JP3823029B2 - 鋼製矢板継手部の止水構造及び遮水護岸構造と構築方法 - Google Patents

鋼製矢板継手部の止水構造及び遮水護岸構造と構築方法 Download PDF

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    • Y02W30/30Landfill technologies aiming to mitigate methane emissions

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼製矢板継手部の止水構造及び遮水護岸の構造と構築方法に係り、特に、遮水護岸の複数列の内外遮水壁からなる連続壁における継手部の止水構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の遮水護岸構造では、産業廃棄物あるいは一般廃棄物を海面埋め立て処分する場合は、その廃棄物埋め立て処分場からの保有水の外海への浸出を防止する必要がある。
【0003】
一般に、廃棄物海面埋め立て処分場を造成する場合は、予定された海面埋め立て地の境界線に沿って遮水工が施された護岸を構築して外海と遮断した埋め立て処分場を造り、この処分場内に廃棄物を投棄していた。この護岸形式としては、鋼管矢板式護岸、鋼製箱形矢板式護岸、鋼矢板セル式護岸、ケーソン式護岸、捨石式護岸等が知られている。
【0004】
これらを用いた廃棄物海面埋め立て護岸を築造するに際し、重要な留意事項は、埋め立て処分場内の汚染された保有水が護岸底部や矢板継手部や護岸本体部等から外海へ浸出するのをいかにして防止するか、また、いかに漏水を管理するかである。
【0005】
この方法としては、特開平7−42130号、特開平8−246485号、特開平10−165916号公報に示されているように、鋼矢板、鋼管矢板、地中連続壁等で内壁と外壁で構成される二重壁を築造し、その内部を利用して水質、水位を管理する方法が提案されている。
【0006】
この管理方法では、二重壁内部が護岸全長に渡って連続しており、底部、内壁、外壁のどこが欠損または欠陥箇所かを特定するのが難しい。また、同時に二重壁両方に数カ所の欠損または欠陥箇所が発生した場合は、特定するのがより難しく、補修も遅くなり、外海へ保有水が浸出する欠点がある。
【0007】
一方、この二重壁内部の水位を外海および処分場内より高くして、保有水の流失を防止することが提案されているが、二重壁内全体の水位を外海および処分場内より高くするには、二重壁内の平面積・体積が非常に大きいため、水(無害な海水や水)を注入するには大変大掛かりな設備と時間を要し、常に一定の高水位を維持するための費用も高くなる。
【0008】
また、この二重壁内部の水位を外海および処分場内より低くし、保有水を二重壁内部に滞留させ、保有水の外海への浸出を防止することも提案されているが、二重壁内部の滞留水を常に処分場側に戻すことは、二重壁内の平面積・体積が非常に大きいため、大変大掛かりな設備と時間を要し、費用も高くなる欠点がある。
【0009】
さらに、欠損または欠陥箇所が発生した場合には、その場所の特定に時間を要すると共に、二重壁内部を高水位に保持するためには大量の水を注入する必要があるだけでなく、その注入された水は、二重壁内部に滞留する処分場からの保有水と混合し、新たな保有水となると共に、処分場内に流入させた水も新たな保有水となるため、これらをポンプで汲み上げ、汚水処理施設で処理する量が膨大な量となり、それに要する費用も高くなる欠点がある。
【0010】
また、補修までに時間を要すれば、保有水が護岸をオーバーフローし、外海に流出する事態にも発展する問題がある。
【0011】
他方、一実施例として鋼管矢板護岸を例にとり説明するが、鋼管矢板の継手部止水構造としては、例えば図20(a),(b)に示すようなものがある。各図において、各継手部101,102を構成する雄側部材は共にT字状突起部103が単位二重壁構成部材104に溶接されてなり、雌側部材は共にスリット105a,106a付きの、パイプ部材105または箱形部材106が単位二重壁構成部材104に溶接されている。
【0012】
そして、継手部101,102の接合に際しては、突起部103の脚部103aをスリット105a,106aに挿入して打設し、次いで継手部101,102の止水方法としては、土中部は継手管105,106内の土砂をウォータージェットで攪拌し、エアーリフト等を用いて排土した後に、その継手部101,102内空間部にナイロン等の繊維で縫合された筒状布体114を挿入した後にセメントミルク107を充填して止水していた。通常の締め切り用の継手部101,102の止水性能としては、この程度の止水方法で十分な効果を発揮する。
【0013】
しかし、海面廃棄物処分場等では、透水係数がk=1×10−8cm/sec以下と非常に厳しい遮水性能が求められている。
【0014】
この遮水性能を発揮する材料としては、レオロジー的材料特性を示すアスファルト混合物等の瀝青材料が優れた性能を発揮することが分かっている。この瀝青材料はそれ自体は優れた遮水性を示すが、水中に位置する鋼材等との水中部での接着性が低く、海面・水面下で遮水材として充填された場合、鋼材との一体化に問題があった。
【0015】
また、この瀝青材料は常温では可撓性の固体であるが、鋼管矢板の継手部に充填する際は、加熱して液体状で流し込むのが一般的な施工法であると考えられている。この充填時、土中部の継手部の外側は、周辺土で拘束状態であるので、注入する瀝青材料は流出することはない。
【0016】
しかし、海底面より上部は、この拘束土がないため流出防止対策として、図21に示すように、継手部材111のスリット部112の近傍に当て金具113を水中溶接し、スリット部112の間隙を閉塞する方法が提案されているが、この方法は、狭小空間では、施工が困難であると共に、水中溶接が作業の主体となるために施工費が高く、工期も長くなるとともに、作業の安全性も損なわれるという欠点があった。
【0017】
さらに、海面廃棄物処分場等に使用する単位二重壁構成部材110は不透水性地層となる硬質の粘土や軟岩等に打設される。このような硬質地盤に単位二重壁構成部材110の継手部111を貫入させると、継手部111が変形したり破損したりし、止水材が変形部・破損部に確実に充填されないなど所定の遮水効果が発揮されない問題がある。
【0018】
またさらに、特開平8−151630号公報には、パイルを構成する鋼管矢板、U形矢板、Z形矢板等の継手部に充填材を充填することで、各パイルの継手部の止水構造を構築する発明が開示されている。しかし、この特開平8−151630号公報に記載の発明では、あくまでも、各パイルの継手部の止水構造のみを問題としており、後述の本発明におけるごとき、継手部を介して長手方向に連続する複数列の内外遮水壁を鋼材で構築し、この内外遮水壁における継手部および/または継手部材を介して隣接する内外遮水壁構成部材間に形成される空間を止水することで遮水護岸を連続的にかつ、閉鎖状に構築するものではない。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、前述のような従来の種々の問題点を解決する技術として、先に特願2000−106072号を提案した。本発明は、この先願発明を更に改良し、複数列の内外遮水壁からなる内外遮水壁構成部材を継手を介して接合して連続壁を構築すると共に、継手部および/または継手部材を介して隣接する内外遮水壁構成部材間に形成される空間を止水することで、鋼製矢板により構築された閉鎖状連続壁内部でのドライワークを実現可能とした遮水護岸の構造と構築方法を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するため、本発明は次のように構成する。
【0021】
第1の発明は、鋼製箱形矢板、H形鋼矢板、鋼管矢板等の鋼材を用いた鋼製矢板の継手部材の閉合部の内面に瀝青・ゴム系接着剤、アスファルトプライマー等の接着剤が塗布されていると共に、前記継手部材の閉合部内の空間が前記接着剤層を介して止水材としてのアスファルト混合物等の瀝青材料、粘土、モルタル、コンクリート、粘土モルタル、粘性系材料等の止水材で充填され、前記継手部材の閉合部内の空間に充填される止水材は、材質、性能の異なる複数種の止水材が上下方向に複数層をなして充填されていることを特徴とする。
【0022】
第2の発明は、第1の発明において、継手部材の閉合部の密閉度向上のため、雌側の継手部材のスリット幅が雄側の継手部材寸法より狭く、雄側の継手部材が当該スリット部に強制的に挿入されることで雌側の継手部材に残留応力が付与されていることを特徴とする。
【0023】
第3の発明は、第1または第2の発明において、継手部材の閉合部の密閉度向上のため、雌側の継手部材のスリット部もしくは、雌側継手部材のスリット部と接合する雄側継手部材もしくは、雌側、雄側相方の継手接合部のスリット部に伸縮自在な部材を設置し、雄側の継手部材が前記スリット部に強制的に挿入されることで雌側の継手部材に残留応力が付与されていることを特徴とする。
【0024】
の発明は、第1の発明ないし第3の発明において、前記上下方向に複数層をなして充填される止水材として、地盤内で鋼製矢板の変形が少ない部位については、モルタル、コンクリート等の弾性的応答を示す止水材が充填され、鋼製矢板の変形が予想される部位については、変形追従性があるアスファルト混合物等の瀝青材料、粘土、粘土モルタル、粘性系材料等の粘弾性的ないし粘性的応答を示す止水材が充填されていることを特徴とする。
【0025】
の発明は、第1ないし第の何れかの発明において、継手部材の先端部に、閉塞手段を取り付けて鋼製矢板打設時の継手部材の変形を防止すると共に継手部材の先端まで空間を確保し、当該先端まで前記止水材が充填可能なことを特徴とする。
【0026】
の発明は、第の発明において、前記閉塞手段は、十字リブのごとき補強材および沓で構成されることを特徴とする。
【0027】
の発明は、鋼製箱形矢板、H形鋼矢板、鋼管矢板等の不透水材料である鋼材を用いた鋼製矢板同士を、継手部材を介して接合して不透水性地層に打設して構築する遮水性連続壁用の鋼製矢板継手部止水構造の構築方法であって、前記鋼製矢板には、雌側のスリット幅が雄側の継手部材寸法より狭い継手部材を有する鋼製矢板、または雌側のスリット部、雌側のスリット部と接合する雄側継手部材、もしくはこれら雌側スリット部、雄側継手部材の相方に、伸縮自在な部材を設置した継手部材を有する鋼製矢板であって、該継手部材の閉合部の内面に瀝青・ゴム系接着剤、アスファルトプライマー等の接着剤が塗布されている鋼製矢板を用いることで、該鋼製矢板の打設に際し、雄側継手部材と雌側スリット部とを強制的に挿入嵌合しながら密閉度の高い継手部材の閉合部を構築し、該打設完了後、密閉された継手部材の閉合部空間を掘削洗浄した後、該空間をドライアップした状態で、該空間にアスファルト混合物等の瀝青材料、粘土、モルタル、コンクリート、粘土モルタル、粘性系材料等の止水材を充填して構築することを特徴とする。
【0028】
の発明は、第の発明において、前記止水材を充填する前の前記閉合部空間の状態を、前記ドライアップした状態に代えて、該空間に滞水している海水または濁度の高い真水を濁度の低い真水に置換した後のウェット状態として、該空間に滞水している真水と置換しながら、該空間に前記止水材を充填して構築することを特徴とする。
【0029】
の発明は、第または第の発明において、材質、性能の異なる複数種の止水材の中から、前記継手部材の上下方向の場所毎の要求特性に応じた止水材を選択して充填することで、継手部材の閉合部内の空間に上下方向で材質、性能の異なる複数種の止水材層を形成することを特徴とする。
【0030】
10の発明は、第の発明において、前記上下方向に複数層をなして充填される止水材として、地盤内で鋼製矢板の変形が少ない部位については、モルタル、コンクリート等の弾性的応答を示す止水材を選択し、鋼製矢板の変形が予想される部位については、変形追従性があるアスファルト混合物等の瀝青材料、粘土、粘土モルタル、粘性系材料等の粘弾性的ないし粘性的応答を示す止水材を選択することを特徴とする。
【0031】
11の発明は、第ないし第10の何れかの発明において、前記継手部材の先端部に、閉塞手段を取り付けて前記鋼製矢板打設時の該継手部材の変形を防止すると共に該継手部材の先端まで空間を確保して、該先端まで前記止水材を充填可能にすることを特徴とする。
【0032】
12の発明は、第11の発明において、前記閉塞手段は、十字リブのごとき補強材および沓で構成されることを特徴とする。
【0033】
13の発明は、不透水材料の鋼材を所定間隔をあけて平行ないし略平行に複数列配置して端部に継手部材を有する複数列の内外遮水壁間を仕切連結鋼材で連結して内外遮水壁構成部材(鋼製矢板)を構成し、内外遮水壁構成部材同士を継手部材を介して接合して不透水性地層に打設して構築する遮水護岸用の閉鎖状連続壁であって、前記継手部材を介して隣接する内外遮水壁構成部材間に形成される空間に、アスファルト混合物等の瀝青材料、粘土、モルタル、コンクリート、粘土モルタル、粘性系材料等の止水材が充填され、前記内外遮水壁構成部材間の空間内に充填される止水材として、材質、性能の異なる複数種の止水材が上下方向に複数層をなして充填されていることを特徴とする。
【0034】
14の発明は、第13の発明において、前記継手部材を介して隣接する内外遮水壁構成部材間に形成される空間の鋼材内表面と該空間に充填されている前記止水材との間に、瀝青・ゴム系接着剤、アスファルトプライマー等の接着剤層が形成されていることを特徴とする。
【0035】
15の発明は、第13または第14の発明において、前記内外遮水壁構成部材同士を接合する継手部材内の閉合空間に水膨潤性止水材が充填されていることを特徴とする。
【0036】
16の発明は、第13または第14の発明において、前記内外遮水壁構成部材同士を接合する継手部が、請求項1ないしの何れか1項に記載の鋼製矢板の継手部の止水構造を有することを特徴とする。
【0037】
17の発明は、第13ないし16の何れかの発明において、前記内外遮水壁構成部材間の空間内で前記上下方向に複数層をなして充填される止水材として、地盤内で内外遮水壁構成部材の変形が少ない部位については、モルタル、コンクリート等の弾性的応答を示す止水材が充填され、内外遮水壁構成部材の変形が予想される部位については、変形追従性があるアスファルト混合物等の瀝青材料、粘土、粘土モルタル、粘性系材料等の粘弾性的ないし粘性的応答を示す止水材が充填されていることを特徴とする。
【0038】
18の発明は、不透水材料の鋼材を所定間隔をあけて平行ないし略平行に複数列配置して、端部に継手部材を有する複数列の内外遮水壁の間を仕切連結鋼材で連結してなる内外遮水壁構成部材(鋼製矢板)を、継手部材を介して接合しながら不透水性地層に打設する遮水護岸用の閉鎖状連続壁の構築方法であって、前記継手部材を介して隣接する内外遮水壁構成部材間に形成される空間を掘削洗浄し、その後に、該空間に滞水している海水または濁度の高い真水を濁度の低い真水に置換した後、該空間に滞水している水と置換しながら、該空間に、アスファルト混合物等の瀝青材料、粘土、モルタル、コンクリート、粘土モルタル、粘性系材料等の止水材を充填して築造する遮水性連続壁の構築方法において、材質、性能の異なる複数種の止水材の中から、前記遮水性連続壁の上下方向の場所毎の要求特性に応じた止水材を選択して、前記隣接する内外遮水壁構成部材間に形成される空間に充填することで、該空間に上下方向で材質、性能の異なる複数種の止水材層を形成することを特徴とする。
【0039】
19の発明は、第18の発明において、前記内外遮水壁構成部材間に形成される空間に滞水している水と置換しながら止水材を充填するのに代えて、前記掘削洗浄後の空間を強制排水してほぼドライ状態とし、このドライ状態の空間に、前記止水材を充填して築造することを特徴とする。
【0040】
20の発明は、第18または第19の発明において、前記内外遮水壁構成部材として、継手部材を介して隣接する該部材間に形成される空間の該部材内面に、瀝青・ゴム系接着剤、アスファルトプライマー等の接着剤が予め塗布されている内外遮水壁構成部材(鋼製矢板)を用いることを特徴とする。
【0041】
21の発明は、第18ないし第20の何れかの発明において、前記内外遮水壁構成部材として、該部材同士を接合する継手部材の閉合部内に予め水膨潤性止水材を塗布もしくは注入充填した内外遮水壁構成部材(鋼製矢板)を用いることを特徴とする。
【0042】
22の発明は、不透水材料の鋼材を所定間隔をあけて平行ないし略平行に複数列配置して、端部に継手部材を有する複数列の内外遮水壁の間を仕切連結鋼材で連結してなる内外遮水壁構成部材(鋼製矢板)を、継手部材を介して接合しながら不透水性地層に打設する遮水護岸用の閉鎖状連続壁の構築方法であって、前記内外遮水壁構成部材として、該内外遮水壁構成部材同士を接合する継手部材の閉合部内に予め水膨潤性止水材を塗布もしくは注入充填した内外遮水壁構成部材(鋼製矢板)を打設しながら、該内外遮水壁構成部材(鋼製矢板)の継手部止水構造を構築した後、該継手部を介して隣接する内外遮水壁構成部材間に形成される空間内を掘削洗浄し、その後、該空間をドライアップして、そのドライ状態の空間の内面に瀝青・ゴム系接着剤、アスファルトプライマー等の接着剤を塗布した後、アスファルト混合物等の瀝青材料、粘土、モルタル、コンクリート、粘土モルタル、粘性系材料等の止水材を充填して築造することを特徴とする。
【0043】
23の発明は、第21または第22の何れかの発明における、前記水膨潤性止水材による内外遮水壁構成部材(鋼製矢板)の継手部止水構造の構築に代えて、第ないし第12の何れかの発明の鋼製矢板継手部止水構造の構築方法を用いて構築することを特徴とする。
【0044】
24の発明は、第22または第23の発明において、材質、性能の異なる複数種の止水材の中から、前記遮水性連続壁の上下方向の場所毎の要求特性に応じた止水材を選択して、前記隣接する内外遮水壁構成部材間に形成される空間に充填することで、該空間に上下方向で材質、性能の異なる複数種の止水材層を形成することを特徴とする。
【0045】
25の発明は、第20ないし第23の何れかの発明において、前記上下方向に複数層をなして充填される止水材として、地盤内で鋼製矢板の変形が少ない部位については、モルタル、コンクリート等の弾性的応答を示す止水材を選択し、鋼製矢板の変形が予想される部位については、変形追従性があるアスファルト混合物等の瀝青材料、粘土、粘土モルタル、粘性系材料等の粘弾性的ないし粘性的応答を示す止水材を選択することを特徴とする。
【0046】
26の発明は、海面ないし水面に設けられる廃棄物海・水面埋立処分場であって、該処分場は、第13ないし第17の何れかの発明における遮水性連続壁を有する遮水護岸が海面ないし水面部に閉鎖状に築造されていると共に、廃棄物をその閉鎖部内に投入した際に発生する保有水を発生させない、または、発生し難いようにするため、閉鎖状の前記遮水護岸の内部が、内部水が排水されてドライな状態またはそれに近い状態にされていることを特徴とする。
【0047】
27の発明は、海面ないし水面における人工島であって、該人工島は、第13ないし第17の何れかの発明の遮水性連続壁を有する遮水護岸が、海面ないし水面部に閉鎖状に築造されていると共に、埋立部分の圧密沈下を抑制し、かつ構造物の基礎を、埋立後再度掘削することなく築造するため、閉鎖状の前記遮水護岸の内部が、内部水が排水されることでドライな状態またはそれに近い状態にされていると共に、埋立用の土砂がドライな状態で敷き均されていることを特徴とする。
【0048】
28の発明は、第13ないし第17の何れかの発明における遮水性連続壁を有する遮水護岸であって、ドライアップされ大気中に露出される部分、干満帯(スプラッシュゾーン)等を含めた遮水性連続壁の鋼材表面に、ウレタンエラストマー等の有機ライニング、アスファルト等の塗装、ペトロラタムライニング、無機ライニング等の1種または2種以上の防食被覆層を有することを特徴とする。
【0049】
29の発明は、第18ないし第25の何れかの発明の方法で構築した遮水性連続壁を用いた遮水護岸を海面ないし水面部に閉鎖状に築造し、閉鎖状の該遮水護岸の内部を排水してドライな状態またはそれに近い状態にすることにより、廃棄物をその閉鎖部内に投入した際に発生する保有水を発生させない、または、発生し難いことを特徴とする海面ないし水面における廃棄物海・水面埋立処分場の構築することを特徴とする。
【0050】
30の発明は、第18ないし第25の何れかの発明で構築した遮水性連続壁を用いた遮水護岸を海面ないし水面部に閉鎖状に築造し、閉鎖状の該遮水護岸の内部を排水してドライな状態またはそれに近い状態にすることにより、埋立用の土砂をドライな状態で敷き均し、埋立部分の圧密沈下を抑制するとともに、構造物の基礎を、埋立後再度掘削することなく築造することを特徴とする。
【0051】
31の発明は、第18ないし第25の何れかの発明で構築した遮水性連続壁を用いた遮水護岸の防食方法であって、鋼材表面にウレタンエラストマー等の有機ライニング、アスファルト等の塗布、ペトロラタムライニング、無機ライニング等の1種または2種以上の防食被覆層を予め施した鋼製矢板を用いるか、または、前記遮水護岸を海面ないし水面部に閉鎖状に築造し、閉鎖状の該遮水護岸の内部を排水してドライな状態またはそれに近い状態にして、そのドライアップされ大気中に露出される部分、干満帯(スプラッシュゾーン)等を含めた遮水性連続壁の鋼材部分に、ウレタンエラストマー等の有機ライニング、アスファルト等の塗装、ペトロラタムライニング、無機ライニング等の1種または2種以上の防食被覆層を施すことを特徴とする。
【0052】
【作用】
[発明、改善のポイント]
本発明の遮水護岸の特徴的な構築方法では、鋼製矢板の継手部材の閉合部内に、不透水材料である鋼材との接着性が悪いが、優れた不透水性能を発揮し、可撓性を有するアスファルト混合物等の瀝青材料を止水材に使用して水中充填する。そして、鋼材と止水材との前記接着性能の点は、瀝青・ゴム系接着材、アスファルトプライマー等の接着材を継手部材の閉合部の内面に塗布することで改善され、止水材と鋼材との一体化が図られて完全な止水性が得られることが確認されている。
【0053】
前記のアスファルト混合物等の瀝青材料を加熱して液体状で継手閉合部内の空間に流し込む際に、海底面より上部は、流出防止対策としてスリット間隙部近傍への当て金具による水中溶接の代わりに、雌側の継手部のスリット幅を雄側の継手部寸法より狭くし、継手接合部内の密閉度を向上させた継手構造内に雄側の継手部を強制的に打設挿入させて、止水材の海中への流れ出しを防止した密閉構造にする。この密閉構造を機械的に築造する方法としては、雌側の継手部のスリット部に伸縮自在な部材を設置する方法もある。
【0054】
また、海面廃棄物処分場等に使用する鋼製矢板は、不透水性地層となる硬質の粘土や軟岩等に打設される。このような硬質地盤に鋼製矢板の継手部を貫入させないと、遮水効果が十分発揮されない。さらに、硬質地盤に打設された継手部(管部材)が所定の形状に維持されなければ止水材が確実に注入もしくは充填されないことから、硬質地盤に継手部が打設されても継手部が変形しないように継手部の先端(下端)に閉塞手段、例えば十字リブや沓を設置して継手部を補強しておく方が好ましい
【0055】
また、本発明の他の特徴的方法では、仕切連結鋼材で連結してなる内外遮水壁構成部材を不透水性地層に打設して構築する遮水護岸用の閉鎖状連続壁を構築するもので、この場合、必要に応じて、内外遮水壁構成部材の継手に予め水膨潤性物質等の止水性物質を塗布もしくは注入・充填したものを嵌合させながら順次不透水性地盤内に打設していく。
【0056】
前記のようにして、止水性のある継手部材を介して隣接する複数列の内外遮水壁構成部材間に空間を形成し、この空間を掘削洗浄してドライとした後、あるいは、掘削洗浄後に空間に存在する水と置換しながら、アスファルト混合物、粘土、モルタル、コンクリート、粘土モルタル、粘性系材料等の止水材を充填する等の施工法を選択でき、これによる様々な作用が奏される。
【0057】
例えば前記のよう継手部材閉合空間内に止水材を塗布し又は充填した場合には、不透水性地盤内に打設された内外遮水壁構成部材の継手部は、時間の経過とともに止水材に含まれている水膨潤性物質の膨張により止水される。その後、不透水性地盤まで立列した内外遮水壁構成部材空間内や、継手部で閉塞された内外遮水壁構成部材間の空間の内部をこれら大小の閉塞空間部に適した機具、すなわち、ウォータージェットやグラブバッケット、オーガー、エアーリフト等で掘削洗浄しながらサンドポンプ、水中ポンプ等でドライアップして、そのドライ状態の空間内に可撓性を有するアスファルト混合物などの瀝青材料、モルタル、コンクリート、粘性土、粘性系材料等の止水材を充填して遮水性連続壁を築造する。
【0058】
前記の特徴的方法の遮水性連続壁では、継手部材の閉合空間に前述の止水材を充填することで継手部の止水性が向上し、また、空間が仕切連結鋼材で仕切られている内外遮水壁構成部材を用いて遮水性連続壁とした場合においては、万一継手部で漏水が発生しても、その漏水部を特定し易く、補修が容易である。この場合、まず、第1のステップで内外遮水壁構成部材の空間内をウォータージェット等で洗浄した後、水中ポンプ等でドライアップした時点で、継手部の止水状況を確認する。この時点で止水性に不具合な場合は、内外遮水壁構成部材の継手部内外より補修を実施し、完全な止水構造を完成させることが可能となる。
【0059】
この補修方法には、継手部材閉合空間内部より再度水膨潤性物質を継手部材閉合空間に注入させる方法、継手外部より継手部近傍にセメントミルクや水ガラス系、高分子系の薬液を注入して止水する方法、更には、鋼製あて金具とか板状・棒状金具を溶接する方法がある。
【0060】
また、本発明の他の特徴的方法として、内外遮水壁構成部材間の空間をドライな状態にした場合にあっては、必要に応じて鋼材内表面に瀝青・ゴム系接着材もしくはアスファルトプライマー等の接着材を塗布した後に、その空間に前述のアスファルト混合物、モルタル、粘性土等の止水材を内外遮水壁構成部材の先端まで充填することにより、弱点となる内外遮水壁構成部材と止水材との境界面の水路を接着材により、強固に結合し遮水できる高品位な遮水構造を構築できる。また、事前に接着材を塗布してなるものを打設してもよい。
【0061】
さらに本発明では、空間に存在する水の水位をコントロールしながら施工し、補修することもできる。この場合は、空間内の水位と外部の水位を同レベルに保つことで、空間内外の水圧を等しい状態に保つことができるので、地盤の中間層の打ち貫き時とか、転石とかの障害により予め嵌合させて打設した継手部が離脱したり、内外遮水壁構成部材の座屈により継手部に欠損が生じた場合など、その補修に際し、空間内外の水圧を等しくすることにより、補修部に外部の水圧による変応力を発生させることなく補修が可能となる。
【0062】
このような構造の継手部を用いて、継手部の閉合面にアスファルトプライマーを気中塗布した後に、不透水材料のアスファルト混合物の瀝青材料を止水材として水中充填し、不透水材料の鋼材と一体化させ、完全な不透水の鋼製矢板の継手部の止水構造を築造する。
【0063】
さらに本発明では、高品位な遮水性能を有する内外遮水壁構成部材を用いた遮水護岸構造を用いて海面、水面部に閉鎖状の遮水護岸を構築した後、閉鎖状の護岸内部水を護岸外部にポンプ等により排水してドライな状態を事前に構築しておけば有害廃棄物を遮水護岸で閉鎖された内部に投入しても、有害物質を含有する保有水の処理を省くか大幅に軽減することができ、保有水処理費用の大幅な軽減が可能となる。
【0064】
本発明に係るこのような構造の廃棄物海面処分場(つまり人工島)では、管理型護岸の安定を保つために保持する管理水位のコントロールが不要となり、陸上処分場と同様な廃棄物処理方法・管理方法をとることができ、漏水等のモニタリング管理が容易となる。
【0065】
また、前記人工島を構築するに際し、通常の止水工法では、波力、水圧、土圧、地震力等の外力が作用すると継手部を含め護岸構造が大きな変形をおこすが、止水工がこの変形に追従できないために閉鎖状の護岸内部空間を完全にドライな状態にできず、前記空間は滞留水が残置された状態になる。それ故に、従来技術では、閉鎖状の護岸内部は外海と通じた状態となり海水が満たされてしまうので、護岸内部に埋め立て土を投入せざるを得なかった。この場合、埋立部の沈下を抑制するため、地盤改良を施さなければならなかった。本発明の遮水技術を用いることにより、閉鎖状内部の既存海水をドライアップし、ドライワークが可能となることから、埋め立て部で陸上の土木工事と概同様な気中施工法を取ることが可能となる。また、本発明を建物の地下室等の構築に適用する時は、その地下室等は掘削を伴うことなく直接構築できる付随効果もある。その基礎工事も埋立前の旧海底地盤面にて施工可能につき、その深さ分経済的となる。
【0066】
なお、内外遮水壁構成部材には、鋼製箱形矢板、U型鋼矢板、組み合わせ鋼矢板、直線形鋼矢板、H型鋼矢板、Z形鋼矢板等を用いて単体で構成し、もしくは、これらを組合わせて構成してもよい。
【0067】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を参照して説明する。
【0068】
[第1実施形態]
図1〜図4は、第1実施形態の継手部の止水構造を適用した護岸構造を示す。この護岸構造は、廃棄物海面処分場の護岸として一般的に用いられているものと同様のものである。図2は、図1の拡大平面図であり、図3は、図2の側面図である。なお、図1において、H.W.L(high water level)は高潮位を示し、L.W.L(low water level)は低潮位を示し、C.W.L(control water level)は管理水位を示す。
【0069】
図1に示すように、左方の外海5側と右方の廃棄物処分場6側との間に、所定間隔をあけて2列に打設された鋼製矢板1によって、二重の遮水壁としての外壁(外海5側)と内壁(右方廃棄物処分場6側)の各鋼製矢板列1b,1aがそれぞれ海底下の難透水性地層や不透水性地層2に至る深さに打設されている。
【0070】
前記の難透水性地層や不透水性地層2の上には透水性地層3が存在する。鋼製矢板列1a,1bの間にあっては、透水性地層3の上に中詰土砂4が充填されている。そして、図1〜図3に示すように、外壁1b(外海5側)と内壁1a(右方廃棄物処分場6側)を構成する鋼製矢板1同士の間は継手部7を介して接合されると共に、各鋼製矢板列1b,1aの間は、鋼製矢板1の上端部に矢板列方向に延びて固定された接続部材8と、内外二重列の接続部材8間をつなぐタイロッド9とにより保持されている。
【0071】
遮水護岸の構造が図1〜図3のように二重の連続壁からなる場合は、両壁の間の壁間中空部に前述の中詰土砂4を充填する。
【0072】
また、図4は、廃棄物処分場6の処分物質に応じた、前面鋼製矢板の控え組杭式護岸構造を示す。この護岸も前記の継手部7の止水構造を適用したものである。図示のように、鋼製矢板21は不透水性地層2に達して打設されている。鋼製矢板21の左方は外海5であり、右方は廃棄物処分場6である。図中3は透水性地層である。鋼製矢板21の処分場6側には裏込石22により裏込工が施され、さらに図示のように鋼管杭またはH形鋼杭23が不透水性地層2に達して打設され、その上端部はタイロッド24を介して鋼製矢板21を保持している。
【0073】
また、図2に示すように、鋼製矢板1同士の継手部7を構成する継手部材には、スリット付きの鋼製パイプ部材10a,10bが用いられ、パイプ部材10a,10bは鉛直方向に延びて各鋼製矢板1に溶接されている。継手部7の接合時には、短いパイプ部材10aと長いパイプ部材10b(図5参照)とが、図2に示すように組み合わせられて接合される。
【0074】
図5は鋼製矢板1単体を示し、図5(a)はその側面図であり、図5(b)はその底面図である。そして、図6(a)〜(d)は短いパイプ部材10aの構造を示す拡大図であり、同様に図7(a)〜(d)は長いパイプ部材10bの拡大図である。いずれも図5(a)をベースにした拡大図である。
【0075】
図5〜図7に示すように、長短のパイプ部材10b,10aの下端部は斜めに切断され、短いパイプ部材10aの切り口は、接合相手の長いパイプ部材10bと組み合わせられるため、底板(沓)12がスリット11の部分を避けて溶接されている。一方、長いパイプ部材10bは、短いパイプ部材10aのスリット11に対応する長さにスリット11が形成されると共に、下端部の切り口は溶接された底板(沓)13により全閉されている。さらに、長いパイプ部材10bの下端部の内部には十文字状に交差した補強リブ14が溶接されている。
【0076】
このような構造により、鋼製矢板1の打設時に、パイプ部材10b内に土の浸入がなく、また下端部の変形が防止されるので、止水材15が下端部まで確実に充填され、止水性が向上する。
【0077】
前記短いパイプ部材10aと長いパイプ部材10bとの接合に際し、これらの継手部7の内表面には、必要に応じてアスファルトプライマー等の接着剤を塗布してあり、さらにその空間内に、アスファルト混合物等の瀝青材料、粘土、モルタル、コンクリート、粘土モルタル、粘性系材料等の止水材15を打設し、当該空間内に滞水している水と置換しながら充填して築造する。
【0078】
[第2実施形態]
第2実施形態を図8(a),(b)を参照して説明する。本実施形態は鋼製矢板の継手部の構成が前記第1実施形態と異なり、その他の構成は第1実施形態同様である。従って、重複する説明は省略して説明する
【0079】
図8(a)は、継手部37の構成を示す断面図である。図8(b)は、継手部37の透水試験結果を示す説明図である。
【0080】
図8(a)に示すように、鋼製矢板31同士の接合時には、一方の鋼製矢板31に脚部33aを溶接された雄側の継手部材を構成するT字状突起部33が、その脚部33aを接合相手の鋼製矢板31の雌側のパイプ部材32のスリット32aに挿入されて打接され、接合される。
【0081】
このとき、パイプ部材32と突起部33の内外閉合面、すなわち雌側のパイプ部材32の内面と雄側の突起部33の外面とに、瀝青・ゴム系接着剤、アスファルトプライマー等の接着剤34を塗布した後に、継手部37の中空部に止水材15としてのアスファルト混合物等の瀝青材料、粘土、モルタル、コンクリート、粘土モルタル、粘性系材料等の止水材を充填する。これにより、拘束力のある土中における止水性の向上はもとより、水中における止水材15のパイプ部材32およびT字状突起部33に対する接着性能が向上するので、止水性が向上する。
【0082】
図8(b)は、鋼材にアスファルトプライマーの塗布の有り無しの場合の水中におけるアスファルト混合物との接触面の透水性能比較を行った結果を示す。打ち継ぎ時およびアスファルトプライマーの塗布有りの場合には、継手部37からの流出水量は0(ゼロ)で、したがって透水係数は「不透水」であり、前記の海面廃棄物処分場等の場合の透水係数の要求値を大巾にクリアする結果が得られた。また、アスファルトプライマーの塗布無しの場合も、その透水係数は、前記海面廃棄物処分場に要求されている10−8cm/sの遮水性能をクリアする結果が得られた。
【0083】
[第3実施形態]
第3実施形態を図9を参照して説明する。本実施形態は継手部の雌側部材のスリット幅が、第2実施形態と相違する。
【0084】
図9に示すように、鋼製矢板41の継手用の雌側パイプ部材42のスリット42aの幅寸法が、接合相手側の鋼製矢板41のT字状突起部43の脚部43aの厚さよりも所定量狭く形成されている。従って、両鋼製矢板41の接合に当たり、パイプ部材42のスリット42aを突起部43の脚部43aを押し広げながら強制的に挿入される。こうして、突起部43の脚部43aはパイプ部材42により図示の矢印方向に押さえつけられて密閉度が向上している。
【0085】
そして、パイプ部材42と突起部43との間の中空部に止水材15としてのアスファルト混合物等の瀝青材料、粘土、モルタル、コンクリート、粘土モルタル、粘性系材料等の止水材を充填する。
【0086】
こうして、継手部47に隙間が生じないので、内部の密閉度が向上され、充填した止水材の漏れが無くなると共に、止水性が向上する。
【0087】
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態を図10を参照して説明する。本実施形態は継手部を構成する雌側のパイプ部材のスリット部の構成が、前記第3実施形態と相違する。
【0088】
図10では、一方の鋼製矢板51の雌側のパイプ部材52のスリット部52aの左右に、それぞれ異なる止水部材54,55を貼り付けた構造を示す。スリット部52aの左方には伸縮自在な止水部材54としてのゴム状部材が貼り付けられている。そして、スリット部52aの右方には止水部材55として塩化ビニールの帯状板材が貼り付けられている。
【0089】
両鋼製矢板51同士の接合に当たっては、左方のゴム状部材54を所定量撓ませて、雄側のT字状突起部53の脚部53aを挿入して接合させる。そして、パイプ部材52と突起部53との間の中空部に止水材15としてのアスファルト混合物等の瀝青材料、粘土、モルタル、コンクリート、粘土モルタル、粘性系材料等の止水材を充填する。
【0090】
こうして、継手部57の接合時に、雌側のパイプ部材52のスリット部52aが、強制的にはまり込んだ雄側のT字状突起部53の脚部53aを弾性的に押さえ込むので隙間が生じず、止水材の漏れが無くなり、確実な止水効果が得られる。
【0091】
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態を図11を参照して説明する。本実施形態は継手部を構成する雌側のパイプ部材のスリット部の構成が、第3実施形態と相違する。
【0092】
図11は、継手部67を構成する雌側のパイプ部材62のスリット部62aの両側に伸縮自在な部材としての塩化ビニール製のシール部材65が、断面がほぼコの字形の樋状に形成され、パイプ部材62の長手方向に延びて嵌め込まれている。そして、このシール部材65は、コイルばね64によりスリット幅を減少する方向に付勢されている。
【0093】
コイルばね64は、シール部材65の長手方向に所定の間隔をおいて凹部に配置され、シール部材65のスリット幅が広げられた場合に反発力を生じる。なお、継手部67を構成する雄側のT字状突起部63は、第3、第4実施形態(図9、図10)の43、53と同じであるので、図示を省略してある。
【0094】
このような構成により、継手部67の接合に当たっては、両側のシール部材65を押し開いて雄側のT字状突起部63の脚部63aをスリット部62aに挿入して接合させる。そして、パイプ部材62と突起部63との間の中空部に止水材としてのアスファルト混合物等の瀝青材料、粘土、モルタル、コンクリート、粘土モルタル、粘性系材料等の止水材15を充填する。
【0095】
こうして、コイルばね64の反発力により、シール部材65と突起部63の脚部63aとの間に隙間が生じないので、確実な止水効果が得られる。
【0096】
[第1〜第5実施形態のまとめ]
第1実施形態〜第5実施形態では、本発明の複数の特徴の中の一部の実施例として、鋼製矢板(鋼管矢板)1における継手部の止水構造例を示した。また、前記の各実施形態では、図1〜図3に示されるように壁間中間部に中詰土砂4が充填可能な二重壁の護岸構造例を示した。
【0097】
前記に対し、次に述べる第6〜第10実施形態では、本発明の特徴とする他の実施例として、前述の鋼製矢板1とは異なる構成の内外遮水壁構成部材71,81を用いて継手部の止水性に優れた二重壁の護岸構造例を説明する。ここで、第6〜第11実施形態で用いる内外遮水壁構成部材71、81及び内外連続壁72の用語は、図1〜図3に示す第1実施形態の2列構築された鋼管矢板列1a,1bからなる二重壁とは異なる意味で用いている。つまり、第1実施形態に対応させるならば、第1実施形態における2列の鋼管矢板列1a,1bのそれぞれが、後述の内外連続壁72で構築されることになる。
【0098】
[第6実施形態]
図12(A)は、第6実施形態として、遮水護岸壁として内外連続壁72を構成する単列の内外遮水壁構成部材71および継手部77を示す平面図、 図12(B)〜(F)は、同図(A)の継手部77の具体例を示す図、図13(a)、(b)は、内外遮水壁構成部材71の斜視図である。
【0099】
図12および図13に示すように、遮水壁としての内外遮水壁構成部材71とその継手部77は次のように構成されている。すなわち、内外遮水壁構成部材71には、その内外側の各壁面に沿って、左右に隣接する内外遮水壁構成部材71側に延びる内壁部材71aと外壁部材71bが設けられ、対向する左右の内外遮水壁部材71a,71b間は一定間隔をあけて設けられた仕切連結鋼材70で連結され、仕切連結鋼材70と内外遮水壁部材71a、71bで囲まれた内側には閉合空間部20が形成されている。
【0100】
また、隣接する内外遮水壁構成部材71側に延びる内壁部材71aと外壁部材71bの端縁同士は突き合わせ端部に備えられた嵌合継手45aからなるジョイント部45が互いに嵌合することにより列状に連結されている。こうして、連結された各継手部77は内部に箱形の空間44を有している。そして、内外遮水壁構成部材71の継手部77の空間44には、アスファルト混合物等の瀝青材料、粘土、モルタル、コンクリート、粘土モルタル、粘性系材料等の止水材15aが充填されている。なお、嵌合継手45aの具体的構造は任意でよく、例えば、図12(B)に示すP−P(パイプ−パイプ)の継手45a、同図(C)に示すP−T(パイプ−T字突起)の継手45a、同図(D)に示すL−T(角パイプ−T字突起)の継手45a、同図(E)に示すH−H(半割パイプ−半割パイプ)の継手45a、同図(F)に示すK−K(鉤手−鉤手)の継手45a等いずれでもよい。
【0101】
図13(a)の内外遮水壁構成部材71は、直線矢板に2枚の仕切連結鋼材(ダブルウェブ)70を施して構成した例を示し、図13(b)の内外遮水壁構成部材71は、角形鋼管に半割りした直線矢板を施して構成した例を示す。
【0102】
また、図14(a),(b)は、内外遮水壁構成部材71とその継手部をH形鋼矢板で構成した例を示す。この構造例は、前記箱形矢板からなる内外遮水壁構成部材71の継手部構造(図13)と同様のものである。
【0103】
第6実施形態を適用して遮水護岸を構築する場合、嵌合継手45aには、予め止水性物質が塗布されている。そのため、空間44内を掘削洗浄しながらドライアップして、そのドライ状態の空間44内にアスファルト混合物等の瀝青材料、粘土、モルタル、コンクリート、粘土モルタル、粘性系材料等の止水材15aを充填して築造できる。
【0104】
また、第6実施形態において、内外遮水壁構成部材71からなる連続壁は、単列または複数列に立設して遮水護岸を構築してよく、また、連続壁で海上が仕切られた廃棄物処分場6となる閉鎖状の内部は、ドライワークが可能となることから、廃棄物の埋め立て処分を陸上の廃棄物処分と略同様な気中施工法を取ることが可能となる。
【0105】
[第7実施形態]
第7実施形態を図15(a),(b)を参照して説明する。本実施形態はシートパイル16からなる内外遮水壁構成部材81とその継手部87の構成が第6実施形態と異若干異なるが、基本的な構成は第6実施形態と同じであるので、重複する点の説明は省略し、特に構成上相違する点を中心に説明する。
【0106】
図15(b)に斜視図で示すように、内外遮水壁構成部材81は、シートパイル16を一定間隔にて並列配置し、両シートパイル16の両フランジ17、17の間をウェブ(仕切連結鋼材)18で連結して構成されている。また、継手部87は、嵌合継手87aからなっていて、継手部表面に水膨潤性物質を塗布すると共に、さらに必要に応じて接着剤を塗布することで継手部の止水性を確保している。この内外遮水壁構成部材81の製作は、全体を一体もの型材として成形するか、シートパイル16同士をウェブ18で溶接してなるかを問わない。
【0107】
図15(a)に示すように、前記の内外遮水壁構成部材81は並列するシートパイル16同士を嵌合継手87aで嵌合することにより、列状に連結されて下端は不透水性地盤に達して打設されている。こうして、各継手部87は内部に空間44aを有している。
【0108】
そして、内外遮水壁構成部材81によって形成された嵌合継手87aを連続させた連続壁の空間44a内にアスファルト混合物等の瀝青材料、粘土、モルタル、コンクリート、粘土モルタル、粘性系材料等の止水材15aを充填して築造する。
【0109】
第7実施形態を適用して遮水護岸を構築する場合、嵌合継手87aには、予め止水性物質が塗布されているので、空間44a内を掘削洗浄しながらドライアップして、そのドライ状態の空間44a内にアスファルト混合物等の瀝青材料、粘土、モルタル、コンクリート、粘土モルタル、粘性系材料等の止水材15aを充填して築造できる。
【0110】
また、第7実施形態においても、内外遮水壁構成部材81からなる連続壁は、単列または複数列に立設して遮水護岸を構築してよく、また、連続壁で海上が仕切られた廃棄物処分場6となる閉鎖状の内部は、ドライワークが可能となることから、廃棄物の埋め立て処分場を陸上の廃棄物処分と略同様な気中施工法を取ることが可能となる。
【0111】
さらに、第7実施形態においても、シートパイル製の内外遮水壁構成部材81の外表面で大気中に露出される鋼材部分は、海水、真水からの飛来塩分や飛来水分や有害廃棄物よる厳しい腐食環境下での防食のため、ウレタンエラストマー等の有機ライニングやアスファルトプライマー等の塗装、ペトロラタムライニング、無機ライニング等を施すのがよい。また、空間44aの内面については、内外遮水壁構成部材81を打設し、空間44aをドライにした後に内面にアスファルトプライマーの防食剤を塗布し、その後止水材15aを充填してもよいし、あるいは、内外遮水壁構成部材81を打設前に、予めアスファルトプライマー等の防食剤を塗布しておき、空間44aをドライにした後に止水材15aを充填しても何れでもよい。
【0112】
[第8実施形態]
第8実施形態を図16を参照して説明する。第8実施形態は、図15に示した第7実施形態の変形例ともいうべきもので、一定間隔にて並列配置した2つのシートパイル16のそれぞれのフランジ17間が所定間隔離して配置するダブルのウェブ(仕切連結鋼材)18、18で連結され、両ウェブ18,18間に閉合空間部20を形成する点が第7実施形態と異若干異なるが、他の構成は第7実施形態と同じであるので、重複する点の説明は省略する。この第8実施形態では、密閉されている閉合空間部20内には止水材を充填しなくてよいので、その分、第7実施形態に比べて止水材の使用量が少なくてすむ。
【0113】
[第9実施形態]
第9実施形態を図17を参照して説明する。第9実施形態は、図16に示す第8実施形態の変形例ともいうべきもので、一定間隔にて並列配置した各シートパイル16のフランジ17が、各シートパイル16の一つ置きにそれぞれ交互に内側と外側になるよう配置し、各広幅と狭幅のフランジ17間が長寸と短寸のダブルのウェブ(仕切連結鋼材)18で連結された広幅型鋼矢板の例が示されている。他の構成は図16の第8実施形態と同じであるので、重複する点の説明は省略する。
【0114】
この第9実施形態でも、密閉されている閉合空間部20内には止水材を充填しなくてよいので、その分、第8実施形態に比べて止水材15aの使用量が少なくてすむと共に、広幅の連続遮水壁を構築できる。
【0115】
[第10実施形態]
第10実施形態を図18を参照して説明する。第10実施形態は、図12に示したのと同様に、内壁部材71aおよび外壁部材71bの間が、所定の間隔をあけて設けたダブルの仕切連結鋼材70で連結されてなる二重遮水壁としての内外遮水壁構成部材71の空間44に止水材15aを充填した例が示されている。この第10実施形態でも、ダブルのウェブ(仕切連結鋼材)70の間に形成された閉合空間部20内には止水材を充填しなくてよいので、その分、止水材の使用量が少なくてすむものである。
【0116】
そして、内外遮水壁構成部材71同士を接合する継手部は、既述の継手部77と同じ構成である。内外遮水壁構成部材71を設置する構造は単列に限定されるものではなく、複数列の遮水壁にも適用可能である。
【0117】
図19には、不透水性地層2に達して打設された内外遮水壁構成部材71(81)の内外連続壁71a、71bで囲繞された囲繞中空部82に、廃棄物6aを受け入れるに先立ち、囲繞中空部82を排水ポンプ19で排水しドライアップする状態を図示している。
【0118】
さらに、図19を説明すると、左方と右方の外海5を遮水壁で取囲んで仕切るように内外遮水壁構成部材71からなる内外連続壁72を海底下の難透水性地層や不透水性地層2に至る深さに打設している。
【0119】
前記の難透水性地層や不透水性地層2の上には透水性地層3が存在する。内外連続壁72の海面側には捨石マウンド26が築造されていて、捨石マウンド26上にケーソン27が据付けられている。ケーソン27と内外連続壁72の間に裏埋め土砂28が充填されていて、裏埋め土砂28の上面を閉鎖するように内外連続壁72とケーソン27の間にコンクリート製上部工29が架設されている。
【0120】
前述のようにして、閉鎖状に構築された囲繞中空部82内に排水ホース25を挿入し、囲繞中空部82内に満たされた海水を外海5など囲繞中空部82外に排水ポンプ19を用いて排水する。この場合、内外連続壁72の継手部77は止水材15による止水構造とされていて囲繞中空部82内は外部からの海水の浸入が断たれているので、囲繞中空部82内の海水を排出することで、囲繞中空部82内はドライアップされる。
【0121】
こうして、ドライアップされた中では陸上と同じ作業環境の中で、囲繞中空部82内に廃棄物を埋立て処理して人工島を構築することが可能となる。すなわち、囲繞中空部82の内部水を事前に排水ポンプで排水してドライな状態または、それに近い状態にすることにより、埋立用の土砂をドライな状態で敷き均すことができるために、廃棄物運搬の作業用仮道路も容易に築造可能となる。
【0122】
さらに従来の遮水技術では、連続壁で囲まれた囲繞中空部82は、継手部の遮水性を完璧にすることができなかったために、ドライな状態にはできなかった。そのため、既存海水中に埋め立て土を投入せざるを得なかったが、埋め立て土による沈下を抑制するためには地盤改良を施さなければならなかった。本実施形態の遮水技術を用いることにより、遮水性が完璧になり、ドライワークが可能となることから、埋め立て部で陸上の土木工事と概同様な気中施工法を取ることが可能となる。また、本発明を建物の地下室等の構築に適用する時は、その地下室等は掘削を伴うことなく直接構築できる付随効果もある。その基礎工事も埋立前に施工可能につき、その深さ分経済的となる。
【0123】
前記において、内外遮水壁構成部材71、81のドライアップ部分で大気中に露出される鋼材部分や干満帯(スプラッシュゾーン)には、海水、真水からの飛来塩分や飛来水分や有害廃棄物よる厳しい腐食環境下での防食のため、ウレタンエラストマー等の有機ライニングやアスファルト等の塗装、ペトロラタムライニング、無機ライニング等の防食を施すのがよい。また、内外連続壁が外海に面している場合には、干満帯(スプラッシュゾーン)に同様の防食を施すのが好ましい。
【0124】
また、本発明の実施形態において、鋼製矢板や内外壁鋼製部材における、継手部材の閉合部内の空間に充填される止水材として、材質、性能の異なる複数種の止水材を上下方向に複数層をなして充填しもよく、具体例として、例えば、地盤内で鋼製矢板の変形が少ない部位についてはコンクリート系の弾性的応答を示す止水材を充填し、鋼製矢板の変形が予想される部位については、変形追従性があるアスファルト混合物系の粘弾性的ないし粘性的応答を示す止水材を充填するとよい。
【0125】
更に、本発明の実施形態において、内外壁鋼製部材間の空間内に充填される止水材として、材質、性能の異なる複数種の止水材を上下方向に複数層をなして投入充填してもよく、具体例として、例えば、地盤内で鋼製矢板の変形が少ない部位についてはコンクリート系の弾性的応答を示す止水材を投入充填し、鋼製矢板の変形が予想される部位については、変形追従性があるアスファルト混合物系の粘弾性的ないしは粘性的応答を示す止水材を充填するとよい。
【0126】
【発明の効果】
本発明によると、内外遮水壁構成部材間の空間内には、当該空間内の掘削洗浄後における水との置換を介して打設されたアスファルト混合物等の瀝青材料、粘土、モルタル、コンクリート、粘土モルタル、粘性系材料等の止水材が充填されているので、止水性が向上する。また、継手部に予め止水性物質を塗布しておくことで止水性が一層向上する。すなわち、前記継手部の内表面に瀝青・ゴム系接着剤、アスファルトプライマー等の接着剤を塗布した後に、止水材を充填するので、拘束力のある土中での止水性の向上はもとより、水中における止水材の鋼材に対する接着性能が向上するので、止水性が向上する。また、鋼製矢板や内外壁鋼製部材における、継手部材の閉合部内の空間に充填される止水材として、材質、性能の異なる複数種の止水材を上下方向に複数層をなして充填するので、例えば、地盤内で鋼製矢板の変形が少ない部位についてはコンクリート系の弾性的応答を示す止水材を充填し、鋼製矢板の変形が予想される部位については、変形追従性があるアスファルト混合物系の粘弾性的ないし粘性的応答を示す止水材を充填し、場所毎の要求性能に応じた止水材を選択して充填することができ、また、内外遮水壁構成部材間に形成される空間に充填される止水材としても、材質、性能の異なる複数種の止水材を上下方向に複数層をなして充填するので、遮水性連続壁の上下方向の場所毎の要求性能に応じた止水材を選択して充填することができ、確実に止水することができる。
【0127】
さらに、継手部の接合時に、雄側継手部材が雌側継手部材のスリット幅を押し広げて嵌り込むので継手部内の密閉度が向上し、充填した止水材の漏れが無くなると共に、止水性が向上する。
【0128】
また、継手部の接合時に、雌側部材のスリット部が、強制的に嵌り込んだ雄側の継手部材を弾性的に押さえ込むので、確実な止水効果が得られる。
【0129】
また、内外遮水壁構成部材同士を嵌合接合する継手部材内の閉合空間を、これら大小の空間部に適した機具、すなわち、ウォータージェットやグラブバッケット、オーガー、エアーリフト等で掘削洗浄しながらサンドポンプ、水中ポンプ等でドライアップして、そのドライ状態の空間内にアスファルト混合物等の瀝青材料、モルタル、粘土、粘性系材料等の止水材を充填できる。
【0130】
また、内外遮水壁構成部材間の空間は、内外遮水壁構成部材同士を嵌合接合する継手部材の止水によりドライな状態とすることができるので、必要に応じて矢板表面にアスファルトプライマー等の接着剤を塗布した後で、その空間内にアスファルト混合物等の瀝青材料、モルタル、粘土等の止水材を内外遮水壁構成部材の先端まで充填でき、内外遮水壁構成部材と止水材との境界面の水路を接着剤により、強固に遮水できる高品位な遮水構造を構築できる。
【0131】
さらに本発明では、高品位な遮水性能を有する鋼製矢板とその弱点となる継手部に高品位な止水工法を用いた遮水護岸構造を用いて海面、水面部に閉鎖状の遮水護岸を構築した後、閉鎖状の護岸内部水を事前に護岸外部にポンプ等により排水してドライな状態を事前に構築しておけば有害廃棄物を護岸内部に投入しても、有害物質を含有する保有水の処理を殆どなくすることができ、保有水処理費用の大幅な軽減が可能となる。
【0132】
本発明の遮水技術を人工島の建設技術に用いることにより、ドライワークが可能となることから、埋め立て部で陸上の土木工事と概同様な気中施工法を取ることが可能となる。また、本発明を建物の地下室等の構築に適用する時は、その地下室等は掘削を伴うことなく直接構築できる付随効果もある。その基礎工事も埋立前に施工可能につき、その深さ分経済的となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態に係る護岸構造の全体説明図である。
【図2】 図1の拡大平面図である。
【図3】 図2の側面図である。
【図4】 第1実施形態に係る他の護岸構造の全体説明図である。
【図5】 (a)は第1実施形態の鋼製矢板単体の側面図であり、(b)は断面図である。
【図6】 (a)〜(d)は第1実施形態の継手部構成部材の構造説明図である。
【図7】 (a)〜(d)は第1実施形態の継手部構成部材の構造説明図である。
【図8】 (a)は第2実施形態の止水構造を示す断面図であり、(b)は同構造の止水性能の説明図である。
【図9】 第3実施形態の止水構造を示す断面図である。
【図10】 第4実施形態の止水構造を示す断面図である。
【図11】 第5実施形態の止水構造を示す断面図である。
【図12】 (A)は、第6実施形態として示す遮水護岸の内外遮水連続壁の平面図であり、(B)〜(F)は、継手形状を示す断面図である。
【図13】 (a)、(b)は、図12の内外遮水壁構成部材の斜視図である。
【図14】 (a)は内外遮水壁構成部材の継手部の構造例を示す斜視図であり、(b)は断面図である。
【図15】 (a)は第7実施形態として、二重のシートパイルを用いてなる二重護岸構造の平面図であり、(b)は同図(a)に示すシートパイル単体の斜視図である。
【図16】 第8実施形態の止水構造を示す断面図である。
【図17】 第9実施形態の止水構造を示す断面図である。
【図18】 第10実施形態の止水構造を示す断面図である。
【図19】第6〜第10のいずれかの実施形態を適用した護岸構造で廃棄物処分場または人口島と築造するに際し、連続壁で囲繞された中空部をドライアップしている状況を示す縦断面説明図である。
【図20】 (a),(b)は従来例の止水構造を示す断面図である。
【図21】 従来例の止水構造を示す説明図である。
【符号の説明】
1 鋼製矢板
1a,1b 矢板列(連続壁)
2 不透水性地層
3 透水性地層
4 中詰土砂
5 外海
6 廃棄物処分場
6a 廃棄物
7 継手部
8 接続部材
9 タイロッド
10a,10b パイプ部材
11 スリット部
12,13 底板(沓)
15,15a 止水材
16 シートパイル
17 フランジ
18 ウェブ
19 排水ポンプ
20 閉合空間
21 鋼製矢板
22 裏込石
23 H形鋼杭
24 タイロッド
25 排水ホース
26 捨石マウンド
27 ケーソン
28 裏埋め土砂
29 コンクリート製上部工
31,41,51 鋼製矢板
32,42,52,62 パイプ部材
32a,42a,52a,62a スリット部
37,47,57,67 継手部
33,43,53 突起部
33a,43a,53a 脚部
34 接着剤
44,44a 空間
45 ジョイント部
54 ゴム状部材(伸縮自在な部材)
55 止水部材
64 コイルばね
65 シール部材(伸縮自在な部材)
70 仕切連結鋼材
71,81 内外遮水壁構成部材
71a 内壁部材
71b 外壁部材
72 内外連続壁
82 囲繞中空部
87 継手部
87a 嵌合継手

Claims (31)

  1. 鋼製箱形矢板、H形鋼矢板、鋼管矢板等の鋼材を用いた鋼製矢板の継手部材の閉合部の内面に瀝青・ゴム系接着剤、アスファルトプライマー等の接着剤が塗布されていると共に、前記継手部材の閉合部内の空間が前記接着剤層を介して止水材としてのアスファルト混合物等の瀝青材料、粘土、モルタル、コンクリート、粘土モルタル、粘性系材料等の止水材で充填され、前記継手部材の閉合部内の空間に充填される止水材は、材質、性能の異なる複数種の止水材が上下方向に複数層をなして充填されていることを特徴とする鋼製矢板継手部の止水構造。
  2. 継手部材の閉合部の密閉度向上のため、雌側の継手部材のスリット幅が雄側の継手部材寸法より狭く、雄側の継手部材が当該スリット部に強制的に挿入されることで雌側の継手部材に残留応力が付与されていることを特徴とする請求項1に記載の鋼製矢板継手部の止水構造。
  3. 継手部材の閉合部の密閉度向上のため、雌側の継手部材のスリット部もしくは、雌側継手部材のスリット部と接合する雄側継手部材もしくは、雌側、雄側相方の継手接合部のスリット部に伸縮自在な部材を設置し、雄側の継手部材が前記スリット部に強制的に挿入されることで雌側の継手部材に残留応力が付与されていることを特徴とする請求項1に記載の鋼製矢板継手部の止水構造。
  4. 前記上下方向に複数層をなして充填される止水材として、地盤内で鋼製矢板の変形が少ない部位については、モルタル、コンクリート等の弾性的応答を示す止水材が充填され、鋼製矢板の変形が予想される部位については、変形追従性があるアスファルト混合物等の瀝青材料、粘土、粘土モルタル、粘性系材料等の粘弾性的ないし粘性的応答を示す止水材が充填されていることを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載の鋼製矢板継手部の止水構造。
  5. 継手部材の先端部に、閉塞手段を取り付けて鋼製矢板打設時の継手部材の変形を防止すると共に継手部材の先端まで空間を確保し、当該先端まで前記止水材が充填可能なことを特徴とする請求項1ないしの何れか1項に記載の鋼製矢板継手部の止水構造。
  6. 前記閉塞手段は、十字リブのごとき補強材および沓で構成されることを特徴とする請求項に記載の鋼製矢板継手部の止水構造。
  7. 鋼製箱形矢板、H形鋼矢板、鋼管矢板等の不透水材料である鋼材を用いた鋼製矢板同士を、継手部材を介して接合して不透水性地層に打設して構築する遮水性連続壁用の鋼製矢板継手部止水構造の構築方法であって、前記鋼製矢板には、雌側のスリット幅が雄側の継手部材寸法より狭い継手部材を有する鋼製矢板、または雌側のスリット部、雌側のスリット部と接合する雄側継手部材、もしくはこれら雌側スリット部、雄側継手部材の相方に、伸縮自在な部材を設置した継手部材を有する鋼製矢板であって、該継手部材の閉合部の内面に瀝青・ゴム系接着剤、アスファルトプライマー等の接着剤が塗布されている鋼製矢板を用いることで、該鋼製矢板の打設に際し、雄側継手部材と雌側スリット部とを強制的に挿入嵌合しながら密閉度の高い継手部材の閉合部を構築し、該打設完了後、密閉された継手部材の閉合部空間を掘削洗浄した後、該空間をドライアップした状態で、該空間にアスファルト混合物等の瀝青材料、粘土、モルタル、コンクリート、粘土モルタル、粘性系材料等の止水材を充填して構築することを特徴とする鋼製矢板継手部止水構造の構築方法。
  8. 前記止水材を充填する前の前記閉合部空間の状態を、前記ドライアップした状態に代えて、該空間に滞水している海水または濁度の高い真水を濁度の低い真水に置換した後のウェット状態として、該空間に滞水している真水と置換しながら、該空間に前記止水材を充填して構築することを特徴とする請求項に記載の鋼製矢板継手部止水構造の構築方法。
  9. 材質、性能の異なる複数種の止水材の中から、前記継手部材の上下方向の場所毎の要求特性に応じた止水材を選択して充填することで、継手部材の閉合部内の空間に上下方向で材質、性能の異なる複数種の止水材層を形成することを特徴とする請求項またはに記載の鋼製矢板継手部止水構造の構築方法。
  10. 前記上下方向に複数層をなして充填される止水材として、地盤内で鋼製矢板の変形が少ない部位については、モルタル、コンクリート等の弾性的応答を示す止水材を選択し、鋼製矢板の変形が予想される部位については、変形追従性があるアスファルト混合物等の瀝青材料、粘土、粘土モルタル、粘性系材料等の粘弾性的ないし粘性的応答を示す止水材を選択することを特徴とする請求項に記載の鋼製矢板継手部止水構造の構築方法。
  11. 前記継手部材の先端部に、閉塞手段を取り付けて前記鋼製矢板打設時の該継手部材の変形を防止すると共に該継手部材の先端まで空間を確保して、該先端まで前記止水材を充填可能にすることを特徴とする請求項ないし10の何れか1項に記載の鋼製矢板継手部止水構造の構築方法。
  12. 前記閉塞手段は、十字リブのごとき補強材および沓で構成されることを特徴とする請求項11に記載の鋼製矢板継手部止水構造の構築方法。
  13. 不透水材料の鋼材を所定間隔をあけて平行ないし略平行に複数列配置して端部に継手部材を有する複数列の内外遮水壁間を仕切連結鋼材で連結して内外遮水壁構成部材(鋼製矢板)を構成し、内外遮水壁構成部材同士を継手部材を介して接合して不透水性地層に打設して構築する遮水護岸用の閉鎖状連続壁であって、前記継手部材を介して隣接する内外遮水壁構成部材間に形成される空間に、アスファルト混合物等の瀝青材料、粘土、モルタル、コンクリート、粘土モルタル、粘性系材料等の止水材が充填され、前記内外遮水壁構成部材間の空間内に充填される止水材として、材質、性能の異なる複数種の止水材が上下方向に複数層をなして充填されていることを特徴とする遮水性連続壁。
  14. 前記継手部材を介して隣接する内外遮水壁構成部材間に形成される空間の鋼材内表面と該空間に充填されている前記止水材との間に、瀝青・ゴム系接着剤、アスファルトプライマー等の接着剤層が形成されていることを特徴とする請求項13に記載の遮水性連続壁。
  15. 前記内外遮水壁構成部材同士を接合する継手部材内の閉合空間に水膨潤性止水材が充填されていることを特徴とする請求項13または14に記載の遮水性連続壁。
  16. 前記内外遮水壁構成部材同士を接合する継手部が、請求項1ないしの何れか1項に記載の鋼製矢板の継手部の止水構造を有することを特徴とする請求項13または14に記載の遮水性連続壁。
  17. 前記内外遮水壁構成部材間の空間内で前記上下方向に複数層をなして充填される止水材として、地盤内で内外遮水壁構成部材の変形が少ない部位については、モルタル、コンクリート等の弾性的応答を示す止水材が充填され、内外遮水壁構成部材の変形が予想される部位については、変形追従性があるアスファルト混合物等の瀝青材料、粘土、粘土モルタル、粘性系材料等の粘弾性的ないし粘性的応答を示す止水材が充填されていることを特徴とする請求項13〜16のいずれか1項に記載の遮水性連続壁。
  18. 不透水材料の鋼材を所定間隔をあけて平行ないし略平行に複数列配置して、端部に継手部材を有する複数列の内外遮水壁の間を仕切連結鋼材で連結してなる内外遮水壁構成部材(鋼製矢板)を、継手部材を介して接合しながら不透水性地層に打設する遮水護岸用の閉鎖状連続壁の構築方法であって、前記継手部材を介して隣接する内外遮水壁構成部材間に形成される空間を掘削洗浄し、その後に、該空間に滞水している海水または濁度の高い真水を濁度の低い真水に置換した後、該空間に滞水している水と置換しながら、該空間に、アスファルト混合物等の瀝青材料、粘土、モルタル、コンクリート、粘土モルタル、粘性系材料等の止水材を充填して築造する遮水性連続壁の構築方法において、材質、性能の異なる複数種の止水材の中から、前記遮水性連続壁の上下方向の場所毎の要求特性に応じた止水材を選択して、前記隣接する内外遮水壁構成部材間に形成される空間に充填することで、該空間に上下方向で材質、性能の異なる複数種の止水材層を形成することを特徴とする遮水性連続壁の構築方法。
  19. 前記内外遮水壁構成部材間に形成される空間に滞水している水と置換しながら止水材を充填するのに代えて、前記掘削洗浄後の空間を強制排水してほぼドライ状態とし、このドライ状態の空間に、前記止水材を充填して築造することを特徴とする請求項18に記載の遮水性連続壁の構築方法。
  20. 前記内外遮水壁構成部材として、継手部材を介して隣接する該部材間に形成される空間の該部材内面に、瀝青・ゴム系接着剤、アスファルトプライマー等の接着剤が予め塗布されている内外遮水壁構成部材(鋼製矢板)を用いることを特徴とする請求項18または19に記載の遮水性連続壁の構築方法。
  21. 前記内外遮水壁構成部材として、該部材同士を接合する継手部材の閉合部内に予め水膨潤性止水材を塗布もしくは注入充填した内外遮水壁構成部材(鋼製矢板)を用いることを特徴とする請求項18〜20の何れか1項に記載の遮水性連続壁の構築方法。
  22. 不透水材料の鋼材を所定間隔をあけて平行ないし略平行に複数列配置して、端部に継手部材を有する複数列の内外遮水壁の間を仕切連結鋼材で連結してなる内外遮水壁構成部材(鋼製矢板)を、継手部材を介して接合しながら不透水性地層に打設する遮水護岸用の閉鎖状連続壁の構築方法であって、前記内外遮水壁構成部材として、該内外遮水壁構成部材同士を接合する継手部材の閉合部内に予め水膨潤性止水材を塗布もしくは注入充填した内外遮水壁構成部材(鋼製矢板)を打設しながら、該内外遮水壁構成部材(鋼製矢板)の継手部止水構造を構築した後、該継手部を介して隣接する内外遮水壁構成部材間に形成される空間内を掘削洗浄し、その後、該空間をドライアップして、そのドライ状態の空間の内面に瀝青・ゴム系接着剤、アスファルトプライマー等の接着剤を塗布した後、アスファルト混合物等の瀝青材料、粘土、モルタル、コンクリート、粘土モルタル、粘性系材料等の止水材を充填して築造することを特徴とする遮水性連続壁の構築方法。
  23. 前記水膨潤性止水材による内外遮水壁構成部材(鋼製矢板)の継手部止水構造の構築に代えて、請求項ないし請求項12の何れか1項に記載の鋼製矢板継手部止水構造の構築方法を用いて構築することを特徴とする請求項21または22に記載の遮水性連続壁の構築方法。
  24. 材質、性能の異なる複数種の止水材の中から、前記遮水性連続壁の上下方向の場所毎の要求特性に応じた止水材を選択して、前記隣接する内外遮水壁構成部材間に形成される空間に充填することで、該空間に上下方向で材質、性能の異なる複数種の止水材層を形成することを特徴とする請求項22または23に記載の遮水性連続壁の構築方法。
  25. 前記上下方向に複数層をなして充填される止水材として、地盤内で鋼製矢板の変形が少ない部位については、モルタル、コンクリート等の弾性的応答を示す止水材を選択し、鋼製矢板の変形が予想される部位については、変形追従性があるアスファルト混合物等の瀝青材料、粘土、粘土モルタル、粘性系材料等の粘弾性的ないし粘性的応答を示す止水材を選択することを特徴とする請求項20ないし23のいずれか1項に記載の遮水性連続壁の構築方法。
  26. 海面ないし水面に設けられる廃棄物海・水面埋立処分場であって、該処分場は、請求項13ないし17の何れか1項に記載の遮水性連続壁を有する遮水護岸が海面ないし水面部に閉鎖状に築造されていると共に、廃棄物をその閉鎖部内に投入した際に発生する保有水を発生させない、または、発生し難いようにするため、閉鎖状の前記遮水護岸の内部が、内部水が排水されてドライな状態またはそれに近い状態にされていることを特徴とする海面ないし水面における廃棄物海・水面埋立処分場。
  27. 海面ないし水面における人工島であって、該人工島は、請求項13ないし17の何れか1項に記載の遮水性連続壁を有する遮水護岸が、海面ないし水面部に閉鎖状に築造されていると共に、埋立部分の圧密沈下を抑制し、かつ構造物の基礎を、埋立後再度掘削することなく築造するため、閉鎖状の前記遮水護岸の内部が、内部水が排水されることでドライな状態またはそれに近い状態にされていると共に、埋立用の土砂がドライな状態で敷き均されていることを特徴とする海面ないし水面における人工島。
  28. 請求項13ないし17の何れか1項に記載の遮水性連続壁を有する遮水護岸であって、ドライアップされ大気中に露出される部分、干満帯(スプラッシュゾーン)等を含めた遮水性連続壁の鋼材表面に、ウレタンエラストマー等の有機ライニング、アスファルト等の塗装、ペトロラタムライニング、無機ライニング等の1種または2種以上の防食被覆層を有することを特徴とする遮水護岸。
  29. 請求項18ないし25の何れか1項に記載の方法で構築した遮水性連続壁を用いた遮水護岸を海面ないし水面部に閉鎖状に築造し、閉鎖状の該遮水護岸の内部を排水してドライな状態またはそれに近い状態にすることにより、廃棄物をその閉鎖部内に投入した際に発生する保有水を発生させない、または、発生し難いことを特徴とする海面ないし水面における廃棄物海・水面埋立処分場の構築方法。
  30. 請求項18ないし25の何れか1項に記載の方法で構築した遮水性連続壁を用いた遮水護岸を海面ないし水面部に閉鎖状に築造し、閉鎖状の該遮水護岸の内部を排水してドライな状態またはそれに近い状態にすることにより、埋立用の土砂をドライな状態で敷き均し、埋立部分の圧密沈下を抑制するとともに、構造物の基礎を、埋立後再度掘削することなく築造することを特徴とする海面ないし水面における人工島の構築方法。
  31. 請求項18ないし25の何れか1項に記載の方法で構築した遮水性連続壁を用いた遮水護岸の防食方法であって、鋼材表面にウレタンエラストマー等の有機ライニング、アスファルト等の塗布、ペトロラタムライニング、無機ライニング等の1種または2種以上の防食被覆層を予め施した鋼製矢板を用いるか、または、前記遮水護岸を海面ないし水面部に閉鎖状に築造し、閉鎖状の該遮水護岸の内部を排水してドライな状態またはそれに近い状態にして、そのドライアップされ大気中に露出される部分、干満帯(スプラッシュゾーン)等を含めた遮水性連続壁の鋼材部分に、ウレタンエラストマー等の有機ライニング、アスファルト等の塗装、ペトロラタムライニング、無機ライニング等の1種または2種以上の防食被覆層を施すことを特徴とする遮水護岸の防食方法。
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