JP5668618B2 - 溝形断面部材を有する鋼矢板及び壁体 - Google Patents
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Description
[2]ペトロラタムライニング(FRPカバー等を保護カバーとして使用)
[3]有機質ライニング(ポリエチレン、ポリウレタンなど)
(1) 溝付き鋼矢板には、予め鋼製カバー材が設けられているので、溝付き鋼矢板における集中腐食部位を鋼製カバー材により防護することができ、溝付き鋼矢板自身の集中腐食を回避することができる。
(2) 鋼製カバー材を使用するので、流木や氷盤が衝突しても機械的損傷を受けづらい。
(3) 工場などであらかじめ溝付き鋼矢板に鋼製カバーを取り付けることができるので、安価な溝付き鋼矢板とすることができる。
(4) 空間部への充填材の充填は、溝付き鋼矢板を打設する前に、充填しておく場合と、溝付き鋼矢板打設後に充填する場合があるが、いずれも、予め充填する空間部が形成されているので、充填作業が容易である。
(5) 鋼製カバー材において、集中腐食部位の腐食が進行した場合には、当該部位を覆うように鋼板を溶接するだけで、容易に鋼製カバー材としての機能を回復させることができる。
(6) 空間部に充填材が充填されているので、鋼矢板壁の点検作業時において、鋼製カバー材における集中腐食の進行を見逃し、鋼製カバー材に貫通孔が生じても、セメント硬化体などの充填材が本体鋼矢板を保護することができる。このため、集中腐食現象を見逃しても大きな問題は生じない。
(1)溝付き鋼矢板4と鋼製カバーは、壁体構築方向(継手中心軸線C方向)で、同一方向に配設されている。このため、互いの断面の重心位置が近く(重心の離間距離が小さい)、合成断面としての断面性能は、狭幅と広幅のものを用い同じ方向に設置し、溝付き鋼矢板4に対して鋼製カバーの左右両端部を壁体構築方向(継手中心軸線C方向)で、壁厚方向に対して前後に位置をずらしたり傾斜させたりすることで非同一方向に配置されている場合に比べて小さい。
また、断面2次モーメントは重心軸線からの距離の3乗に比例するから、同じ部材を継手中心軸線Cに対して傾斜させる方が断面2次モーメントは大きくなる。
(2)溝付き鋼矢板がハット形鋼矢板の場合、
(a)取り付け用帯状鋼板(間隔保持部材)は、アーム部分に固定されている。このため、継手及びその近傍は鋼面が露出しており、このままだと腐食が進行し、断面性能の低下を招く。
(b)鋼製カバーとして、ハット形鋼矢板の両側継手を切断した、継手を有しない断面ハット形形状の鋼板を使用している。このため、継手の切断コストや切断に伴う発生ひずみの矯正コストが嵩む、切断した継手に対応した分だけ剛性が低下するという問題もある。
また、隣り合うハット形鋼矢板2の継手同士の水域側の外面は、カバー材間により形成される溝奥部にあるものの露出しているので、隣り合うハット形鋼矢板2の継手嵌合部の外面は、両方の継手とも、腐食する恐れがあるという問題がある。したがって、より一層、継手嵌合部の防錆を図ることが可能な鋼矢板及び壁体の余地がある。
本発明は、耐腐食性を高めた溝形断面部材を有する鋼矢板及びそれを用いた壁体を提供することを目的とする。
構造計算によって決定される場合を、次の(1)、(2)に例示する。
(1)部材断面が応力で決定する構造の場合には、例えば、図17に示すように、曲げモーメントの大きな部位を含む範囲等の発生応力の大きな部位を含む範囲Lに設置する。
(2)部材断面が変位で決定する構造の場合には、例えば、図9(b)或は図16(a)〜(d)に示すような自立鋼矢板壁の場合は、設計地盤面近傍(主として設計地盤面以深)を含む範囲等の変位を小さくするのに効果的な範囲Lに溝形断面部材3を設置する。
なお、図9(a)(b)又は図16(c)に示すように、標準的な海洋環境において集中腐食が生じる恐れが高い干満帯直下付近(水深0.5m,好ましくはL.W.Lより下方水深1mまでの範囲)をカバーする範囲が前記Lに含まれる形態では、防食及び剛性の両方で有利になる。なお、前記の所定の範囲Lは、前記の構造設計による条件を満たした上で、例えば、図9(b)に示すように、水域における波や河川流の影響による洗掘を考慮する場合には、水底地盤23中の所定の深度まで含むようにしてもよい。
図16(b)に示す壁体27は、自立鋼矢板壁で、溝形断面部材3を裏埋土17側に配置する形態としてもよい。
このような形態では、裏埋土を投入するまでの期間が長く、その間、水底地盤において砂などの動きが激しい場合には、砂摩耗対策を兼ねることができる。
図16(c)(d)に示す自立鋼矢板壁の壁体27のように、溝形断面部材3を水底地盤23中の所定の深度から上方に連続して設け、溝形断面部材3及びハット形鋼矢板2からなる鋼矢板4の上端部を上部コンクリート33に埋め込むようにしてもよい。
このような形態では、より高い剛性を発揮する。
図16(d)に示す形態では、溝形断面部材3が裏埋土17側に埋め込まれているので、海側は溝付き鋼矢板4のみとなるから、海側の側壁面が溝形断面部材3による凹凸がない分、平坦な側壁面とすることができる。
また、図17に示す壁体27では、控え工34と溝形断面部材を有する鋼矢板8の上部とを、適宜受梁及び支承板を介在させてタイロッド35及びこれに装着される雌ねじ部材を用いて連結する、タイロッド式(控え工式)鋼矢板壁としている。
なお、硬化性充填材7は、空間部5の全長に亘り充填する場合と、必要な範囲に充填する場合がある。前記の必要な範囲に充填する場合には、適宜中間型枠を設けて硬化性充填材7を充填する。
[1] セメント系経時硬化性充填材(セメントミルク、モルタル、コンクリート、レジンモルタルなど)
[2] 高分子樹脂系充填材(エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等)
[3] ソイル系充填材(ソイルセメントなど)
[4] 歴性質系充填材(アスファルトなど)
(1) 溝付き鋼矢板には、予め鋼製の溝形断面部材が設けられているので、溝付き鋼矢板における集中腐食部位を溝形断面部材により防護することができ、溝付き鋼矢板自身の集中腐食を回避することができる。
(2) 鋼製の溝形断面部材を使用するので、流木や氷盤が衝突しても機械的損傷を受けづらい。
(3) 工場などであらかじめ溝付き鋼矢板に溝形断面部材及び傾斜板並びに側面板を取り付けることができるので、安価な溝付き鋼矢板とすることができる。
(4) 空間部への硬化性充填材の充填は、溝付き鋼矢板を打設する前に、充填しておく場合と、溝付き鋼矢板打設後に充填する場合があるが、いずれも、予め充填する空間部が形成されているので、充填作業が容易である。
(5) 溝形断面部材において、集中腐食部位の腐食が進行した場合には、当該部位を覆うように鋼板を溶接するだけで、容易に溝形断面部材としての機能を回復させることができる。
(6) 空間部に充填材が充填されている形態では、鋼矢板壁の点検作業時において、溝形断面部材における集中腐食の進行を見逃し、溝形断面部材に貫通孔が生じても、セメント硬化体などの充填材が本体鋼矢板を保護することができる。このため、集中腐食現象を見逃しても大きな問題は生じない。
なお、壁体27を構築する場合には、(A)本発明の溝形断面部材を有する鋼矢板のみを用いた形態の壁体としてもよく、(B)本発明の溝形断面部材を有する鋼矢板と溝形断面部材を有しない鋼矢板とを交互に配置した形態の壁体としてもよく、(C)溝形断面部材を有する鋼矢板の間に2枚以上の溝形断面部材を有しない鋼矢板を介在させる形態の壁体としてもよく、前記(A)(B)(C)のように一定の規則で配置した形態の壁体でもよい。このように、溝形断面部材を有する鋼矢板を組み込んだ壁体では、従来の場合よりも剛性の高い壁体を経済的に実現できる。なお、前記の溝形断面部材を有しない鋼矢板としては、例えば、ハット形鋼矢板2を用いるとよい。
なお、溝付き鋼矢板や溝形断面部材にズレ止め(スタッドボルト、孔明鋼板ジベル、曲げ鉄筋、形鋼ジベル等)を設置したり、硬化性充填材を補強するための補強材(鉄筋、ガラス繊維などの繊維、スチールファイバーなど)を配設・混入させても良い。
さらに、硬化性充填材の少なくとも上方部と上部コンクリート内部にまたがるように鉄筋などの補強材を配設しても良い。これにより、壁体と上部コンクリートの一体性・密着性がより向上する。
2 ハット形鋼矢板
3 溝形断面部材
3a 正面板
4 溝付き鋼矢板
5 空間部
6 閉塞板
7 硬化性充填材
8 溝形断面部材を有する鋼矢板
9 ウェブ
9a ウェブ
10 フランジ
10a フランジ
11 溝
12 継手
13 傾斜板
14 側面板
15 防食層
16 側面閉塞板
17 裏埋土
18 ジベル
19 アーム部
20 鉄筋
21 ボルト
22 ボルト
23 水底地盤
25 ナット
26 間隔保持材
27 壁体
28 メッシュ材
29 係止用鋼板
30 開口
31 鋼製カバー材
32 棒状部材
33 上部コンクリート
34 控え工
35 タイロッド
36 スリット
81 鋼製カバーを有する鋼矢板
141 取り付け用帯状鋼板
161 壁体(鋼矢板壁)
Claims (8)
- 両側のウェブ(9)とこれらのウェブ(9)を一体に接続しているフランジ(10)とにより形成される溝を備え、各ウェブ(9)にアーム部(19)が一体に連設され、各アーム部(19)の端部に、継手(12)が一体に形成されて溝付き鋼矢板(4)が形成され、間隔をおいて両側に側面板(14)を有すると共にこれらの側面板(14)を一体に接続する正面板(3a)を有する溝形断面部材(3)が形成され、前記溝付き鋼矢板(4)の長手方向の所定範囲(L)に、前記所定範囲(L)に対応した長さで、前記各側面板(14)の他端が溶接等の手段で、前記溝付き鋼矢板(4)の表面に固定され、前記溝付き鋼矢板(4)と前記溝形断面部材(3)により空間部(5)が形成され、前記正面板(3a)は、前記溝付き鋼矢板(4)と同じ断面形態の鋼矢板が用いられて、前記正面板(3a)の両端部は、溝付き鋼矢板(4)の各継手(12)の中心軸線を結ぶ線分(C)からの距離(R)に差を設けて配置されて、溝付き鋼矢板(4)における継手相互を嵌合して壁体(27)を形成した場合に、隣り合う正面板(3a)の端部が壁厚方向の内外に位置をずらして配置可能にされ、かつ前記空間部(5)に硬化性充填材(7)が充填されて耐腐食性が高められていることを特徴とする溝形断面部材を有する鋼矢板。
- 両側のウェブ(9)とこれらのウェブ(9)を一体に接続しているフランジ(10)とにより形成される溝を備え、各ウェブ(9)にアーム部(19)が一体に連設され、各アーム部(19)の端部に、継手(12)が一体に形成されて溝付き鋼矢板(4)が形成され、間隔をおいて両側に側面板(14)を有すると共にこれらの側面板(14)を一体に接続する正面板(3a)を有する溝形断面部材(3)が形成され、前記溝形断面部材(3)における一方の側面板(14)は、前記溝付き鋼矢板(4)の継手(2)外面に溶接等の固定手段により固定されて、前記溝付き鋼矢板(4)の長手方向の所定範囲(L)に、前記所定範囲(L)に対応した長さで、前記各側面板(14)の他端が溶接等の手段で、前記溝付き鋼矢板(4)の表面に固定され、前記溝付き鋼矢板(4)と前記溝形断面部材(3)により空間部(5)が形成され、前記正面板(3a)の両端部は、溝付き鋼矢板(4)の各継手(12)の中心軸線を結ぶ線分(C)からの距離(R)に差を設けて配置されて、溝付き鋼矢板(4)における継手相互を嵌合して壁体(27)を形成した場合に、隣り合う正面板(3a)の端部が壁厚方向の内外に位置をずらして配置可能にされ、かつ前記空間部(5)に硬化性充填材(7)が充填されて耐腐食性が高められていることを特徴とする溝形断面部材を有する鋼矢板。
- 前記正面板(3a)を、平面視で、溝付き鋼矢板(4)に対して傾斜配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の溝形断面部材を有する鋼矢板。
- 前記空間部(5)の少なくとも下端部は、溝付き鋼矢板(4)及び前記溝形断面部材(3)のいずれか一方又は両方に固定された閉塞板(6)が設けられて閉塞されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の溝形断面部材を有する鋼矢板。
- 溝付き鋼矢板(4)の所定箇所にスリット(36)を設け、前記正面板(3a)の空間部(5)側表面の前記スリット(36)に対応した箇所に係止用鋼板(29)を溶接等の手段で固定し、前記係止用鋼板(29)を前記スリット(36)に挿入し、前記係止用鋼板(29)の端部は溝付き鋼矢板(4)に溶接等の手段で固定されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の溝形断面部材を有する鋼矢板。
- 正面板(3a)の所定箇所に開孔(30)を設け、前記溝付き鋼矢板(4)の空間部(5)側表面の前記開孔(30)に対応した箇所に棒状部材(32)を溶接等の手段で固定し、前記棒状部材(32)を前記開孔(30)に挿入し、前記棒状部材(32)の端部は正面板(3a)に溶接やナットによる螺合等の手段で固定されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の溝形断面部材を有する鋼矢板。
- 溝付き鋼矢板(4)と正面板(3a)とが、それらの上部及び下部のいずれか一方又は両方の箇所において、鋼板等からなる間隔保持材(26)を溶接等の手段により固定していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の溝形断面部材を有する鋼矢板。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の溝形断面部材を有する鋼矢板を単独で複数枚配置し、又は請求項1〜7のいずれか1項に記載の溝形断面部材を有する鋼矢板間に少なくとも1枚の溝形断面部材を有しない鋼矢板を配置し、隣り合う鋼矢板の継手相互を連結して地盤に打設したことを特徴とする壁体。
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