JP6397321B2 - 止水板取付部材、止水板、鉄筋架台および連続地中壁の施工方法 - Google Patents
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エレメント同士の接合部では、先行エレメントの端面(接合面)に切削面(凹凸面)を形成することで、後行エレメントとの接合性を確保する場合がある。
一方、接合面に凹凸面を形成する従来のエレメント同士の接合構造では、本設構造物としては止水性が不十分であった。
例えば、特許文献1では、掘削機械で切削可能な材料からなる中空部材を先行エレメントの端部に埋設しておき、この中空部材の一部を切削することで露出した開口部に止水部材を取り付ける施工方法が開示されている。
本発明の止水板取付部材によって、止水板を取り付けるための空間を先行エレメントの側縁に亘って形成する。この空間を形成するカバー材を後行エレメント設置直前に切削し、止水板を保持する保持部を確実に露出させることができるようにしている。
前記ベース部材は、前記保持部となるスリットが形成された管材と、前記管材を挟んで対向するように設けられた一対の板材とが一体に形成されてなるものが望ましい。
前記止水板取付部材の保持部によって保持される本発明の止水板は、板状部と前記板状部の端部に形成された係止部とを備えている。
先行エレメント1は、図1に示すように、鉄筋架台10とコンクリート(図示省略)とにより構成されている。
架台本体11は、鉄筋籠12を支持するものであって、鋼材を組み合わせることにより形成されている。
架台本体11は、前面側と後面側(図1において上側と下側)にそれぞれ配設された横材111と、前後の横材111を連結する縦材112と備えている。なお、架台本体11の構成は限定されるものではない。
横材111は、先行エレメントを構築する際に掘削された掘削溝の壁面に沿って配設される。
なお、縦材112を構成する材料は限定されないが、本実施形態ではL型鋼を使用する。
また、鉄筋架台10の中央部において隣り合う縦材112の間には、トレミー管Pを配管するためのスペースが確保されている。
なお、斜材113を構成する材料は限定されない。
なお、鉄筋籠12を構成する縦筋および横筋の鉄筋径や配筋ピッチ等は限定されるものではなく、適宜設定すればよい。
止水板取付部材13は、先行エレメント1と後行エレメント2との境界部に配設される板材であって、後行エレメント2側に配設された縦材112に固定されている。止水板取付部材13は、高さ方向(紙面垂直方向)に延在している。
ベース部材131は、止水板を取り付け可能な保持部133と、保持部133を挟んで対向するように設けられた一対の板材134とを備えている。
保持部133には、図3(b)に示すように、後行エレメント設置時に止水板14が取り付けられる。
また、保持部133の断面形状はC字状に限定されるものではない。また、保持部133は、必ずしも管材により形成する必要はなく、例えば中空矩形断面の一辺にスリットを加工した板材であってもよい。
止水テープ140を構成する材料は限定されるものではないが、例えば粘着テープを使用すればよい。
なお、板材134の構成は限定されるものではなく、例えば、平板であってもよいし波型の板材であってもよい。板材134はエレメントの全高と同じ高さを有する板体である。
本実施形態では、固定材16として溝形鋼を使用する。
なお、固定材16の配置等は限定されるものではない。また、固定材16を構成する材料も限定されるものではなく、例えばH形鋼であってもよい。
カバー材132は、後行エレメント側に凸となる断面形状の湾曲部137と、湾曲部137の両端から側方に向けて屈曲して延設された一対の取付部138とにより平断面視ハット状に形成されている。
カバー材132を構成する材料は、地盤掘削機による切削が可能であれば限定されるものではなく、例えばALC(軽量気泡コンクリート)や、繊維補強コンクリートの他、アクリル樹脂等の樹脂材等を使用すればよい。また、カバー材132の断面形状は、ベース部材131とともに空洞を形成し、かつ、保持部133を覆うことが可能であれば、限定されるものではない。さらに、カバー材132は単一の部材により形成してもよいし、複数の部材を組み合わせることにより形成してもよい。
なお、上記手順では鉄筋架台20を設置後、止水板14を設置する例を示したが,鉄筋架台20に止水板14をあらかじめ取り付けておき、鉄筋架台20を設置する方法をとってもよい。
板状部141の厚さはスリット135よりも小さい。一方、係止部142の幅(外径)は、スリット135よりも大きい。
先行掘削溝D1は、トレンチカッタ等の地盤掘削機により掘削する。なお、先行掘削溝の掘削方法は限定されない。
このとき、鉄筋架台10と先行掘削溝D1の内壁面との間にスペーサー18を介設する。なお、スペーサー18の材質、形状および配置は限定されない。
コンクリートは、トレミー管Pを利用して、先行掘削溝D1の底面から打設する。トレミー管Pは、打設コンクリートの上面の上昇に伴って上昇させる。このとき、ベース部材131とカバー材132に囲まれた筒状部は画成されているので、コンクリートは打設されない。
後行掘削工程は、先行掘削溝D1の打設コンクリート(先行エレメント1)に所定の強度が発現してから行う。
後行掘削溝D2の掘削により、先行エレメント1の端部に設けられたカバー材132が切削されるため、ベース部材131(保持部133)が露出する。
本実施形態では、鉄筋架台20を利用して、鉄筋籠22を設置する。
鉄筋架台20を配置したら、後行エレメント用鉄筋籠21の中央部にトレミー管(図示せず)を配管する。トレミー管Pは、先行掘削溝D1の底部近傍まで挿入する。
止水板14の一端を保持部133に挿入すると、当接板143が保持部133の外面に当接し、保持部133のスリット135が覆われる。これにより、保持部133の内部へのコンクリートの進入が防止される。
なお、止水板14の構成や、止水板14の取付方法は限定されるものではない。また、当接板143は必要に応じて設置すればよい。
コンクリートの打設は、トレミー管Pを利用して、後行掘削溝D2の底面から行う。コンクリートは、止水板14を巻き込んだ状態で打設する。また、トレミー管Pは、打設コンクリートの上面の上昇に伴って上昇させる。
すなわち、断面ハット状のカバー材132を使用しているため、後行掘削溝D2の掘削時に保持部133に掘削機が干渉する心配がなく、施工が容易である。
さらに、止水板14の係止部142が保持部133に係止されて、板状部141は止水板ガイド23に挟まれて設置されるためコンクリートの打設等に伴う止水板14の傾きなどが防止されている。
保持部133内にグラウトが充填されているため、止水板14と保持部133との接合部における止水性も確保されている。また、止水板ガイドはエレメント同士の断面力伝達性能を向上させることになる。
カバー材を構成する材料や形状は限定されるものではなく、例えば、図6(b)に示すように、塩化ビニルパイプを2分割した半円筒状のものであってもよい。その場合板材134に取付片134bを設けてボルト接合させる。
10 鉄筋架台
11 架台本体
12 鉄筋籠
13 止水板取付部材
131 ベース部材
132 カバー材
133 保持部
134 板材
135 スリット
137 湾曲部
14 止水板
2 後行エレメント
D1 先行掘削溝
D2 後行掘削溝
Claims (5)
- 先行エレメントと後行エレメントとの境界部に設けられる止水板取付部材であって、
ベース部材とカバー材とを組み合わせることにより筒状に形成されており、
前記ベース部材には、止水板を保持可能な保持部が形成されており、
前記カバー材は、前記保持部を覆う湾曲部を有し、地盤掘削機により切削可能な材料からなることを特徴とする、止水板取付部材。 - 前記ベース部材は、前記保持部となるスリットが形成された管材と、前記管材を挟んで対向するように設けられた一対の板材とが一体に形成されてなることを特徴とする、請求項1に記載の止水板取付部材。
- 板状部と前記板状部の端部に形成された係止部とを備える止水板であって、
請求項1または請求項2に記載の止水板取付部材の保持部によって保持されることを特徴とする、止水板。 - 先行エレメント構築用の架台本体と、
前記架台本体に支持された鉄筋籠と、
前記架台本体の両端部に固定された一対の止水板取付部材と、を備える鉄筋架台であって、
前記止水板取付部材は、ベース部材とカバー材とを組み合わせることにより筒状に形成されており、
前記ベース部材には、止水板を取り付けるための保持部が形成されていて、
前記カバー材は、地盤掘削機により切削可能な材料からなり、前記保持部を覆う湾曲部を有していることを特徴とする鉄筋架台。 - 地中壁を構築する地盤に先行掘削溝を掘削する先行掘削工程と、
請求項4に記載の鉄筋架台を前記先行掘削溝に設置する先行配筋工程と、
前記先行掘削溝にコンクリートを打設する先行コンクリート打設工程と、
前記先行掘削溝に連続する後行掘削溝を掘削する後行掘削工程と、
後行エレメント用鉄筋架台を前記後行掘削溝に設置する後行配筋工程と、
前記後行掘削溝にコンクリートを打設する後行コンクリート打設工程と、を備える連続地中壁の施工方法であって、
前記後行掘削工程において、後行掘削溝の掘削とともに前記カバー材を切削し、
前記後行配筋工程において、前記保持部に止水板を設置することを特徴とする、連続地中壁の施工方法。
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