JP3664166B2 - 鋼製壁の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、海面または水面廃棄物処分場計画等、主として水底地盤等の水量が多く、遮水を必要とする個所に用いる鋼製壁の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、従来の廃棄物処分場等における遮水方法として鋼矢板壁を用いる場合、鋼矢板打設前に継手部に膨潤性止水材を所定量塗布し、打設後に該止水材が海水等で膨潤することを利用して遮水する方法がある。
【0003】
また、特許文献1には「止水壁」として、図10に示すように複数のU字型鋼矢板61の継手62を溶接により一体化した止水壁構成体63を形成し、複数の止水壁構成体63を、その側端縁の継手64どうしを嵌合させながら地盤中に連設するとともに、互いに隣接する止水壁構成体63どうしの継手64の周囲に地盤改良65を施したものが記載されている。
【0004】
この他、特許文献2には、「鋼管柱列による止水壁の構築方法」として、図11に示すように鋼管矢板71の継手の一方である雌継手材73を、一対の翼部74,75のうちの一方の翼部75に外方に延出する裾部75aを設けたものとし、この鋼管矢板71を多数、互いに雄継手材72と雌継手材73を嵌め合せて連結し、鋼管矢板壁を形成した後、建造物の構築側となる片側の地盤を掘削して継手部を露出させ、雌継手材73の裾部75aの先端を、相手方の鋼管矢板71の鋼管本体の外側面に溶接76により水密に固着する方法が記載されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−026925号公報
【特許文献2】
特開平7−324329号公報
【特許文献3】
特開平1−168766公報
【特許文献4】
特開平1−280122号公報
【特許文献5】
特開2000−192451号公報
【特許文献6】
特開2000−073361号公報
【特許文献7】
特開2001−214435号公報
【特許文献8】
特開2002−146772号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
膨潤性止水材を用いる方法は、膨潤性止水材自身の環境安全性や耐久性が問われるとともに、鋼矢板等への塗布や据付け時から鋼矢板等の打設までの期間が長い場合に、止水材が雨や結露、湿気等で膨潤し、鋼矢板等の打設に手間がかかったり、鋼矢板打設時に止水材が剥がれたり、熱によって炭化する等の恐れがあり、形成された遮水壁の止水性を確認する必要が生じる。
【0007】
その際、例えば廃棄物処分場側から遮水壁外側に水が流出しているかどうかを検査する必要が生じたり、止水が不十分な部分については止水性を確保するために漏出部周囲の地盤改良を行う等の必要が生じ、工費・工期が増加する他、漏出の不安感が拭い切れないといった問題がある。
【0008】
しかも、U型鋼矢板等の場合は、止水材が連続鋼矢板壁の断面中立軸に位置するため、施工途中、止水材に波浪外力によるずれせん断力による繰返しずれが生じ、止水材を破損する恐れがある。
【0009】
また、特許文献1記載の発明では、一体化した止水壁構成体63の重量に見合う重機や治具の選定に加え、止水壁構成体63の継手64付近の地盤改良65による止水の確保と、地盤改良65に用いる材料の環境安全性の確保が必要である。
【0010】
一方、特許文献2記載の発明では、継手部について溶接を用いているが、建造物に対する止水、すなわち地盤の地下水の止水であることから、廃棄物処分場等に対する止水とは異なり、止水性の程度は通常建造物側に設けられる排水施設と見合う程度でよく、本願発明の意図するより高い遮水性およびフェイルセーフ機能を求めたものとは異なる。
【0011】
また、特許文献2記載の発明では、特殊な形状の雌継手材73を用いるため、打設時に雌継手材73が変形する恐れがあり、掘削地盤中の地下水等で湿潤状態あるいは水中状態にある露出継手部の鉛直溶接の確実性が疑問である。また、これらの方法では自動溶接機が使用できない。
【0012】
本願発明は、上述のような従来技術における課題の解決を図ったものであり、二重壁構造の鋼製壁の利用により鋼製矢板壁の継手部の自動溶接が可能な空間を形成し、止水性の高い鋼製壁を効率よく安価に形成させることができる鋼製壁の製造方法を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本願の請求項1に係る鋼製壁の製造方法は、継手を有する鋼材を、継手どうしを嵌合させながら打設して内側に閉領域を有する二重壁構造の鋼製壁を形成し、次いで該閉領域内の土砂および/または水分を除去した後、前記継手部を該二重壁構造の鋼製壁の内部閉空間を利用して内側から自動溶接し、該閉領域内への水の浸入を阻止することを継手を有する鋼材を、継手どうしを嵌合させながら打設して内側に閉領域を有する二重壁構造の鋼製壁を形成し、次いで該閉領域内の土砂および/または水分を除去した後、該鋼製壁の継手部を自動溶接することを特徴とするものである。
【0014】
二重壁構造の鋼製壁を形成する継手を有する鋼材としては、いわゆるボックス型鋼矢板等があり、内側および外側の継手の嵌合によりその間に閉領域が形成される。
【0015】
また、ボックス型鋼矢板についても直線型鋼矢板を二重に配して仕切壁を設けた直線鋼矢板タイプ、H形鋼矢板や、Z形鋼矢板、U型鋼矢板あるいは横断面形状を同一方向にそろえて直線状に結合可能とし非対称U型鋼矢板を内外2重に配したもの、あるいはこれらと仕切壁を構成する鋼板またはH形鋼やT形鋼などの形鋼を組み合わせてボックス状に構成したものなどがあり、内側に閉領域を有する二重壁構造の鋼製壁を形成できるものであれば特に限定されない。
【0016】
二重壁構造、あるいはックス型とした理由は、二重壁内での自動溶接を実施しやすいことに加え、二重壁内で廃棄物処分場等からの水の漏出の検査が可能であること、万一漏出していても再溶接や二重壁内への止水材の充填が容易であることなどが挙げられ、これらが施工進捗に追随するフェイルセーフになっている。
【0017】
鋼矢板の型式により二重壁の形状は異なるが、形成される二重壁内の水等の除去時点で鋼製壁の継手部および二重壁底面からの浸出水の状態が判明し、それによって自動溶接の可否判断も可能となる。
【0018】
具体的には、水域に施工される鋼製壁の場合、鋼材の打設により二重壁構造の鋼製壁を形成し、二重壁内に設置したポンプ等で排水を行い、継手部あるいは二重壁底面からの水の浸入が十分に少ない状態、例えば付着した水分および流入する水分量が溶接のアーク熱量によって蒸発する程度、あるいはそれ以下の量であれば、自動溶接を行うことができる。また、溶接部からの漏水を視認またはカメラ等で確認し、必要であればその場で補修する。
【0019】
なお、本願発明における閉領域は、水中等であればポンプ等で排水するだけでよいが、沼地などでは土砂も除去したり、必要に応じて継手部の溶接する個所を洗浄する。
【0020】
継手部の洗浄は、溶接を可能とし、さらに溶接の品質を確保するために行われるものであり、水ジェットあるいはエアー等の高圧噴射等が効率的である。
【0021】
継手部の自動溶接は、例えば自動溶接用のガイドを鋼矢板に磁石で取り付ける等して通常の方法により行うことができる。
【0022】
本願発明において、所要の肉厚と溶着部長が確保できる溶接速度は、例えばCO2 ガスをシールドガスとしたMAG溶接では10〜20cm/分前後、プラズマ溶接ではこの倍程度を採用することができ、長時間にわたりほとんど同程度の品質の溶接が簡易なセッティングで可能である。従って、溶接工の溶接作業に比べ、均質かつ能率のよい溶接ができ、鋼矢板を用いる廃棄物処分場等、溶接延長が長いほど、溶接コストを低減することができる。
【0023】
なお、継手溶接部の性能に関しては、予め湿潤状態にした非対称継手を有する鋼矢板を用い、溶接間隔と速度を変化させて継手部の自動溶接を試み、その溶接部を切断計測することにより溶接肉厚および溶着部を検討した結果、継手が湿潤状態であっても、自動溶接によって十分な溶接肉厚と溶着部を得られることが判明した。
【0024】
溶接対象となる継手部が確実に止水できているかどうかは、例えば自動溶接機にカメラを取り付けておけば、溶接直後に確認することができる。
【0025】
さらに溶接については、溶接工による溶接では足場や休憩が必要であり、かつ溶接自体が下向き溶接に比べ困難な鉛直方向溶接(横向き溶接)である。本願発明では、溶接を自動溶接とすることで、溶接工が作業する場合に比べて作業領域を大きく確保することがない上に、閉領域内の土砂および/または水分を除去して溶接するので、水中溶接用の特別な機器や技能を必要とせず、溶接品質の均一性を保つことができる。
【0026】
すなわち、本願発明は材料面での環境安全性を満たし、かつ打設施工追従型のフェイルセーフ機能を有する遮水鋼製壁の製造方法となっている。
【0027】
請求項2は、請求項1に係る鋼製壁の製造方法において、前記継手部の外側または継手嵌合部内に、該継手部に密着して継手どうしの間隙を塞ぐための継手長手方向に連続する止水用長尺部材を設置した状態で自動溶接することを特徴とするものである。
【0028】
すなわち、継手部からの漏水が多く、そのままでは自動溶接が困難な場合等において、継手部からの漏水を低減し、自動溶接を可能にするものである。
【0029】
具体的には、長尺部材として溶接の対象となる継手嵌合部の間隙に入り得る小径の樹脂製の棒状部材、管、あるいは金属丸棒等を挿入しておくか、あるいは継手の外側に薄板、融点の高い樹脂シート等を設置する。
【0030】
その状態で鋼製二重壁内の水をポンプアップして排水すれば、内外の水圧差により長尺部材を継手部の間隙に密着させ、止水効果を得ることができる。それにより、漏水量が減少し自動溶接が容易となる。
【0031】
請求項3は、請求項1または2に係る鋼製壁の製造方法において、前記閉領域内に存在する遮水層より上部の土砂および/または水分を除去し、水底面下まで自動溶接することを特徴とするものである。
【0032】
例えば、海面廃棄物処分場の海底地盤中に遮水層が存在する場合において、海中部分は遮水できたとしても、海底地盤の粘土層等の遮水層より上の層では止水が不十分となる場合が考えられ、その場合には遮水層より上部の土砂等を除去し、また、できれば遮水層も一部除去して自動溶接することで、海底部分についても止水性を確保することができる。
【0033】
具体的には水ジェットや掘削機等で遮水層までの地盤を余分に掘削し、サンドポンプ等で土砂とともに排水を行い、上述したように対象継手部を自動溶接で遮水する。
【0034】
その後は、再度、下側が遮水層となるようにして埋め戻すことで、排土処理が不要となるが、サンドポンプ等で排水した水を台船上や仮設足場上で濾過して細粒分と粗粒分に分け、必要により止水材を投入した後に、これらを細粒分、粗粒分の順で鋼製二重壁内に埋め戻せば、鋼製二重壁内底面からの透水係数を小さくすることができ、より信頼性の高い遮水構造が得られる。
【0035】
【発明の実施の形態】
図1は継手を有する鋼材としてボックス型鋼矢板を用い、海水域に適用した場合の本願発明の施工手順の一例をフローチャートとして示したもので、以下の手順で作業が行われる(河川、湖沼などの場合も同様である)。
【0036】
鋼矢板打設機器の施工能力、使用台数に応じて、完成遮水鋼製壁のいずれかの部位からボックス型鋼矢板による二重壁構造の鋼製壁(鋼矢板二重壁)の構築を開始する(図1▲1▼)。
【0037】
次いで、このボックス型鋼矢板によって仕切られる二重壁の各閉領域について、ポンプ等で内部の海水を排水する(図1▲2▼)。
【0038】
閉領域への漏水が少ないことを確認してボックス型鋼矢板どうしの継手部を自動溶接機により溶接する(図1▲3▼)。
【0039】
以上が、本願発明の製造方法における基本手順である。なお、鋼矢板継手部もしくは鋼矢板二重壁の底面地盤からの漏水量が多い場合は、前述したように継手部の外側または継手嵌合部内に継手どうしの間隙を塞ぐための長尺部材を設置するなどの漏水流入対策を施す。
【0040】
また、海底地盤の土層構成、すなわち砂層や遮水層となる粘土層の位置、厚さ、性状によっては、鋼矢板二重壁の底面土砂の掘削除去を行い(図1▲4▼)、継手部を洗浄した後に(図1▲5▼)、自動溶接機をセットし(図1▲6▼)、基本手順の図1▲2▼の排水後、自動溶接を行う(図1▲7▼)。
【0041】
図2は本願発明における鋼製壁を構成する鋼材として、直線型鋼矢板を二重に配したボックス型鋼矢板1を用いた場合の一実施形態を示したものである。
【0042】
図2に示したボックス型鋼矢板1は平行な2本のフランジ部1aをウェブ部1bでつないだ略H形断面の鋼材であり、個々のフランジ部1aは両端に互いに嵌合する継手2a,2bを有する直線型鋼矢板1aの形態を有している。
【0043】
隣接するボックス型鋼矢板1について、平行な2本のフランジ部1aの両端の継手2a,2bを嵌合させながらを順次接続して行くことにより、内側に閉空間Bを有する2重壁構造の鋼製壁Aが形成されて行く。
【0044】
水域での施工においては、通常、閉空間Bがほぼ水で満たされ、その下部は水底地盤の土砂に根入れされた状態となる。
【0045】
その状態で、ポンプ等で閉空間Bの内側の水を排水し、閉空間Bを利用して継手2a,2bの嵌合による継手部2を内側から自動溶接機により溶接し、この溶接により継手部2における止水性を確保する。
【0046】
水底面側から水が浸出してくる場合には、水底面について所定深さまで土砂を水ジェットあるいは掘削機などにより除去し、その部分の継手部2の自動溶接をおこなった後、根入れ部分の土砂の埋め戻しを行う。
【0047】
なお、前述したように、継手部2の溶接に関しては、付着した水分および流入する水分量が溶接のアーク熱量によって蒸発する程度、あるいはそれ以下の量であれば、自動溶接を行うことができ、漏水が問題となる場合には、継手部2の再溶接を行ったり、他の漏水対策を施す必要がある。
【0048】
図6〜図8はそのような漏水対策の一例として、本願の請求項2に係る実施形態を示したものである。
【0049】
図6は、継手2a,2bの嵌合による継手部2の外側(鋼製壁Aが外部から内側より高い水圧あるいは土圧を受ける側)に、可撓性を有するシート状の合成樹脂からなり、継手部の長手方向に連続する長尺部材41を設置した場合である。
【0050】
二重壁の内側の水および/または土砂が排出されると、二重壁の外側の水圧あるいは土圧が内側より高くなるため、長尺部材41は継手2a,2b間の間隙に吸い込まれるような形で継手部2に密着し、その部分では二重壁の外側から内側への水の流れを完全に遮断することができる。
【0051】
図7、図8は継手部2の外側ではなく、互いに嵌合させた継手2a,2bの嵌合部内に、樹脂製の棒状部材、管、あるいは金属丸棒等の長尺部材42を嵌入させた場合である。
【0052】
長尺部材42は、嵌入の際はその径より大きい間隙に挿入され、その状態で二重壁の内側の水および/または土砂が排出されると、二重壁の外側の水圧あるいは土圧が内側より高くなるため、長尺部材42は二重壁の内側へ向かって吸い込まれるような形で、継手2a,2bの間隙の幅が小さくなる部分に密着し、その部分では二重壁の外側から内側への水の流れを遮断することができる。
【0053】
なお、長尺部材42が可撓性を有する材料、あるいは弾性の大きい材料ほど密着度が増し、より完全に近い遮水が可能となるが、自動溶接に影響のない程度であれはわずかな漏水は許容される。
【0054】
図3は本願発明における鋼製壁を構成する鋼材として、非対称U型鋼矢板を二重に配したボックス型鋼矢板を用いた場合の一実施形態を示したものである。
【0055】
図3に示したボックス型鋼矢板11は、両端の継手2a,2bの形状が左右非対称で、横断面形状を同一方向にそろえて直線状に結合可能とし、両端の継手部2の近傍に打設法線と同方向となるフラット部を有し、互いに係合する鉤状の継手2a,2bの一方が内向き、他方が外向きに形成された両端に継手2a,2bを有する非対称U型鋼矢板を2枚背中合わせに配置し、溶接で一体化した形態を有している。
【0056】
隣接するボックス型鋼矢板11について、両端の継手2a,2bを嵌合させながらを順次接続して行くことにより、内側に閉空間Bを有する2重壁構造の鋼製壁Aが形成されて行く。
【0057】
閉空間B内の土砂およびまたは水の排出や自動溶接、漏水対策は、図2の実施形態の場合と同様である。
【0058】
図4は本願発明における鋼製壁を構成する鋼材として、非対称U型鋼矢板を二重に配したボックス型鋼矢板21を用いた場合の他の実施形態を示したものである。
【0059】
図3のボックス型鋼矢板11は、非対称U型鋼矢板を2枚背中合わせに配置し、溶接で一体化したものであるのに対し、図4のボックス型鋼矢板21は2枚背中合わせに配置した非対称U型鋼矢板間に連結鋼材4としてH形鋼を溶接して一体化することで、断面剛性を高めたものである。
【0060】
すなわち、非対称U型鋼矢板どうしを連結する鋼材の長さを大きくすることで断面剛性が高くでき、連結鋼材4としてH形鋼を用いることでねじれ剛性が高くなり、溶接ひずみの発生が小さくて済み、製作が容易となる。
【0061】
また、図2〜図4の実施形態において、複数のボックス型鋼矢板を予め陸上で溶接してユニットを形成し、それらを打設して接続することもできる。
【0062】
図5は本願発明における鋼製壁を構成する鋼材として、通常のU型鋼矢板31を用いた場合の一実施形態を示したもので、この例では鋼材自体はボックス型ではないが、U型鋼矢板31によって形成される鋼製壁を二重に配置することで二重壁構造とし、内側に閉領域Bを形成している。
【0063】
この場合も、継手部32の数が多くなるため、施工性を高めるためには、予め複数のU型鋼矢板31を陸上で溶接した後に、打設することが考えられる。
【0064】
図9は、請求項2に係る長尺部材による止水構造を、鋼管矢板等に用いられる継手型式であるP−T型継手7、すなわち切欠きを有する管状の雌継手7aにT字型の雄継手7bを嵌合するようにした継手に適用した場合の3つの実施形態をまとめて示したものである。
【0065】
シート状の長尺部材41、棒状の長尺部材42の用い方および止水の原理は、図6〜図8の場合と同様である。また、これらの各図において、棒状の長尺部材を継手部の外側に用いることもでき、またシート状の長尺部材を継手嵌合部内に用いることもできる。
【0066】
【発明の効果】
本願発明は、継手を有する鋼材どうしの接続によって形成される二重壁構造の鋼製壁の内部閉空間を利用して、継手部の自動溶接を行うものであり、均質な溶接を効率よく安価に行うことができ、完成した鋼製壁についても遮水壁として高い信頼性が期待できる。
【0067】
また、溶接後の漏水をチェックすることで、必要に応じ即座に再溶接を行うことができ、また廃棄処理場等において流出する有害物質については二重壁内での水質検査が可能で、万一漏水があった場合には二重壁内に止水材を充填して対処できる等、フェイルセイフ機能を有する。
【0068】
請求項2に係る発明では、継手部近傍または継手部内に配置した長尺部材により、さらに高い止水性を効率よく安価に得ることができる。
【0069】
請求項3に係る発明では、海底部分の止水性も十分に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 継手を有する鋼材としてボックス型鋼矢板を用い、海水域に適用した場合の本願発明の施工手順の一例をフローチャートとして示した図である。
【図2】 本願発明における鋼製壁を構成する鋼材として、直線型鋼矢板を二重に配したボックス型鋼矢板を用いた場合の一実施形態を示す平面図である。
【図3】 本願発明における鋼製壁を構成する鋼材として、非対称U型鋼矢板を二重に配したボックス型鋼矢板を用いた場合の一実施形態を示す平面図である。
【図4】 本願発明における鋼製壁を構成する鋼材として、非対称U型鋼矢板を二重に配したボックス型鋼矢板を用いた場合の他の実施形態を示す平面図である。
【図5】 本願発明における鋼製壁を構成する鋼材として、U型鋼矢板を二重に配した場合の一実施形態を示す平面図である。
【図6】 請求項2に係るシート状の長尺部材を継手部外側に設置して止水性を高める場合の一実施形態を示す平面図である。
【図7】 請求項2に係る棒状の長尺部材を継手嵌合部内に設置して止水性を高める場合の一実施形態を示す平面図である。
【図8】 棒状の長尺部材を継手嵌合部内に設置して止水性を高める場合の他の実施形態を示す平面図である。
【図9】 請求項2に係る長尺部材をP−T型の継手に適用した場合の3つの実施形態をまとめて示した平面図である。
【図10】 従来例としての特許文献1における遮水構造を示す水平断面図である。
【図11】 従来例としての特許文献2における遮水構造を示す平面図である。
【符号の説明】
A…鋼製壁、B……閉領域、
1…ボックス型鋼矢板、1a…フランジ部、1b…ウェブ部、2…継手部、2a,2b…継手、4…連結鋼材、7…継手部、7a,7b…継手、11…ボックス型鋼矢板、21…ボックス型鋼矢板、31…U型鋼矢板、41…シート状の長尺部材、42…棒状の長尺部材

Claims (3)

  1. 継手を有する鋼材を、継手どうしを嵌合させながら打設して内側に閉領域を有する二重壁構造の鋼製壁を形成し、次いで該閉領域内の土砂および/または水分を除去した後、前記継手部を該二重壁構造の鋼製壁の内部閉空間を利用して内側から自動溶接し、該閉領域内への水の浸入を阻止することを特徴とする鋼製壁の製造方法。
  2. 前記継手部の外側または継手嵌合部内に、該継手部に密着して継手どうしの間隙を塞ぐための継手長手方向に連続する止水用長尺部材を設置した状態で自動溶接することを特徴とする請求項1記載の鋼製壁の製造方法。
  3. 前記閉領域内に存在する遮水層より上部の土砂および/または水分を除去し、水底面下まで自動溶接することを特徴とする請求項1または2記載の鋼製壁の製造方法。
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