JP7103962B2 - 土留め構造及び土留め方法 - Google Patents

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本発明は、地盤の開削工事に際し、開削側(開削予定領域)と地山側(非開削領域)とを仕切って、施工場所に対する土留め(及び止水)を行う、土留め構造及び土留め方法に関する。
通常、開削工事で用いる土留め(山留め)は、鋼矢板やH鋼を打設して、土留め壁を構築し、土留め壁の剛性・耐力で、土圧・水圧に耐えて、開削場所の安全を確保する。
自立式土留めの場合、掘削の深さや地盤条件に応じて、土留め仕様(土留め壁仕様)が決定し、必要な鋼矢板やH鋼仕様が決定する。切梁やグラウンドアンカーなどの支保形式でも、その支保工仕様と土留め壁仕様のバランスで、全体の土留め仕様が決定する。
その中で、土留めの自立高さを高くする場合、あるいは、支保工仕様を簡素化する場合、それを支える土留め壁の仕様がアップする。
かかる場合の方策の1つとして、二重土留め壁が考えられる。
例えば、特許文献1には、地中連続壁を二重に設け、これらを内側締切り壁及び外側締切り壁とすること、そして、これらの頭部(天端部)をタイロッドで緊結すること、が開示されている。
特開昭57-155421号公報
しかしながら、タイロッドによる連結は、通常、引っ張り方向の力に対しては抵抗できるものの、圧縮方向の力には抵抗できない。また、基本的には、1点でピンにより連結されるだけなので、一体化していない。従って、内外の締め切り壁が一体化しておらず、内外の締め切り壁とこれらの間の土とが一体化しているとは言いがたい。従って、剛性・強度アップ、経済性向上という観点でなお改善の余地がある。
本発明は、このような実状に鑑みてなされたもので、二重構造の土留め壁の剛性をより一層に高め、経済的にも優れたものとすることを課題とする。
上記の課題を解決するために、本発明に係る土留め構造は、
地盤に開削側と地山側とを仕切るように打ち込まれた第1の壁体と、
前記第1の壁体より地山側の地盤に、前記第1の壁体に対し間隔をあけて打ち込まれた第2の壁体と、
前記第1の壁体の頭部と前記第2の壁体の頭部とを連結する頭部連結材と、
を含んで構成され、
前記第1及び第2の壁体と前記頭部連結材とは、剛接合して、ラーメン構造をなすことを特徴とする。
また、本発明に係る土留め方法は、
地盤に、開削側と地山側とを仕切るように、第1及び第2の壁体を互いに間隔をあけて打ち込む工程と、
前記第1及び第2の壁体の打ち込み後、前記第1の壁体の頭部と前記第2の壁体の頭部とを頭部連結材により連結する工程と、
を含み、
前記連結工程では、前記第1及び第2の壁体と前記頭部連結材とを、ラーメン構造をなして、前記第1及び第2の壁体間の地盤を拘束するように、剛接合することを特徴とする。
本発明によれば、第1の壁体の頭部と第2の壁体の頭部とが頭部連結材により連結されるのみならず、第1及び第2の壁体と頭部連結材とが、剛接合して、門型ラーメン構造をなしている。従って、第1及び第2の壁体の互いの頭部の変位及び回転が拘束されて、第1及び第2の壁体による二重土留め壁の剛性・強度アップを図ることができる。また、第1及び第2の壁体が互いに拘束されることで、第1及び第2の壁体間の地盤を拘束することができる。これにより、内部の地盤の剛性が二重土留め壁の剛性アップに大きく寄与する。従って、1つの土留め壁の剛性×2以上の剛性を発揮させることができ、剛性・強度的に優れることはもちろん、経済的にも優れた土留め壁を提供することができる。
本発明の一実施形態として二重土留め壁を用いた開削工事の施工例を示す図 鋼矢板を用いた二重土留め壁の平面図 頭部連結材による連結構造の拡大図 図3のA-A矢視断面に相当する連結構造の平面図 固化材注入の説明図 ウェルポイント工法の説明図 鋼矢板を用いた二重土留め壁の変形態様を示す平面図 頭部連結材の変形態様を示す図 支保側の第2の壁体を斜めに打ち込んだ場合の説明図 場所打ちコンクリートによる頭部連結の実施形態を示す図 図11の実施形態の平面図 高圧噴射撹拌工法を用いた地盤改良及び頭部連結の実施形態を示す図 プレキャストコンクリートブロックによる頭部連結の実施形態を示す図 鋼矢板利用の接合鋼材による頭部連結の実施形態(連結前)を示す図 図14の実施形態の頭部連結後の状態を示す図 図14の実施形態の鋼矢板利用の頭部連結材について示す図 鋼板を組み合わせてなる接合鋼材による頭部連結の実施形態を示す図 クロス型の接合鋼材による頭部連結の実施形態を示す図 鋼矢板打ち込み時のガイド鋼材を用いた頭部連結の実施形態を示す図 図19の実施形態の変形態様を示す図 三重土留め壁の実施形態を示す図
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態として二重土留め壁を用いた開削工事の施工例を示す図、図2は鋼矢板を用いた二重土留め壁の平面図である。
本実施形態の土留め構造体10は、第1の壁体11と、第2の壁体12との二重構造(二重土留め壁)である。
本実施形態では、第1及び第2の壁体11、12を構成する壁部材として、鋼矢板(シートパイル)を使用する。
鋼矢板は、図2に示されるように、断面が台形形状に屈曲し、表裏の一方の面が凸面、他方の面が凹面をなし、両端に継ぎ手を有している。従って、鋼矢板を表と裏を逆にして互い違いに列設し、隣り合う鋼矢板を継ぎ手同士でつなげることで、鋼矢板の列により土留め壁(壁体)を構築できる。
第1の壁体11は、地盤(開削前の地盤)Gに、開削側と地山側とを仕切るように打ち込まれる。
第2の壁体12は、第1の壁体11より地山側の地盤に、第1の壁体11に対し例えば1m程度の間隔をあけて平行に打ち込まれる。
尚、第1の壁体11の打ち込み工程と、第2の壁体12の打ち込み工程とは、いずれが先でもよいし、同時に並行して行うようにしてもよい。
本実施形態の土留め構造体10は、更に、第1の壁体11の頭部と第2の壁体12の頭部とを連結固定する頭部連結材13を含む。
言い換えれば、第1及び第2の壁体11、12の打ち込み工程の後に、第1の壁体11の頭部と第2の壁体12の頭部とを頭部連結材13により連結する工程を実施する。
ここにおいて、第1及び第2の壁体11、12と頭部連結材13とは、剛接合して、ラーメン構造(門型ラーメン構造)をなすと共に、第1及び第2の壁体11、12間の地盤を拘束する。
尚、二重土留め壁の深さ方向の長さは、設計上の観点、施工性の観点、経済性の観点等から現場の条件に応じて設定される。通常、内側に配置される第1の壁体11の長さは、設計上の土留め壁の根入れの安定で長さが決まり、外側に配置される第2の壁体12の長さは、壁体としての剪断抵抗力を確保することが必要な範囲で決まる。このため、一般には、図1に示しているように、第2の壁体12の長さの方が第1の壁体11の長さより少し短くなる。
しかし、必ずしもこれに限らない。第1の壁体11の長さと第2の壁体12の長さとが同じになる場合もあるし、第1の壁体11の長さの方が第2の壁体12の長さよりも短くなる場合もある。
上記剛接合のための頭部連結材13の具体的構造について、図3及び図4により説明する。図3は頭部連結材による連結構造の拡大図、図4は図3のA-A矢視断面に相当する連結構造の平面図である。
頭部連結材13は、第1及び第2の壁体11、12の上方にて、第1及び第2の壁体11、12と交差する方向(水平方向)に延びる梁部31と、この梁部31の両端から屈曲して下方に延びる接合部32、33とを含む。
各接合部32、33は、後述のように、少なくとも上下方向の複数箇所で、第1及び第2の壁体11、12の頭部に締め付け固定される。
一方の接合部32は、梁部31と一体に形成される。
他方の接合部33は、梁部31と別体の部材で、梁部31に対しその長手方向に位置調整可能に取付けられる。第1及び第2の壁体11、12の間隔のバラツキに対応可能とするためである。
このため、他方の接合部(接合部材)33は、取付孔を有して、頭部連結材13の梁部31に嵌合する。そして、梁部31に対し螺合して接合部33の前後に配置したロックナット34、35により、接合部33を梁部31の長手方向に位置決めして固定する。また、梁部31と接合部33との嵌合部にはキー及びキー溝を設けるなどして、接合部33を梁部31の周方向に位置決めする。
一方の接合部32はまた、二股に分岐し、第1及び第2の壁体11、12のいずれか一方(例えば壁体12)の頭部に、これを挟持するように嵌合する。すなわち、接合部32は、梁部31と一体の前後一対の挟持板32a、32bと、これらの間に下向きにコ字状に開口する嵌合溝32cとを有し、この嵌合溝32cにより、一方の壁体の頭部に嵌合する。
そして、前後一対の挟持板32a、32bのうち、いずれか一方の挟持板32aの上下2箇所の締め付け固定部(押付けボルト)41、42にて、壁体12の頭部と頭部連結材13の接合部32とが締め付け固定される。
すなわち、挟持板32aに螺合したボルト41、42の先端を壁体12に押付けることで、挟持板32bとボルト41、42との間に壁体12の頭部を挟持している。
他方の接合部33も、二股に分岐し、第1及び第2の壁体11、12のいずれか他方(例えば壁体11)の頭部に、これを挟持するように嵌合する。すなわち、接合部33は、前後一対の挟持板33a、33bと、これらの間に下向きにコ字状に開口する嵌合溝33cとを有し、この嵌合溝33cにより、他方の壁体の頭部に嵌合する。
そして、前後一対の挟持板33a、33bのうち、一方の挟持板33aの上下2箇所の締め付け固定部(押付けボルト)51、52と、他方の挟持板33bの上下2箇所の締め付け固定部(押付けボルト)53、54とにて、壁体11の頭部と頭部連結材13の接合部33とが締め付け固定される。
すなわち、挟持板33aに螺合したボルト51、52の先端を壁体11の一方の面に押付けると共に、挟持板33bに螺合したボルト53、54の先端を壁体11の他方の面に押付けることで、挟持板33a側のボルト51、52と挟持板33b側のボルト53、54との間に壁体11の頭部を挟持している。
尚、接合部33側の締め付け固定部(押付けボルト)51~54は、左右対称に設けられ、一方の挟持板33a側には上下左右4箇所に締め付け固定部(押付けボルト)が設けられ、他方の挟持板33b側にも上下左右4箇所に締め付け固定部(押付けボルト)が設けられる。
本実施形態によれば、第1の壁体11の頭部と第2の壁体12の頭部とが頭部連結材13により連結されるのみならず、第1及び第2の壁体11、12と頭部連結材13とが、剛接合して、門型ラーメン構造をなしている。従って、第1及び第2の壁体11、12が一体化して、引っ張り及び圧縮に対抗できると共に、第1及び第2の壁体11、12の互いの頭部の変位及び回転が拘束されて、第1及び第2の壁体11、12による二重土留め壁の剛性・強度アップを図ることができる。
また、第1及び第2の壁体11、12が互いに拘束されることで、第1及び第2の壁体11、12間の地盤を拘束することができる。これにより、内部の地盤の剛性が二重土留め壁の剛性アップに大きく寄与する。特に砂地盤の場合、大きな剪断抵抗を持つので、より大きな剛性アップが得られる。従って、1つの土留め壁の剛性×2以上の剛性を発揮させることができる。
また、第1及び第2の壁体11、12間の地盤による剛性アップ効果を高めるため、第1及び第2の壁体11、12間の地盤を補強するようにしてもよい。
具体的には、図5に示すように、第1及び第2の壁体11、12の打ち込み後、第1及び第2の壁体11、12間の地盤に固化材(薬液)60を注入することで、当該地盤を補強する。固化材60の注入は、第1及び第2の壁体11、12間の地盤の複数箇所にボーリングを行って、実施する。
又は、図6に示すように、第1及び第2の壁体11、12の打ち込み後、ウェルポイント工法により、第1及び第2の壁体11、12間の地下水位を低下させる。
すなわち、第1及び第2の壁体11、12間の地盤にウェルポイントと称する集水管61を設置し、地上側のポンプ62により、地盤に負圧をかけて地下水を吸引することにより、地下水位を低下させる。
かかる集水設備(集水管61及びポンプ62)の設置と、開削中の運転とにより、地下水位を低下させて、第1及び第2の壁体11、12間の地盤を補強することができる。第1及び第2の壁体11、12が開削場所の四方を囲んでいる場合、集水設備(集水管61)は1箇所にボーリングして設ければよい。
次に、鋼矢板を用いた二重土留め壁の変形態様について、図7の平面図により、説明する。
図2では、鋼矢板からなる第1及び第2の壁体11、12は、凸形状が同じ方向となる同位相に配置している。これに対し、図7では、凸形状が反対方向となる逆位相に配置している。地山側の敷地に制約がない場合は、図7のように配置することにより、より大きな剪断抵抗を確保することができ、より大きな剛性アップ効果が得られる。
また、図7では、頭部連結材13により、鋼矢板の中央部同士を最長距離の位置で連結している。これにより、地盤の拘束効果を高めることができる。
尚、上記実施形態(図2、図7)では、頭部連結材13は、鋼矢板の中央部同士を連結するようにしたが、頭部連結材13の各端部で隣り合う鋼矢板の連結部(継ぎ手部分)を挟み込むようにして、連結するようにしてもよい。
また、第1及び第2の壁体11、12の連続方向において隣り合う頭部連結材13の間隔は、図示の例に限らず、より小さくして、より多数の頭部連結材13により連結する構造としてもよい。
また、土留め壁の頭部は、覆工板で覆うことがある。従って、頭部連結材13は覆工板を利用し、これと一体化するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、頭部連結材13は、第1の壁体11の頭部と第2の壁体12の頭部とを機械的に連結しているが、図8に示すように、頭部連結材70として、コンクリートを用い、第1の壁体11の頭部と第2の壁体12の頭部とをつなぐようにコンクリートを打設して、第1及び第2の壁体11、12を一体化するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、壁体を構成する壁部材として鋼矢板を用い、壁体は鋼矢板の列により形成したが、壁体を構成する壁部材としてH鋼を用いてもよい。H鋼を用いる場合は、例えばソイルモルタル製の壁体を地中に構築し、ソイルモルタルの硬化前に、壁体の連続方向に所定の間隔で芯材としてH鋼を打ち込むことにより、土留め壁を形成する。そして、かかる手法で二重の土留め壁を形成し、互いのH鋼の頭部を頭部連結材で連結して、ラーメン構造とする。
次に、支保側の第2の壁体12を斜めに打ち込んだ変形態様について、図9により、説明する。
図1では、第1及び第2の壁体11、12は地盤に垂直に打ち込んで、互いに平行に配置している。これに対し、図9では、第1の壁体11は地盤に垂直に打ち込むが、第2の壁体12は下側ほど第1の壁体11との間隔が拡がるように斜めに打ち込んでいる。
図9のような構成とすることで、次のような効果が得られる。
すなわち、図9に示しているように、第1の壁体11には受働土圧が図示のように作用し、第2の壁体12にはより大きな主働土圧が図示のように作用する。しかし、第2の壁体12は斜めに配置されているため、荷重の分力が第2の壁体12に対し軸力(壁体12に沿う方向の力)として作用するため、第2の壁体12に対し曲げモーメントとして作用する力が小さくなる。そして、軸力増加により応力的にも有利となる。よって、その分、壁体の仕様をダウンでき、経済的となる。
以下には、更に、本発明の他の実施形態について説明する。
図10及び図11の実施形態は、場所打ちコンクリートにより、第1及び第2の壁体11、12の頭部を連結するものである。
例えば図10(A)に示すように、第1及び第2の壁体11、12を打ち込んだ状態で、第1及び第2の壁体11、12の頭部を地盤Gより地上側に突出させる。そして、第1及び第2の壁体11、12の頭部には、互いに対向する方向に、頭付きスタッドや異形鉄筋などの一体化用(ずれ止め用)の突起部材101を溶接等により取付ける(但し、予め工場で取付けておくようにしてもよい)。かかる状態で第1及び第2の壁体11、12の頭部間にコンクリート102を打設する。尚、コンクリート102の打設に際し、地盤G上に型枠を設置してもよいし、型枠を設置せず、地盤G上にそのまま打設してもよい。
打設されたコンクリート102は、第1及び第2の壁体11、12の頭部から突出している突起部材101を介して、第1及び第2の壁体11、12の頭部を連結することができる。従って、本実施形態では、突起部材101と場所打ちコンクリート102とが頭部連結材13を構成し、これによって土留め構造体10が構築され、開削が可能となる。
このような場所打ちコンクリートによる頭部連結構造とすることで、第1及び第2の壁体11、12間の圧縮力に対抗することができ、また、第1及び第2の壁体11,12間の引張力については突起部材101により対抗することができる。また、第1及び第2の壁体11、12間に鉛直方向の剪断力が生じた場合でも、突起部材101とコンクリート102とによって第1及び第2の壁体11、12が一体化して抵抗することができる。また、場所打ちコンクリートによる頭部連結は、第1及び第2の壁体11、12間の設置誤差を吸収することができる。
図10(B)は図10(A)の実施形態の変形態様を示し、コンクリートの打設に先立って、第1及び第2の壁体11、12の頭部間に、両突起部材101をつなげる形で補強鉄筋103を挿入し、頭部連結材13をRC(鉄筋コンクリート)構造としたものである。かかる構造は第1及び第2の壁体11、12間の引張力が大きい場合に好適である。
図10(C)も図10(A)の実施形態の変形態様を示し、頭部連結材13が地盤Gから突出しないように、第1及び第2の壁体11、12を頭部まで地盤G下に打ち込んだ後、第1及び第2の壁体11、12の頭部間を掘り下げ、この掘り下げ部にコンクリートを打設するようにしたものである。これにより、地山から突出させることなく施工できる。
図11は図10の実施形態の平面図を示したもので、図11(A)、(B)の2パターン示している。
図11(A)のパターンは場所打ちコンクリート102による頭部連結を第1及び第2の壁体(鋼矢板)11、12の延在方向に所定の間隔で行うようにしたものである。特にこの例では第1及び第2の壁体11、12を構成する鋼矢板を逆位相で並べ、最短距離となる部分に頭部連結用のコンクリート102を打設している。これにより、頭部連結用のコンクリート102の材料費を節約できる。但し、この例のようにする場合は、コンクリート102の打設部と非打設部とを仕切る型枠が必要となる。
図11(B)のパターンは場所打ちコンクリート102による頭部連結を第1及び第2の壁体(鋼矢板)11,12の延在方向に連続して行うようにしたものである。コンクリートを連続的に打設する場合は、頭部剛結部に生じる圧縮力、引張力、剪断力に対して抵抗できる断面が大きくなるので、一体化用の突起部材101(図10)の配置量を少なくすることができる。
図12の実施形態は、高圧噴射撹拌工法を用いて、第1及び第2の壁体11、12間の地盤を改良すると同時に、当該工法の実施に伴って生じる排泥(ソイルセメント)を利用して頭部連結を行うものである。
これについて説明すると、図12(A)を参照し、第1及び第2の壁体11、12の打ち込み後、高圧噴射撹拌工法により、地盤の所定深さ位置を改良する。高圧噴射撹拌工法は、一般的には地盤に地盤改良杭を形成するための工法であるが、ここでは地盤の深さ方向の一部を改良するために用いる。
先ず、第1及び第2の壁体11、12間の地盤に、所望の改良位置に達するように、ボーリング孔201を形成する。次に、ボーリング孔201内に、先端部外周に噴射口を有する高圧噴射ロッド202を挿入する。
高圧噴射ロッド202は、その軸回りに回転させる。また、高圧噴射ロッド202内には、その基端部側(地上側)から、噴射液(セメント系の固化材、例えばセメントミルク)と圧縮空気とを別々に供給し、高圧噴射ロッド202の先端部外周から噴射液を圧縮空気と共に高圧噴射させる。これにより、噴射部回りの地盤を撹拌・混合し、当該地盤を改良することができる。
また、かかる地盤改良時には、ボーリング孔201と高圧噴射ロッド202との隙間を通って、スライム状の混練土(ソイルセメント)が地上側に排泥される。
このときに排泥されるソイルセメントを利用して、第1及び第2の壁体11、12の頭部を連結すべく、高圧噴射に先立って、第1及び第2の壁体11、12間の地上側に、ソイルセメントを溜めるためのプール(凹部)203が形成されている。このプール203は、第1及び第2の壁体11、12間の地盤面を所定深さ分掘り下げることで形成してもよいし、第1及び第2の壁体11、12の頭部を地盤面より突出させておくことで形成してよい。
また、高圧噴射に先立って、第1及び第2の壁体11、12の頭部には、これらの間のプール203内に突出するように、頭付きスタッドや異形鉄筋などの一体化用の突起部材204が溶接等により取付けられている。
従って、最終的には、図10(B)に示すように、第1及び第2の壁体11、12間の所定深さ位置に地盤改良塊205が形成される。また、ボーリング孔201内では、ソイルセメント206が棒状に固化する。そして、第1及び第2の壁体11、12の頭部間のプール203内でも、排泥されたソイルセメント207が固化する。
このソイルセメント207は、第1及び第2の壁体11、12の頭部に取付けられている突起部材204を介して、第1及び第2の壁体11、12の頭部を連結することができる。従って、本実施形態では、突起部材204とプール203内で固化されたソイルセメント207とが頭部連結材13を構成し、これによって土留め構造体10が構築され、開削が可能となる。
このように、第1及び第2の壁体11、12の打ち込み後に、これらの間の地盤に高圧噴射撹拌工法によりセメント系の固化材を混合させることで、第1及び第2の壁体11、12間の地盤を補強することができる。そして、高圧噴射撹拌工法の実施時に排泥されるソイルセメント207を第1及び第2の壁体11、12の頭部間のプール203に貯留して固化させることにより、当該ソイルセメント207を頭部連結材13として用いて、第1の壁体11の頭部と第2の壁体12の頭部とを連結することができる。
尚、第1及び第2の壁体11、12間のボーリング孔201は、第1及び第2の壁体11、12の延在方向に所定の間隔で形成し、同方向において地盤改良塊205がラップするようにするのが望ましい。これにより、プール203内のソイルセメント207も第1及び第2の壁体11、12の延在方向に連続することとなる。
図13の実施形態は、プレキャストコンクリートブロックを用いて、第1及び第2の壁体(鋼矢板)11、12の頭部を連結するものである。図13(A)は縦断面図、図13(B)は平面図である。
第1及び第2の壁体(鋼矢板)11、12を打ち込んだ状態で、第1及び第2の壁体11、12の頭部を地盤より地上側に突出させる。そして、第1及び第2の壁体11、12の頭部間(本例では材料費節約のため鋼矢板間の最短距離の位置)に、直方体形状(あるいは版状)のプレキャストコンクリートブロック301を配置する。
プレキャストコンクリートブロック301は、地盤上に載置してもよいが、予め埋め込んだ鉄筋によりフック302を形成しておき、第1及び第2の壁体11、12の上端部に吊り下げて、地盤から浮かせるようにすれば、地盤の不陸の影響を受けることがない。
第1及び第2の壁体(鋼矢板)11、12とプレキャストコンクリートブロック301とは、締結部材303により締め付け固定される。
締結部材303としては、総ネジのPC鋼棒(あるいは鉄筋)とナットとを用いる。
このため、第1及び第2の壁体11、12を構成する鋼矢板にPC鋼棒用の孔を設ける。この孔は鋼矢板に予め設けておくこともできるが、打ち込み後に削孔することで、施工誤差を吸収することができる。
プレキャストコンクリートブロック301には、PC鋼棒用の孔を設けてもよいし、設けなくてもよい。
プレキャストコンクリートブロック301にPC鋼棒用の孔を設けた場合は、図13(B)の上側に示すように、プレキャストコンクリートブロック301にPC鋼棒303を通して締め付け固定する。通すことで、より確実に固定できる。
プレキャストコンクリートブロック301にPC鋼棒用の孔を設けない場合は、図13(B)の下側に示すように、プレキャストコンクリートブロック301の周囲にPC鋼棒303を配置して、締め付け固定する。通さないことで、プレキャストコンクリートブロックの孔開けを不要にできる。
鋼矢板間の設置誤差が大きい場合は、鋼矢板とプレキャストコンクリートブロックとの間にゴム板を挟んだり、無収縮モルタルを充填したりしてもよい。
PC鋼棒の締め付け固定により、PC鋼棒に必要な引張力が導入され、対をなす鋼矢板を一体化することができる。PC鋼棒を緊張することで、プレキャストコンクリートブロックには圧縮力が導入され、また鋼矢板とプレキャストコンクリートブロックとが離れることがないので、大きな剛性が得られる。
従って、本実施形態では、プレキャストコンクリートブロック301と締結部材(PC鋼棒)303とで頭部連結材13が構成され、これによって土留め構造体10が構築され、開削が可能となる。
ここにおいて、プレキャストコンクリートブロックとPC鋼棒で剛結部に生じる曲げモーメントに抵抗し、鋼矢板とプレキャストコンクリートブロックとの摩擦力で剪断力に抵抗することができる。
尚、土留めが不要になり、撤去する際は、プレキャストコンクリートブロックとPC鋼棒は取外し可能であるので、撤去が容易となり、転用も可能となる。
図14~図16の実施形態は、鋼矢板利用の接合鋼材により、鋼矢板の列からなる第1及び第2の壁体11、12の頭部を連結するものである。
図14(A)は頭部連結前の平面図、図14(B)は図14(A)のB-B矢視図であり、これらにより頭部連結前の状態について説明する。
第1及び第2の壁体11、12は、それぞれ、鋼矢板401、402、403、404、405、・・・の列により構成され、各列の鋼矢板401~405は地盤Gに打ち込まれて、両隣の鋼矢板と継ぎ手でつながっている。
ここにおいて、互いに対向する一対の鋼矢板402の高さをそれぞれが継ぎ手同士でつながる両隣の鋼矢板401、403の高さより低くすることにより、鋼矢板の列中に一対の凹部412を形成する。
同様に、互いに対向する一対の鋼矢板404の高さをそれぞれが継ぎ手同士でつながる両隣の鋼矢板403、405の高さより低くすることにより、鋼矢板の列中に一対の凹部414を形成する。
このようにすることで、凹部412、414、・・・を鋼矢板の列方向に所定の間隔で形成する。
尚、鋼矢板402、404、・・・の高さを低くする方法としては、凹部の深さ分短い鋼矢板を用いる方法と、同じ長さの鋼矢板を用いて打ち込み量を大きくする方法とが考えられる。
図15(A)は頭部連結後の平面図、図15(B)は図15(A)のB-B矢視図であり、これらにより頭部連結について説明する。
本実施形態の頭部連結材13は、前記凹部412、414、・・・を利用して、第1の壁体11を構成する鋼矢板の列と、第2の壁体12を構成する鋼矢板の列とを連結する。
すなわち、1つの頭部連結材13は、前記一対の凹部412に嵌合可能で両隣の鋼矢板401、403に継ぎ手同士でつながることができる一対の短い(前記凹部412の深さ分の長さの)鋼矢板422と、これら一対の短い鋼矢板422を連結する鋼材(例えば2枚の鋼板)432と、を含んで構成される。一対の短い鋼矢板422と鋼材432とは溶接などにより固着される。
また、別の頭部連結材13は、前記一対の凹部414に嵌合可能で両隣の鋼矢板403、405に継ぎ手同士でつながることができる一対の短い(前記凹部414の深さ分の長さの)鋼矢板424と、これら一対の短い鋼矢板424を連結する鋼材(例えば2枚の鋼板)434と、を含んで構成される。一対の短い鋼矢板424と鋼材434とは溶接などにより固着される。
従って、1つの頭部連結材13の一対の短い鋼矢板422を、前記凹部412に挿入し、短い鋼矢板422の両端の継ぎ手を両隣の鋼矢板401、403の継ぎ手とつなげる。
また、別の頭部連結材13の一対の短い鋼矢板424を、前記凹部414に挿入し、短い鋼矢板424の両端の継ぎ手を両隣の鋼矢板403、405の継ぎ手とつなげる。
このようにすることで、第1の壁体11をなす鋼矢板の列と第2の壁体12をなす鋼矢板の列とを連結することができる。
尚、鋼矢板402の上端部と鋼矢板422の下端部、及び、鋼矢板404の上端部と鋼矢板424の下端部は、必要により溶接して一体化してもよい。
また、頭部連結材を構成する鋼矢板(例えば422)を連結する鋼材(例えば2枚の鋼板432)に大きな圧縮力が作用すると、鋼板の場合、座屈することが考えられるが、鋼板の枚数を増やしたり、別の鋼材で補強することで、座屈を防止できる他、コンクリートを充填することでも座屈を防止できる。
図16(A)~(C)は図14の実施形態で用いることができる鋼矢板利用の頭部連結材について示している。
図16(A)は逆位相で配置された一対の鋼矢板を最短距離で連結する鋼矢板利用の頭部連結材、図16(B)は逆位相で配置された一対の鋼矢板を最長距離で連結する鋼矢板利用の頭部連結材、図16(C)は同位相で配置された一対の鋼矢板を連結する鋼矢板利用の頭部連結材である。
図17の実施形態は、鋼板を組み合わせてなる接合鋼材を用いて、第1及び第2の壁体11、12の頭部を連結するものである。
図17(A)は頭部連結部の正面図、図17(B)は平面図、図17(C)は図17(A)のC-C矢視図である。
本実施形態の頭部連結材13は、第1の壁体11の頭部に固定される第1の接合鋼材501と、第2の壁体12の頭部に固定される第2の接合鋼材502と、第1の接合鋼材501と第2の接合鋼材502とを連結する添接鋼板503と、を含んで構成される。
第1の接合鋼材501は、第1の壁体11の頭部を上方から挟み込む2枚の第1鋼板511と、第1鋼板511の上端部に溶接されて第2の壁体12側に水平方向に庇状に突出する第2鋼板512と、第1及び第2鋼板511、512に溶接されてこれらと直交する垂直面内に配置される第3鋼板513と、からなる。
第2の接合鋼材502は、第2の壁体12の頭部を上方から挟み込む2枚の第1鋼板521と、第1鋼板521の上端部に溶接されて第1の壁体11側に水平方向に庇状に突出する第2鋼板522と、第1及び第2鋼板521、522に溶接されてこれらと直交する垂直面内に配置される第3鋼板523と、からなる。
添接鋼板503は、第1及び第2の接合鋼材501、502の両第3鋼板513、523に、これらに跨がるように、あてがわれて、これらを連結する。添接鋼板503はまた、2枚設けられ、両第3鋼板513、523の表裏にあてがわれ、一体的に固定される。
ここにおいて、各2枚の第1鋼板511、521は、第1及び第2の壁体11、12に対し、上方から被せて設置し、押付けボルトにより固定する。
第3鋼板513、523と添接鋼板503とはボルトにより固定する。このボルトの挿通孔は長孔とすることで、第1及び第2の壁体11、12の設置誤差を吸収することができる。また、添接鋼板503側のボルト挿通孔を例えば横方向の長孔とし、第3鋼板513、523側のボルト挿通孔を例えば縦方向の長孔とすることで、縦横いずれの方向の設置誤差も吸収可能となる。
また、このように現場でボルトで組み立てる方式とすることで、容易に撤去可能で、かつ再利用も可能となる。
図18の実施形態は、クロス型の接合鋼材を用いて、第1及び第2の壁体11、12の頭部を連結するものである。
図18(A)は頭部連結部の正面図、図18(B)は平面図である。
本実施形態の頭部連結材13は、第1縦鋼材601と、第2縦鋼材602と、第1クロス鋼材603と、第2クロス鋼材604と、を含む。これらの鋼材はいずれもアングル材で、第1及び第2クロス鋼材603、604についてはアングル材の両端部を斜めに切断して用いる。
第1縦鋼材601は、第1の壁体11の頭部に溶接固定されて縦方向に配置される。
第2縦鋼材602は、第2の壁体12の頭部に溶接固定されて縦方向に配置される。
第1及び第2縦鋼材601、602のいずれも、アングル材の一辺に予めボルト挿通孔を形成しておき、他の辺を第1及び第2の壁体11、12の互いに対向する面に接しさせた状態で周囲を溶接する。
第1クロス鋼材603は、その両端部が、第1縦鋼材601の上部と第2縦鋼材602の下部とにそれぞれボルト固定されて、斜め方向に配置される。
第2クロス鋼材604は、その両端部が、第1縦鋼材601の下部と第2縦鋼材602の上部とにそれぞれボルト固定されて、斜め方向に配置される。
従って、第1クロス鋼材603と第2クロス鋼材604とは、X字状にクロスする。
ここで、第1及び第2クロス鋼材603、604のボルト挿通孔は予め形成しておいてもよいが、現場にて、第1及び第2縦鋼材601、602の溶接固定後に、第1及び第2縦鋼材601、602の孔位置を確認して、孔をあけるとよい。これにより、施工誤差を吸収可能となる。
このように、第1及び第2縦鋼材601、602と第1及び第2クロス鋼材603、604とを用い、第1及び第2クロス鋼材603、604が交差して取付けられることから、第1及び第2の壁体11、12の頭部連結部の剛性を大きくすることができる。
更に、第1及び第2クロス鋼材603、604の交差部605をボルト固定することにより、より強固なトラス構造とすることができ、更なる剛性向上を期待できる。
また、第1及び第2縦鋼材601、602と第1及び第2クロス鋼材603、604との各ボルト固定部は、複数箇所でボルト固定する構成とするのが望ましいが、1箇所でボルト固定する構成となる場合は、第1及び第2クロス鋼材603、604の交差部605をボルト固定することで、剛結合を確保することができる。
図19の実施形態は、鋼矢板打ち込み時のガイド鋼材を用いて、鋼矢板の列からなる第1及び第2の壁体11、12の頭部を連結するものである。
図19(A)~(C)は土留め壁構築の工程順に示し、各図の左側は縦断面図、右側は平面図である。
先ず図19(A)に示すように、第1の壁体11を構成する鋼矢板の打ち込み予定領域を挟んで、例えばH形鋼からなる一対のガイド鋼材701、702を地盤G上に配置する。そして、これら一対のガイド鋼材701、702によりガイドさせて、第1の壁体11を構成する鋼矢板を1つずつ打ち込む。
次に図19(B)に示すように、少なくとも1区間での第1の壁体11の構築後、第2の壁体12を構成する鋼矢板の打ち込み予定領域を挟んで、同様にH形鋼からなる一対のガイド鋼材703、704を地盤G上に配置する。
このとき、第1の壁体11用のガイド鋼材701、702のうち、第2の壁体12側のガイド鋼材702は撤去せず、そのまま残し、反対側のガイド鋼材701のみを撤去する。撤去したガイド鋼材701は、ガイド鋼材703又は704として転用可能である。
そして、一対のガイド鋼材703、704によりガイドさせて、第2の壁体12を構成する鋼矢板を1枚ずつ打ち込む。
次に図19(C)に示すように、少なくとも1区間での第1及び第2の壁体11、12の構築後、第2の壁体12用のガイド鋼材703、704のうち、第1の壁体11側のガイド鋼材703は撤去せず、そのまま残し、反対側のガイド鋼材704のみを撤去する。
これにより、第1及び第2の壁体11、12の頭部間に、ガイド鋼材702、703が残されることになる。
従って、本例のように、第1及び第2の壁体11、12の間隔がガイド鋼材2本分の場合、第1及び第2の壁体11、12とガイド鋼材702、703とを、溶接あるいはボルト固定することで、ガイド鋼材702、703を頭部連結材として利用可能となる。
尚、本例では、第1及び第2の壁体11、12の間隔がガイド鋼材2本分の場合について示したが、第1及び第2の壁体11、12の間隔がガイド鋼材1本分の場合についても適用することができる。
また、図20の変形態様に示すように、第1及び第2の壁体11、12の間隔が広い場合などは、ガイド鋼材702、703間に別途製作した適宜の補助鋼材705を設置し、溶接あるいはボルト固定などで一体化すればよい。
図21の実施形態は、三重土留め壁としたものである。
従って、本実施形態の土留め構造体10は、第1の壁体11と、第2の壁体12と、第3の壁体14との三重構造(三重土留め壁)である。
本実施形態でも、第1、第2及び第3の壁体11、12、14を構成する壁部材として、鋼矢板(シートパイル)を使用する。
第1の壁体11は、地盤(開削前の地盤)Gに、開削側と地山側とを仕切るように打ち込まれる。
第2の壁体12は、第1の壁体11より地山側の地盤に、第1の壁体11に対し例えば0.5~1m程度の間隔をあけて平行に打ち込まれる。
第3の壁体14は、第2の壁体12より地山側の地盤に、第2の壁体12に対し例えば0.5~1m程度の間隔をあけて平行に(あるいは図9の実施形態の第2の壁体12と同様に斜めに)打ち込まれる。
本実施形態の土留め構造体10は、更に、第1の壁体11の頭部と第2の壁体12の頭部とを連結固定する頭部連結材13と、第2の壁体12の頭部と第3の壁体14の頭部とを連結固定する頭部連結材13’と、を含む。
言い換えれば、第1、第2及び第3の壁体11、12、14の打ち込み工程の後に、第1の壁体11の頭部と第2の壁体12の頭部とを頭部連結材13により、また、第2の壁体12の頭部と第3の壁体14の頭部とを頭部連結材13’により連結する工程を実施する。
ここにおいて、第1、第2及び第3の壁体11、12、14と頭部連結材13、13’とは、剛接合して、ラーメン構造(門型ラーメン構造)をなすと共に、第1、第2及び第3の壁体11、12、14間の地盤を拘束する。従って、三重土留め壁は、二重土留め壁を超える効果を発揮することができる。
上記剛接合のための頭部連結材13、13’の具体的構造については、図1~図9の実施形態、更には図10~図20の実施形態に示した構造を適用することができる。
以上の説明から明らかなように、図示の実施形態はあくまで本発明を例示するものであり、本発明は、説明した実施形態により直接的に示されるものに加え、特許請求の範囲内で当業者によりなされる各種の改良・変更を包含するものであることは言うまでもない。
10 土留め構造体
11 第1の壁体
12 第2の壁体
13、13’ 頭部連結材
14 第3の壁体
31 梁部
32 接合部
32a、32b 挟持板
32c 嵌合溝
33 接合部
33a、33b 挟持板
33c 嵌合溝
34、35 ロックナット
41、42、51~54 締め付け固定部(押付けボルト)
60 固化材
61 集水管
62 ポンプ
70 頭部連結材(コンクリート)
101 突起部材
102 場所打ちコンクリート
103 補強鉄筋
201 ボーリング孔
202 高圧噴射ロッド
203 プール(凹部)
204 突起部材
205 地盤改良塊
206、207 ソイルセメント
301 プレキャストコンクリートブロック
302 フック
303 締結部材(PC鋼棒)
401~405 鋼矢板
412、414 凹部
422、424 頭部連結材を構成する短い鋼矢板
432、434 鋼材(2枚の鋼板)
501 第1の接合鋼材
502 第2の接合鋼材
503 添接鋼板
511、521 第1鋼板
512、522 第2鋼板
513、523 第3鋼板
601 第1縦鋼材
602 第2縦鋼材
603 第1クロス鋼材
604 第2クロス鋼材
605 交差部
701~704 ガイド鋼材
705 補助鋼材

Claims (21)

  1. 地盤に開削側と地山側とを仕切るように打ち込まれた第1の壁体と、
    前記第1の壁体より地山側の地盤に、前記第1の壁体に対し間隔をあけて打ち込まれた第2の壁体と、
    前記第1の壁体の頭部と前記第2の壁体の頭部とを連結する頭部連結材と、
    を含んで構成され、
    前記第1及び第2の壁体と前記頭部連結材とは、剛接合して、ラーメン構造をなすことを特徴とする、土留め構造。
  2. 前記第1及び第2の壁体は、それぞれ、鋼矢板の列により形成されることを特徴とする、請求項1記載の土留め構造。
  3. 前記頭部連結材は、前記第1及び第2の壁体と交差する方向に延びる梁部と、この梁部の両端から屈曲して下方に延びる接合部とを有し、
    前記各接合部は上下方向の複数箇所で前記第1及び第2の壁体の頭部に締め付け固定されることを特徴とする、請求項1又は請求項2記載の土留め構造。
  4. 前記各接合部は、二股に分岐していて、前記第1及び第2の壁体のそれぞれを挟持するように嵌合することを特徴とする、請求項3記載の土留め構造。
  5. 前記頭部連結材は、コンクリートであることを特徴とする、請求項1又は請求項2記載の土留め構造。
  6. 前記第1及び第2の壁体は地盤に垂直に打ち込まれ、互いに平行であることを特徴とする、請求項1~請求項5のいずれか1つに記載の土留め構造。
  7. 前記第1の壁体は地盤に垂直に打ち込まれ、前記第2の壁体は下側ほど前記第1の壁体との間隔が拡がるように地盤に斜めに打ち込まれることを特徴とする、請求項1~請求項5のいずれか1つに記載の土留め構造。
  8. 前記第1及び第2の壁体間の地盤に注入された固化材を更に含んで構成されることを特徴とする、請求項1~請求項7のいずれか1つに記載の土留め構造。
  9. 前記第1及び第2の壁体間の地盤から集水して地下水位を低下させる集水設備を更に含んで構成されることを特徴とする、請求項1~請求項7のいずれか1つに記載の土留め構造。
  10. 前記頭部連結材は、
    前記第1及び第2の壁体の頭部にそれぞれ固定され、互いに対向する方向に突出する突起部材と、
    前記突起部材を包み込んで前記第1及び第2の壁体の頭部間で固化されるコンクリート又はソイルセメントと、
    を含んで構成されることを特徴とする、請求項1又は請求項2記載の土留め構造。
  11. 前記頭部連結材は、
    前記第1及び第2の壁体の頭部間に配置されるプレキャストコンクリートブロックと、
    前記第1及び第2の壁体の頭部と前記プレキャストコンクリートブロックとを締め付け固定する締結部材と、
    を含んで構成されることを特徴とする、請求項1又は請求項2記載の土留め構造。
  12. 前記頭部連結材は、
    前記第1及び第2の壁体を形成する鋼矢板の列において、互いに対向する一対の鋼矢板の高さをそれぞれが継ぎ手同士でつながる両隣の鋼矢板の高さより低くすることにより、鋼矢板の列中に形成された一対の凹部と、
    前記一対の凹部に嵌合可能で両隣の鋼矢板と継ぎ手同士でつながることができる一対の短い鋼矢板と、
    前記一対の短い鋼矢板を連結する鋼材と、
    を含んで構成されることを特徴とする、請求項2記載の土留め構造。
  13. 前記頭部連結材は、前記第1の壁体の頭部に固定される第1の接合鋼材と、前記第2の壁体の頭部に固定される第2の接合鋼材と、前記第1及び第2の接合鋼材を連結する添接鋼板とを含んで構成され、
    前記第1及び前記第2の接合鋼材は、それぞれ、一方の壁体の頭部を上方から挟み込む2枚の第1鋼板と、前記第1鋼板の上端部に固着されて他方の壁体側に水平方向に庇状に突出する第2鋼板と、前記第1及び第2鋼板に固着されてこれらと直交する面内に配置される第3鋼板と、を含み、
    前記添接鋼板は、前記第1及び第2の接合鋼材の両第3鋼板にあてがわれてこれらを連結することを特徴とする、請求項1又は請求項2記載の土留め構造。
  14. 前記頭部連結材は、
    前記第1の壁体の頭部に固定されて縦方向に配置される第1縦鋼材と、
    前記第2の壁体の頭部に固定されて縦方向に配置される第2縦鋼材と、
    前記第1縦鋼材の上部と前記第2縦鋼材の下部とに両端部が固定されて斜め方向に配置される第1クロス鋼材と、
    前記第1縦鋼材の下部と前記第2縦鋼材の上部とに両端部が固定されて斜め方向に配置され、前記第1クロス鋼材とクロスする第2クロス鋼材と、
    を含んで構成されることを特徴とする、請求項1又は請求項2記載の土留め構造。
  15. 地盤に開削側と地山側とを仕切るように打ち込まれた第1の壁体と、
    前記第1の壁体より地山側の地盤に、前記第1の壁体に対し間隔をあけて打ち込まれた第2の壁体と、
    前記第2の壁体より地山側の地盤に、前記第2の壁体に対し間隔をあけて打ち込まれた第3の壁体と、
    前記第1の壁体の頭部と前記第2の壁体の頭部、及び、前記第2の壁体の頭部と前記第3の壁体の頭部をそれぞれ連結する頭部連結材と、
    を含んで構成され、
    前記第1、第2及び第3の壁体と前記頭部連結材とは、剛接合して、ラーメン構造をなすことを特徴とする、土留め構造。
  16. 地盤に、開削側と地山側とを仕切るように、第1及び第2の壁体を互いに間隔をあけて打ち込む工程と、
    前記第1及び第2の壁体の打ち込み後、前記第1の壁体の頭部と前記第2の壁体の頭部とを頭部連結材により連結する工程と、
    を含み、
    前記連結工程では、前記第1及び第2の壁体と前記頭部連結材とを、ラーメン構造をなして、前記第1及び第2の壁体間の地盤を拘束するように、剛接合することを特徴とする、土留め方法。
  17. 前記第1及び第2の壁体間の地盤に固化材を注入する工程を更に含むことを特徴とする、請求項16記載の土留め方法。
  18. 前記第1及び第2の壁体間の地盤から集水して地下水位を低下させる工程を更に含むことを特徴とする、請求項16記載の土留め方法。
  19. 前記第1及び第2の壁体間の地盤に高圧噴射撹拌工法によりセメント系の固化材を混合する工程を更に含むことを特徴とする、請求項16記載の土留め方法。
  20. 前記高圧噴射撹拌工法の実施時に排泥されるソイルセメントを前記第1及び第2の壁体の頭部間のプール内に貯留して固化させることにより、当該ソイルセメントを前記頭部連結材として用いて、前記第1の壁体の頭部と前記第2の壁体の頭部とを連結することを特徴とする、請求項19記載の土留め方法。
  21. 地盤に、開削側と地山側とを仕切るように、第1、第2及び第3の壁体を互いに間隔をあけて打ち込む工程と、
    前記第1、第2及び第3の壁体の打ち込み後、前記第1の壁体の頭部と前記第2の壁体の頭部、及び、前記第2の壁体の頭部と前記第3の壁体の頭部をそれぞれを頭部連結材により連結する工程と、
    を含み、
    前記連結工程では、前記第1、第2及び第3の壁体と前記頭部連結材とを、ラーメン構造をなして、前記第1、第2及び第3の壁体間の地盤を拘束するように、剛接合することを特徴とする、土留め方法。
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