JP2008187184A - フェライト磁石の製造方法 - Google Patents

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清幸 増澤
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Abstract


【課題】高い残留磁束密度と高い保磁力とを有するフェライト磁石を製造する際に、焼成雰囲気中の酸素分圧の変動による磁気特性の変動を抑制する。
【解決手段】原料粉末の成形体を焼成して焼結磁石を得る焼成工程を有し、この焼成工程における雰囲気中の酸素分圧が空気中の酸素分圧よりも低く、前記焼結磁石が、Fe、元素A(Aは、Sr、Ba、CaおよびPbから選択される少なくとも1種)、元素R(Rは、希土類元素(Yを含む)およびBiから選択される少なくとも1種)、元素M(Mは、Co、Mn、NiおよびZnから選択される少なくとも1種)および元素M(Mは、Ti、V、Ge、Zr、Nb、Mo、Sn、TaおよびWから選択される少なくとも1種)を含有し、六方晶フェライトを主相として有するものであるフェライト磁石の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、マグネトプランバイト型六方晶フェライト磁石の製造方法に関する。
酸化物永久磁石材料としては、六方晶系のマグネトプランバイト型(M型)のSrフェライトまたはBaフェライトが主に用いられており、これらは焼結磁石やボンディッド磁石として利用されている。
磁石特性のうち特に重要なものは、残留磁束密度(Br)および固有保磁力(HcJ)である。Brは、磁石の相対密度およびその配向度と、その結晶構造で決まる飽和磁化(4πIs)とで決定され、Br=4πIs×配向度×相対密度で表わされる。M型のSrフェライトやBaフェライトの4πIsは約4.65kGである。相対密度と配向度とは、最も高い値が得られる焼結磁石の場合でもそれぞれ98%程度が限界である。したがって、これらの磁石のBrは4.46kG程度が限界であり、4.5kG以上の高いBrを得ることは、従来、実質的に不可能であった。
これに対し本発明者らは、例えば特許文献1(特開平11−154604号公報)において、従来のM型フェライト磁石では達成不可能であった高い残留磁束密度と高い保磁力とを有するフェライト磁石を提案している。このフェライト磁石は、Sr、Ba、CaおよびPbから選択される少なくとも1種の元素であって、Srを必ず含むものをAとし、希土類元素(Yを含む)およびBiから選択される少なくとも1種の元素であってLaを必ず含むものをRとし、CoであるかCoおよびZnを元素Mとしたとき、A、R、FeおよびMそれぞれの金属元素の総計の構成比率が、全金属元素量に対し、A:1〜13原子%、R:0.05〜10原子%、Fe:80〜95原子%、M:0.1〜5原子%である六方晶マグネトプランバイト型フェライトの主相を有するものである。
また、特許文献2(特開平10−149910号公報)には、(Sr1−x)O・n[(Fe1−y](ここでRはLa、NdおよびPrの少なくとも1種、MはMn、Co、NiおよびZnの少なくとも1種)からなる基本組成を有するフェライト磁石において、0.05≦x≦0.5、{x/(2.2n)}≦y≦{x/(1.8n)}、5.70≦n<6.00とする提案がなされている。同公報に記載された発明は、飽和磁化を向上させるために、反平行方向に向いた磁気モーメントに対応するFeイオンを、Feイオンよりも小さな磁気モーメントを有するか非磁性である別種の元素(上記M)で置換すると共に、異相の発生を抑えるために、Srサイトを別種の元素(上記R)で置換して電荷補償を行うものである。
特開平11−154604号公報 特開平10−149910号公報
本発明者らは、上記特許文献1に示されるフェライト磁石を製造する際の最適条件を検討する過程において、磁気特性が焼成条件により大きく影響を受けることを見いだした。具体的には、焼成雰囲気中の酸素分圧が変動すると、特に空気中よりも酸素分圧が低くなると、保磁力が著しく低下することがわかった。
しかし、フェライト磁石を製造する際には、その焼成工程において、バインダや分散剤等の分解・燃焼に伴う酸素の吸収、構成元素の価数の変化や構造の変化に伴う酸素の吸収・放出等により、焼成雰囲気中の酸素分圧が絶えず変動している。その変動の幅は、被焼成体の組成および焼成炉への投入量、添加物の種類および添加量など、各種条件に応じて大きく異なるため、酸素分圧が常に一定となるように制御することは難しい。したがって、焼成時の酸素分圧変動により特性が影響されやすい組成のフェライト磁石では、本来の高保磁力を安定して実現することが難しい。
特に、量産時の生産性向上に有効である連続炉では、バッチ炉に比べ酸素分圧の変動がより大きくなる。また、焼成に要するコストが低い炉、例えばガス燃焼炉など燃料の燃焼を利用して加熱する方式の炉では、燃料の燃焼の際に酸素を消費するため、炉中の酸素分圧が激しく変動する。したがって、連続炉および燃焼炉ならびに燃焼炉タイプの連続炉を利用する場合には、特に、焼成時の酸素分圧変動に影響されにくいフェライト磁石が求められる。
本発明は、このような事情からなされたものであり、高い残留磁束密度と高い保磁力とを有するフェライト磁石を製造する際に、焼成雰囲気中の酸素分圧の変動による磁気特性の変動を抑制することを目的とする。
このような目的は、下記(1)〜(3)の本発明により達成される。
(1) 出発原料を仮焼して得られた仮焼材と元素Mの酸化物とを含む原料粉末の成形体を焼成して焼結磁石を得る焼成工程を有し、この焼成工程の少なくとも一部において、雰囲気中の酸素分圧が空気中の酸素分圧よりも低く、
前記焼結磁石が、Fe、元素A(Aは、Sr、Ba、CaおよびPbから選択される少なくとも1種)、元素R(Rは、希土類元素(Yを含む)およびBiから選択される少なくとも1種)、元素M(Mは、Co、Mn、NiおよびZnから選択される少なくとも1種)および元素M(Mは、Ti、V、Ge、Zr、Nb、Mo、Sn、TaおよびWから選択される少なくとも1種)を含有し、六方晶フェライトを主相として有し、元素A、元素Rおよび元素Mをそれぞれ酸化物に換算して含有量を求めたとき、
式I A1−x(Fe12−y19
(上記式Iにおいて、
0.04≦x≦0.9、
0.04≦y≦0.5、
0.4≦x/y≦4、
0.7≦z≦1.2である)が成立し、かつ、元素Mの含有量が、前記式Iで表される複合酸化物100モルに対し1.3〜4.3モルであるフェライト磁石の製造方法。
(2) 元素Mが、Ti、ZrおよびSnから選択される少なくとも1種である上記(1)のフェライト磁石の製造方法。
(3) 元素Mが、V、Ge、Zr、Nb、Mo、TaおよびWから選択される少なくとも1種である上記(1)のフェライト磁石の製造方法。
前記元素Rおよび前記元素Mを添加することにより高い残留磁束密度と高い保磁力とが得られるフェライト磁石を製造する際に、本発明では、元素Mを添加するので、焼成雰囲気中の酸素分圧の変動による磁気特性変動を著しく抑制することができる。
焼結磁石
本発明により製造されるフェライト磁石は、六方晶マグネトプランバイト型(M型)フェライトを主相として有し、Fe、元素A(Aは、Sr、Ba、CaおよびPbから選択される少なくとも1種)、元素R(Rは、希土類元素(Yを含む)およびBiから選択される少なくとも1種)、元素M(Mは、Co、Mn、NiおよびZnから選択される少なくとも1種)および元素M(Mは、Ti、V、Ge、Zr、Nb、Mo、Sn、TaおよびWから選択される少なくとも1種)を含有する。
本発明は、磁石中に元素Mを含有させることを特徴とする。元素Mを含有させることにより、空気中の酸素分圧よりも低い酸素分圧下で焼成した場合でも、保磁力の低下を顕著に抑制することができる。すなわち、元素Mを添加して低酸素分圧下で焼成した場合、無添加かつ同じ低酸素分圧下で焼成したものに比べ、保磁力が著しく高くなるか、または、保磁力が同等ないし保磁力向上率が低くても、酸素分圧変動に伴う保磁力変化が小さくなる。
元素A、元素Rおよび元素Mをそれぞれ酸化物に換算して磁石中の含有量を求めたとき、式I A1−x(Fe12−y19(上記式Iにおいて、0.04≦x≦0.9、0.04≦y≦0.5、0.4≦x/y≦4、0.7≦z≦1.2である)が成立することが好ましい。また、元素Mの含有量は、前記式Iで表される複合酸化物100モルに対し、1.3〜4.3モルである。M含有量が少なすぎると本発明の効果が不十分となり、M含有量が多すぎると、焼結性が悪くなる、飽和磁化が低下する、という問題が生じる。
なお、磁石中に含有される金属元素をその一般的な酸化物に換算して含有量を求める際には、Fe→Fe、Sr→SrO、Ba→BaO、Ca→CaO、Pb→PbO、希土類元素RE→RE(ただし、PrはPr11、CeはCeO、TbはTb)、Bi→Bi、Co→CoO、Mn→MnO、Ni→NiO、Zn→ZnOにより換算する。
次に、上記式Iにおける組成比の限定理由を説明する。
上記式Iにおいて、xが小さすぎると、すなわち元素Rの量が少なすぎると、六方晶フェライトに対する元素Mの固溶量を多くできなくなってきて、飽和磁化向上効果および/または異方性磁場向上効果が不十分となってくる。xが大きすぎると六方晶フェライト中に元素Rが置換固溶できなくなってきて、例えば元素Rを含むオルソフェライトが生成して飽和磁化が低くなってくる。yが小さすぎると飽和磁化向上効果および/または異方性磁場向上効果が不十分となってくる。yが大きすぎると六方晶フェライト中に元素Mが置換固溶できなくなってくる。また、元素Mが置換固溶できる範囲であっても、異方性定数(K)や異方性磁場(HA)の劣化が大きくなってくる。zが小さすぎるとSrおよび元素Rを含む非磁性相が増えるため、飽和磁化が低くなってくる。zが大きすぎるとα−Fe相または元素Mを含む非磁性スピネルフェライト相が増えるため、飽和磁化が低くなってくる。
上記式Iにおいて、x/yが小さすぎても大きすぎても元素Rと元素Mとの価数の平衡がとれなくなり、W型フェライト等の異相が生成しやすくなる。元素Mが2価イオンであって、かつ元素Rが3価イオンである場合、価数平衡の点でx/y=1とすることが一般的であるが、本発明ではRを過剰にすることが好ましい。なお、x/yが1超の領域で許容範囲が大きい理由は、yが小さくてもFe3+→Fe2+の還元によって価数の平衡がとれるためである。
組成を表わす上記式Iにおいて、酸素(O)の原子数は19となっているが、これは、Mがすべて2価、Rがすべて3価であって、かつx=y、z=1のときの酸素の化学量論組成比を示したものである。MおよびRの種類やx、y、zの値によって、酸素の原子数は異なってくる。また、例えば焼成雰囲気が還元性雰囲気の場合は、酸素の欠損(ベイカンシー)ができる可能性がある。さらに、FeはM型フェライト中においては通常3価で存在するが、これが2価などに変化する可能性もある。また、Co等の元素Mも価数が変化する可能性があり、これらにより金属元素に対する酸素の比率は変化する。本明細書では、Rの種類やx、y、zの値によらず酸素の原子数を19と表示してあるが、実際の酸素の原子数は、これから多少偏倚した値であってよい。
磁石組成は、蛍光X線定量分析などにより測定することができる。また、上記主相の存在は、X線回折や電子線回折などにより確認できる。
磁石の飽和磁化および保磁力を高くするためには、元素AとしてSrおよびCaの少なくとも1種を用いることが好ましく、特にSrを用いることが好ましい。A中においてSr+Caの占める割合は、好ましくは51原子%以上、より好ましくは70原子%以上、さらに好ましくは100原子%である。
元素Rとしては、好ましくはランタノイドの少なくとも1種、より好ましくは軽希土類の少なくとも1種、さらに好ましくはLa、NdおよびPrの少なくとも1種を用い、特にLaを必ず用いることが好ましい。R中においてLaの占める割合は、好ましくは40原子%以上、より好ましくは70原子%以上であり、飽和磁化向上のためにはRとしてLaだけを用いることが最も好ましい。これは、六方晶M型フェライトに対する固溶限界量を比較すると、Laが最も多いためである。したがって、R中のLaの割合が低すぎるとRの固溶量を多くすることができず、その結果、元素Mの固溶量も多くすることができなくなり、磁気特性向上効果が小さくなってしまう。なお、Biを併用すれば、仮焼温度および焼結温度を低くすることができるので、生産上有利である。
元素Mとしては、少なくともCoおよびZnの1種以上、特にCoを必ず用いることが好ましい。M中においてCoの占める割合は、好ましくは10原子%以上、より好ましくは20原子%以上である。M中におけるCoの割合が低すぎると、保磁力向上が不十分となる。
磁石中には、Na、KおよびRbの少なくとも1種が含まれていてもよい。これらをそれぞれNaO、KOおよびRbOに換算したとき、これらの含有量の合計は、磁石粉末全体の3重量%以下であることが好ましい。これらの含有量が多すぎると、飽和磁化が低くなってしまう。これらの元素をMIで表わしたとき、フェライト中においてMIは例えばSr1.3−2aI a−0.3Fe11.70.319の形で含有される。なお、この場合、0.3<a≦0.5であることが好ましい。aが大きすぎると、飽和磁化が低くなってしまう他、焼成時に元素MIが多量に蒸発してしまうという問題が生じる。
磁石中における原子比R/Mは、好ましくは0.7〜1.5である。Mが2価の場合、価数平衡の点ではM=Rとすることが好ましいが、Mに対してRを過剰とすることにより、本発明の効果が増強される。
なお、上記各元素のほか、例えばAl、Cr、Ga、In、Li、Mg、Cu、Sb、As等が酸化物として含有されていてもよい。これらの含有量は、化学量論組成の酸化物に換算して、それぞれ酸化アルミニウム5重量%以下、酸化クロム5重量%以下、酸化ガリウム5重量%以下、酸化インジウム3重量%以下、酸化リチウム1重量%以下、酸化マグネシウム3重量%以下、酸化銅3重量%以下、酸化アンチモン3重量%以下、酸化砒素3重量%以下であることが好ましい。
製造方法
次に、磁石の製造方法を説明する。
本発明の製造方法は、原料粉末の成形体を焼成して焼結磁石を得る焼成工程を有する。
原料粉末の製造方法は特に限定されず、例えば、いわゆる仮焼によって固相反応により製造してもよく、共沈法や水熱合成法などにより製造してもよい。以降では、主として仮焼工程を設ける場合について説明する。
まず、出発原料を混合した後、仮焼し、仮焼体を得る。この仮焼体を解砕ないし粉砕して粉末化し、上記原料粉末を得る。そして、この原料粉末を成形した後、焼成する。
上記組成をもつ磁石は、上記焼成工程において、雰囲気中の酸素分圧が変動した場合でも、それに伴う磁気特性の変動、特に保磁力の変動が小さい。焼成工程の少なくとも一部において、焼成雰囲気中の酸素分圧が0.15気圧以下となる場合、特に0.10気圧以下となる場合に、本発明は著しく高い効果を発揮する。したがって、本発明は、炉中の酸素分圧が低くなるガス連続炉を用いる場合に好適である。
次に、好ましい製造条件等について説明する。
出発原料には、酸化物粉末、または焼成により酸化物となる化合物、例えば炭酸塩、水酸化物、硝酸塩等の粉末を用いる。出発原料の平均粒径は特に限定されないが、通常、0.1〜2μm程度とすることが好ましい。特に酸化鉄は微細粉末を用いることが好ましく、具体的には一次粒子の平均粒径が好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下のものを用いる。また、元素Aを含む出発原料には、ストック時の安定性が良好であることから、水酸化物または炭酸塩を用いることが好ましい。
仮焼は、通常、空気中等の酸化性雰囲気中で行えばよい。仮焼条件は特に限定されないが、通常、安定温度は1000〜1350℃、安定時間は1秒間〜10時間、より好ましくは1秒間〜3時間とすればよい。仮焼体は、実質的にマグネトプランバイト型のフェライト構造をもち、その一次粒子の平均粒径は、好ましくは2μm以下、より好ましくは1μm以下、さらに好ましくは0.1〜1μm、最も好ましくは0.1〜0.5μmである。平均粒径は走査型電子顕微鏡により測定することができる。
本発明では、Siを供給するための出発原料としてSiOを用いることが好ましい。SiOは、仮焼前に他の出発原料と混合してもよく、仮焼後に混合してもよく、SiOの添加を仮焼前と仮焼後とに振り分けてもよい。少なくとも焼成前にSiOが添加されていれば、SiO添加による効果は実現する。ただし、焼成条件変動に対する効果をより向上させるためには、SiOの一部または全部を、仮焼後に添加することが好ましい。
また、SiO以外の出発原料化合物も、仮焼前にすべてを混合する必要はなく、各化合物の一部または全部を仮焼後に添加する構成としてよい。
原料粉末の成形には、湿式成形法を利用することが好ましい。湿式成形では、原料粉末と、分散媒としての水と、分散剤とを含む成形用スラリーを用いることが好ましい。なお、分散剤の効果をより高くするためには、湿式成形工程の前に湿式粉砕工程を設けることが好ましい。また、原料粉末として仮焼体粉末を用いる場合、仮焼体粉末は一般に顆粒から構成されるので、仮焼体粉末の粗粉砕ないし解砕のために、湿式粉砕工程の前に乾式粗粉砕工程を設けることが好ましい。なお、共沈法や水熱合成法などにより原料粉末を製造した場合には、通常、乾式粗粉砕工程は設けず、湿式粉砕工程も必須ではないが、配向度をより高くするためには湿式粉砕工程を設けることが好ましい。以下では、仮焼体粒子を原料粉末として用い、乾式粗粉砕工程および湿式粉砕工程を設ける場合について説明する。
乾式粗粉砕工程では、通常、BET比表面積が2〜10倍程度となるまで粉砕する。粉砕後において、平均粒径は好ましくは0.1〜1μm程度、BET比表面積は好ましくは4〜10m/g程度である。粉砕手段は特に限定されず、例えば乾式振動ミル、乾式アトライター(媒体攪拌型ミル)、乾式ボールミル等が使用できるが、特に乾式振動ミルを用いることが好ましい。粉砕時間は、粉砕手段に応じて適宜決定すればよい。なお、仮焼後に一部の出発原料を添加する場合には、この乾式粗粉砕工程において添加することが好ましい。例えば、SiOと、焼成によりCaOとなるCaCOとは、それぞれの少なくとも一部をこの乾式粗粉砕工程において添加することが好ましい。
乾式粗粉砕には、仮焼体粒子に結晶歪を導入して保磁力HcBを小さくする効果もある。保磁力の低下により粒子の凝集が抑制され、分散性が向上する。また、軟磁性化することにより、配向度も向上する。軟磁性化された粒子は、後の焼結工程において本来の硬磁性に戻る。
乾式粗粉砕の後、粉砕された粒子と水とを含む粉砕用スラリーを調製し、これを用いて湿式粉砕を行う。粉砕用スラリー中の原料粉末の含有量は、10〜70重量%程度であることが好ましい。湿式粉砕に用いる粉砕手段は特に限定されないが、通常、ボールミル、アトライター、振動ミル等を用いることが好ましい。粉砕時間は、粉砕手段に応じて適宜決定すればよい。
湿式粉砕後、粉砕用スラリーを濃縮して成形用スラリーを調製する。濃縮は、遠心分離などによって行えばよい。成形用スラリー中の原料粉末の含有量は、60〜90重量%程度であることが好ましい。
湿式成形工程では、成形用スラリーを用いて磁場中成形を行う。成形圧力は0.1〜0.5t/cm程度、印加磁場は5〜15kOe程度とすればよい。
成形用のスラリーに非水系の分散媒を用いると高配向度が得られるが、環境への負荷を軽減するためには水系分散媒を用いることが好ましい。そして、水系分散媒を用いることによる配向度の低下を補うために、成形用スラリー中に分散剤を存在させることが好ましい。この場合に用いる分散剤は、水酸基およびカルボキシル基を有する有機化合物であるか、その中和塩であるか、そのラクトンであるか、ヒロドキシメチルカルボニル基を有する有機化合物であるか、酸として解離し得るエノール型水酸基を有する有機化合物であるか、その中和塩であることが好ましい。
なお、非水系の分散媒を用いる場合には、例えば特許第2838632号公報に記載されているように、トルエンやキシレンのような有機溶媒に、例えばオレイン酸のような界面活性剤を添加して、分散媒とする。このような分散媒を用いることにより、分散しにくいサブミクロンサイズのフェライト粒子を用いた場合でも最高で98%程度の高い磁気的配向度を得ることが可能である。
上記各有機化合物は、炭素数が3〜20、好ましくは4〜12であり、かつ、酸素原子と二重結合した炭素原子以外の炭素原子の50%以上に水酸基が結合しているものである。炭素数が2以下であると、配向度向上効果が不十分となる。また、炭素数が3以上であっても、酸素原子と二重結合した炭素原子以外の炭素原子への水酸基の結合比率が50%未満であれば、やはり効果が不十分となる。なお、水酸基の結合比率は、上記有機化合物について限定されるものであり、分散剤そのものについて限定されるものではない。例えば、分散剤として、水酸基およびカルボキシル基を有する有機化合物(ヒドロキシカルボン酸)のラクトンを用いるとき、水酸基の結合比率の限定は、ラクトンではなくヒドロキシカルボン酸自体に適用される。
上記有機化合物の基本骨格は、鎖式であっても環式であってもよく、また、飽和であっても不飽和結合を含んでいてもよい。
分散剤としては、具体的にはヒドロキシカルボン酸またはその中和塩もしくはそのラクトンが好ましく、特に、グルコン酸(C=6;OH=5;COOH=1)またはその中和塩もしくはそのラクトン、ラクトビオン酸(C=12;OH=8;COOH=1)、酒石酸(C=4;OH=2;COOH=2)またはこれらの中和塩、グルコヘプトン酸γ−ラクトン(C=7;OH=5)が好ましい。そして、これらのうちでは、配向度向上効果が高く、しかも安価であることから、グルコン酸またはその中和塩もしくはそのラクトンが好ましい。
ヒドロキシメチルカルボニル基を有する有機化合物としては、ソルボースが好ましい。
酸として解離し得るエノール型水酸基を有する有機化合物としては、アスコルビン酸が好ましい。
なお、本発明では、クエン酸またはその中和塩も分散剤として使用可能である。クエン酸は水酸基およびカルボキシル基を有するが、酸素原子と二重結合した炭素原子以外の炭素原子の50%以上に水酸基が結合しているという条件は満足しない。しかし、配向度向上効果は認められる。
上記した好ましい分散剤の一部について、構造を以下に示す。
Figure 2008187184
磁場配向による配向度は、スラリーのpHの影響を受ける。具体的には、pHが低すぎると配向度は低下し、これにより焼結後の残留磁束密度が影響を受ける。分散剤として水溶液中で酸としての性質を示す化合物、例えばヒドロキシカルボン酸などを用いた場合には、スラリーのpHが低くなってしまう。したがって、例えば、分散剤と共に塩基性化合物を添加するなどして、スラリーのpHを調整することが好ましい。上記塩基性化合物としては、アンモニアや水酸化ナトリウムが好ましい。アンモニアは、アンモニア水として添加すればよい。なお、ヒドロキシカルボン酸のナトリウム塩を用いることにより、pH低下を防ぐこともできる。
原料としてSiOおよびCaCOを用いる場合、分散剤としてヒドロキシカルボン酸やそのラクトンを用いると、主として成形用スラリー調製の際にスラリーの上澄みと共にSiOおよびCaCOが流出してしまい、HcJが低下するなど所望の性能が得られなくなる。また、上記塩基性化合物を添加するなどしてpHを高くしたときには、SiOおよびCaCOの流出量がより多くなる。これに対し、ヒドロキシカルボン酸のカルシウム塩を分散剤として用いれば、SiOおよびCaCOの流出が抑えられる。ただし、上記塩基性化合物を添加したり、分散剤としてナトリウム塩を用いたりした場合には、SiOおよびCaCOを目標組成に対し過剰に添加すれば、磁石中のSiO量およびCaO量の不足を防ぐことができる。なお、アスコルビン酸を用いた場合には、SiOおよびCaCOの流出はほとんど認められない。
上記理由により、スラリーのpHは、好ましくは7以上、より好ましくは8〜11である。
分散剤として用いる中和塩の種類は特に限定されず、カルシウム塩やナトリウム塩等のいずれであってもよいが、上記理由から、好ましくはカルシウム塩を用いる。分散剤にナトリウム塩を用いたり、アンモニア水を添加した場合には、副成分の流出のほか、成形体や焼結体にクラックが発生しやすくなるという問題が生じる。
なお、分散剤は2種以上を併用してもよい。
分散剤の添加量は、原料粉末に対し好ましくは0.05〜3.0重量%、より好ましくは0.10〜2.0重量%である。分散剤が少なすぎると配向度の向上が不十分となる。一方、分散剤が多すぎると、成形体や焼結体にクラックが発生しやすくなる。
なお、分散剤が水溶液中でイオン化し得るもの、例えば酸や金属塩などであるときには、分散剤の添加量はイオン換算値とする。すなわち、水素イオンや金属イオンを除く有機成分に換算して添加量を求める。また、分散剤が水和物である場合には、結晶水を除外して添加量を求める。例えば、分散剤がグルコン酸カルシウム一水和物である場合の添加量は、グルコン酸イオンに換算して求める。
また、分散剤がラクトンからなるとき、あるいはラクトンを含むときには、ラクトンがすべて開環してヒドロキシカルボン酸になるものとして、ヒドロキシカルボン酸イオン換算で添加量を求める。
分散剤の添加時期は特に限定されず、乾式粗粉砕時に添加してもよく、湿式粉砕時の粉砕用スラリー調製の際に添加してもよく、一部を乾式粗粉砕の際に添加し、残部を湿式粉砕の際に添加してもよい。あるいは、湿式粉砕後に攪拌などによって添加してもよい。いずれの場合でも、成形用スラリー中に分散剤が存在することになるので、分散剤添加による効果は実現する。ただし、粉砕時に、特に乾式粗粉砕時に添加するほうが、配向度向上効果は高くなる。乾式粗粉砕に用いる振動ミル等では、湿式粉砕に用いるボールミル等に比べて粒子に大きなエネルギーが与えられ、また、粒子の温度が上昇するため、化学反応が進行しやすい状態になると考えられる。したがって、乾式粗粉砕時に分散剤を添加すれば、粒子表面への分散剤の吸着量がより多くなり、この結果、より高い配向度が得られるものと考えられる。実際に、成形用スラリー中における分散剤の残留量(吸着量にほぼ等しいと考えられる)を測定すると、分散剤を乾式粗粉砕時に添加した場合のほうが、湿式粉砕時に添加した場合よりも添加量に対する残留量の比率が高くなる。なお、分散剤を複数回に分けて添加する場合には、合計添加量が前記した好ましい範囲となるように各回の添加量を設定すればよい。
湿式成形後、成形体を乾燥させ、次いで、大気中または窒素中において好ましくは100〜500℃の温度で熱処理を加えることにより、添加した分散剤を十分に分解除去する。乾燥と上記熱処理とは連続して行えばよいが、成形体を十分に乾燥させないまま急激に加熱すると、成形体にクラックが発生してしまうので、室温から100℃程度まではゆっくりと昇温し、この温度範囲において十分に乾燥させることが好ましい。熱処理後、焼成することによりフェライト焼結磁石を得る。焼成時の安定温度は、好ましくは1150〜1250℃、より好ましくは1160〜1240℃であり、安定温度に保持する時間は、好ましくは0.5〜3時間である。なお、前述したように、例えば連続炉などでは安定過程を設けないこともある。
磁石の平均結晶粒径は、好ましくは2μm以下、より好ましくは1μm以下、さらに好ましくは0.5〜1.0μmであるが、本発明では平均結晶粒径が1μmを超えていても、十分に高い保磁力が得られる。結晶粒径は走査型電子顕微鏡によって測定することができる。なお、比抵抗は、通常、10Ωm以上となる。
なお、前記成形体をクラッシャー等を用いて解砕し、ふるい等により平均粒径が100〜700μm程度となるように分級して磁場配向顆粒を得、これを乾式磁場成形した後、焼結することにより磁石を得てもよい。
本発明により製造されるフェライト磁石では、元素Rおよび元素Mを含有することにより、高保磁力かつ高飽和磁化が実現する。そのため、これらの元素を含有しない従来のフェライト磁石と同一形状であれば、発生する磁束密度を増やすことができるため、モータに適用した場合には高トルク化等を実現でき、スピーカーやヘッドホンに適用した場合には磁気回路の強化によりリニアリティーのよい音質が得られるなど、応用製品の高性能化に寄与できる。また、従来のフェライト磁石と同じ機能でよいとすれば、磁石の大きさ(厚さ)を小さく(薄く)できるので、小型軽量化(薄型化)に寄与できる。また、従来は界磁用の磁石を巻線式の電磁石としていたようなモータにおいても、これをフェライト磁石で置き換えることが可能となり、軽量化、生産工程の短縮、低価格化に寄与できる。さらに、保磁力(HcJ)の温度特性に優れているため、従来はフェライト磁石の低温減磁(永久減磁)の危険のあった低温環境でも使用可能となり、特に寒冷地、上空域などで使用される製品の信頼性を著しく高めることができる。そして、本発明では、焼成条件が不安定であっても、上述したような優れた特性をもつフェライト磁石を安定して量産できるので、例えばガス連続炉の使用が可能となるなど、低コスト化に対する寄与が大きい。
本発明により製造される磁石は所定の形状に加工され、下記に示すような幅広い用途に使用される。
例えば、フュエルポンプ用、パワーウィンドウ用、ABS用、ファン用、ワイパ用、パワーステアリング用、アクティブサスペンション用、スタータ用、ドアロック用、電動ミラー用等の自動車用モータ;FDDスピンドル用、VTRキャプスタン用、VTR回転ヘッド用、VTRリール用、VTRローディング用、VTRカメラキャプスタン用、VTRカメラ回転ヘッド用、VTRカメラズーム用、VTRカメラフォーカス用、ラジカセ等キャプスタン用、CD、LD、MDスピンドル用、CD、LD、MDローディング用、CD、LD光ピックアップ用等のOA、AV機器用モータ;エアコンコンプレッサー用、冷蔵庫コンプレッサー用、電動工具駆動用、扇風機用、電子レンジファン用、電子レンジプレート回転用、ミキサ駆動用、ドライヤーファン用、シェーバー駆動用、電動歯ブラシ用等の家電機器用モータ;ロボット軸、関節駆動用、ロボット主駆動用、工作機器テーブル駆動用、工作機器ベルト駆動用等のFA機器用モータ;その他、オートバイ用発電器、スピーカ・ヘッドホン用マグネット、マグネトロン管、MRI用磁場発生装置、CD−ROM用クランパ、ディストリビュータ用センサ、ABS用センサ、燃料・オイルレベルセンサ、マグネットラッチ等に使用できる。
SrCO、La、CoO、Fe、SiOおよびCaCOを配合し、湿式アトライターによる混合および粉砕を5時間行った後、乾燥して整粒し、顆粒とした。この顆粒を、空気中において1250℃で3時間仮焼して、仮焼材を得た。
この仮焼材に、SiOおよびCaCOを添加し、乾式振動ミルで粗粉砕した。なお、[仮焼前の添加量:仮焼材への添加量]は、SiOでは1:2とし、CaCOでは3:25とした。
得られた粗粉砕材にM酸化物を添加した。M酸化物の添加量は、最終組成(磁石組成)における[元素A+元素R]100モルに対し元素Mが表1に示すモル数となるように設定した。次いで、ボールミルにより40時間湿式粉砕を行った後、約75%の濃度となるまで脱水濃縮して成形用スラリーを得た。
比較のために、M酸化物を含まない成形用スラリーも作製した。また、元素Mの中で、Bは参考例である。
次いで、成形用スラリーを脱水しながら圧縮成形し、直径30mm、高さ18mmの成形体を得た。なお、圧縮成形の際には、圧縮方向に約10kOeの磁場を印加した。また、成形圧力は0.4t/cmとした。
次いで、成形体を焼成して焼結磁石とした。焼成は管状炉を用いて酸素ガスと窒素ガスとの混合ガス雰囲気(1気圧)中で行い、両ガスの流量を制御することにより、焼成雰囲気中の酸素分圧pOを0.2気圧または0.02気圧に制御した。なお、焼成時の昇温速度および降温速度は5℃/分とし、焼成温度は1195℃とし、焼成温度に保持する時間(安定時間)は1時間とした。
元素Mを添加しなかった焼結磁石の組成を蛍光X線分析により調べたところ、Fe:80.999モル%、MnO:0.608モル%、SrO:10.858モル%、BaO:0.122モル%、SiO:1.209モル%、CaO:1.978モル%、ZnO:0.007モル%、La:1.338モル%、CoO:2.722モル%、Al:0.076モル%、Cr:0.081モル%、CuO:0.002モル%であった。
これらの焼結磁石の上下面を加工した後、保磁力HcJおよび残留磁束密度Brを測定した。pO=0.02気圧で焼成した磁石の保磁力および残留磁束密度をそれぞれHcJ0.02およびBr0.02とし、pO=0.2気圧で焼成した磁石の保磁力および残留磁束密度をそれぞれHcJ0.2およびBr0.2とし、△HcJ=HcJ0.02−HcJ0.2、△Br=Br0.02−Br0.2により求めた△HcJおよび△Brを、表1に示す。また、HcJ0.02およびBr0.02も表1に示す。
Figure 2008187184
表1において、△HcJが0に近いほど酸素分圧低下の影響を受けにくいことになり、また、△HcJが正であれば酸素分圧低下により特性が向上し、△HcJが負であれば酸素分圧低下により特性が低下したことになる。元素Mを添加しなかった磁石では、△HcJが大きな負の値であり、焼成時の酸素分圧低下により磁気特性が大幅に劣化することがわかる。これに対し、元素Mを添加した磁石では、△HcJの絶対値が小さく、△HcJが正の値となるものもある。この結果から、元素M添加による効果が明らかである。
ところで、低酸素分圧下で焼成した場合、一般にHcJは低くなるがBrは向上する。そのため、△Brは各磁石において正の値となっている。本発明者らの研究によれば、基本組成がほぼ同じ磁石であれば3Br+HcJ(Brの単位:G、HcJの単位:Oe)がほぼ一定となることが経験的にわかっている。したがって、表1に基づいてpO変化に伴う3Br+HcJの差{△(3Br+HcJ)で表す}を比較することにより、磁石特性のポテンシャル低下を推定することが可能である。その観点から元素M添加の有無による比較を行うと、添加しなかった磁石では、△(3Br+HcJ)が−819と大きな負の値となるのに対し、添加した磁石では、最も低下の大きいものでも−545と小さく、+264となるものもある。すなわち、低酸素分圧下での焼成により磁石特性のポテンシャルが向上するものもある。この結果から、焼成時の酸素分圧低下に起因する磁石特性ポテンシャルの低下を、元素Mが抑えると考えられる。
なお、元素Mを添加しなかった磁石では、平均結晶粒径がpO=0.2気圧のとき0.8μm、pO=0.02気圧のとき0.9μmであったのに対し、元素MとしてNbを4.3モル添加した磁石では、平均結晶粒径がpO=0.2気圧のときもpO=0.02気圧のときも0.7μmであった。これらの磁石の断面の走査型電子顕微鏡写真を、図1および図2に示す。図1は、元素Mを添加した磁石であり、(A)はpO=0.2気圧とした場合のもの、(B)は、pO=0.02気圧とした場合のものである。また、図2は、元素Mを添加しなかった磁石であり、(A)はpO=0.2気圧とした場合のもの、(B)は、pO=0.02気圧とした場合のものである。これらの写真には、c軸の方向を表示してある。これらの写真から、低酸素分圧下での焼成に伴う結晶粒成長および結晶粒の板状化が、Nbの添加により抑制されたことがわかる。なお、Nb以外の元素Mを添加した磁石でも、同様に結晶粒成長および結晶粒の板状化が抑制されていることが確認できた。
(A)および(B)は、粒子構造を示す図面代用写真であって、フェライト磁石断面の走査型電子顕微鏡写真である。 (A)および(B)は、粒子構造を示す図面代用写真であって、フェライト磁石断面の走査型電子顕微鏡写真である。

Claims (3)

  1. 出発原料を仮焼して得られた仮焼材と元素Mの酸化物とを含む原料粉末の成形体を焼成して焼結磁石を得る焼成工程を有し、この焼成工程の少なくとも一部において、雰囲気中の酸素分圧が空気中の酸素分圧よりも低く、
    前記焼結磁石が、Fe、元素A(Aは、Sr、Ba、CaおよびPbから選択される少なくとも1種)、元素R(Rは、希土類元素(Yを含む)およびBiから選択される少なくとも1種)、元素M(Mは、Co、Mn、NiおよびZnから選択される少なくとも1種)および元素M(Mは、Ti、V、Ge、Zr、Nb、Mo、Sn、TaおよびWから選択される少なくとも1種)を含有し、かつ六方晶フェライトを主相として有し、元素A、元素Rおよび元素Mをそれぞれ酸化物に換算して含有量を求めたとき、
    式I A1−x(Fe12−y19
    (上記式Iにおいて、
    0.04≦x≦0.9、
    0.04≦y≦0.5、
    0.4≦x/y≦4、
    0.7≦z≦1.2である)が成立し、かつ、元素Mの含有量が、前記式Iで表される複合酸化物100モルに対し1.3〜4.3モルであるフェライト磁石の製造方法。
  2. 元素Mが、Ti、ZrおよびSnから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載のフェライト磁石の製造方法。
  3. 元素Mが、V、Ge、Nb、Mo、TaおよびWから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載のフェライト磁石の製造方法。
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