JP2013002086A - 杭枠構造体及びその構造物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 地震、大津波などにより生じる巨大水圧に耐え得る構造物又は堤防などの構築を課題とする。
【解決手段】
鋼材の中間部へ所定の長さに亘り鋼板を周繞設置し、前記鋼材の外面と鋼板の内面との間へ、コンクリートを打設してなる鋼コンクリート杭の複数本を、所定間隔で幅方向に数本打設し、長さ方向に所定数打設すると共に、前記鋼コンクリート杭の頭部を緊結し、前記鋼コンクリート杭に近接して鋼格子を敷設したことを特徴とする杭枠構造体により上記課題を解決した。
【選択図】図2
【解決手段】
鋼材の中間部へ所定の長さに亘り鋼板を周繞設置し、前記鋼材の外面と鋼板の内面との間へ、コンクリートを打設してなる鋼コンクリート杭の複数本を、所定間隔で幅方向に数本打設し、長さ方向に所定数打設すると共に、前記鋼コンクリート杭の頭部を緊結し、前記鋼コンクリート杭に近接して鋼格子を敷設したことを特徴とする杭枠構造体により上記課題を解決した。
【選択図】図2
Description
この発明は、鋼杭の一部をコンクリートで被覆した鋼コンクリート杭とこれを用いて主要構造物を構築し、鋼杭及び構造物の耐久性を著しく増大させることを目的とした杭枠構造体及びその構造物に関する。
従来、海岸の消波構造物又は河川の仕切り堤防等に消波用又は仕切り用に鋼矢板を用いているが、前記鋼矢板の水に接触している部分は錆びるので、錆代(0.3mm/年)をとって設計されていた。また、土中の錆代は0.03mm/年として、10分の1以下とされているが、何れにしても永年の使用により、鋼材の強度低下は免れないとされていた。
また、一般的施工としては堤体に加わる波力を分散させるために、膨大な捨て石基礎を築造した。しかし、それを丁寧に仕上げるために、少なくとも1年は放置し、砂地盤となじませるなど多くの資材と手間を要した。また、ケーソンやブロックは海中では浮力を受け、ケーソンと捨て石との間の摩擦係数が0.75のため、海中でのみかけの重量は空気中の約42%にしかならない。このため従来の防波堤は多くの資材と長い工期、大きな工費を必要としていた。
従来、水中に打設した鋼杭にコンクリート管等の覆管を嵌装し、前記鋼杭の外面とコンクリート管の内面との間に、砂利、コンクリート等の充填物を充填し、前記鋼杭の上部(水中から出た部分)を鋼材により連結し、該部にコンクリートを打設して笠コンクリートとし、各杭の間(従って各コンクリート管の間)にコンクリートブロック等の消波材を投入した消波構造物が知られていた(特許文献1)。
前記消波構造物は、鋼杭とコンクリート管とを堅固に一体化することが難しく、かつ現場施工が難しいなどの問題点があった。更に、施工したところ、波による洗掘を受けて受動土圧の効果を減少させるおそれがあった。
従来、盛土の中央部に鋼矢板壁を連設し、該鋼矢板に接する面に改良を加えた堤防が知られていた(特許文献2)。また、護岸用鋼矢板の頂部にプレキャスト笠コンクリートを設けた堤防も提案されている(特許文献3)。
前記各発明における鋼矢板は何れも使用状態で水に接触する露出部を有するので、永年の使用により露出部が腐食し易く、耐久性を損する問題点があった。
この発明は、鋼杭の使用時に水底地盤面から、上部工下面までの間を鋼板で被覆し、前記鋼杭の外面と前記鋼板の内面との間にコンクリートを充填して、鋼コンクリート杭(水との接触部がない杭)として、この鋼コンクリート杭を連結して杭枠とし、杭枠を基として構造物を構成することにより前記問題点を解決したのである。
前記鋼コンクリート杭は、鋼表面の腐食を防止することが目的であるから、コンクリートの厚さは、鋼杭とコンクリートが分離しない程度以上の厚さ(例えば10cm以上)であることが望ましい。従って、外側の鋼板が腐食して分離する年限と共に、コンクリートの自立性が問題視される。
例えば、年0.3mm腐食する鋼板を30年保持するには9mmを必要とするが、前記鋼板は主としてコンクリートと一体的補強を目的としたものであるから、必ずしも鋼板の厚さに拘る必要はない。コンクリートを成形するための型枠と考えてもよい。
この発明の鋼コンクリート杭は、消波構造物、防波堤、護岸又は河川の背割堤防などの主要耐力杭として使用することができる。この鋼コンクリート杭を束ねて構成した杭枠を中心とした構造物は特に、消波構造物として優れており、この消波構造物を所定間隔で多重設置すれば、予測できないような大津波が来襲した場合であっても、その勢力及び波高をも順次低減させることができると共に、被害を著しく小さく収めることができる。何故ならば、この発明の鋼コンクリート杭による杭枠は、杭自体の強度の増強のみならず、耐久性を向上し、かつ消波等の能力も向上するからである。
この発明の鋼コンクリート杭は、水平断面矩形状のコンクリートを基本とするが、その形状は正方形でも円形でも同様の強度がある。また鋼板は、コンクリートの外形を保つ型枠であると共に、補強板としての効果もある。
前記鋼コンクリート杭で消波構造物を構成した場合には、鋼コンクリート杭その他の構成材が水の流動抵抗となって流動力を制御し、複数の消波構造物を通過する間に波浪の勢力を著しく削減することができる。
この発明の鋼コンクリート杭枠を鋼格子と組み合わせると、根固工が一層強固となった消波構造物が構築される。元来消波構造物は、強固な地盤の上部と一体となって構築されることによって、永年に亘り変形、破損のない理想的な消波構造物となるのであるが、この発明は正にこれを実現したものである。
この発明は、構造物の内部に鋼コンクリート杭を有するので、構造物に外力が加わったときに、杭の周囲の地盤の受動土圧の中に反力が自動的に生じ、杭の外力が打ち消されるために、杭に働く力はゼロとなり杭は動くことができないので、当然のことながら構造物も動かないことになり、杭は地盤中に固定されることになる。
前記特許文献1に記載された発明は、骨材となる鋼材を、コンクリートなどの被着状態の一体化が不十分な場合が多く、鋼材腐食のおそれもあり、現場施工のために均一強度(杭の均質性)の不均一を生じやすい問題点があったが、この発明は、所定の杭を工場製産するので、均質でかつ生産性も極めて良好である。
また、従来の杭は、打設した地面が波により洗掘されるなどのおそれもあったが、この発明は鋼格子を敷設して、洗掘のおそれを未然に防止したものである。
また、杭の基部は鋼格子の根固工により洗掘が防止されているので、洗掘による構造物の破壊その他により強度低下を来すおそれはない。
さらに、波浪等が直接作用する堤体基部の鋼格子は、鋼コンクリート杭に直接取り付けてあるので、鋼格子と鋼コンクリート杭とは一体化しており、如何なる大津波に対しても破壊されるおそれはない。
従来の防波堤は、外力を構造物の自重で支える技術思想であったから、大きな外力(波浪)に対しては大きな断面積を必要とし、工費も増大していた。これに対し、この発明の杭枠式構造物は、外力が加わると直ちに地中の杭に伝達され(例えば杭は地中へ10m〜20m入っている)、杭の受動土圧の反力によって杭の外力とつりあうようになるので、従来必須要件とされていた捨て石工は全く不要となり、工事の容易性と工費の節減、工期の短縮が図られる。従来は図10(b)のように、50m〜100m位の幅で捨て石基礎26を施工していたので、多量の捨て石とこれをなじませるための期間(1年間位放置)を必要としていたが、この発明により斯かる捨て石は不要となった。図中27はケーソン、28は水面である。
即ち杭枠構造体の発明について、請求項1の発明は、鋼材の中間部へ所定の長さに亘り鋼板を周繞設置し、前記鋼材の外面と鋼板の内面との間へ、コンクリートを打設してなる鋼コンクリート杭の複数本を、所定間隔で幅方向に数本打設し、長さ方向に所定数打設すると共に、前記鋼コンクリート杭の頭部を緊結し、前記鋼コンクリート杭に近接して鋼格子を敷設したことを特徴とする杭枠構造体である。
また、請求項2の発明は、緊結は、笠コンクリートに埋設又は鋼材による連結としたことを特徴とする請求項1記載の杭枠構造体である。
また、請求項3の発明は、鋼コンクリート杭は、鋼材中間部の所定位置に鋼管を嵌装し、前記鋼材の外壁と鋼管の内壁との間にコンクリートを充填して硬化したことを特徴とする請求項1記載の杭枠構造体である。
次に、構造物の発明について、請求項4の発明は、請求項1記載の杭枠構造体の長手方向の鋼コンクリート杭間に流水阻止用の水密壁を設置したことを特徴とする背割構造物である。
また、請求項5の発明は、請求項1記載の杭枠構造体の鋼コンクリート杭間及び又は鋼格子上に、大割石、コンクリートブロックを投入したことを特徴とする消波構造物である。
また、請求項6の発明は、請求項5記載の消波構造物を海岸線に沿って所定間隔で前後複数列設置したことを特徴とする消波構造物である。
また、請求項7の発明は、請求項6記載の消波構造物において、各消波構造物は一定長さ毎に所定長さの切目を設け、海側に設けた消波構造物の切目を陸側の消波構造物で覆うように切目の位置を配置したことを特徴とする消波構造物である。
更に、請求項8の発明は、請求項1記載の杭枠構造体の鋼格子を長手方向に並列敷設すると共に、長手方向の各鋼コンクリート杭間に水密壁を設置したことを特徴とする堤防構造物である。
前記のように、この発明は、鋼コンクリート杭を用いて合理的かつ耐久性を飛躍的に増大した消波構造物及び河川堤防並びに海岸堤防を提案するものである。
この発明の鋼コンクリート杭よりなる杭枠は、構造物が一体となって外力に対抗し、かつ海水中の鋼の錆代(0.3mm/年)を土中の錆代(0.03mm/年)以下にするもので、構造物の耐久性を著しく増大させる効果がある。
また、鋼格子の一体敷設により、洗掘を未然に防止し、構造物の強度を永く保全することができる効果がある。
また、鋼コンクリート杭の杭枠を用いた杭枠構造物、消波構造物及び堤防は自立性が大きく、永年同一性能を保持すると共に、外形も永年同一状態を保持できる効果がある。
この発明の鋼コンクリート杭は、例えば、鋼に平面矩形の鋼管を遊嵌し、前記鋼の外壁と前記鋼管の内壁との間へ、コンクリートを充填し、鋼コンクリート杭を形成する。前記における鋼コンクリート杭の上下方向の長さは、鋼コンクリート杭の露出部(例えば水と接触する部分)を覆うことを目的としている。従って、一般には鋼枠の上部は笠コンクリートの下面に埋設され、鋼枠の下部は地面に埋設する位置までの長さとする。
前記における笠コンクリートの下面位置と水底(地面)とは、予め判っているので、その寸法に基づき、この発明の鋼コンクリート杭を工場で多量生産することができる。前記笠コンクリートに代えて、鋼コンクリート杭の上端部を鋼材で一体的に連結する場合もある。要は杭枠として一体的構造を構成することである。
現場において(杭の打設後)、コンクリートを注入することを妨げないが、主として水中作業になるので、コンクリートの水中打設は強度上からも作業性からも好ましくなく、鋼コンクリート杭は工場生産することが好ましい。この場合に、コンクリート被覆長さは予め設計できるので、製造に支障を生じるおそれはない。
実施例における鋼材はH鋼としたが、鋼材の断面形状に限定はなく、従来使用されている鋼材を使用することができる。
また、鋼コンクリート杭と鋼格子との緊結については制約がないので、鋼格子の中へ鋼コンクリート杭を打設する場合と、鋼コンクリート杭と鋼格子とを連結具で連結する場合とが考えられるが、何れも採用することができる。
例えば、鋼コンクリート杭の鋼の露出部へ鋼板を溶接し、この鋼板と鋼格子の鋼板とをボルトで連結することもできる。
この発明の実施例を図1、2に基づいて説明する。この発明の鋼コンクリート杭10を製造するには、まず鋼枠6を横置して、その下部へ所定深さにコンクリート7bを充填する。一方、H鋼5を横置し、その上部空間へコンクリート7aを充填する。
コンクリート7a、7bが硬化した後、H鋼5を反転させて鋼枠6内へ載置する(図1(c))。ついで鋼枠6内の空隙へコンクリート7cを充填し、鋼板6aを被着すれば鋼コンクリート杭10が完成する。
前記は鋼コンクリート杭10の製造の一例を示すものである。従って、他の製造工程による場合も総てこの発明の鋼コンクリート杭10である。
鋼コンクリート杭10の打ち込み長さは予め定めてあるので、前記鋼コンクリート杭10を工場製産することに支障はなく、工場で効率よく製産される。
前記鋼コンクリート杭10を横方向へ小間隔(例えば1.5m〜2.5m)複数本(3本〜6本)打設すると共に(図2)、背後の方向(例えば海岸線に沿って)へ小間隔で所定長さに亘って打設し、鋼コンクリート杭10の上部を帯状の笠コンクリート8で連結し、この発明の杭枠構造体15を構成した。
前記における横方向とは杭枠構造体15の幅であって、所定長さとは堤防を設置すべき長さをいう。例えば、堤防を500m〜1000m造る場合には、所定長さは500m〜1000mとなる。従って、杭枠構造体15の幅及び長さは、堤工事の条件によって定められるので、河川の背割堤、河川堤又は消波堤、海岸堤など外的条件によりそれぞれ設計施工されるが、何れも杭枠構造体15を基本構造物とする。
この発明の他の実施例の消波構造物を図2〜5に基づいて説明する。海岸に沿った消波構造物の設置場所の地盤1上へ、鋼格子2を敷設し、隣接鋼格子2、2の枠杆に添板12をそれぞれ溶接し(図4)、該添板12上へ継板3を当接し、前記添板12と継板3とをボルト4で締め付け隣接格子2、2を連結する。
前記鋼格子2は、例えば5本の縦鋼材2a、2aと5本の横鋼材2b、2bとを方形格子状に組み立ててなり、それぞれ溶接固定されている。そこで、隣接格子間においても、図4の場合には縦格子2a、2aを相互に溶接すれば、連結することができるが、現場作業になること(例えば電気が必要)、溶接技術者が必要になること及び連結部が水没するおそれがあるなど、溶接に不向きの場合が多いので、添板12を用いて、ボルト、ナットによる連結方式を採用した。
即ち、隣接鋼格子2に継板3を当接して、鋼格子2と継板3とをボルトで締め付けることが可能であるが、その場合には、鋼格子2の所定部へ予めボルト孔を設けておけば連結可能であり、連結位置の自由度と現場作業の関係で、鋼格子2と添板を別部材とした方が作業性がよい場合が多い。尤も、予め設計されている場合には、鋼格子2の工場製産時に添板まで固定した方が作業性がよいので、状況に応じて適宜の方法を採用する。
要するに、大きさの関係もあって、鋼格子2の連結は敷設後ボルト、ナットなどの緊結手段により一体化されることにより、広大な地域にも堅固に敷設することができる。
次に、鋼格子2の一側枠内を通して鋼コンクリート杭10を打設する。前記鋼コンクリート杭10の並列数は消波構造物19の求める強度により異なる。通常想定される波浪の最大強度を勘案して、鋼コンクリート杭10の能力に応じて設置間隔と並列数を定める。一般には、鋼コンクリート杭10の強度は既知であるから、該鋼コンクリート杭10の打設数とその間隔を最大波力に耐えて消波できるように定める。
前記鋼コンクリート杭10は、数本並列して、これを帯状に長く打設すると共に、各鋼コンクリート杭10の頭部は、帯状の笠コンクリート8に埋設する。複数本の鋼コンクリート杭を長手方向に帯状に並列打設し、しかも杭頭を笠コンクリート8に埋設して一体化しているので、全体がこの発明の枠状に一体化した杭枠15となり、強固な構造体を構成する。
前記笠コンクリート8は、打設された各鋼コンクリート10の上部を埋設し、強固な枠構造とすることを目的としているが、消波構造物を構成する場合には、各鋼コンクリート杭10間(地盤と笠コンクリート8との空間)にコンクリートブロック又は大割石14、14のような消波材を入れる必要がある。
この場合に、消波材の投入は上から投下させるのが合理的であるから、笠コンクリート8構築後に投入する。そこで、笠コンクリート8に投入孔9を設ける(図5)。前記投入孔9の大きさは、前記コンクリートブロック又は大割石14の寸法による。例えば、投入孔の大きさを1.5m×1.5mとすれば、コンクリートブロックは、例えば1.45m×1.45m×1.0m以下にしなければならない。投入孔9は、コンクリートブロック投入後塞ぐことになる。
この実施例における鋼コンクリート杭10には、図5(b)における主動土圧ABDが壁面ABに掛かるが、この主動土圧に対しては、受動土圧ABE(反力)が発生するので、前記主動土圧と受動土圧とはつり合い、構造物は微動もしないことになる。
次に、主動土圧と受動土圧の関係を図8に基づいて説明する。図8(a)は杭の荷重状態を示し、(b)は杭ABCが動かないので、はりの状態に置き換えたものである。前記図8(a)では、水底地盤面DBGから上にWなる荷重が掛かると、地中部の杭BAは、ABHなる力をもって右方向に押されるが、それより遙かに大きい受動土圧ABGが存在するので、杭は動かずB点において部材BCの接線角をもって跳ね上がろうとする。しかし、そのときの反力ABFに対し、それより遙かに大きい受動土圧ABDが存在するので、杭BAは動くことができない。従って、杭枠構造物15が動かず(図6)、砂、砂利中へ打設した杭も安定保持されている。
この発明の河川堤防に関する実施例を図6、7に基づいて説明する。図6、7において、堤防設置予定地の地盤13上へ、所定の間隔をおいて鋼格子2、2aを敷設する。ついで図9と同様に鋼格子2、2aに隣接した格子枠内へ鋼コンクリート杭10をそれぞれ打設すると共に、前記鋼コンクリート杭10の頭部を笠コンクリート8に埋設して、杭枠構造体15とする。
前記杭枠構造体15の水側と陸側又は水側から2番目又は3番目の杭に水密壁30を設置し、又は構造物の一内部へ充填材を投入して水密の枠状構造物することにより、河川の背割堤15a(図6(b))が構成される。
水密壁30は水流を不透過とするもので、鉄筋31、31を縦横に埋設したコンクリート板よりなり、鋼コンクリート杭の間を塞ぐことを目的としている。そこで、水密性と水圧に対する強度を必要とする。一般的には、直径6mmの鉄筋を縦横に入れて、網目を10cm角とし、コンクリート板の厚さを10cm程度とし、幅と長さは杭間を閉塞できるように合わせる。要は水圧に耐えて、水密性を保持すれば目的を達成することができる。
水密壁30と鋼コンクリート杭10との連結には、例えばボルトとナットを用いる。図2中32はボルト孔、図6中20は通路兼用の河川堤防、21は本流、22は支流である。
前記水密壁30の設置固定については、ボルト、ナットによる固定の他、従来行われているコンクリート板の固定方法を適宜採用することができる。
この発明の他の実施例を図7に基づいて説明する。鋼格子2、2aの間へ杭枠構造体15を構築すれば、杭枠構造体15による堤防ができる。従来工法によれば、最大水位11の場合には、図7(a)中A、B、C、D又はA、B、C、E、F、Gの盛り土を必要とする。
この発明の場合には、図7(a)中、杭枠構造体15と鋼格子2、2aと水密壁30で十分耐え得ることになる。従って、従来工法による膨大な盛り土は不要となるので、工費、工期共に大幅に縮小させることができる。
また、図7(b)によれば、河川の最大水位11に対し、杭枠構造体15、15に同等以上の高さの水密壁30を施工すれば、十分な強度の堤防を得ることができる。
この発明の他の実施例を図9(a)に基づいて説明する。所定間隔に敷設した鋼格子2、2aに3本の鋼コンクリート杭10、10を打設し、該鋼コンクリート杭10、10の上部を笠コンクリート8中へ埋設する。また、各鋼コンクリート杭10の下部は、構造物の求める強度に応じて(又は地盤により)地中へ10m〜20m打設して杭枠構造体15を構築する。図中30は水密壁である。前記実施例は例えば、河川の堤防に用いる。
次に図9(b)の実施例は、一方が水面に面する堤防である。即ち鋼格子2の一側(水面側)に杭枠構造体15を設けたのもので、図中29は海底地盤面、30は水密壁である。
この発明の他の実施例を図10に基づいて説明する。捨石基礎17、ケーソン16と大割石18とよりなる従来防波堤9の陸地側に、鋼格子2を敷設し、該鋼格子2に近設して前記杭枠構造体15を設置すれば、強固な防波堤23を構築することができる(補強工事)。図中30は水密壁である。
この発明の他の実施例を図11に基づいて説明する。この実施例は、前記杭枠構造体を複数重畳設置し、確実かつ万全に消波する一例を示すものである。
即ち、海岸線に沿って一定長さ(例えば300m)の消波構造物19、19を所定の左右間隔で配列し、前記消波構造物19、19を海岸線25の前後に複数重畳させる。前記重畳は2列以上とし、前後間隔は適宜とする。前記左右間隔と前後間隔は地形により設置の都度設定する(例えば50m以上)。
前記消波構造物19の長さ、間隔は型形実験により定める。前記左右間隔の間隙は前後の消波構造物19で覆うようにすることが好ましい。
前記消波構造物19は、消波を目的とし、陸側の波浪被害を軽減するものである。
前記における最内部の消波構造物19aに代えて、堤防とすることができる。
前記堤防については、中、小地震による通常の津波の防止を目的とする場合と、500年〜1000年に一度の大津波の被害防止を目的とする場合があるが、何れを設置するかは立地条件及び内陸の建造物、避難地の有無などを勘案して定める。
1、13 地盤
2 鋼格子
3 継板
4 ボルト
5 H鋼
6 鋼枠
7a、7b、7c コンクリート
8 笠コンクリート
9 防波堤
10 鋼コンクリート杭
11 最大水位
12 添板
14、18 大割石
15 杭枠構造体
16 ケーソン
17 捨石基礎
19 消波構造物
20 河川堤防
21 河川の本流
22 河川の支流
23 防波堤
2 鋼格子
3 継板
4 ボルト
5 H鋼
6 鋼枠
7a、7b、7c コンクリート
8 笠コンクリート
9 防波堤
10 鋼コンクリート杭
11 最大水位
12 添板
14、18 大割石
15 杭枠構造体
16 ケーソン
17 捨石基礎
19 消波構造物
20 河川堤防
21 河川の本流
22 河川の支流
23 防波堤
Claims (8)
- 鋼材の中間部へ所定の長さに亘り鋼板を周繞設置し、前記鋼材の外面と鋼板の内面との間へ、コンクリートを打設してなる鋼コンクリート杭の複数本を、所定間隔で幅方向に数本打設し、長さ方向に所定数打設すると共に、前記鋼コンクリート杭の頭部を緊結し、前記鋼コンクリート杭に近接して鋼格子を敷設したことを特徴とする杭枠構造体。
- 緊結は、笠コンクリートに埋設又は鋼材による連結としたことを特徴とする請求項1記載の杭枠構造体。
- 鋼コンクリート杭は、鋼材中間部の所定位置に鋼管を嵌装し、前記鋼材の外壁と鋼管の内壁との間にコンクリートを充填して硬化したことを特徴とする請求項1記載の杭枠構造体。
- 請求項1記載の杭枠構造体の長手方向の鋼コンクリート杭間に流水阻止用の水密壁を設置したことを特徴とする背割構造物。
- 請求項1記載の杭枠構造体の鋼コンクリート杭間及び又は鋼格子上に、大割石、コンクリートブロックを投入したことを特徴とする消波構造物。
- 請求項5記載の消波構造物を海岸線に沿って所定間隔で前後複数列設置したことを特徴とする消波構造物。
- 請求項6記載の消波構造物において、各消波構造物は一定長さ毎に所定長さの切目を設け、海側に設けた消波構造物の切目を陸側の消波構造物で覆うように切目の位置を配置したことを特徴とする消波構造物。
- 請求項1記載の杭枠構造体の鋼格子を長手方向に並列敷設すると共に、長手方向の各鋼コンクリート杭間に水密壁を設置したことを特徴とする堤防構造物。
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