JP2011017186A - 鋼矢板用の防食被覆体および鋼矢板の防食構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】高耐食金属板に凹部331を形成することで、直線部34の幅方向に沿った曲げ剛性を増大させることができ、その剛性増大効果によって直線部34の変形が抑制できる。従って、防食被覆体3のペトロラタムシート31と鋼矢板との密着状態が維持でき、その間に水や酸素、腐食性のイオンなどが入ることが抑制できるので、ペトロラタムシート31の劣化や流出を防止して防食耐久性を向上させることができる。
【選択図】図3
Description
このような防食構造では、耐食性金属薄板などで被覆体(カバー)を構成するとともに、鋼矢板にボルトを固定しておき、鋼矢板の表面に有機防食層を当接させつつカバーをボルトで固定することで、鋼矢板を防食被覆するように構成されている。
このような構成によれば、高耐食金属板に形成した凹凸によって剛性増大手段を構成することで、別部材を用いて剛性増大手段を構成する場合と比較して、部材数量の増加を抑制することができる。
このような構成によれば、鋼矢板の幅方向に長く形成した凹凸によって高耐食金属板の直線部の剛性を高めることで、前述の図8(B)のように直線部が水中側に膨らむような変形を効果的に抑制することができる。
このような構成によれば、高耐食金属板に固定した補剛部材によって剛性増大手段を構成することで、剛性を増大させたい適宜な位置に補剛部材を固定することにより、不要な部分に剛性増大手段を付与してしまうことがなく、材料コストや加工コストを抑制することができる。すなわち、高耐食金属板の厚み寸法としては、防食保護層としての必要十分な寸法で設計しておき、剛性を増大させたい直線部にのみ補剛部材を固定することで、高耐食金属板全体が厚くなってしまうことがない。さらに、補剛部材を防食材側に設けるので、この補剛部材が水中側(海側)に突出しないようにでき、水中側が平滑となることから、流木などの衝突による防食被覆体の変形や破損を回避することができる。
このような構成によれば、鋼矢板の幅方向に長く形成した補剛部材によって高耐食金属板の直線部の剛性を高めることで、直線部が水中側に膨らむような変形を効果的に抑制することができる。
このような構成によれば、高耐食金属板と同種の金属板で補剛部材を構成することで、異種金属接触による腐食が防止でき、高耐食金属板による防食保護層の長寿命化により防食耐久性を向上させることができる。
このような構成によれば、凸側鋼矢板のウェブに沿った防食被覆体の直線部に剛性増大手段を設けることで、前述の図8(B)のように凸側鋼矢板Y1のウェブWに沿った凸側カバーC1の直線部が水中側に変形しようとしても、この変形を効果的に抑制することができる。
このような構成によれば、凹側鋼矢板のウェブおよびフランジに沿った防食被覆体の直線部に剛性増大手段を設けることで、前述の図8(B)のように凹側鋼矢板Y2のフランジFに沿った凹側カバーC2の直線部が圧縮力を受けても、その変形を抑制することができるとともに、凹側鋼矢板Y2のウェブWに沿った凹側カバーC2の直線部が水中側に変形しようとしても、この変形を効果的に抑制することができる。
このような構成によれば、高耐食金属板により樹脂防食層を保護することで耐食性を高めることができるとともに、防食被覆体の耐衝撃性も高めることができ、超長期耐久性を確保することができる。
このような発明によれば、地盤に貫入する際の打撃力や地盤からの抵抗、あるいは支持する地盤からの土圧や水圧などの作用により鋼矢板が変形しても、防食被覆体が変形した矢板に追従することができるとともに、前述した防食被覆体と同様に、防食被覆体の変形が抑制できることから、鋼矢板との密着性を確保して防食耐久性を向上させることができる。さらに、防食被覆体の直線部を鋼矢板に固定するボルトなども削減できることから、部材数量や固定作業手間が低減できるとともに、流木などの衝突による防食被覆体の変形や破損を回避して防食耐久性をより一層向上させることができる。
このような構成によれば、鋼矢板の継手部に設けた固定手段によって凸側および凹側の防食被覆体の側端部を固定することで、固定手段の設置箇所数を削減することができ、部材数量や固定作業手間をさらに低減することができる。そして、このような固定手段を用いて凸側および凹側の防食被覆体を固定した場合であっても、前述のように鋼矢板のウェブに沿った防食被覆体の直線部の変形が抑制できることで、鋼矢板との密着性を確保することができる。
なお、第2実施形態以降において、次の第1実施形態で説明する構成部材と同じ構成部材、および同様な機能を有する構成部材には、第1実施形態の構成部材と同じ符号を付し、それらの説明を省略または簡略化する。
第1実施形態の防食被覆体3(凸側防食被覆体3Aおよび凹側防食被覆体3B)は、鋼矢板2の海S側表面に当接して設けられる樹脂防食層としてのペトロラタムシート31と、このペトロラタムシート31に接着される緩衝材としての発泡樹脂層32と、この発泡樹脂層32に接着される高耐食金属板33とを有し、これらが一体化されて構成されている。ペトロラタムシート31は、厚さ2〜3mmのシート状に形成され、その鋼矢板2側には所定の粘性を有したペトロラタム樹脂が塗布され、このペトロラタム樹脂を介して鋼矢板2の海S側表面に密着するように構成されている。発泡樹脂層32は、厚さ5〜20mmの板状に形成され、発泡ポリエチレンなどの樹脂材料から構成されている。高耐食金属板33は、厚さ0.4〜1mmの薄板状に形成され、チタンや耐海水ステンレス鋼(例えばSUS316、SUS317、SUS317にCu、N等を添加して耐孔食性等を改善したステンレス鋼など)の高耐食金属から構成されている。
すなわち、凸側防食被覆体3Aにおける凸側第1直線部34の高耐食金属板33には、発泡樹脂層32から離れる側、つまり海S側に突出した凸部332が複数形成されている。これらの凸部332は、それぞれ略円形に形成されるとともに、凸側第1直線部34における幅方向(左右方向)略中央にて上下方向に沿って所定間隔で設けられている。このような凸部332を形成することで、凸側第1直線部34の曲げ剛性を増大させることができ、その剛性増大効果によって凸側第1直線部34の変形が抑制できるとともに、鋼矢板2の変形に追従してペトロラタムシート31と鋼矢板2との密着状態が維持できるようになっている。
図7(A)〜(D)は、それぞれ第2実施形態の防食被覆体5の一部を断面して示す縦断面図である。
防食被覆体5は、前記第1実施形態の防食被覆体3(3A,3B)と同様に、ペトロラタムシート51と、発泡樹脂層52と、高耐食金属板53とを有して構成され、剛性増大手段の構成が第1実施形態と相違している。以下、相違点を詳しく説明する。
防食被覆体5の直線部54(前記凸側第1直線部34や凸側第2直線部35、凹側第1直線部37、凹側第2直線部38と同様)において、高耐食金属板53の発泡樹脂層52側の面には、剛性増大手段としての補剛部材531,532,533,534が固定されている。
図7(B)において、補剛部材532は、高耐食金属板53と同種の高耐食金属から断面L字形のアングル状に形成され、直線部54における高耐食金属板53に溶接固定されている。この補剛部材532は、直線部54の幅方向に長く形成されるとともに、上下方向に沿って所定間隔で設けられている。
図7(D)において、補剛部材534は、高耐食金属板53と同種の高耐食金属から平板状に形成され、その平面を当接させた状態で直線部54における高耐食金属板53に溶接固定されている。この補剛部材534は、直線部54の幅方向に長く形成されるとともに、上下方向に沿って所定間隔で設けられている。
例えば、前記実施形態においては、U形の鋼矢板2である凸側鋼矢板2Aおよび凹側鋼矢板2Bを交互に連結した支持壁体の表面を防食被覆体3,5で被覆する構成を説明したが、これに限らず、鋼矢板としては、ハット形鋼矢板であってもよいし、直線状や曲線状の断面を有した鋼矢板であってもよい。ハット形鋼矢板の場合には、その凹凸形状に応じた形状の防食被覆体を用いればよく、前記凸側防食被覆体3Aや凹側防食被覆体3Bの形状には限定されない。また、ハット形鋼矢板の表面を覆う防食被覆体を当該ハット形鋼矢板に固定する固定手段としては、例えば、ハット形鋼矢板の地盤側のフランジや継手部に設けられていればよく、このようにすれば、固定手段が防食被覆体の表面側に突出しないようにでき、流木などによる破損や変形が防止できる。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
Claims (11)
- 鋼矢板の表面に当接可能な樹脂防食層と、この樹脂防食層に緩衝材を介して一体化された高耐食金属板と、を少なくとも備える鋼矢板用の防食被覆体であって、
当該防食被覆体は、前記鋼矢板の表面に沿う少なくとも2つの直線部と、これらの直線部を結ぶ折曲部とを少なくとも有した断面屈曲状に形成され、
前記少なくとも2つの直線部のうちの少なくとも1つの直線部において、前記高耐食金属板は、前記折曲部よりも当該直線部の剛性を大きくする剛性増大手段を有して構成されていることを特徴とする鋼矢板用の防食被覆体。 - 請求項1に記載の鋼矢板用の防食被覆体において、
前記剛性増大手段は、前記高耐食金属板に形成した凹凸で構成されていることを特徴とする鋼矢板用の防食被覆体。 - 請求項2に記載の鋼矢板用の防食被覆体において、
前記凹凸は、前記直線部において、前記鋼矢板の幅方向に長く形成されるとともに、当該鋼矢板の軸方向に沿って所定間隔で複数設けられていることを特徴とする鋼矢板用の防食被覆体。 - 請求項1に記載の鋼矢板用の防食被覆体において、
前記剛性増大手段は、前記高耐食金属板の前記緩衝材側の面に固定した補剛部材で構成されていることを特徴とする鋼矢板用の防食被覆体。 - 請求項4に記載の鋼矢板用の防食被覆体において、
前記補剛部材は、前記直線部において、前記鋼矢板の幅方向に長く形成されるとともに、当該鋼矢板の軸方向に沿って所定間隔で複数設けられていることを特徴とする鋼矢板用の防食被覆体。 - 請求項4または請求項5に記載の鋼矢板用の防食被覆体において、
前記補剛部材は、前記高耐食金属板と同種の金属板で構成されていることを特徴とする鋼矢板用の防食被覆体。 - 請求項1から請求項6のいずれかに記載の鋼矢板用の防食被覆体において、
前記鋼矢板は、水中側に凸な凸側鋼矢板と地盤側に凹な凹側鋼矢板とを互いの継手部の嵌合により連結して構成され、
前記凸側鋼矢板のウェブおよびフランジのうち、少なくともウェブに沿った前記防食被覆体の直線部に前記剛性増大手段が設けられていることを特徴とする鋼矢板用の防食被覆体。 - 請求項7に記載の鋼矢板用の防食被覆体において、
前記凹側鋼矢板のウェブおよびフランジに沿った前記防食被覆体の直線部に前記剛性増大手段が設けられていることを特徴とする鋼矢板用の防食被覆体。 - 請求項1から請求項8のいずれかに記載の鋼矢板用の防食被覆体において、
前記高耐食金属板は、チタンまたは耐海水ステンレス鋼から構成されていることを特徴とする鋼矢板用の防食被覆体。 - 請求項1から請求項9のいずれかに記載の鋼矢板用の防食被覆体によって鋼矢板の表面を被覆したことを特徴とする鋼矢板の防食構造。
- 請求項10に記載の鋼矢板の防食構造において、
前記鋼矢板は、水中側に凸な凸側鋼矢板と地盤側に凹な凹側鋼矢板とを互いの継手部の嵌合により連結して構成され、
前記防食被覆体は、前記凸側鋼矢板の表面を覆う凸側防食被覆体と、前記凹側鋼矢板の表面を覆う凹側防食被覆体とを有して構成され、これら凸側および凹側の防食被覆体の側端部が重なって設けられるとともに、前記継手部から水中側に突出する固定手段によって前記鋼矢板に固定されていることを特徴とする鋼矢板の防食構造。
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