JP2009117619A - 有機薄膜トランジスタの製造方法及び有機薄膜トランジスタ - Google Patents

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Abstract

【課題】移動度及びオン/オフ比が高い有機薄膜トランジスタ(有機TFT)を提供すること。
【解決手段】少なくとも基板上にゲート電極、ソース電極及びドレイン電極の3端子、絶縁体層並びに有機半導体層が設けられ、ソース−ドレイン間電流をゲート電極に電圧を印加することによって制御する有機薄膜トランジスタを作製する方法であって、該絶縁体層の形成工程がフッ素ポリマーの気相成膜を含むことを特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法及び該方法で製造されてなる有機薄膜トランジスタ。
【選択図】なし

Description

本発明は、有機半導体層を有する有機薄膜トランジスタの製造方法及び有機薄膜トランジスタに関し、さらに詳細には、絶縁体層をフッ素ポリマーの気相成膜によって成膜する有機薄膜トランジスタの製造方法及び該製造方法によって得られる、移動度及びオン/オフ比に優れた有機薄膜トランジスタに関するものである。
薄膜トランジスタ(TFT)は、液晶表示装置等の表示用のスイッチング素子として広く用いられている。代表的なTFTの断面構造を図1に示す。同図に示すように、TFTは、基板上にゲート電極及び絶縁体層をこの順に有し、絶縁体層上に、所定の間隔をあけて形成されたソース電極及びドレイン電極を有している。双方の電極の一部表面を含み、電極間に露出する絶縁体層上には、半導体層が形成されている。このような構成のTFTでは、半導体層がチャネル領域を成しており、ゲート電極に印加される電圧でソース電極とドレイン電極の間に流れる電流が制御されることによってオン/オフ動作する。
従来、このTFTは、アモルファスや多結晶のシリコンを用いて作製されていたが、このようなシリコンを用いたTFTの作製に用いられるCVD装置は、非常に高額であり、TFTを用いた表示装置等の大型化は、製造コストの大幅な増加を伴うという問題点があった。また、アモルファスや多結晶のシリコンを成膜するプロセスは非常に高い温度下で行われるので、基板として使用可能な材料の種類が限られてしまうため、軽量な樹脂基板等は使用できないという問題があった。
このような問題を解決するために、アモルファスや多結晶のシリコンに替えて有機物を用いたTFTが提案されている。有機物でTFTを形成する際に用いる成膜方法として真空蒸着法や塗布法等が知られているが、これらの成膜方法によれば、製造コストの上昇を抑えつつ素子の大型化が実現可能になり、成膜時に必要となるプロセス温度を比較的低温にすることができる。このため、有機物を用いたTFTでは、基板に用いる材料の選択時の制限が少ないといった利点があり、その実用化が期待されており、有機物を用いたTFTについて盛んに報告されるようになり、例えば、C. Dimitrakopoulosら、Advanced Materials 14巻、99頁 2002年.やA. Facchettiら、Advanced Materials 17巻、1705頁 2005年.などを挙げることができる。
有機TFTにおける電気伝導は絶縁膜界面に電場誘起された電荷が担うため、絶縁膜の影響を強く受ける。非特許許文献1では、半導体のゲート絶縁膜に表面エネルギーの小さいフッ素ポリマーを用いることで有機半導体薄膜の結晶成長を促し、移動度が向上した有機TFTが開示されている。特許文献1〜3では絶縁体層の表面に表面エネルギーの小さいポリマーの一種であり、水分の影響を受けないフッ素ポリマーからなる層を設けた高性能な有機TFTが開示されている。また、非特許文献2に示されるようにシリコントランジスタにおいては、大気中の水分などの絶縁膜表面への吸着が性能劣化の原因になることが知られている。さらに、たとえば非特許文献3、4に開示されているような有機薄膜トランジスタにおいても、大気に暴露することで性能が低下するという問題がある。
特開2001―094107公報 特表2005-513788号公報 特開平7-221367号公報 梅田ら、第68回応用物理学会学術講演会 要旨集、p1343、講演番号5a−D−10 D. K. Schroderら、 Semiconductor Material and Device characterization、 third ed., Wiey, New York 6章、319-387頁 YH. Nohら、Organic Electronics 7巻、271頁 2006年 X.Pengら、Applied Physics Letters, 57巻、2013頁、1990年
しかしながら本発明者らは、特許文献1〜3や非特許文献1に開示されている有機TFTなどにおいては、フッ素ポリマーの成膜が液相成膜によって行われているため、溶媒由来の不純物が混入したり、また、有機半導体層の成膜までに絶縁膜表面が大気に暴露されているため、絶縁体層表面が大気中の水分、埃などが吸着してしまい、表面エネルギーが変化するため、得られる有機薄膜トランジスタの電界効果移動度及びオン/オフ比が不十分であることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、前記の課題を解決するためになされたもので、電界効果移動度及びオン/オフ比が高い有機薄膜トランジスタ(有機TFT)を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、絶縁体層の形成工程がフッ素ポリマーの気相成膜を含むことにより、有機TFTの電界効果移動度及びオン/オフ比が改善することを見出し、本発明を完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1)少なくとも基板上にゲート電極、ソース電極及びドレイン電極の3端子、絶縁体層並びに有機半導体層が設けられ、ソース−ドレイン間電流をゲート電極に電圧を印加することによって制御する有機薄膜トランジスタを作製する方法であって、該絶縁体層の形成工程がフッ素ポリマーの気相成膜を含むことを特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法、及び
(2)上記(1)に記載の方法で製造されてなる有機薄膜トランジスタ、
を提供するものである。
本発明の有機TFTは、電界効果移動度及びオン/オフ比に優れる。
本発明は、少なくとも基板上にゲート電極、ソース電極及びドレイン電極の3端子、絶縁体層並びに有機半導体層が設けられ、ソース−ドレイン間電流をゲート電極に電圧を印加することによって制御する有機薄膜トランジスタであって、前記絶縁体層の形成工程がフッ素ポリマーの気相成膜を含むことを特徴とする。
本発明におけるフッ素ポリマーとは、ポリマーを構成する少なくともひとつの繰り返し単位の中にフッ素原子をひとつ以上有するポリマーであり、気相成膜により薄膜が形成できるものであれば特に限定されない。
前記フッ素ポリマーの好ましい例としては、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリジクロロジフルオロエチレン(PDCDFE)、ポリトリクロロフルオロエチレン(PTCFE)などが挙げられ、また、テトラフルオロエチレンと環状コモノマーとの共重合体、テトラフルオロエチレンと環状コモノマーと(a)オレフィンコモノマー、(b)ビニルコモノマー及び(c)パーフルオロコモノマーから選ばれる少なくとも1種とを共重合させたフッ素系共重合体や、主鎖に環状構造を有する含フッ素重合体も好ましい。
前記テトラフルオロエチレンと環状コモノマーとの共重合体における環状コモノマーとしては、下記式(I)で表される化合物が好ましい。
Figure 2009117619
(式中、XおよびX’はそれぞれ独立にF、Cl、またはHであり、XおよびX’は同一であっても異なっていてもよく、Rは、−CF=CF−または下記式(i)で表される基である。)
Figure 2009117619
(式中、R1およびR2はそれぞれ独立にF、Cl、−COF、−COO−R3、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6の過フッ化アルキル基、または炭素数1〜6の水素置換過フッ化アルキル基であり、前記R3は炭素数1〜6のアルキル基であり、R1およびR2は同一であっても異なっていてもよい。)
上記式(I)で表される環状コモノマーの特に好ましい具体例としては、下記式(Ia)、(Ib)及び(Ic)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2009117619
前記テトラフルオロエチレンと環状コモノマーとの共重合体における環状コモノマーの含有量は、テトラフルオロエチレン及び環状コモノマーの総質量に対して0.01〜99質量%であることが望ましく、特に11〜80質量%であることが好ましい。
また、前述のように、本発明におけるフッ素ポリマーとしては、テトラフルオロエチレンと前記環状コモノマーとの他に更に下記(a)オレフィンコモノマー、(b)ビニルコモノマー及び(c)パーフルオロコモノマーから選ばれる少なくとも1種を共重合させたフッ素系共重合体も好適である。
前記(a)オレフィンコモノマーとしては、エチレン、1−ブテン、イソブチレン、トリフルオロプロペン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン等が挙げられる。
前記(b)ビニルコモノマーとしては、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等が挙げられる。
前記(c)パーフルオロコモノマーとしては、パーフルオロプロペン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、メチル3−(1−(ジフルオロ−((トリフルオロエテニル)オキシ)メチル)−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ)−2,2,3,3−テトラフルオロプロパノエート、3−(1−(ジフルオロ−((トリフルオロエテニル)オキシ)メチル)−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ)−2,2,3,3−テトラフルオロプロピオネート、2−(1−(ジフルオロ−((トリフルオロエテニル)オキシ)メチル)−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホニルフルオライド等が挙げられる。
前記フッ素系共重合体における上記(a)〜(c)のコモノマーの含有量(総量)は、テトラフルオロエチレンと前記環状コモノマーとの総量に対して0.005〜30質量%であることが望ましく、特に1〜15質量%であることが好ましい。なお、前記(a)〜(c)のコモノマーの含有量(総量)は、テトラフルオロエチレンの含有量および前記環状コモノマーの含有量のいずれよりも少なくすることが望ましい。
前記主鎖に環状構造を有する含フッ素重合体とは、下記式(II)で表されるパーフルオロエーテルの単独重合体、または、下記式(II)で表されるパーフルオロエーテルと、このパーフルオロエーテルとラジカル共重合可能な単量体とをラジカル共重合して得られるものである。
Figure 2009117619
(式中、nおよびmはそれぞれ独立に0〜5の整数であり、かつn+mは1〜6の整数である。)
上記式(II)で表されるパーフルオロエーテルとしては、式(II)中のn、mがそれぞれ0〜3の整数で、かつn+mが1〜4の整数であるものが好ましく、式中のn、mがそれぞれ0〜2の整数で、かつn+mが1〜3の整数であるものは特に好ましい。具体例としては、パーフルオロアリルビニルエーテル(CF2=CF−O−CF2−CF=CF2)、パーフルオロジアリルエーテル(CF2=CF−CF2−O−CF2−CF=CF2)、パーフルオロブテニルビニルエーテル(CF2=CF−O−CF2−CF2−CF=CF2)、パーフルオロブテニルアリルエーテル(CF2=CF−CF2−O−CF2−CF2−CF=CF2)、パーフルオロジブテニルエーテル(CF2=CF−CF2−CF2−O−CF2−CF2−CF=CF2)等が挙げられる。
このようなパーフルオロエーテルのうち、前記式(II)中のn、mのいずれか一方が0のもの、すなわちCF2=CF−O−で表されるビニルエーテル基を一つ有するものは、重合反応性、閉環重合性、ゲル化抑制等の点から特に好ましく、パーフルオロアリルビニルエーテルは特に好ましい例として挙げられる。
一方、上述のパーフルオロエーテルとともにラジカル共重合可能な単量体は、ラジカル共重合性を有する単量体であれば特に限定されるものではなく、含フッ素系単量体、不飽和炭化水素系単量体、およびその他の単量体の中から適宜選択可能である。これらの単量体は、1種単独で上述した式(II)のパーフルオロエーテルとラジカル共重合させてもよいし、2種以上を併用して上述した式(II)のパーフルオロエーテルとラジカル共重合させてもよい。式(II)のパーフルオロエーテルの特性を最大限に活かすためには、前記単量体としてテトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロビニルエーテル、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル等に代表される含フッ素単量体を用いることが特に好ましい。
前記主鎖に環状構造を有する含フッ素重合体は、コモノマーをそのまま重合に供するいわゆるバルク重合や、フッ化炭化水素、塩化炭化水素、フッ化塩化炭化水素、アルコール、ハイドロカーボン等の有機溶媒にコモノマーを溶解させてこの有機溶媒溶液中で重合させる溶液重合や、水性媒体中で適当な有機溶剤の存在下または非存在下に重合させる懸濁重合、あるいは水性媒体に乳化剤を添加して重合させる乳化重合等の常法により得ることができる。このときのパーフルオロエーテルの共重合割合に特に制限はないが、前述の単量体に対する仕込み組成で0.1〜99モル%とすることが好ましい。
ラジカル共重合時の温度や圧力は特に限定されるものではなく、コモノマーの沸点、所用加熱源、重合熱の除去等の諸因子を考慮して適宜選択される。重合に好適な温度は、例えば0〜200℃の範囲内で設定することができ、室温〜100℃の範囲内に設定した場合には実用的にも好適である。また、重合は減圧下、常圧下および加圧下のいずれの圧力条件下でも行うことができるが、圧力条件を常圧〜100気圧程度、更には常圧〜50気圧程度にすることにより、実用的にも好適に重合を行うことができる。このような温度および圧力条件下におけるラジカル重合の開始、進行は、有機ラジカル開始剤、無機ラジカル開始剤、光、電離性放射線、熱等により行わせることができる。
このようにして得られるラジカル共重合体は、主鎖に、例えば下記式で表される環状構造を有する含フッ素重合体である。
Figure 2009117619
前記のフッ素ポリマー類は電気抵抗率、絶縁破壊強度、防湿性等に優れている上、気相成膜が可能であるという長所を有する。
本発明の製造方法においては、上述のフッ素ポリマーを単独で、または、二種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明におけるフッ素ポリマーは、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレン、ポリトリクロロフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンとパーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソールの無定形共重合体、または、パーフルオロアリルビニルエーテル(CF2=CF−O−CF2−CF=CF2)の重合体から選ばれる少なくとも一種であると好ましい。
本発明の製造方法では、絶縁体層の形成工程がフッ素ポリマーの気相成膜を含む。この成膜に適用される気相成膜法としては、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、特開平11−61406号公報、同11−133205号公報、特開2000−121804号公報、同2000−147209号公報、同2000−185362号公報に記載の大気圧プラズマ法などの気相成膜が挙げられる。前記フッ素ポリマーは液相成膜可能なものもあるが、絶縁体層を液相成膜した場合には、溶媒に含まれる不純物が影響したり、真空一貫での成膜が不可能であるため大気暴露に伴い表面状態が変化してしまい、得られる有機TFTの性能が不十分となる。気相成膜法としては、真空蒸着法またはスパッタ法を適用することが好ましく、真空蒸着法がより好ましい。
前記真空蒸着法としては、具体的には、抵抗加熱法、電子ビーム加熱法、高周波誘導加熱法、反応性蒸着法、分子線エピタキシー法、ホットウォール蒸着法、イオンプレーティング法、クラスターイオンビーム法、蒸着重合法等が挙げられる。
前記スパッタ法としては、具体的には、2極スパッタ法、2極マグネトロンスパッタ法、3極および4極プラズマスパッタ法、反応性スパッタ法、イオンビームスパッタ法等が挙げられる。
本発明の気相成膜における成膜条件は、原料および適用する気相成膜法の種類により異なるが、例えば真空蒸着法(抵抗加熱法、電子ビーム加熱法、高周波誘導加熱法)の場合は、蒸着前真空度は概ね1×10-2Pa以下好ましくは6×10-4Pa以下、蒸着源の加熱温度は概ね700℃以下好ましくは600℃以下、基板温度は概ね200℃以下好ましくは100℃以下であり、蒸着速度を50nm/秒以下、好ましくは3nm/秒以下として成膜することが望ましい。
絶縁体層の膜厚については、フッ素ポリマーは比誘電率が低いため、有機TFTの駆動電圧を低下させるためには可能な限り薄いほうが良いが、逆に薄膜化に伴いソース−ゲート間のリーク電流が大きくなるので、適切な膜厚を選ぶ必要がある。通常10nm〜5μm、好ましくは50nm〜2μm、さらに好ましくは100nm〜1μmである。
絶縁体層は前記フッ素ポリマー膜1層のみにより構成しても良いが、2層以上の絶縁膜を積層することもでき、その場合、有機半導体層に隣接する1層がフッ素ポリマー膜であることが好ましい。フッ素ポリマー膜1層のみで絶縁体層を形成しても、絶縁性が高いため十分薄い膜厚にすることで高性能な有機TFTが形成できるが、誘電率の高いほかの絶縁膜と組み合わせることでより容易に低閾値電圧化できる。一般に表面エネルギーの小さいポリマーは比誘電率が低く有機TFTの閾値電圧が大きくなる。特開2005-72569号公報および特開2005-013468号公報は比誘電率の高い絶縁体層と液相の低誘電率ポリマーを組み合わせることで高移動度かつ低い閾値電圧の有機TFTを開示している。本発明では、2層以上の絶縁膜を使用する場合、半導体に直接接する第一絶縁膜が前記フッ素ポリマーの気相成膜により形成されれば、ゲート電極に接する第二絶縁膜の材料及び形成方法は特に限定されない。
前記第一絶縁膜は前記フッ素ポリマーの気相成膜によって形成されると好ましく、その膜厚は連続膜を形成出来れば薄いほど良い。具体的には、0.5nm〜100nm、好ましくは1nm〜20nm、さらに好ましくは1nm〜10nmである。
前記第二絶縁膜は金属酸化物(珪素の酸化物を含む)、金属窒化物(珪素の窒化物を含む)、アルコキシド金属を含む前駆物質、絶縁性有機化合物、高い誘電率を持つ高分子材料など室温での電気抵抗率が10Ωcm以上の材料を用いることができ、特に、比誘電率が3より高いものが好ましい。
前記金属酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、ランタン酸化物、フッ素酸化物、マグネシウム酸化物、ビスマス酸化物、チタン酸ビスマス、ニオブ酸化物、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、五酸化タンタル、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウム及びこれらを組合せたものが挙げられ、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタンが好ましい。
前記金属窒化物としては、窒化ケイ素(Si34、SixNy(x、y>0))、窒化アルミニウム等を好適に用いることができる。
また、前記第二絶縁膜は、前述のアルコキシド金属を含む前駆物質で形成されていても良く、この前駆物質の溶液を、例えば基板に被覆し、これを熱処理も含む化学溶液処理をすることにより絶縁膜が形成される。
前記アルコキシド金属を含む前駆物質における金属としては、例えば、遷移金属、ランタノイド、又は主族元素から選択され、具体的には、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、チタン(Ti)、ビスマス(Bi)、タンタル(Ta)、ジルコン(Zr)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、鉛(Pb)、ランタン(La)、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、フランシウム(Fr)ベリリウム(Be)マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ニオブ(Nb) 、タリウム(Tl)、水銀(Hg)、銅(Cu)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、スカンジウム(Sc)及びイットリウム(Y)等が挙げられる。
前記アルコキシド金属を含む前駆物質におけるアルコキシドとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール等を含むアルコール類、メトキシエタノール、エトキシエタノール、プロポキシエタノール、ブトキシエタノール、ペントキシエタノール、ヘプトキシエタノール、メトキシプロパノール、エトキシプロパノール、プロポキシプロパノール、ブトキシプロパノール、ペントキシプロパノール、ヘプトキシプロパノールを含むアルコキシアルコール類等から誘導されるものが挙げられる。
本発明の製造方法において、第二絶縁膜を上記したような材料で構成すると、有機半導体層中に蓄積層が発生しやすくなり、トランジスタ動作の閾値電圧を低減することができる。また、上記材料の中でも、特に、Si34、Sixy、SiONx(x、y>0)等の窒化ケイ素で絶縁膜を形成すると、蓄積層がいっそう発生しやすくなり、トランジスタ動作の閾値電圧をさらに低減させることができる。
前記絶縁性有機化合物としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、光ラジカル重合系又は光カチオン重合系の光硬化性樹脂、アクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ノボラック樹脂、及びシアノエチルプルラン等が挙げられる。
前記高い誘電率を持つ高分子材料としては、ワックス、ポリエチレン、ポリクロロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリオキシメチレン、ポリビニルクロライド、ポリフッ化ビニリデン、ポリメチルメタクリレート、ポリサルホン、ポリカーボネート、ポリイミドシアノエチルプルラン、ポリ(ビニルフェノール)(PVP)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリオレフィン、ポリアクリルアミド、ポリ(アクリル酸)、ノボラック樹脂、レゾール樹脂、ポリイミド、ポリキシリレン、エポキシ樹脂に加え、プルランなどの高分子材料が挙げられる。
前記第二絶縁膜は、前述したような無機又は有機化合物材料を複数用いた混合層であっても良く、これらの積層構造体であっても良い。この場合、必要に応じて誘電率の高い材料と撥水性を有する材料を混合したり、積層したりすることによりデバイスの性能を制御することもできる。
また、前記第二絶縁膜は、陽極酸化膜であってもよく、該陽極酸化膜を含んでも良い。陽極酸化膜は封孔処理されることが好ましい。陽極酸化膜は、陽極酸化が可能な金属を公知の方法により陽極酸化することにより形成される。
陽極酸化処理可能な金属としては、アルミニウム又はタンタルを挙げることができ、陽極酸化処理の方法には特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。陽極酸化処理を行なうことにより、酸化被膜が形成される。陽極酸化処理に用いられる電解液としては、多孔質酸化皮膜を形成することができるものならばいかなるものでも使用でき、一般には、硫酸、燐酸、蓚酸、クロム酸、ホウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸等あるいはこれらを2種類以上組み合わせた混酸又はそれらの塩が用いられる。陽極酸化の処理条件は使用する電解液により種々変化するので一概に特定し得ないが、一般的には、電解液の濃度が1〜80質量%、電解液の温度5〜70℃、電流密度0.5〜60A/cm2、電圧1〜100ボルト、電解時間10秒〜5分の範囲が適当である。好ましい陽極酸化処理は、電解液として硫酸、リン酸又はホウ酸の水溶液を用い、直流電流で処理する方法であるが、交流電流を用いることもできる。これらの酸の濃度は5〜45質量%であることが好ましく、電解液の温度20〜50℃、電流密度0.5〜20A/cm2で20〜250秒間電解処理するのが好ましい。
第二絶縁膜の厚さとしては、層の厚さが薄いと有機半導体に印加される実効電圧が大きくなるので、デバイス自体の駆動電圧、閾電圧を下げることができるが、逆にソース−ゲート間のリーク電流が大きくなるので、適切な膜厚を選ぶ必要がある。通常10nm〜5μm、好ましくは50nm〜2μm、さらに好ましくは100nm〜1μmである。
第二絶縁膜は有機半導体に直接接触しないため、表面エネルギーが不純物や大気中の成分により変化しても有機半導体薄膜の結晶成長に影響を与えないため、第二絶縁膜の形成方法としては特に限定されず、気相成膜でも液相成膜でも利用できる。真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、特開平11−61406号公報、同11−133205号公報、特開2000−121804号公報、同2000−147209号公報、同2000−185362号公報に記載の大気圧プラズマ法などの気相成膜や、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、デイップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法、印刷やインクジェットなどの液相成膜が挙げられ、材料に応じて使用できる。ウェットプロセスは、無機酸化物の微粒子を、任意の有機溶剤又は水に必要に応じて界面活性剤などの分散補助剤を用いて分散した液を塗布、乾燥する方法や、酸化物前駆体、例えば、アルコキシド体の溶液を塗布、乾燥する、いわゆるゾルゲル法が用いられる。
(素子構成)
本発明の有機薄膜トランジスタの素子構成としては、少なくとも基板上にゲート電極、ソース電極及びドレイン電極の3端子、絶縁体層並びに有機半導体層が設けられ、ソース−ドレイン間電流をゲート電極に電圧を印加することによって制御する薄膜トランジスタであれば、限定されず、公知の素子構成を有するものであっても良い。これらのうち、代表的な有機薄膜トランジスタの素子構成として素子A〜Dを図1〜4に示す。このように、電極の位置、層の積層順などによりいくつかの構成が知られており、本発明の有機薄膜トランジスタは、電界効果トランジスタ(FET: Field Effect Transistor)構造を有している。有機薄膜トランジスタは、有機半導体層(有機化合物層)と、相互に所定の間隔をあけて対向するように形成されたソース電極及びドレイン電極と、ソース電極、ドレイン電極からそれぞれ所定の距離をあけて形成されたゲート電極とを有し、ゲート電極に電圧を印加することによってソース−ドレイン電極間に流れる電流を制御する。ここで、ソース電極とドレイン電極の間隔は本発明の有機薄膜トランジスタを用いる用途によって決定され、通常は0.1μm〜1mm、好ましくは1μm〜100μm、さらに好ましくは5μm〜100μmである。
素子A〜Dのうち、図1の素子Aを例としてさらに詳しく説明すると、素子Aの有機薄膜トランジスタは、基板上に、ゲート電極及び絶縁体層をこの順に有し、絶縁体層上に、所定の間隔をあけて形成された一対のソース電極及びドレイン電極を有し、その上に有機半導体層が形成される。有機半導体層がチャネル領域を成しており、ゲート電極に印加される電圧でソース電極とドレイン電極の間に流れる電流が制御されることによってオン/オフ動作する。
本発明の有機薄膜トランジスタは、前記素子A〜D以外の素子構成にも、有機薄膜トランジスタとして種々の構成が提案されており、ゲート電極に印加される電圧でソース電極とドレイン電極の間に流れる電流が制御されることによってオン/オフ動作や増幅などの効果が発現する仕組みであればこれらの素子構成に限定されるものではなく、例えば、産業技術総合研究所の吉田らにより第49回応用物理学関係連合講演会講演予稿集27a−M−3(2002年3月)において提案されたトップアンドボトムコンタクト型有機薄膜トランジスタ(図5参照)や、千葉大学の工藤らにより電気学会論文誌118−A(1998)1440頁において提案された縦形の有機薄膜トランジスタ(図6参照)のような素子構成を有するものであっても良い。
(有機半導体層)
有機半導体層に用いる有機半導体は特に限定されるものではなく、例えば、非特許文献Chemical Review、107巻、1066頁 2007年に記載の有機半導体材料などが挙げられる。また、本発明において、有機半導体層には、上記有機半導体材料から選ばれる複数の材料を組み合わせても良く、複数の材料は混合しても、積層しても良い。具体的には、ペンタセン、ナフタセン、アントラセン、ヘプタセン、ヘキサセン、C60、C70、フェナントレン、ピレン、クリセン、ペリレン、コロネン、ルブレン、フタロシアニン類、ポルフィリン類などの低分子材料およびその誘導体、ジスチリルベンゼン、オリゴアセチレン、オリゴチオフェン、オリゴセレノフェンなどのオリゴマー類およびその誘導体、ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−コ−ビチオフェン)、ポリフェニレンビニレン、ポリチエニレンビニレン、等のπ共役系高分子類およびその誘導体などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
(有機半導体層の形成方法)
有機半導体層の形成方法は特に限定されることはなく公知の方法を適用できる。より望ましくは、図1や図2に記載の素子A,Bのような素子構成の場合、絶縁体層の形成工程と有機半導体層の形成工程を大気にさらすことなく連続して行うことが好ましい。また成膜方法は、分子線蒸着法(MBE法)、真空蒸着法、化学蒸着法、分子ビーム蒸着などの気相成膜を含むことが望ましい。材料を溶媒に溶かした溶液のディッピング法、スピンコーティング法、キャスティング法、バーコート法、ロールコート法等の印刷、塗布法及びベーキング、エレクトロポリマラインゼーション、溶液からのセルフ・アセンブリ、及びこれらの組合せた手段により、前記したような有機半導体層の材料で液相形成する場合は、絶縁体層形成後には直接嫌気下のグローブボックスに取り出し、大気暴露することなくグローブボックス内で成膜を行うことが望ましい。また有機半導体層形成は前記成膜方法の2つ以上を組み合わせても良い。
また、図3や図4に記載の素子C,Dのように半導体形成後に絶縁膜を形成する素子構成においても、半導体を成膜後、大気にさらすことなくフッ素ポリマー層を形成することが望ましい。この場合も半導体の成膜は特に限定されず前記の成膜方法が適用できるが、気相成膜が望ましい。
本発明の有機薄膜の形成方法としては、絶縁体層の形成工程がフッ素ポリマーの気相成膜を含む以外は、公知の方法によれば良く、望ましくは上記に示したように半導体および絶縁膜層形成の工程は大気に暴露せず連続して行うことが好ましい。ただし、有機半導体層としてp型有機半導体材料を選んだ場合、大気に暴露することで性能が向上する半導体材料については、半導体−絶縁体層形成工程以降の工程において大気暴露することが望ましい。
本発明の有機薄膜トランジスタにおける有機半導体層の膜厚は、特に制限されることはないが、通常、0.5nm〜1μmであり、2nm〜250nmであると好ましい。
有機半導体層の結晶性を向上させると電界効果移動度が向上するため、気相からの成膜(蒸着、スパッタ等)を用いる場合は成膜中の基板温度を高温で保持することが望ましい。その温度は50〜250℃が好ましく、70〜150℃であるとさらに好ましい。また、成膜方法に関わらず成膜後にアニーリングを実施すると高性能デバイスが得られるため好ましい。アニーリングの温度は50〜200℃が好ましく、70〜200℃であるとさらに好ましく、時間は10分〜12時間が好ましく、1〜10時間であるとさらに好ましい。
(基板)
本発明の有機薄膜トランジスタにおける基板は、有機薄膜トランジスタの構造を支持する役目を担うものであり、材料としてはガラスの他、金属酸化物や窒化物などの無機化合物、プラスチックフィルム(PET、PES、PC)や金属基板又はこれら複合体や積層体なども用いることが可能である。また、基板以外の構成要素により有機薄膜トランジスタの構造を十分に支持し得る場合には、基板を使用しないことも可能である。また、基板の材料としてはシリコン(Si)ウエハが用いられることが多い。この場合、Si自体をゲート電極兼基板として用いることができる。また、Siの表面を酸化し、SiO2を形成して第二絶縁膜として活用することも可能である。この場合、図7に示すように、基板兼ゲート電極のSi基板にリード線接続用の電極として、Auなどの金属層を成膜することもある。
(電極)
本発明の有機薄膜トランジスタにおける、ゲート電極、ソース電極及びドレイン電極の材料としては、導電性材料であれば特に限定されず、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、酸化スズ・アンチモン、酸化インジウム・スズ(ITO)、フッ素ドープ酸化亜鉛、亜鉛、炭素、グラファイト、グラッシーカーボン、銀ペースト及びカーボンペースト、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、マンガン、ジルコニウム、ガリウム、ニオブ、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、リチウム/アルミニウム混合物等が用いられる。
本発明の有機薄膜トランジスタにおいて、ソース電極、ドレイン電極としては、上記の導電性材料を含む、溶液、ペースト、インク、分散液などの流動性電極材料を用いて形成したもの、特に、導電性ポリマー、又は白金、金、銀、銅を含有する金属微粒子を含む流動性電極材料が好ましい。また、溶媒や分散媒体としては、有機半導体へのダメージを抑制するため、水を60質量%以上、好ましくは90質量%以上含有する溶媒又は分散媒体であることが好ましい。金属微粒子を含有する分散物としては、例えば、公知の導電性ペーストなどを用いても良いが、通常粒子径が0.5nm〜50nm、1nm〜10nmの金属微粒子を含有する分散物であると好ましい。この金属微粒子の材料としては、例えば、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、亜鉛等を用いることができる。
これらの金属微粒子を、主に有機材料からなる分散安定剤を用いて、水や任意の有機溶剤である分散媒中に分散した分散物を用いて電極を形成するのが好ましい。このような金属微粒子の分散物の製造方法としては、ガス中蒸発法、スパッタリング法、金属蒸気合成法などの物理的生成法や、コロイド法、共沈法などの、液相で金属イオンを還元して金属微粒子を生成する化学的生成法が挙げられ、好ましくは、特開平11−76800号公報、同11−80647号公報、同11−319538号公報、特開2000−239853号公報等に示されたコロイド法、特開2001−254185号公報、同2001−53028号公報、同2001−35255号公報、同2000−124157号公報、同2000−123634号公報などに記載されたガス中蒸発法により製造された金属微粒子の分散物である。
これらの金属微粒子分散物を用いて前記電極を成形し、溶媒を乾燥させた後、必要に応じて100℃〜300℃、好ましくは150℃〜200℃の範囲で形状様に加熱することにより、金属微粒子を熱融着させ、目的の形状を有する電極パターンを形成する。
さらに、ゲート電極、ソース電極及びドレイン電極の材料として、ドーピング等で導電率を向上させた公知の導電性ポリマーを用いることも好ましく、例えば、導電性ポリアニリン、導電性ポリピロール、導電性ポリチオフェン(ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体など)、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)とポリスチレンスルホン酸の錯体なども好適に用いられる。これらの材料によりソース電極とドレイン電極の有機半導体層との接触抵抗を低減することができる。
ソース電極及びドレイン電極を形成する材料は、前述した例の中でも有機半導体層との接触面において電気抵抗が少ないものが好ましい。この際の電気抵抗は、すなわち電流制御デバイスを作製したとき電界効果移動度と対応しており、大きな移動度を得る為には出来るだけ抵抗が小さいことが必要である。これは一般に電極材料の仕事関数と有機半導体層のエネルギー準位との大小関係で決まる。
電極材料の仕事関数(W)をa、有機半導体層のイオン化ポテンシャルを(Ip)をb、有機半導体層の電子親和力(Af)をcとすると、以下の関係式を満たすことが好ましい。ここで、a、b及びcはいずれも真空準位を基準とする正の値である。
p型有機薄膜トランジスタの場合には、b−a<1.5eV(式(I))であることが好ましく、さらに好ましくはb−a<1.0eVである。有機半導体層との関係において上記関係が維持できれば高性能なデバイスを得ることができるが、特に電極材料の仕事関数はできるだけ大きいことものを選ぶことが好ましく、仕事関数4.0eV以上であることが好ましく、さらに好ましくは仕事関数4.2eV以上である。
金属の仕事関数の値は、例えば化学便覧 基礎編II−493頁(改訂3版 日本化学会編 丸善株式会社発行1983年)に記載されている4.0eV又はそれ以上の仕事関数をもつ有効金属の前記リストから選別すれば良く、高仕事関数金属は、主としてAg(4.26、4.52、4.64、4.74eV)、Al(4.06、4.24、4.41eV)、Au(5.1、5.37、5.47eV)、Be(4.98eV)、Bi(4.34eV)、Cd(4.08eV)、Co(5.0eV)、Cu(4.65eV)、Fe(4.5、4.67、4.81eV)、Ga(4.3eV)、Hg(4.4eV)、Ir(5.42、5.76eV)、Mn(4.1eV)、Mo(4.53、4.55、4.95eV)、Nb(4.02、4.36、4.87eV)、Ni(5.04、5.22、5.35eV)、Os(5.93eV)、Pb(4.25eV)、Pt(5.64eV)、Pd(5.55eV)、Re(4.72eV)、Ru(4.71eV)、Sb(4.55、4.7eV)、Sn(4.42eV)、Ta(4.0、4.15、4.8eV)、Ti(4.33eV)、V(4.3eV)、W(4.47、4.63、5.25eV)、Zr(4.05eV)である。これらの中でも、貴金属(Ag、Au、Cu、Pt)、Ni、Co、Os、Fe、Ga、Ir、Mn、Mo、Pd、Re、Ru、V、Wが好ましい。金属以外では、ITO、ポリアニリンやPEDOT:PSSのような導電性ポリマー及び炭素が好ましい。電極材料としてはこれらの高仕事関数の物質を1種又は複数含んでいても、仕事関数が前記式(I)を満たせば特に制限を受けるものではない。
n型有機薄膜トランジスタの場合にはa−c<1.5eV(式(II))であることが好ましく、さらに好ましくはa−c<1.0eVである。有機半導体層との関係において上記関係が維持できれば高性能なデバイスを得ることができるが、特に電極材料の仕事関数はできるだけ小さいものを選ぶことが好ましく、仕事関数4.3eV以下であることが好ましく、さらに好ましくは仕事関数3.7eV以下である。
低仕事関数金属の具体例としては、例えば化学便覧 基礎編II−493頁(改訂3版 日本化学会編 丸善株式会社発行1983年)に記載されている4.3eV又はそれ以上の仕事関数をもつ有効金属の前記リストから選別すれば良く、Ag(4.26eV)、Al(4.06、4.28eV)、Ba(2.52eV)、Ca(2.9eV)、Ce(2.9eV)、Cs(1.95eV)、Er(2.97eV)、Eu(2.5eV)、Gd(3.1eV)、Hf(3.9eV)、In(4.09eV)、K(2.28)、La(3.5eV)、Li(2.93eV)、Mg(3.66eV)、Na(2.36eV)、Nd(3.2eV)、Rb(4.25eV)、Sc(3.5eV)、Sm(2.7eV)、Ta(4.0、4.15eV)、Y(3.1eV)、Yb(2.6eV)、Zn(3.63eV)等が挙げられる。これらの中でも、Ba、Ca、Cs、Er、Eu、Gd、Hf、K、La、Li、Mg、Na、Nd、Rb、Y、Yb、Znが好ましい。電極材料としてはこれらの低仕事関数の物質を1種又は複数含んでいても、仕事関数が前記式(II)を満たせば特に制限を受けるものではない。ただし、低仕事関数金属は、大気中の水分や酸素に触れると容易に劣化してしまうので、必要に応じてAgやAuのような空気中で安定な金属で被覆することが望ましい。被覆に必要な膜厚は10nm以上必要であり、膜厚が熱くなるほど酸素や水から保護することができるが、実用上、生産性を上げる等の理由から1um以下にすることが望ましい。
前記電極の形成方法としては、例えば、蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、大気圧プラズマ法、イオンプレーティング、化学気相蒸着、電着、無電解メッキ、スピンコーティング、印刷又はインクジェット等の手段により形成される。また、必要に応じてパターニングする方法としては、上記の方法を用いて形成した導電性薄膜を、公知のフォトリソグラフ法やリフトオフ法を用いて電極形成する方法、アルミニウムや銅などの金属箔上に熱転写、インクジェット等により、レジストを形成しエッチングする方法がある。また、導電性ポリマーの溶液あるいは分散液、金属微粒子を含有する分散液等を直接インクジェット法によりパターニングしても良く、塗工膜からリソグラフやレーザーアブレーションなどにより形成しても良い。さらに導電性ポリマーや金属微粒子を含有する導電性インク、導電性ペーストなどを凸版、凹版、平版、スクリーン印刷などの印刷法でパターニングする方法も用いることができる。このようにして形成された電極の膜厚は電流の導通さえあれば特に制限はないが、好ましくは0.2nm〜10μm、さらに好ましくは4nm〜300nmの範囲である。この好ましい範囲内であれば、膜厚が薄いことにより抵抗が高くなり電圧降下を生じることがない。また、厚すぎないため膜形成に時間がかからず、保護層や有機半導体層など他の層を積層する場合に、段差が生じることが無く積層膜が円滑にできる。
また、本実施の有機薄膜トランジスタでは、例えば、注入効率を向上させる目的で、有機半導体層とソース電極及びドレイン電極との間に、バッファ層を設けても良い。バッファ層としてはn型有機薄膜トランジスタに対しては有機ELの陰極に用いられるLiF、Li2O、CsF、NaCO3、KCl、MgF2、CaCO3などのアルカリ金属、アルカリ土類金属イオン結合を持つ化合物が望ましい。
p型有機薄膜トランジスタに対しては、FeCl3、TCNQ、F4−TCNQ、HATなどのシアノ化合物、CFxやGeO2、SiO2、MoO3、V25、VO2、V23、MnO、Mn34、ZrO2、WO3、TiO2、In23、ZnO、NiO、HfO2、Ta25、ReO3、PbO2などのアルカリ金属、アルカリ土類金属以外の金属酸化物、ZnS、ZnSeなどの無機化合物が望ましい。これらの酸化物は多くの場合、酸素欠損を起こし、これが正孔注入に好適である。更にはTPDやNPDなどのアミン系化合物やCuPcなど有機EL素子において正孔注入層、正孔輸送層として用いられる化合物でもよい。また、上記の化合物二種類以上からなるものが望ましい。
さらに、例えば、大気中に含まれる酸素、水などの有機半導体層に対する影響を考慮し、有機トランジスタ素子の外周面の全面又は一部に、ガスバリア層を形成しても良い。ガスバリア層を形成する材料としては、この分野で常用されるものを使用でき、例えば、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリクロロトリフロロエチレンなどが挙げられる。さらに、前記絶縁体層で例示した、絶縁性を有する無機および有機物も使用できる。
実施例1
25×20×1.1mmのサイズのガラスを基板として用い、この基板上にITO膜を100nmの厚さで成膜し、フォトリソグラフィー法を用いてパターニングし、透明ゲート電極とした(以下、ITO膜が成膜された基板を透明支持基板という)。この透明支持基板をイソプロピルアルコールで5分間超音波洗浄した後、純水で5分間洗浄し、さらにイソプロピルアルコールで5分間超音波洗浄した後に乾燥N2ガスを吹き付けて乾燥させた。そして最後に、UVオゾン洗浄装置[株式会社サムコインターナショナル製]で30分間洗浄した。洗浄後の透明支持基板を二元蒸着可能な市販の真空蒸着装置[株式会社 アルバック製]の基板ホルダーに固定し、一連の真空環境下で以下の要領で絶縁体層を設けた。まず、蒸着源としてテトラフルオロエチレンとパーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール[前記式(Ia)で表されるコモノマー]との無定形共重合体粉末(商品名テフロンAF、デュポン社製)1.5gを収容したアルミナ製坩堝を予め入れておいたタングステン製バスケットの上方(アルミナ製坩堝の上)に12μmφのステンレス製メッシュをかぶせた。次いで、真空チャンバー内を1×10-4Paまで減圧した後、タングステン製バスケットに通電加熱して蒸着源を455℃に加熱して、透明支持基板上に蒸着速度0.5nm/sで膜厚0.8μm(800nm)のテフロンAF薄膜(絶縁体層)を設けた。なお、ITO電極を除く各層の膜厚および蒸着速度は、真空チャンバー内に配置されている水晶振動式膜厚計[株式会社 アルバック製]により蒸着膜の膜厚をモニターしながら制御した。また、得られた各層の膜厚は触針式膜厚計で測定し、水晶振動式膜厚計の読みと一致することを確認した。絶縁体層形成後、一旦大気に基板を暴露し、30分後、再度真空蒸着装置の中に固定し、1×10-4Pa以下まで真空排気した。ペンタセン入りのタングステンボートを通電加熱して蒸着源を400℃に加熱して、積層構造体の外表面に蒸着速度0.05nm/sで膜厚50nmのペンタセン薄膜(有機半導体層)を設けた。最後に金属マスクを通して金を50nmの膜厚で成膜することにより、互いに接しないソース電極及びドレイン電極を、間隔(チャンネル長L)が75μmになるように形成した(図8参照)。そのときソース電極とドレイン電極の幅(チャンネル幅W)は5mmとなるように成膜して有機薄膜トランジスタを作製した。得られた有機薄膜トランジスタのゲート電極に0〜100Vのゲート電圧を印加し、ソース−ドレイン間に電圧を印加して電流を流した。この場合、電子が有機半導体層のチャンネル領域(ソース−ドレイン間)に誘起され、p型トランジスタとして動作する。その結果、電流飽和領域でのソース−ドレイン電極間の電流のオン/オフ比は9.0×105であった。また、正孔の電界効果移動度μを下記式(A)より算出したところ0.47cm2/Vsであった。また、閾値電圧は−40Vであった。
D=(W/2L)・Cμ・(VG−VT)2 (A)
式中、IDはソース−ドレイン間電流、Wはチャンネル幅、Lはチャンネル長、Cはゲート絶縁体層の単位面積あたりの電気容量、VTはゲート閾値電圧、VGはゲート電圧である。
比較例1
まず、溶媒としてフロリナートFC−42(商品名、住友スリーエム株式会社製)を10g用い、溶質としてテトラフルオロエチレンとパーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール[前記式(Ia)で表されるコモノマー]との無定形共重合体粉末(商品名:テフロンAF、デュポン社製)を用いて、10重量%溶液を調整した。この溶液を、市販のスピンコーターにより、パターニングITO電極付透明支持基板上に2000rpmにてスピンコート成膜を行った。テフロンAFの膜厚は800−1200nmであった。半導体成膜および金電極成膜は実施例1と同様にして行い、有機薄膜トランジスタを作製した。膜厚が820nmの素子について実施例1と同様に移動度を見積もったところ、0.09cm2/Vsであった。また、閾値電圧は−51Vであり、オン/オフ比は2.1×103であった。実施例1と比較例1との比較から、フッ素ポリマーを気相成膜で作製した方が移動度、およびオン/オフ比に優れていることがわかる。
実施例2
絶縁体層を気相成膜後、基板を大気にさらすことなくペンタセン薄膜、ソース電極及びドレイン電極を成膜した以外は実施例1と同様にして有機薄膜トランジスタを作製した。得られた素子の移動度は0.61cm2/Vsであり、閾値電圧は−34Vであり、オン/オフ比は1.0×107であった。
実施例3
絶縁体層の材料として、パーフルオロアリルビニルエーテルの重合体(商品名CYTOP、旭硝子株式会社製)を成膜した以外は実施例2と同様にして有機薄膜トランジスタを作製した。CYTOPの成膜は、真空チャンバー内を1×10-4Pa以下まで減圧した後、タングステン製バスケットに通電加熱して蒸着源を390℃に加熱して、透明支持基板上に蒸着速度0.5nm/sで行い、膜厚0.8μm(800nm)のCYTOP薄膜(絶縁体層)を得た。その後実施例2と同様にして有機半導体層、ソース電極及びドレイン電極を作製した。実施例3の方法で作製した有機薄膜トランジスタは、移動度が0.56cm2/Vsであり、閾値電圧は−36Vであり、オン/オフ比は8.4×106であった。フッ素ポリマーを用いることで実施例1及び2と同様に良好な性能が実現している。
実施例4
Si基板(P型比抵抗1Ωcmゲート電極兼用)を熱酸化法にて表面を酸化させ、基板上300nmの熱酸化膜を作製して絶縁膜とした。さらに基板の一方に成膜したSiO2膜をドライエッチングにて完全に除去した後、スパッタ法にてクロムを20nmの膜厚で成膜し、さらにその上に金(Au)を100nmスパッタにて成膜し取り出し電極とした。この基板を、中性洗剤、純水、アセトン及びエタノールで各30分超音波洗浄した。
次に、真空蒸着装置(ULVAC社製)に設置し、絶縁膜(SiO2)上に実施例2の方法でテフロンAFを2nm膜厚の絶縁膜として成膜した(図9参照)。その後実施例2と同様にして有機半導体層、ソース電極及びドレイン電極を作製した。得られた有機薄膜トランジスタの電流のオン/オフ比は2.2×107であり、移動度は0.63cm2/Vsであり、閾値電圧は−8Vであった。
実施例5
絶縁体層の材料として、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)(PCTFE)を使用した以外は実施例2と同様にして素子を作製した。PTCFEの成膜は、真空チャンバー内を1×10-4Pa以下まで減圧した後、タングステン製バスケットに通電加熱して蒸着源を400℃に加熱して、透明支持基板上に蒸着速度0.5nm/sで行い、膜厚800nmのPTCFE薄膜(絶縁体層)を得た。その後実施例2と同様にして有機半導体層、ソース電極及びドレイン電極を作製した。オン/オフ比は7.9×106であり、移動度は0.51cm2/Vsであり、閾値電圧は−36Vであった。
比較例2
絶縁体層の材料として、ポリエチレンを使用した以外は実施例1と同様にして有機薄膜トランジスタを作製した。ポリエチレンの成膜は、真空チャンバー内を1×10-4Pa以下まで減圧した後、タングステン製バスケットに通電加熱して蒸着源を370℃に加熱して、透明支持基板上に蒸着速度0.5nm/sで行い、膜厚800nmのポリエチレン薄膜(絶縁体層)を得た。その後実施例1と同様にして有機半導体層、ソース電極及びドレイン電極を作製した。オン/オフ比は5.2×105であり、移動度は0.08cm2/Vsであり、閾値電圧は−56Vであった。
Figure 2009117619
以上のように、本発明の有機薄膜トランジスタの製造方法によれば、フッ素ポリマーを気相成膜することにより高性能なTFT特性が得られるため、トランジスタとして有用である。
本発明の有機TFTの素子構成の一例を示す図である。 本発明の有機TFTの素子構成の一例を示す図である。 本発明の有機TFTの素子構成の一例を示す図である。 本発明の有機TFTの素子構成の一例を示す図である。 本発明の有機TFTの素子構成の一例を示す図である。 本発明の有機TFTの素子構成の一例を示す図である。 本発明の有機TFTの素子構成の一例を示す図である。 本発明の実施例1、2、4及び5並びに比較例1及び2において得られた有機TFTの素子構成を示す図である。 本発明の実施例3において得られた有機TFTの素子構成を示す図である。

Claims (6)

  1. 少なくとも基板上にゲート電極、ソース電極及びドレイン電極の3端子、絶縁体層並びに有機半導体層が設けられ、ソース−ドレイン間電流をゲート電極に電圧を印加することによって制御する有機薄膜トランジスタを作製する方法であって、該絶縁体層の形成工程がフッ素ポリマーの気相成膜を含むことを特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法。
  2. 前記絶縁体層の形成工程と有機半導体層の形成工程を大気にさらすことなく連続して行う請求項1に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
  3. 前記有機半導体層の形成工程が気相成膜を含む請求項2に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
  4. 前記絶縁体層が2層以上の絶縁膜を有し、かつ、前記有機半導体層に隣接する1層がフッ素ポリマー膜である請求項1〜3のいずれかに記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
  5. 前記フッ素ポリマーが、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレン、ポリトリクロロフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンとパーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソールの無定形共重合体、または、パーフルオロアリルビニルエーテル(CF2=CF−O−CF2−CF=CF2)の重合体から選ばれる少なくとも一種からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の方法で製造されてなる有機薄膜トランジスタ。
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