JP2009102906A - 鋼製カバーを有する鋼矢板およびそれを使用した壁体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】両側のウェブとこれらのウェブを一体に接続しているフランジとにより形成される溝を備えた溝付き鋼矢板4における表面または裏面のいずれか片面または両面における溝付き鋼矢板4の長手方向の所定範囲Lに、前記所定範囲Lに対応した長さで断面溝形または断面ハット形の鋼製カバー材3が、その鋼製カバー材3における凸部面板13が所定間隔h隔てるように配設されて、直接または鋼板等を介在させて間接的に溶接等の固定手段で前記溝付き鋼矢板4に固定され、前記溝付き鋼矢板4と前記鋼製カバー材3により形成された空間部5の下端部には、溝付き鋼矢板4または鋼製カバー材3に固定された底版6が設けられて閉塞されている。前記のような鋼製カバーを有する鋼矢板を使用した壁体とする。
【選択図】図1
Description
[2]ペトロラタムライニング(FRPカバー等を保護カバーとして使用)
[3]有機質ライニング(ポリエチレン、ポリウレタンなど)
港湾鋼構造物防食・補修マニュアル(改訂版)、平成9年4月、(財)沿岸開発技術研究センター、p83−108 港湾鋼構造物防食・補修マニュアル(改訂版)、平成9年4月、(財)沿岸開発技術研究センター、p13−17
(1)MLWL直下付近に集中腐食が認められる構造物は全体の65%、集中腐食が認められない構造物が35%である(鋼管杭等の鋼矢板以外の港湾鋼構造物を含む)。
(2)多数の港湾における鋼矢板壁の腐食調査を下に、鋼矢板壁の腐食状態を腐食パターンとして整理している。
[a]いずれの腐食パターンにおいても、ウェブ(側面:一点鎖線)の腐食は少ない。
[b]鋼矢板の場合、海側に凹部の方が凸部に比較して集中腐食の発生頻度が少ない傾向にある。
また、安価な鋼製カバー材を用いるためには、市販の鋼矢板あるいは鋼板を所定の長さにして使用し、極力市販品に近い形状の鋼製カバー材を使用し、これを鋼矢板の防食部位に設置することが、重要であることを確認した。
また鋼製カバー材を鋼矢板に取り付ける場所としては、腐食が大きい部分に例えば隅肉溶接等の溶接により取り付ける場合には、溶接部の「のど厚寸法」が格段に厚くなるようになるため、溶接費用が格段に高くなり経済的でなくなる。
そのため、前記のような腐食の大きい部分に取り付けるよりも、腐食の小さい部分に取り付けるほうが、例えば、溶接による取り付けとした場合に、溶接部ののど厚寸法が小さくて済む等の経済的になる。
鋼矢板の腐食防止位置に鋼矢板と同じまたは同様な断面形態のカバー部材を配置すると、鋼矢板の腐食進行が防止でき、また、鋼製カバー材と鋼矢板との間の空間にさらにコンクリートを充填・硬化すると2重3重に防食が図れることをも考慮して、本発明を完成させた。
本発明は前記の課題を有利に解消することができる鋼製カバーを有する鋼矢板およびそれを使用した壁体を提供することを目的とする。
また、第2発明では、第1発明の鋼製カバーを有する鋼矢板において、前記空間部(5)には、充填材(7)が充填されていることを特徴とする。
また、第3発明の鋼製カバーを有する鋼矢板においては、両側のウェブ(9)とこれらのウェブ(9)を一体に接続しているフランジ(10)とにより形成される溝(11)を備えた溝付き鋼矢板(4)における表面または裏面のいずれか片面または両面における溝付き鋼矢板(4)の長手方向の所定範囲(L)に、前記所定範囲(L)に対応した長さで断面溝形または断面ハット形の鋼製カバー材(3)が、その鋼製カバー材(3)における凸部面板(13)が所定間隔(h)隔てるように配設されて、直接または鋼板等を介在させて間接的に溶接等の固定手段で前記溝付き鋼矢板(4)に固定され、前記溝付き鋼矢板(4)と前記鋼製カバー材(3)により形成された空間部(5)には、充填材が充填されていることを特徴とする。
また、第4発明では、第1発明〜第3発明のいずれかの鋼製カバー材を有する鋼矢板において、前記溝付き鋼矢板が溝形鋼矢板であり、前記鋼製カバー材が溝形鋼矢板の各ウェブに直接または鋼板等を介在させて間接的に溶接等の固定手段で固定されていることを特徴とする。
また、第5発明では、第1発明〜第4発明のいずれかの鋼製カバー材を有する鋼矢板において、前記溝付き鋼矢板がハット形鋼矢板であり、前記鋼製カバー材がハット形鋼矢板の各ウェブまたはそのウェブに接続するアーム部に、直接または鋼板等を介在させて間接的に溶接等の固定手段で固定されていることを特徴とする。
また、第6発明では、第1発明〜第5発明のいずれかの鋼製カバー材を有する鋼矢板において、前記空間部(5)には、セメント系経時硬化性充填材、高分子樹脂系充填材、ソイル系充填材、歴性質系充填材の少なくともいずれか1つの充填材(7)が充填されていることを特徴とする。
また、第7発明では、第1発明〜第6発明のいずれかの鋼製カバー材を有する鋼矢板において、鋼製カバー材(3)が、ハット形鋼矢板または溝形鋼矢板から製作された鋼製カバー材であることを特徴とする。
また、第8発明では、第1発明〜第6発明のいずれかの鋼製カバー材を有する鋼矢板において、鋼製カバー材(3)が、ハット形鋼矢板または溝形鋼矢板における継手近傍を除去した断面ハット形または断面溝形の鋼製カバー材であることを特徴とする。
また、第9発明では、第1発明〜第6発明のいずれかの鋼製カバー材を有する鋼矢板において、鋼製カバー材(3)が、ハット形鋼矢板または溝形鋼矢板におけるウェブの所定部位から継手部に至る範囲を除去した断面ハット形または断面溝形の鋼製カバー材であることを特徴とする。
また、第10発明では、第1発明〜第6発明のいずれかの鋼製カバー材を有する鋼矢板において、鋼製カバー材(3)が、鋼板を加工した断面ハット形または断面溝形の鋼製カバー材であることを特徴とする。
また、第11発明では、第1発明〜第6発明のいずれかの鋼製カバー材を有する鋼矢板において、鋼製カバー材(3)が、ハット形鋼矢板(1)のウェブ(9)に溶接等の手段で固定されていることを特徴とする。
また、第12発明では、第2発明〜第11発明のいずれかの鋼製カバーを有する鋼矢板において、空間部(5)に充填材(7)を充填する形態の鋼製カバーを有する鋼矢板であって、鋼製カバー材(3)と溝付き鋼矢板(4)または底版(6)のいずれかに前記空間部(5)に突出するジベル(20)が設けられていることを特徴とする。
また、第13発明の鋼矢板壁においては、第1発明〜第12発明のいずれかの鋼製カバーを有する鋼矢板が多数、それらの継手を嵌合させて、水底地盤上に打設等の手段で壁体を構成するように配設されていることを特徴とする。
また、第14発明の鋼矢板壁では、第1発明〜第12発明のいずれかの鋼製カバーを有する鋼矢板が、多数それらの継手を嵌合させて、水底地盤上に打設等の適宜手段で配設されて鋼矢板壁(16)を形成し、鋼矢板の上方部がコンクリートなどの経時硬化性材料からなる上方連結材(18)により鋼矢板壁延長方向に連結されていることを特徴とする。
また、第15発明の鋼矢板壁においては、第1発明の鋼製カバーを有する鋼矢板が多数、それらの継手を嵌合させて、水底地盤上に打設等の手段で壁体を構成するように配設され、前記空間部(5)には、セメント系経時硬化性充填材、高分子樹脂系充填材、ソイル系充填材、歴性質系充填材の少なくともいずれか1つの充填材(7)が、現場施工により充填されていることを特徴とする。
また、第16発明の鋼矢板壁では、第1発明〜第12発明の前記鋼製カバーを有する鋼矢板と、前記鋼製カバー材を有しない多数の鋼矢板が、交互にそれらの継手を嵌合させて、水底地盤上に打設等の適宜手段で配設され鋼矢板壁(16)が形成され、多数の前記鋼製カバー材を有する鋼矢板及び多数の鋼製カバーを有しない鋼矢板の上方部及び前記鋼製カバーの上方部はコンクリートなどの経時硬化性材料からなる上方連結材(18)により鋼矢板壁延長方向に連結されていることを特徴とする。
また、第17発明では、第13発明〜第16発明のいずれかの鋼矢板壁において、鋼製カバー材を有する鋼矢板が水域側に凸状態で配設され、鋼製カバー材を有さない鋼矢板が水域側に凹状態で配設されていることを特徴とする。
また、第18発明では、第13発明〜第17発明のいずれかの鋼矢板壁において、鋼矢板壁の前面が水域で背面には裏埋土が配設されていることを特徴とする。
第19発明では、第13発明〜第17発明のいずれかの鋼矢板壁において、鋼矢板壁の前面及び背面が水域であることを特徴とする。
第20発明では、第13発明〜第19発明のいずれか鋼矢板壁において、水域側の没水部における鋼矢板壁または鋼製カバー材の外表面側に流電陽極材を配設したことを特徴とする。
(1) 溝付き鋼矢板には、予め鋼製カバー材が設けられているので、溝付き鋼矢板における集中腐食部位を鋼製カバー材に移すことができ、溝付き鋼矢板自身の集中腐食部位をなくすることができる。
(2) 鋼製カバー材を使用するので、流木や氷盤が衝突しても機械的損傷を受けづらい。
(3) 工場などであらかじめ溝付き鋼矢板に鋼製カバーを取り付けることができるので、安価な溝付き鋼矢板とすることができる。
(4) 空間部への充填材の充填は、溝付き鋼矢板を打設する前に、充填しておく場合と、溝付き鋼矢板打設後に充填する場合があるが、いずれも、予め充填する空間部が形成されているので、充填作業が容易である。
(5) 鋼製カバー材において、集中腐食部位の腐食が進行した場合には、当該部位を覆うように鋼板を溶接するだけで、容易に鋼製カバー材としての機能を回復させることができる。
(6) 空間部に充填材が充填されている形態では、鋼矢板壁の点検作業時において、鋼製カバー材における集中腐食の進行を見逃し、鋼製カバー材に貫通孔が生じても、セメント硬化体などの充填材が本体鋼矢板を保護することができる。このため、集中腐食現象を見逃しても大きな問題は生じない。
鋼製カバー材3として、圧延加工により製造された溝付き鋼矢板を適宜切断して構成する場合、継手部中心間の鋼矢板有効幅Wを冷間加工あるいは圧延加工時において、狭くなるように加工することにより(但し、所定の長さになるように、長手方向の長さを適宜、切断する)、図16あるいは図17さらには図18に示すように、溝付き鋼矢板4におけるフランジ10と鋼製カバー材3の凸部面板13との間隔hが徐々に離反するようにすることができる。
前記のように鋼製カバー材3における凸部面板13と溝付き鋼矢板4におけるフランジ間の間隔hが大きくなると、空間部5が大きくなるので、後記の実施形態のように充填材7を充填する形態においては、充填材7を確実に充填することができ、溝付き鋼矢板4に対する防食性能を高めることができる。
この形態では、溝付き鋼矢板4におけるフランジ10と平行に、鋼製カバー材取り付け用帯状鋼板14を各ウェブ9の外側面に溶接により固定し、その取り付け用帯状鋼板14の幅方向端部に鋼製カバー材本体3aの端部(図示の形態では、継手部)を溶接により固定し、取り付け用帯状鋼板14と鋼製カバー材本体3aとが共同して鋼製カバー材3を構成し、そのような鋼製カバー材3と底版6を溝付き鋼矢板4に取り付けるようにした形態である。前記の取り付け用帯状鋼板14と鋼製カバー材本体3aの長さは同じ長さとされ同レベルに配置されている。
鋼製カバー材3の下端部と取り付け用帯状鋼板14と溝付き鋼矢板4に溶接により固定するように底版6が設けられている。なお、前記実施形態と同様な部分には同様な符号を付している。
この形態では、鋼製カバー材取り付け用帯状鋼板14を先に、溝付き鋼矢板4のウェブ9に対称位置となるように取り付け、後から、前記鋼製カバー材取り付け用帯状鋼板14に鋼製カバー材本体3aを取り付けることができるので、鋼製カバー材3の構成の自由度が向上すると共に、鋼製カバー材3の製作が容易になり、鋼製カバー材3の溝付き鋼矢板4に対する取り付けが容易になる。また、前記取り付け用帯状鋼板14の幅寸法あるいは取り付け位置により、溝付き鋼矢板4に対する鋼製カバー材3の大きさの自由度を高め、空間部5の幅および厚さの自由度を向上させることができる。
この形態では、鋼製カバー材3を溝付き鋼矢板4の溝11内に配置し、ウェブ9に溶接により固定するようにした形態である。
前記鋼製カバー材3の下端部とこれを固定している溝付き鋼矢板4の溝内側面に鋼製底版6が溶接により固定されている。
このような形態では、溝付き鋼矢板4における溝11側が水域に面する形態に適用可能にした形態ある。鋼製カバー材3を溝付き鋼矢板4に対して設置する範囲等は、前記実施形態と同様である。
この形態では、鋼製カバー材3を、取り付け用帯状鋼板14と鋼製カバー材本体3aとにより構成し、かつ前記取り付け用帯状鋼板14を、溝付き鋼矢板4におけるウェブ9の内面側に略直角に当接するように配置し溶接により固定した形態である。
この形態では、鋼製カバー材本体3aを構成する場合に、溝形鋼矢板における所定部位(図示場合は、ウェブ9における屈折部から継手部)を切断除去して構成するようにした形態である。切断除去する部分は、継手部のみ、あるいはウェブ9の適宜の中間部から継手部を切断除去するようにすればよい。
なお、前記のような鋼製カバー材本体3aでもよく、帯状鋼板にプレス加工を施して溝を形成するようにして鋼製カバー材本体3aを構成するようにもよく、図13に示すように鋼製凸部面板13と各鋼製側面板14aとを溶接により組み立てて構成した構成カバー材本体としてもよい。
前記壁体16における隣り合う鋼製カバー材3間における水域側に面している継手部およびウェブの外表面には、適宜防食塗装が施される。
より具体的に説明すると、図2に示す第2実施形態の鋼製カバーを有する鋼矢板8(8c)と、図4に示す第4実施形態の鋼製カバーを有する鋼矢板8(8d)とを、鋼製カバー材3が水域側に位置するように継手を噛み合わせて交互に水底地盤に打設して壁体16を構成した形態で、背面側に裏埋土17を充填した形態である。
前記壁体16における隣り合う鋼製カバー材3間における水域側に面している継手部およびウェブの外表面には、適宜防食塗装が施される。
また、図7(b)の場合は、鋼製カバー材3の上端部を上方連結材18内に埋め込み配置することにより、鋼製カバー材3よりも上部に位置する溝付き鋼矢板4上端部の防食を図るようにした形態である。前記の鋼製カバー材3上端部の埋め込み長さUは、5cm〜10cm程度でよい。
また、図8(a)の場合は、上方連結材18と鋼製カバー材3との間が離間している場合に、その部分の溝付き鋼矢板4の水域側外面に、防食塗装による防食層15を施すようにした形態である。前記のように防食層15を設けることにより気中に露出している溝付き鋼矢板4の景観性を確保または向上させることができる。また、図8(b)の場合は、図7(a)に示す形態において、鋼製カバー材3上端レベルから5cm〜10cm上方レベルまで、溝付き鋼矢板4の外面に防食塗装による防食層15を設け、前記防食層15を埋め込むように上方連結材18を設けるようにした形態であり、このように防食層15を設けることにより、上方連結材18と溝付き鋼矢板4との境界部から海水などの水が侵入による溝付き鋼矢板4の腐食を防止することができる。
この形態では、図2に示す鋼製カバーを有する鋼矢板8と、鋼製カバーを備えていない単なる溝付き鋼矢板4とを交互に継手を噛み合わせて、水底地盤に打設して壁体16を構築した形態である。縦方向の断面形態については、図7および図8に示す形態と同様である。なお、前記の鋼製カバー材3の下端レベルから上方連結材18までの範囲、あるいは前記の鋼製カバー材3の下端レベルから上方連結材18の下端レベルより5cm〜10cm上方レベルまで、鋼製カバーを有する鋼矢板8のウェブの水域側外面および隣接する溝付き鋼矢板4の水域側外面に防食塗装による防食層を設けるようにしてもよい。
この形態は、例えば、図2に示す形態において、空間部5に充填材7を充填した形態である。鋼製カバー材3およびこれを固定している溝付き鋼矢板4並びに底版6を型枠代わりに使用している形態である。
[1] セメント系経時硬化性充填材(セメントミルク、モルタル、コンクリート、レジンモルタルなど)
[2] 高分子樹脂系充填材(エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等)
[3] ソイル系充填材(ソイルセメントなど)
[4] 歴性質系充填材(アスファルトなど)
この形態は、図9に示す壁体16に対応して説明すると、図10に示す形態の鋼製カバーを有する鋼矢板8と、鋼製カバーを備えていない溝付き鋼矢板4とを、継手を噛み合わせて壁体16を構築した形態である。なお、上方連結材18あるいは鋼製カバー材3以外の部分についての防食塗装についいては、前記の実施形態と同様である。
図10に示す形態を図12(a)に示し、図12(b)と比較対象可能に配置している。
図12(a)(b)は共に凸部面板13内面と、溝付き鋼矢板4のフランジ10外面との間隔寸法hが同じ形態とし、図12(b)では、鋼製カバー材本体3aを取り付けるための取り付け用帯状鋼板14をフランジ10よりのウェブ9に取り付けるようにした形態である。
この形態では、ハット形鋼矢板2からなる溝付き鋼矢板4に、ハット形鋼矢板の継手部を切断してアーム部19を残すように構成した鋼製カバー材本体3aと、取り付け用帯状鋼板14とを組み合わせた形態である。
より具体的には、鋼製カバー材本体3aの端部(アーム部端部)に取り付け用帯状鋼板14を直角に当接して溶接により固定した鋼製カバー材3としている。
底版6については、前記実施形態と同様に適宜設けられる。
そして、ハット形鋼矢板2におけるアーム部19の水域側の外面でアーム部19幅方向中間部に、前記鋼製カバー材3における取り付け用帯状鋼板14を直角に当接して溶接により固定して、鋼製カバーを有する鋼矢板8を構成している。そして前記のような鋼製カバーを有する鋼矢板8の継手相互を噛み合わせて水域地盤に打設して壁体16を構成している。
壁体16の概略側面形態については、図7および図8に示すような形態と同様である。
なお、図示を省略するが、上方連結材18あるいは隣り合う鋼製カバー材3間についての防食塗装、鋼製カバー材3上端レベルから上方連結材18付近の防食塗装については、前記実施形態の場合と同様である。
この形態では、溝付き鋼矢板としてのハット形鋼矢板2のアーム部中間部まで、鋼製カバー材3により被覆することができる。
鋼製カバー材3内側の空間部5には、充填材7が充填されている。
なお、図45に示すように、空間部5に充填材を充填しない形態で、底版6を残す形態でもよい。また、ハット形鋼矢板2のフランジ10の溝外側の外面(表面)に鋼製カバー材3を取り付ける形態(図14の形態)以外にも、図46に示すようにハット形鋼矢板2の表裏両面に鋼製カバー材3を設ける形態でもよく、図47に示すように、ハット形鋼矢板2の溝11側(裏面側)に鋼製カバー材3および必要に応じ底版あるいは充填材7を充填する形態でもよい(なお、図45〜図47の詳細説明は後記する)。
図示の各形態では、鋼製カバー材3における凸部面板13に対する各側面板14aを徐々に直角に近づけるように曲げ加工をすることにより、有効幅Wを小さくして、溝付き鋼矢板4のウェブ9に取り付ける位置を徐々にフランジ10に近づけるようにしている。
図16〜図21に示すような形態では、一つの鋼製カバー材を有する溝付き鋼矢板4において、溝付き鋼矢板4の継手と鋼製カバー材3側とにより、隣接して設置される溝付き鋼矢板の継手をガイドあるいは位置規制して、継手相互の噛み込み作業あるいは噛み込みを確実に図ることが可能になる。
この形態では、鋼製カバー材本体3aとして溝形鋼矢板を使用している。帯状鋼板からなる取り付け用帯状鋼板14をハット形鋼矢板2の各ウェブ9の溝と反対側の外面に対して、フランジ10と平行状態で溶接により固定し、前記取り付け用帯状鋼板14に、鋼製カバー材3の溝形鋼矢板の継手部を溶接により固定している。
このように、鋼製カバーを有する鋼矢板8としては、ハット形鋼矢板2に溝形鋼矢板および取付用帯状鋼板14を組み合わせた形態としてもよい。
この形態では、図22に示す形態において、取り付け用帯状鋼板14を省略して、溝形鋼矢板からなる鋼製カバー材3の幅方向端部を直接溶接により固定した形態である。その他の構成は、前記実施形態と同様である。この形態では、鋼製カバー材3として利用した溝形鋼矢板の有効幅を短くすることにより、鋼製カバー材3を水域側に突出するように配置された鋼製カバーを有する鋼矢板8とすることができる。
これらの形態の壁体16においては、鋼製カバーを有するハット形鋼矢板2に隣接して設置する鋼矢板として、鋼製カバーを有するハット形鋼矢板2あるいは図15(b)に示すようなハット形鋼矢板2を設置することができる。
これらの形態においても、上方連結材あるいは鋼製カバー材以外の防食塗装については、ハット形鋼矢板2のアーム部19を含めて、前記実施形態と同様に防食塗装による防食層を形成するようにしてもよい。
この形態では、図1に示す形態において、空間部5に充填材7を鋼製カバー材3上端まで充填した形態である。
前記の充填材7を充填する時期については、前記のように、工場またはヤードにおいて充填して、プレキャスト製鋼矢板としてもよく、図示を省略するが、現場充填する形態でもよく、仮設底版を使用して硬化性充填材を充填する形態では、底版6を省略してもよい。
この形態では、図2に示す形態において、空間部5に充填材7を鋼製カバー材3上端まで充填した形態である。その他の構成は、前記実施形態と同様である。
この形態では、図3に示す形態において、空間部5に充填材7を鋼製カバー材3上端まで充填した形態である。その他の構成は、前記実施形態と同様である。
この形態では、図4に示す形態において、空間部5に充填材7を鋼製カバー材3上端まで充填した形態である。その他の構成は、前記実施形態と同様である。
この形態では、溝形鋼矢板からなる溝付き鋼矢板4のフランジ10外面側および溝11側に、それぞれ鋼製カバー材3を設けるようにした鋼製カバーを有する鋼矢板8である。フランジ外面側の鋼製カバー材3は、図1に示す形態と同様であり、溝6内側に配置される鋼製カバー材3は、図3に示す形態と同様であるので、前記各図と同様な部分には同様な符号を付している。
この形態の鋼製カバーを有する鋼矢板8は、鋼矢板の表裏両面が、水域となるような部分に設置して壁体を構築する場合に使用すると有利である。
この形態では、溝形鋼矢板からなる溝付き鋼矢板4のフランジ10外面側および溝11側に、それぞれ鋼製カバー材3を設けるようにした鋼製カバーを有する鋼矢板8である。フランジ外面側の鋼製カバー材3は、図2に示す形態と同様であり、溝6内側に配置される鋼製カバー材3は、図4に示す形態と同様であるので、前記各図と同様な部分には同様な符号を付している。
このような鋼製カバーを有する鋼矢板8の使用場所は図30の場合と同様である。
両側のウェブ9とこれらのウェブを一体に接続しているフランジ10とにより形成される溝を備えた溝付き鋼矢板4における表面(前面)または裏面(背面または後面)のいずれか片面または両面における溝付き鋼矢板4の長手方向の所定範囲Lに、前記所定範囲Lに対応した長さで断面溝形または断面ハット形の鋼製カバー材3が、その鋼製カバー材3における凸部面板13が所定間隔h隔てるように配設されて、直接または鋼板等を介在させて間接的に溶接等の固定手段で前記溝付き鋼矢板4に固定され、前記溝付き鋼矢板4と前記鋼製カバー材3により形成された空間部5の下端部には、溝付き鋼矢板4または鋼製カバー材3に固定された底版6が設けられて閉塞されている鋼製カバーを有する鋼矢板であるか、前記空間部に充填材7が充填される形態では必要に応じ底版6が設けられる鋼製カバーを有する鋼矢板でよい。
図32あるいは図33に示す壁体16では、鋼矢板の表裏両面に集中腐食が生じる溝付き鋼矢板4の防食を図ることができ、壁体16の防食性能および耐久性を向上させることができる。
また、ジベル20の形態としては、図37(a)(b)に示すように、鋼板の長手方向に間隔をおいて複数の透孔21を備えた孔開き鋼板ジベル20でもよく、溝付き鋼矢板4のフランジ10幅方向に間隔をおいて、鋼製カバー材3の内側に間隔をおいて、それぞれ間隔をおいて交互に鋼板ジベル20を溶接により固着するように設けてもよい。
また、図38(a)(b)に示すように、溝付き鋼矢板4のウェブ9と鋼製カバー材3の内側に同数の鋼板ジベル20を設けるようにしてもよい。
また、図39(a)(b)に示すように、鋼製カバー材3側にのみ孔開き鋼板ジベル20を幅方向に間隔をおいて複数設けるようにしてもよい。
また、ジベル20の形態としては、図40(a)(b)に示すように、スタッドジベル20でもよく、溝付き鋼矢板4のフランジ10幅方向に間隔をおいて、鋼製カバー材3の内側に間隔をおいて、それぞれ間隔をおいて交互にスタッドジベル20を溶接により固着するように設けてもよい。また、スタッドジベル20は、上下方向に位置をずらして設けるようにするとよい。
また、図41(a)(b)に示すように、溝付き鋼矢板4側にのみ幅方向に間隔をおいてスタッドジベル20を複数設けるようにしてもよく、あるいは図42(a)(b)に示すように、鋼製カバー材3側にのみ幅方向に間隔をおいてスッタドジベル20を複数設けるようにしてもよい。
前記のように、ジベル20は、空間部5内に突出するように鋼製カバー材3あるいは溝付き鋼矢板4(1、2)または底版6のいずれか1つまたは2つあるいは3つの前記部材に固定するように設けてもよい。
なお、これらの場合、鉄筋等のジベル20がエポキシ樹脂等により防食被覆されていてもよい。
この形態は、図14に示す形態において、充填材7を省略した形態であり、底版6を備えた形態である。その他の形態は、図14の場合と同様であるので、同様な部分には、同様な符号を付している。
この形態では、ハット形鋼矢板2の表裏両面が水域側になるような場合に、ハット形鋼矢板2の溝側の面の防食を図ることができる。また、溝11側に配置される鋼製カバー材3も、ハット形鋼矢板と同様な断面形態で継手部等を切断除去し、残されたアーム部19の先端部に取り付け用帯状鋼板14を溶接により固定し、そのような取り付け用帯状鋼板14付きの鋼製カバー材本体3aにおける前記取り付け用帯状鋼板14を、ハット形鋼矢板2の溝側のアーム部外面に立設するように配置して溶接により固定した形態の表裏両面に鋼製カバーを有するハット形鋼矢板2を複数連結して壁体16が構成されている。なお、適宜底版6は設けられる。
この形態は、ハット形鋼矢板2における凸部頂面を形成しているフランジ外面側が陸側で、ハット形鋼矢板2における溝11側が海側となるように配置される鋼製カバーを有するハット形鋼矢板8の形態の壁体16である。
また、防波堤などのように鋼矢板壁の前面あるいは背面の表裏両面が水域である鋼矢板構造物としての壁体16を保持する形態としては、自立式壁体あるいは控え斜め杭式の壁体としてもよい。
例えば、鋼製カバー材3の下方部の鋼矢板に流電陽極材を設けた鋼矢板壁としてもよい。
前記の流電陽極材としては、例えば、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム等またはこれらを主とする合金から構成された公知の流電陽極材を用いる。
こうすることにより、鋼矢板壁や鋼製カバー材3の腐食に対する耐久性を一層向上させることができる。
1 溝形鋼矢板
2 ハット形鋼矢板
3 鋼製カバー材
3a 鋼製カバー材本体
4 溝付き鋼矢板
5 空間部
6 底版
7 充填材
8 鋼製カバーを有する鋼矢板
9 ウェブ
10 フランジ
11 溝
12 継手
13 鋼製凸部面板
14 取り付け用帯状鋼板
15 防食層
16 壁体(鋼矢板壁)
17 裏埋土
18 上方連結材
19 アーム部
20 ジベル
21 透孔
22 横通し鋼材
Claims (20)
- 両側のウェブ(9)とこれらのウェブ(9)を一体に接続しているフランジ(10)とにより形成される溝を備えた溝付き鋼矢板(4)における表面または裏面のいずれか片面または両面における溝付き鋼矢板(4)の長手方向の所定範囲(L)に、前記所定範囲(L)に対応した長さで断面溝形または断面ハット形の鋼製カバー材(3)が、その鋼製カバー材(3)における凸部面板(13)が所定間隔(h)隔てるように配設されて、直接または鋼板等を介在させて間接的に溶接等の固定手段で前記溝付き鋼矢板(4)に固定され、前記溝付き鋼矢板(4)と前記鋼製カバー材(3)により形成された空間部(5)の下端部には、溝付き鋼矢板(4)または鋼製カバー材(3)に固定された底版(6)が設けられて閉塞されていることを特徴とする鋼製カバーを有する鋼矢板。
- 前記空間部(5)には、充填材(7)が充填されていることを特徴とする請求項1に記載の鋼製カバーを有する鋼矢板。
- 両側のウェブ(9)とこれらのウェブ(9)を一体に接続しているフランジ(10)とにより形成される溝(11)を備えた溝付き鋼矢板(4)における表面または裏面のいずれか片面または両面における溝付き鋼矢板(4)の長手方向の所定範囲(L)に、前記所定範囲(L)に対応した長さで断面溝形または断面ハット形の鋼製カバー材(3)が、その鋼製カバー材(3)における凸部面板(13)が所定間隔(h)隔てるように配設されて、直接または鋼板等を介在させて間接的に溶接等の固定手段で前記溝付き鋼矢板(4)に固定され、前記溝付き鋼矢板(4)と前記鋼製カバー材(3)により形成された空間部(5)には、充填材(7)が充填されていることを特徴とする鋼製カバーを有する鋼矢板。
- 前記溝付き鋼矢板(4)が溝形鋼矢板(1)であり、前記鋼製カバー材(3)が溝形鋼矢板の各ウェブに直接または鋼板等を介在させて間接的に溶接等の固定手段で固定されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の鋼製カバー材を有する鋼矢板。
- 前記溝付き鋼矢板(4)がハット形鋼矢板(2)であり、前記鋼製カバー材(3)がハット形鋼矢板の各ウェブまたはそのウェブに接続するアーム部に、直接または鋼板等を介在させて間接的に溶接等の固定手段で固定されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の鋼製カバー材を有する鋼矢板。
- 前記空間部(5)には、セメント系経時硬化性充填材、高分子樹脂系充填材、ソイル系充填材、歴性質系充填材の少なくともいずれか1つの充填材(7)が充填されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の鋼製カバー材を有する鋼矢板。
- 鋼製カバー材(3)が、ハット形鋼矢板または溝形鋼矢板から製作された鋼製カバー材であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかにに記載の鋼製カバーを有する鋼矢板。
- 鋼製カバー材(3)が、ハット形鋼矢板または溝形鋼矢板における継手近傍を除去した断面ハット形または断面溝形の鋼製カバー材であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかにに記載の鋼製カバーを有する鋼矢板。
- 鋼製カバー材(3)が、ハット形鋼矢板または溝形鋼矢板におけるウェブの所定部位から継手部に至る範囲を除去した断面ハット形または断面溝形の鋼製カバー材であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の鋼製カバーを有する鋼矢板。
- 鋼製カバー材(3)が、鋼板を加工した断面ハット形または断面溝形の鋼製カバー材であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の鋼製カバーを有する鋼矢板。
- 鋼製カバー材(3)が、ハット形鋼矢板(1)のウェブ(9)に溶接等の手段で固定されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の鋼製カバーを有する鋼矢板。
- 空間部(5)に充填材(7)を充填する形態の鋼製カバーを有する鋼矢板であって、鋼製カバー材(3)と溝付き鋼矢板(4)または底版(6)のいずれかに前記空間部(5)に突出するジベル(20)が設けられていることを特徴とする請求項2〜11に記載の鋼製カバーを有する鋼矢板。
- (鋼矢板壁関係)
請求項1〜12のいずれかの鋼製カバーを有する鋼矢板が多数、それらの継手を嵌合させて、水底地盤上に打設等の手段で壁体を構成するように配設されていることを特徴とする鋼矢板壁。 - 請求項1〜12のいずれかの鋼製カバーを有する鋼矢板が、多数それらの継手を嵌合させて、水底地盤上に打設等の適宜手段で配設されて鋼矢板壁(16)を形成し、鋼矢板の上方部がコンクリートなどの経時硬化性材料からなる上方連結材(18)により鋼矢板壁延長方向に連結されていることを特徴とする鋼矢板壁。
- 請求項1の鋼製カバーを有する鋼矢板が多数、それらの継手を嵌合させて、水底地盤上に打設等の手段で壁体を構成するように配設され、前記空間部(5)には、セメント系経時硬化性充填材、高分子樹脂系充填材、ソイル系充填材、歴性質系充填材の少なくともいずれか1つの充填材(7)が、現場施工により充填されていることを特徴とする鋼矢板壁。
- 請求項1〜12のいずれかの前記鋼製カバーを有する鋼矢板と、前記鋼製カバー材を有しない多数の鋼矢板が、交互にそれらの継手を嵌合させて、水底地盤上に打設等の適宜手段で配設され鋼矢板壁(16)が形成され、多数の前記鋼製カバー材を有する鋼矢板及び多数の鋼製カバーを有しない鋼矢板の上方部及び前記鋼製カバーの上方部はコンクリートなどの経時硬化性材料からなる上方連結材(18)により鋼矢板壁延長方向に連結されていることを特徴とする鋼矢板壁。
- 鋼製カバー材を有する鋼矢板が水域側に凸状態で配設され、鋼製カバー材を有さない鋼矢板が水域側に凹状態で配設されていることを特徴とする請求項13〜16のいずれかに記載の鋼矢板壁。
- 鋼矢板壁の前面が水域で背面には裏埋土が配設されていることを特徴とする請求項13〜17のいずれかに記載の鋼矢板壁。
- 鋼矢板壁の前面及び背面が水域であることを特徴とする請求項13〜17のいずれかに記載の鋼矢板壁。
- 水域側の没水部における鋼矢板壁または鋼製カバー材の外表面側に流電陽極材を配設したことを特徴とする請求項13〜19のいずれかに記載の鋼矢板壁。
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