JP6835138B2 - 既設鋼矢板壁の補強構造 - Google Patents

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Description

本発明は、既設鋼矢板壁の補強構造に関する。
港湾や河川においては、U形鋼矢板またはハット形鋼矢板などを用いた鋼矢板護岸構造が普及しているが、このような水際においては、鋼材にとっては腐食しやすい環境であることから、鋼矢板が経年劣化し、鋼矢板護岸(既設鋼矢板壁)の構造性能が低下する懸念がある。
経年劣化した既設鋼矢板壁に対する補強対策として、既設鋼矢板壁の水際側(前面側)にさらに新たな壁を構築する方法が一般的である。
新たな壁の構築に関し、一般的な方法として、下記特許文献1図13に示される鋼矢板壁の構築(従来例1)がある。既設鋼矢板壁が腐食や破損により劣化し、所定の性能が損なわれた場合、水際側に同一性能の鋼矢板壁を向かい合う形で打設し、両鋼矢板壁の間には土砂などにより間詰めする。
この特許文献1には、他にも、予め広幅パネル状の鋼矢板とH形鋼などを接合して形成する広幅(幅:800mm超)壁部材を使用して、老朽護岸を補修する方法が提案されている(従来例2、特許文献1図2)。
特開2003−074038号公報
従来例1の方法では、護岸に必要な構造性能を回復できる。しかし、新設する鋼矢板壁が大きく水際側に張り出すため、河川においては川幅を狭めて洪水の危険性が増すおそれがあり、また、港湾では港湾水域を狭めて船の接岸に支障をきたすおそれがある。よって、護岸に必要な構造性能を回復すると同時に、新設する鋼矢板壁の護岸前面への張り出しを極力抑えることが必要となる。
この点、従来例2は広幅パネル状の鋼矢板を組み合わせ、かつ、既設鋼矢板壁と新設鋼矢板壁とを結合しており、新設鋼矢板壁の水際側への張り出しが抑えられている。しかし、従来例2には、以下の改善すべき問題点がある。
(1)従来例2は、新設する鋼矢板壁の構築に際し、広幅パネル状の鋼矢板とH形鋼(あるいはT鋼)、および継手部材を溶接やボルトにより予め接合する必要があり、複雑な組立てを行うので、時間、労力、コストが大きくなり、経済的な補修(補強)方法ではない(製造困難、経済性難)。また、上記接合の際、部材の変形が生じ品質が低下するリスクがあり、よってさらに矯正作業が必要となることもある。
(2)大型である広幅パネル状の鋼矢板を運搬することが困難である(特に、一般道路を介した運搬では大幅な経路制限を受けうる)ことから、短尺サイズの部材で運搬し、現地で組み立てるなどの手順が必要となり、新設鋼矢板壁の部材の縦継ぎも頻繁に必要となる。(施工困難1)
(3)広幅パネル状の鋼矢板とH形鋼などを接合して形成する大断面の部材を水底地盤まで打設することから、施工時の地盤への貫入抵抗が大きく、大型の施工機械が必要となり、非常に大きな施工スペースを要する。(施工困難2)
(4)さらに、新設する鋼矢板壁の部材のうち、“H形鋼取り付け部分”と“広幅パネルのみの部分”とで、断面剛性の差が大きいことから、均一に精度良く施工することが困難となる。また剛性の小さい“広幅パネルのみの部分”では、H形鋼取り付け部分の施工の影響を受け、施工中に曲がりが生じるなど損傷を受ける可能性があり、品質にも問題が生じる懸念がある。(施工困難3)
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものである。使用する部材の製造を容易とし、かつ、施工を容易とした既設鋼矢板壁の補強構造を提供することを、本発明の課題とする。
上記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討を重ね、以下の知見を得るに至った。
一般に製造されている直線形鋼矢板、リブ付き鋼板、補強鉄筋かごを用いれば、事前の複雑な組立てや矯正が不要であり、補強構造構築のための時間、労力、コストを低減できる。
また、直線形鋼矢板、リブ付き鋼板、補強鉄筋かごはそれぞれ積み重ねて運べることから、効率的な運搬が可能であり、現地での複雑な組立て作業や頻繁な縦継ぎ作業が省略可能となる。
直線形鋼矢板、リブ付き鋼板、補強鉄筋かごをそれぞれ単体で施工すれば施工精度が高まり、打設中の損傷リスクも極小にできる。また、従前の施工機械で対応可能であり、補強構造構築のための施工スペースも小さくできる。
直線形鋼矢板による新設鋼矢板壁と、所定の位置に配置したリブ付き鋼板や補強鉄筋かごと、充填したコンクリートまたはソイルセメント等を一体化して、土圧および水圧に抵抗することから、壁体として十分大きな構造性能を得ることができる。また新設する壁部分の水際側への張り出しも抑制できる。
本発明は、これらの知見に基づきさらに検討を重ねて完成されたものである。本発明の要旨は以下のとおりである。
[1] U形鋼矢板またはハット形鋼矢板による、凹部と凸部が交互に連続する既設鋼矢板壁の補強構造であって、前記既設鋼矢板壁の凹部に接触する、または、少し離れた位置に、リブ付き鋼板または補強鉄筋かご、もしくはその両方が配置され、前記既設鋼矢板壁の凸部から少し離れて、直線形鋼矢板による新設鋼矢板壁が配置され、前記既設鋼矢板壁と新設鋼矢板壁との間には、充填材が充填されてなる、既設鋼矢板壁の補強構造。
[2] 前記リブ付き鋼板または補強鉄筋かごの下端が、水底位置に配置され、または水底地盤に根入れされてなるとともに、前記直線形鋼矢板が水底地盤に打設されてなる、[1]に記載の既設鋼矢板壁の補強構造。
[3] 前記新設鋼矢板壁がシヤコネクタを有してなる、[1]または[2]に記載の既設鋼矢板壁の補強構造。
[4] U形鋼矢板またはハット形鋼矢板による、凹部と凸部が交互に連続する既設鋼矢板壁の水際側に、直線形鋼矢板を水底地盤に打設して新設鋼矢板壁を配置する工程と、前記既設鋼矢板壁と前記新設鋼矢板壁との間であって、前記既設鋼矢板壁の凹部に接触し、または、少し離れた位置に、リブ付き鋼板または補強鉄筋かご、もしくはその両方を配置する工程と、前記新設鋼矢板壁を型枠として充填材を充填する工程と、を含む既設鋼矢板壁の補強工法。
[5] U形鋼矢板またはハット形鋼矢板による、凹部と凸部が交互に連続する既設鋼矢板壁の背後地盤に、直線形鋼矢板を打設して新設鋼矢板壁を配置する工程と、前記既設鋼矢板壁と前記新設鋼矢板壁との間のリブ付き鋼板または補強鉄筋かご、もしくはその両方を配置する地盤部分を掘削すると同時にセメントミルクを注入しソイルセメント地盤を形成する工程と、前記ソイルセメント地盤が固化する前に、前記既設鋼矢板壁の凹部から少し離れた所定の位置にリブ付き鋼板または補強鉄筋かご、もしくはその両方を配置する工程と、を含む既設鋼矢板壁の補強工法。
本発明は、使用する部材の製造が容易であり、かつ、施工が容易である既設鋼矢板壁の補強構造である。本発明は、経年使用により腐食や破損により劣化した既設鋼矢板壁の補修や、耐震性向上などのための補強を可能とする。
本発明は、製造性、経済性、施工性に優れ、壁体として十分な構造性能を有し、新設する壁部分の水際側への張り出しも抑制できる。よって、本発明は周辺への影響も小さくできる補強構造である。
図1は、本発明の一実施形態を説明する図面である。 図2は、本発明の一実施形態におけるリブ付き鋼板および補強鉄筋かごの下端の配置や根入れを説明する図面である。 図3は、本発明の一実施形態の変形例を説明する図面である。 図4は、本発明の一実施形態の変形例を説明する図面である。 図5は、本発明の一実施形態の変形例を説明する図面である。片面のみリブを有するもの(a)、両面にリブを有するもの(b)を図示している。 図6は、本発明の一実施形態の変形例を説明する図面である。 図7は、本発明の他の一実施形態を説明する図面である。 図8は、本発明の他の一実施形態を説明する図面である。 図9は、本発明の他の一実施形態を説明する図面である。 図10は、実施例1を説明する図面である。 図11は、実施例2を説明する図面である。 図12は、実施例3を説明する図面である。 図13は、実施例4を説明する図面である。 図14は、実施例5を説明する図面である。 図15は、実施例6を説明する図面である。
以下、本発明の実施形態をその最良の形態も含めて説明する。以降の実施形態の説明において補強構造の端部の図示は省略している。端部の構造は、施工条件等に鑑み適宜決定すればよい。
図1は、本発明の一実施形態を示したものである。既設鋼矢板壁10において、新設鋼矢板壁1側への突出を凸、逆側への突出を凹とする。既設鋼矢板壁10の凹部11から少し離れた位置に、リブ付き鋼板3および補強鉄筋かご6が配置され、既設鋼矢板壁10の凸部12から少し離れて、直線形鋼矢板2による新設鋼矢板壁1が配置され、既設鋼矢板壁10と新設鋼矢板壁1との間には、充填材であるコンクリート4またはソイルセメント4を充填した構造となっている。なお、リブ付き鋼板3および補強鉄筋かご6は既設鋼矢板壁10の各凹部11に配置されている。また、リブ付き鋼板3および補強鉄筋かご6は新設鋼矢板壁1に接触していない。この補強構造は、既設鋼矢板壁10の水際側に、直線形鋼矢板2を水底地盤に打設して新設鋼矢板壁1を配置し、既設鋼矢板壁10と新設鋼矢板壁1との間であって、既設鋼矢板壁10の凹部11から少し離れた位置に、リブ付き鋼板3および補強鉄筋かご6を配置した後、新設鋼矢板壁1を型枠として充填材を充填することで構築できる。
既設鋼矢板壁10はU形鋼矢板によって構成されており、凹部と凸部が交互に連続する構成である。既設鋼矢板壁10は、ハット形鋼矢板によって構成されたものであってもよく、U形鋼矢板によってなる部位およびハット形鋼矢板によってなる部位を併せ持っていてもよい。
リブ付き鋼板3のリブは、コンクリート4またはソイルセメント4等の充填材とのシヤコネクタの機能を果たしており、新設鋼矢板壁1や補強鉄筋かご6と一体化して、強固な壁となるために必須となる。リブ形状は特に限定されず、シヤコネクタ機能発揮の観点から、好ましくは縦縞リブ、横縞リブ、斜め縞リブ、チェッカーリブ等であり、より好ましくは横縞リブ(鋼板の深度方向に対して直角方向にリブが設けられている)である。横縞リブがより好適である理由は、壁に作用する曲げモーメントに起因して発生する鋼板およびコンクリートあるいはソイルセメント間の鉛直方向(深度方向)のずれに対し、リブの支圧抵抗面積が最も高まり、有効となるからである。また、リブはリブ付き鋼板3の片面に設けられていてもよく、両面に設けられていても良い。リブ付き鋼板3のサイズは施工内容に鑑みて適宜選択可能であり、好ましくは、幅150〜500mm、厚さ(リブ高さを含む)10〜70mmである。図1では凹部11内にリブ付き鋼板3が1枚配置されているが、適宜リブ付き鋼板3の枚数を増やしてよい。この場合、リブ付き鋼板3どうしは接触や接合されていても良いし、離れた状態としてもよい。
なお、コンクリート4またはソイルセメント4等の充填材と、リブ付き鋼板3とをより強固に定着させる方法として、代表的なもので異形鉄筋やスタッドジベルを取り付ける方法もある。
補強鉄筋かご6は、通常、深さ方向に配置される主筋と、主筋を束ねるフープ筋を構成に含む。補強構造の上面側から見た補強鉄筋かご6の形状は適宜選択可能である。剛性向上の観点から、好ましくは、既設鋼矢板壁10の底面および新設鋼矢板壁1に対向する面を有する形状である。好ましい形状として、例えば、台形、四角形、円形等があり、より好ましくは図1に示すような四角形である。補強鉄筋かご6のサイズやフープ筋を設ける間隔は施工内容に鑑みて適宜選択可能である。
リブ付き鋼板3および補強鉄筋かご6は、剛性向上の観点から、図1に示すように、既設鋼矢板壁10の各凹部11内に配置されることが好ましい。なお、凹部11には、リブ付き鋼板3または補強鉄筋かご6を配置することとしてもよい。
凹部11内に配置されるリブ付き鋼板3と補強鉄筋かご6の相対的な配置関係は適宜決定すればよい。剛性向上の観点から、好ましくは、リブ付き鋼板3と既設鋼矢板壁10の底面を対向させて配置することが好ましい。同様の理由から、補強鉄筋かご6の側面と既設鋼矢板壁10の凹部11底面を対向させて配置することが好ましい。
既設鋼矢板壁10の凹部11から、少し離れた位置にリブ付き鋼板3および/または補強鉄筋かご6を配置する場合は、その隙間にコンクリート4またはソイルセメント4等の充填材が周りこむ程度のクリアランスを確保する必要がある。例えば、凹部11の底面に最も近いリブ付き鋼板3または補強鉄筋かご6の頭部の高さ位置を基準として、凹部11とリブ付き鋼板3または補強鉄筋かご6が少なくとも20mm離れていることが好ましい。なお、前記クリアランスを小さくするためには、充填材として高流動モルタル材を用いることが好ましい。
直線形鋼矢板2は両端に継手部を有し、継手部どうしを嵌合させることができる。直線形鋼矢板2を組み合わせてなる新設鋼矢板壁1の位置は、既設鋼矢板壁10の凸部12、リブ付き鋼板3や補強鉄筋かご6との隙間にコンクリート4またはソイルセメント4等の充填材が周りこむ程度のクリアランスを確保する必要がある。既設鋼矢板壁10の凸部12から、新設鋼矢板壁1位置までの距離(護岸法線直角方向)は、鋼矢板の施工精度のバラツキや、継手形状を考慮して、50mm以上あけておくのが望ましい。一方、壁部分の水際側への張り出しを抑制する観点から、既設鋼矢板壁10の凸部12から新設鋼矢板壁1位置までの距離は500mm以下が好ましい。
本発明では公知の直線形鋼矢板を適宜使用可能である。直線形鋼矢板2のサイズは、好ましくは有効幅L=700mm以下であり、より好ましくは有効幅L=600mm以下である。一方、新設鋼矢板壁の剛性の確保や効率的な施工の観点から、直線形鋼矢板の有効幅L=400mm以上が好ましい。有効幅Lとは継手中心間の距離である。
図2に示すように、直線形鋼矢板2の打設長さ(深さ方向)は、既設鋼矢板壁10の長さと同じとすれば十分であるが、地盤条件などに応じて、水底地盤への打設長さをより短くすることも可能である。本発明では、直線形鋼矢板2により新設鋼矢板壁1を形成するので、直線形鋼矢板2どうしの継手箇所を適切数確保可能であり、例えば河川の湾曲部等のカーブを有する地形にも適応しやすい。
新設鋼矢板壁1の剛性を高めるため、リブ付き鋼板3や補強鉄筋かご6は、図2に示すとおり、通常、それらの下端位置を水底位置またはその近傍位置とする。それよりも浅いと水底地盤面付近で新設鋼矢板壁1に作用する荷重(曲げモーメント)に対して抵抗不十分となり、大きな変形が生じる可能性がある。好ましくは、リブ付き鋼板3や補強鉄筋かご6の下端を水底地盤に根入れする。本発明では、新設鋼矢板壁1とリブ付き鋼板3や補強鉄筋かご6が接続されていない。よって、新設鋼矢板壁1とリブ付き鋼板3や補強鉄筋かご6の建て込み深度はそれぞれ別とすることが可能である。特に各リブ付き鋼板3や補強鉄筋かご6の建て込み深度は、打設される水底地盤の状況に鑑みて適宜調節可能である。
通常、新設鋼矢板壁1とリブ付き鋼板3または補強鉄筋かご6との一体性を保持するためには、充填コンクリート4(またはソイルセメント4)等の充填材は、リブ付き鋼板3や補強鉄筋かご6の下端部と同深度か、それ以深まで充填する。充填材の充填深度が浅いと、新設鋼矢板壁1に作用する荷重(曲げモーメント)に対して抵抗不十分となり、大きな変形が生じる可能性がある。
本発明において、充填材は施工環境に鑑みて適宜選択可能である。例えば、充填材として、砂、礫、粘性土、経時硬化性材料やこれらを混合したものを使用可能である。充填材として、好ましくは経時硬化性材料である。経時硬化性材料として、例えば、コンクリート、ソイルセメント、高流動モルタル、硬化性薬液等がある。充填材の充填方法は、使用する充填材に鑑みて適宜決定すればよい。例えば、充填材としてコンクリートを使用する場合、トレミー管を用いて底部から打ち上げつつ、充填する。
水際側の水底地盤が軟弱な場合は、地盤改良を行って、本発明構造と組合せることで、作用土圧による護岸の変形リスクや地震外力作用時の護岸の変形リスクを抑止できる。
図1に示す実施形態の変形例を図3〜6に示す。図3は、既設鋼矢板壁10の各凹部11にリブ付き鋼板3を配置した例である。図4は既設鋼矢板壁10の各凹部11に補強鉄筋かご6を配置した例である。図5は既設鋼矢板壁10の各凹部11にリブ付き鋼板3および補強鉄筋かご6を配置し、かつ、補強鉄筋かご6の内側にリブ付き鋼板(片面のみリブを有するもの(a)、両面にリブを有するもの(b))を配置した例である。この場合、リブ付き鋼板3は両面リブ付きとすると、定着効果がより高まる可能性がある。図6は、既設鋼矢板壁10の各凹部11にリブ付き鋼板3および補強鉄筋かご6を配置し、かつ、各補強鉄筋かご6を繋ぐ配力筋7と配力筋7にさらに軸方向鉄筋8を設けた例である。
図1、図3、図4で示す構成は、既設鋼矢板壁10の損傷度合いや設計上必要とされる壁の強度に応じて使い分けることが好ましい。既設鋼矢板壁10の損傷度合いが小さい場合は、比較的簡易な図1、図4に示す方法で対応可能である。既設鋼矢板壁の損傷度合いが大きく既設鋼矢板の耐力があまり期待できない場合は、図5に示すように補強鉄筋かご6およびリブ付き鋼板3を併用し、構造強化することが好ましい。
図5で示す構成は、リブ付き鋼板3が補強鉄筋かご6の内側に配置されているため、拘束効果が得られ、剛性がさらに向上する。図6で示す構成は、補強鉄筋かご6どうしを繋いだ上に、軸方向鉄筋8を設けているため、壁耐力がさらに向上する。このように、本発明は、大型の既設鋼矢板壁の補強にも対応可能である。
図7は、本発明の他の実施形態を示したものである。シヤコネクタ5は、コンクリート4またはソイルセメント4等の充填材と定着するために使用する。この実施形態は、図1に示した補強構造において、新設鋼矢板壁1に、コンクリート4またはソイルセメント4等の充填材と定着するためのシヤコネクタ5を設けている。
シヤコネクタ5としては、代表的なもので異形鉄筋やスタッドジベルを用いる方法がある。また、直線形鋼矢板2に突起形状を設け、該突起をシヤコネクタ5としてよい。上記目的に応えうる限り、その他のいずれのシヤコネクタ5を用いてもよい。
新設鋼矢板壁1のシヤコネクタ5として異形鉄筋を用いる場合は、当然ながら、既設鋼矢板壁10と向かい合う面(充填材が充填される面)に取り付ける。通常、シヤコネクタ5を直線形鋼矢板2に取り付けた後、新設鋼矢板壁1を構築する。コンクリート4またはソイルセメント4等の充填材と十分定着させるため、異形鉄筋の取り付け箇所数は2箇所以上が好ましく、取り付け位置は打設機械の把持位置を考慮して決める必要がる。また、取り付ける異形鉄筋のサイズはD10からD19(数字は鉄筋径、単位mm)までが好ましいが、施工上問題なければ、それ以上大きくても構わない。異形鉄筋の深度方向への取り付け範囲は、充填材の打設深さ位置まででよい。
さらに、既設鋼矢板壁10の水際側(前面)にもシヤコネクタ5を取り付けてから、コンクリート4またはソイルセメント4等の充填材を充填すれば、より確実な一体化が期待でき、補強構造をより強固にできる。
なお、この実施形態においても、図3〜図6に示した前記実施形態の変形例と同様の形式を取ることが可能である。
図8に本発明の他の実施形態を示す。図8に示す実施形態では、直線形鋼矢板2の既設鋼矢板壁10側に縞リブを設けた、縞リブ付き直線形鋼矢板22を使用している。縞リブによりコンクリート4またはソイルセメント4等の充填材との定着がとれることから、シヤコネクタ5を設けた場合と同類の構造性能を有する。
図9は、本発明による他の実施形態を示したものである。上述の実施形態と大きく異なる点は、背後地盤側に新設鋼矢板壁1が配置されている点である。即ち、図9の実施形態は、U形鋼矢板またはハット形鋼矢板による、凹部と凸部が交互に連続する既設鋼矢板壁10の背後地盤に、直線形鋼矢板2を打設して新設鋼矢板壁1を配置し、その後既設鋼矢板壁10と新設鋼矢板壁1との間のリブ付き鋼板または補強鉄筋かご、もしくはその両方を配置する地盤部分を掘削すると同時にセメントミルクを注入しソイルセメント地盤を形成し、その後ソイルセメント地盤が固化する前に、既設鋼矢板壁10の凹部11から少し離れた所定の位置にリブ付き鋼板または補強鉄筋かご、もしくはその両方を配置して、補強構造とする。本実施形態によれば、水際側への張り出しは生じず、従来の川幅や港湾水域を狭めることはない。「既設鋼矢板壁10と新設鋼矢板壁1との間は、充填材が充填されてなる」との構成には、図9に示すように、リブ付き鋼板3および/または補強鉄筋かご6を配置する地盤部分にのみ充填材が充填されてなる構成を含む。
なお、地盤掘削中に既設鋼矢板の変形が懸念される場合は、既設鋼矢板壁10および、配置された新設鋼矢板壁1の頭部を結合しておくこと、支保工を設けておくなど、事前に対策をとればよい。
なお、この実施形態においても、図3〜図6に示した前記実施形態の変形例と同様の形式を取ることが可能である。
以下に、本発明の実施例を記載する。本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されない。なお、以下の実施例の説明において、図面は概略図であり、各部材の縮尺は必ずしも正確なものではない。
(実施例1)
図10に、実施例1を説明する図を示す。本実施例では、既設鋼矢板壁10としてU−4形の鋼矢板が使用されており、新設鋼矢板壁1には直線形鋼矢板2(有効幅L=500mm)が、リブ付き鋼板3は幅250×厚さ19mmサイズが、補強鉄筋かご6の断面サイズが320mm(壁法線直角方向)×290mm(壁法線方向)で、主筋にはD22、フープ筋にはD13が用いられている。シヤコネクタ5の異形鉄筋にはD16が使用されている。
新設鋼矢板壁の水際側への張り出しは、80mmとなっている。水面から水底までの深さは4mであり、リブ付き鋼板3の根入れ長さは1mであり、補強鉄筋かご6の根入れ長さは1mである。直線形鋼矢板2は根入れ長さ3mまで打設した。
(実施例2)
図11に、実施例2を説明する図を示す。本実施例では、既設鋼矢板壁10としてU−3形の鋼矢板が使用されており、新設鋼矢板壁1には直線形鋼矢板2(有効幅L=500mm)が、リブ付き鋼板3は幅240×厚さ13mmサイズが、補強鉄筋かご6の断面サイズが240mm(壁法線直角方向)×280mm(壁法線方向)で、主筋にはD16、フープ筋にはD13が用いられている。シヤコネクタ5の異形鉄筋にはD13が使用されている。
新設鋼矢板壁の水際側への張り出しは、70mmとなっている。水面から水底までの深さは2.5mであり、リブ付き鋼板3の根入れ長さは0.5mであり、補強鉄筋かご6の根入れ長さは0.5mである。直線形鋼矢板2は根入れ長さ2mまで打設した。
(実施例3)
図12に、実施例3を説明する図を示す。本実施例では、既設鋼矢板壁10としてU−4W形の鋼矢板が使用されており、新設鋼矢板壁1には直線形鋼矢板2(有効幅L=500mm)が、リブ付き鋼板3は幅320×厚さ25mmサイズが、補強鉄筋かご6の断面サイズが380mm(壁法線直角方向)×360mm(壁法線方向)で、主筋にはD29、フープ筋にはD13が用いられている。シヤコネクタの異形鉄筋にはD19が使用されている。
新設鋼矢板壁の水際側への張り出しは、80mmとなっている。水面から水底までの深さは5mであり、リブ付き鋼板3の根入れ長さは1mであり、補強鉄筋かご6の根入れ長さは1mである。直線形鋼矢板2は深さ3.5mまで打設した。
(実施例4)
図13に、実施例4を説明する図を示す。本実施例では、既設鋼矢板壁10としてU−4形の鋼矢板が使用されており、新設鋼矢板壁1には直線形鋼矢板2(有効幅L=500mm)が、リブ付き鋼板3は幅200×厚さ19mmサイズが、補強鉄筋かご6の断面サイズが320mm(壁法線直角方向)×250mm(壁法線方向)で、主筋にはD22、フープ筋にはD13が用いられている。シヤコネクタ5の異形鉄筋にはD16が使用されている。
(実施例5)
図14に、実施例5を説明する図を示す。本実施例では、既設鋼矢板壁10としてU−4形の鋼矢板が使用されており、新設鋼矢板壁1には直線形鋼矢板2(有効幅L=500mm)が、リブ付き鋼板3は幅250×厚さ29mmサイズが用いられている。
新設鋼矢板壁の水際側への張り出しは、50mmとなっている。水面から水底までの深さは4mであり、リブ付き鋼板3の根入れ長さは1mであり、補強鉄筋かご6の根入れ長さは1mである。直線形鋼矢板2は根入れ長さ3mまで打設した。
(実施例6)
図15に、実施例6を説明する図を示す。本実施例では、既設鋼矢板壁10としてU−4形の鋼矢板が使用されており、新設鋼矢板壁1には直線形鋼矢板2(有効幅L=500mm)が、補強鉄筋かご6の断面サイズが320mm(壁法線直角方向)×290mm(壁法線方向)で、主筋にはD29、フープ筋にはD13が用いられている。
新設鋼矢板壁の水際側への張り出しは、80mmとなっている。水面から水底までの深さは4mであり、リブ付き鋼板3の根入れ長さは1mであり、補強鉄筋かご6の根入れ長さは1mである。直線形鋼矢板2は根入れ長さ3mまで打設した。
1 新設鋼矢板壁
2 直線形鋼矢板
3 リブ付き鋼板
4 コンクリートまたはソイルセメント
5 シヤコネクタ
6 補強鉄筋かご
7 配力筋
8 軸方向鉄筋
10 既設鋼矢板壁
11 凹部
12 凸部
22 縞リブ付き直線形鋼矢板

Claims (4)

  1. U形鋼矢板またはハット形鋼矢板による、凹部と凸部が交互に連続する既設鋼矢板壁の補強構造であって、
    前記既設鋼矢板壁の凹部から少し離れた位置に、鋼板の片面または両面にリブが縞状に設けられてなるリブ付き鋼板または該リブ付き鋼板と補強鉄筋かごの両方が配置され、
    前記既設鋼矢板壁の凸部から少し離れて、直線形鋼矢板による新設鋼矢板壁が配置され、
    前記リブ付き鋼板または該リブ付き鋼板と前記補強鉄筋かごの両方は、前記新設鋼矢板壁に接触しないように配置され、
    前記既設鋼矢板壁と新設鋼矢板壁との間には、充填材が充填されてなる、既設鋼矢板壁の補強構造。
  2. 前記リブ付き鋼板は、該リブ付き鋼板のリブが設けられる面が前記既設鋼矢板壁の凹部底面に対向するように配置されてなる、請求項1に記載の既設鋼矢板壁の補強構造。
  3. 前記リブ付き鋼板の下端が、水底位置に配置され、または水底地盤に根入れされてなるとともに、
    前記直線形鋼矢板が水底地盤に打設されてなる、請求項1または2に記載の既設鋼矢板壁の補強構造。
  4. 前記新設鋼矢板壁がシヤコネクタを有してなる、請求項1〜3のいずれかに記載の既設鋼矢板壁の補強構造。
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