除去することが好ましい。
出発原料として酸化鉄(Fe23)、炭酸ストロンチウム(SrCO3)及び水酸化ランタン(La(OH)3)を用意した。これらの主成分を構成する出発原料を、焼成後の主成分が下記組成式(a)となるように秤量した。さらにこの主成分に対して0.6wt%となるように酸化ケイ素(SiO2)を添加(前添加)、混合した。この混合原料を湿式アトライタで2時間混合、粉砕してスラリー状の原料組成物を得た。このスラリーを乾燥後、大気中1400℃で2.5時間保持する仮焼を行った。
組成式(a):Sr1-xLax(Fe12-yCoyz19
x=0.65,0.75,0.80,0.83,0.85
y=0.41
z=0.86,0.98
得られた仮焼粉を小型ロッド振動ミルで10分間粗粉砕した。
次の微粉砕はボールミルにより2段階で行った。
第1の微粉砕は、得られた粗粉砕粉210gに対して、水400ml及びソルビトールを1.2wt%添加し、湿式ボールミルにて88時間処理した。
第1の微粉砕後に、微粉砕粉末を大気雰囲気中、800℃で10分、1時間保持する条件で熱処理を行った。なお、加熱保持温度までの昇温及び加熱保持温度からの降温の速度は5℃/分とした。
続いて、ボールミルを用いて湿式粉砕する第2の微粉砕を行った。第2の微粉砕は、第1の微粉砕で得られた微粉末に、焼成後の主成分になるように酸化コバルト(Co34)を秤量して加えた(後添加)。さらに、焼成後の主成分に対して1.4wt%の炭酸カルシウム(CaCO3)を加えた(後添加)。以上で構成される粉末200gに対して、水400ml及びソルビトールを1.2wt%添加し、湿式ボールミルにて20時間処理した。
第2の微粉砕で得られた微粉砕スラリの固形分濃度を70〜75%に調整し、湿式磁場成形機を使用して、12kOeの印加磁場中で直径30mm×厚み15mmの円柱状成形体を得た。成形体は大気中室温にて充分に乾燥し、ついで大気中1180〜1340℃で1時間保持する焼成を行った。
得られた円柱状焼結体の上下面を加工した後、最大印加磁場25kOeのB−Hトレーサを使用して、残留磁束密度(Br)及び保磁力(HcJ)を測定した。また、得られた円柱状焼結体について、前述したX線回折により、焼結体組織中におけるM相の比率(モル%)を求めた。その結果を表1に示すが、以下のことがわかる。なお、表1において、No.18〜20は特許文献1に開示された条件で作製された材料である。
(1)同一の組成であっても焼成温度が高くなるにつれてM相の比率が高くなる。
(2)組成式(a)において、x=0.65,0.75,0.83の場合に、M相が95%以上で、かつ4.6kG以上の残留磁束密度(Br)を得ることができる。
(3)No.18〜20は、xの値が高く、かつyも本発明の範囲内にあるが、仮焼温度、焼成温度が低いため、M相比率が低く、残留磁束密度(Br)も低い。
Figure 0004591684
出発原料として酸化鉄(Fe23)、炭酸ストロンチウム(SrCO3)及び水酸化ランタン(La(OH)3)を用意した。これらの主成分を構成する出発原料を、焼成後の主成分が下記組成式(b)となるように秤量した。さらにこの主成分に対して0.6wt%となるように酸化ケイ素(SiO2)を添加(前添加)、混合した。この混合原料を湿式アトライタで2時間混合、粉砕してスラリー状の原料組成物を得た。このスラリーを乾燥後、大気中1400℃で2.5時間保持する仮焼を行った。
組成式(b):Sr1-xLax(Fe12-yCoyz19
x=0.80
y=0.25,0.46,0.51
z=0.98
以後は実施例1と同様にして焼結体を作製し、やはり実施例1と同様に残留磁束密度(Br)及び保磁力(HcJ)を測定した。また、得られた円柱状焼結体について、前述したX線回折により、焼結体組織中におけるM相の比率(モル%)を求めた。その結果を表2に示すが、以下のことがわかる。
(1)組成式(b)において、yが0.25の場合にはM相の比率が85モル%に達することができず、残留磁束密度(Br)も4.0kGに達しない。
(2)組成式(b)において、yが0.46、0.51の場合には、1260℃の焼成温度で95%以上のM相の比率、4.6kG以上の残留磁束密度(Br)を得ることができる。
Figure 0004591684
出発原料として酸化鉄(Fe23)、炭酸ストロンチウム(SrCO3)及び水酸化ランタン(La(OH)3)を用意した。これらの主成分を構成する出発原料を、焼成後の主成分が下記組成式(c)となるように秤量した。さらにこの主成分に対して0.6wt%となるように酸化ケイ素(SiO2)を添加(前添加)、混合した。この混合原料を湿式アトライタで2時間混合、粉砕してスラリー状の原料組成物を得た。このスラリーを乾燥後、大気中1400℃で2.5時間保持する仮焼を行った。
組成式(c):Sr1-xLax(Fe12-yCoyz19
x=0.79,0.81,0.82,0.83
y=0.41
z=0.86,0.89,0.94,1.04
以後は実施例1と同様にして焼結体を作製し、やはり実施例1と同様に残留磁束密度(Br)及び保磁力(HcJ)を測定した。また、得られた円柱状焼結体について、前述したX線回折により、焼結体組織中におけるM相の比率(モル%)を求めた。その結果を表3に示すが、本発明のzの範囲で、95モル%以上のM相の比率で4.6kG以上の残留磁束密度(Br)を得ることができる。
Figure 0004591684
出発原料として酸化鉄(Fe23)、炭酸ストロンチウム(SrCO3)、炭酸バリウム(SrCO3)及び水酸化ランタン(La(OH)3)を用意した。これらの主成分を構成する出発原料を、焼成後の主成分が下記組成式(d)又は下記組成式(e)となるように秤量した。この混合原料を湿式アトライタで2時間混合、粉砕してスラリー状の原料組成物を得た。このスラリーを乾燥後、大気中1400℃で2.5時間保持する仮焼を行った。
組成式(d):Sr1-xLax(Fe12-yCoyz19
x=0.80
y=0.41
z=0.98
組成式(e):Ba1-xLax(Fe12-yCoyz19
x=0.80
y=0.41
z=0.98
以後は実施例1と同様に(表4のNo.49〜56)、又は第2の微粉砕の際に主成分に対して0.6wt%となるように酸化ケイ素(SiO2)を添加(後添加)、混合した以外は、実施例1と同様に(表4のNo.57〜60)して焼結体を作製し、やはり実施例1と同様に残留磁束密度(Br)及び保磁力(HcJ)を測定した。また、得られた円柱状焼結体について、前述したX線回折により、焼結体組織中におけるM相の比率(モル%)を求めた。その結果を表4に示すが、以下のことがわかる。
(1)元素AとしてSrの替わりにBaを用いても95モル%以上のM相の比率で4.6kG以上の残留磁束密度(Br)を得ることができる。ただし、Srの方が高い磁気特性を得ることができる。
(2)酸化ケイ素(SiO2)を後添加しても、95モル%以上のM相の比率で4.6kG以上の残留磁束密度(Br)を得ることができる。ただし、酸化ケイ素(SiO2)は前添加した方が高い磁気特性を得ることができる。
Figure 0004591684
出発原料として酸化鉄(Fe23)、炭酸ストロンチウム(SrCO3)及び水酸化ランタン(La(OH)3)を用意した。これらの主成分を構成する出発原料を、焼成後の主成分が下記組成式(f)となるように秤量した。さらにこの主成分に対して0.6wt%又は0.3wt%となるように酸化ケイ素(SiO2)を添加(前添加)、混合した。この混合原料を湿式アトライタで2時間混合、粉砕してスラリー状の原料組成物を得た。このスラリーを乾燥後、大気中1400℃で2.5時間保持する仮焼を行った。
組成式(f):Sr1-xLax(Fe12-yCoyz19
x=0.80
y=0.41
z=0.98
以後は、第2の微粉砕の炭酸カルシウム(CaCO3)の添加量を0.7wt%、1.4wt%、2.1wt%とする以外は実施例1と同様にして焼結体を作製し、やはり実施例1と同様に残留磁束密度(Br)及び保磁力(HcJ)を測定した。また、得られた円柱状焼結体について、前述したX線回折により、焼結体組織中におけるM相の比率(モル%)を求めた。その結果を表5に示す。酸化ケイ素(SiO2)及び炭酸カルシウム(CaCO3)を本発明の範囲内で変動させても、95モル%以上のM相の比率で4.6kG以上の残留磁束密度(Br)を得ることができる。
Figure 0004591684

Claims (6)

  1. AをSr、Ba、Ca及びPbから選択される少なくとも1種の元素、
    Rを希土類元素(Yを含む)及びBiから選択される少なくとも1種の元素であってLaを必ず含むものとし、
    MeをCoであるかCo及びZnとし、
    A、R、Fe及びMeそれぞれの金属元素の総計の構成比率を
    1-xx(Fe12-yMeyz の式(1)で表したとき、
    0.6≦x≦0.84、
    0.3≦y≦0.6、
    0.8≦z≦1.1である組成を有する酸化物焼結体からなり、
    組織中に占めるM相の比率が95モル%以上であることを特徴とするフェライト磁性材料。
  2. 残留磁束密度(Br)が4.6kG以上であることを特徴とする請求項1に記載のフェライト磁性材料。
  3. 前記式(1)において、0.7≦x≦0.84であることを特徴とする請求項1又は2に記載のフェライト磁性材料。
  4. Fe、元素A(A:Sr、Ba、Ca及びPbから選択される少なくとも1種の元素)、元素R(R:希土類元素(Yを含む)及びBiから選択される少なくとも1種の元素であってLaを必ず含む)、元素Me(Me:CoであるかCo及びZn)を主成分とする六方晶M型フェライトを含むフェライト磁性材料の製造方法であって、
    所定の原料粉末を1350〜1450℃の温度範囲で所定時間保持する仮焼工程と、
    前記仮焼工程で得られた仮焼体を粉砕する工程と、
    前記粉砕により得られた粉砕粉末を磁場中成形する工程と、
    前記磁場中成形により得られた成形体を1250〜1360℃の温度範囲で所定時間保持する焼成工程と、
    を備えることを特徴とするフェライト磁性材料の製造方法。
  5. 前記仮焼工程の温度を1370〜1430℃、前記焼成工程の温度を1280〜1320℃とすることを特徴とする請求項4に記載のフェライト磁性材料の製造方法。
  6. 前記フェライト磁性材料が、
    AをSr、Ba、Ca及びPbから選択される少なくとも1種の元素、
    Rを希土類元素(Yを含む)及びBiから選択される少なくとも1種の元素であってLaを必ず含むものとし、
    MeをCoであるかCo及びZnとし、
    A、R、Fe及びMeそれぞれの金属元素の総計の構成比率を
    1-xx(Fe12-yMeyz の式(1)で表したとき、
    0.6≦x≦0.84、
    0.3≦y≦0.6、
    0.8≦z≦1.1である組成を有する酸化物焼結体からなることを特徴とする請求項4又は5に記載のフェライト磁性材料の製造方法。
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