JP2020143516A - 防食施工方法およびその方法において用いられる薄板 - Google Patents
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Description
これに関連して特許文献1には、縦に二つ割りのカバー本体の外向きフランジ部どおしをボルト止めすることによって鋼管等の金属管外面に施工した防食材を保護する保護カバーにおいて、上記カバー本体の肉厚を上記フランジ部に近付くにつれて次第に厚肉に形成したことを特徴とする鋼管等の防食被覆材保護カバーが記載されている。そして、このような保護カバーは、カバー本体の肉厚をフランジ部に近付く程次第に厚肉としたことにより、カバー本体の腹部に近付くにつれて柔軟性が増すので、フランジ部を互いに強くボルト締めしても、従来のようにフランジ部近傍が折曲変形して隙間が生じるようなことがないから、鋼管に対する密着が極めて良好であると記載されている。
このような特許文献1に記載の方法によれば、フランジ部近傍が折曲変形して隙間が生じることを回避できる可能性はある。しかし、波や漂流物がフランジ部へ衝突することによるフランジ部の破損が生じる可能性はある。
本発明は次の(1)〜(6)である。
(1)海洋構造物の鋼管杭の飛沫帯・干満帯の外周面に、防錆層、プラスチック層および保護層を含む防食層を形成して防食する防食施工方法であって、
前記鋼管杭の外周面に防錆層を密着させて形成する防錆層形成工程と、
前記防錆層の外周側にプラスチック層を形成するプラスチック層形成工程と、
前記プラスチック層の外周側に、保護層を形成する保護層形成工程と、
を備え、
前記保護層は耐食性金属製またはプラスチック製の薄板からなり、
前記薄板はその両端の接合部とそれ以外の本体部とからなり、前記接合部は前記本体部と繋がっていて、これらは一体に構成されており、
前記接合部は、前記薄板を前記保護層として前記プラスチック層の外周側に配置した場合に前記鋼管杭の長手方向と垂直方向での断面の半径方向と平行になる平面部と、前記断面において前記平面部における前記鋼管杭から最も離れた位置に配置される端部から前記本体部の外面に伸びる斜面部とを備え、前記本体部と前記斜面部との接点は繋がっていて、前記断面における前記接合部の内部には空間が存在しており、
前記保護層形成工程では、2つの前記接合部の各々における前記平面部同士を向き合わせ、それらをネジで貫いて締めて前記保護層を固定する、防食施工方法。
(2)前記保護層形成工程において、前記平面部同士を向き合わせ、それらの間に弾性体を挟み、それらをネジで貫いて締めて前記保護層を固定する、上記(1)に記載の防食施工方法。
(3)前記薄板が耐食性金属製であり、その両端が外向きに折り返され、その最先端部が前記薄板の外面に固定されてなる前記接合部を有する、上記(1)または(2)に記載の防食施工方法。
(4)予め前記接合部が形成された2つの前記薄板を用いて保護層を形成する、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の防食施工方法。
(5)前記薄板の厚さ0.3〜3mmである、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の記載の防食施工方法。
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の防食施工方法において保護層として用いられる薄板。
本発明は、海洋構造物の鋼管杭の飛沫帯・干満帯の外周面に、防錆層、プラスチック層および保護層を含む防食層を形成して防食する防食施工方法であって、前記鋼管杭の外周面に防錆層を密着させて形成する防錆層形成工程と、前記防錆層の外周側にプラスチック層を形成するプラスチック層形成工程と、前記プラスチック層の外周側に、保護層を形成する保護層形成工程と、を備え、前記保護層は耐食性金属製またはプラスチック製の薄板からなり、前記薄板はその両端の接合部とそれ以外の本体部とからなり、前記接合部は前記本体部と繋がっていて、これらは一体に構成されており、前記接合部は、前記薄板を前記保護層として前記プラスチック層の外周側に配置した場合に前記鋼管杭の長手方向と垂直方向での断面の半径方向と平行になる平面部と、前記断面において前記平面部における前記鋼管杭から最も離れた位置に配置される端部から前記本体部の外面に伸びる斜面部とを備え、前記本体部と前記斜面部との接点は繋がっていて、前記断面における前記接合部の内部には空間が存在しており、前記保護層形成工程では、2つの前記接合部の各々における前記平面部同士を向き合わせ、それらをネジで貫いて締めて前記保護層を固定する、防食施工方法である。
図1は海洋構造物の鋼管杭1の飛沫帯・干満帯に、本発明の防食施工方法を施した状態を示す概略図である。また、図2は、図1における鋼管杭の長手方向と垂直方向での断面であるA−A線断面図である。さらに、図3は図1における弾性体がない場合のA−A線断面図であり、図4は、図1の態様において用いた薄板の概略断面図である。図4は図2、3における薄板の部分だけを取り出した図と考えることもできる。なお、これら図1〜4を含め、本発明を説明するために用いる各図における各部分の大きさ等は、実際とは異なる場合がある。
鋼管杭の大きさ等も特に限定されないが、例えば断面直径が200〜10000mmであってよく、300〜2000mmであってよく、400〜1800mmであってもよい。
そして、防錆層3、プラスチック層5および保護層7が防食層10を構成している。
また、接合部710は、平面部710αおよび斜面部710βを含む。
ここで平面部710αは、図1〜3に示すように薄板71を保護層7としてプラスチック層5の外周側に配置した場合に、鋼管杭1の図2または図3に示す断面における半径方向(図2に示す点線CL)と平行になる面を含む部分である。なお、この面と図2に示す点線CLとは、厳密な平行でなくても略平行(例えば図2に示す点線CLとなす角度が10度以下程度)であればよい。
また、斜面部710βは、薄板71を保護層7としてプラスチック層5の外周側に配置した場合に、図2または図3において、平面部710αにおける鋼管杭1から最も離れた位置に配置される端部ωから、本体部711の外面711sに伸びる斜面部710βとを備える。そして、本体部711の外面711sと斜面部710βとは接点φで繋がっている。そのため、図2または図3に示すように、接合部710の断面内には空間ρが存在している。
すなわち、薄板72は、その両端の接合部720とそれ以外の本体部721とからなり、接合部720は本体部721と繋がっていて、これらは一体に構成されている。
また、接合部720は、平面部720αおよび斜面部7210βを含む。
ここで平面部720αは、図1〜3に示すように薄板72を保護層7としてプラスチック層5の外周側に配置した場合に、鋼管杭1の図2または図3に示す断面における半径方向(図2に示す点線CL)と平行になる面を含む部分である。なお、この面と図2に示す点線CLとは、厳密な平行でなくても略平行(例えば図2に示す点線CLとなす角度が10度以下程度)であればよい。
また、斜面部720βは、薄板72を保護層7としてプラスチック層5の外周側に配置した場合に、図2または図3において、平面部720αにおける鋼管杭1から最も離れた位置に配置される端部ωから、本体部721の外面721sに伸びる斜面部720βとを備える。そして、本体部721の外面721sと斜面部720βとは接点φで繋がっている。そのため、図2または図3に示すように、接合部710の断面内には空間ρが存在している。
また、平面部(710α、720α)における鋼管杭1に最も近い位置から傾斜部の先端までの直線距離(図2、図3中のL2)は50〜300mmであることが好ましく、100mm程度であることがより好ましい。
当て板6は、保護層の平面部の間付近から鋼管杭本体へ直接海水の浸入を防止する、という役割を果たす。
当て板6の厚さも特に限定されず、例えば薄板と同じ厚さであってよい。
当て板6の大きさも特に限定されず、例えば図3における幅方向(L2と平行方向)の長さが50〜300mmであることが好ましく、100mm程度であることがより好ましい。
本発明の防錆層形成工程では、前記鋼管杭の外周面に密着するように防錆層を形成する。
防錆層は特に限定されず、例えば従来公知のものを用いることができるが、例えば市販の防錆剤(ペトロラタム、酸化重合樹脂、エポキシ樹脂など)を含浸した帯状の布を用いることができ、これを前記鋼管杭の外周面に巻き付けることで防錆層を形成することができる。
施工に際しては、例えば鋼管杭の表面付着物を除去し、サンドブラスト等で素地調整し、ペトロラタムのペーストを塗布し、その上からペトロラタムを含浸したテープを固く巻きつけて防錆層を形成することが好ましい。
本発明のプラスチック層形成工程では、前記防錆層の外周側にプラスチック層を形成する。前記防錆層の外周面上に他の層(例えば遮水シート)を1層以上形成し、その外周面上にプラスチック層を形成してもよいが、前記防錆層の外周面に密着するようにプラスチック層を形成してもよい。
プラスチック層は、発泡プラスチック層であることが好ましい。例えば三次元の方向に連通した多数の孔を有する市販の発泡ポリエチレンからなる発泡プラスチックを用いることができる。
プラスチックからなる帯状のシートを前記防錆層の外周側に巻き付けることによって、プラスチック層を形成することができる。
本発明の保護層形成工程では、前記プラスチック層の外周側に保護層を形成する。
前記プラスチック層の外周面上に他の層を1層以上形成し、その外周面上に保護層を形成してもよいが、前記プラスチック層の外周面に密着するように保護層を形成することが好ましい。
耐食性金属は特に限定されない。例えば耐食性金属として、チタン、チタン合金、ステンレスが挙げられ、チタンまたはチタン合金であることが好ましい。
耐食性金属製の薄板としては板厚が0.3〜3.0mm、好ましくは0.6〜1.0mmのものが軽量であり、この場合、施工時の取扱いが容易であるので好ましい。また、この程度にまで薄い厚さとしても、接合部の強度が高いため、波や漂流物にからの衝撃があっても破損し難い。
プラスチック製の薄板としては、板厚が2〜5mm、好ましくは2〜3mmのものが軽量であり、この場合、施工時の取扱いが容易であるので好ましい。
そして、2つの接合部(接合部710および接合部720)の各々が有する平面部(平面部710αおよび平面部720α)同士を向き合わせる。平面部同士の間の幅は20mm程度であることが好ましい。ここで、それらの間に弾性体8を挟むことが好ましい。また、弾性体8を用いない場合、接合部(接合部710および接合部720)の鋼管杭1側に、図3に示したような当て板を配置することが好ましい。弾性体8を用いた場合に当て板を配置してもよい。
弾性体8の大きさは、例えば厚み(図2における幅方向(L2と平行方向)の長さ)が20mmであってよい。
ここで、ネジ9とナットを、傾斜部(710β、720β)に形成された孔γから接合部の内部の空間ρへ入れ、工具等を用いてこれらを締めて固定する。
孔γの形状や大きさは、ネジ9とナットを空間ρへ入れることができ、さらにネジ9とナットを締めるための工具等も空間ρへ入れたうえで作業が可能な程度のものであれば特に限定されない。
3 防錆層
5 プラスチック層
7 保護層
71 薄板
710 接合部
710α 平面部
710β 斜面部
711 本体部
711s 外面
72 薄板
720 接合部
720α 平面部
720β 斜面部
721 本体部
721s 外面
50 受台
51 スリーブ
52 プレート
6 当て板
ω 端部
φ 接点
ρ 空間
8 弾性体
9 ネジ
Claims (6)
- 海洋構造物の鋼管杭の飛沫帯・干満帯の外周面に、防錆層、プラスチック層および保護層を含む防食層を形成して防食する防食施工方法であって、
前記鋼管杭の外周面に防錆層を密着させて形成する防錆層形成工程と、
前記防錆層の外周側にプラスチック層を形成するプラスチック層形成工程と、
前記プラスチック層の外周側に、保護層を形成する保護層形成工程と、
を備え、
前記保護層は耐食性金属製またはプラスチック製の薄板からなり、
前記薄板はその両端の接合部とそれ以外の本体部とからなり、前記接合部は前記本体部と繋がっていて、これらは一体に構成されており、
前記接合部は、前記薄板を前記保護層として前記プラスチック層の外周側に配置した場合に前記鋼管杭の長手方向と垂直方向での断面の半径方向と平行になる平面部と、前記断面において前記平面部における前記鋼管杭から最も離れた位置に配置される端部から前記本体部の外面に伸びる斜面部とを備え、前記本体部と前記斜面部との接点は繋がっていて、前記断面における前記接合部の内部には空間が存在しており、
前記保護層形成工程では、2つの前記接合部の各々における前記平面部同士を向き合わせ、それらをネジで貫いて締めて前記保護層を固定する、防食施工方法。 - 前記保護層形成工程において、前記平面部同士を向き合わせ、それらの間に弾性体を挟み、それらをネジで貫いて締めて前記保護層を固定する、請求項1に記載の防食施工方法。
- 前記薄板が耐食性金属製であり、その両端が外向きに折り返され、その最先端部が前記薄板の外面に固定されてなる前記接合部を有する、請求項1または2に記載の防食施工方法。
- 予め前記接合部が形成された2つの前記薄板を用いて保護層を形成する、請求項1〜3のいずれかに記載の防食施工方法。
- 前記薄板の厚さ0.3〜3mmである、請求項1〜4のいずれかに記載の記載の防食施工方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の防食施工方法において保護層として用いられる薄板。
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