JP2018009388A - 先行エレメントの端部構造および地中連続壁の施工方法 - Google Patents

先行エレメントの端部構造および地中連続壁の施工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】止水性および断面力伝達性能を備えた地中連続壁を簡易かつ安価に構築することを可能とした、先行エレメントの端部構造および地中連続壁の施工方法を提案する。【解決手段】先行エレメント1と後行エレメント2との境界部に配設される仕切板11と、仕切板11の後行エレメント2側の側面に突設された接続部材12と、接続部材12の周囲に空間を形成する空間形成部材15と、仕切板11と空間形成部材15との間に形成された空間内に充填された粒状体17とを備える先行エレメントの端部構造1B。【選択図】図4

Description

本発明は、地中連続壁の先行エレメントの端部構造および地中連続壁の施工方法に関する。
地中連続壁は、複数のエレメントに分けて構築するのが一般的である。
地中連続壁は、地下構造物を構築する際の土留壁(仮設構造)として使用するのが一般的である。ところが、近年では、構造の合理化を目的として、本設構造物として利用可能な地中連続壁が求められている。このような地中連続壁における先行エレメントと後行エレメントとの接合部には、止水性に加えて、断面力伝達性能の向上も求められている。
断面力伝達性能を備えたエレメント同士の接合構造として、先行エレメントの構築時に先行エレメントの鉄筋を後行エレメント側に張り出させておき、先行エレメントと後行エレメントとの間で鉄筋の連続性を確保して断面力の伝達性能を確保する場合がある。
この接合構造では、鉄筋の張り出し部分の防護と移動防止を目的として、反力材、砕石、コンクリート防護板、インターロッキングプレート等を介設しておき、先行エレメントの構築後に引き抜きまたは除去するのが一般的であるが、このような作業には手間がかかる。
そのため、本出願人等は、特許文献1に示すように、先行エレメントと後行エレメントとの境界部に配設される仕切り板と、前記仕切り板よりも後行エレメント側に配設された端面カバーと、前記仕切り板と前記端面カバーとの間に介設されたスペーサと、前記仕切り板を貫通した接続部材と、前記仕切り板の先行エレメント側面および後行エレメント側面にそれぞれ配設された止水板とを備える先行エレメントの端部構造を開発し、実用化に至っている。前記端面カバーおよび前記スペーサは、地盤掘削機で切削可能な材料からなり、前記接続部材の前記後行エレメント側の端部は、前記仕切り板と前記端面カバーとの間に形成された空間内に配置されている。
この先行エレメントの端部構造によれば、後行エレメントを構築する際に端面カバーおよびスペーサを切削して接続部材と止水板とを露出させることで、接続部材および止水板を巻き込んだ状態で後行エレメントを構築することができ、ひいては、止水性および断面力伝達性能を確保した地中連続壁を簡易に構築することができる。
特開2015−175179号公報
先行エレメントの端部構造に設ける端面カバーは、切削可能であるとともに、打設コンクリートや掘削時の安定液等により作用する圧力に対して十分な強度を有している必要がある。一方、本設構造物として地中連続壁を使用する場合、地中連続壁の壁厚が大きくなる傾向にある。地中連続壁の壁厚が大きくなると、端面カバーの支点間距離が大きくなるため、必然的に端面カバーの強度を高める必要がある。
端面カバーの強度を高めると、後行エレメントの施工時の掘削作業に手間がかかるとともに、材料費が高価になる。
このような観点から、本発明は、断面力伝達性能を備えた地中連続壁を簡易かつ安価に構築することを可能とした、先行エレメントの端部構造および地中連続壁の施工方法を提案することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明の第一の先行エレメントの端部構造は、先行エレメントと後行エレメントとの境界部に配設される仕切板と、前記仕切板の後行エレメント側の側面に突設された接続部材と、前記接続部材の周囲に空間を形成する空間形成部材と、前記仕切板と前記空間形成部材との間に形成された空間内に充填された粒状体とを備える先行エレメントの端部構造であって、前記空間形成部材は、地盤掘削機により切削可能であることを特徴としている。
かかる先行エレメントの端部構造によれば、後行エレメント用の掘削溝を構築する際に空間形成部材を切削できるので、接続部材が露出し、ひいては接続部材を巻き込んだ状態で後行エレメントを構築することができる。こうすることで、断面力伝達性能を確保した地中連続壁を簡易に構築することが可能となる。
空間形成部材と仕切板との間に形成された空間には、粒状体が充填されているため、打設コンクリートや掘削時の安定液等により作用する圧力によって空間形成部材に破損が生じることがない。また、粒状体は、空間形成部材の切削とともに崩れるため、後行エレメント用の掘削溝の掘削を妨げることもない。なお、粒状体には、例えば砂や砕石などを使用すればよい。
本発明の第二の先行エレメントの端部構造は、先行エレメントと後行エレメントとの境界部に配設される仕切板と、前記仕切板の後行エレメント側の側面に突設された接続部材と、前記接続部材の周囲に空間を形成する空間形成部材と、前記仕切板と前記空間形成部材との間に形成された空間内に充填された密実部材とを備える先行エレメントの端部構造であって、前記空間形成部材および前記密実部材は、地盤掘削機により切削可能であることを特徴としている。
かかる先行エレメントの端部構造によれば、第一の先行エレメントの端部構造と同様に、断面力伝達性能を確保した地中連続壁を簡易に構築することが可能となる。
また、空間形成部材と仕切板との間に形成された空間には、密実部材が充填されているため、打設コンクリートや掘削時の安定液等により作用する圧力によって空間形成部材に破損が生じることがない。また、密実部材は、空間形成部材とともに地盤掘削機によって切削されるため、後行エレメント用の掘削溝の掘削を妨げることもない。
また、本発明の地中連続壁の施工方法は、先行エレメント用の鉄筋ユニットを形成する先行準備工程と、先行掘削溝を掘削する先行掘削工程と、前記先行掘削溝に先行エレメントを形成する先行形成工程と、前記先行掘削溝に連続する後行掘削溝を掘削する後行掘削工程と、前記後行掘削溝に前記先行エレメントに連続する後行エレメントを形成する後行形成工程とを備えている。前記先行準備工程は、エレメントフレームに鉄筋籠および仕切板を組み付けて前記鉄筋ユニットを形成する組付け作業と、前記鉄筋ユニットの端部に地盤掘削機により切削可能な空間形成部材を設置し、前記仕切板に突設された接続部材を前記空間形成部材で覆う空間形成部材設置作業とを有していて、前記先行形成工程は、前記鉄筋ユニットおよび前記空間形成部材を前記先行掘削溝に挿入する建込作業と、前記仕切板および前記空間形成部材によって囲まれた空間内に粒状体を充填する充填作業と、前記先行掘削溝内にコンクリートを打設する打設作業とを備えていることを特徴としている。
かかる地中連続壁の施工方法によれば、断面力伝達性能を確保した地中連続壁を簡易に構築することが可能となる。また、仕切板と空間形成部材とによって囲まれた空間内に粒状体が充填されているため、壁厚が大きい地中連続壁を形成する場合であっても、カバー材の支点間距離が大きくなることがない。また、粒状体は地盤掘削機によって空間形成部材を切削した際に崩れるため、空間形成部材の切削によって接続部材を露出させることができる。
本発明の先行エレメントの端部構造および地中連続壁の施工方法によれば、断面力伝達性能を備えた地中連続壁を簡易かつ安価に構築することができる。
本発明の実施形態の地中連続壁の一部を示す平断面図である。 先行エレメントと後行エレメントとの接合部を示す横断面図である。 (a)は本実施形態の地中連続壁の施工方法を示すフロー図、(b)は先行準備工程の各作業を示すフロー図、(c)は先行形成工程の各作業を示すフロー図、(d)は後行形成工程の各作業を示すフロー図である。 (a)は先行エレメントの端部構造を示す平断面図、(b)は他の形態に係る先行エレメントの端部構造を示す平断面図である。 空間形成部材を示す斜視図である。 (a)〜(d)は本発明の実施形態の地中連続壁の施工方法の各施工状況を示す平面図である。 (a)および(b)は、図6(d)に続く地中連続壁の施工方法の各施工状況を示す平面図である。
本実施形態では、図1に示すように、先行エレメント1の隣に後行エレメント2を連設することにより地中連続壁を構築する場合について説明する。
先行エレメント1および後行エレメント2は、それぞれコンクリート3とコンクリート3に埋め込まれた鉄筋籠4により構成されている。先行エレメント1と後行エレメント2との接合部では、先行エレメント1側に凹部1Aが形成されているとともに、後行エレメント2側に凹部1Aと係合する凸部2Aが形成されている。
凹部1Aの底部(先行エレメント1の側端面)には、複数の接合部材12および止水板13が突設された仕切板11が配設されている。接合部材12は、仕切板11を貫通していて、先行エレメント1と後行エレメント2(凸部2A)とに跨って配設されている。本実施形態では、4本の接合部材12が、前後方向(地中連続壁の壁厚方向)に所定の間隔をあけて並設されている。また、接合部材12は、図2に示すように、深さ方向に対して所定の間隔をあけて複数段並設されている。
止水板13は、仕切板11の先行エレメント側面および後行エレメント側面にそれぞれ立設されている。なお、止水板13を構成する材料は限定されるものではないが、本実施形態では鋼板を仕切り板11に溶接することにより構成している。また、止水板13は、仕切板11を貫通させた板状部材により形成してもよいし、仕切板11に形成されたブラケットに固定してもよい。また、止水板13は必要に応じて配設すればよい。
図1および図2に示すように、凸部2Aには、接合筋21が配筋されている。本実施形態では、後行エレメント2の前後方向に対して、5本の接合筋21が接合部材12の配設ピッチと同ピッチで配筋されている。隣り合う接合筋21,21は、接合部材12を挟むように配筋されている。接合筋21は、図2に示すように、鉄筋をコ字状に折り曲げることにより形成されていて、深さ方向に対して、接合部材12の2倍のピッチで配筋されている。なお、接合筋21の形状や配筋ピッチ等は限定されるものではない。
また、本実施形態では、凸部2A内の接合部材12に隣接した位置に、接合筋21と交差する割裂補強筋22が配筋されている。なお、割裂補強筋22は、必要に応じて配筋すればよい。
先行エレメント1に配設された仕切板11および鉄筋籠4は、エレメントフレーム14に組み付けられている。仕切板11、エレメントフレーム14および鉄筋籠4は、鉄筋ユニット10を構成している。
エレメントフレーム14は、鋼材を組み合わせることにより形成されている。本実施形態のエレメントフレーム14は、鉄筋籠4の内側空間に配設されていて、高さ方向に複数段配設されている。
エレメントフレーム14は、前面側と後面側(図1において上側と下側)にそれぞれ配設された横材141と、前後の横材141を連結する縦材142と、斜材143とを備えている。なお、エレメントフレーム14の構成は限定されるものではない。
横材141を構成する材料は限定されないが、本実施形態ではL型鋼を使用する。
横材141は、先行エレメントを構築する際に掘削された掘削溝の壁面に沿って配設される。
本実施形態では、4本の縦材142が、2本の横材141の間に横架されていることで、平面視はしご状を呈している。なお、縦材142を構成する材料は限定されないが、本実施形態ではL型鋼を使用する。また、エレメントフレーム14の中央部において隣り合う縦材142同士の間には、トレミー管Pを配管するためのスペース(間隔)が確保されている。
斜材143の一端は、横材141に固定されていて、斜材143の他端は、仕切板11または端部の縦材142に固定されている。
エレメントフレーム14の前面および後面には、縦筋42と横筋43とを組み合わせることにより形成された網状鉄筋(格子状鉄筋)41が配筋されている。網状鉄筋41は、エレメントフレーム14の前面および後面に固定されており、鉄筋籠4を形成する。
なお、鉄筋籠4を構成する縦筋42および横筋43の鉄筋径や配筋ピッチ等は限定されるものではなく、適宜設定すればよい。
また、エレメントフレーム14の両端部(図1において左右の端部)には、一対の仕切板11が固定されている。
仕切板11は、先行エレメント1と後行エレメント2との境界部に配設される板材であって、後行エレメント2側に配設された縦材142および斜材143の他端に固定されている。仕切板11は、高さ方向(図1において紙面垂直方向)に延在している。
接続部材12は、図2に示すように、棒状部材からなる軸部121と、軸部121の両端に形成されて軸部121よりも大きな幅(外径)を有した頭部122とを備えたいわゆるスタッドである。なお、接続部材12の構成は限定されるものではない。例えば、接続部材12は、異形鉄筋により構成されていてもよい。また、接続部材12は、必ずしも仕切板11を貫通している必要はなく、例えば、仕切板11に溶接されていてもよい。
図1に示すように、後行エレメント2に配設された接合筋21および鉄筋籠4は、エレメントフレーム23に組み付けられている。接合筋21、エレメントフレーム23および鉄筋籠4は、後行エレメント2の鉄筋ユニット20を構成している。
エレメントフレーム23は、鋼材を組み合わせることにより形成されている。本実施形態のエレメントフレーム23は、鉄筋籠4の内側空間に配設されていて、高さ方向に複数段配設されている。
エレメントフレーム23は、前面側と後面側(図1において上側と下側)にそれぞれ配設された横材231と、前後の横材231を連結する縦材232と、斜材233とを備えている。なお、エレメントフレーム23の構成は限定されるものではない。
横材231および縦材232の詳細は、先行エレメント1の横材141および縦材142と同様なため、詳細な説明は省略する。
斜材233の一端は横材231に固定されていて、斜材233の他端は縦材142に固定されている。
エレメントフレーム23の前面および後面には、縦筋42と横筋43とを組み合わせることにより形成された網状鉄筋(格子状鉄筋)41が配筋されている。網状鉄筋41は、エレメントフレーム14の前面および後面に固定されており、鉄筋籠4を形成する。
なお、鉄筋籠4を構成する縦筋および横筋の鉄筋径や配筋ピッチ等は限定されるものではなく、適宜設定すればよい。
接合筋21は、エレメントフレーム23の縦材232に固定されている。本実施形態では、2本の縦材232に横架させた状態で、接合筋21を両縦材232に固定している。
本実施形態の地中連続壁の施工方法は、図3(a)に示すように、先行準備工程S1、先行掘削工程S2、先行形成工程S3、後行準備工程S4、後行掘削工程S5および後行形成工程S6を備えている。
先行準備工程S1は、鉄筋ユニット10を形成する工程である。
先行準備工程S1は、図3(b)に示すように、組付け作業S11および空間形成部材設置作業S12を備えている。本実施形態では、先行準備工程1を先行掘削工程S2の前に実施する。なお、先行準備工程S1は、先行掘削工程S2の後に実施してもよいし、先行掘削工程S2と並行して実施してもよい。
組付け作業S11では、エレメントフレーム14に鉄筋籠4および仕切板11を組み付けて鉄筋ユニット10を形成する。
空間形成部材設置作業S12では、鉄筋ユニット10の端部に空間形成部材15を設置する(図4(a)参照)。空間形成部材15は、接続部材12の周囲に空間を形成する。空間形成部材15は、地盤掘削機により切削可能な材料からなり、図5に示すように、一対のフランジ部151とウェブ部152により平断面視コ字状を呈している。空間形成部材15は、エレメントフレーム14の高さ方向に延在していて、仕切板11に突設された接続部材12を覆うように設置される。空間形成部材15の端部(フランジ部151には、複数の貫通孔153が形成されている。なお、空間形成部材15を構成する材料や形状は限定されるものではなく、例えば、半円筒状のものであってもよい。
本実施形態では、図4(a)に示すように、仕切板11の前縁および後縁に予め取付部材16を固定しておき、空間形成部材15をこの取付部材16に固定する。本実施形態では、取付部材16として、仕切板11の後行エレメント側の面にL形鋼を固定する。なお、取付部材16は、一方の片が仕切板11に固定されていて、他方の片が仕切板11に立設されている。取付部材16の他方の片は、鉄筋籠4(横筋43)よりも後行エレメント2側に突出しない高さ(長さ)を有している。すなわち、取付部材16は、後行エレメント2の施工時に先行エレメント1の端部を切削した際に、地盤掘削機と接触することがない位置に配設されている。なお、取付部材16は、高さ方向に連続して配設してもよいし、間欠的に配設してもよい。
空間形成部材15は、その両端(両フランジ部151)をそれぞれ取付部材16に添設した状態で、貫通孔153にボルトを螺合することにより、エレメントフレーム14に取り付ける。なお、空間形成部材15の固定方法は限定されない。
先行掘削工程S2は、図6(a)に示すように、先行掘削溝D1を掘削する工程である。先行掘削溝D1は、トレンチカッタ等の地盤掘削機(図示せず)により掘削する。なお、先行掘削溝D1の掘削方法は限定されない。
先行形成工程S3は、先行掘削溝D1に先行エレメント1を形成する工程である。本実施形態の先行形成工程S3は、図3(c)に示すように、建込作業S31と、充填作業S32と、打設作業S33とを備えている。
建込作業S31では、図6(b)に示すように、空間形成部材15が設置された鉄筋ユニット10を先行掘削溝D1に挿入する。このとき、鉄筋ユニット10と先行掘削溝D1の内壁面との間にスペーサー(図示せず)を介設する。なお、スペーサの材質、形状および配置は限定されない。
鉄筋ユニット10を先行掘削溝D1に設置したら、鉄筋ユニット10の中央(中央側の縦材142同士の間)にトレミー管Pを配管する。トレミー管Pは、先行掘削溝D1の底部近傍に達するまで挿入する。
充填作業S32では、図6(c)に示すように、仕切板11および空間形成部材15によって囲まれた空間を粒状体17で充填する。本実施形態では、粒状体17として、砕石を使用する。なお、粒状体17は、砕石に限定されるものではなく、例えば、砂、砂利、コンクリートガラ、再生骨材等を使用してもよい。
仕切板11と接続部材12と空間形成部材15と粒状体17とにより端部構造1Bが形成される。
なお、充填作業S32では、図4(b)に示すように、仕切板11および空間形成部材15によって囲まれた空間に対して、粒状体17に代えて、地盤掘削機により切削可能な密実部材18を充填してもよい。密実部材18は、予め所定の形状に形成された部材により構成されていてもよいし、空間に流し込まれた発泡ウレタンや発泡モルタル等の硬化体や、流動化処理土等であってもよい。
打設作業S33では、図6(d)に示すように、先行掘削溝D1内にコンクリート(フレッシュコンクリート30)を打設する。
フレッシュコンクリート30は、トレミー管Pを利用して、先行掘削溝D1の底面から打設する。トレミー管Pは、フレッシュコンクリート30の上面の上昇に伴って上昇させる。このとき端部構造1Bは、仕切板11と空間形成部材15により囲まれているため、コンクリートが内部に打設されない。
本実施形態では、充填作業S32において、所定の深さ(例えば1m程度)分の粒状体17(または密実部材18)を充填した後、打設作業S33において同等の深さ(例えば1m程度)分のフレッシュコンクリート30を打設する。同様に充填作業32と打設作業33とを繰り返すことにより、先行掘削孔D1内にコンクリートを所定の高さまで打設する。こうすることで、フレッシュコンクリート30の側圧等によって空間形成部材15が変形することを防止する。なお、粒状体17(または密実部材18)の最終的な高さは、空間形成部材15の内外の圧力のバランスを確保することを目的として、コンクリートの打設面よりも高い位置とするのが望ましい。
後行準備工程S4は、鉄筋ユニット20を形成する工程である。鉄筋ユニット20は、エレメントフレーム23に接合筋21および鉄筋籠4を組み付けることで形成する。本実施形態では、後行準備工程S4を、後行掘削工程S5の前に実施する。なお、後行準備工程S4は、後行掘削工程S5の後に実施してもよいし、後行掘削工程S5と並行して実施してもよい。
後行掘削工程S5は、図7(a)に示すように、先行掘削溝D1に連続する後行掘削溝D2を掘削する工程である。後行掘削工程は、先行掘削溝D1に打設したコンクリート(先行エレメント1)に所定の強度が発現してから行う。後行掘削溝D2の掘削は、先行エレメント1の端部を切削しながら行う。なお、後行掘削溝D2の掘削は、先行掘削溝D1と同様に地盤掘削機(図示せず)により行う。
後行掘削溝D2の掘削により、先行エレメント1の端部に設けられた空間形成部材15が切削される。空間形成部材15が切削されることで、先行エレメント1の端部に凹部1Aが形成される。このとき、空間形成部材15を切削すると、粒状体17が後行掘削溝D2側に崩れるため、仕切板11、接続部材12および止水板13が露出する。なお、粒状体17は、後行掘削溝D2の掘削により発生した土砂とともに回収する。
後行形成工程S6は、後行掘削溝D2に先行エレメント1に連続する後行エレメント2を形成する工程である(図1参照)。本実施形態の後行形成工程S6は、図3(d)に示すように、建込作業S61と、打設作業S62とを備えている。
建込作業S61では、鉄筋ユニット20を後行掘削溝D2に挿入する。このとき、鉄筋ユニット20と後行掘削溝D2の内壁面との間にスペーサ(図示せず)を介設する。なお、スペーサの材質、形状および配置は限定されない。鉄筋ユニット20を後行掘削溝D2に設置したら、鉄筋ユニット10の中央(中央側の縦材232同士の間)にトレミー管Pを配管する。トレミー管Pは、先端(下端)が、後行掘削溝D2の底部近傍に達するまで挿入する。
打設作業S62では、後行掘削溝D2内にコンクリート30を打設する。コンクリート30は、トレミー管Pを利用して、後行掘削溝D2の底面から打設する。トレミー管Pは、打設コンクリートの上面の上昇に伴って上昇させる。図7(b)に示すように、コンクリート30は、凹部1A内にも入り込むことで凸部2Aを形成し、仕切板11の後行エレメント2側の面に突設された接続部材12および止水板13を巻き込んだ状態で硬化する。
以上、本実施形態の先行エレメントの端部構造および地中連続壁の施工方法によれば、止水性および断面力伝達性能を確保した地中連続壁を簡易に構築することが可能となる。すなわち、後行エレメント用の掘削溝D2を構築する際に空間形成部材15を切削できるので、接続部材12と止水板11が露出し、ひいては接続部材12および止水板11を巻き込んだ状態で後行エレメント2を構築することができる。
接続部材12は、凹部1A内に配設されているため、後行掘削溝D2の掘削時に地盤掘削機が接触することがない。
また、仕切板11と空間形成部材15とにより形成された空間に粒状体17を充填することにより、壁厚が大きい地中連続壁を形成する場合であっても、空間形成部材15の支点間距離が大きくなることがない。
粒状体17は、空間形成部材15を切削することで、崩れ落ちるため、後行エレメント用の掘削溝D2を切削するのみで、先行エレメント1の端部の接続部(仕切板11、接続部材12および止水板13)を露出させることができる。
先行エレメント1と後行エレメント2は、凹部1Aと凸部2Aにより係合されているため、接合性に優れている。また、先行エレメント1と後行エレメント2は、接続部材12および接続筋21を介して断面力を伝達する連続した構造体となる。また、先行エレメント1と後行エレメント2との接合面(凹部1Aおよび凸部2A)が屈曲しているため、接合面を浸透する漏水の通水延長を長くすることで止水性が向上されている。
以上、本発明の実施形態について説明したが、実施形態に限られず、前記の各構成要素については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
1 先行エレメント
1B 端部構造(先行エレメントの端部構造)
10 鉄筋ユニット
11 仕切板
12 接合部材
15 空間形成部材
17 粒状体
18 密実部材
2 後行エレメント
3 コンクリート
4 鉄筋籠
D1 先行掘削溝
D2 後行掘削溝

Claims (3)

  1. 先行エレメントと後行エレメントとの境界部に配設される仕切板と、
    前記仕切板の後行エレメント側の側面に突設された接続部材と、
    前記接続部材の周囲に空間を形成する空間形成部材と、
    前記仕切板と前記空間形成部材との間に形成された空間内に充填された粒状体と、を備える先行エレメントの端部構造であって、
    前記空間形成部材は、地盤掘削機により切削可能であることを特徴とする、先行エレメントの端部構造。
  2. 先行エレメントと後行エレメントとの境界部に配設される仕切板と、
    前記仕切板の後行エレメント側の側面に突設された接続部材と、
    前記接続部材の周囲に空間を形成する空間形成部材と、
    前記仕切板と前記空間形成部材との間に形成された空間内に充填された密実部材と、を備える先行エレメントの端部構造であって、
    前記空間形成部材および前記密実部材は、地盤掘削機により切削可能であることを特徴とする、先行エレメントの端部構造。
  3. 先行エレメント用の鉄筋ユニットを形成する先行準備工程と、
    先行掘削溝を掘削する先行掘削工程と、
    前記先行掘削溝に先行エレメントを形成する先行形成工程と、
    前記先行掘削溝に連続する後行掘削溝を掘削する後行掘削工程と、
    前記後行掘削溝に前記先行エレメントに連続する後行エレメントを形成する後行形成工程と、を備える地中連続壁の施工方法であって、
    前記先行準備工程は、
    エレメントフレームに鉄筋籠および仕切板を組み付けて前記鉄筋ユニットを形成する組付け作業と、
    前記鉄筋ユニットの端部に地盤掘削機により切削可能な空間形成部材を設置し、前記仕切板に突設された接続部材を前記空間形成部材で覆う空間形成部材設置作業と、を有し、
    前記先行形成工程は、
    前記鉄筋ユニットおよび前記空間形成部材を前記先行掘削溝に挿入する建込作業と、
    前記仕切板および前記空間形成部材によって囲まれた空間内に粒状体を充填する充填作業と、
    前記先行掘削溝内にコンクリートを打設する打設作業と、を備えていることを特徴とする、地中連続壁の施工方法。
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