JP2013232633A - 有機半導体溶液、当該有機半導体溶液を用いた印刷用有機半導体インク - Google Patents
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Abstract
【課題】基板への濡れ性に優れ、均一な有機半導体の膜を形成し、高い素子性能を得られる溶液を提供する。
【解決手段】有機半導体材料と、静置状態における表面張力が20〜30mN/mであり、及び20℃での蒸気圧が2〜13kPaの範囲である溶媒(A)と、静置状態における表面張力が28〜40mN/mであり、及び20℃での蒸気圧が2kPa未満である溶媒(B)とを含む溶液。
【選択図】なし
【解決手段】有機半導体材料と、静置状態における表面張力が20〜30mN/mであり、及び20℃での蒸気圧が2〜13kPaの範囲である溶媒(A)と、静置状態における表面張力が28〜40mN/mであり、及び20℃での蒸気圧が2kPa未満である溶媒(B)とを含む溶液。
【選択図】なし
Description
本発明は、有機半導体溶液、当該有機半導体溶液を用いた印刷用有機半導体インクに関する。
薄膜トランジスタ(TFT)は、液晶表示装置等の表示用のスイッチング素子として広く用いられている。代表的なTFTは、基板上にゲート電極、絶縁体層、半導体層をこの順に有し、半導体層上に、所定の間隔をあけて形成されたソース電極及びドレイン電極を有している。TFTは、半導体層がチャネル領域を成しており、ゲート電極に印加される電圧でソース電極とドレイン電極の間に流れる電流が制御されることによってオン/オフ動作する。
従来、このTFTは、アモルファスや多結晶シリコンを用いて作製されていたが、このようなシリコンを用いたTFTの作製に用いられる化学気相成長(CVD)装置は、非常に高額であり、TFTを用いた表示装置等の大型化は、製造コストの大幅な増加を伴うという問題点があった。また、アモルファスや多結晶のシリコンを成膜するプロセスは非常に高い温度下で行われるので、基板として使用可能な材料の種類が限られてしまい、軽量な樹脂基板等は使用できないという問題があった。
このような問題を解決するために、アモルファスや多結晶シリコンに代えて有機物を用いたTFT(有機TFT)が提案されている。有機物でTFTを製造する際に用いる成膜方法として真空蒸着法や塗布法等が知られている。これらの成膜方法によれば、製造コストの上昇を抑えつつ、多数のTFTを備えた電子素子の大型化が実現可能になり、成膜時に必要となるプロセス温度を比較的低温にすることができる。このように、有機TFTでは、基板に用いる材料の選択の制限が少ないという利点があり、その実用化が期待されており、盛んに研究報告がなされている。
基板上に均一で高性能な有機電子材料の薄膜を形成するために、例えば、真空蒸着等の成膜方法を用いる場合、膜の均一性は高いものの、低分子膜の場合多結晶化が、高分子の場合熱分解等による性能低下が起きやすい。
また、グラビア印刷、オフセット印刷等の有版印刷法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法等の塗布法により有機半導体材料等の有機電子材料の薄膜を基板上に形成する場合は、真空蒸着に比して有機半導体を安価に容易に塗布することが可能であるが、均一な膜を得にくい問題がある。
例えば特許文献1では有機半導体材料を、トルエンとm-ジクロロベンゼンを組み合わせた混合溶媒に溶解し、塗布により有機半導体薄膜及び素子を形成しているが、素子構成等に多くの工夫を行わなければならず、課題があった。
また、グラビア印刷、オフセット印刷等の有版印刷法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法等の塗布法により有機半導体材料等の有機電子材料の薄膜を基板上に形成する場合は、真空蒸着に比して有機半導体を安価に容易に塗布することが可能であるが、均一な膜を得にくい問題がある。
例えば特許文献1では有機半導体材料を、トルエンとm-ジクロロベンゼンを組み合わせた混合溶媒に溶解し、塗布により有機半導体薄膜及び素子を形成しているが、素子構成等に多くの工夫を行わなければならず、課題があった。
本発明の目的は、基板への濡れ性に優れ、均一な有機半導体の膜を形成し、高い素子性能を得られる溶液を提供することである。
本発明によれば、以下の溶液等が提供される。
1. 有機半導体材料と、
静置状態における表面張力が20〜30mN/mであり、及び20℃での蒸気圧が2〜13kPaの範囲である溶媒(A)と、
静置状態における表面張力が28〜40mN/mであり、及び20℃での蒸気圧が2kPa未満である溶媒(B)と、
を含む溶液。
2.前記溶媒(A)の静置状態における表面張力が23〜26mN/mであり、及び20℃での蒸気圧が2〜5kPaの範囲である1に記載の溶液。
3.前記溶媒(A)の沸点が、75℃以上160℃以下の範囲である1又は2に記載の溶液。
4.前記溶媒(A)の質量割合が、溶液全体の5質量%以上40質量%以下である1〜3のいずれかに記載の溶液。
5.前記溶媒(A)が、エーテル系溶媒、炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、及びアルコール系溶媒からなる群から選択される1以上である1〜4のいずれかに記載の溶液。
6.前記溶媒(A)が、シクロペンチルメチルエーテルである1〜5のいずれかに記載の溶液。
7.前記溶媒(B)の静置状態における表面張力が31〜35mN/mであり、及び20℃での蒸気圧が1kPa以下である1〜6のいずれかに記載の溶液。
8.前記溶媒(B)の沸点が、130℃以上250℃以下の範囲である1〜7のいずれかに記載の溶液。
9.前記溶媒(B)の質量割合が、溶液全体の60質量%以上95質量%以下である1〜8のいずれかに記載の溶液。
10.前記溶媒(B)が、アルコキシ基芳香族化合物溶媒、芳香族アルカン溶媒、及びハロゲン化芳香族化合物溶媒からなる群から選択される1以上である1〜9のいずれかに記載の溶液。
11.静置状態における表面張力が20〜30mN/mであり、及び20℃での蒸気圧が2kPa未満である、又は静置状態における表面張力が28〜40mN/mであり、及び20℃での蒸気圧が2〜13kPaの範囲であり、前記溶媒(A)及び(B)とは異なる溶媒(C)をさらに含む1〜10のいずれかに記載の溶液。
12.1〜11のいずれかに記載の溶液を用いた印刷用有機半導体インク。
13.12に記載の印刷用有機半導体インクを成膜してなる有機半導体膜。
14.13に記載の有機半導体膜を有する有機TFT素子。
15.14に記載の有機TFT素子を備える電子機器。
1. 有機半導体材料と、
静置状態における表面張力が20〜30mN/mであり、及び20℃での蒸気圧が2〜13kPaの範囲である溶媒(A)と、
静置状態における表面張力が28〜40mN/mであり、及び20℃での蒸気圧が2kPa未満である溶媒(B)と、
を含む溶液。
2.前記溶媒(A)の静置状態における表面張力が23〜26mN/mであり、及び20℃での蒸気圧が2〜5kPaの範囲である1に記載の溶液。
3.前記溶媒(A)の沸点が、75℃以上160℃以下の範囲である1又は2に記載の溶液。
4.前記溶媒(A)の質量割合が、溶液全体の5質量%以上40質量%以下である1〜3のいずれかに記載の溶液。
5.前記溶媒(A)が、エーテル系溶媒、炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、及びアルコール系溶媒からなる群から選択される1以上である1〜4のいずれかに記載の溶液。
6.前記溶媒(A)が、シクロペンチルメチルエーテルである1〜5のいずれかに記載の溶液。
7.前記溶媒(B)の静置状態における表面張力が31〜35mN/mであり、及び20℃での蒸気圧が1kPa以下である1〜6のいずれかに記載の溶液。
8.前記溶媒(B)の沸点が、130℃以上250℃以下の範囲である1〜7のいずれかに記載の溶液。
9.前記溶媒(B)の質量割合が、溶液全体の60質量%以上95質量%以下である1〜8のいずれかに記載の溶液。
10.前記溶媒(B)が、アルコキシ基芳香族化合物溶媒、芳香族アルカン溶媒、及びハロゲン化芳香族化合物溶媒からなる群から選択される1以上である1〜9のいずれかに記載の溶液。
11.静置状態における表面張力が20〜30mN/mであり、及び20℃での蒸気圧が2kPa未満である、又は静置状態における表面張力が28〜40mN/mであり、及び20℃での蒸気圧が2〜13kPaの範囲であり、前記溶媒(A)及び(B)とは異なる溶媒(C)をさらに含む1〜10のいずれかに記載の溶液。
12.1〜11のいずれかに記載の溶液を用いた印刷用有機半導体インク。
13.12に記載の印刷用有機半導体インクを成膜してなる有機半導体膜。
14.13に記載の有機半導体膜を有する有機TFT素子。
15.14に記載の有機TFT素子を備える電子機器。
本発明によれば、基板への濡れ性に優れ、均一な有機半導体の膜を形成し、高い素子性能を得られる溶液が提供できる。
[溶液]
本発明の溶液は、有機半導体材料と、静置状態における表面張力が20〜30mN/mであり、及び20℃での蒸気圧が2〜13kPaの範囲である溶媒(A)と、静置状態における表面張力が28〜40mN/mであり、及び20℃での蒸気圧が2kPa未満である溶媒(B)を含む。
本発明の溶液は、有機半導体材料と、静置状態における表面張力が20〜30mN/mであり、及び20℃での蒸気圧が2〜13kPaの範囲である溶媒(A)と、静置状態における表面張力が28〜40mN/mであり、及び20℃での蒸気圧が2kPa未満である溶媒(B)を含む。
有機半導体材料を含む溶液を、グラビア印刷、オフセット印刷等の有版印刷法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法等の塗布法によって基板上に塗布して薄膜を形成する場合、高い表面張力を有する溶液では、基板に弾かれやすく、液の流動が起きやすいため、膜の厚みや形態が不均一になる現象が起きやすい。一方で、低い表面張力を有する溶液の場合、基板への濡れ性が向上するが、膜が乾燥する前に不必要な部分にまで膜が広がってしまい、所望の膜形態及び膜厚を得ることが困難となりやすい。このため有機半導体を含む溶液及び印刷用半導体インクには、基板に対する濡れ性を有することだけでなく、基板上で素早く均一乾燥するという2つの性質が求められる。特に、インクジェット法を用いる場合、インクの表面張力が高ければ良好な吐出性能を得られるが、一方で基板への濡れ性は低下し、表面張力が低い場合には吐出自体が困難となってしまう。
本発明の溶液(以下、本発明の有機半導体溶液という場合がある)は、特定の表面張力と蒸気圧を有する2種類の溶媒(A)及び(B)を用いることで、異なる性質を同時に満たし、均一な薄膜を得られる。
以下、本発明の溶液の各成分について説明する。
本発明の溶液(以下、本発明の有機半導体溶液という場合がある)は、特定の表面張力と蒸気圧を有する2種類の溶媒(A)及び(B)を用いることで、異なる性質を同時に満たし、均一な薄膜を得られる。
以下、本発明の溶液の各成分について説明する。
[溶媒(A)]
溶媒(A)は、静置状態における20℃での表面張力が20〜30mN/mであり、及び20℃での蒸気圧が2〜13kPaの範囲であり、好ましくは20℃での表面張力が23〜26mN/mであり、及び20℃での蒸気圧が2〜5kPaの範囲である。
溶媒(A)の表面張力は、一般に表面張力測定計(ペンダント・ドロップ法)により確認することができる。また、溶媒(A)の蒸気圧は一般にアイソテニスコープ法、沸点法により確認することができる。
溶媒(A)は、静置状態における20℃での表面張力が20〜30mN/mであり、及び20℃での蒸気圧が2〜13kPaの範囲であり、好ましくは20℃での表面張力が23〜26mN/mであり、及び20℃での蒸気圧が2〜5kPaの範囲である。
溶媒(A)の表面張力は、一般に表面張力測定計(ペンダント・ドロップ法)により確認することができる。また、溶媒(A)の蒸気圧は一般にアイソテニスコープ法、沸点法により確認することができる。
溶媒(A)は、好ましくは沸点が75℃以上160℃以下の範囲であり、より好ましくは沸点が80℃以上120℃以下の範囲である。
溶媒(A)の沸点が75℃未満の場合、乾燥が早すぎるため、膜ムラ等が発生し不均一になるおそれがある。特に、インクジェット法を用いる場合、吐出が不安定、又は吐出困難となる可能性がある。一方、溶媒(A)の沸点が160℃超の場合、乾燥が遅いため、液の流動が起きやすく、膜形態や膜厚が不均一となるおそれがある。
溶媒(A)の沸点が75℃未満の場合、乾燥が早すぎるため、膜ムラ等が発生し不均一になるおそれがある。特に、インクジェット法を用いる場合、吐出が不安定、又は吐出困難となる可能性がある。一方、溶媒(A)の沸点が160℃超の場合、乾燥が遅いため、液の流動が起きやすく、膜形態や膜厚が不均一となるおそれがある。
溶媒(A)の質量割合は、好ましくは本発明の溶液全体の5質量%以上40質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上20質量%以下である。
溶媒(A)の質量割合が5質量%未満の場合、乾燥が遅く、液が流動するため膜形態や膜厚が不均一となるおそれがある。一方、溶媒(A)の質量割合が40質量%超の場合、乾燥が早すぎるために均一な膜形態を得ることが困難となるおそれがある。また、インクジェット法を用いる場合、吐出が不安定、又は吐出困難となる可能性がある。
溶媒(A)の質量割合が5質量%未満の場合、乾燥が遅く、液が流動するため膜形態や膜厚が不均一となるおそれがある。一方、溶媒(A)の質量割合が40質量%超の場合、乾燥が早すぎるために均一な膜形態を得ることが困難となるおそれがある。また、インクジェット法を用いる場合、吐出が不安定、又は吐出困難となる可能性がある。
溶媒(A)として使用可能な溶媒としては、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)等のエーテル系溶媒;トルエン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒;メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)等のケトン系溶媒;イソプロピルアルコール(IPA)等のアルコール系が挙げられ、好ましくはシクロペンチルメチルエーテルである。
これら溶媒(A)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
これら溶媒(A)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
[溶媒(B)]
溶媒(B)は、静置状態における20℃での表面張力が28〜40mN/mであり、及び20℃での蒸気圧が2kPa未満であり、好ましくは20℃での表面張力が31〜35mN/mであり、及び20℃での蒸気圧が1kPa以下である。
尚、溶媒(B)の20℃での蒸気圧の下限は特に限定されないが、例えば0.001kPaである。
溶媒(B)の表面張力及び蒸気圧は、上記溶媒(A)と同様の方法で確認することができる。
溶媒(B)は、静置状態における20℃での表面張力が28〜40mN/mであり、及び20℃での蒸気圧が2kPa未満であり、好ましくは20℃での表面張力が31〜35mN/mであり、及び20℃での蒸気圧が1kPa以下である。
尚、溶媒(B)の20℃での蒸気圧の下限は特に限定されないが、例えば0.001kPaである。
溶媒(B)の表面張力及び蒸気圧は、上記溶媒(A)と同様の方法で確認することができる。
溶媒(B)は、好ましくは沸点が130℃以上250℃以下の範囲であり、より好ましくは沸点が150℃以上210℃以下の範囲である。
溶媒(B)の沸点が150℃未満の場合、乾燥が早くなり、均一な膜形態を得ることが困難となるおそれがある。特に、インクジェット法を用いる場合、吐出が不安定となる可能性がある。一方、溶媒(B)の沸点が210℃超の場合、液の乾燥が遅すぎるため液の流動の影響を大きく受ける、膜形態や膜厚が不均一となるおそれがある。
溶媒(B)の沸点が150℃未満の場合、乾燥が早くなり、均一な膜形態を得ることが困難となるおそれがある。特に、インクジェット法を用いる場合、吐出が不安定となる可能性がある。一方、溶媒(B)の沸点が210℃超の場合、液の乾燥が遅すぎるため液の流動の影響を大きく受ける、膜形態や膜厚が不均一となるおそれがある。
溶媒(B)の質量割合は、好ましくは本発明の溶液全体の60質量%以上95質量%以下であり、より好ましくは80質量%以上95質量%以下である。
溶媒(B)の質量割合が60質量%未満の場合、乾燥が早くなるため均一な膜形態を得ることが困難となるおそれがある。特に、インクジェット法を用いる場合、吐出が不安定、または吐出困難となる可能性がある。一方、溶媒(B)の質量割合が95質量%超の場合、乾燥が遅く、液が流動するため膜形態や膜厚が不均一となるおそれがある。
溶媒(B)の質量割合が60質量%未満の場合、乾燥が早くなるため均一な膜形態を得ることが困難となるおそれがある。特に、インクジェット法を用いる場合、吐出が不安定、または吐出困難となる可能性がある。一方、溶媒(B)の質量割合が95質量%超の場合、乾燥が遅く、液が流動するため膜形態や膜厚が不均一となるおそれがある。
溶媒(B)として使用可能な溶媒としては、4−メトキシトルエン、1,2−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、アネトール等のアルコキシ基芳香族;フェニルシクロヘキサン、テトラリン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン等の芳香族アルカン;o−ジクロロベンゼン、モノクロルベンゼン等のハロゲン化芳香族化合物が挙げられ、好ましくはアニソール及びテトラリンである。
これら溶媒(B)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
これら溶媒(B)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
[有機半導体材料]
有機半導体材料としては、公知の有機半導体材料が使用でき、π共役ポリマーが広く用いられ、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアニリン類、ポリアリルアミン類、フルオレン類、ポリカルバゾール類、ポリインドール類、ポリ(P−フェニレンビニレン)類等を用いることができる。また、有機溶媒への溶解性を有する低分子物質、例えば、ペンタセン等の多環芳香族の誘導体、フタロシアニン誘導体、ペリレン誘導体、テトラチアフルバレン誘導体、含硫黄系複素環化合物(例えばBTBT、TES-ADT等)、含酸素系複素環化合物、含窒素系複素環化合物(カルバゾール等)、テトラシアノキノジメタン誘導体、フラーレン類、カーボンナノチューブ類等を用いることができる。
有機半導体材料としては、公知の有機半導体材料が使用でき、π共役ポリマーが広く用いられ、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアニリン類、ポリアリルアミン類、フルオレン類、ポリカルバゾール類、ポリインドール類、ポリ(P−フェニレンビニレン)類等を用いることができる。また、有機溶媒への溶解性を有する低分子物質、例えば、ペンタセン等の多環芳香族の誘導体、フタロシアニン誘導体、ペリレン誘導体、テトラチアフルバレン誘導体、含硫黄系複素環化合物(例えばBTBT、TES-ADT等)、含酸素系複素環化合物、含窒素系複素環化合物(カルバゾール等)、テトラシアノキノジメタン誘導体、フラーレン類、カーボンナノチューブ類等を用いることができる。
[その他の成分]
本発明の溶液は、溶媒(A)、溶媒(B)及び有機半導体材料を含めばよく、これら成分から実質的になってもよい。ここで「実質的になる」とは、溶媒(A)、溶媒(B)及び有機半導体材料の合計量が、有機半導体溶液全体に対して、例えば90重量%以上、95重量%以上、98重量%以上、99重量%以上、又は100重量%である場合をいう。
本発明の溶液は、溶媒(A)、溶媒(B)及び有機半導体材料の他に、例えば脂肪酸等の界面活性剤が含まれてもよい。
尚、溶液の表面張力を低下させ、膜形成を容易にするために、導電性のない樹脂やシリコーン系化合物(ポリシロキサン等)を混合することも可能であるが、十分に表面張力を低下させる量の上記物質を添加すると、有機半導体間の導電性を阻害し、性能低下を招くおそれがある。
本発明の溶液は、溶媒(A)、溶媒(B)及び有機半導体材料を含めばよく、これら成分から実質的になってもよい。ここで「実質的になる」とは、溶媒(A)、溶媒(B)及び有機半導体材料の合計量が、有機半導体溶液全体に対して、例えば90重量%以上、95重量%以上、98重量%以上、99重量%以上、又は100重量%である場合をいう。
本発明の溶液は、溶媒(A)、溶媒(B)及び有機半導体材料の他に、例えば脂肪酸等の界面活性剤が含まれてもよい。
尚、溶液の表面張力を低下させ、膜形成を容易にするために、導電性のない樹脂やシリコーン系化合物(ポリシロキサン等)を混合することも可能であるが、十分に表面張力を低下させる量の上記物質を添加すると、有機半導体間の導電性を阻害し、性能低下を招くおそれがある。
本発明の溶液は、溶媒(A)及び(B)のいずれにも該当しない溶媒(C)を、本発明の効果を損なわない範囲で含んでもよい。
溶媒(C)は、静置状態における20℃での表面張力が20〜30mN/mであり、及び20℃での蒸気圧が2kPa未満である溶媒、又は静置状態における20℃での表面張力が28〜40mN/mであり、及び20℃での蒸気圧が2〜13kPaの範囲である溶媒が挙げられ、具体的には、1,4−ジオキサン等が挙げられる。
溶媒(C)の含有量は、例えば溶媒(B)の含有量を超えない範囲である。尚、溶媒(C)の20℃での蒸気圧の下限は特に限定されないが、例えば0.001kPaである。
溶媒(C)は、静置状態における20℃での表面張力が20〜30mN/mであり、及び20℃での蒸気圧が2kPa未満である溶媒、又は静置状態における20℃での表面張力が28〜40mN/mであり、及び20℃での蒸気圧が2〜13kPaの範囲である溶媒が挙げられ、具体的には、1,4−ジオキサン等が挙げられる。
溶媒(C)の含有量は、例えば溶媒(B)の含有量を超えない範囲である。尚、溶媒(C)の20℃での蒸気圧の下限は特に限定されないが、例えば0.001kPaである。
本発明の溶液は、インクジェット用有機半導体溶液として用いた場合、吐出性能及び薄膜形成性能に優れるため、特にインクジェット印刷用有機半導体インクとして好適に用いることができる。本発明の溶液をインクジェット印刷装置を用いて塗布することにより、有機薄膜トランジスタの有機半導体層を、目的の場所に薄く且つ均一に成膜することができる。
以下、本発明の有機薄膜トランジスタについて説明する。
以下、本発明の有機薄膜トランジスタについて説明する。
[有機薄膜トランジスタ]
本発明の有機薄膜トランジスタの素子構成は、少なくとも基板上にゲート電極、ソース電極及びドレイン電極の3端子、絶縁体層並びに有機半導体層が設けられ、ソース−ドレイン間電流をゲート電極に電圧を印加することによって制御する薄膜トランジスタである。そして、有機半導体層が本発明の溶液をインクジェット法で成膜した層である。
トランジスタの構造は、特に限定されず、有機半導体層の成分以外が公知の素子構成を有するものであってもよい。有機薄膜トランジスタの素子構成の具体例を図を用いて説明する。
本発明の有機薄膜トランジスタの素子構成は、少なくとも基板上にゲート電極、ソース電極及びドレイン電極の3端子、絶縁体層並びに有機半導体層が設けられ、ソース−ドレイン間電流をゲート電極に電圧を印加することによって制御する薄膜トランジスタである。そして、有機半導体層が本発明の溶液をインクジェット法で成膜した層である。
トランジスタの構造は、特に限定されず、有機半導体層の成分以外が公知の素子構成を有するものであってもよい。有機薄膜トランジスタの素子構成の具体例を図を用いて説明する。
図1〜図4は、本発明の有機薄膜トランジスタの素子構成の一例を示す図である。
図1の有機薄膜トランジスタ1は、基板10上に、相互に所定の間隔をあけて対向するように形成されたソース電極11及びドレイン電極12を有する。そして、ソース電極11、ドレイン電極12及びそれらの間の間隙を覆うように有機半導体層13が形成され、さらに、絶縁体層14が積層されている。絶縁体層14の上部であって、かつソース電極11及びドレイン電極12の間の間隙上にゲート電極15が形成されている。
図1の有機薄膜トランジスタ1は、基板10上に、相互に所定の間隔をあけて対向するように形成されたソース電極11及びドレイン電極12を有する。そして、ソース電極11、ドレイン電極12及びそれらの間の間隙を覆うように有機半導体層13が形成され、さらに、絶縁体層14が積層されている。絶縁体層14の上部であって、かつソース電極11及びドレイン電極12の間の間隙上にゲート電極15が形成されている。
図2の有機薄膜トランジスタ2は、基板10上に、ゲート電極15及び絶縁体層14をこの順に有し、絶縁体層14上に、所定の間隔をあけて形成された一対のソース電極11及びドレイン電極12を有し、その上に有機半導体層13が形成される。有機半導体層13がチャネル領域を成しており、ゲート電極15に印加される電圧でソース電極11とドレイン電極12の間に流れる電流が制御されることによってオン/オフ動作する。
図3の有機薄膜トランジスタ3は、基板10上に、ゲート電極15、絶縁体層14及び有機半導体層13をこの順に有し、有機半導体層13上に、所定の間隔をあけて形成された一対のソース電極11及びドレイン電極12を有する。
図4の有機薄膜トランジスタ4は、基板10上に有機半導体層13を有し、有機半導体層13上に、所定の間隔をあけて形成された一対のソース電極11及びドレイン電極12を有する。そして、さらに絶縁体層14及びゲート電極15をこの順に有している。
本発明の有機薄膜トランジスタは、電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)構造を有している。上述したとおり、電極の位置、層の積層順等によりいくつかの構成がある。有機薄膜トランジスタは、有機半導体層(有機化合物層)と、相互に所定の間隔をあけて対向するように形成されたソース電極及びドレイン電極と、ソース電極、ドレイン電極からそれぞれ所定の距離をあけて形成されたゲート電極とを有し、ゲート電極に電圧を印加することによってソース−ドレイン電極間に流れる電流を制御する。ここで、ソース電極とドレイン電極の間隔は本発明の有機薄膜トランジスタを用いる用途によって決定され、通常は0.1μm〜1mm、好ましくは1μm〜100μm、より好ましくは5μm〜100μm、さらに好ましくは2〜60μmである。
本発明の有機薄膜トランジスタは、上記の素子構成にも、有機薄膜トランジスタとして種々の構成が提案されており、ゲート電極に印加される電圧でソース電極とドレイン電極の間に流れる電流が制御されることによってオン/オフ動作や増幅等の効果が発現する仕組みであればこれらの素子構成に限定されるものではない。
例えば、産業技術総合研究所の吉田らにより第49回応用物理学関係連合講演会講演予稿集27a−M−3(2002年3月)において提案されたトップアンドボトムコンタクト型有機薄膜トランジスタ(図5参照)や、千葉大学の工藤らにより電気学会論文誌118−A(1998)1440頁において提案された縦形の有機薄膜トランジスタ(図6参照)のような素子構成を有するものであってもよい。
以下、有機薄膜トランジスタの構成部材について説明する。
例えば、産業技術総合研究所の吉田らにより第49回応用物理学関係連合講演会講演予稿集27a−M−3(2002年3月)において提案されたトップアンドボトムコンタクト型有機薄膜トランジスタ(図5参照)や、千葉大学の工藤らにより電気学会論文誌118−A(1998)1440頁において提案された縦形の有機薄膜トランジスタ(図6参照)のような素子構成を有するものであってもよい。
以下、有機薄膜トランジスタの構成部材について説明する。
(有機半導体層)
本発明の有機薄膜トランジスタにおける有機半導体層は、上述した本発明の溶液を用いて成膜してなる層である。有機半導体層の膜厚は、特に制限されることはないが、通常、0.5nm〜1μmであり、2nm〜250nmであると好ましい。
有機半導体層の結晶性を向上させると電界効果移動度が向上するため、成膜後にアニーリングを実施すると高性能デバイスが得られるため好ましい。アニーリングの温度は50〜200℃が好ましく、70〜200℃であるとさらに好ましく、時間は10分〜12時間が好ましく、1時間〜10時間がより好ましく、30分〜10時間であるとさらに好ましい。
本発明の有機薄膜トランジスタにおける有機半導体層は、上述した本発明の溶液を用いて成膜してなる層である。有機半導体層の膜厚は、特に制限されることはないが、通常、0.5nm〜1μmであり、2nm〜250nmであると好ましい。
有機半導体層の結晶性を向上させると電界効果移動度が向上するため、成膜後にアニーリングを実施すると高性能デバイスが得られるため好ましい。アニーリングの温度は50〜200℃が好ましく、70〜200℃であるとさらに好ましく、時間は10分〜12時間が好ましく、1時間〜10時間がより好ましく、30分〜10時間であるとさらに好ましい。
(基板)
本発明の有機薄膜トランジスタにおける基板は、有機薄膜トランジスタの構造を支持する役目を担うものであり、材料としてはガラスの他、金属酸化物や窒化物等の無機化合物、プラスチックフィルム(PET,PES,PC)や金属基板又はこれら複合体や積層体等も用いることが可能である。また、基板以外の構成要素により有機薄膜トランジスタの構造を十分に支持し得る場合には、基板を使用しないことも可能である。また、基板の材料としてはシリコン(Si)ウエハが用いられることが多い。この場合、Si自体をゲート電極兼基板として用いることができる。また、Siの表面を酸化し、SiO2を形成して絶縁層として活用することも可能である。この場合、基板兼ゲート電極のSi基板にリード線接続用の電極として、Au等の金属層を成膜することもある。
本発明の有機薄膜トランジスタにおける基板は、有機薄膜トランジスタの構造を支持する役目を担うものであり、材料としてはガラスの他、金属酸化物や窒化物等の無機化合物、プラスチックフィルム(PET,PES,PC)や金属基板又はこれら複合体や積層体等も用いることが可能である。また、基板以外の構成要素により有機薄膜トランジスタの構造を十分に支持し得る場合には、基板を使用しないことも可能である。また、基板の材料としてはシリコン(Si)ウエハが用いられることが多い。この場合、Si自体をゲート電極兼基板として用いることができる。また、Siの表面を酸化し、SiO2を形成して絶縁層として活用することも可能である。この場合、基板兼ゲート電極のSi基板にリード線接続用の電極として、Au等の金属層を成膜することもある。
(電極)
本発明の有機薄膜トランジスタにおける、ゲート電極、ソース電極及びドレイン電極の材料としては、導電性材料であれば特に限定されず、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、酸化スズ・アンチモン、酸化インジウム・スズ(ITO)、フッ素ドープ酸化亜鉛、亜鉛、炭素、グラファイト、グラッシーカーボン、銀ペースト及びカーボンペースト、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、マンガン、ジルコニウム、ガリウム、ニオブ、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、リチウム/アルミニウム混合物等が用いられる。
本発明の有機薄膜トランジスタにおける、ゲート電極、ソース電極及びドレイン電極の材料としては、導電性材料であれば特に限定されず、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、酸化スズ・アンチモン、酸化インジウム・スズ(ITO)、フッ素ドープ酸化亜鉛、亜鉛、炭素、グラファイト、グラッシーカーボン、銀ペースト及びカーボンペースト、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、マンガン、ジルコニウム、ガリウム、ニオブ、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、リチウム/アルミニウム混合物等が用いられる。
電極の形成方法としては、例えば、蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、大気圧プラズマ法、イオンプレーティング、化学気相蒸着、電着、無電解メッキ、スピンコーティング、印刷又はインクジェット等の手段が挙げられる。また、必要に応じてパターニングする方法としては、上記の方法を用いて形成した導電性薄膜を、公知のフォトリソグラフ法やリフトオフ法を用いて電極形成する方法、アルミニウムや銅等の金属箔上に熱転写、インクジェット等により、レジストを形成しエッチングする方法等がある。
このようにして形成された電極の膜厚は電流の導通さえあれば特に制限はないが、好ましくは0.2nm〜10μm、さらに好ましくは4nm〜300nmの範囲である。この好ましい範囲内であれば、膜厚が薄すぎることにより抵抗が高くなり電圧降下を生じることがない。また、厚すぎないため膜形成に時間がかからず、保護層や有機半導体層等他の層を積層する場合に、段差が生じることが無く積層膜が円滑にできる。
本発明の有機薄膜トランジスタにおいて、ソース電極、ドレイン電極、ゲート電極は、上記の導電性材料を含む、溶液、ペースト、インク、分散液等の流動性電極材料を用いて形成することができる。特に、導電性ポリマー、又は白金、金、銀、銅を含有する金属微粒子を含む流動性電極材料が好ましい。また、溶媒や分散媒体としては、有機半導体へのダメージを抑制するため、水を60質量%以上、好ましくは90質量%以上含有する溶媒又は分散媒体であることが好ましい。金属微粒子を含有する分散物としては、例えば、公知の導電性ペースト等を用いてもよいが、通常粒子径が0.5nm〜50nm、1nm〜10nmの金属微粒子を含有する分散物であると好ましい。この金属微粒子の材料としては、例えば、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、亜鉛等を用いることができる。これらの金属微粒子を、主に有機材料からなる分散安定剤を用いて、水や任意の有機溶剤である分散媒中に分散した分散物を用いて電極を形成するのが好ましい。このような金属微粒子の分散物の製造方法としては、ガス中蒸発法、スパッタリング法、金属蒸気合成法等の物理的生成法や、コロイド法、共沈法等の、液相で金属イオンを還元して金属微粒子を生成する化学的生成法が挙げられ、好ましくは、特開平11−76800号公報、同11−80647号公報、同11−319538号公報、特開2000−239853号公報等に示されたコロイド法、特開2001−254185号公報、同2001−53028号公報、同2001−35255号公報、同2000−124157号公報、同2000−123634号公報等に記載されたガス中蒸発法により製造された金属微粒子の分散物である。
これらの金属微粒子分散物を用いて直接インクジェット法によりパターニングしてもよく、塗工膜からリソグラフやレーザーアブレーション等により形成してもよい。また凸版、凹版、平版、スクリーン印刷等の印刷法でパターニングする方法も用いることができる。前記電極を成形し、溶媒を乾燥させた後、必要に応じて100℃〜300℃、好ましくは150℃〜200℃の範囲で形状様に加熱することにより、金属微粒子を熱融着させ、目的の形状を有する電極パターンを形成できる。
さらに、別のゲート電極、ソース電極及びドレイン電極の材料として、ドーピング等で導電率を向上させた公知の導電性ポリマーを用いることも好ましく、例えば、導電性ポリアニリン、導電性ポリピロール、導電性ポリチオフェン(ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体等)、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)とポリスチレンスルホン酸の錯体等も好適に用いられる。これらの材料によりソース電極とドレイン電極の有機半導体層との接触抵抗を低減することができる。これらの形成方法もインクジェット法によりパターニングしてもよく、塗工膜からリソグラフやレーザーアブレーション等により形成してもよい。また凸版、凹版、平版、スクリーン印刷等の印刷法でパターニングする方法も用いることができる。
特にソース電極及びドレイン電極を形成する材料は、前述した例の中でも有機半導体層との接触面において電気抵抗が少ないものが好ましい。この際の電気抵抗は、即ち電流制御デバイスを作製したとき電界効果移動度と対応しており、大きな移動度を得るためにはできるだけ抵抗が小さいことが必要である。これは一般に電極材料の仕事関数と有機半導体層のエネルギー準位との大小関係で決まる。
電極材料の仕事関数(W)をa、有機半導体層のイオン化ポテンシャルを(Ip)をb、有機半導体層の電子親和力(Af)をcとすると、以下の関係式を満たすことが好ましい。ここで、a、b及びcはいずれも真空準位を基準とする正の値である。
電極材料の仕事関数(W)をa、有機半導体層のイオン化ポテンシャルを(Ip)をb、有機半導体層の電子親和力(Af)をcとすると、以下の関係式を満たすことが好ましい。ここで、a、b及びcはいずれも真空準位を基準とする正の値である。
p型有機薄膜トランジスタの場合には、b−a<1.5eV(式(I))であることが好ましく、さらに好ましくはb−a<1.0eVである。有機半導体層との関係において上記関係が維持できれば高性能なデバイスを得ることができるが、特に電極材料の仕事関数はできるだけ大きいことものを選ぶことが好ましく、仕事関数4.0eV以上であることが好ましく、さらに好ましくは仕事関数4.2eV以上である。金属の仕事関数の値は、例えば化学便覧 基礎編II−493頁(改訂3版 日本化学会編 丸善株式会社発行1983年)に記載されている4.0eV又はそれ以上の仕事関数をもつ有効金属の前記リストから選別すればよく、高仕事関数金属は、主としてAg(4.26,4.52,4.64,4.74eV),Al(4.06,4.24,4.41eV),Au(5.1,5.37,5.47eV),Be(4.98eV),Bi(4.34eV),Cd(4.08eV),Co(5.0eV),Cu(4.65eV),Fe(4.5,4.67,4.81eV),Ga(4.3eV),Hg(4.4eV),Ir(5.42,5.76eV),Mn(4.1eV),Mo(4.53,4.55,4.95eV),Nb(4.02,4.36,4.87eV),Ni(5.04,5.22,5.35eV),Os(5.93eV),Pb(4.25eV),Pt(5.64eV),Pd(5.55eV),Re(4.72eV),Ru(4.71eV),Sb(4.55,4.7eV),Sn(4.42eV),Ta(4.0,4.15,4.8eV),Ti(4.33eV),V(4.3eV),W(4.47,4.63,5.25eV),Zr(4.05eV)等である。
これらの中でも、貴金属(Ag,Au,Cu,Pt),Ni,Co,Os,Fe,Ga,Ir,Mn,Mo,Pd,Re,Ru,V,Wが好ましい。金属以外では、ITO、ポリアニリンやPEDOT:PSSのような導電性ポリマー及び炭素が好ましい。電極材料としてはこれらの高仕事関数の物質を1種又は複数含んでいても、仕事関数が前記式(I)を満たせば特に制限を受けるものではない。
これらの中でも、貴金属(Ag,Au,Cu,Pt),Ni,Co,Os,Fe,Ga,Ir,Mn,Mo,Pd,Re,Ru,V,Wが好ましい。金属以外では、ITO、ポリアニリンやPEDOT:PSSのような導電性ポリマー及び炭素が好ましい。電極材料としてはこれらの高仕事関数の物質を1種又は複数含んでいても、仕事関数が前記式(I)を満たせば特に制限を受けるものではない。
n型有機薄膜トランジスタの場合にはa−c<1.5eV(式(II))であることが好ましく,さらに好ましくはa−c<1.0eVである。有機半導体層との関係において上記関係が維持できれば高性能なデバイスを得ることができるが、特に電極材料の仕事関数はできるだけ小さいものを選ぶことが好ましく、仕事関数4.3eV以下であることが好ましく、さらに好ましくは仕事関数3.7eV以下である。
低仕事関数金属の具体例としては、例えば化学便覧 基礎編II−493頁(改訂3版 日本化学会編 丸善株式会社発行1983年)に記載されている4.3eV又はそれ以下の仕事関数をもつ有効金属の前記リストから選別すればよく、Ag(4.26eV),Al(4.06,4.28eV),Ba(2.52eV),Ca(2.9eV),Ce(2.9eV),Cs(1.95eV),Er(2.97eV),Eu(2.5eV),Gd(3.1eV),Hf(3.9eV),In(4.09eV),K(2.28),La(3.5eV),Li(2.93eV),Mg(3.66eV),Na(2.36eV),Nd(3.2eV),Rb(4.25eV),Sc(3.5eV),Sm(2.7eV),Ta(4.0,4.15eV),Y(3.1eV),Yb(2.6eV),Zn(3.63eV)等が挙げられる。これらの中でも、Ba,Ca,Cs,Er,Eu,Gd,Hf,K,La,Li,Mg,Na,Nd,Rb,Y,Yb,Znが好ましい。電極材料としてはこれらの低仕事関数の物質を1種又は複数含んでいても、仕事関数が前記式(II)を満たせば特に制限を受けるものではない。ただし、低仕事関数金属は、大気中の水分や酸素に触れると容易に劣化してしまうので、必要に応じてAgやAuのような空気中で安定な金属で被覆することが望ましい。被覆に必要な膜厚は10nm以上必要であり、膜厚が熱くなるほど酸素や水から保護することができるが、実用上、生産性を上げる等の理由から1um以下にすることが望ましい。
低仕事関数金属の具体例としては、例えば化学便覧 基礎編II−493頁(改訂3版 日本化学会編 丸善株式会社発行1983年)に記載されている4.3eV又はそれ以下の仕事関数をもつ有効金属の前記リストから選別すればよく、Ag(4.26eV),Al(4.06,4.28eV),Ba(2.52eV),Ca(2.9eV),Ce(2.9eV),Cs(1.95eV),Er(2.97eV),Eu(2.5eV),Gd(3.1eV),Hf(3.9eV),In(4.09eV),K(2.28),La(3.5eV),Li(2.93eV),Mg(3.66eV),Na(2.36eV),Nd(3.2eV),Rb(4.25eV),Sc(3.5eV),Sm(2.7eV),Ta(4.0,4.15eV),Y(3.1eV),Yb(2.6eV),Zn(3.63eV)等が挙げられる。これらの中でも、Ba,Ca,Cs,Er,Eu,Gd,Hf,K,La,Li,Mg,Na,Nd,Rb,Y,Yb,Znが好ましい。電極材料としてはこれらの低仕事関数の物質を1種又は複数含んでいても、仕事関数が前記式(II)を満たせば特に制限を受けるものではない。ただし、低仕事関数金属は、大気中の水分や酸素に触れると容易に劣化してしまうので、必要に応じてAgやAuのような空気中で安定な金属で被覆することが望ましい。被覆に必要な膜厚は10nm以上必要であり、膜厚が熱くなるほど酸素や水から保護することができるが、実用上、生産性を上げる等の理由から1um以下にすることが望ましい。
本発明の有機薄膜トランジスタでは、例えば、注入効率を向上させる目的で、有機半導体層とソース電極及びドレイン電極との間に、バッファ層を設けてもよい。バッファ層としてはn型有機薄膜トランジスタに対しては有機ELの陰極に用いられるLiF、Li2O、CsF、NaCO3、KCl、MgF2、CaCO3等のアルカリ金属、アルカリ土類金属イオン結合を持つ化合物が望ましい。また、Alq等有機ELで電子注入層、電子輸送層として用いられる化合物を挿入してもよい。
p型有機薄膜トランジスタに対してはFeCl3、TCNQ、F4−TCNQ、HAT等のシアノ化合物、CFxやGeO2、SiO2、MoO3、V2O5、VO2、V2O3、MnO、Mn3O4、ZrO2、WO3、TiO2、In2O3、ZnO、NiO、HfO2、Ta2O5、ReO3、PbO2等のアルカリ金属、アルカリ土類金属以外の金属酸化物、ZnS、ZnSe等の無機化合物が望ましい。これらの酸化物は多くの場合、酸素欠損を起こし、これが正孔注入に好適である。さらにはTPDやNPD等のアミン系化合物やCuPc等有機EL素子において正孔注入層、正孔輸送層として用いられる化合物でもよい。また、上記の化合物二種類以上からなるものが望ましい。
p型有機薄膜トランジスタに対してはFeCl3、TCNQ、F4−TCNQ、HAT等のシアノ化合物、CFxやGeO2、SiO2、MoO3、V2O5、VO2、V2O3、MnO、Mn3O4、ZrO2、WO3、TiO2、In2O3、ZnO、NiO、HfO2、Ta2O5、ReO3、PbO2等のアルカリ金属、アルカリ土類金属以外の金属酸化物、ZnS、ZnSe等の無機化合物が望ましい。これらの酸化物は多くの場合、酸素欠損を起こし、これが正孔注入に好適である。さらにはTPDやNPD等のアミン系化合物やCuPc等有機EL素子において正孔注入層、正孔輸送層として用いられる化合物でもよい。また、上記の化合物二種類以上からなるものが望ましい。
バッファ層はキャリアの注入障壁を下げることにより閾値電圧を下げ、トランジスタを低電圧駆動させる効果があることが知られているが、われわれは、本発明の化合物に対しては低電圧効果のみならず移動度を向上させる効果があることを見出した。これは、有機半導体と絶縁体層の界面にはキャリアトラップが存在しゲート電圧を印加してキャリア注入が起こると最初に注入したキャリアはトラップを埋めるのに使われるが、バッファ層を挿入することにより、低電圧でトラップが埋められ移動度が向上するためである。バッファ層は電極と有機半導体層との間に薄く存在すればよく、その厚みは0.1nm〜30nm、好ましくは0.3nm〜20nmである。
(絶縁体層)
本発明の有機薄膜トランジスタにおける絶縁体層の材料としては、電気絶縁性を有し薄膜として形成できるものであるのなら特に限定されず、金属酸化物(珪素の酸化物を含む)、金属窒化物(珪素の窒化物を含む)、高分子、有機低分子等室温での電気抵抗率が10Ωcm以上の材料を用いることができ、特に、比誘電率の高い無機酸化物皮膜が好ましい。
無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、ランタン酸化物、フッ素酸化物、マグネシウム酸化物、ビスマス酸化物、チタン酸ビスマス、ニオブ酸化物,チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、五酸化タンタル、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウム及びこれらを組合せたもの等が挙げられ、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタンが好ましい。
また、窒化ケイ素(Si3N4、SixNy(x、y>0))、窒化アルミニウム等の無機窒化物も好適に用いることができる。
本発明の有機薄膜トランジスタにおける絶縁体層の材料としては、電気絶縁性を有し薄膜として形成できるものであるのなら特に限定されず、金属酸化物(珪素の酸化物を含む)、金属窒化物(珪素の窒化物を含む)、高分子、有機低分子等室温での電気抵抗率が10Ωcm以上の材料を用いることができ、特に、比誘電率の高い無機酸化物皮膜が好ましい。
無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、ランタン酸化物、フッ素酸化物、マグネシウム酸化物、ビスマス酸化物、チタン酸ビスマス、ニオブ酸化物,チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、五酸化タンタル、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウム及びこれらを組合せたもの等が挙げられ、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタンが好ましい。
また、窒化ケイ素(Si3N4、SixNy(x、y>0))、窒化アルミニウム等の無機窒化物も好適に用いることができる。
さらに、絶縁体層は、アルコキシド金属を含む前駆物質で形成されていてもよく、この前駆物質の溶液を、例えば基板に被覆し、これを熱処理を含む化学溶液処理をすることにより絶縁体層が形成される。
前記アルコキシド金属における金属としては、例えば、遷移金属、ランタノイド、又は主族元素から選択され、具体的には、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、チタン(Ti)、ビスマス(Bi)、タンタル(Ta)、ジルコン(Zr)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、鉛(Pb)、ランタン(La)、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、フランシウム(Fr)ベリリウム(Be)マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ニオブ(Nb)、タリウム(Tl)、水銀(Hg)、銅(Cu)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、スカンジウム(Sc)及びイットリウム(Y)等が挙げられる。また、前記アルコキシド金属におけるアルコキシドとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール等を含むアルコール類、メトキシエタノール、エトキシエタノール、プロポキシエタノール、ブトキシエタノール、ペントキシエタノール、ヘプトキシエタノール、メトキシプロパノール、エトキシプロパノール、プロポキシプロパノール、ブトキシプロパノール、ペントキシプロパノール、ヘプトキシプロパノールを含むアルコキシアルコール類等から誘導されるものが挙げられる。
前記アルコキシド金属における金属としては、例えば、遷移金属、ランタノイド、又は主族元素から選択され、具体的には、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、チタン(Ti)、ビスマス(Bi)、タンタル(Ta)、ジルコン(Zr)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、鉛(Pb)、ランタン(La)、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、フランシウム(Fr)ベリリウム(Be)マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ニオブ(Nb)、タリウム(Tl)、水銀(Hg)、銅(Cu)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、スカンジウム(Sc)及びイットリウム(Y)等が挙げられる。また、前記アルコキシド金属におけるアルコキシドとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール等を含むアルコール類、メトキシエタノール、エトキシエタノール、プロポキシエタノール、ブトキシエタノール、ペントキシエタノール、ヘプトキシエタノール、メトキシプロパノール、エトキシプロパノール、プロポキシプロパノール、ブトキシプロパノール、ペントキシプロパノール、ヘプトキシプロパノールを含むアルコキシアルコール類等から誘導されるものが挙げられる。
本発明において、絶縁体層を上記したような材料で構成すると、絶縁体層中に分極が発生しやすくなり、トランジスタ動作のしきい電圧を低減することができる。また、上記材料の中でも、特に、Si3N4、SixNy、SiONx(x、y>0)等の窒化ケイ素で絶縁体層を形成すると、空乏層がいっそう発生しやすくなり、トランジスタ動作のしきい電圧をさらに低減させることができる。
有機化合物を用いた絶縁体層としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、光ラジカル重合系、光カチオン重合系の光硬化性樹脂、アクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ポリシロキサン、ポリウレタン、ノボラック樹脂、メラミン樹脂、及びシアノエチルプルラン、等を用いることもできる。
有機化合物を用いた絶縁体層としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、光ラジカル重合系、光カチオン重合系の光硬化性樹脂、アクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ポリシロキサン、ポリウレタン、ノボラック樹脂、メラミン樹脂、及びシアノエチルプルラン、等を用いることもできる。
その他、ワックス、ポリエチレン、ポリクロロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリオキシメチレン、ポリビニルクロライド、ポリフッ化ビニリデン、ポリメチルメタクリレート、ポリサルホン、ポリカーボネート、ポリスチレン(PS)、ポリオレフィン、ポリアクリルアミド、ポリ(アクリル酸)、レゾール樹脂、ポリキシリレン、エポキシ樹脂に加え、プルラン等の高い誘電率を持つ高分子材料を使用することも可能である。
また有機材料は、サイトップ(登録商標)のようなフッ素樹脂であってもよい。
また有機材料は、サイトップ(登録商標)のようなフッ素樹脂であってもよい。
また、図1及び図4に示すようなトップゲート構造を用いるときに、ポリパラキシリレン誘導体やフッ素樹脂のような有機化合物を絶縁体層の材料として用いると、有機半導体層に与えるダメージを小さくして成膜することができるため有効な方法である。
前記絶縁体層は、前述したような無機又は有機化合物材料を複数用いた混合層であってもよく、これらの積層構造体であってもよい。この場合、必要に応じて誘電率の高い材料と撥水性を有する材料を混合したり、積層することによりデバイスの性能を制御することもできる。
また、前記絶縁体層は、陽極酸化膜、又は該陽極酸化膜を構成として含んでもよい。陽極酸化膜は封孔処理されることが好ましい。陽極酸化膜は、陽極酸化が可能な金属を公知の方法により陽極酸化することにより形成される。陽極酸化処理可能な金属としては、アルミニウム又はタンタルを挙げることができ、陽極酸化処理の方法には特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。陽極酸化処理を行なうことにより、酸化被膜が形成される。陽極酸化処理に用いられる電解液としては、多孔質酸化皮膜を形成することができるものならばいかなるものでも使用でき、一般には、硫酸、燐酸、蓚酸、クロム酸、ホウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸等あるいはこれらを2種類以上組み合わせた混酸又はそれらの塩が用いられる。陽極酸化の処理条件は使用する電解液により種々変化するので一概に特定し得ないが、一般的には、電解液の濃度が1〜80質量%、電解液の温度5〜70℃、電流密度0.5〜60A/cm2、電圧1〜100ボルト、電解時間10秒〜5分の範囲が適当である。好ましい陽極酸化処理は、電解液として硫酸、リン酸又はホウ酸の水溶液を用い、直流電流で処理する方法であるが、交流電流を用いることもできる。これらの酸の濃度は5〜45質量%であることが好ましく、電解液の温度20〜50℃、電流密度0.5〜20A/cm2で20〜250秒間電解処理するのが好ましい。
絶縁体層の厚さとしては、層の厚さが薄いと有機半導体に印加される実効電圧が大きくなるので、デバイス自体の駆動電圧、閾電圧を下げることができるが、逆にソース−ゲート間のリーク電流が大きくなるので、適切な膜厚を選ぶ必要があり、通常10nm〜5μm、好ましくは50nm〜2μm、さらに好ましくは100nm〜1μmである。
また、前記絶縁体層は、陽極酸化膜、又は該陽極酸化膜を構成として含んでもよい。陽極酸化膜は封孔処理されることが好ましい。陽極酸化膜は、陽極酸化が可能な金属を公知の方法により陽極酸化することにより形成される。陽極酸化処理可能な金属としては、アルミニウム又はタンタルを挙げることができ、陽極酸化処理の方法には特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。陽極酸化処理を行なうことにより、酸化被膜が形成される。陽極酸化処理に用いられる電解液としては、多孔質酸化皮膜を形成することができるものならばいかなるものでも使用でき、一般には、硫酸、燐酸、蓚酸、クロム酸、ホウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸等あるいはこれらを2種類以上組み合わせた混酸又はそれらの塩が用いられる。陽極酸化の処理条件は使用する電解液により種々変化するので一概に特定し得ないが、一般的には、電解液の濃度が1〜80質量%、電解液の温度5〜70℃、電流密度0.5〜60A/cm2、電圧1〜100ボルト、電解時間10秒〜5分の範囲が適当である。好ましい陽極酸化処理は、電解液として硫酸、リン酸又はホウ酸の水溶液を用い、直流電流で処理する方法であるが、交流電流を用いることもできる。これらの酸の濃度は5〜45質量%であることが好ましく、電解液の温度20〜50℃、電流密度0.5〜20A/cm2で20〜250秒間電解処理するのが好ましい。
絶縁体層の厚さとしては、層の厚さが薄いと有機半導体に印加される実効電圧が大きくなるので、デバイス自体の駆動電圧、閾電圧を下げることができるが、逆にソース−ゲート間のリーク電流が大きくなるので、適切な膜厚を選ぶ必要があり、通常10nm〜5μm、好ましくは50nm〜2μm、さらに好ましくは100nm〜1μmである。
また、前記絶縁体層と有機半導体層の間に、任意の配向処理を施してもよい。その好ましい例としては、絶縁体層表面に撥水化処理等を施し絶縁体層と有機半導体層との相互作用を低減させ有機半導体層の結晶性を向上させる方法であり、具体的には、シランカップリング剤、例えば、ヘキサメチルジシラザン、オクタデシルトリクロロシラン、トリクロロメチルシラザンや、アルカン燐酸、アルカンスルホン酸、アルカンカルボン酸等の自己組織化配向膜材料を、液相又は気相状態で、絶縁膜表面に接触させ自己組織化膜を形成後、適度に乾燥処理を施す方法が挙げられる。また、液晶の配向に用いられるように、絶縁膜表面にポリイミド等で構成された膜を設置し、その表面をラビング処理する方法も好ましい。
前記絶縁体層の形成方法としては、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、特開平11−61406号公報、同11−133205号公報、特開2000−121804号公報、同2000−147209号公報、同2000−185362号公報に記載の大気圧プラズマ法等のドライプロセスや、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、デイップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法等の塗布による方法、印刷やインクジェット等のパターニングによる方法等のウェットプロセスが挙げられ、材料に応じて使用できる。ウェットプロセスは、無機酸化物の微粒子を、任意の有機溶剤又は水に必要に応じて界面活性剤等の分散補助剤を用いて分散した液を塗布、乾燥する方法や、酸化物前駆体、例えば、アルコキシド体の溶液を塗布、乾燥する、いわゆるゾルゲル法が用いられる。
本発明の有機薄膜トランジスタの形成方法としては、特に限定されず公知の方法によればよい。好ましくは有機半導体層成膜以後の工程は大気に全く触れさせない工程とし、有機半導体層成膜直前には、有機半導体層を積層する面を紫外線照射、紫外線/オゾン照射、酸素プラズマ、アルゴンプラズマ等で清浄化・活性化した後、インクジェット法により有機半導体層を積層することが好ましい。また、p型TFT材料の中には一旦大気にふれさせ、酸素等を吸着させることにより性能が向上するものもあるので、材料によっては適宜大気にふれさせる。
さらに、例えば、大気中に含まれる酸素、水等の有機半導体層に対する影響を考慮し、有機トランジスタ素子の外周面の全面又は一部に、ガスバリア層を形成してもよい。ガスバリア層を形成する材料としては、この分野で常用されるものを使用でき、例えば、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリクロロトリフロロエチレン等が挙げられる。さらに、前記絶縁体層で例示した、絶縁性を有する無機物も使用できる。
さらに、例えば、大気中に含まれる酸素、水等の有機半導体層に対する影響を考慮し、有機トランジスタ素子の外周面の全面又は一部に、ガスバリア層を形成してもよい。ガスバリア層を形成する材料としては、この分野で常用されるものを使用でき、例えば、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリクロロトリフロロエチレン等が挙げられる。さらに、前記絶縁体層で例示した、絶縁性を有する無機物も使用できる。
本発明では、ソース電極−ドレイン電極間を流れる電流を利用して発光し、ゲート電極に電圧を印加することによって発光を制御する有機薄膜発光トランジスタを提供することができる。即ち、有機薄膜トランジスタを発光素子(有機EL)として用いることができる。発光を制御するためのトランジスタと発光素子を統合できるため、ディスプレイの開口率向上や作製プロセスの簡易化によるコストダウンが可能となり実用上の大きなメリットを与える。有機発光トランジスタとして用いるときは、ソース電極、ドレイン電極の一方から正孔、もう一方から電子を注入する必要あり、発光性能を向上させるため以下の条件を満たすことが好ましい。
本発明の有機薄膜発光トランジスタでは、正孔の注入性を向上させるため、ソース電極及びドレイン電極の少なくとも一方は正孔注入性電極であることが好ましい。正孔注入電極とは上記仕事関数4.2eV以上の物質を含む電極である。
また、電子の注入性を向上させるため、ソース電極及びドレイン電極の少なくとも一方は電子注入性電極であることが好ましい。電子注入性電極とは上記仕事関数4.3eV以下の物質を含む電極である。
さらに好ましくは一方が正孔注入性であり、且つ、もう一方が電子注入性である電極を備える有機薄膜発光トランジスタである。
また、電子の注入性を向上させるため、ソース電極及びドレイン電極の少なくとも一方は電子注入性電極であることが好ましい。電子注入性電極とは上記仕事関数4.3eV以下の物質を含む電極である。
さらに好ましくは一方が正孔注入性であり、且つ、もう一方が電子注入性である電極を備える有機薄膜発光トランジスタである。
また、正孔の注入性を向上させるため、ソース電極及びドレイン電極の少なくとも一方の電極と有機半導体層の間に正孔注入層を挿入することが好ましい。正孔注入層には有機EL素子において、正孔注入材料、正孔輸送材料として用いられるアミン系材料が挙げられる。
また、電子の注入性を向上させるため、ソース電極及びドレイン電極の少なくとも一方電極と有機半導体層の間に電子注入性層を挿入すること好ましい。正孔と同じく電子注入層には有機EL素子に用いられる電子注入材料を用いることができる
さらに好ましくは一方の電極に正孔注入層を備え、且つ、もう一方の電極に電子注入層を備える有機薄膜発光トランジスタである。
また、電子の注入性を向上させるため、ソース電極及びドレイン電極の少なくとも一方電極と有機半導体層の間に電子注入性層を挿入すること好ましい。正孔と同じく電子注入層には有機EL素子に用いられる電子注入材料を用いることができる
さらに好ましくは一方の電極に正孔注入層を備え、且つ、もう一方の電極に電子注入層を備える有機薄膜発光トランジスタである。
本発明の有機薄膜トランジスタを用いた装置とは、本発明の有機薄膜トランジスタを用いる装置であればよく、例えば、回路、パーソナルコンピュータ、ディスプレイ、携帯電話等である。
実施例1
[有機半導体層形成用溶液の調製]
下記式(1)で表わされる有機半導体材料(アルドリッチ社製:685070)を、CPME(溶媒A、20℃での表面張力25.2mN/m、20℃での蒸気圧4.5kPa)及びテトラリン(溶媒B、20℃での表面張力34.5mN/m、20℃での蒸気圧1kPa以下)を質量比で17:83で混合した混合溶媒99質量部に1質量部溶解させ、有機半導体層形成用溶液を調製した。
[有機半導体層形成用溶液の調製]
下記式(1)で表わされる有機半導体材料(アルドリッチ社製:685070)を、CPME(溶媒A、20℃での表面張力25.2mN/m、20℃での蒸気圧4.5kPa)及びテトラリン(溶媒B、20℃での表面張力34.5mN/m、20℃での蒸気圧1kPa以下)を質量比で17:83で混合した混合溶媒99質量部に1質量部溶解させ、有機半導体層形成用溶液を調製した。
[有機薄膜トランジスタの製造及び評価]
ガラス基板を、中性洗剤、純水、アセトン及びエタノールで各30分超音波洗浄した後、スパッタ法にてITOを100nmの厚さで成膜し、フォトリソグラフィー法を用いてパターニングしてゲート電極を作製した。次いで、この基板を熱CVD装置の成膜部にセットした。一方、原料の蒸発部には、絶縁体層の原料としてポリパラキシレン誘導体(ポリパラ塩化キシレン(Parylene))(商品名:diX−C、第三化成社製)250mgをシャーレに入れて設置した。熱CVD装置を真空ポンプで5Paまで減圧した後、蒸発部を180℃、重合部を680℃まで加熱して2時間放置しゲート電極上に厚さ1μmの絶縁体層を形成した。真空蒸着装置で金属マスクを通して、絶縁層上に金を50nmの膜厚で成膜することにより、互いに接しないソース電極及びドレイン電極を、間隔(チャンネル長)が20μmになるように形成した。このときソース電極とドレイン電極の幅(チャンネル幅)は200μmとなるように成膜した。
ソース電極及びドレイン電極を形成した基板の上に、調製した有機半導体層形成用溶液を用いて、インクジェット装置(FUJIFILM社:Dimatix DMP−2831、滴容量10pl)で成膜し、窒素雰囲気下100℃で30分乾燥させ有機半導体層として成膜して有機薄膜トランジスタを作製した。
ガラス基板を、中性洗剤、純水、アセトン及びエタノールで各30分超音波洗浄した後、スパッタ法にてITOを100nmの厚さで成膜し、フォトリソグラフィー法を用いてパターニングしてゲート電極を作製した。次いで、この基板を熱CVD装置の成膜部にセットした。一方、原料の蒸発部には、絶縁体層の原料としてポリパラキシレン誘導体(ポリパラ塩化キシレン(Parylene))(商品名:diX−C、第三化成社製)250mgをシャーレに入れて設置した。熱CVD装置を真空ポンプで5Paまで減圧した後、蒸発部を180℃、重合部を680℃まで加熱して2時間放置しゲート電極上に厚さ1μmの絶縁体層を形成した。真空蒸着装置で金属マスクを通して、絶縁層上に金を50nmの膜厚で成膜することにより、互いに接しないソース電極及びドレイン電極を、間隔(チャンネル長)が20μmになるように形成した。このときソース電極とドレイン電極の幅(チャンネル幅)は200μmとなるように成膜した。
ソース電極及びドレイン電極を形成した基板の上に、調製した有機半導体層形成用溶液を用いて、インクジェット装置(FUJIFILM社:Dimatix DMP−2831、滴容量10pl)で成膜し、窒素雰囲気下100℃で30分乾燥させ有機半導体層として成膜して有機薄膜トランジスタを作製した。
得られた有機薄膜トランジスタのゲート電極に−30Vのゲート電圧を印加し、ソース−ドレイン間に電圧を印加して電流を流した。この場合、電子が有機半導体層のチャンネル領域(ソース−ドレイン間)に誘起され、p型トランジスタとして動作した。電流飽和領域での正孔の電界効果移動度μを下記式(A)より算出した。結果を表1に示す。
ID=(W/2L)・Cμ・(VG−VT)2 (A)
式中、IDはソース−ドレイン間電流、Wはチャンネル幅、Lはチャンネル長、Cはゲート絶縁体層の単位面積あたりの電気容量、VTはゲート閾値電圧、VGはゲート電圧である。
ID=(W/2L)・Cμ・(VG−VT)2 (A)
式中、IDはソース−ドレイン間電流、Wはチャンネル幅、Lはチャンネル長、Cはゲート絶縁体層の単位面積あたりの電気容量、VTはゲート閾値電圧、VGはゲート電圧である。
実施例2
テトラリン及びCPMEの混合溶媒の代わりに、溶媒としてCPME、テトラリン及び1,4−ジオキサン(溶媒C,20℃での表面張力33.4mN/m、20℃での蒸気圧4.1kPa)を質量比17:75:8で混合した混合溶媒99質量部に1質量部溶解させ、有機半導体層形成用溶液を調製し、有機薄膜トランジスタを製造して評価した。
テトラリン及びCPMEの混合溶媒の代わりに、溶媒としてCPME、テトラリン及び1,4−ジオキサン(溶媒C,20℃での表面張力33.4mN/m、20℃での蒸気圧4.1kPa)を質量比17:75:8で混合した混合溶媒99質量部に1質量部溶解させ、有機半導体層形成用溶液を調製し、有機薄膜トランジスタを製造して評価した。
比較例1
テトラリン及びCPMEの混合溶媒の代わりに、溶媒としてテトラリンのみを用いた他は、実施例1と同様にして、有機半導体層形成用溶液を調製し、有機薄膜トランジスタを製造して評価した。結果を表1に示す。
尚、顕微鏡により、得られた有機半導体層の膜形態を確認したところ、膜の周辺部と中心部で膜厚が大きく異なるコーヒーステイン状の不均一な膜厚となっていることが確認された。
テトラリン及びCPMEの混合溶媒の代わりに、溶媒としてテトラリンのみを用いた他は、実施例1と同様にして、有機半導体層形成用溶液を調製し、有機薄膜トランジスタを製造して評価した。結果を表1に示す。
尚、顕微鏡により、得られた有機半導体層の膜形態を確認したところ、膜の周辺部と中心部で膜厚が大きく異なるコーヒーステイン状の不均一な膜厚となっていることが確認された。
比較例2
テトラリン及びCPMEの混合溶媒の代わりに、溶媒としてCPMEのみを用いた他は、実施例1と同様にして、有機半導体層形成用溶液を調製した。得られた溶液を用いて、実施例1と同様の有機薄膜トランジスタの製造を試みたものの、インクジェット塗布の吐出が不安定であるため、均一な有機半導体層の形成ができなかった。
テトラリン及びCPMEの混合溶媒の代わりに、溶媒としてCPMEのみを用いた他は、実施例1と同様にして、有機半導体層形成用溶液を調製した。得られた溶液を用いて、実施例1と同様の有機薄膜トランジスタの製造を試みたものの、インクジェット塗布の吐出が不安定であるため、均一な有機半導体層の形成ができなかった。
実施例3
[有機半導体層形成用溶液の調製]
上記式(1)で表わされる有機半導体材料を、トルエン(溶媒A、20℃での表面張力28.4mN/m、20℃での蒸気圧2.9kPa)及びテトラリンを質量比で20:80で混合した混合溶媒99質量部に1質量部溶解させ、有機半導体溶液を調製した。
[有機半導体層形成用溶液の調製]
上記式(1)で表わされる有機半導体材料を、トルエン(溶媒A、20℃での表面張力28.4mN/m、20℃での蒸気圧2.9kPa)及びテトラリンを質量比で20:80で混合した混合溶媒99質量部に1質量部溶解させ、有機半導体溶液を調製した。
[有機薄膜トランジスタの製造及び評価]
ガラス基板を、中性洗剤、純水、アセトン及びエタノールで各30分超音波洗浄した後、電子ビーム蒸着法で金属マスクを通して、ガラス基板上にCrゲート電極を50nmの厚さで作製した。次いで、この基板上へ熱硬化絶縁層(カネカ社製 商品名ILLUMIKA TypeANL1)を大気下でスピンコーテイング法(2000rpm 20秒)で成膜し、150℃30分加熱を行うことでゲート電極上に厚さ500nmの絶縁体層を形成した。真空蒸着装置で金属マスクを通して、絶縁層上に金を50nmの膜厚で成膜することにより、互いに接しないソース電極及びドレイン電極を、間隔(チャンネル長)が50μmになるように形成した。このときソース電極とドレイン電極の幅(チャンネル幅)は500μmとなるように成膜した。その後、4−トリフルオロメチルベンゼンチオールを2−プロパノール(IPA)に0.1mMol/Lの濃度で希釈した溶液に10分間浸漬させて、Au電極表面を修飾した。
ソース電極及びドレイン電極を形成した基板の上に、調製した有機半導体溶液を用いて、マイクロピペットを用いて溶液を0.1μL滴下して成膜し、大気下50℃で1時間乾燥させ有機半導体層として成膜して有機薄膜トランジスタを作製した。
ガラス基板を、中性洗剤、純水、アセトン及びエタノールで各30分超音波洗浄した後、電子ビーム蒸着法で金属マスクを通して、ガラス基板上にCrゲート電極を50nmの厚さで作製した。次いで、この基板上へ熱硬化絶縁層(カネカ社製 商品名ILLUMIKA TypeANL1)を大気下でスピンコーテイング法(2000rpm 20秒)で成膜し、150℃30分加熱を行うことでゲート電極上に厚さ500nmの絶縁体層を形成した。真空蒸着装置で金属マスクを通して、絶縁層上に金を50nmの膜厚で成膜することにより、互いに接しないソース電極及びドレイン電極を、間隔(チャンネル長)が50μmになるように形成した。このときソース電極とドレイン電極の幅(チャンネル幅)は500μmとなるように成膜した。その後、4−トリフルオロメチルベンゼンチオールを2−プロパノール(IPA)に0.1mMol/Lの濃度で希釈した溶液に10分間浸漬させて、Au電極表面を修飾した。
ソース電極及びドレイン電極を形成した基板の上に、調製した有機半導体溶液を用いて、マイクロピペットを用いて溶液を0.1μL滴下して成膜し、大気下50℃で1時間乾燥させ有機半導体層として成膜して有機薄膜トランジスタを作製した。
得られた有機薄膜トランジスタのゲート電極に−25Vのゲート電圧を印加し、ソース−ドレイン間に電圧を印加して電流を流した。この場合、電子が有機半導体層のチャンネル領域(ソース−ドレイン間)に誘起され、p型トランジスタとして動作した。電流飽和領域での正孔の電界効果移動度μを式(A)より求めた。結果を表2に示す。
比較例3
テトラリン及びトルエンの混合溶媒の代わりに、溶媒としてテトラリンのみを用いた他は、実施例3と同様にして、有機半導体層形成用溶液を調製し、有機薄膜トランジスタを製造して評価した。結果を表2に示す。
テトラリン及びトルエンの混合溶媒の代わりに、溶媒としてテトラリンのみを用いた他は、実施例3と同様にして、有機半導体層形成用溶液を調製し、有機薄膜トランジスタを製造して評価した。結果を表2に示す。
実施例4
トルエン及びテトラリンの混合溶媒の代わりに、溶媒としてCPME及びジクロロベンゼン(溶媒B、20℃での表面張力36.7mN/m、20℃での蒸気圧1kPa以下)を質量比20:80で混合した混合溶媒99質量部に1質量部溶解させ、有機半導体溶液を調製し、実施例3と同様にして有機半導体層形成用溶液を調製し、有機薄膜トランジスタを製造して評価した。結果を表2に示す。
トルエン及びテトラリンの混合溶媒の代わりに、溶媒としてCPME及びジクロロベンゼン(溶媒B、20℃での表面張力36.7mN/m、20℃での蒸気圧1kPa以下)を質量比20:80で混合した混合溶媒99質量部に1質量部溶解させ、有機半導体溶液を調製し、実施例3と同様にして有機半導体層形成用溶液を調製し、有機薄膜トランジスタを製造して評価した。結果を表2に示す。
実施例5
トルエン及びテトラリンの混合溶媒の代わりに、溶媒としてトルエン、ジクロロベンゼンを質量比20:80で混合した混合溶媒99質量部に1質量部溶解させ、有機半導体溶液を調製し、実施例3と同様にして、有機半導体層形成用溶液を調製し、有機薄膜トランジスタを製造して評価した。結果を表2に示す。
トルエン及びテトラリンの混合溶媒の代わりに、溶媒としてトルエン、ジクロロベンゼンを質量比20:80で混合した混合溶媒99質量部に1質量部溶解させ、有機半導体溶液を調製し、実施例3と同様にして、有機半導体層形成用溶液を調製し、有機薄膜トランジスタを製造して評価した。結果を表2に示す。
比較例4
テトラリン及びトルエンの混合溶媒の代わりに、溶媒としてジクロロベンゼンのみを用いた他は、実施例3と同様にして、有機半導体層形成用溶液を調製し、有機薄膜トランジスタを製造して評価した。結果を表2に示す。
テトラリン及びトルエンの混合溶媒の代わりに、溶媒としてジクロロベンゼンのみを用いた他は、実施例3と同様にして、有機半導体層形成用溶液を調製し、有機薄膜トランジスタを製造して評価した。結果を表2に示す。
表2が示すように、特定の物性を有する溶媒からなる混合溶媒を用いることにより、均一な有機半導体層が形成され、高い素子性能が得られることを確認した。
また、性能指標である移動度の値について、比較例3−4よりも混合溶媒を用いた実施例3−5の方がより高い値を示した。また、顕微鏡観察により、比較例3−4よりも実施例3−5の方がより均一な膜厚であることが確認された。
また、性能指標である移動度の値について、比較例3−4よりも混合溶媒を用いた実施例3−5の方がより高い値を示した。また、顕微鏡観察により、比較例3−4よりも実施例3−5の方がより均一な膜厚であることが確認された。
実施例6
[有機半導体層形成用溶液の調製]
下記式(2)で表わされる有機半導体材料を、2−ブタノン(溶媒A、20℃での表面張力21.0mN/m、20℃での蒸気圧10.5kPa)及び1,2,4−トリメチルベンゼン(溶媒B、20℃での表面張力28.8mN/m、20℃での蒸気圧1kPa以下)を質量比で10:90で混合した混合溶媒999質量部に1質量部溶解させ、有機半導体層形成用溶液を調製した。
尚、式(2)で表わされる有機半導体材料は、WO2012/090462A1に基づいて合成した。
[有機半導体層形成用溶液の調製]
下記式(2)で表わされる有機半導体材料を、2−ブタノン(溶媒A、20℃での表面張力21.0mN/m、20℃での蒸気圧10.5kPa)及び1,2,4−トリメチルベンゼン(溶媒B、20℃での表面張力28.8mN/m、20℃での蒸気圧1kPa以下)を質量比で10:90で混合した混合溶媒999質量部に1質量部溶解させ、有機半導体層形成用溶液を調製した。
尚、式(2)で表わされる有機半導体材料は、WO2012/090462A1に基づいて合成した。
[有機薄膜トランジスタの製造及び評価]
有機半導体層の成膜に上記の式(2)で表わされる有機半導体材料を含む有機半導体層形成用溶液を用いた他は実施例3と同様にして有機薄膜トランジスタを作製し、評価した。結果を表3に示す。
有機半導体層の成膜に上記の式(2)で表わされる有機半導体材料を含む有機半導体層形成用溶液を用いた他は実施例3と同様にして有機薄膜トランジスタを作製し、評価した。結果を表3に示す。
比較例5
2−ブタノン及び1,2,4−トリメチルベンゼンの混合溶媒の代わりに、溶媒として1,2,4−トリメチルベンゼンのみを用いた他は、実施例6と同様にして、有機半導体層形成用溶液を調製し、有機薄膜トランジスタを製造して評価した。結果を表3に示す。
2−ブタノン及び1,2,4−トリメチルベンゼンの混合溶媒の代わりに、溶媒として1,2,4−トリメチルベンゼンのみを用いた他は、実施例6と同様にして、有機半導体層形成用溶液を調製し、有機薄膜トランジスタを製造して評価した。結果を表3に示す。
表3が示すように、特定の物性を有する溶媒からなる混合溶媒を用いることにより、均一な有機半導体層が形成され、高い素子性能が得られることを確認した。
また、性能指標である移動度の値について、比較例5よりも混合溶媒を用いた実施例6の方がより高い値を示した。また、顕微鏡観察により、比較例5よりも実施例6の方がより均一な膜厚であることが確認された。
また、性能指標である移動度の値について、比較例5よりも混合溶媒を用いた実施例6の方がより高い値を示した。また、顕微鏡観察により、比較例5よりも実施例6の方がより均一な膜厚であることが確認された。
本発明の溶液は有機薄膜トランジスタの半導体膜に使用できる。本発明の有機薄膜トランジスタは、薄膜ディスプレイに用いる電子デバイス等の表示用電子機器、プラスチックICカードや情報タグ等のウエアラブル電子機器、バイオセンサ等の医療機器や測定装置に用いることができる。
1 有機薄膜トランジスタ
2 有機薄膜トランジスタ
3 有機薄膜トランジスタ
4 有機薄膜トランジスタ
5 トップアンドボトムコンタクト型有機薄膜トランジスタ
6 縦型有機薄膜トランジスタ
10 基板
11 ソース電極
12 ドレイン電極
13 有機半導体層
14 絶縁体層
15 ゲート電極
2 有機薄膜トランジスタ
3 有機薄膜トランジスタ
4 有機薄膜トランジスタ
5 トップアンドボトムコンタクト型有機薄膜トランジスタ
6 縦型有機薄膜トランジスタ
10 基板
11 ソース電極
12 ドレイン電極
13 有機半導体層
14 絶縁体層
15 ゲート電極
Claims (15)
- 有機半導体材料と、
静置状態における表面張力が20〜30mN/mであり、及び20℃での蒸気圧が2〜13kPaの範囲である溶媒(A)と、
静置状態における表面張力が28〜40mN/mであり、及び20℃での蒸気圧が2kPa未満である溶媒(B)と、
を含む溶液。 - 前記溶媒(A)の静置状態における表面張力が23〜26mN/mであり、及び20℃での蒸気圧が2〜5kPaの範囲である請求項1に記載の溶液。
- 前記溶媒(A)の沸点が、75℃以上160℃以下の範囲である請求項1又は2に記載の溶液。
- 前記溶媒(A)の質量割合が、溶液全体の5質量%以上40質量%以下である請求項1〜3のいずれかに記載の溶液。
- 前記溶媒(A)が、エーテル系溶媒、炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、及びアルコール系溶媒からなる群から選択される1以上である請求項1〜4のいずれかに記載の溶液。
- 前記溶媒(A)が、シクロペンチルメチルエーテルである請求項1〜5のいずれかに記載の溶液。
- 前記溶媒(B)の静置状態における表面張力が31〜35mN/mであり、及び20℃での蒸気圧が1kPa以下である請求項1〜6のいずれかに記載の溶液。
- 前記溶媒(B)の沸点が、130℃以上250℃以下の範囲である請求項1〜7のいずれかに記載の溶液。
- 前記溶媒(B)の質量割合が、溶液全体の60質量%以上95質量%以下である請求項1〜8のいずれかに記載の溶液。
- 前記溶媒(B)が、アルコキシ基芳香族化合物溶媒、芳香族アルカン溶媒、及びハロゲン化芳香族化合物溶媒からなる群から選択される1以上である請求項1〜9のいずれかに記載の溶液。
- 静置状態における表面張力が20〜30mN/mであり、及び20℃での蒸気圧が2kPa未満である、又は静置状態における表面張力が28〜40mN/mであり、及び20℃での蒸気圧が2〜13kPaの範囲であり、前記溶媒(A)及び(B)とは異なる溶媒(C)をさらに含む請求項1〜10のいずれかに記載の溶液。
- 請求項1〜11のいずれかに記載の溶液を用いた印刷用有機半導体インク。
- 請求項12に記載の印刷用有機半導体インクを成膜してなる有機半導体膜。
- 請求項13に記載の有機半導体膜を有する有機TFT素子。
- 請求項14に記載の有機TFT素子を備える電子機器。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2013075710A JP2013232633A (ja) | 2012-04-03 | 2013-04-01 | 有機半導体溶液、当該有機半導体溶液を用いた印刷用有機半導体インク |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2012084592 | 2012-04-03 | ||
JP2012084592 | 2012-04-03 | ||
JP2013075710A JP2013232633A (ja) | 2012-04-03 | 2013-04-01 | 有機半導体溶液、当該有機半導体溶液を用いた印刷用有機半導体インク |
Publications (1)
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Family Applications (1)
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JP (1) | JP2013232633A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018090684A (ja) * | 2016-12-01 | 2018-06-14 | Dic株式会社 | 有機半導体薄膜形成用インクジェットインク |
-
2013
- 2013-04-01 JP JP2013075710A patent/JP2013232633A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2018090684A (ja) * | 2016-12-01 | 2018-06-14 | Dic株式会社 | 有機半導体薄膜形成用インクジェットインク |
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