JP2015183453A - 堤体 - Google Patents
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Abstract
【課題】大津波にも対応可能な強固で高品質なものであるとともに、資材や部材の陸上輸送が可能であり、施工が熟練工を必要とせず容易であり、場所打ちコンクリートによる施工を少なくして施工現場でコンクリート使用量をできるだけ抑制した堤体を提供する。【解決手段】本発明の堤体1は、鋼管杭5と鋼・コンクリート複合フーチング6と鋼・コンクリート接続部7とからなる基礎部3と堤体1の壁面を形成するプレキャスト堅壁4とからなり、鋼・コンクリート複合フーチング6と鋼・コンクリート接続部7の上にプレキャスト堅壁4を堤体連続方向に並べて壁面が形成されている。プレキャスト堅壁4は、鋼・コンクリート複合フーチング6においては壁面直角方向の中央部に設けられ、鋼・コンクリート複合フーチング6とプレキャスト堅壁4とで縦断面が逆T型を形成する。【選択図】 図1
Description
本発明は、海岸や河岸などに設けられ、津波や洪水等による水災害を防ぐ防波堤、防潮堤を構築したり、既存の堤防を嵩上げたりするのに好適な堤体に関する。
日本は台風の進路上に位置するため毎年台風が襲来し河川等の氾濫による洪水を引き起こしている。また、2011年3月11日に発生した東日本大震災では、想定外の大津波により堤防が決壊したり海水が堤防を乗り越えるなどして想定外の壊滅的な被害をもたらし、津波対策も考慮して構築されたものでも既存の防波堤、防潮堤等の堤防では不十分であることが判明した。
そのため、大津波を想定した堤防の構築が緊急課題となっており、既存堤防の嵩上げが図られたり、新たな堤防の開発が行われている。新たに開発される堤防の中には、プレキャスト化された壁体によるもの、コンクリート躯体によるものもある。
プレキャスト化された壁体によるものとしては、例えば、特許文献1がある。ここには、「鋼管杭と、該鋼管杭に支持されたフーチングと、該フーチングの上方に配置され、面内方向に貫通する壁体貫通孔を有し、該壁体貫通孔の内面には壁体さや管を有するプレキャスト壁体と、を備えた堤体であって、前記フーチングは厚さ方向に貫通するフーチング貫通孔を有し、該フーチング貫通孔の内面にはフーチングさや管が備えられ、該フーチングさや管は前記フーチングの上面よりも上方の位置まで延伸し、該フーチングさや管に前記鋼管杭が差し込まれ、前記フーチングさや管は前記プレキャスト壁体の前記壁体さや管に差し込まれ、前記フーチングさや管と該フーチングさや管に差し込まれた前記鋼管杭との間隙にはグラウト材が充填されていることを特徴とする堤体」が記載されている。
また、コンクリート躯体によるものとしては、例えば、特許文献2がある。ここには、「地盤中に貫入された鋼管杭の上端にフーチングを構築し、該フーチングの上に堤体を立設した防潮堤において、前記堤体を構成するコンクリート躯体の表面に鋼板パネルを配置し、該鋼板パネルと前記コンクリート躯体とを一体に接合したことを特徴とする防潮堤」が記載されている。
また、堤防の嵩上げに関するものとしては、例えば、特許文献3がある。ここには、「河川や海岸等の各種水域に設置された既設堤を嵩上げするための嵩上げ堤において、断面略コ字形で前記既設堤方向に開口部を有し、前記既設堤の上端部との間に中空部を形成する平板連結体と、前記平板連結体の内側に突出し、前記既設提の上端部に当接して既設提に対する垂直方向の位置を決める位置決め部と、前記平板連結体の両側板を前記既設堤の上部両側壁に固定する固定部材とからなることを特徴とする嵩上げ堤」が記載されている。
一方、震災復興に際して、沿岸部へのコンクリートの供給不足、人手不足(熟練工の不足)、道路事情による大型部材、重量部材の陸上輸送の困難性、輸送コストの増大などが叫ばれており、既存堤防の嵩上げや新たな堤防の構築を行う場合も、これらのことを考慮する必要がある。
本発明は、上述のような背景・課題を鑑みて成したものであり、大津波にも対応可能な強固で高品質なものであるとともに、資材や部材の陸上輸送が可能であり、施工が熟練工を必要とせず容易であり、場所打ちコンクリートによる施工を少なくして施工現場でコンクリート使用量をできるだけ抑制した堤体を提供することを目的とするものである。
本願の請求項1に係る堤体は、「基礎部の上にプレキャスト堅壁を堤体連続方向に並べて壁面を形成した堤体であって、該基礎部は、二列に配列された鋼管杭と該鋼管杭に支持され堤体連続方向に所定の間隔をあけて並設される鋼・コンクリート複合フーチングと該鋼・コンクリート複合フーチング間に配置される鋼・コンクリート複合接続部とからなり、前記鋼・コンクリート複合フーチング上に立設される前記プレキャスト堅壁は、該鋼・コンクリート複合フーチングにおける壁面直角方向の中央部に設けられていることを特徴とする堤体」である。
本発明の堤体は、大別して基礎部と堤体の壁面を形成するプレキャスト堅壁とからなり、これらは工場で製作されるユニットを主体としたものである。そして、該ユニットは各々施工現場に運ばれた後組み立てられ、前記基礎部の上に前記プレキャスト堅壁を堤体連続方向に並べることにより堤体が構築される。
各ユニットは工場で製作されるので安定した高品質のものとなる。また、施工現場での作業は、作業マニュアルに沿ってこれらユニットを組み立てたり一部に場所打ちコンクリートを打設するだけなので、熟練工の技能や勘に頼ることなく堤体を構築できる。
前記基礎部は、鋼管杭と鋼・コンクリート複合フーチングと鋼・コンクリート複合接続部とからなる。鋼管杭は従来から杭施工に用いられているものであり、堤体連続方向(堤体の壁面方向)に所定の間隔で二列に配列される。
前記鋼・コンクリート複合フーチングは、二列に配列された鋼管杭の各列1本づつの2本で支持される形で、これら鋼管杭の堤体連続方向の間隔に合せて所定の間隔で、鋼管杭の上の堤体連続方向に並設される。
この鋼・コンクリート複合フーチングは、工場で製作される鋼製箱枠からなるユニット(フーチングユニット)を主体としてなるものであり、該フーチングユニットをコンクリートで被覆してなる鋼・コンクリート複合構造のハイブリッド型のものである。このようなハイブリッド型のものにすることにより、強固な基礎部が簡便な施工で得られると共に場所打ちコンクリートによる施工を少なくして施工現場でコンクリート使用量をできるだけ抑制できる。
前記鋼製箱枠は、鋼板やH形鋼等の鋼材を用いて箱状に枠組みしたものであり、施工現場に設置した際の並設方向(堤体連続方向)に対する直角方向の長さが長い縦長のものである。該箱枠の横幅(並設方向の長さ)は前記鋼管杭の杭頭径より大きい。
この鋼製箱枠の寸法は、一般的には、高さ1〜2m、幅1.5〜2.5m、長さ5〜10m程度であるが、荷重条件により適宜決定されるものである。
また、この鋼製箱枠は、長さの長い縦方向に複数の区画に区分けされており、前記鋼管杭と連結するための区画と前記プレキャスト堅壁と連結するための区画が設けられている。
このように区分けすることによって、強固なフーチングユニットにすることができるとともに、役割のない区画を中空にすることによりコンクリートの使用量を減らしてフーチングユニットの軽量化が図れる。
このように区分けすることによって、強固なフーチングユニットにすることができるとともに、役割のない区画を中空にすることによりコンクリートの使用量を減らしてフーチングユニットの軽量化が図れる。
鋼・コンクリート複合接続部も、上記鋼・コンクリート複合フーチングと同様、工場で製作される鋼製箱枠からなるユニット(接合ユニット)を主体としてなるものであり、該接合ユニットをコンクリートで被覆してなる鋼・コンクリート複合構造のハイブリッド型のものである。
この鋼・コンクリート複合接続部は、前記プレキャスト堅壁に作用する荷重を受け持ち、鋼・コンクリート複合フーチングにその荷重を伝達するといった役割を果たすため、堤体連続方向に所定の間隔で敷設される隣設した鋼・コンクリート複合フーチング間に設けられる。該鋼・コンクリート複合接続部と前記鋼・コンクリート複合フーチングとの接続は、例えば、高力ボルトを用いた添接継手や引張継手、もしくは孔明き鋼板と鉄筋を用いたコンクリートの付着による接合などにより行われる。
上記接合ユニットの鋼製箱枠も鋼板やH形鋼等の鋼材を用いて箱状に枠組みしたものである。該箱枠の寸法は、前記フーチングユニットの寸法、隣り合う前記フーチングユニット間の距離に基づいて決められ、鋼・コンクリート複合接続部の高さは前記鋼・コンクリート複合フーチングの高さと同じである。
前記鋼・コンクリート複合フーチングと前記鋼・コンクリート複合接続部の上に立設され堤体の壁面を形成するプレキャスト堅壁は、鉄筋コンクリート製のプレキャスト部材からなる。
コンクリートの種類は特に限定されない。通常、普通コンクリートであるが、高強度コンクリート、重量骨材を用いた重量コンクリート、海水の塩分による腐食や劣化を考慮したポリマーコンクリート、耐酸コンクリート、耐硫酸塩コンクリートなどを用いることもできる。
このプレキャスト堅壁は、壁面部とその下方の基礎連結部とからなる。壁面部の面は、通常、前記鋼・コンクリート複合フーチングや鋼・コンクリート複合接続部に対し垂直な直面であるが、必ずしもこれには限定されず、曲面を有するものであってもよい。
また、壁面を補強するために壁面部の表面に鋼板を貼ったりクッション材等のエネルギー吸収材を貼ったりしてもよい。耐久性を向上させるために遮塩性の被覆材でコーティングすることもできる。景観、美観の観点から、壁面に文字や模様や色を施したり緑化したりすることもできる。
プレキャスト堅壁における前記基礎連結部には、予め機械式継手方式における雌継手部材(例えば、継手パイプ)が仕込まれており、モルタル充填方式などの機械式継手方式により前記鋼・コンクリート複合フーチングや鋼・コンクリート複合接続部と連結される。
前述の通り、上記プレキャスト堅壁は上記鋼・コンクリート複合フーチングと上記鋼・コンクリート複合接続部の上に立設されるが、鋼・コンクリート複合フーチング上に立設されるプレキャスト堅壁は、鋼・コンクリート複合フーチングとプレキャスト堅壁とで縦断面が逆T型になるように、鋼・コンクリート複合フーチングにおける壁面直角方向の中央部に設けられる。
前述の通り、プレキャスト堅壁は直壁に限らず曲壁や直壁と曲壁の組み合わせであったりする場合もあるので、ここでいう「逆T型」とは、プレキャスト堅壁が鋼・コンクリート複合フーチングにおける壁面直角方向の中央部で立設されているもののすべてをいう。
このように、鋼・コンクリート複合フーチングとプレキャスト堅壁との連結構造を逆T型にすることにより、例えば、津波における押波と引波のどちらにも対応できるといった効果が得られる。
プレキャスト堅壁の寸法は特に限定されないが、トラックでの陸上輸送を考えると、長さ(高さ)15m以下、重さ25t以下となるようにするのが好ましい。
本願の請求項2に係る堤体は、「前記鋼・コンクリート複合フーチングは、H形鋼を用いて形成した箱枠からなるフーチングユニットを用いたものであり、該フーチングユニットの周囲をコンクリートで被覆したものであることを特徴とする請求項1に記載の堤体」である。
前述の通り、本発明では、鋼・コンクリート複合フーチングは、工場で製作される鋼製箱枠からなるユニット(フーチングユニット)を主体としてなるものであり、該フーチングユニットをコンクリートで被覆してなる鋼・コンクリート複合構造のハイブリッド型のものである。
上記鋼製箱枠は鋼板やH形鋼等の鋼材を用いて作られるが、H形鋼を用いて作るのが好ましい。H形鋼を用いることによって、鋼材の鋼重が削減、鋼材加工が容易、現場で部材連結が容易、プレキャスト堅壁への接続鉄筋の定着が容易といったメリットが生まれる。
本願の請求項3に係る堤体は、「前記鋼・コンクリート複合接続部は、H形鋼を用いて形成した箱枠からなる接合ユニットを用いたものであり、該接合ユニットの周囲をコンクリートで被覆したものであることを特徴とする請求項1または2に記載の堤体」である。
前述の通り、本発明では、鋼・コンクリート複合接続部も、上記鋼・コンクリート複合フーチングと同様、工場で製作される鋼製箱枠からなるユニット(接合ユニット)を主体としてなるものであり、該接合ユニットをコンクリートで被覆してなる鋼・コンクリート複合構造のハイブリッド型のものである。
したがって、上記フーチングユニットと同様、H形鋼を用いることによって、鋼材の鋼重が削減、鋼材加工が容易、現場で部材連結が容易、プレキャスト堅壁への接続鉄筋の定着が容易といったメリットが生まれるので、H形鋼を用いて箱枠を形成するのは好ましい。
本願の請求項4に係る堤体は、「前記フーチングユニットは長さ方向に5つに区画されており、この区画は、前記プレキャスト堅壁が立設される該フーチングユニット中央部の区画と、該区画に対して対称的に両外側に設けられ二列に配列された各列の前記鋼管杭の上端部を差し込むための挿入孔が設けられた2つの区画と、これら区画と前記中央部の区画との間に設けられる中空の2つの区画とからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の堤体」である。
本発明では、高さ方向において、鋼・コンクリート複合フーチングは鋼管杭とプレキャスト堅壁との間に設置され、これら鋼管杭とプレキャスト堅壁は各々フーチングユニットと連結される。
フーチングユニットが一つの箱枠からなるものであると、鋼管杭やプレキャスト堅壁との連結作業がし難くなる。箱枠を複数の区画に区切っておけば、フーチングユニットと鋼管杭との連結作業、フーチングユニットとプレキャスト堅壁との連結作業が別々に行えるので堤体の構築施工がし易くなる。また、コンクリートの使用量を減らしたり、軽量化して陸上輸送し易くすることもできる。
フーチングユニットの区画構造は特に限定されないが、前記プレキャスト堅壁が立設される該フーチングユニット中央部の区画と、該区画に対して対称的に両外側に設けられ二列に配列された各列の前記鋼管杭の上端部を差し込むための挿入孔が設けられた2つの区画と、これら区画と前記中央部の区画との間に設けられる中空の2つの区画の5つの区画に区分けされているのが好ましい。
プレキャスト堅壁をフーチングユニット中央部の区画で連結することにより、鋼・コンクリート複合フーチングとプレキャスト堅壁との逆T型構造が容易に得られる。
二列に配列された鋼管杭における各列の鋼管杭とフーチングユニットとの連結は、フーチングユニットの両外側の区画を用いて行い、該区画内に各々鋼管杭の上端部(杭頭部)を挿入しコンクリートで固めることにより行うのが好ましい。そのため、前記両外側の区画には鋼管杭の上端部が挿入できる程度の挿入孔が設けられているのが好ましい。
これら両外側の区画と前記中央部の区画との間は、上記のような他部材との連結といった役割もないので、中空にしておくのが好ましい。中空部があっても、H形鋼等の剛性の高い鋼材で箱枠を形成し被覆が必要な部分をコンクリートで被覆しておけば強度や耐久性で問題になることはない。中空部(中空の区画)を設けることで、コンクリートの使用量を低減できるとともにフーチングユニットの軽量化が図れ、陸上輸送し易くなる。
なお、上記「中空」は、モルタルやコンクリート等のセメント硬化体が存在しないということであり、空間だけでなく、土砂、軽量充填材、エネルギー吸収材などが充填されている場合も含む。
本願の請求項5に係る堤体は、「前記プレキャスト堅壁は鉄筋コンクリートからなり、壁面部と該壁面部の下方にあって該壁面部より厚みの厚い基礎連結部とで構成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の堤体」である。
前述の通り、プレキャスト堅壁は、鉄筋コンクリートを主体としたものであり、堤体の壁面を形成する壁面部とその下方にあって鋼・コンクリート複合フーチングや鋼・コンクリート複合接続部との連結に寄与する基礎連結部とが一体的に形成されたものからなる。
これら壁面部と基礎連結部は、厳密に区分けされるものではないが、基礎連結部の厚みを壁面部の厚みより厚くし、墓石のように、基礎台の上に壁面部が立設している形態にするのが好ましい。基礎連結部の最大厚みは壁面部の最大厚みに対して1.5〜3.0倍が好ましい。
このような形態にすることによって、プレキャスト堅壁が安定して立設できるとともに、基礎部との連結も強固にできる。
本願の請求項6に係る堤体は、「堤体連続方向における前記プレキャスト堅壁の壁幅は、前記鋼・コンクリート複合フーチングの幅よりも大きく、前記プレキャスト堅壁が前記鋼・コンクリート複合フーチングから隣設される前記鋼・コンクリート複合接続部に跨って設置されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の堤体」である。
前述の通り、プレキャスト堅壁は鋼・コンクリート複合フーチングと鋼・コンクリート複合接続部の上に交互に立設され堤体の壁面を形成するが、プレキャスト堅壁の堤体連続方向への壁幅は、通常、堤体連続方向に各々鋼・コンクリート複合フーチングと鋼・コンクリート複合接続部の幅に合せて作られ、一つの鋼・コンクリート複合フーチング上に一つのプレキャスト堅壁が、一つの鋼・コンクリート複合接続部上に一つのプレキャスト堅壁が各々立設するようにして堤体の壁面が構築される。
しかし、このような堤体構造に限定されるものではなく、例えば、堤体連続方向における前記プレキャスト堅壁の壁幅を鋼・コンクリート複合フーチングの幅よりも大きくし、プレキャスト堅壁が鋼・コンクリート複合フーチングから隣設される鋼・コンクリート複合接続部に跨って立設した堤体構造にすることもできる。プレキャスト堅壁の壁幅は、例えば、鋼・コンクリート複合フーチングの幅に鋼・コンクリート複合接続部の幅の半分を足した長さである。
上記のように、プレキャスト堅壁が鋼・コンクリート複合フーチングから隣設される鋼・コンクリート複合接続部に跨って立設している堤体構造にすることによって、二列に配列された鋼管杭における対応する一対の鋼管杭に渡る長手方向の鋼製箱枠材に直接的に荷重が流れるようにし、荷重負担の分散化が図れるといった効果を得ることができる。
本発明の堤体は、工場で製作した複数のユニットを主体とし、これらユニットを施工現場で組立てて構築されるものなので、安定した高品質なものであるとともに現場での施工が熟練工を必要とせず容易となる。
また、上記高品質に加えて基礎部は鋼・コンクリート複合部材からなるものなので、大津波にも対応可能な強固な堤体とすることができる。
また、基礎部を鋼製箱枠からなるユニットを主体とした鋼・コンクリート複合構造のハイブリッド型のものにすることにより、場所打ちコンクリートによる施工を少なくして施工現場でコンクリート使用量をできるだけ抑制した堤体を得ることができ、震災復興に際して発生した施工現場へのコンクリートの供給不足といった昨今の問題も解決できる。
更に、施工現場で組み立てられる上記ユニットの寸法を調整すれば、道路事情が良くない沿岸部への輸送も可能となる。
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の堤体1の一実施形態を示す斜視図である。(a)は表側(水辺側)から見た図、(b)は裏側(陸地側)から見た図である。
この例では、本発明の堤体1は既設堤防2の上に構築されている。堤体1は、基礎部3と堤体1の壁面を形成するプレキャスト堅壁4とからなり、基礎部3の上にプレキャスト堅壁4を堤体連続方向に並べて壁面が形成されている。
基礎部3は鋼管杭5と鋼・コンクリート複合フーチング6と鋼・コンクリート接続部7とからなる。鋼管杭5は所定の間隔で堤体連続方向に二列に配列されている。また、鋼・コンクリート複合フーチング6は、二列に配列された鋼管杭5の各列1本づつの2本で支持される形で、これら鋼管杭5の堤体連続方向の間隔に合せて所定の間隔で、鋼管杭5の上の堤体連続方向に並設されている。
また、隣り合う鋼・コンクリート複合フーチング6,6間のプレキャスト堅壁4の下には、鋼・コンクリート複合接続部7が設けられており、基礎部3における鋼管杭5上の基礎部は、堤体連続方向に鋼・コンクリート複合フーチング6と鋼・コンクリート複合接続部7とが交互に敷設された構造となっている。
一方、プレキャスト堅壁4は図のような形状の鉄筋コンクリートからなり、図に示すように、鋼・コンクリート複合フーチング6と鋼・コンクリート複合接続部7の上に立設して堤体連続方向に並べられ、堤体1の壁面を形成している。
この例では、堤体連続方向におけるプレキャスト堅壁4の壁幅は、鋼・コンクリート複合フーチング6と鋼・コンクリート複合接続部7の堤体連続方向における各幅の合計の1/2となっており、プレキャスト堅壁4は鋼・コンクリート複合フーチング6から隣設される鋼・コンクリート複合接続部7に跨って設置されている。このような形で設置することによって、二列に配列された鋼管杭における対応する一対の鋼管杭に渡る長手方向の鋼製箱枠材に直接的に荷重が流れるようにし、荷重負担の分散化が図れるといった効果が得られる。
本発明では、図に示すように、プレキャスト堅壁4は、鋼・コンクリート複合フーチング6においては壁面直角方向の中央部に設けられ、鋼・コンクリート複合フーチング6とプレキャスト堅壁4とで縦断面が逆T型を形成する。このように、鋼・コンクリート複合フーチング6とプレキャスト堅壁4との連結構造を逆T型にすることり、例えば、津波における押波と引波のどちらにも対応できるといった効果が得られる。この例では、本発明の堤体1の裏側(陸地側)は、日常、道路8として活用される。
図2は、図1に記載した上記本発明の堤体1の構造をよりわかり易く示した図である。(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は側面図である。
図2(a)に示すように、本発明の堤体1は、大別して、基礎部3とプレキャスト堅壁4とからなる。そして、基礎部3は、鋼管杭5と鋼・コンクリート複合フーチング6と鋼・コンクリート複合接続部7とからなる。
鋼・コンクリート複合フーチング6の下には鋼管杭5があり、鋼・コンクリート複合フーチング6は鋼管杭5の杭頭部が鋼・コンクリート複合フーチング6の中に入り込む形で鋼管杭5により支持されている。隣り合う鋼・コンクリート複合フーチング6,6の間にこれらを繋ぐ形で設けられる鋼・コンクリート複合接続部7の下には鋼管杭はない。
プレキャスト堅壁4は、堤体連続方向に壁面が形成するようにして、鋼・コンクリート複合フーチング6と鋼・コンクリート複合接続部7の上に立設している。プレキャスト堅壁4は図に示すように、鋼・コンクリート複合フーチング6と鋼・コンクリート複合接続部7に跨る形で設けられている。
図2(b)、図2(c)に示すように、鋼管杭5は堤体連続方向に250〜450cm程度の所定の間隔で略平行に二列に設けられる。一列は水辺側鋼管杭の列であり、他の一列は内陸側鋼管杭の列である。これら二列の間隔は150〜600cm程度である。
上記鋼管杭5の上には、図に示すような形で、鋼・コンクリート複合フーチング6が鋼管杭5の間隔に合せて所定の間隔で設けられる。
鋼・コンクリート複合フーチング6は、鋼製箱枠からなるフーチングユニットをコンクリート9で被覆してなるものが好ましい。この例では、フーチングユニットは3つに区画されており、両外側の区画11,11には鋼管杭5の杭頭部が入り込んで接続され、各鋼・コンクリート複合フーチング6は2本の鋼管杭5,5により支持されている。中央部の区画10の上方にはプレキャスト堅壁4が立設している。
鋼・コンクリート複合フーチング6の寸法は、概略、前記フーチングユニットの寸法にコンクリートの被覆厚を加えた寸法である。
図2(c)からわかるように、本発明の堤体1は、プレキャスト堅壁4と鋼・コンクリート複合フーチング6とで縦断面が逆T型となる構造となっている。鋼・コンクリート複合フーチングとプレキャスト堅壁との連結構造を逆T型にすることにより例えば、津波における押波と引波のどちらにも対応できるといった効果が得られる。
堤体連続方向に所定の間隔で設けられた隣り合う上記鋼・コンクリート複合フーチング6,6の間には、これらを繋ぐ形で、鋼・コンクリート複合接続部7が設けられる。
この鋼・コンクリート複合接続部7も、上記鋼・コンクリート複合フーチング6と同様、鋼製箱枠からなる接合ユニットをコンクリート9で被覆してなるものが好ましい。
鋼・コンクリート複合接続部7の寸法は、図2(a)に示すように、高さは鋼・コンクリート複合フーチング6と同じであり、横幅(堤体連続方向の幅)は、略隣り合う上記鋼・コンクリート複合フーチング6,6間の間隔である。
縦幅(堤体連続方向に対して直角方向の幅)は特に限定されないが、プレキャスト堅壁4が堅固に立設できる幅であれば、できるだけ短い方が好ましい。通常、鋼・コンクリート複合ユニット6の縦幅(堤体連続方向に対して直角方向の長さ)の1/4〜1/3程度である。
以上のように、本発明の堤体1では、鋼管杭5と鋼・コンクリート複合フーチング6とを接続するとともに隣り合う鋼・コンクリート複合フーチング6,6間を鋼・コンクリート複合接続部7で繋ぐことにより鋼管杭5と鋼・コンクリート複合フーチング6と鋼・コンクリート複合接続部7とが一体化して堅固な基礎部3が構築される。
図3は、本発明の堤体1の基礎部3の構築に好適に用いることができるフーチングユニット12を用いた鋼・コンクリート複合フーチング6と、接合ユニット13を用いた鋼・コンクリート複合接続部7を示す斜視図である。(a)はフーチングユニット12の図、(b)は鋼・コンクリート複合フーチング6の図、(c)は鋼・コンクリート複合フーチング6に接合ユニット13を接続した図、(d)は鋼・コンクリート複合フーチング6と鋼・コンクリート複合接続部7との接続図である。
図3(a)に示すように、フーチングユニット12は縦長の鋼製箱枠からなる。この例ではH形鋼15を用いて箱枠を形成しているが、これに限定されるものではない。H形鋼を用いれば低価格で強固な箱枠を簡便に形成できるので好ましい。H形鋼15の表面にはコンクリートとの付着を良くするための頭付きスタッド16が設けられている。また、図に示すように、接続鉄筋26が中央部の区画にフーチングユニット12の短尺方向に所定の間隔で鉛直に設けられている。そのH形鋼15の表面への取り付け方法は、例えば、ねじ鉄筋用のナットによりH形鋼に定着させるといった方法である。
図に示すように、この例では箱枠は中央部の区画10と両外側の区画11,11と間の区画14,14の5つの区画に仕切られている。区画の数はこれに限定されるものではなく、例えば、前述のように3つの区画であってもよい。複数の区画に仕切ることによって、中空部分を作り出すことができるので鋼・コンクリート複合フーチング6が軽量化できるといったメリットがある。
図3(b)に示すように、上記フーチングユニット12はその一部がコンクリート9(被覆コンクリート)で被覆され鋼・コンクリート複合フーチング6が作られる。被覆厚は特に限定されないが、塩害による腐食を考慮して十分なかぶりをとるものとする。この製造は工場で行われる。工場で製造することにより、安定した高品質のものが得られるとともに現場施工が簡略化できる。
外側の区画11の下部には鋼管杭の杭頭部を鋼・コンクリート複合フーチング6の中に挿入するための挿入孔17が設けられているとともに、上部はコンクリートを充填するため開口している。間の区画14はコンクリート9で被覆されているものの中は中空となっている。中空にすることによりコンクリートの使用量を減らせるとともに鋼・コンクリート複合フーチング6の軽量化が図れる。
図3(c)に示すように、接合ユニット13も鋼製箱枠からなる。この例では、フーチングユニット12と同様、H形鋼15を用いて作られている。このH形鋼15の表面にもコンクリートとの付着を良くするための頭付きスタッド16が設けられている。また、この接合ユニット13の上面にも、接続鉄筋26が図に示すように設けられる。
図に示すように、接合ユニット13の四隅には、鋼・コンクリート複合フーチング6(フーチングユニット12)に接続するための接続端部18が備わっており、図に示すような形で高力ボルト19により接合ユニット13が鋼・コンクリート複合フーチング6(フーチングユニット12)に接続される。この接続は施工現場で行ってもよいが、予め図3(c)に示す形を工場で製作しておくことは好ましい。工場で行うことによって、確実に接続し易くなるとともに施工現場での作業が簡略化できる。
上記鋼・コンクリート複合フーチング6と接合ユニット13は、両者接続あるいは無接続の形で現場に運ばれ設置される。この際、鋼・コンクリート複合フーチング6は2本の鋼管杭5,5の上に、図3(c)に示すように、鋼管杭の杭頭部が鋼・コンクリート複合フーチング6における両外側の区画11,11内にそれぞれ挿入された形で設置される。
図3(d)は一対の鋼管杭5,5と一つの鋼・コンクリート複合フーチング6と一つの鋼・コンクリート複合接続部7とを一体化した基礎部3を構成する基礎単体20の完成図である。
本発明の堤体1における基礎部3は、この基礎単体20を堤体連続方向に連結して並べる形で構築される。このような基礎部の構築であれば、施工が簡便であるとともに現場打ちコンクリートの使用量を抑制できる。
一つの鋼・コンクリート複合フーチング6と一つの鋼・コンクリート複合接続部7とからなる基礎単体20は、鋼・コンクリート複合フーチング6と接合ユニット13とを施工現場で図3(c)に示すように設置後、図3(d)に示すように、一部の接続端部18と接続鉄筋26を除いて現場打ちコンクリート21でフーチングユニット12の未被覆部分を被覆し開口部分を充填するとともに接合ユニット13を被覆することによって得られる。
同時に、鋼・コンクリート複合接続部7も完成する。図に示すように、鋼・コンクリート複合フーチング6の中央部の上面と鋼・コンクリート複合接続部7の上面からは、プレキャスト堅壁と連結するための接続鉄筋26が突出している。
本発明では、このように、フーチングユニット12のコンクリート被覆は工場でのコンクリート9による一部被覆と施工現場での現場打ちコンクリート21による残部被覆とによってなされ、接合ユニット13のコンクリート被覆は現場打ちコンクリート21による被覆によってなされる。
図4は、本発明の堤体1におけるプレキャスト堅壁4を示す斜視図である。ここでは、2つのプレキャスト堅壁4が連結した状態を示す。
図に示すように、本発明の堤体1の壁面を形成するプレキャスト堅壁4は鉄筋コンクリート24からなり、壁面部22とその下方の基礎連結部23とからなる。
壁面部22は、文字通り、堤体1の壁面となる部分である。この例では、壁面部22は直面を有する平板状のものであるがこれに限定されるものではなく、湾曲状のもの、表面に凹凸があるもの、模様のあるものなど様々な形態を採ることができる。また、壁面を耐久性のある強固なものにすべく、壁面部22の表面に鋼板やFRC板等の補強板や波のエネルギーを吸収するクッション材を取付けてもよい。
壁面部22の寸法は、水圧等の荷重強度により鉄筋コンクリート断面計算により適宜決定する。
基礎連結部23は、壁面の一部を形成するとともにプレキャスト堅壁4が安定して立設するための土台や上記鋼・コンクリート複合フーチング6と鋼・コンクリート複合接続部7との連結部となる。
したがって、図に示すように、基礎連結部23は上記壁面部22に比べて厚みが厚くなっているのが好ましい。この厚みは壁面部22の1.5〜3.0倍程度が好ましい。また、ここでは、基礎連結部23の上部にはテーパー25が設けられている。テーパー25を設けることによって、円滑な荷重伝達が図れるとともに、直角の段を設けた場合に比べて、津波時の衝突などに対して、重要な基部の角欠けなどが生じにくくなる利点がある。
図5〜6は、図1に示す本発明の堤体1の施工例を示す斜視図である。
図5は基礎部3の構築過程を示す。(a)は鋼管杭5の施工過程を、(b)はフーチングユニット12の設置過程を、(c)は接合ユニット13の設置過程を、(d)は基礎部3の完成過程を、(e)は完成した基礎部3を示す。
まず、既設堤防2において、図5(a)に示すように、鋼管杭5による杭施工をし二列に所定間隔をおいて配列する。鋼・コンクリート複合フーチング6との接続部となる鋼管杭5の杭頭部は100cm程度地上に出す。杭内には杭上端から200cm程度の深さに底板を設け現場打ちコンクリートを杭頭部の杭内に充填する。必要に応じ、杭頭部には現場溶接によりズレ止め(鋼板)を設置する(図示省略)。鋼管杭5を打ち込んだ後、場合によっては杭頭を切断するなどして高さの調節を行う。
次に、図5(b)に示すように、工場で製作した鋼製箱枠からなるフーチングユニットの一部をコンクリート被覆してなる鋼・コンクリート複合フーチング6のユニットを、一組(2本)鋼管杭5,5の杭頭部が鋼・コンクリート複合フーチング6の中に入り込むようにして堤体連続方向に鋼管杭の間隔に合せた所定の間隔で設置する。
次に、図5(c)に示すように、工場で製作した鋼製箱枠からなる接合ユニット13を鋼・コンクリート複合フーチング6,6間に配置しこれらフーチング(フーチングユニット)と連結する。連結は高力ボルトにより行う。
なお、この例では、上記鋼・コンクリート複合フーチング6と接合ユニット13とを工場でそれぞれ別々に製作して施工現場に運び施工現場で連結しているが、図3(c)に示したように、鋼・コンクリート複合フーチング6と接合ユニット13とを工場で連結した連結ユニットを施工現場に運び、施工現場で隣の鋼・コンクリート複合フーチング6と接合ユニット13の片側とを連結してもよい。このようにすれば、施工現場での連結作業が簡略化できる。
次に、図5(d)と図5(e)に示すように、プレキャスト堅壁に連結される接続鉄筋の26の上部を除き、鋼材が露出しているコンクリートの未被覆部分はすべて現場打ちコンクリート21で被覆する。被覆厚は、前述のコンクリート9による被覆厚と同じである。このようにして、本発明の堤体1の基礎部3が既設堤防2の上に完成する。
図6は、基礎部3の完成以降、該基礎部3の上にプレキャスト堅壁4を立設し本発明の堤体1を完成させるまでの過程を示す。(f)は、プレキャスト堅壁4の立設過程を、(g)は埋め戻しの土31による堤体1と道路8の完成過程を示す。
図6(f)に示すように、完成した基礎部における鋼・コンクリート複合フーチング6と鋼・コンクリート複合接続部7の上に、堤体連続方向に壁面が形成されるようにしてプレキャスト堅壁4が立設して並べられる。鋼・コンクリート複合フーチング6においては、プレキャスト堅壁4と鋼・コンクリート複合フーチング6とで縦断面(側面)が逆T型になるように、その中央部に立設される。隣接するプレキャスト堅壁4,4同士の連結は、例えば、止水を目的としたシール材を挟み込み、これを鋼棒の引張力で締め付けて連結する。
その後、図6(g)に示すように、埋め戻しの土31により突出した鋼・コンクリート複合フーチング6,6の間を埋めることによって本発明の堤体1が完成する。埋め戻しの土31による埋め戻し形態は、必ずしも図に示すような形態に限定されるものではなく、例えば、プレキャスト堅壁4の下部の基礎連結部を覆い隠す形で盛土にしてもよい。また、埋め戻しの土31は単なる土砂だけでなくセメント等の固化材を混和したものでもよい。
プレキャスト堅壁4の裏側(陸地側)は道路8として利用することができる。その場合は、下層に路盤材を敷くなど従来の道路施工方法に準じて施工すれば良い。
図7は、プレキャスト堅壁と基礎部との連結方法の一例を示す図であり、プレキャスト堅壁4における基礎連結部23の縦断面拡大図である。
図に示すように、鉄筋コンクリート24で作られたプレキャスト堅壁4における基礎連結部23に配筋された鉄筋コンクリートの鉄筋27の下端にはモルタル充填式継手のパイプ28が設けられている。このモルタル充填式継手のパイプ28は、接続鉄筋26がしっかり挿入できる長さと、鉄筋径に若干の施工誤差が吸収できる寸法の内径を有している。また、このモルタル充填式継手のパイプ28内にモルタルが注入充填できるよう、パイプに繋がる形で、モルタル注入口29とモルタル排出口30が設けられている。
プレキャスト堅壁4と基礎部3との連結は、図5(d)に示すように、鋼・コンクリート複合フーチング6と鋼・コンクリート複合接続部7から上に突出して設けられた接続鉄筋26をプレキャスト堅壁4のモルタル充填式継手のパイプ28内に挿入し、接続鉄筋26の周囲をパイプ内に注入充填されたモルタルで固めることによってなされる。モルタルは高強度モルタルが好ましい。連結を強固なものにするために、接続鉄筋26を異形鉄筋にしてもよい。この例では連結箇所は2箇所であるがこれに限定されるものではなく、3箇所以上で連結してもよい。
以上の通り、本発明の堤体は、幾つかのプレキャスト部材(ユニット)を工場で製作し、これらを施工現場で組立てて構築するものであるからして、安定した高品質なものであるとともに現場での施工が熟練工を必要とせず容易となる。
また、基礎部は鋼製箱枠からなるユニットを主体とした鋼・コンクリート複合構造のハイブリッド型のものなので強固であるとともに、場所打ちコンクリートによる施工を少なくして施工現場でコンクリート使用量をできるだけ抑制した堤体を得ることができ、震災復興に際して発生した施工現場へのコンクリートの供給不足といった昨今の問題も解決できる。
1…堤体、2…既設堤防、3…基礎部、4…プレキャスト堅壁、5…鋼管杭、6…鋼・コンクリート複合フーチング、7…鋼・コンクリート複合接続部、8…道路、9…コンクリート、10…中央部の区画、11…外側の区画、12…フーチングユニット、13…接合ユニット、14…間の区画、15…H形鋼、16…頭付きスタッド、17…挿入孔、
18…接続端部、19…高力ボルト、20…基礎単体、21…現場打ちコンクリート、
22…壁面部、23…基礎連結部、24…鉄筋コンクリート、25…テーパー、26…接続鉄筋、27…鉄筋コンクリートの鉄筋、28…モルタル充填式継手のパイプ、29…モルタル注入口、30…モルタル排出口、31…埋め戻しの土
18…接続端部、19…高力ボルト、20…基礎単体、21…現場打ちコンクリート、
22…壁面部、23…基礎連結部、24…鉄筋コンクリート、25…テーパー、26…接続鉄筋、27…鉄筋コンクリートの鉄筋、28…モルタル充填式継手のパイプ、29…モルタル注入口、30…モルタル排出口、31…埋め戻しの土
Claims (6)
- 基礎部の上にプレキャスト堅壁を堤体連続方向に並べて壁面を形成した堤体であって、該基礎部は、二列に配列された鋼管杭と該鋼管杭に支持され堤体連続方向に所定の間隔をあけて並設される鋼・コンクリート複合フーチングと該鋼・コンクリート複合フーチング間に配置される鋼・コンクリート複合接続部とからなり、前記鋼・コンクリート複合フーチング上に立設される前記プレキャスト堅壁は、該鋼・コンクリート複合フーチングにおける壁面直角方向の中央部に設けられていることを特徴とする堤体。
- 前記鋼・コンクリート複合フーチングは、H形鋼を用いて形成した箱枠からなるフーチングユニットを用いたものであり、該フーチングユニットの周囲をコンクリートで被覆したものであることを特徴とする請求項1に記載の堤体。
- 前記鋼・コンクリート複合接続部は、H形鋼を用いて形成した箱枠からなる接合ユニットを用いたものであり、該接合ユニットの周囲をコンクリートで被覆したものであることを特徴とする請求項1または2に記載の堤体。
- 前記フーチングユニットは長さ方向に5つに区画されており、この区画は、前記プレキャスト堅壁が立設される該フーチングユニット中央部の区画と、該区画に対して対称的に両外側に設けられ二列に配列された各列の前記鋼管杭の上端部を差し込むための挿入孔が設けられた2つの区画と、これら区画と前記中央部の区画との間に設けられる中空の2つの区画とからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の堤体。
- 前記プレキャスト堅壁は鉄筋コンクリートからなり、壁面部と該壁面部の下方にあって該壁面部より厚みの厚い基礎連結部とで構成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の堤体。
- 堤体連続方向における前記プレキャスト堅壁の壁幅は、前記鋼・コンクリート複合フーチングの幅よりも大きく、前記プレキャスト堅壁が前記鋼・コンクリート複合フーチングから隣設される前記鋼・コンクリート複合接続部に跨って設置されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の堤体。
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- 2014-03-25 JP JP2014061512A patent/JP2015183453A/ja active Pending
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