JP2013249381A - 電子素子用絶縁材料形成用組成物及び電子素子 - Google Patents

電子素子用絶縁材料形成用組成物及び電子素子 Download PDF

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直樹 栗原
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秀嗣 池田
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Abstract

【課題】溶液法により成膜することができる組成物であって、塗布成膜後に他の層を塗布プロセスで製造する場合、その工程に耐え、かつ耐熱性を有し、得られる絶縁体が低いリーク電流密度及び高い水接触角を示すことができる電子素子用絶縁材料形成用組成物を提供する。
【解決手段】(メタ)アクリル部位を2個以上持ちさらに多環の脂環式構造を持つモノマー、及び(メタ)アクリル部位を1個以上持ちさらにフッ素原子を持つモノマーを含む電子素子用絶縁材料形成用組成物。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子素子用絶縁材料形成用組成物及び当該組成物を使用した電子素子に関する。
薄膜トランジスタ(TFT)、有機EL素子、液晶セル等のスイッチ機能を有する電子素子において、層間の絶縁のために用いられる絶縁材料は必須の材料である。
代表的な電子素子である薄膜トランジスタは、液晶表示装置や有機EL表示装置等の表示装置のスイッチング素子として広く用いられている。
従来、このTFTは、アモルファスや多結晶のシリコンを用いて作製されていたが、シリコンを用いたTFTの作製に用いられるCVD(Chemical Vapor Deposition)装置は、非常に高額であり、TFTを用いた表示装置等の大型化は、製造コストの大幅な増加を伴うという問題点があった。また、アモルファスや多結晶のシリコンを成膜するプロセスは非常に高い温度下で行われるため、基板として使用可能な材料の種類が限られ、軽量な樹脂基板等は使用できないという問題があった。
上記問題を解決するため、アモルファス及び多結晶のシリコンに替えて、有機物を用いたTFTが提案されている。有機物を用いてTFTを形成する際の成膜方法としては、真空蒸着法及び塗布法が使用可能なことが知られており、特に塗布法を用いることにより、製造コストの上昇を抑えつつ、TFTを使用した装置の大型化が実現可能になり、成膜時に必要となるプロセス温度を比較的低温にすることもできる。このため、有機物を用いたTFTでは、基板に用いることができる材料の選択の制限が少ないといった利点がある。
有機物を用いたTFTについては、盛んに報告がなされ(例えば非特許文献1及び2)、その実用化が期待されている。
TFTに用いるゲート絶縁体層(以下、ゲート絶縁膜という場合がある。)についても多様な材料が検討され、高分子絶縁体についても、スピンコーティング等で簡単に成膜でき、優れた特性を発現させるTFT用絶縁材料として紹介されている(非特許文献2)。しかしながら、従来から知られた高分子絶縁体には、改良の余地がある。
第一に、塗布成膜可能な高分子絶縁体の種類は限られている。また塗布成膜可能なものであってもそれらは後続の塗布工程、例えば、ボトムゲートTFTにおける半導体層の形成、電極等の導体層の形成、そしてTFT形成後の保護層の形成等に用いられる条件(例えば、適用される溶剤の種類)にしばしば耐えることができず、素子形成不能となる。
第二に、高分子絶縁体は耐熱性の低いものが多く、特にポリメタクリル酸メチル(PMMA)に代表されるアクリル系高分子絶縁膜は、例えば、有機EL表示装置の形成における、TFT形成後の有機EL素子の形成時に使用されるプロセス温度等、TFT形成後の後工程のプロセス温度にしばしば耐えることができない。
第三に、従来の高分子絶縁体のリーク電流密度は比較的高い(通常2MV/cmで1×10−7A/cmより高い)ため、良好なTFT特性を得ることができない。
第四に、PMMA等のアクリル系高分子絶縁膜では、水接触角が小さく、水分の透過を防ぐ水蒸気透過性に期待できず、ヒステリシスも大きくなるおそれがある。
従って、電子素子用絶縁材料形成用組成物として、溶液法により成膜することができ、かつ塗布膜形成後の後続の塗布工程に耐える、架橋性高分子絶縁材料が求められている。さらに、電子素子用絶縁材料形成用組成物は、耐熱性を有し、かつリーク電流密度が低く、高い接触角も求められている。
特許文献1には、特定構造のアダマンタン誘導体が開示されているが、リーク電流密度への着目はなく、低いリーク電流密度を必須とする用途への言及もない。
ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等の特定の疎水性主鎖を有するポリマーが導入された高分子ゲート絶縁膜の使用により、低いTFTゲートリーク電流密度を達成する可能性がある(非特許文献3)。しかし、架橋官能性に欠けるため、成膜後さらに溶液プロセスにより他の層を成膜する場合、後続の成膜工程で溶解する等して、素子の形成に耐えることができない可能性がある。
これらの問題を解決する手段として、特許文献2、特許文献3、特許文献4、そして非特許文献4のような架橋高分子絶縁体が報告されているが、本発明のモノマー構造についての開示はない。
特開2008−105999号公報 特表2010−511094号公報 特開2006−28497号公報 特開2011−38062号公報
C.Dimitrakopoulosら、Advanced Materials 14巻、99頁 2002年 A.Facchettiら、Advanced Materials 17巻、1705頁 2005年 C.Kimら,Science 318巻、76−80頁 2007年 H.Klaukら,Journal of Applied Physics 92巻、5259頁 2002年
本発明の目的は、溶液法により成膜することができる組成物であって、塗布成膜後に他の層を塗布プロセスで製造する場合、その工程に耐え、かつ耐熱性を有し、得られる絶縁体が低いリーク電流密度及び高い水接触角を示すことができる電子素子用絶縁材料形成用組成物を提供することである。
本発明者らは鋭意研究した結果、(メタ)アクリル部位を2個以上持ちさらに多環の脂環式構造を持つモノマーと、(メタ)アクリル部位を1個以上持ちさらにフッ素原子を持つモノマーを主たる重合性成分として含む電子素子用絶縁材料形成用組成物、及びこの組成物を硬化して得られる絶縁材料を用いてなる電子素子が、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明によれば、以下の電子素子用絶縁材料形成用組成物等が提供される。
1.(メタ)アクリル部位を2個以上持ちさらに多環の脂環式構造を持つモノマー、及び(メタ)アクリル部位を1個以上持ちさらにフッ素原子を持つモノマーを含み、
前記(メタ)アクリル部位を2個以上持ちさらに多環の脂環式構造を持つモノマー、及び(メタ)アクリル部位を1個以上持ちさらにフッ素原子を持つモノマーの含有量が組成物中の重合性成分全量に対して40重量%以上である電子素子用絶縁材料形成用組成物。
2.前記多環の脂環式構造を持つモノマーと、前記フッ素原子を持つモノマーとの成分比(重量比)が1:99〜99:1である1に記載の電子素子用絶縁材料形成用組成物。
3.前記多環の脂環式構造が、アダマンタン骨格又はトリシクロデカン骨格である1又は2に記載の電子素子用絶縁材料形成用組成物。
4.前記多環の脂環式構造を持つモノマーの構造が、下記式(1)又は(2)で表される1〜3のいずれかに記載の電子素子用絶縁材料形成用組成物。
Figure 2013249381
(式中、Rは、水素原子、フッ素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基を示す。
Xは、フッ素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、又は2つのXが一緒になって形成された=Oを示す。
Yは、メチル基、又は2つのYが一緒になって形成された=Oを示す。
及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。
pは0〜6の整数、mは0〜14の整数、nは2以上の整数、tは0〜14の整数、uは0〜14の整数、sは2以上の整数である。
mが2以上の整数である場合、複数のXは互いに同じでも異なってもよい。
uが2以上の整数である場合、複数のYは互いに同じでも異なってもよい。
は、C2q2r(qは0〜4の整数、rは0〜4の整数である。)で表わされる基を示す。
は、単結合、又は下記式(2−1)で表わされる基、又は下記式(2−2)で表わされる基を示す。)
Figure 2013249381
(式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。
vは1〜4の整数である。)
5.前記多環の脂環式構造を持つモノマーの構造が、下記式(21)〜(23)のいずれかで表される1〜3のいずれかに記載の電子素子用絶縁材料形成用組成物。
Figure 2013249381
6.前記フッ素原子を持つモノマーの構造が、下記式(31)で表される1〜5のいずれかに記載の電子素子用絶縁材料形成用組成物。
Figure 2013249381
(式中、R11、R12及びR13は、それぞれ水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜20の1価の有機基を表す。
11、R12及びR13の1価の有機基中の水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。
Rfは、少なくとも1個のフッ素原子が含まれる炭素数1〜20の1価の有機基を表す。)
7.1〜6のいずれかに記載の電子素子用絶縁材料形成用組成物を硬化して得られる高分子材料からなる電子素子用絶縁材料。
8.7に記載の電子素子用絶縁材料を平坦化膜、パッシベーション膜、層間絶縁膜又はゲート絶縁膜として使用する電子素子。
9.ゲート電極、ソース電極及びドレイン電極の3端子、絶縁体層並びに半導体層を有し、ソース−ドレイン間電流をゲート電極に電圧を印加することによって制御する薄膜トランジスタにおいて、6に記載の電子素子用絶縁材料を絶縁体層に用いる薄膜トランジスタ。
10.前記半導体層が有機半導体からなる9に記載の薄膜トランジスタ。
本発明によれば、溶液法により成膜することができ、且つ塗布成膜後に他の層を塗布プロセスで製造する場合、その工程に耐え、かつ耐熱性を有し、低いリーク電流密度を示し、さらに高い水接触角を示す電子素子用絶縁材料形成用組成物が提供できる。
本発明の薄膜トランジスタの一実施形態の素子構成を示す図である。 本発明の薄膜トランジスタの他の実施形態の素子構成を示す図である。 本発明の薄膜トランジスタの他の実施形態の素子構成を示す図である。 本発明の薄膜トランジスタの他の実施形態の素子構成を示す図である。 本発明の薄膜トランジスタの他の実施形態の素子構成を示す図である。 本発明の薄膜トランジスタの他の実施形態の素子構成を示す図である。
[絶縁材料組成物]
本発明の電子素子用絶縁材料形成用組成物(以下、単に本発明の絶縁材料組成物という場合がある)は、(メタ)アクリル部位を2個以上持ちさらに多環の脂環式構造を持つモノマー(以下、単に多官能多環脂環式モノマーという場合がある)、及び(メタ)アクリル部位を1個以上持ちさらにフッ素原子を持つモノマー(以下、フッ素原子置換モノマーという場合がある)を主たる重合性成分として含む。
フッ素原子置換モノマーのフッ素原子は、他の原子を取り込もうとする力(電気陰性度)が最も大きい原子であるため、モノマー中のC−F結合は非常に強い。そのため、フッ素原子置換モノマーは外部に影響されにくく、本発明の絶縁材料組成物から得られる絶縁材料は、表面エネルギーが小さく、高い水接触角を示すことができると推測される。
上記「主たる重合性成分として含む」とは、例えば組成物に含まれる重合性成分に占める多官能多環脂環式モノマー及びフッ素置換モノマーの割合が40重量%以上100重量%以下であることを意味し、好ましくは50重量%以上100重量%以下であり、さらに好ましくは60重量%以上100重量%以下である。尚、「重合性成分」とは、例えば不飽和二重結合を有する化合物を言う。
また、本発明の絶縁材料組成物において、多官能多環脂環式モノマー及びフッ素置換モノマーの配合比(重量比)は、好ましくは1:99〜99:1であり、より好ましくは10:90〜90:10である。
以下、多官能多環脂環式モノマー及びフッ素置換モノマーの各成分について説明する。
[多官能多環脂環式モノマー]
多官能多環脂環式モノマーは、(メタ)アクリル部位を2個以上有する。重合性官能基である(メタ)アクリル部位を2個以上有することにより、本発明の絶縁材料組成物の重合時の架橋、又は重合後の架橋化処理により耐溶剤性及び耐熱性に優れる硬化膜を得ることができる。
多官能多環脂環式モノマーが有する(メタ)アクリル部位の数は、用いるモノマーの反応性、剛直さ等により調整すれば特に限定されないが、好ましくは2〜4個である。
(メタ)アクリル部位とは、アクリル酸、メタクリル酸の水素原子を除いた部分、すなわち以下のいずれかの構造単位を意味する。
Figure 2013249381
多官能多環脂環式モノマーを構成する多環の脂環式構造は、好ましくは、ヘテロ原子を有してもよい環形成炭素数5〜20の脂環式構造である。
上記多環の脂環式構造としては、例えば、デカリル環(パーヒドロナフタレン環),ノルボルニル環,ボルニル環,イソボルニル環,アダマンチル環,トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン環等の多環構造の炭化水素化合物;4−オキサ−トリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−5−オン,4,8−ジオキサ−トリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−5−オン,4−オキサ−トリシクロ[4.3.1.13,8]ウンデカン−5−オン等の多環式ラクトン;多環式エーテル;及びこれらのパーフルオロ置換体等が挙げられる。
耐溶剤性やリーク電流密度の点で、好ましくはアダマンチル環、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環である。
多官能多環脂環式モノマーを構成する多環の脂環式構造は、さらに置換基を有してもよい。
多環の脂環式構造が有する置換基としては、フッ素原子等のハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、環形成炭素数3〜20の脂環式基が挙げられる。
上記炭素数1〜20のアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状のいずれであってもよく、例えば、メチル基、エチル基、各種プロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デシル基、各種ドデシル基、各種テトラドデシル基、各種ヘキサデシル基、各種オクタデシル基、各種イコシル基等が挙げられる。
上記環形成炭素数3〜20の脂環式基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基、アダマンチル基及びそれらの環上に炭素数1〜5程度の低級アルキル基が導入された基等が挙げられる。炭素数1〜5程度の低級アルキル基としては、上記の基を挙げることができる。
リーク電流密度低減の点から、多官能多環脂環式モノマーは、好ましくは有する(メタ)アクリル部位が2個である。
また、(メタ)アクリル部位を2個有する場合において、多環の脂環式構造を構成する同一の脂環式基が2個の(メタ)アクリル部位を有する構造よりも、異なる脂環式基が1個ずつ(メタ)アクリル部位を有する構造の方が、リーク電流密度や耐久性の点で好ましい。(メタ)アクリル部位を3個以上持つ構造の場合も、多環の脂環式構造を構成する異なる脂環式基が(メタ)アクリル部位をそれぞれ有する構造が好ましい。
例えば多環の脂環式構造がアダマンチル環の場合は、後記するように、アダマンタンの3,7位で(メタ)アルキル基を含む基と結合する構造が好ましい。
また、(メタ)アクリロイル基と多環の脂環式構造が直接結合する構造よりも、アルキレン基やオキシアルキレン基を介して結合する構造の方が、耐熱性の点で好ましい。
多官能多環脂環式モノマーは、好ましくは多環の脂環式構造がアダマンタン骨格である下記式(1)又は(2)で表されるモノマーである。モノマーが下記構造であることにより、優れた性能の電子素子を得ることができる。
Figure 2013249381
(式中、Rは、水素原子、フッ素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基を示す。
Xは、フッ素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、又は2つのXが一緒になって形成された=Oを示す。
Yは、メチル基、又は2つのYが一緒になって形成された=Oを示す。
及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。
pは0〜6の整数、mは0〜14の整数、nは2以上の整数、tは0〜14の整数、uは0〜14の整数、sは2以上の整数である。
mが2以上の整数である場合、複数のXは互いに同じでも異なってもよい。
uが2以上の整数である場合、複数のYは互いに同じでも異なってもよい。
nが2以上の整数である場合、括弧内の基は互いに同じでも異なってもよい。
sが2以上の整数である場合、括弧内の基は互いに同じでも異なってもよい。
は、C2q2r(qは0〜4の整数、rは0〜4の整数である。)で表わされる基を示す
は、単結合、又は下記式(2−1)で表わされる基、又は下記式(2−2)で表わされる基を示す。)
Figure 2013249381
(式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。
vは1〜4の整数である。
vが2以上の整数である場合、括弧内の基は互いに同じでも異なってもよい。)
式(1)において、Rは水素原子又はメチル基であることが入手容易性の点で好ましい。また、アダマンタンの3,7位で(メタ)アルキル基を含む基と結合する構造がリーク電流密度の点で好ましい。R及びRは水素原子が好ましい。mは0であることが入手性の点で好ましく、nは2であることがリーク電流密度の点で好ましい。pは耐熱性の点で1〜6の整数であることが好ましい。
同様に、式(2)において、Rは水素原子又はメチル基であることが入手容易性の点で好ましい。また、アダマンタンの3,7位で(メタ)アルキル基を含む基と結合する構造がリーク電流密度の点で好ましい。sは2であることがリーク電流密度の点で好ましく、tは14、uは0であることが入手容易性あるいは表面エネルギーの点で好ましい。Zは、式−C2q2r−(qは0〜4の整数、rは0〜4の整数である。)で表わされる基が好ましい。Zは、式(2−1)が好ましい。また、R及びRは水素原子が好ましい。
式(1)及び(2)で表わされる多官能多環脂環式モノマーの他に、多環の脂環式構造がアダマンタン骨格であるモノマーとしては、下記式(3)〜(11−9)で表わされるモノマーが挙げられる。
式(3)で表わされるアダマンタン誘導体。
Figure 2013249381
[式中、Rは、アクリレート基、メタアクリレート基、トリフルオロメタクリレート基から選ばれる1種の基を示す。
は、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基から選ばれる1種の基を示す。
kは0〜4の整数を示す。nは1〜6の整数を示す。
括弧内の基はアダマンタン骨格の6個のメチレン部に結合し得る。
kは1以上であってもよいが、電子素子用絶縁材料形成用組成物として使用する際には、シラン化合物等を用いて、水酸基を封止するとよい。]
上記式(3)で表わされるモノマーの具体例は、以下の通りである。
Figure 2013249381
下記式(4)で表わされるアダマンタン誘導体。
Figure 2013249381
[式中、Rは、式C2P+1(Pは1〜7の整数)で表わされる炭化水素基を示す。
は、(メタ)アクリロイルオキシ基又はトリフルオロメタクリロイルオキシ基を示す。
は、水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。
は、メチル基、水酸基、カルボキシル基、又は2つのRが一緒になった=O基を示す。
nは1〜4の整数、kは0〜4の整数である。n及びkがそれぞれ2以上の場合、複数のR及び複数のRはそれぞれ同一でも異なってもよい。
括弧内の基はアダマンタン骨格の4個のメチン部に結合し得る。
は、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基であり、具体的には、前記の基が挙げられる。Rが水酸基の場合、電子素子用絶縁材料形成用組成物として使用する際には、シラン化合物等を用いて、水酸基を封止するとよい。また、カルボキシル基の場合はエステル化等により末端水酸基を封止するとよい。]
上記式(4)で表わされるモノマーの具体例としては、以下の通りである。
Figure 2013249381
下記式(5)で表わされるアダマンタン誘導体。
Figure 2013249381
(式中、Yはフッ素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、水酸基、カルボキシル基から選ばれる基を表す。
qは0〜15の整数である。qが2以上の場合、2つのYが一緒になって形成された=Oであってもよく、複数のYは同一であっても異なっていてもよい。
X’は下記式(6)で表わされる1価の基である。
pは1〜4の整数である。pが2以上の場合、複数のX’は同一であっても異なっていてもよい。p+qは1〜16の整数である。
Figure 2013249381
(式中、Rは、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、水酸基、カルボキシル基から選ばれる基又はトリフルオロメチル基を表わす。
は、それぞれ水素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基を表わす。
n及びmは、それぞれ独立に0〜4の整数を表わす。但し、n及びmがともに0になることはない。
式(6)で表わされる置換基は、矢印部分でアダマンタン骨格と結合する。)
式(5)及び(6)において、Y又はRが水酸基又はカルボキシル基の場合、電子素子用絶縁材料形成用組成物として使用する際には、シラン化合物等を用いて、あるいはエステル化等を行なって末端水酸基を封止するとよい。
また、Y又はRが炭素数1〜10の炭化水素基の場合、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基であり、具体的には、前記の基が挙げられる。
式(7)で表わされるモノマーは、下記式(7−1)で表わされるジ(メタ)アクリレート体と下記式(7−2)で表わされるマイケル付加体の混合物であって、当該マイケル付加体の含有量が5〜40重量%であるアダマンチルジ(メタ)アクリレートの混合物。
Figure 2013249381
(式中、Rは、それぞれ水素原子、メチル基、フッ素原子、又はトリフルオロメチル基である。n及びmは、それぞれ1〜20の整数である。
n及びmがそれぞれ2以上の整数でる場合、括弧内の連結基は同じでも異なってもよい。)
式(8)で表わされる含フッ素アダマンタン誘導体。
Figure 2013249381
(式中、Aは単結合又は置換基を有してもよい炭素数1〜10のn価の炭化水素基を示す。
Yは酸素原子又は酸素原子を含んでもよい2価の炭化水素基を示す。
2価の炭化水素基としては、メチレン基やジフルオロメチレン基等の炭素数1〜10のアルキレン基やフルオロアルキレン基が挙げられる。
Zは1つ以上の水素原子がフッ素原子で置換されたアダマンチル基を示す。
Rは水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。
nは2〜4の整数である。nが2以上の整数である場合、括弧内の基は互いに同じでも異なってもよい。)
下記式(9)で表わされるアダマンタン誘導体。
Figure 2013249381
[式中、Yは、水素原子、有機基、水酸基及び2つのYが一緒になって形成された=O基の中から選ばれる1種を示す。
〜Rは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、ヘテロ原子を含んでもよい脂肪族炭化水素及びパーフルオロアルキル基の中から選ばれる1種を示し、あるいはRとRとが一緒になって形成された=O基を示す。但し、R〜Rの少なくとも1つは式(M):−A−Bで表される置換基を示す〔式(M)中、Aは、エーテル結合(−O−)あるいはエステル結合(−COO−)を含んでもよい炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状の脂肪族炭化水素基を示す。Bは、エーテル結合あるいはエステル結合を含んでもよい炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のフルオロアルキル基を含む有機基を示す。
は水素原子、フッ素原子、メチル基及びトリフルオロメチル基の中から選ばれる1種を示す。
aは2〜4の整数であり、bは1〜14の整数であり、cは0又は1〜13の整数であり、a+b+c=16である。dは0又は1〜5の整数であり、eは1〜5の整数である。複数のY、及びR〜Rはそれぞれにおいて同一でも異なっていてもよく、複数の
Figure 2013249381
はそれぞれにおいて互いに同一でも異なっていてもよい。
Y及びR〜Rが水酸基の場合、電子素子用絶縁材料形成用組成物として使用する際には、シラン化合物等を用いて、水酸基を封止するとよい。
YあるいはR〜Rが有機基、あるいはヘテロ原子を含んでもよい脂肪族炭化水素である場合、有機基、脂肪族炭化水素としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましい。具体的な基としては、前記の基が挙げられる。
また、Aは炭素数1〜3の直鎖状炭化水素基であることが好ましく、メチレン基、エチレン基、1,3−プロピレン基が更に好ましい。Bは炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基であることが好ましい。]
下記式(10)で表わされるアダマンタン誘導体。
Figure 2013249381
[式中、Z
Figure 2013249381
(式中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、酸素原子を含んでもよい脂肪族炭化水素基、又は式(A)
Figure 2013249381
で表される有機基を示し、R及びRはそれぞれ独立に水素、ハロゲン、水酸基、酸素原子を含んでもよい脂肪族炭化水素基である。
及びGは、それぞれ独立に、単結合又は酸素原子を示す。
c〜fはそれぞれ、1≦c≦10、1≦d≦10、0≦e≦10、0≦f≦10の整数である。
は、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基を表す。)を表す。
a及びbはそれぞれ、2≦a≦4、10≦b≦14であり、かつa+b=16である。
但し、a=2のときは、R又はRの少なくとも1つが式(A)で表される有機基である。
〜Rが水酸基である場合、電子素子用絶縁材料形成用組成物として使用する際には、シラン化合物等を用いて、水酸基を封止するとよい。
〜Rにおける脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜10のアルキル基が挙げられる。]
下記式(11−1)〜(11−4)で表わされるアダマンタン誘導体。
Figure 2013249381
[式中、Zは下記式(11−5)
Figure 2013249381
(式中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、水酸基、カルボキシル基又はトリフルオロメチル基を示す。
は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。pは2〜10の整数、qは0〜10の整数、rは0〜5の整数であり、p,q及びrがそれぞれ2以上の場合、R〜Rはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。)で示される基である。
nは2〜4の整数であり、複数のZはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。mは1〜4の整数であり、mが2以上の場合、複数のZはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
〜Rが水酸基の場合、電子素子用絶縁材料形成用組成物として使用する際には、シラン化合物等を用いて、水酸基を封止するとよい。カルボキシル基の場合はエステル化等により末端水酸基を封止するとよい。また、R〜Rにおける炭素数1〜10の炭化水素基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましい。]
下記式(11−6)〜(11−9)で表わされるアダマンタン誘導体。
Figure 2013249381
[式中、Zは下記式(11−10)
Figure 2013249381
(式中、R〜R及びR〜Rは、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、水酸基、カルボキシル基又はトリフルオロメチル基を示す。
は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。
pは2〜10の整数、qは0〜10の整数、rは0〜5の整数、sは0〜6の整数であり、p,q,r及びsがそれぞれ2以上の場合、R〜R,R及びRはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。)で示される基である。
nは2〜4の整数であり、複数のZはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
mは1〜4の整数であり、mが2以上の場合、複数のZはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
〜R及びR〜Rが水酸基の場合、電子素子用絶縁材料形成用組成物として使用する際には、シラン化合物等を用いて、水酸基を封止するとよい。
式(11−10)における水酸基も封止するとよい。カルボキシル基の場合はエステル化等により末端水酸基を封止するとよい。また、R〜R及びR〜Rにおける炭素数1〜10の炭化水素基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましい。]
上記以外にも、下記のようなアダマンタン誘導体が例示できる。
Figure 2013249381
Figure 2013249381
Figure 2013249381
Figure 2013249381
Figure 2013249381
Figure 2013249381
多環の脂環式構造がトリシクロデカン骨格であるモノマーとしては、下記式(21)〜(23)で表されるモノマーが挙げられる。
Figure 2013249381
多環の脂環式構造がアダマンタン骨格でもなく、多環の脂環式構造がトリシクロデカン骨格でもない、多官能多環脂環式モノマーとしては、例えば下記化合物がある。
Figure 2013249381
多官能多環脂環式モノマーは、例えば、公知の多環の脂環式ジオール類等と(メタ)アクリル酸類又はその反応性誘導体を反応させることにより製造することができる。具体的には、通常知られている共沸脱水法、酸ハライド法又はエステル交換法を用いて、多環の脂環式ジオール類等と(メタ)アクリル酸類又はその反応性誘導体とを反応させてエステル化することにより合成することができる。
多環の脂環式ジオール類には例えばアダマンチル基含有ジオール類があり、当該アダマンチル基含有ジオール類としては、1,3−アダマンタンジオール、アダマンタン−1,3−ジメタノール、アダマンタン−1,3−ジエタノール、アダマンタン−1,3−ジプロパノール、アダマンタン−1,3,5−トリメタノール、アダマンタン−1,3,5−トリエタノール、アダマンタン−1,3,5−トリプロパノール、アダマンタン−1,3,5,7−テトラメタノール、アダマンタン−1,3,5,7−テトラエタノール、アダマンタン−1,3,5,7−テトラプロパノール等が挙げられる。
他のアダマンチル基含有ジオール類としては、ペルフルオロ−1,3−アダマンタンジオール、ペルフルオロ−1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)アダマンタン、ペルフルオロ−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエトキシ)アダマンタン、ペルフルオロ−1,3,5,7−テトラキス(2−ヒドロキシエトキシ)アダマンタン、ペルフルオロ−1,3−ビス(2−ヒドロキシプロポキシ)アダマンタン、ペルフルオロ−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシプロポキシ)アダマンタン、ペルフルオロ−1,3,5,7−テトラキス(2−ヒドロキシプロポキシ)アダマンタン、ペルフルオロ−1,3−ビス(2−ヒドロキシブトキシ)アダマンタン、ペルフルオロ−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシブトキシ)アダマンタン、ペルフルオロ−1,3,5,7−テトラキス(2−ヒドロキシブトキシ)アダマンタン、ペルフルオロ−1,3−ビス(2−ヒドロキシペンチロキシ)アダマンタン、ペルフルオロ−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシペンチロキシ)アダマンタン、ペルフルオロ−1,3,5,7−テトラキス(2−ヒドロキシペンチロキシ)アダマンタン等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸類又はその反応性誘導体としては、前記共沸脱水法の場合、アクリル酸、メタクリル酸、α−トリフルオロメチルアクリル酸、α−フルオロアクリル酸、アクリル酸無水物、メタクリル酸無水物、α−トリフルオロメチルアクリル酸無水物、α−フルオロアクリル酸無水物等の酸無水物等が挙げられる。
前記酸ハライド法の場合、アクリル酸クロリド、メタクリル酸クロリド、α−トリフルオロメチルアクリル酸クロリド、α−フルオロアクリル酸クロリド等の酸ハライド等が挙げられる。
前記エステル交換法の場合、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、及びこれらの化合物のアクリル酸部分をメタクリル酸、α−トリフルオロメチルアクリル酸、α−フルオロアクリル酸に置き換えた化合物等の低級アルキルエステル等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸類又はその反応性誘導体の配合量としては、多環の脂環式基含有アルコール類に対して、化学量論的量の1〜3倍程度が好ましい。
(メタ)アクリル部位を2個以上持ちさらに多環の脂環式構造がアダマンタンであるモノマーの製造方法としては、例えば、特開2008−105999号公報に記載の方法を採用することができる。
[フッ素原子置換モノマー]
フッ素原子置換モノマーは、(メタ)アクリル部位を1個以上有し、フッ素原子を有する化合物であれば特に限定されない。
フッ素原子置換モノマーは、好ましくは下記式(31)で表わされる化合物である。
Figure 2013249381
(式中、R11、R12及びR13は、それぞれ水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜20の1価の有機基を表す。
11、R12及びR13の1価の有機基中の水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。
Rfは、少なくとも1個のフッ素原子が含まれる炭素数1〜20の1価の有機基を表す。)
式(31)において、R11、R12、R13及びRfの炭素数1〜20の1価の有機基としては、メチル基、エチル基、ヘキシル基、デシル基、2−エチルヘキシル基等の鎖状脂肪族炭化水素基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基等の環状脂肪族炭化水素基;フェニル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基;及びこれらを組み合わた基が挙げられる。
フッ素原子置換モノマーの具体例としては、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルアクリレート、1H,1H−ヘプタルオロブチルアクリレート、1H,1H−ノナフルオロペンチルアクリレート、1H,1H−ウンデカフルオロヘキシルアクリレート、1H,1H−ペンタデカフルオロオクチルアクリレート、1H,1H−ヘプタデカフルオロノニルアクリレート、1H,1H−ノナデカフルオロデシルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート、1H,1H−ヘプタルオロブチルメタクリレート、1H,1H−ペンタデカフルオロオクチルメタクリレート、1H,1H−ノナデカフルオロデシルメタクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、1H、1H、3H−ヘキサフルオロブチルアクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルアクリレート、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルアクリレート、1H、1H、9H−ヘキサデカフルオロノニルアクリレート、1H,1H,11H−エイコサフルオロウンデシルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタクリレート、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルメタクリレート、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノニルメタクリレート、1H,1H,11H−エイコサフルオロウンデシルメタクリレート、1H,1H,2H,2H−ノナフルオロヘキシルアクリレート、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルアクリレート、1H,1H,2H,2H−ヘンイコサフルオロドデシルアクリレート、1H,1H,2H,2H−ノナフルオロヘキシルメタクリレート、1H,1H,2H,2H−トリデカフルオロオクチルメタクリレート、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート、1H,1H,2H,2H−ヘンイコサフルオロドデシルメタクリレート、1H、1H、3H−ヘキサフルオロブチルメタクリレート、2−フルオロエチルメタクリレート、ヘキサフルオロイソプロピル2−フルオロアクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル2−フルオロアクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル2−フルオロアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル2−フルオロアクリレート、1H−1−(トリフルオロメチル)トリフルオロエチルアクリレート、ヘプタフルオロイソプロピルアクリレート、ヘキサフルオロ−2−メチルイソプロピルアクリレート、3−パーフルオロブチル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)エチルアクリレート、3−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)エチルアクリレート、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)エチルアクリレート、3−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−(パーフルオロ−9−メチルデシル)エチルアクリレート、1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−ウンデカフルオロシクロヘキシルメチルアクリレート、2−(パーフルオロオクチル)3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、1H−1−(トリフルオロメチル)トリフルオロエチルメタクリレート、3−パーフルオロブチル−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)エチルメタクリレート、3−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)エチルメタクリレート、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)エチルメタクリレート、3−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、等のフルオロアルキル基を有するアクリレート及びフルオロアルキル基を有するメタクリレート、フルオロベンジルアクリレート、フルオロベンジルメタクリレート、ジフルオロベンジルメタクリレート、ペンタフルオロベンジルアクリレート、ペンタフルオロベンジルメタクリレート等のフッ素置換ベンジルアクリレート及びフッ素置換ベンジルメタクリレート等が挙げられる。
上記化合物の他、フッ素原子置換モノマーとしては、1H,1H,6H,6H−パーフルオロヘキシルジアクリレート、1H,1H,2H,2H−パーフルオロ−1,6−ヘキシルジメタクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロ−1,4−ブチルジアクリレート、フッ素化テトラエチレングリコールジアクリレート等の分子中に(メタ)アクリル部位を2個以上有するモノマーが挙げられる。
また、ターシャリーブチル2−フルオロアクリレート、メチル2−(トリフルオロメチル)アクリレート、メチルペンタフルオロメタクリレート等の、重合して形成される主鎖部分のみにフッ素原子を有するモノマーも挙げられる。
[その他の成分]
本発明の組成物は、多官能多環式モノマー及びフッ素原子置換モノマーから実質的になってもよい。「実質的になる」とは、例えば多官能多環式モノマー及びフッ素原子置換モノマーの合計含有量が90重量%以上、95重量%以上、97重量%以上、98重量%以上、又は99重量%以上であることを意味する。
本発明の組成物は、加熱により硬化させる場合には熱重合開始剤、光照射によって硬化させる場合には光重合開始剤を含んでいてもよい。
熱重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物やアゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系開始剤等が挙げられる。
光重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ベンジル類、ベンゾインエーテル類、ベンジルジケタール類、チオキサントン類、アシルホスフィンオキサイド類、アシルホスフィン酸エステル類、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族ヨードシル塩、芳香族スルホキソニウム塩、メタロセン化合物等が挙げられる。
これらの重合開始剤の配合量としては、有機溶媒を除く組成物全量を100重量%としたときに、通常0.01〜10重量%であり、これらを一種単独で用いても、2種以上を組み合わせてもよい。
本発明の組成物は、必要に応じて有機溶媒を含んでいてもよい。
上記有機溶媒としては特に限定されるものではなく、具体的に例示すれば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、アニソール、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート(PGMEA)、エチレングリコールジエチルエーテル等のグリコール系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、1、2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒が挙げられる。有機溶媒は単独で用いてもよいし、複数の種類を混合して用いてもよい。
使用する溶媒量は適宜設定できるが、硬化性組成物に含まれる有機溶媒以外の成分の全量1gに対しての好ましい使用量の下限は0.1mLであり、好ましい使用量の上限は100mLである。使用量が少ないと、低粘度化等の溶媒を用いることの効果が得られにくく、また、使用量が多いと、材料に溶剤が残留して熱クラック等の問題を生じ易く、またコスト的にも不利になり工業的利用価値が低下する。
本発明の組成物は、本発明の効果を損なわない範囲内で必要に応じて架橋剤や界面活性剤、カップリング剤等の添加剤を加えることができる。
本発明の効果を損なわない範囲で、本発明の組成物は、例えば、(メタ)アクリル部位を1個有するモノマー、その他の(メタ)アクリル部位を2個以上持つモノマー等の重合性成分を含んでもよい。本発明の組成物は、その全てが多官能多環脂環式モノマー及びフッ素原子を持つモノマーであってもよい。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、本発明で用いる多官能多環脂環式モノマー及びフッ素原子を持つモノマーと共通する重合開始剤を用いて重合可能な他のモノマーを含んでもよい。当該他のモノマーとしては、共通の重合開始剤を用いて重合可能な点で、(メタ)アクリル部位を有するモノマーが好ましく、耐溶剤性の点で(メタ)アクリル部位を2個以上持つモノマーが好ましい。(メタ)アクリル部位を持ち、多環脂環式基を持たないモノマーは、耐熱性の点で劣るが、耐溶剤性向上の点で使用する利点がある。3個以上の(メタ)アクリル部位を有するものでも、リーク電流密度への影響は少ない。
[絶縁材料]
本発明の電子素子用絶縁材料(以下、本発明の絶縁材料ということがある)は、上記本発明の電子素子用絶縁材料形成用組成物を硬化して得られる高分子材料からなることを特徴とする。
本発明の組成物を、絶縁膜を形成すべき場所に塗布し、加熱硬化又は紫外線(UV)照射等で光硬化させることで硬化物、即ち、架橋された高分子絶縁材料(本発明の絶縁材料)が製造できる。
本発明の組成物を熱硬化させて絶縁材料とする場合の熱硬化温度は、通常30〜200℃、好ましくは50〜150℃である。また、光硬化させる場合においては、例えば紫外線等の活性光線を照射する。照射強度は、多官能多環脂環式モノマーや重合開始剤の種類、絶縁材料の膜厚等から決められるので任意であるが、通常100〜5000mJ/cm、より好ましくは500〜4000mJ/cmである。
本発明で得られた電子素子用絶縁材料形成用組成物の硬化物は、耐熱性と低いリーク電流密度を有するため、電子素子用絶縁材料として好適である。
具体的な用途としては、低いリーク電流密度を必要とする電子素子用の部材であればよい。例えば、電子素子や電子素子を部材として備える電子装置の部材で、電極や半導体材料と接する部材が挙げられる。
好適な用途としては、薄膜化と耐溶剤性が要求される用途、例えば、平坦化膜やパッシベーション膜、層間絶縁膜、TFTのゲート絶縁膜等の電子素子用の絶縁膜が挙げられる。中でも、低いリーク電流密度が性能に直接寄与するTFTのゲート絶縁膜が特に好適な用途として挙げられる。また、TFTに限らず、溶液法の利用による成膜性、後続する溶液法成膜における耐溶剤性、耐熱性、低リーク電流密度、高水接触角を必要とする他の電子素子にも、本発明の組成物の硬化物は好適に用いることができる。
[薄膜トランジスタ]
次に、本発明の電子素子用絶縁材料をゲート絶縁体層に用いる薄膜トランジスタについて説明する。
本発明の薄膜トランジスタは、ゲート電極、ソース電極及びドレイン電極の3端子、絶縁体層並びに半導体層を有し、ソース−ドレイン間電流をゲート電極に電圧を印加することによって制御する薄膜トランジスタにおいて、上記本発明の電子素子用絶縁材料を絶縁体層に用いることを特徴とする。
本発明の薄膜トランジスタは、電極の位置、層の積層順序等により、いくつかの構成をとることができ、電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)構造を有する。
図1は、本発明の薄膜トランジスタの一実施形態を示す図である。
薄膜トランジスタ1は、基板10上にゲート電極20が積層しており、絶縁体層30がゲート電極20を覆うようにして基板10上に積層している。絶縁体層30上には、ソース電極40及びドレイン電極50が、所定の間隔を空けて、それぞれ並列に積層している。半導体層60は、ソース電極40及びドレイン電極50間の空隙を充填して、絶縁体層30、ソース電極40及びドレイン電極50上に積層している。
半導体層60は、チャネル領域を形成し、ゲート電極20に印加される電圧でソース電極40とドレイン電極50の間に流れる電流が制御されることによってオン/オフ動作する。
図2は、本発明の薄膜トランジスタの他の実施形態を示す図である。
薄膜トランジスタ2は、絶縁体層30上に半導体層60が積層しており、当該半導体層60上にソース電極40及びドレイン電極50が、所定の間隔を空けて、それぞれ並列に積層している他は薄膜トランジスタ1と同様の構造を有する。
図3は、本発明の薄膜トランジスタの他の実施形態を示す図である。
薄膜トランジスタ3は、基板10上にソース電極40及びドレイン電極50が、所定の間隔を空けて、それぞれ並列に積層しており、半導体層60がソース電極40及びドレイン電極50間の空隙を充填して、基板10、ソース電極40及びドレイン電極50上に積層している。半導体層60上には絶縁体層30が積層しており、当該絶縁体層30上にゲート電極20が積層している。
図4は、本発明の薄膜トランジスタの他の実施形態を示す図である。
薄膜トランジスタ4は、基板10上に半導体層60が積層しており、半導体層60上にソース電極40及びドレイン電極50が、所定の間隔を空けて、それぞれ並列に積層している。絶縁体層30は、ソース電極40、ドレイン電極50及び半導体層60上に、ソース電極40及びドレイン電極50間の間隙を充填して積層しており、絶縁体層30上にはゲート電極20が積層している。
本発明の薄膜トランジスタは、有機半導体層(有機化合物層)若しくは無機半導体層と、相互に所定の間隔をあけて対向するように形成されたソース電極及びドレイン電極と、ソース電極、ドレイン電極からそれぞれ所定の距離をあけて形成されたゲート電極とを有し、ゲート電極に電圧を印加することによってソース−ドレイン電極間に流れる電流を制御する。
本発明の薄膜トランジスタは、ゲート電極に印加される電圧でソース電極とドレイン電極の間に流れる電流が制御されることによって、オン/オフ動作、増幅等の効果が発現する仕組みを有するのであればよく、上記素子構成に限定されない。
本発明の薄膜トランジスタは、例えば産業技術総合研究所の吉田らにより第49回応用物理学関係連合講演会講演予稿集27a−M−3(2002年3月)において提案されたトップアンドボトムコンタクト型有機薄膜トランジスタ(図5参照)、及び千葉大学の工藤らにより電気学会論文誌118−A(1998)1440頁において提案された縦形の有機薄膜トランジスタ(図6参照)のような素子構成を有してもよい。
以下、本発明の薄膜トランジスタの各構成部材について説明する。
本発明の薄膜トランジスタの絶縁体層は、本発明の組成物を重合して得られる薄膜である。
絶縁体層は、薄膜トランジスタの駆動電圧を低下させるためには可能な限り薄いほうがよいが、逆に薄膜化に伴いソースーゲート間のリーク電流が大きくなるので、適切な膜厚を選ぶ必要がある。絶縁体層の厚さは、通常10nm〜5μm、好ましくは50nm〜2μm、さらに好ましくは100nm〜1μmである。
絶縁体層は、本発明の組成物を、例えばディッピング法、スピンコート法、キャスト法、バーコート法、ロールコート法、スプレーコート法、ブレードコート法、ディップコート法、ダイコート法、フレキソ印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷等の塗布・印刷法で成膜し、光若しくは熱により架橋重合させ形成する。またこれらの組合せによって積層させてもよい。
絶縁体層は、本発明の組成物を重合して得られる薄膜のみでもよく、さらに他の材料からなる絶縁体層を含む2層以上の積層体でもよい。絶縁体層が、本発明の組成物を重合して得られる薄膜のみであっても、絶縁性が高いため、十分薄い膜厚にすることで高性能な薄膜トランジスタが作製できるが、他の絶縁体層と組み合わせることで、高性能化させることもできる。
本発明の組成物を重合して得られる薄膜と組合せる第2絶縁体層を形成する材料は、金属酸化物(珪素の酸化物を含む)、金属窒化物(珪素の窒化物を含む)、高分子、有機低分子等の室温(例えば20〜25℃)での電気抵抗率が10Ωcm以上の材料を用いることができ、特に比誘電率が3より高い材料が好ましい。
第2絶縁体層を形成する上記金属酸化物及び金属窒化物等としては、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタンが挙げられる。
また、窒化ケイ素(Si、Si、SiON(x、y>0))、窒化アルミニウム等の無機窒化物も好適に用いることができる。Si、Si、SiON(x、y>0)等の窒化ケイ素で絶縁体層を形成することにより、電荷を絶縁膜上により誘起しやすくなり、トランジスタ動作の閾値電圧をさらに低減できる場合がある。
第2絶縁体層は、アルコキシド金属を含む前駆物質で形成されていてもよい。
上記アルコキシド金属の金属としては、例えば、遷移金属、ランタノイド、又は主族元素から選択され、具体的には、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、チタン(Ti)、ビスマス(Bi)、タンタル(Ta)、ジルコン(Zr)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、鉛(Pb)、ランタン(La)、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、フランシウム(Fr)、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ニオブ(Nb)、タリウム(Tl)、水銀(Hg)、銅(Cu)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、スカンジウム(Sc)及びイットリウム(Y)等が挙げられる。
上記アルコキシド金属のアルコキシドとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール等を含むアルコール類、メトキシエタノール、エトキシエタノール、プロポキシエタノール、ブトキシエタノール、ペントキシエタノール、ヘプトキシエタノール、メトキシプロパノール、エトキシプロパノール、プロポキシプロパノール、ブトキシプロパノール、ペントキシプロパノール、ヘプトキシプロパノールを含むアルコキシアルコール類等から誘導されるアルコキシドが挙げられる。
第2絶縁体層は、本発明の目的に反しない範囲で、有機化合物で形成されてもよい。
上記有機化合物としては、例えばポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、光ラジカル重合系、光カチオン重合系の光硬化性樹脂、アクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ノボラック樹脂、及びシアノエチルプルラン等を用いることができる。
上記有機化合物の他、ポリエチレン、ポリクロロプレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリオキシメチレン、ポリビニルクロライド、ポリフッ化ビニリデン、ポリサルホン、ポリ(メチルメタクレート)(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリアクリルアミド、ポリ(アクリル酸)、レゾール樹脂、ポリキシリレン、エポキシ樹脂等の高い誘電率を有する高分子材料を使用することもできる。
第2絶縁体層は、上述の無機化合物材料又は有機化合物材料を複数用いた混合層であってもよく、これら材料単独からなる層の積層体であってもよい。
第2絶縁体層は、陽極酸化膜をさらに含んでもよい。
陽極酸化膜は、陽極酸化が可能な金属を公知の方法により陽極酸化することにより形成され、好ましくはさらに封孔処理される。
陽極酸化処理可能な金属としては、アルミニウム又はタンタルを挙げることができる。
陽極酸化処理の方法には特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。陽極酸化処理を行なうことにより、酸化被膜が形成される。陽極酸化処理に用いられる電解液としては、多孔質酸化皮膜を形成することができる電解液であれば特に限定されず、一般には、硫酸、燐酸、ホウ酸等あるいはこれらを2種類以上組み合わせた混酸又はそれらの塩が用いられる。
第2絶縁体層は、その層の厚さが薄いと半導体に印加される実効電圧が大きくなるので、デバイス自体の駆動電圧、閾電圧を下げることができるが、逆にソース−ゲート間のリーク電流が大きくなるので、適切な膜厚を選ぶ必要がある。第2絶縁体層の厚さは、通常10nm〜5μmである。
第2絶縁体層の形成方法は特に限定されず、気相成膜でも液相成膜でも利用でき、例えば真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法等の気相成膜;及びスプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法、印刷やインクジェット等の液相成膜を材料に応じて使用できる。
基板は、薄膜トランジスタの構造を支持する役目を担うものであり、材料としてはガラスの他、金属酸化物や窒化物等の無機化合物、プラスチックフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルサルフォン、ポリカーボネート)や金属基板又はこれら複合体や積層体等も用いることが可能である。また、基板以外の構成要素により薄膜トランジスタの構造を十分に支持し得る場合には、基板を使用しないことも可能である。
また、基板の材料としてはシリコン(Si)ウエハが用いられることが多い。この場合、Si自体をゲート電極兼基板として用いることができる。
半導体層に用いる半導体は、特に限定されず、例えば有機半導体を用いて有機半導体層を形成する場合、Chemical Review、107巻、1066頁 2007年に記載の有機半導体材料等を用いることができる。
有機半導体層は、上記有機半導体材料から選ばれる複数の材料を組み合わせて、複数の材料の混合物からなる層、又はこれら材料単独からなる層の積層体でもよい。
有機半導体層の材料の具体例としては、ペンタセン、ナフタセン、アントラセン、ヘプタセン、ヘキサセン、C60、C70、フェナントレン、ピレン、クリセン、ペリレン、コロネン、ルブレン、フタロシアニン類、ポルフィリン類等の低分子材料及びその誘導体;ジスチリルベンゼン、オリゴアセチレン、オリゴチオフェン、オリゴセレノフェン等のオリゴマー類及びその誘導体;ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−コ−ビチオフェン)、ポリフェニレンビニレン、ポリチエニレンビニレン等のπ共役系高分子類及びその誘導体等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、半導体層として、無機半導体を用いてもよい。無機半導体層の例としては、非晶質シリコン、多結晶シリコン、微結晶(マイクロクリスタル)シリコン等に代表される非単結晶半導体膜や結晶シリコン、さらに、ZnO、a−InGaZnO、SiGe、GaAs等の化合物半導体又は酸化物半導体等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
半導体層の膜厚は、特に制限されることはないが、通常、0.5nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜250nmである。
半導体層の形成方法は特に限定されることはなく公知の方法を適用できる。
例えば図1及び図2の有機薄膜トランジスタ1及び2のような素子構成の場合、好ましくは絶縁体層の成膜後、連続して有機半導体層の成膜を行う。当該成膜は、分子線蒸着法(MBE法)、真空蒸着法、化学蒸着法、分子ビーム蒸着、スパッタ等の気相成膜、若しくは材料を溶媒に溶かした溶液のディッピング法、スピンコート法、キャスト法、バーコート法、ロールコート法、スプレーコート法、ブレードコート法、ディップコート法、ダイコート法、フレキソ印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷等の塗布・印刷法で塗布層を形成し、当該塗布層をベーキング、エレクトロポリマラインゼーション、溶液からのセルフ・アセンブリ、及びこれらの組合せた手段にて成膜することも望ましい。
有機半導体層形成は上記成膜方法の2つ以上を組み合わせてもよい。
半導体層の結晶性を向上させることにより、電界効果移動度を向上させることができるため、有機半導体層の成膜に、気相成膜(蒸着、スパッタ等)を用いる場合は、成膜中の基板温度を高温で保持することも望ましい。
また、成膜方法に関わらず成膜後にアニーリングを実施すると結晶のグレインサイズの増加が得られる場合があり好ましい。アニーリングの温度は50〜200℃が好ましく、時間は10分〜12時間が好ましい。
ゲート電極、ソース電極及びドレイン電極の材料は、導電性材料であれば特に限定されず、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、酸化スズ・アンチモン、酸化インジウム・スズ(ITO)、フッ素ドープ酸化亜鉛、亜鉛、炭素、グラファイト、グラッシーカーボン、銀ペースト及びカーボンペースト、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、マンガン、ジルコニウム、ガリウム、ニオブ、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、リチウム/アルミニウム混合物等を用いることができる。
ゲート電極、ソース電極及びドレイン電極の膜厚は、電流の導通さえあれば特に制限はないが、好ましくは0.2nm〜10μm、さらに好ましくは4nm〜300nmの範囲である。電極の膜厚が上記範囲内であれば、膜厚が薄いことにより抵抗が高くなり電圧降下を生じることがなく、及び厚すぎないため膜形成に時間がかからず、保護層や有機半導体層等他の層を積層する場合に、段差が生じることが無く積層膜が円滑にできる。
また、ソース電極及びドレイン電極は、例えば所定の間隔を空けて積層されるが、当該間隔は薄膜トランジスタの用途によって決定され、通常は0.1μm〜1mm、好ましくは0.5μm〜100μm、さらに好ましくは1μm〜50μmである。
ソース電極及びドレイン電極は、上記の導電性材料を含む、溶液、ペースト、インク、分散液等の流動性電極材料、好ましくは導電性ポリマー、又は白金、金、銀又は銅を含有する金属微粒子を含む流動性電極材料を用いて形成することができる。
上記流動性電極材料の溶媒又は分散媒体としては、有機半導体へのダメージを抑制するため、水を60質量%以上、好ましくは90質量%以上含有する溶媒又は分散媒体であることが好ましい。
金属微粒子を含有する分散物としては、例えば、公知の導電性ペースト等を用いてもよいが、通常粒子径が0.5nm〜50nm、好ましくは1nm〜10nmの金属微粒子を含有する分散物であると好ましい。この金属微粒子は、例えば白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン、鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、亜鉛等を用いることができる。
これら金属微粒子を、主に有機材料からなる分散安定剤を用いて、水や任意の有機溶剤である分散媒中に分散した分散物を用いて電極を形成するのが好ましい。
上記金属微粒子の分散物の製造方法としては、ガス中蒸発法、スパッタリング法、金属蒸気合成法等の物理的生成法、コロイド法、共沈法等の液相で金属イオンを還元して金属微粒子を生成する化学的生成法が挙げられ、好ましくはガス中蒸発法により製造された金属微粒子の分散物である。
金属微粒子分散物を用いての電極の形成は、具体的には金属微粒子分散物の溶媒を乾燥させた後、必要に応じて100℃〜300℃の範囲で形状様に加熱することにより、金属微粒子を熱融着させることにより、目的の形状を有する電極パターンを形成することができる。
特にソース電極及びドレイン電極を形成する材料は、好ましくは半導体層との接触面において電気抵抗が少ない材料である。当該電気抵抗は、即ち電流制御デバイスを作製したときの電界効果移動度と対応しており、大きな移動度を得る為にはできるだけ抵抗が小さいことが必要である。これは一般に電極材料の仕事関数と有機半導体層のエネルギー準位との大小関係で決まる。
電極材料の仕事関数(W)をa、有機半導体層のイオン化ポテンシャル(Ip)をb、有機半導体層の電子親和力(Af)をcとすると、以下の関係式を満たすことが好ましい。ここで、a、b及びcはいずれも真空準位を基準とする正の値である。
p型有機薄膜トランジスタの場合には、b−a<1.5eV(式(A))であることが好ましく、さらに好ましくはb−a<1.0eVである。有機半導体層との関係において上記関係が維持できれば高性能なデバイスを得ることができるが、特に電極材料の仕事関数はできるだけ大きいことものを選ぶことが好ましく、仕事関数4.0eV以上であることが好ましく、さらに好ましくは仕事関数4.2eV以上である。
金属の仕事関数の値は、例えば化学便覧 基礎編II−493頁(改訂3版 日本化学会編 丸善株式会社発行1983年)に記載されている4.0eV又はそれ以上の仕事関数をもつ有効金属の前記リストから選別すればよい。
高仕事関数金属は、主としてAg(4.26、4.52、4.64、4.74eV)、Al(4.06、4.24、4.41eV)、Au(5.1、5.37、5.47eV)、Be(4.98eV)、Bi(4.34eV)、Cd(4.08eV)、Co(5.0eV)、Cu(4.65eV)、Fe(4.5、4.67、4.81eV)、Ga(4.3eV)、Hg(4.4eV)、Ir(5.42、5.76eV)、Mn(4.1eV)、Mo(4.53、4.55、4.95eV)、Nb(4.02、4.36、4.87eV)、Ni(5.04、5.22、5.35eV)、Os(5.93eV)、Pb(4.25eV)、Pt(5.64eV)、Pd(5.55eV)、Re(4.72eV)、Ru(4.71eV)、Sb(4.55、4.7eV)、Sn(4.42eV)、Ta(4.0、4.15、4.8eV)、Ti(4.33eV)、V(4.3eV)、W(4.47、4.63、5.25eV)、Zr(4.05eV)である。これらの中でも、貴金属(Ag、Au、Cu、Pt)、Ni、Co、Os、Fe、Ga、Ir、Mn、Mo、Pd、Re、Ru、V、Wが好ましい。
金属以外では、ITOや、カーボンブラック、フラーレン類、カーボンナノチューブ等の炭素材料、さらにはポリアニリンやPEDOT:PSSのような導電性ポリマーが好ましい。電極材料としてはこれらの高仕事関数の物質を1種又は複数含んでいても、仕事関数が前記式(A)を満たせば特に制限を受けるものではない。
n型有機薄膜トランジスタの場合にはa−c<1.5eV(式(B))であることが好ましく、さらに好ましくはa−c<1.0eVである。有機半導体層との関係において上記関係が維持できれば高性能なデバイスを得ることができるが、特に電極材料の仕事関数はできるだけ小さいものを選ぶことが好ましく、仕事関数4.3eV以下であることが好ましく、さらに好ましくは仕事関数3.7eV以下である。
低仕事関数金属の具体例としては、例えば化学便覧基礎編II−493頁(改訂3版 日本化学会編 丸善株式会社発行1983年)に記載されている4.3eV又はそれ以下の仕事関数をもつ有効金属の前記リストから選別すればよい。
低仕事関数金属としては、Ag(4.26eV)、Al(4.06、4.28eV)、Ba(2.52eV)、Ca(2.9eV)、Ce(2.9eV)、Cs(1.95eV)、Er(2.97eV)、Eu(2.5eV)、Gd(3.1eV)、Hf(3.9eV)、In(4.09eV)、K(2.28eV)、La(3.5eV)、Li(2.93eV)、Mg(3.66eV)、Na(2.36eV)、Nd(3.2eV)、Rb(4.25eV)、Sc(3.5eV)、Sm(2.7eV)、Ta(4.0、4.15eV)、Y(3.1eV)、Yb(2.6eV)、Zn(3.63eV)等が挙げられる。これらの中でも、Ba、Ca、Cs、Er、Eu、Gd、Hf、K、La、Li、Mg、Na、Nd、Rb、Y、Yb、Znが好ましい。
電極材料としては、これらの低仕事関数の物質を1種又は複数含んでいても、仕事関数が前記式(B)を満たせば特に制限を受けるものではない。但し、低仕事関数金属は、大気中の水分や酸素に触れると容易に劣化してしまうので、必要に応じてAg及びAuのような空気中で安定な金属で被覆することが望ましい。被覆に必要な膜厚は10nm以上であり、膜厚が厚くなるほど酸素や水から有効に保護することができるが、実用上、生産性を上げる等の理由から1μm以下にすることが望ましい。
ソース電極及びドレイン電極の形成方法としては、例えば蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、大気圧プラズマ法、イオンプレーティング、化学気相蒸着、電着、無電解メッキ、スピンコーティング、印刷又はインクジェット等により形成できる。また、必要に応じて行うパターニング方法としては、上記の方法を用いて形成した導電性薄膜を、公知のフォトリソグラフ法やリフトオフ法を用いて電極形成する方法、アルミニウムや銅等の金属箔上に熱転写、インクジェット等により、レジストを形成しエッチングする方法がある。
また、ソース電極及びドレイン電極は、上述したように導電性ポリマーの溶液あるいは分散液、金属微粒子を含有する分散液等を直接インクジェット法によりパターニングして形成してもよく、塗工膜からリソグラフやレーザーアブレーション等により形成してもよい。さらに導電性ポリマーや金属微粒子を含有する導電性インク、導電性ペースト等を凸版、凹版、平版、スクリーン印刷等の印刷法でパターニングして形成する方法も用いることができる。
上記電極材料の他、ゲート電極、ソース電極及びドレイン電極の電極材料として、ドーピング等で導電率を向上させた公知の導電性ポリマーを用いることも好ましい。例えば、導電性ポリアニリン、導電性ポリピロール、導電性ポリチオフェン(ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体等)等も好適に用いられる。これら材料によりソース電極とドレイン電極の半導体層との接触抵抗を低減することができる。
本発明の薄膜トランジスタでは、例えば注入効率を向上させる目的で、半導体層とソース電極及びドレイン電極との間に、バッファ層を設けてもよい。
n型有機薄膜トランジスタに設けるバッファ層は、有機エレクトロルミネッセンス素子の陰極に用いられるLiF、LiO、CsF、NaCO、KCl、MgF、CaCO等のアルカリ金属イオン結合又はアルカリ土類金属イオン結合を持つ化合物が望ましい。
p型有機薄膜トランジスタに設けるバッファ層は、FeCl;TCNQ、F4−TCNQ、HAT等のシアノ化合物;CFxやGeO、SiO、MoO、V、VO、V、MnO、Mn、ZrO、WO、TiO、In、ZnO、NiO、HfO、Ta、ReO、PbO等のアルカリ金属及びアルカリ土類金属以外の金属酸化物;ZnS、ZnSe等の無機化合物が望ましい。上記の酸化物は多くの場合、酸素欠損を起こし、これが正孔注入に好適である。さらにはTPDやNPD等のアミン系化合物やCuPc等の有機EL素子において正孔注入層、正孔輸送層として用いられる化合物でもよい。また、上記の化合物2種類以上からなるものも望ましい。
本発明の薄膜トランジスタでは、例えば大気中に含まれる酸素、水等の半導体層に対する影響を考慮し、素子の外周面の全面又は一部に、ガスバリア層を形成してもよい。
ガスバリア層を形成する材料としては、公知の材料を使用でき、例えば、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリクロロトリフロロエチレン等が挙げられる。さらに、絶縁体層の材料として例示した絶縁性を有する無機物及び有機物も使用できる。
実施例1
[絶縁材料組成物の調製]
下記構造式で表されるトリシクロデカンジメタノールジアクリレート(化合物(1))(アルドリッチ社製試薬)0.3g(無色透明液体)、フッ素原子を持つモノマーとして2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロヘプチルアクリレート
(化合物(2))を0.3g、重合開始剤であるベンゾインイソブチルエーテルを0.02g、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを2g混合させ、固形分濃度24質量%の絶縁材料(膜)形成用組成物を得た。
得られた組成物の多官能脂環式モノマー及びフッ素原子置換モノマーの含有量は、重合性成分(多官能脂環式モノマー、フッ素原子置換モノマー及び重合開始剤の断片)の全量に対してほぼ100重量%である。
Figure 2013249381
[絶縁体層の形成と評価]
25×20×1.1mmのサイズのガラスを基板として用い、この基板上にITO膜を100nmの厚さで成膜し、フォトリソグラフィー法を用いてパターニングし、透明ゲート電極とした(以下、ITO膜を備える基板を透明支持基板という)。この透明支持基板をイソプロピルアルコールで5分間超音波洗浄した後、純水で5分間洗浄し、さらにイソプロピルアルコールで5分間超音波洗浄した後に乾燥Nガスを吹き付け乾燥した。そして最後に、UVオゾン洗浄装置((株)セン特殊光源製)で5分間洗浄した。
調製した絶縁材料組成物を0.2ミクロンのPTFEメンブレンフィルターによりろ過した後、窒素雰囲気中で上記透明支持基板上に滴下し、500rpmで5秒間のプレ回転を行った後、3000rpmで30秒間スピンコートした。その後、365nmの紫外光に暴露し架橋させ、100℃1時間のベークを行うことで膜厚585nmのゲート絶縁体層を形成した。同条件で複数枚の基板上に絶縁体層を形成し、以下の絶縁体層の評価を行った。結果を表1に示す。
尚、絶縁体層の膜厚は微細形状測定機サーフコーダ((株)小阪研究所ET 3000)を使用して測定を行った。
(1)耐溶剤性
絶縁体層が形成された基板上に、一般的な溶媒としてトルエンを滴下し3000rpmで30秒間スピンコートすることを2回繰り返し、空スピンを行った。その後、触針式膜厚計で絶縁体層の膜厚を測定し、空スピン前後の膜厚を比較することで耐溶剤性を評価した。
耐溶剤性(%)は、(空スピン後の膜厚)/(空スピン前の膜厚)×100で求めた。
(2)リーク電流密度
蒸着法を用い、絶縁体層上に金属マスクを通して金電極(厚さを50nm)を成膜し、絶縁体層を挟んでITO電極と対向するようにし、電極間に2MV/cmの電界を印加し、絶縁体層中を縦方向に流れる電流密度を測定し、これをリーク電流密度として評価した。
上記電圧の印加及び電流の測定は、半導体特性評価システム(ケースレーインスツルメンツ(株)製 4200SCS)を用いて行った。
(3)水接触角の測定
絶縁層上に水の液滴を滴下し、液滴の左右端点と頂点を結ぶ直線の、固体表面に対する角度から接触角を求めるθ/2法を用いた。水接触角の測定は、Drop Master−300(協和界面科学(株))を用いて行った。
[有機薄膜トランジスタの製造]
製造した絶縁体層を形成した基板に、真空蒸着装置を用いて蒸着速度0.05nm/sで膜厚50nmのペンタセン薄膜(半導体層)を設けた。そして金属マスクを通して金を50nmの膜厚で成膜することにより、互いに接しないソース電極及びドレイン電極を、間隔(チャンネル長L)が50μmになるように形成した。そのときソース電極とドレイン電極の幅(チャンネル幅W)は1mmとなるように成膜して、図2の構成を有する薄膜トランジスタを作製した。
得られた薄膜トランジスタのゲート電極に0〜−25Vのゲート電圧を印加し、ソース−ドレイン間に5〜−25Vの電圧を印加して電流を流し、閾値電圧(Vth)及び電界効果移動度μを評価した。各電圧の印加及びソース−ドレイン電極間電流の測定は、半導体特性評価システム(ケースレーインスツルメンツ(株)製 4200SCS)を用いて行った。
尚、電界効果移動度μは、下記式(A)を用いて算出した。
=(W/2L)・C・μ・(V−V (A)
(式中、Iはソース−ドレイン間電流、Wはチャンネル幅、Lはチャンネル長、Cはゲート絶縁体層の単位面積あたりの電気容量、Vはゲート閾値電圧、Vはゲート電圧である。)
その結果、電流飽和領域での閾値電圧は−12.7V、電界効果移動度μは2.3×10−2cm/Vsであった。結果を表2に示す。
尚、得られた薄膜トランジスタは、正孔が有機半導体層のチャンネル領域(ソース−ドレイン間)に誘起され、p型トランジスタとして動作した。
比較例1
化合物(2)を用いずに化合物(1)のみを用いて絶縁材料組成物を調製した他は、実施例1と同様にして絶縁体層及び有機薄膜トランジスタをそれぞれ製造し、評価した。結果を表1及び表2に示す。
Figure 2013249381
Figure 2013249381
表1から分かるように、化合物(1)又は化合物(2)と、フッ素原子を持つモノマーを主たる重合性成分として含む本発明の組成物を架橋重合して得られた薄膜は、耐溶剤性があり、かつリーク電流密度が小さいことが確認できた。
また、化合物(1)又は化合物(2)と、フッ素原子を持つモノマーを主たる重合性成分として含む本発明の組成物を重合して得られた薄膜を絶縁体層に含む薄膜トランジスタは、電子ペーパーや液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の応用に十分な性能を発揮することが確認できた。
本発明の組成物から得られる絶縁材料は、平坦化膜やパッシベーション膜、層間絶縁膜、TFTのゲート絶縁膜等の電子素子用の絶縁膜として有用である。中でも、低いリーク電流密度が性能に直接寄与するTFTのゲート絶縁膜として特に有用である。
本発明の薄膜トランジスタは、例えば電子ペーパーや液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の駆動回路、各種センサー及び認証タグ等に好適に使用することできる。
1,2,3,4 薄膜トランジスタ
10 基板
20 ゲート電極
30 絶縁体層
40 ソース電極
50 ドレイン電極
60 半導体層

Claims (10)

  1. (メタ)アクリル部位を2個以上持ちさらに多環の脂環式構造を持つモノマー、及び(メタ)アクリル部位を1個以上持ちさらにフッ素原子を持つモノマーを含み、
    前記(メタ)アクリル部位を2個以上持ちさらに多環の脂環式構造を持つモノマー、及び(メタ)アクリル部位を1個以上持ちさらにフッ素原子を持つモノマーの含有量が組成物中の重合性成分全量に対して40重量%以上である電子素子用絶縁材料形成用組成物。
  2. 前記多環の脂環式構造を持つモノマーと、前記フッ素原子を持つモノマーとの成分比(重量比)が1:99〜99:1である請求項1に記載の電子素子用絶縁材料形成用組成物。
  3. 前記多環の脂環式構造が、アダマンタン骨格又はトリシクロデカン骨格である請求項1又は2に記載の電子素子用絶縁材料形成用組成物。
  4. 前記多環の脂環式構造を持つモノマーの構造が、下記式(1)又は(2)で表される請求項1〜3のいずれかに記載の電子素子用絶縁材料形成用組成物。
    Figure 2013249381
    (式中、Rは、水素原子、フッ素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基を示す。
    Xは、フッ素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、又は2つのXが一緒になって形成された=Oを示す。
    Yは、メチル基、又は2つのYが一緒になって形成された=Oを示す。
    及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。
    pは0〜6の整数、mは0〜14の整数、nは2以上の整数、tは0〜14の整数、uは0〜14の整数、sは2以上の整数である。
    mが2以上の整数である場合、複数のXは互いに同じでも異なってもよい。
    uが2以上の整数である場合、複数のYは互いに同じでも異なってもよい。
    は、C2q2r(qは0〜4の整数、rは0〜4の整数である。)で表わされる基を示す。
    は、単結合、又は下記式(2−1)で表わされる基、又は下記式(2−2)で表わされる基を示す。)
    Figure 2013249381
    (式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。
    vは1〜4の整数である。)
  5. 前記多環の脂環式構造を持つモノマーの構造が、下記式(21)〜(23)のいずれかで表される請求項1〜3のいずれかに記載の電子素子用絶縁材料形成用組成物。
    Figure 2013249381
  6. 前記フッ素原子を持つモノマーの構造が、下記式(31)で表される請求項1〜5のいずれかに記載の電子素子用絶縁材料形成用組成物。
    Figure 2013249381
    (式中、R11、R12及びR13は、それぞれ水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜20の1価の有機基を表す。
    11、R12及びR13の1価の有機基中の水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。
    Rfは、少なくとも1個のフッ素原子が含まれる炭素数1〜20の1価の有機基を表す。)
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の電子素子用絶縁材料形成用組成物を硬化して得られる高分子材料からなる電子素子用絶縁材料。
  8. 請求項7に記載の電子素子用絶縁材料を平坦化膜、パッシベーション膜、層間絶縁膜又はゲート絶縁膜として使用する電子素子。
  9. ゲート電極、ソース電極及びドレイン電極の3端子、絶縁体層並びに半導体層を有し、ソース−ドレイン間電流をゲート電極に電圧を印加することによって制御する薄膜トランジスタにおいて、請求項6に記載の電子素子用絶縁材料を絶縁体層に用いる薄膜トランジスタ。
  10. 前記半導体層が有機半導体からなる請求項9に記載の薄膜トランジスタ。
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