JP6489055B2 - 既設鋼矢板壁の補強構造および補強工法 - Google Patents

既設鋼矢板壁の補強構造および補強工法 Download PDF

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本発明は、既設鋼矢板壁の補強構造および補強工法に関する。
港湾や河川においては、U形鋼矢板またはハット形鋼矢板などを用いた鋼矢板護岸構造が普及しているが、このような水際においては、鋼材にとっては腐食しやすい環境であることから、鋼矢板が経年劣化し、鋼矢板護岸(既設鋼矢板壁)の構造性能が低下する懸念がある。
経年劣化した既設鋼矢板壁に対する補強対策として、既設鋼矢板壁の水際側(前面側)にさらに新たな壁を構築する方法が一般的である。
新たな壁の構築に関し、一般的な方法として、下記特許文献1図13に示される鋼矢板壁の構築(従来例1)がある。既設鋼矢板壁が腐食や破損により劣化し、所定の性能が損なわれた場合、水際側に同一性能の鋼矢板壁を向かい合う形で打設し、両鋼矢板壁の間は土砂などにより間詰めする。
この特許文献1には、他にも、予め広幅パネル状の鋼矢板とH形鋼などを接合して形成する広幅(幅:800mm超)壁部材を使用して、老朽護岸を補修する方法が提案されている(従来例2、特許文献1図2)。
特開2003−074038号公報
従来例1の方法では、護岸に必要な構造性能を回復できる。しかし、新設する鋼矢板壁が大きく水際側に張り出すため、河川においては川幅を狭めて洪水の危険性が増すおそれがあり、また、港湾では港湾水域を狭めて船の接岸に支障をきたすおそれがある。よって、護岸に必要な構造性能を回復すると同時に、新設する鋼矢板壁の護岸前面への張り出しを極力抑えることが必要となる。
この点、従来例2は広幅パネル状の鋼矢板を組み合わせ、かつ、既設鋼矢板壁と新設鋼矢板壁とを結合しており、新設鋼矢板壁の水際側への張り出しが抑えられている。しかし、従来例2には、以下の改善すべき問題点がある。
(1)従来例2は、新設する鋼矢板壁の構築に際し、広幅パネル状の鋼矢板とH形鋼(あるいはT鋼)、および継手部材を溶接やボルトにより予め接合する必要があり、複雑な組立てを行うので、時間、労力、コストが大きくなり、経済的な補修(補強)方法ではない(製造困難、経済性難)。また、上記接合の際、部材の変形が生じ品質が低下するリスクがあり、よってさらに矯正作業が必要となることもある。
(2)大型である広幅パネル状の鋼矢板を運搬することが困難である(特に、一般道路を介した運搬では大幅な経路制限を受けうる)ことから、短尺サイズの部材で運搬し、現地で組み立てるなどの手順が必要となり、新設鋼矢板壁の部材の縦継ぎも頻繁に必要となる。(施工困難1)
(3)広幅パネル状の鋼矢板とH形鋼などを接合して形成する大断面の部材を水底地盤まで打設することから、施工時の地盤への貫入抵抗が大きく、大型の施工機械が必要となり、非常に大きな施工スペースを要する。(施工困難2)
(4)さらに、新設する鋼矢板壁の部材のうち、“H形鋼取り付け部分”と“広幅パネルのみの部分”とで、断面剛性の差が大きいことから、均一に精度良く施工することが困難となる。また剛性の小さい“広幅パネルのみの部分”では、H形鋼取り付け部分の施工の影響を受け、施工中に曲がりが生じるなど損傷を受ける可能性があり、品質にも問題が生じる懸念がある。(施工困難3)
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものである。使用する部材の製造を容易とし、かつ、施工を容易とした既設鋼矢板壁の補強構造および補強工法を提供することを、本発明の課題とする。
上記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討を重ね、以下の知見を得るに至った。
一般に製造されている直線形鋼矢板およびH形鋼を用いれば、事前の複雑な組立てや矯正が不要であり、補強構造構築のための時間、労力、コストを低減できる。
また、直線形鋼矢板、H形鋼はそれぞれ積み重ねて運べることから、効率的な運搬が可能であり、現地での複雑な組立て作業や頻繁な縦継ぎ作業が省略可能となる。
直線形鋼矢板、H形鋼をそれぞれ単体で施工すれば施工精度が高まり、打設中の損傷リスクも極小にできる。また、従前の施工機械で対応可能であり、補強構造構築のための施工スペースも小さくできる。
直線形鋼矢板による新設鋼矢板壁と、所定の位置に配置したH形鋼と、充填したコンクリートまたはソイルセメント等を一体化して、土圧および水圧に抵抗することから、壁体として十分大きな構造性能を得ることができる。また新設する壁部分の水際側への張り出しも抑制できる。
本発明は、これらの知見に基づきさらに検討を重ねて完成されたものである。本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]U形鋼矢板またはハット形鋼矢板による、凹部と凸部が交互に連続する既設鋼矢板壁の補強構造であって、
前記既設鋼矢板壁の凹部に接触する、または、少し離れた位置にH形鋼が配置され、
前記既設鋼矢板壁の凸部および前記H形鋼から少し離れて、直線形鋼矢板による新設鋼矢板壁が配置され、
前記既設鋼矢板壁と前記新設鋼矢板壁との間には、充填材が充填されてなる、既設鋼矢板壁の補強構造。
[2]前記H形鋼の下端が、水底位置に配置され、または水底地盤に根入れされてなるとともに、
前記直線形鋼矢板が水底地盤に打設されてなる、[1]に記載の既設鋼矢板壁の補強構造。
[3]前記H形鋼のフランジ間のウェブ長をH(mm)とし、前記H形鋼の下端が水底位置から(5×H)以上、水底地盤に根入れされてなる、[2]に記載の既設鋼矢板壁の補強構造。
[4]前記H形鋼および/または前記新設鋼矢板壁がシヤコネクタを有してなる、[1]〜[3]のいずれかに記載の既設鋼矢板壁の補強構造。
[5]U形鋼矢板またはハット形鋼矢板による、凹部と凸部が交互に連続する既設鋼矢板壁の水際側に、直線形鋼矢板を水底地盤に打設して新設鋼矢板壁を配置する工程と、
前記既設鋼矢板壁と前記新設鋼矢板壁との間であって、前記既設鋼矢板壁の凹部に接触し、または少し離れた位置にH形鋼を配置する工程と、
前記新設鋼矢板壁を型枠として充填材を充填する工程と、を含む既設鋼矢板壁の補強工法。
[6]U形鋼矢板またはハット形鋼矢板による、凹部と凸部が交互に連続する既設鋼矢板壁の背後地盤に、直線形鋼矢板を打設して新設鋼矢板壁を配置する工程と、
前記既設鋼矢板壁と前記新設鋼矢板壁との間のH形鋼を配置する地盤部分を掘削すると同時にセメントミルクを注入しソイルセメント地盤を形成する工程と、
前記ソイルセメント地盤が固化する前に、前記既設鋼矢板壁の凹部から少し離れた所定の位置にH形鋼を配置する工程と、を含む既設鋼矢板壁の補強工法。
本発明は、使用する部材の製造が容易であり、かつ、施工が容易である既設鋼矢板壁の補強構造および補強工法である。本発明は、経年使用により腐食や破損により劣化した既設鋼矢板壁の補修や、耐震性向上などのための補強を可能とする。
本発明は、製造性、経済性、施工性に優れ、壁体として十分な構造性能を有し、新設する壁部分の水際側への張り出しも抑制できる。よって、本発明は周辺への影響も小さくできる補強構造ならびに補強工法である。
図1は、本発明の一実施形態を説明する図面である。 図2は、本発明の一実施形態におけるH形鋼下端の建て込み深さを説明する図面である。 図3は、本発明の一実施形態におけるH形鋼下端の根入れ長を説明する図面である。 図4は、地盤バネ−鋼矢板壁(はり)モデルの計算結果を示す図面である。 図5は、本発明の他の一実施形態を説明する図面である。 図6は、突起形状を設けたH形鋼の例示図面である。 図7は、シヤコネクタ5を設けたH形鋼3を例示する図面である。 図8は、本発明の他の一実施形態を説明する図面である。 図9は、本発明の他の一実施形態を説明する図面である。 図10は、実施例1を説明する図面である。 図11は、実施例2を説明する図面である。 図12は、実施例3を説明する図面である。 図13は、実施例4を説明する図面である。
以下、本発明の実施形態をその最良の形態も含めて説明する。以降の実施形態の説明において補強構造の端部の図示は省略している。端部の構造は、施工条件等に鑑み適宜決定すればよい。
図1は、本発明の一実施形態を示したものである。既設鋼矢板壁10において、新設鋼矢板壁1側への突出を凸、逆側への突出を凹とする。既設鋼矢板壁10の凹部11から少し離れた位置にH形鋼3が配置され、既設鋼矢板壁10の凸部12および前記H形鋼3から少し離れて、直線形鋼矢板2による新設鋼矢板壁1が配置され、既設鋼矢板壁10と新設鋼矢板壁1との間には、充填材であるコンクリート4またはソイルセメント4が充填された構造となっている。なお、H形鋼3は既設鋼矢板壁10の各凹部11に配置されている。この補強構造は、既設鋼矢板壁10の水際側に、直線形鋼矢板2を打設して新設鋼矢板壁1を配置した後、既設鋼矢板壁10と新設鋼矢板壁1との間であって、既設鋼矢板壁10の凹部11から少し離れた位置にH形鋼3を配置し、新設鋼矢板壁1を型枠として充填材を充填することで構築できる。
既設鋼矢板壁10はU形鋼矢板によって構成されており、凹部と凸部が交互に連続する構成である。既設鋼矢板壁10は、ハット形鋼矢板によって構成されたものであってもよく、U形鋼矢板によってなる部位およびハット形鋼矢板によってなる部位を併せもっていてもよい。
H形鋼3は、補強構造壁体の張出しを抑え、かつ剛性を向上する観点から、図1に示すように、既設鋼矢板壁10の各凹部11内に配置されることが好ましい。また、剛性向上の観点から、図1に示すように、H形鋼3はフランジの外面が凹部11の底面と対面していることが好ましい。
図1では既設鋼矢板壁10の凹部11から少し離れた位置にH形鋼3が配置されているが、既設鋼矢板壁10の凹部11にH形鋼3が接触していてもよい。既設鋼矢板壁10の凹部11にH形鋼3が接触している場合、凹部11とH形鋼3はボルトや溶接等により接合されている必要はない。しかし、既設鋼矢板壁10と補強構造の一体化の観点から凹部11とH形鋼3を接合することが好ましい。既設鋼矢板壁10の凹部11から、少し離れた位置にH形鋼3を配置する場合は、これらの隙間にコンクリート4またはソイルセメント4等の充填材が周りこむ程度のクリアランスを確保する必要がある。例えば、H形鋼3の頭部の高さ位置を基準として、凹部11とH形鋼3が少なくとも20mm離れていることが好ましい。なお、前記クリアランスを小さくするためには、充填材として高流動モルタル材を用いることが好ましい。
本発明では公知のH形鋼を適宜使用可能である。通常、H形鋼の断面は二つのフランジをウェブが繋ぐ形状となっている。好ましくは、H形鋼の断面形状において、フランジ長さ(mm)とウェブ長さ(mm)の比(フランジ長さ/ウェブ長さ)が0.3〜1.0のH形鋼である。なお、本発明において、H形鋼の各フランジの長さは同一であっても良く、長さが異なっていてもよい。フランジの長さが異なる場合、H形鋼の断面形状において、短い方のフランジ長さ/長い方のフランジ長さが0.5以上であることが好ましい。
直線型鋼矢板2は両端に継手部を有し、継手部どうしを嵌合させることができる。直線形鋼矢板2による新設鋼矢板壁1の位置は、既設鋼矢板壁10の凸部12およびH形鋼3との隙間にコンクリート4またはソイルセメント4等の充填材が周りこむ程度のクリアランスを確保した位置とする必要がある。既設鋼矢板壁10の凸部12から新設鋼矢板壁1位置までの距離(護岸法線直角方向)は、鋼矢板の施工精度のバラツキや、継手形状を考慮して、50mm以上あけておくのが望ましい。一方、壁部分の水際側への張り出しを抑制する観点から、既設鋼矢板壁10の凸部12から新設鋼矢板壁1位置までの距離は500mm以下が好ましい。
本発明では公知の直線形鋼矢板を適宜使用可能である。直線形鋼矢板2のサイズは、好ましくは有効幅L=700mm以下であり、より好ましくは有効幅L=600mm以下である。一方、新設鋼矢板壁の剛性の確保や効率的な施工の観点から、直線形鋼矢板の有効幅L=400mm以上が好ましい。有効幅とは、継手中心間の距離である。
図2に示すように、直線形鋼矢板2の打設長さ(深さ方向)は、既設鋼矢板壁10の打設長さと同じとすれば十分であるが、地盤条件などに応じて、水底地盤への打設長さをより短くすることも可能である。本発明では、直線形鋼矢板2により新設鋼矢板壁1を形成するので、直線形鋼矢板2どうしの継手箇所を適切数確保可能であり、例えば河川の湾曲部等のカーブを有する地形にも適応しやすい。
新設鋼矢板壁1の剛性を高めるため、H形鋼3の下端は、図2に示すとおり、通常、水底位置またはその近傍位置とする。それよりもH形鋼3の下端位置が浅いと水底地盤面付近で新設鋼矢板壁1に作用する荷重(曲げモーメント)に対して抵抗不十分となり、新設鋼矢板壁1に大きな変形が生じる可能性がある。
さらに、図3に示すように、H形鋼3を水底地盤に根入れすれば、壁体の剛性が高まる効果がある。図4に示すように、地盤バネ−鋼矢板壁(はり)モデルにより計算(既設鋼矢板壁4形、H形鋼はH350×250)すると、H形鋼3下端が水底位置から根入れ長が5×H(HはH形鋼のフランジ間のウェブ長さ(mm))以上となると壁体の剛性向上効果がより向上するので、H形鋼3下端の水底地盤への根入れ長は、5×H以上とするのがよい。H形鋼3下端の最大根入れ長は、既設鋼矢板壁10の根入れ深さ程度である。
本発明では、新設鋼矢板壁1とH形鋼3が接続されていない。よって、新設鋼矢板壁1とH形鋼3の建て込み深度はそれぞれ別とすることが可能である。特に各H形鋼3の根入れ長は、打設される水底地盤の状況に鑑みて適宜調節可能である。
通常、新設鋼矢板壁1とH形鋼3との一体性を保持するためには、充填材を、H形鋼3下端部と同深度か、それ以深まで充填する。充填材の充填深度が浅いと、新設鋼矢板壁1に作用する荷重(曲げモーメント)に対して抵抗不十分となり、新設鋼矢板壁1に大きな変形が生じる可能性がある。
本発明において、充填材は施工環境に鑑みて適宜選択可能である。例えば、充填材として、砂、礫、粘性土、経時硬化性材料やこれらを混合したものを使用可能である。充填材として、好ましくは経時硬化性材料である。経時硬化性材料として、例えば、コンクリート、ソイルセメント、高流動モルタル、硬化性薬液等がある。充填材の充填方法は、使用する充填材に鑑みて適宜決定すればよい。例えば、充填材としてコンクリートを使用する場合、トレミー管を用いて底部から打ち上げつつ、充填する。
水際側の水底地盤が軟弱な場合は、地盤改良を行って、本発明と組合せることで、作用土圧による護岸の変形リスクや地震外力作用時の護岸の変形リスクを抑止できる。
図5は、本発明の他の実施形態を示したものである。シヤコネクタ5は、コンクリート4またはソイルセメント4等の充填材と定着するために使用する。この実施形態は、図1に示した補強構造において、H形鋼3および新設鋼矢板壁1の両方に、コンクリート4またはソイルセメント4等の充填材と定着するためのシヤコネクタ5を設けている。シヤコネクタ5はH形鋼3または新設鋼矢板壁1の一方にのみ設けてもよい。
シヤコネクタ5としては、代表的なもので異形鉄筋やスタッドジベルを用いる方法がある。また、H形鋼3(図6参照)および直線形鋼矢板2に突起形状を設け、該突起をシヤコネクタ5としてもよい。また、上記に目的に応えうる限り、その他のいずれのシヤコネクタ5を用いてもよい。
H形鋼3のシヤコネクタ5を用いる場合は、図7に例示するように、ウェブを基準面としてその左右に均等にシヤコネクタを取り付けることが好ましい。図5に示すような実施形態ではH形鋼のウェブを境にしてその左右で充填材がわけられてしまう可能性がある。しかし、ウェブを基準面としてその左右に均等にシヤコネクタを取り付けることで補強構造の剛性をバランスよく向上可能である。シヤコネクタはフランジの内面に取り付けてもよいし外面にとりつけてもよいし、フランジの両面に取り付けても良い。また、シヤコネクタ5はH形鋼のウェブに取り付けてもよい。
新設鋼矢板壁1のシヤコネクタ5として異形鉄筋を用いる場合は、当然ながら、既設鋼矢板壁10と向かい合う面(充填材が充填される面)に取り付ける。通常、シヤコネクタ5を直線形鋼矢板2に取り付けた後、新設鋼矢板壁1を構築する。コンクリート4またはソイルセメント4等の充填材と十分定着させるため、異形鉄筋の取り付け箇所数は2箇所以上が好ましく、取り付け位置は打設機械の把持位置を考慮して決める必要がある。また、取り付ける異形鉄筋のサイズはD10からD19(数字は鉄筋径、単位mm)までが好ましいが、施工上問題なければ、それ以上大きくても構わない。異形鉄筋の深度方向への取り付け範囲は、充填材の打設深さ位置まででよい。
H形鋼3の圧延成形時においてシヤコネクタ5である突起を設ける例として、図6に、フランジの内面に突起を付ける例、ならびに外面に突起を付ける例を示す。このような突起を有するH形鋼や、突起を設けた直線形鋼矢板2を用いれば、シヤコネクタ5の取り付け作業が不要となる。
さらに、既設鋼矢板壁10の水際側(前面)にもシヤコネクタ5を取り付けてから、コンクリート4またはソイルセメント4等の充填材を充填すれば、より確実な一体化が期待でき、補強構造としてより強固となる。また、前記H形鋼3の打設後において、H形鋼3の頭部と既設鋼矢板の頭部とを連結することも、より確実な一体化を行う上で有効である。
また、図8に本発明の他の実施形態を示す。図8に示す実施形態では、直線形鋼矢板2の既設鋼矢板壁10側に縞リブを設けた、縞リブ付き直線形鋼矢板22を使用している。縞リブによりコンクリート4またはソイルセメント4等の充填材との定着がとれることから、シヤコネクタ5を設けた場合と同類の構造性能を有する。
図9は、本発明の他の実施形態を示したものである。上述の実施形態と大きく異なる点は、背後地盤側に新設鋼矢板壁1が配置されている点である。即ち、図9は、U形鋼矢板またはハット形鋼矢板による、凹部と凸部が交互に連続する既設鋼矢板壁10の背後地盤に、直線形鋼矢板2を打設して新設鋼矢板壁1を配置した後、既設鋼矢板壁10と新設鋼矢板壁1との間のH形鋼3を配置する地盤部分を掘削すると同時にセメントミルクを注入しソイルセメント4地盤を形成し、ソイルセメント4地盤が固化する前に、既設鋼矢板壁10の凹部11から少し離れた所定の位置にH形鋼3を配置して、新設鋼矢板壁1とH形鋼3とを一体化した構造とする補強構造・補強工法を説明する図である。この実施形態によれば、水際側への張り出しは生じず、従来の川幅や港湾水域を狭めることはない。「既設鋼矢板壁10と新設鋼矢板壁1との間は、充填材が充填されてなる」との構成には、図9に示すように、H形鋼3を配置する地盤部分にのみ充填材が充填されてなる構成を含む。
なお、地盤掘削中に既設鋼矢板壁10の変形が懸念される場合は、既設鋼矢板壁10および配置された新設鋼矢板壁1の頭部を結合しておくこと、支保工を設けておくなど、事前に対策をとればよい。
以下に、本発明の実施例を記載する。本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されない。なお、以下の実施例の説明において、図面は概略図であり、各部材の縮尺は必ずしも正確なものではない。
(実施例1)
図10に、実施例1を説明する図を示す。本実施例では、既設鋼矢板壁10としてU−4形の鋼矢板が使用されており、新設鋼矢板壁1には直線形鋼矢板2(有効幅L=500mm)が、H形鋼3はH350×250mmサイズが、シヤコネクタ5の異形鉄筋にはD16が使用されている。
新設鋼矢板壁の水際側への張り出しは、100mmとなっている。水面から水底までの深さは4mであり、H形鋼3の根入れ長さは1750mmである。直線形鋼矢板2は根入れ長さ3mまで打設した。
(実施例2)
図11に、実施例2を説明する図を示す。本実施例では、既設鋼矢板壁10としてU−3形の鋼矢板が使用されており、新設鋼矢板壁1には直線形鋼矢板2(有効幅L=500mm)が、H形鋼3はH250×175mmサイズが、シヤコネクタ5の異形鉄筋にはD13が使用されている。
新設鋼矢板壁の水際側への張り出しは、80mmとなっている。水面から水底までの深さは2.5mであり、H形鋼3の根入れ長さは1250mmである。直線形鋼矢板2は根入れ長さ2mまで打設した。
(実施例3)
図12に、実施例3を説明する図を示す。本実施例では、既設鋼矢板壁10としてU−4W形の鋼矢板が使用されており、新設鋼矢板壁1には直線形鋼矢板2(有効幅L=500mm)が、H形鋼3はH400×200mmサイズが、シヤコネクタ5の異形鉄筋にはD19が使用されている。
新設鋼矢板壁の水際側への張り出しは、100mmとなっている。水面から水底までの深さは5mであり、H形鋼3の根入れ長さは2000mmである。直線形鋼矢板2は根入れ長さ3.5mまで打設した。
(実施例4)
図13に、実施例4を説明する図を示す。本実施例では、既設鋼矢板壁10としてU−4形の鋼矢板が使用されており、新設鋼矢板壁1には直線形鋼矢板2(有効幅L=500mm)が、H形鋼3はH350×250mmサイズが、シヤコネクタ5の異形鉄筋にはD16が使用されている。
1 新設鋼矢板壁
2 直線形鋼矢板
3 H形鋼
4 コンクリートまたはソイルセメント
5 シヤコネクタ
10 既設鋼矢板壁
11 凹部
12 凸部
22 縞リブ付き直線形鋼矢板

Claims (6)

  1. U形鋼矢板またはハット形鋼矢板による、凹部と凸部が交互に連続する既設鋼矢板壁の補強構造であって、
    前記既設鋼矢板壁の凹部に接触する、または、少し離れた位置にH形鋼が配置され、
    前記既設鋼矢板壁の凸部から20mm以上離れて、かつ前記H形鋼から20mm以上離れて、直線形鋼矢板による新設鋼矢板壁が配置され、
    前記既設鋼矢板壁と前記新設鋼矢板壁との間には、充填材が充填され
    前記既設鋼矢板壁、前記新設鋼矢板壁、および前記H形鋼は、前記充填材のみによって一体化されてなる、既設鋼矢板壁の補強構造。
  2. 前記H形鋼の下端が、水底位置に配置され、または水底地盤に根入れされてなるとともに、
    前記直線形鋼矢板が水底地盤に打設されてなる、請求項1に記載の既設鋼矢板壁の補強構造。
  3. 前記H形鋼のフランジ間のウェブ長をH(mm)とし、前記H形鋼の下端が水底位置から(5×H)以上、水底地盤に根入れされてなる、請求項2に記載の既設鋼矢板壁の補強構造。
  4. 前記H形鋼および/または前記新設鋼矢板壁がシヤコネクタを有してなる、請求項1〜3のいずれかに記載の既設鋼矢板壁の補強構造。
  5. U形鋼矢板またはハット形鋼矢板による、凹部と凸部が交互に連続する既設鋼矢板壁の水際側に、該既設鋼矢板壁の凸部から20mm以上離れるように直線形鋼矢板を水底地盤に打設して新設鋼矢板壁を配置する工程と、
    前記既設鋼矢板壁と前記新設鋼矢板壁との間であって、前記既設鋼矢板壁の凹部に接触し、または少し離れるとともに前記新設鋼矢板壁から20mm以上離れた位置にH形鋼を配置する工程と、
    前記新設鋼矢板壁を型枠として充填材を充填する工程と、を含む既設鋼矢板壁の補強工法。
  6. U形鋼矢板またはハット形鋼矢板による、凹部と凸部が交互に連続する既設鋼矢板壁の背後地盤に、該既設鋼矢板壁の凸部から20mm以上離れるように直線形鋼矢板を打設して新設鋼矢板壁を配置する工程と、
    前記既設鋼矢板壁と前記新設鋼矢板壁との間のH形鋼を配置する地盤部分を掘削すると同時にセメントミルクを注入しソイルセメント地盤を形成する工程と、
    前記ソイルセメント地盤が固化する前に、前記既設鋼矢板壁の凹部から少し離れるとともに前記新設鋼矢板壁から20mm以上離れた所定の位置にH形鋼を配置する工程と、を含む既設鋼矢板壁の補強工法。
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