JP3657549B2 - フェライト焼結磁石およびその製造方法 - Google Patents

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    • H01F1/10Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of hard-magnetic materials non-metallic substances, e.g. ferrites, e.g. [(Ba,Sr)O(Fe2O3)6] ferrites with hexagonal structure

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フェライト焼結磁石およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にSr系のマグネトプランバイト型(M型)フェライト焼結磁石は、安価でしかも高い磁気特性を有するという特徴から、家電製品や自動車に搭載されるモータなどに広く利用されている。
【0003】
近年、電子機器の小型化、高性能化が要求されており、それにともなってフェライト焼結磁石の高性能化が強く要望されている。例えば特開平11−154604号公報には、M型のSr系フェライトの成分の一部をLaおよびCoで置換することにより、高飽和磁化および高保磁力を実現できることが記載されている。このLaCo置換フェライト焼結磁石は、従来のSr系フェライト焼結磁石を大幅に上回る特性が得られるため、今後の発展が注目されている。
【0004】
一方、従来のSr系フェライト焼結磁石は、LaCo置換フェライト焼結磁石に比べ安価であるため、依然として大きな需要があるが、製造コストを実質的に上昇させずに特性の向上がはかれれば、さらに用途が広がり、工業的にきわめて有意義である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、LaおよびCoを含有しない従来のSr系フェライト焼結磁石と実質的に同等の製造コストで、従来のSr系フェライト焼結磁石を上回る磁石特性をもつフェライト焼結磁石を実現することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(5)の本発明により達成される。
(1)Fe、元素A(Aは、Sr、Ba、CaおよびPbから選択される少なくとも1種)、元素R(Rは、希土類元素およびBiから選択される少なくとも1種であって、Laを必ず含む)および元素M(Mは、Coであるか、CoおよびZnである)を含有し、六方晶マグネトプランバイト型フェライトを主相として有するフェライト焼結磁石であって、
R酸化物の含有量が相対的に多いRリッチ結晶粒と、R酸化物の含有量が相対的に少ないRプア結晶粒とを含有し、R酸化物の含有量が、Rリッチ結晶粒において1.0質量%以上、Rプア結晶粒において0.6質量%以下であるフェライト焼結磁石。
(2)元素Rの含有量が0.36〜1.45質量%であり、元素Mの含有量が0.17〜0.63質量%である上記(1)のフェライト焼結磁石。
)少なくとも10個の結晶粒についてR酸化物含有量を測定したとき、Rリッチ結晶粒とRプア結晶粒との合計数が、測定対象の全結晶粒の数に対し30%以上存在する上記(1)又は(2)のフェライト焼結磁石。
)上記(1)〜()のいずれかのフェライト焼結磁石を製造する方法であって、
成形対象粉末を成形した後、焼結する工程を有し、
前記成形対象粉末が、Feおよび元素Aを含有し、元素Rおよび元素Mを実質的に含有しない仮焼体粉末と、Fe、元素A、元素Rおよび元素Mを含有するフェライト焼結磁石を粉末化した磁石粉末とを含むものであり、
前記成形対象粉末中において、前記仮焼体粉末と前記磁石粉末との合計に対する前記磁石粉末の比率を20〜60質量%とするフェライト焼結磁石の製造方法。
)前記磁石粉末が、フェライト焼結磁石の形状加工の際に生じた屑材であるか、不良なフェライト焼結磁石を粉砕したものである上記()のフェライト焼結磁石の製造方法。
【0007】
【作用および効果】
フェライト焼結磁石は、一般に、出発原料粉末を混合して仮焼し、次いで、仮焼体を適度な粒度となるまで粉砕して成形対象粉末とした後、必要な形状に成形し、焼結することにより製造する。
【0008】
本発明では、フェライト焼結磁石の製造に際し、成形対象粉末として、従来のSr系フェライト焼結磁石の製造に用いる、元素Rおよび元素Mで置換されていない仮焼体粉末に加えて、元素Rおよび元素Mで置換されたフェライト焼結磁石を粉末化したRM置換磁石粉末を用いる。そして、R酸化物の含有量が相対的に多いRリッチ結晶粒と、R酸化物の含有量が相対的に少ないRプア結晶粒とが含まれる磁石が得られる条件で、すなわち、前記仮焼体粉末と前記磁石粉末との間での元素拡散が抑制される条件で、焼結する。
【0009】
このような組織構造が得られるように焼結することにより、成形対象粉末の一部として用いたRM置換磁石粉末の特性の高さが最終的な磁石特性に確実に反映され、RM置換磁石粉末の添加量に応じた高特性のフェライト焼結磁石が得られる。
【0010】
本発明では、成形対象粉末の一部として用いるRM置換磁石粉末の原料として、RM置換フェライト焼結磁石を研削や研磨することによって形状加工する際に生じた屑材またはこれを粉砕したものを用いることができる。また、RM置換フェライト焼結磁石の不良材、例えば、割れやクラックなどの不良が生じたものや、寸法不良となったもの、焼結条件が不適正で磁石特性が不良となったものなど、を粉砕して、前記RM置換磁石粉末として用いることもできる。すなわち、本発明ではRM置換フェライト焼結磁石のリサイクルが可能なので、本発明は材料コスト低減および環境負荷の低減の面においても著しい効果を示す。
【0011】
このようにRM置換フェライト焼結磁石のリサイクル材を用いることにより、本発明では、従来のSr系フェライト焼結磁石と実質的に同等の製造コストで、従来のSr系フェライト焼結磁石を上回る磁石特性をもつフェライト焼結磁石を実現できる。
【0012】
ところで、特開2001−167918号公報には、「主要成分組成が一般式:MO・nFe23(MはSr、Ba、Pb、Caのうちの少なくとも1種以上であり、nは4.8〜6.2の範囲である)で示され、実質的にマグネトプランバイト型結晶構造を有し、不可避的に含有されるLa含有量が0.10重量%以下(0を含まず)でありかつCo含有量が0.03重量%以下(0を含まず)であるフェライト磁石の製造方法であって、不可避的に含有されるLa含有量が0.01重量%以上でありかつCo含有量が0.01重量%以上である前記フェライト磁石のスクラップを5〜95重量%配合したものを成形原料として成形、焼結することを特徴とするフェライト磁石の製造方法」が開示されている。
【0013】
同公報記載の発明は、原料の一部としてLaおよびCoを含有するフェライト磁石のスクラップを使用する点で本発明に類似する。しかし、同公報では、このスクラップ中のLaおよびCoを利用して磁石特性を向上させることを目的としておらず、逆に、混入するLaおよびCoの量を一定値以下に抑えることにより、LaおよびCoの混入によって生じる磁石特性のばらつきを抑えることを目的としており、本発明とは異なる。また、同公報には、Rリッチ結晶粒およびRプア結晶粒の存在についての記載も示唆もない。
【0014】
【発明の実施の形態】
製造方法
本発明では、Fe、元素A(Aは、Sr、Ba、CaおよびPbから選択される少なくとも1種)、元素R(Rは、希土類元素およびBiから選択される少なくとも1種であって、Laを必ず含む)および元素M(Mは、Coであるか、CoおよびZnである)を含有し、六方晶マグネトプランバイト型フェライトを主相として有するフェライト焼結磁石を製造する。
【0015】
フェライト焼結磁石の通常の製造工程では、仮焼体の粉砕粉に焼結助剤等の添加物を混合したものを成形し、次いで焼結する。これに対し本発明では、上記仮焼体粉末および添加物に加え、少なくとも一度焼結されて焼結体となったフェライト焼結磁石を粉末化して得られる磁石粉末を含む混合物を成形対象粉末とし、これを成形して焼結する。
【0016】
本発明において上記仮焼体粉末は、Feおよび元素Aを含有し、元素Rおよび元素Mを実質的に含有しないものである。すなわち、不可避的不純物以外には元素Rおよび元素Mを含有しない従来のフェライト焼結磁石を製造する際に用いるRM非置換仮焼体粉末である。一方、仮焼体粉末と混合される上記磁石粉末は、Fe、元素A、元素Rおよび元素Mを含有するフェライト焼結磁石を粉末化したものであり、前記したRM置換磁石粉末である。
【0017】
前記成形対象粉末中において、仮焼体粉末と磁石粉末との合計に対する磁石粉末の比率は、20〜60質量%、好ましくは30〜50質量%である。磁石粉末の含有量が少なすぎると、最終的に得られるフェライト焼結磁石の磁石特性が十分に高くならない。一方、磁石粉末の含有量をさらに多くしても、保磁力の向上は頭打ちである。しかも、焼結磁石は仮焼体に比べ硬いため粉砕しにくい。そのため、成形対象粉末中における磁石粉末の含有量を多くする場合、好ましい粒径まで粉砕するために長時間を要するので、コストアップを招く。また、粉砕時間が長いと目標とする粒径よりも小さな超微粒子が生じて成形対象粉末の粒度分布がブロードになり、その結果、成形性が悪化するという問題も生じる。また、超微粒子が生じると元素拡散が促進されるため、本発明の効果が損なわれる。
【0018】
成形対象粉末全体の平均粒径は、好ましくは0.3〜2μm、より好ましくは0.5〜1.2μmである。この平均粒径が小さすぎると、成形性が悪くなりやすい。一方、この平均粒径が大きすぎると、良好な磁石特性が得られにくい。
【0019】
本発明の製造方法において、成形対象粉末を上記構成とする以外に特に限定される条件はない。ただし、通常は、以下に示す手順でフェライト焼結磁石を製造することが好ましい。
【0020】
まず、出発原料を混合した後、仮焼し、仮焼体を得る。次に、この仮焼体の粉末および磁石粉末を含有する混合物を調製して成形対象粉末とし、これを成形した後、焼結する。
【0021】
出発原料は、Feおよび元素Aから選択される少なくとも1種の元素を含有する化合物から選択すればよい。元素Aを含む出発原料には、ストック時の安定性が良好であることから、水酸化物または炭酸塩を用いることが好ましい。このほか、焼結助剤として、Si化合物および/またはCa化合物が用いられる。Si化合物としてはSiO2が好ましく、Ca化合物としてはCaCO3が好ましい。Si化合物のSiO2換算での添加量は、成形対象粉末の0.1〜2質量%程度とすればよく、Ca化合物のCaCO3換算での添加量は、成形対象粉末の0.2〜4質量%程度とすればよい。
【0022】
出発原料には、酸化物粉末、または焼成により酸化物となる化合物、例えば炭酸塩、水酸化物、硝酸塩等の粉末を用いる。出発原料の平均粒径は特に限定されないが、通常、0.1〜2μm程度とすることが好ましい。特に酸化鉄は微細粉末を用いることが好ましく、具体的には一次粒子の平均粒径が好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下のものを用いる。
【0023】
仮焼は、通常、空気中等の酸化性雰囲気中で行えばよい。仮焼条件は特に限定されないが、通常、安定温度は1000〜1350℃、安定時間は1秒間〜10時間、より好ましくは1秒間〜3時間とすればよい。仮焼体は、実質的にマグネトプランバイト型のフェライト構造をもち、その一次粒子の平均粒径は、好ましくは2μm以下、より好ましくは1.2μm以下、さらに好ましくは0.5〜1.2μmである。平均粒径は走査型電子顕微鏡により測定することができる。
【0024】
なお、焼結助剤として用いるSi化合物およびCa化合物は、全部を仮焼後に添加してもよく、一部を仮焼前に添加してもよい。
【0025】
次に、成形およびその前工程である粉砕について説明する。
【0026】
成形対象粉末の成形には、湿式成形法または乾式成形法を利用する。本発明の効果は成形方法に依存せず実現する。以下では、湿式成形法を用いる場合について説明する。
【0027】
湿式成形では、成形対象粉末と、分散媒としての水と、分散剤とを含む成形用スラリーを用いることが好ましい。分散剤の効果をより高くするためには、湿式成形工程の前に湿式微粉砕工程を設けることが好ましい。また、仮焼体は一般に顆粒から構成されるので、仮焼体の粗粉砕ないし解砕のために、湿式微粉砕工程の前に乾式粗粉砕工程を設けることが好ましい。以下では、乾式粗粉砕工程および湿式微粉砕工程を設ける場合について説明する。
【0028】
成形対対象粉末を含有するスラリーの製造手順は特に限定されないが、仮焼体の粗粉砕粉とフェライト焼結磁石の粉末とを混合した後、混合物をさらに湿式微粉砕することが好ましい。フェライト焼結磁石の形状加工の際に生じた屑材は、通常、粒径5μm程度以下の粉末であるため、通常、屑材は乾式粗粉砕を行うことなく、仮焼体の粗粉砕粉と共に湿式微粉砕すればよい。また、不良品となった焼結磁石を混合する場合、焼結磁石を粗砕きした後、振動ミル等によって平均粒径1〜50μm、好ましくは1〜10μm程度まで粗粉砕し、これを仮焼体の粗粉砕粉と共に湿式微粉砕すればよい。添加する磁石粉末の平均粒径が小さすぎると、粉砕後の平均粒径、すなわち成形対象粉末中における平均粒径が小さくなりすぎる。一方、添加する磁石粉末の平均粒径が大きすぎると、粉砕後の平均粒径が十分に小さくならない。
【0029】
ただし、仮焼体と混合される焼結磁石はいったん焼結されているため、仮焼体に比べ硬度が高く粉砕されにくい。そのため、混合時に仮焼体粉末と焼結磁石の粉末とがほぼ同じ平均粒径であったとしても、その後の湿式微粉砕において仮焼体の粉砕がより進みやすい。したがって、磁石粉末が所定の粒径となるまで混合物を微粉砕したとき、混合物中の仮焼体は粉砕が進みすぎて超微粉が発生しやすくなる。あるいは、仮焼体粉末が所定の粒径となるまで混合物を粉砕したとき、混合物中の磁石粉末は粉砕が不十分となる。その結果、成形性が悪化したり、最終的に得られる磁石の磁気特性が十分に高くならないことがある。このような問題の発生を防ぐためには、焼結磁石の屑材または粗粉砕粉をそのまま仮焼体の粗粉砕粉と混合せず、焼結磁石の屑材または粗粉砕粉を湿式微粉砕した後、仮焼体の粗粉砕粉と混合し、得られた混合物を所定の粒径となるまでさらに湿式微粉砕することが好ましい。
【0030】
一方、仮焼体の乾式粗粉砕工程では、平均粒径が好ましくは1〜10μm程度、BET比表面積が好ましくは0.5〜7m2/g程度となるまで粉砕する。粉砕手段は特に限定されず、例えば乾式振動ミル、乾式アトライター(媒体攪拌型ミル)、乾式ボールミル等が使用できるが、特に乾式振動ミルを用いることが好ましい。粉砕時間は、粉砕手段に応じて適宜決定すればよい。なお、仮焼後に一部の出発原料を添加する場合には、この乾式粗粉砕工程において添加することが好ましい。例えば、SiO2と、焼成によりCaOとなるCaCO3とは、それぞれの少なくとも一部をこの乾式粗粉砕工程において添加することが好ましい。
【0031】
乾式粗粉砕には、仮焼体粒子に結晶歪を導入して保磁力HcBを小さくする効果もある。保磁力の低下により粒子の凝集が抑制され、分散性が向上する。また、軟磁性化することにより、配向度も向上する。軟磁性化された粒子は、後の焼結工程において本来の硬磁性に戻る。
【0032】
湿式微粉砕工程では、粉砕対象物と水等の分散媒とを含む粉砕用スラリーを調製し、これを用いて粉砕を行う。粉砕用スラリー中の固形分の含有量は、10〜70質量%程度であることが好ましい。湿式微粉砕に用いる粉砕手段は特に限定されないが、通常、ボールミル、アトライター、振動ミル等を用いることが好ましい。粉砕時間は、目的とする粒径および用いる粉砕手段に応じて適宜決定すればよい。
【0033】
仮焼体粉末と磁石粉末とを含む粉砕用スラリーを湿式微粉砕した後、粉砕用スラリーを濃縮して成形用スラリーを調製する。濃縮は、遠心分離などによって行えばよい。成形用スラリー中の固形分の含有量は、60〜90質量%程度であることが好ましい。
【0034】
湿式成形工程では、成形用スラリーを用いて磁場中成形を行う。成形圧力は10〜50MPa程度、印加磁場強度は0.5〜1.5T程度とすればよい。
【0035】
成形用スラリーに非水系の分散媒を用いると高配向度が得られるが、環境への負荷を軽減するためには水系分散媒を用いることが好ましい。なお、配向度向上のために、必要に応じ、スラリー中に分散剤を存在させてもよい。
【0036】
湿式成形後、成形体を乾燥させ、次いで、空気中または窒素中において好ましくは100〜500℃の温度に加熱する脱脂処理を施すことにより、添加した分散剤を十分に分解除去する。脱脂処理後、焼結することによりフェライト焼結磁石を得る。
【0037】
焼結に際しては、前記仮焼体粉末と前記磁石粉末との間での元素拡散が抑制されるように、焼結条件を制御する。これにより、前記磁石粉末に由来し、R酸化物の含有量が相対的に多いRリッチ結晶粒と、前記仮焼体粉末に由来し、R酸化物の含有量が相対的に少ないRプア結晶粒とが形成される。具体的な焼結条件は、このような組織構造の磁石が得られるように実験的に決定すればよいが、通常、焼結温度は好ましくは1100〜1280℃の範囲、より好ましくは1150〜1250℃の範囲から選択し、前記温度範囲に保持する時間または安定温度に保持する時間は、好ましくは0.5〜3時間の範囲から選択することが望ましい。
【0038】
なお、前記成形体をクラッシャー等を用いて解砕し、ふるい等により平均粒径が100〜700μm程度となるように分級して磁場配向顆粒を得、これを乾式磁場成形した後、焼結することにより磁石を得てもよい。
【0039】
次に、成形対象粉末の一部として用いる磁石粉末の組成について説明する。この磁石粉末は、RM置換フェライト焼結磁石の屑材や不良材由来のものである。RM置換フェライト焼結磁石の好ましい組成は、例えば前記特開平11−154604号公報に記載されたものをはじめとして広く知られている。本発明で用いる磁石粉末の組成は、それらのいずれであってもよいが、通常、焼結助剤として用いられるSiO2等の微量成分を除く主成分組成(モル比)は、
式I A1-xx(Fe12-yyz19
において
0.06≦x≦0.5、特に0.1≦x≦0.3、
0.06≦y≦0.5、
0.6≦x/y≦1.5、
0.7≦z≦1.2
の範囲から選択することが好ましい。
【0040】
磁石の飽和磁化および保磁力を高くするためには、元素AとしてSrおよびCaの少なくとも1種を用いることが好ましく、特にSrを用いることが好ましい。A中においてSr+Caの占める割合、特にSrの占める割合は、好ましくは51原子%以上、より好ましくは70原子%以上、さらに好ましくは100原子%である。元素A中のSrの比率が低すぎると、飽和磁化と保磁力とを共に高くすることが難しくなる。
【0041】
元素Rとして用いる希土類元素は、Y、Scおよびランタノイドである。元素Rとしては、Laを必ず用い、そのほかの元素を用いる場合には、好ましくはランタノイドの少なくとも1種、より好ましくは軽希土類の少なくとも1種、さらに好ましくはNdおよびPrの少なくとも1種を用いる。R中においてLaの占める割合は、好ましくは40原子%以上、より好ましくは70原子%以上であり、飽和磁化向上のためにはRとしてLaだけを用いることが最も好ましい。これは、六方晶M型フェライトに対する固溶限界量を比較すると、Laが最も多いためである。したがって、R中のLaの割合が低すぎるとRの固溶量を多くすることができず、その結果、元素Mの固溶量も多くすることができなくなり、磁気特性向上効果が小さくなってしまう。なお、Biを併用すれば、仮焼温度および焼結温度を低くすることができるので、生産上有利である。
【0042】
元素M中においてCoの占める割合は、好ましくは10原子%以上、より好ましくは20原子%以上である。M中におけるCoの割合が低すぎると、保磁力向上が不十分となる。
【0043】
次に、仮焼体粉末の組成について説明する。仮焼体粉末の組成は、元素Rおよび元素Mを実質的に含有しない従来のフェライト磁石と同様である。具体的には、
式II AO・nFe23(n=5〜6.5)
で表される組成(モル比)であることが好ましい。ただし、仮焼体粉末中には、元素Rおよび元素Mが不可避的不純物としてそれぞれ0.05質量%程度以下混入していてもよい。上記式IIにおいて元素Aは、仮焼体粉末と混合される磁石粉末に含有される元素Aと同じであることが好ましいが、異なっていてもよい。また、上記式IIにおけるモル比nが小さすぎても大きすぎても、最終的に得られる焼結磁石の特性が不十分となりやすい。
【0044】
焼結磁石
本発明により製造されるフェライト磁石は、六方晶マグネトプランバイト型(M型)フェライトを主相として有し、Fe、元素A、元素Rおよび元素Mを主成分構成元素として含有する。製造されるフェライト磁石の組成は、前記仮焼体粉末および前記磁石粉末の組成および混合比によって決定される。ただし、RM非置換のフェライト焼結磁石に対して、製造コストを実質的に向上させずに十分な特性向上をはかるためには、製造されるフェライト磁石の主成分組成(モル比)が、
式I A1-xx(Fe12-yyz19
において
0.02≦x≦0.30、
0.02≦y≦0.30、
0.6≦x/y≦1.5、
0.7≦z≦1.2
であるものが好ましい。この組成において、元素Rの含有量は好ましくは0.36〜1.45質量%、より好ましくは0.47〜1.37質量%、さらに好ましくは0.60〜1.37質量%であり、元素Mの含有量は好ましくは0.17〜0.63質量%、より好ましくは0.20〜0.58質量%である。
【0045】
なお、上記式Iにおいて酸素(O)の原子数は19となっているが、これは、元素Mがすべて2価、元素Rがすべて3価であって、かつx=y、z=1のときの酸素の化学量論組成比を示したものである。元素Mおよび元素Rの種類やx、y、zの値によって、酸素の原子数は異なってくる。また、例えば焼成雰囲気が還元性雰囲気の場合は、酸素の欠損(ベイカンシー)ができる可能性がある。さらに、FeはM型フェライト中においては通常3価で存在するが、これが2価などに変化する可能性もある。また、Co等の元素Mも価数が変化する可能性があり、これらにより金属元素に対する酸素の比率は変化する。本明細書では、元素Rの種類やx、y、zの値によらず酸素の原子数を19と表示してあるが、実際の酸素の原子数は、これから多少偏倚した値であってよい。
【0046】
磁石組成は、蛍光X線定量分析などにより測定することができる。また、上記主相の存在は、X線回折や電子線回折などにより確認できる。
【0047】
焼結磁石には、Al23および/またはCr23が含有されていてもよい。Al23およびCr23は、保磁力を向上させるが残留磁束密度を低下させる。Al23とCr23との合計含有量は、残留磁束密度の低下を抑えるために好ましくは3質量%以下とする。なお、Al23および/またはCr23添加の効果を十分に発揮させるためには、Al23とCr23との合計含有量を0.1質量%以上とすることが好ましい。
【0048】
焼結磁石には、B23が含まれていてもよい。B23を含むことにより仮焼温度および焼結温度を低くすることができるので、生産上有利である。B23の含有量は、磁石粉末全体の0.5質量%以下であることが好ましい。B23含有量が多すぎると、飽和磁化が低くなってしまう。
【0049】
焼結磁石中には、Na、K、Rb等のアルカリ金属元素は含まれないことが好ましいが、不純物として含有されていてもよい。これらをNa2O、K2O、Rb2O等の酸化物に換算して含有量を求めたとき、これらの含有量の合計は、焼結磁石全体の3質量%以下であることが好ましい。これらの含有量が多すぎると、飽和磁化が低くなってしまう。
【0050】
また、これらのほか、例えばGa、In、Li、Mg、Cu、Ti、Zr、Ge、Sn、V、Nb、Ta、Sb、As、W、Mo等が酸化物として含有されていてもよい。これらの含有量は、化学量論組成の酸化物に換算して、それぞれ酸化ガリウム5質量%以下、酸化インジウム3質量%以下、酸化リチウム1質量%以下、酸化マグネシウム3質量%以下、酸化銅3質量%以下、酸化チタン3質量%以下、酸化ジルコニウム3質量%以下、酸化ゲルマニウム3質量%以下、酸化スズ3質量%以下、酸化バナジウム3質量%以下、酸化ニオブ3質量%以下、酸化タンタル3質量%以下、酸化アンチモン3質量%以下、酸化砒素3質量%以下、酸化タングステン3質量%以下、酸化モリブデン3質量%以下であることが好ましい。
【0051】
磁石の平均結晶粒径は、好ましくは2μm以下、より好ましくは1μm以下、さらに好ましくは0.5〜1.0μmである。結晶粒径は走査型電子顕微鏡によって測定することができる。
【0052】
磁石中には、前記したようにRリッチ結晶粒とRプア結晶粒とが含まれ、これらがほぼ均一に分散した状態となっている。この様子は、蛍光X線分析などによって磁石断面の元素分布を調べることにより確認できる。また、各結晶における元素濃度は、透過型電子顕微鏡に装着されたエネルギー分散型X線分光器(TEM−EDS)により測定することができる。
【0053】
本発明の磁石では、Rリッチ結晶粒としてR酸化物の含有量が1.0質量%以上である結晶粒が存在し、かつ、Rプア結晶粒としてR酸化物の含有量が0.6質量%以下である結晶粒が存在することが好ましい。この場合、全ての結晶粒がRリッチ結晶粒またはRプア結晶粒に該当する必要はない。ただし、Rリッチ結晶粒およびRプア結晶粒のいずれにも該当しない結晶粒、すなわち、元素拡散が進んでR酸化物の含有量が0.6質量%超かつ1.0質量%未満となっている結晶粒の比率が高いと、本発明による磁石特性向上効果が不十分となる。そのため、Rリッチ結晶粒またはRプア結晶粒に該当する結晶粒が、個数比で全結晶粒の好ましくは30%以上、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは65%以上であることが望ましい。
【0054】
なお、Rリッチ結晶粒とRプア結晶粒との個数比は、これら2種の結晶粒の粒径がほぼ同じであれば、成形対象粉末中における仮焼体粉末と磁石粉末との質量比に近い値となる。具体的には、磁石粉末の比率を20〜60質量%としたとき、Rリッチ結晶粒とRプア結晶粒との合計に対するRリッチ結晶粒の個数比は、通常、10〜80%となる。
【0055】
Rリッチ結晶粒およびRプア結晶粒の存在を確認し、かつ、全結晶粒に対するこれらの比率を決定するに際しては、磁石に含まれる全ての結晶粒について元素分析を行う必要はなく、磁石断面に現れる任意の少なくとも10個の結晶粒、好ましくは少なくとも20個の結晶粒を測定対象とし、これらについてR酸化物含有量を測定し、測定対象の全結晶粒に対するRリッチ結晶粒の比率およびRプア結晶粒の比率を求めればよい。各結晶粒におけるR酸化物の含有量は、上記TEM−EDSにより測定することができる。
【0056】
ただし、TEM−EDSにより求められた含有量は、各元素の特性X線のピーク強度から算出した値であり、ピーク同士の重なりによりピーク強度の確定が困難となる元素も存在する。そのため、TEM−EDSで測定された元素R含有量には一定の傾向の偏りが存在することがある。そのため、Rリッチ結晶粒およびRプア結晶粒を決定するためにR酸化物含有量を求めるに際しては、TEM−EDSによる測定値を蛍光X線分析による測定値で較正する。較正は、以下の手順で行う。
【0057】
まず、TEM−EDSおよび蛍光X線分析により、R酸化物の平均含有量を求める。TEM−EDSでは、電子ビームを広げた状態で測定することにより、複数の結晶粒が含まれる領域の平均含有量を測定する。一方、蛍光X線分析では、さらに広い領域における平均含有量が測定される。TEM−EDSにおいて電子ビームの照射範囲を著しく広げることは困難であるため、1回の測定において所定の面積の測定ができないことがある。その場合には、測定を複数回行って、得られた測定値を相加平均すればよい。TEM−EDSにおける測定対象領域の全面積は、蛍光X線分析における測定対象領域の面積とほぼ同じとすることが最も好ましいが、測定対象領域に結晶粒が少なくとも20個含まれていれば、TEM−EDSにより十分に信頼性の高い平均含有量が求まる。そのため、TEM−EDSでは、結晶粒が少なくとも20個含まれる領域について測定すればよい。
【0058】
次に、蛍光X線分析によるR酸化物含有量をRFとし、TEM−EDSによるR酸化物含有量をRTとして、較正のための係数RF/RTを求める。TEM−EDSによって測定した結晶粒のR酸化物含有量に上記係数RF/RTを乗じた値が、本発明における結晶粒のR酸化物含有量であり、この値を用いて、Rリッチ結晶粒に該当するか、Rプア結晶粒に該当するか、これらのいずれにも該当しないかを決定する。
【0059】
R酸化物含有量を求めるに際しては、結晶粒中に含有される金属(半金属を含む)元素が、それぞれ化学量論組成の酸化物として含有されているものとして結晶粒の全質量を算出し、この全質量に対するR酸化物の質量比をR酸化物含有量とする。なお、化学量論組成の酸化物は、例えば、元素AはAO、元素RはR23(ただし、CeはCeO2、PrはPr611、TbはTb47)、FeはFe23、CoはCoO、ZnはZnO、AlはAl23、SiはSiO2である。
【0060】
本発明により製造されるフェライト磁石では、高保磁力かつ高飽和磁化が実現する。そのため、元素Rおよび元素Mを含有しない従来のフェライト磁石と同一形状であれば、発生する磁束密度を増やすことができるため、モータに適用した場合には高トルク化等を実現でき、スピーカやヘッドホンに適用した場合には磁気回路の強化によりリニアリティーのよい音質が得られるなど、応用製品の高性能化に寄与できる。また、従来のフェライト磁石と同じ機能でよいとすれば、磁石の大きさ(厚さ)を小さく(薄く)できるので、小型軽量化(薄型化)に寄与できる。また、従来は界磁用の磁石を巻線式の電磁石としていたようなモータにおいても、これをフェライト磁石で置き換えることが可能となり、軽量化、生産工程の短縮、低価格化に寄与できる。さらに、保磁力(HcJ)の温度特性に優れているため、従来はフェライト磁石の低温減磁(永久減磁)の危険のあった低温環境でも使用可能となり、特に寒冷地、上空域などで使用される製品の信頼性を著しく高めることができる。
【0061】
例えば、フュエルポンプ用、パワーウインド用、ABS用、ファン用、ワイパ用、パワーステアリング用、アクティブサスペンション用、スタータ用、ドアロック用、電動ミラー用等の自動車用モータ;FDDスピンドル用、VTRキャプスタン用、VTR回転ヘッド用、VTRリール用、VTRローディング用、VTRカメラキャプスタン用、VTRカメラ回転ヘッド用、VTRカメラズーム用、VTRカメラフォーカス用、ラジカセ等キャプスタン用、CD、LD、MDスピンドル用、CD、LD、MDローディング用、CD、LD光ピックアップ用等のOA、AV機器用モータ;エアコンコンプレッサー用、冷蔵庫コンプレッサー用、電動工具駆動用、扇風機用、電子レンジファン用、電子レンジプレート回転用、ミキサ駆動用、ドライヤーファン用、シェーバー駆動用、電動歯ブラシ用等の家電機器用モータ;ロボット軸、関節駆動用、ロボット主駆動用、工作機器テーブル駆動用、工作機器ベルト駆動用等のFA機器用モータ;その他、オートバイ用発電器、スピーカ・ヘッドホン用マグネット、マグネトロン管、MRI用磁場発生装置、CD−ROM用クランパ、ディストリビュータ用センサ、ABS用センサ、燃料・オイルレベルセンサ、マグネットラッチ等に使用できる。
【0062】
【実施例】
仮焼後の組成(モル比)が
SrO・nFe23
において6.0となるようにSrCO3とFe23とを秤量し、水を分散媒として湿式混合した。得られた混合物を空気中において1280℃で1時間仮焼した。得られた仮焼体を振動ミルにより乾式で粗粉砕し、平均粒径3μmの仮焼体粉末を得た。
【0063】
次に、
Sr1-xLax(Fe12-yCoyz19
において
x=0.189、
y=0.180、
z=1.008、
x/y=1.05
である主成分組成(モル比)を有するLaCo置換Sr系フェライト焼結磁石の不良材を、振動ミルにより乾式で粗粉砕し、さらに、アトライタにより湿式で微粉砕して、平均粒径5μmの磁石粉末を得た。
【0064】
上記仮焼体粉末と上記磁石粉末とを混合し、さらに、上記仮焼体粉末に対し0.55質量%のSiO2および1.30質量%のCaCO3を添加したものを、アトライタにより湿式で粉砕し、平均粒径0.8μmの成形対象粉末を含むスラリーとした。次いで、このスラリーを脱水して固形分濃度75質量%の成形用スラリーとした。次いで、磁場中において成形用スラリーを脱水しながら圧縮成形し、直径30mm、高さ15mmの円柱状成形体を得た。次いで、成形体を空気中において1240℃に1時間保持することにより焼結した後、研磨して、フェライト焼結磁石サンプルを得た。
【0065】
各サンプルについて、成形対象粉末中の磁石粉末の含有量を表1に示す。各サンプルの残留磁束密度(Br)および保磁力(HcJ)をサーチコイル法により室温で測定した。結果を表1に示す。
【0066】
【表1】
Figure 0003657549
【0067】
表1から本発明の効果が明らかである。すなわち、本発明によって製造されたサンプルNo.2〜No.4では、従来の方法によって製造されたサンプルNo.1を上回る磁石特性が得られている。
【0068】
図1〜図4に、サンプルNo.3の透過型電子顕微鏡写真を示す。これらの写真に示される結晶粒No.1〜No.20について、TEM−EDSおよび蛍光X線分析を用いて前述した較正手順によりLa23含有量を求め、これらの結晶粒を、Rリッチ結晶粒、Rプア結晶粒およびこれらのいずれにも該当しない結晶粒に分類した。結果を表2に示す。
【0069】
【表2】
Figure 0003657549
【0070】
表2から、サンプルNo.3では、Rリッチ結晶粒とRプア結晶粒とが、測定対象の全結晶粒の70%を占め、また、Rリッチ結晶粒とRプア結晶粒との合計に対するRリッチ結晶粒の個数比が43%であることがわかる。
【0071】
なお、サンプルNo.2、No.4についても同様に結晶粒のLa23含有量を測定したところ、測定対象の全結晶粒に占めるRリッチ結晶粒とRプア結晶粒との合計数の個数比が、サンプルNo.2では70%、サンプルNo.4では65%であった。また、Rリッチ結晶粒とRプア結晶粒との合計に対するRリッチ結晶粒の個数比は、サンプルNo.2では21%、サンプルNo.4では62%であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】結晶構造を示す図面代用写真であって、本発明のフェライト焼結磁石の透過型電子顕微鏡写真である。
【図2】結晶構造を示す図面代用写真であって、本発明のフェライト焼結磁石の透過型電子顕微鏡写真である。
【図3】結晶構造を示す図面代用写真であって、本発明のフェライト焼結磁石の透過型電子顕微鏡写真である。
【図4】結晶構造を示す図面代用写真であって、本発明のフェライト焼結磁石の透過型電子顕微鏡写真である。

Claims (5)

  1. Fe、元素A(Aは、Sr、Ba、CaおよびPbから選択される少なくとも1種)、元素R(Rは、希土類元素およびBiから選択される少なくとも1種であって、Laを必ず含む)および元素M(Mは、Coであるか、CoおよびZnである)を含有し、六方晶マグネトプランバイト型フェライトを主相として有するフェライト焼結磁石であって、
    R酸化物の含有量が相対的に多いRリッチ結晶粒と、R酸化物の含有量が相対的に少ないRプア結晶粒とを含有し、R酸化物の含有量が、前記Rリッチ結晶粒において1.0質量%以上、前記Rプア結晶粒において0.6質量%以下であるフェライト焼結磁石。
  2. 元素Rの含有量が0.36〜1.45質量%であり、元素Mの含有量が0.17〜0.63質量%である請求項1のフェライト焼結磁石。
  3. 少なくとも10個の結晶粒についてR酸化物含有量を測定したとき、Rリッチ結晶粒とRプア結晶粒との合計数が、測定対象の全結晶粒の数に対し30%以上存在する請求項1又は2のフェライト焼結磁石。
  4. 請求項1〜のいずれかのフェライト焼結磁石を製造する方法であって、
    成形対象粉末を成形した後、焼結する工程を有し、
    前記成形対象粉末が、Feおよび元素Aを含有し、元素Rおよび元素Mを実質的に含有しない仮焼体粉末と、Fe、元素A、元素Rおよび元素Mを含有するフェライト焼結磁石を粉末化した磁石粉末とを含むものであり、
    前記成形対象粉末中において、前記仮焼体粉末と前記磁石粉末との合計に対する前記磁石粉末の比率を20〜60質量%とするフェライト焼結磁石の製造方法。
  5. 前記磁石粉末が、フェライト焼結磁石の形状加工の際に生じた屑材であるか、不良なフェライト焼結磁石を粉砕したものである請求項のフェライト焼結磁石の製造方法。
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