JP6431390B2 - 堰堤 - Google Patents
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さらに、ソイルセメントの点検、鋼矢板の交換後には、鋼矢板を切断した部分を補修しなければならず、堰堤の点検・補修時の作業は、手間のかかるものとなっていた。
<堰堤の構成>
図1は、河川に設けられる不透過型の砂防用の堰堤1の斜視図であり、一部を断面視している。
図1に示すように、堰堤1は、基礎部2と、上流壁部3と、下流壁部4と、中詰材5とを備えている。堰堤1の袖部は河川の岸に連続している。
基礎部2は、コンクリートで形成されており、河川の流れる方向に直交する方向(河川の幅方向)に沿って、河川の底部に設けられている。基礎部2は、2つ設けられており、上流側と下流側とに所定の間隔をあけて配置されている。
各基礎部2の上面は、それぞれ平面状に形成されており、上流側の基礎部2の上面に上流壁部3が設けられ、下流側の基礎部2の上面に下流壁部4が設けられている。
基礎部2と、上流壁部3との間には、断面略L字状に形成された底面通し材21が設けられている(図4、図7参照)。底面通し材21は、例えばアンカーボルトによって基礎部2の上面に固定されている。
図2は、上流壁部3を堰堤1の内側から見た斜視図である。上流壁部3は、上流側の基礎部2の上面に設けられていることから、上流壁部3は、河川の上流側に対向するように設けられている。
セグメント31は、河川の上流から流れてくる、主に、例えば岩石、木材等を受けるプレート33と、プレート33の各縁に対して立設され、溶接等によって接合されているリブ34とを有している。
矩形状に形成されたプレート33の長手方向の両縁は、プレート33の製作時にフランジ状に折り曲げられて、プレート33に一体成形されたリブ34としてもよい。
なお、隣接するセグメント31の間にはシール部材としての止水テープ(図示せず)を貼りつけてもよい。
締結具32は、隣接するセグメント31同士を連結するものである。締結具32は、ボルト32aと、このボルト32aに螺合するナット32b(図2参照)とを備えている。セグメント31b同士は、上流壁部3の内側で、ボルト32aを、連結される双方のセグメント31bの孔34aに挿通し、挿通した側とは反対側にあるセグメント31b側でナット32bを介して締め付けることで連結されている。
なお、図2においては、図面を見やすくするために、セグメント31同士を連結する一部のボルト32a及びナット32bのみを示した。
図3(a)は、連結されるセグメント31a、31bを上流壁部3の外側上方から拡大視した斜視図である。セグメント31aは、セグメント31bとは、表裏逆向きに配置されており、セグメント31aの孔34aは、上流壁部3の外側に露出している。
セグメント31aは、各リブ34において、セグメント31bに連結されている。セグメント31a、31bは、セグメント31b同士を連結する場合と同様、双方の孔34a同士が整合するように配置されている。よって、セグメント31aの外側から挿通したボルト32aは、セグメント31bの内側に露出している孔34aにも挿通されている。
図3(b)は、連結されるセグメント31a、31bを、上流壁部3の内側下方から拡大視した斜視図である。セグメント31aに連結されるセグメント31bのリブ34には、孔34aと同一軸線上にナット32bが、溶接等により固定されている。セグメント31aの外側から挿入されたボルト32aの先端は、セグメント31bの内側で、リブ34に固定されているナット32bと螺合している。
図4は、補強部材35の取付構造を説明する図である。
図2、図4に示すように、補強部材35は、セグメント31の耐圧強度を高めるものである。補強部材35は、一端部が後に打設される中詰材5に埋設され、他端部がセグメント31に連結される。
補強部材35aの他端部は、一端部側に折り返すようにフック状に湾曲されている。セグメント31aに対する補強部材35aの連結は、隣接するセグメント31間に挟持された係止片37の連結孔37aにフック状の補強部材35aの他端部を引っかけることによって行われる。ここで、係止片37には、ボルト32aの挿通孔37bが形成されており、隣接するセグメント31同士を連結するボルト32aが挿通されることにより、係止片37はセグメント31とともに連結される。すなわち、係止片37を、隣接するセグメント31a、31b双方に固定するボルトは、隣接するセグメント31a、31bの連結に用いるボルト32aを利用する。挿通孔37bはそれぞれ、両セグメント31a、31bの孔34aと整合するような間隔をおいて形成されている。なお、係止片37は、ボルト32aによる連結に限らず、リブ34に溶接によって接合されていてもよい。また、係止片37は、上流壁部3の幅方向に隣接するセグメント31a、31bの間に配置されているが、上流壁部3の高さ方向に隣接するセグメント31a、31bの間に配置されていてもよい。補強部材35aの一端部は、中詰材5に埋設されている。
補強部材35bの他端部は、補強部材35bの長手方向に対して交差する方向に湾曲するように形成されている。この湾曲された部分にはネジ山が形成されている。セグメント31bに対する補強部材35bの連結は、補強部材35bの他端部を、隣接しているセグメント31b双方の孔34aに挿通して、挿通した側とは反対側にあるセグメント31b側でナットを介して締め付けることによって行われる。補強部材35bの一端部は、中詰材5に埋設されている。
図1に示すように、下流壁部4は、下流側の基礎部2の上面に設けられていることから、下流壁部4は、河川の下流側に対向するように設けられている。
下流壁部4は、複数のセグメント41が、ボルト及びナットを備える締結具で連結されて構成されている。隣接するセグメント41の上下端縁が、互いに同じ高さにならないように、隣接するセグメント41同士は上下方向に互い違い(千鳥状)に配置されている。セグメント41は、コンクリート製のパネルで構成されている。基礎部2の近傍のセグメント41には、支持部材及び補強部材(図示せず)が連結されている。
なお、隣接するセグメント41の間にはシール部材としての止水テープ(図示せず)を貼り付けてもよい。また、下流壁部4の構成を上流壁部3と同様に、複数のセグメントを連結して構成してもよい。
図1に示すように、中詰材5は、上流壁部3と下流壁部4との間にある空間S内に打設されるものであり、流動性を有する。
具体的に、中詰材5は、堰堤1を設置する現場の現地発生土にセメントと水を混合して作成したソイルセメントである。ここで用いられるソイルセメントは、スランプの程度について問われることはない。すなわち、堰堤1は、ソイルセメントの流動性があってもなくても対応可能な堰堤であることを意味する。したがって、現地発生土の性状がどのようなものであっても、セメントと水の量を調整することで堰堤として構築することができる。
次に、ソイルセメント(中詰材)を用いた堰堤の施工方法について説明する。
上流壁部3の構築の際には、複数のセグメント31の一部を、その孔34aが、堰堤1の外側に露出するように、他のセグメント31と表裏逆向きにして積み上げる。
互いに表裏逆向きになって隣接している一部のセグメント31同士は、堰堤1の外側からボルト32aを孔34aに挿通し、挿通した側とは反対側にあるセグメント31側で、ボルト32aの先端とナット32bを螺合させて連結する。つまり、上流壁部3においては、上流壁部3の外側から、一部のセグメント31同士の連結作業を行う。
次に、作成したソイルセメントを上流壁部3と下流壁部4との間にできた空間S内に打設する。打設作業は、コンクリートバケットをクレーン等で吊して行う。
次に、コンクリート用のバイブレータを用いて、打設したソイルセメントを締め固める。
なお、ソイルセメントは、上記のように水とセメントを混ぜてスランプを有するようなソイルセメントであってもよいし、スランプ値がゼロのソイルセメントであってもよい。スランプ値がゼロのソイルセメントを打設する際には、上流壁部3と下流壁部4との間にある空間Sに打設して、敷き均した後、締め固める。
この作業を所定の高さまで繰り返した後、天端に保護コンクリート12を打設し、これをもって堰堤1が完成する。
以上のような構成を有する堰堤1によれば、上流壁部3を構成するセグメント31の一部のセグメント31aが、上流壁部3の外側でセグメント31aに隣接するセグメント31bにボルト32aによって連結されているので、中詰材5の経年変化や劣化状況を点検する際、又は損傷したセグメント31を交換する際、堰堤1の外側からボルト32aを、セグメント31b側のナット32bから簡単に取り外すことができる。よって、セグメント31aを切断することなく、簡単に上流壁部3から取り外すことができるので、堰堤1の点検・補修における作業負担の大幅な軽減を図ることができる。
ナット32bを孔34aと同一軸線上にセグメント31bに固定しておくことで、作業者は、ボルト32aだけを孔34aに挿入して回すだけでよいので、セグメント31を連結する際の作業性が向上する。
補強部材35の一端をセグメント31に連結し、他端を中詰材5に埋設することで、上流壁部3の耐圧強度を向上させることができる。
ボルト32aを、上流壁部3の外側から外すことで、セグメント31と係止片37との連結も解除できるので、セグメント31と補強部材35aとの連結も簡単に解除することができる。よって、セグメント31に補強部材35aが連結されている場合であっても、セグメント31を上流壁部3から簡単に取り外すことができる。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、上流壁部の構成であるため、以下では、上流壁部の構成についてのみ説明し、第1の実施形態と同じ構成については、同一符号を付して説明を省略する。
図6(a)においては、第1の実施形態とは異なり、セグメント31cのリブ34には、リブ34の孔34aと同一軸線上にナット32bが溶接等により固定されていないが、ナット32bは、リブ34に固定されていてもよい。
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではない。上記実施形態においては、上流壁部を複数のセグメントで構成し、少なくとも一部のセグメントを他のセグメントに対して表裏逆に配置しているが、下流壁部を複数のセグメントで構成し、少なくとも一部のセグメントを他のセグメントに対して表裏逆に配置してもよい。
2 基礎部
3、3A 上流壁部
4 下流壁部
5 中詰材
12 保護コンクリート
31 セグメント
31a セグメント
31b セグメント
32 締結具
32a ボルト
32b ナット
33 プレート
34 リブ
34a 孔
35 補強部材
35a 補強部材
35b 補強部材
37 係止片
37a 連結孔
37b 挿通孔
Claims (8)
- 複数のセグメントが締結具で連結されて構成され、河川の上流側に対向するように設けられる上流壁部と、
複数のセグメントが締結具で連結されて構成され、河川の下流側に対向するように設けられる下流壁部と、
を備える堰堤であって、
前記上流壁部と前記下流壁部のうち、少なくとも一方の壁部を構成するセグメントの一部又は全部が、当該壁部の外側で当該セグメントに隣接するセグメントに前記締結具によって連結されていることを特徴とする堰堤。 - 前記締結具は、ボルトと、
当該ボルトに螺合するナットと、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の堰堤。 - 前記セグメントは、隣接するセグメントと連結する際に前記ボルトを挿通する孔を有し、
前記ナットは、前記孔と同一軸線上に前記セグメントに固定されていることを特徴とする請求項2に記載の堰堤。 - 前記セグメントは、河川の上流から流れてくるものを受けるプレートと、
前記プレートの外縁に立設され、前記孔が形成されたリブと、
を備え、
前記壁部を構成する一部のセグメントは、前記孔が前記壁部の外側に露出するように、他のセグメントと表裏逆向きに配置されており、
前記一部のセグメントに隣接し、前記孔が前記壁部の内側に露出するセグメントには、当該孔と同一軸線上に前記ナットが固定されていることを特徴とする請求項3に記載の堰堤。 - 前記上流壁部と前記下流壁部との間に形成される空間内に充填される中詰材と、
一端が前記一部のセグメントに設けられた係止片に連結され、他端が前記中詰材に埋設される第1の補強部材と、
一端が前記他のセグメントの前記孔に連結され、他端が前記中詰材に埋設される第2の補強部材と、
を備えることを特徴とする請求項4に記載の堰堤。 - 前記壁部を構成する前記セグメントの全部が、当該壁部の外側で前記締結具によって連結されていることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の堰堤。
- 前記係止片は、隣接するセグメント間に挟持されていることを特徴とする請求項5に記載の堰堤。
- 前記孔が前記壁部の外側に露出するように配置されている前記セグメントが、前記河川の少なくとも一方の岸に隣接する袖部に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の堰堤。
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