JP7158231B2 - 合成柱及びそれを用いた橋脚、施工方法 - Google Patents
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しかしながら、近年、多くの時間的・空間的制約が課せられ、振動・騒音といった周辺環境にも配慮しつつ、合わせて労働時間短縮や建設コスト削減等、様々な課題への対応が求められている背景から、合理化と省力化を図るための新しい構造や施工方法の開発が進められてきている。
例えば、特許文献1には、通路盤の両側に内部充実のプレキャスト柱を建て込み、該プレキャスト柱に薄肉U字型中空プレキャスト梁を架設して中空内部に主筋とフープ筋を配筋した後、薄肉梁を型枠として中空内部にコンクリートを打設する方法が開示されている。
また、特許文献2には、柱を建て込んだ時、中央に空隙ができるように柱を縦方向に分割し、梁が取り合う部分は梁の形状に沿って切欠き、柱及び梁建て込み後、柱の空隙及び梁・床に現場打ちコンクリートを施工する方法が開示されている。
また、特許文献2の柱のハーフプレキャスト構造及び施工方法は、プレキャスト部材に予め埋設されたフープ筋同士の干渉を避けるため、予めプレキャスト部材同士を地組みし、一体として架台等に設置しなければならない。プレキャスト部材を型枠として、プレキャスト部材に囲まれた中空部にフープ筋や主筋が露出するため、この中空部に現場打ちコンクリートを打設して、プレキャスト部材と一体化を図る必要がある。
係る合成柱によれば、各プレキャスト柱の接合面に沿って生じるせん断力を、係合部を介してプレキャスト柱相互に伝達できるため、建て込まれた複数のプレキャスト柱を合成構造として一体化を図ることができる。
なお、より確実に一体化を図るために、接合面は、凸形状、又は凹形状に形成されていても良い。さらに、接合面に凹部が形成されたプレキャスト柱同士を当接し、凹部によって形成された空間に充填材が充填された空間に充填材が充填されても良い。
係合部を乗り越えようとする外力が作用しても、拘束部材によって確実に包囲拘束されているため、プレキャスト柱が離間することを抑制できる。
係る合成柱の施工方法によれば、各プレキャスト柱建て込まれた状態で平面的に干渉しないため、各プレキャスト柱は予め地組み等で一体化して建て込む必要はなく、各プレキャスト柱を独立して建て込むことができる。
また、拘束部材を付与することでプレキャスト柱が離間する挙動とずれる挙動を抑制することも可能になる。
さらに、本発明の合成柱の施工方法によれば、各プレキャスト柱は予め地組み等で一体化して建て込む必要はなく、個々のプレキャスト柱を独立して建て込むことができる。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1に、本発明の一実施形態に係る複数のプレキャスト柱からなる合成柱を配置したラーメン高架橋の正面図を示す。また、図2(a)に、図1の矢視A-Aで柱一般部の断面図を、同図(b)に、同図(a)の矢視B-Bの断面図をそれぞれ示す。
ラーメン高架橋は、下から杭P,P、地中梁B、合成柱1、上部接合部JU及び上部構造Uとからなり、上部接合部JUは上部構造Uと合成柱1との接合部である。
図2(a)に示す通り、合成柱1は、格子状に配置された4本の矩形形状からなるプレキャスト柱2,2,2,2と、隣り合うプレキャスト柱2,2の対向する接合面23,23との間の離隔が等間隔になるように形成された隙間3と、隙間3の端部に配設されたシール材4,4,4,4と、隙間3内に充填された充填材5と、によって構成されている。
合成柱1を構成するプレキャスト柱2,2,2,2は、予め工場で製作され、トレーラーによって施工現場に搬入、クレーンによって設置される。プレキャスト柱2は、柱主筋21,21・・・とそれらを取り囲むように配設された柱帯筋22,22・・・とが型枠内に設置された状態でコンクリートを打設して製作される。
プレキャスト柱2の4隅の一つに隅切部25を設け、隅切部25を合成柱1の中央に向けてプレキャスト柱2,2,2,2を配置することで、各隅切部25,25,25,25で構成される空間に充填材を充填するための配管を配設することができる。
図3(a)に、図1の矢視A-Aで凹凸形状の係合部が具備された断面図を示す。
同図より、隣り合うプレキャスト柱2,2の対向する接合面23,23に設けられた一方が凸形状241、他方が凹形状242に形成された係合部24が具備されている。
凸形状241及び凹形状242同士を直接係合させることで、水平方向のせん断力を隣り合うプレキャスト柱2に伝達することができるが、凸形状241及び凹形状242との間に隙間3を設け、隙間3に充填された充填材5を介して伝達されても良い。
図3(b)に、図3(a)の矢視C-Cの断面図を示す。同図より、対向する接合面23,23の鉛直方向にもそれぞれ凸形状241及び凹形状242を設けることで、鉛直方向のせん断力を隣り合うプレキャスト柱に伝達することができる。
なお、ここで言う「水平方向」と「鉛直方向」とは、プレキャスト柱2,2,2,2が鉛直に建て込まれた状態における水平方向及び鉛直方向を指し、以下の記載も同様の定義とする。
図4(a)に、図1の矢視A-Aで凹形状の係合部が具備された断面図を示す。
同図より、隣り合うプレキャスト柱2,2の対向する接合面23,23に設けられた双方が凹形状242,242に形成された係合部24が具備されている。
凹形状242,242によって形成された隙間3に充填された充填材5を介して水平方向のせん断力を隣り合うプレキャスト柱2に伝達することができる。
図4(b)に、図4(a)の矢視D-Dの断面図を示す。同図より、対向する接合面23,23の鉛直方向にもそれぞれ凹形状242,242を設けることで、鉛直方向のせん断力を隣り合うプレキャスト柱に伝達することができる。
図5に、複数のプレキャスト柱からなり、鋼板からなる拘束部材が具備された合成柱構造を配置したラーメン高架橋の正面図を示す。
同図より、各プレキャスト柱2,2・・・が鋼板61からなる拘束部材6,6・・・によって離間しないように拘束されている。
図6に、図5の矢視E-Eで鋼板からなる拘束部材が具備された断面図を示す。
同図より、拘束部材6は、図2(a)の一般部外周を包囲するように隙間を空けて配設された鋼板61と、各プレキャスト柱2,2,2,2に埋設されたインサート62,62・・・と、鋼板61を鋼板61に設けた貫通孔に挿通してインサート62,62・・・に固定されたボルト63,63・・・と、該隙間を充填した充填材64と、によって構成されている。
拘束部材としての鋼板には引張り力が作用するため、本実施形態では四隅の隅角部には応力緩和のために曲率を設けられており、それに伴い、各プレキャスト柱2,2,2,2で構成される合成柱1の四隅にも隅切部25,25,25,25が設けられている。
同図は、係合部24の無い一般部を拘束部材6で拘束した形態を示したが、係合部24,24・・・を包囲するように拘束部材6が配設された方が係合効果をより高められるので望ましい。
図7に、複数のプレキャスト柱からなり、緊結材からなる拘束部材が具備された合成柱を配置したラーメン高架橋の正面図を示す。
同図より、各プレキャスト柱2,2・・・が緊結材66,66・・・からなる拘束部材6,6・・・によって離間しないように拘束されている。
図8に、図7の矢視F-fで緊結材からなる拘束部材が具備された断面図を示す。
同図より、拘束部材6は、図2(a)の一般部を構成する隣り合うプレキャスト柱2,2の外面から貫通させた貫通孔65,65・・・と、貫通孔65,65・・・に挿入された緊結材66,66・・・と、貫通孔65,65・・・と緊結材66,66・・・とによって生じる隙間に充填された充填材67,67・・・と、緊結材66,66・・・の端部に螺着され、貫通孔65,65・・・の外側端部に設けられた拡大部651,651・・・に係止されることでプレキャスト柱2に定着される定着材68,68・・・と、拡大部651,651・・・と定着材68,68・・・とによって生じる隙間に充填された仕上材69,69・・・と、によって構成される。
同図は、係合部24の無い一般部を拘束部材6で拘束した形態を示したが、係合部24,24・・・を緊結するように拘束部材6が配設された方が係合効果をより高められるので望ましい。
また、拘束部材を付与することでプレキャスト柱が離間する挙動を抑制することも可能になる。
さらに、本発明の合成柱の施工方法によれば、各プレキャスト柱は予め地組み等で一体化して建て込む必要はなく、個々のプレキャスト柱を独立して建て込むことができる。
図9に、ラーメン高架橋の地中梁上にプレキャスト柱を吊り下ろす工程を示す。同図の通り、地中梁Bには接続部主筋7,7・・・が予め定着されており、プレキャスト柱2には接続カップラー27,27・・・が柱主筋21,21・・・の端部に接続一体として埋設されている。プレキャスト柱2の上方に固定された吊治具10にワイヤーWを取り付け、不図示のクレーンにより、プレキャスト柱2を1本ずつ地中梁Bの所定箇所に吊り下ろす。また、不図示のプレキャスト柱2下端と地中梁Bとの間に隙間を設け、充填材による充填接合を行っても良い。
なお、本実施形態の主筋の接合方式は、機械式継手の一種でモルタル充填継手を採用しているが、主筋の接合方式は、当該モルタル充填継手に限定されない。
次に、図2に示す通り、隣り合うプレキャスト柱2,2の隙間3の外面側端部にシール材4,4,4,4を設置し、充填材5を隅切部25,25,25,25で形成された空間に不図示の充填管を上方より挿入して、隙間3の下方から上方に向けて順次充填し、合成柱1の施工が完了する。
なお、充填材5の充填作業は、上部接合部JUによる上部構造Uとの接合作業が完了した後に行っても良い。
なお、鋼板61が分割されている場合は、分割された鋼板61同士を突き合わせ溶接やプレート接合等の接合手段を用いて一体に接合すれば良い。
例えば、プレキャスト柱の本数や形状及び用途は限定されるものではない。
U 上部構造
B 地中梁
P 杭
JU 上部接合部
1 合成柱
2 プレキャスト柱
21 柱主筋
22 柱帯筋
23 接合面
24 係合部
241 凸形状(係合部)
242 凹形状(係合部)
25 隅切部
26 定着部
27 接続カップラー
3 隙間
4 シール材
5 充填材
6 拘束部材
61 鋼板
62 インサート
63 ボルト
64 充填材
65 貫通孔
651 拡大部
66 緊結材
67 充填材
68 定着材
69 仕上材
7 接続部主筋
8 充填材
10 吊治具
W ワイヤー
11 固定型枠
12 固定ボルト
13 現場打ちコンクリート
Claims (6)
- 4隅の一つに隅切部を有する矩形断面からなる4本のプレキャスト柱を束ねた合成柱であって、
前記4本のプレキャスト柱は各々4つの前記隅切部を前記合成柱の中央に向けて格子状に配置され、
前記4本のプレキャスト柱の接合面に、係合可能な係合部が具備されており、
前記接合面に隙間が形成され、
前記4つの隅切部で形成された空間に充填材充填用の配管を挿通して、前記隙間および該空間に充填材が充填されており、
前記4本のプレキャスト柱を拘束する拘束部材が装着されていることを特徴とする合成柱。 - 前記接合面は、凸形状、又は凹形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の合成柱。
- 前記接合面に凹部が形成されたプレキャスト柱同士を当接し、
前記凹部によって形成された空間に充填材が充填されていることを特徴とする請求項1に記載の合成柱。 - 前記拘束部材は、前記複数のプレキャスト柱の外周面を鋼板で拘束されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の合成柱。
- 前記拘束部材は対向する前記プレキャスト柱を貫通する貫通孔に挿通された緊結材と、
該貫通孔と該緊結材との間に形成された空隙に充填材が充填されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の合成柱。 - 建て込まれた状態で縦方向に分割され、対向する接合面に該接合面が互いに係合可能な係合部が具備された、4隅の一つに隅切部を有する矩形断面からなる4本のプレキャスト柱を各々4つの該隅切部を前記合成柱の中央に向けて格子状に設置し、
前記接合面に第一の隙間が形成され、
前記4つの隅切部で形成された空間に充填材充填用の配管を挿通して、前記第一の隙間、該空間、および、前記4本のプレキャスト柱の下端部を他の構造物と接続された第二の隙間に充填材を充填し、
前記充填材の充填後に、前記4本のプレキャスト柱を拘束する拘束部材を装着して、該4本のプレキャスト柱を拘束することを特徴とする合成柱の施工方法。
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