JP4823126B2 - 継手部防食性に優れる重防食被覆鋼矢板の構造体及びその構造体に使用する鋼矢板 - Google Patents
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Description
(1)接続された各鋼矢板の爪部近傍の重防食被覆上に、爪部に沿ってベースプレートが鋼矢板と電気的に絶縁して固定されており、前記継手部をはさんで配置された一対のベースプレート間に防食シートを介在させた状態で、前記継手部を覆う耐食性金属板よりなるカバープレートを前記ベースプレートにスポット溶接して、前記継手部を前記カバープレートにより覆うようにした。
さらに、前記(1)において、
(2)前記カバープレートと前記ベースプレートとを、チタン板またはチタン合金板より形成されているようにした。
(3)前記ベースプレートは、鋼矢板の接続前にあらかじめ重防食被覆上に固定されているようにした。
(4)前記ベースプレートは、半硬化状態の重防食被覆上に載置されることにより重防食被覆上に固定されるようにした。
(5)前記防食シートが、防錆剤を含浸した繊維シートであるようにした。
(6)鋼矢板の爪部近傍の重防食被覆上に、継手部を覆うカバープレートを溶接して取り付けるためのベースプレートが、爪部に沿って固定されているようにした。
さらに、前記(6)において、
(7)前記ベースプレートが、チタン板またはチタン合金板より形成されているようにした。
(8)ベースプレートが、半硬化状態の重防食被覆上に載置されることにより重防食被覆上に固定されているようにした。
図1に示すように、ハット型鋼矢板1は中央のフランジ部3と、フランジ部3の両端から斜め方向に伸びるウェブ部4と、ウェブ部4から横方向にフランジ部3と平行に伸びるアーム部5と、アーム部5の端部に形成される爪部2により構成される。
各鋼矢板1には、実際に現場で打設された場合に、海水面に接する干満帯や海水が飛散する飛沫帯に相当する部分に重防食被覆6が施されている。重防食被覆6は爪部2には前記のように施されておらず、図3(a)に示すようにハット型鋼矢板の隣接する爪部2を相互に嵌合して接続して矢板壁のような構造体を形成した場合、隣接する鋼矢板の継手部7を防食する必要が生じる。
そのために、まず、鋼矢板1のアーム部5の重防食被覆上に、鋼矢板と電気的に絶縁した状態で耐食性金属の薄板よりなるベースプレート8を爪部2に沿って固定し、図3に示すように、接続されたハット型鋼矢板構造体において、一対のベースプレート8が継手部7をはさんで配置されるようにする。ベースプレート8を鋼矢板と電気的に絶縁して固定することにより、ベースプレート8に鋼以外の金属を使用しても異種金属接触腐食の問題が発生しない。
また、カバープレート10の下端部からの水の浸入を防ぐため、さらにカバープレート10の下端部を水中硬化パテなどでシールしたシール部12を形成してもよい。
さらに、カバープレート10を重防食被覆6の上に取り付けることができるため、図1のように重防食被覆6を爪部直近まで施したハット型鋼矢板を使用することができ、カバープレート10で覆わない継手部を含め、全体の防食性能をさらに高めることができる。
チタンあるいはチタン合金は、多くの環境でステンレス鋼をしのぐ優れた耐食性を示し、加えて強度も高く、しかも、軽くて取り扱いやすくカバープレートの取り付け時の作業性がよい材料である。
そのためには、カバープレート10の厚さは、0.2〜1.0mmが好ましい。厚さが0.2mm未満ではカバーとして必要な強度を確保することができないためであり、1.0mmを超える厚さでは、変形しにくくなるとともにコストが増大するためである。
ベースプレート8の厚さは、0.4mm以上が望ましい。厚さが0.4mm未満ではスポット溶接時にベースプレートが変形して必要な溶接強度を得ることができない。ベースプレートの場合は厚みがあってもよいが、費用上の点から2mmで十分である。
また、防食シート9の取り付けは、カバープレート10の取り付け前におこなわれるため、従来例のようにカバープレート10の取り付け後に、カバープレート10と爪部2の隙間を埋める必要がなくなるので、作業性の大幅な向上を図ることができる。
干満帯に相当する3mの部分に、3mm厚みのポリウレタン重防食被覆を行ったハット型鋼矢板(長さ10m)のアーム部の重防食被覆上に、図3のように1×50×2500mmのチタン製ベースプレートを取り付けた。ベースプレートの取り付けは、重防食被覆が固化する前にその上に載置することにより行った。
施工後、6ヶ月経過し、外観の変化を観察した。比較例であるカバープレートを取り付けてない継手部は、錆が発生し、劣化が進行している。それ以外のカバープレートを取り付けた本発明例は、錆の発生も見られず、極めて良好な外観であった。
2 ハット型鋼矢板の爪部
3 ハット型鋼矢板のフランジ部
4 ハット型鋼矢板のウェブ部
5 ハット型鋼矢板のアーム部
6 重防食被覆
7 ハット型鋼矢板の継手部
8 ベースプレート
9 防食シート
10 カバープレート
11 スポット溶接箇所
12 シール部
Claims (8)
- 一方の面に重防食被覆が施され、断面がハット形状の複数の鋼矢板を、端部に形成された爪部を相互に嵌合することによって形成される継手部により接続した鋼矢板の構造体であって、接続された各鋼矢板の爪部近傍の重防食被覆上に、爪部に沿ってベースプレートが鋼矢板と電気的に絶縁して固定されており、前記継手部をはさんで配置された一対のベースプレート間に防食シートを介在させた状態で、前記継手部を覆う耐食性金属板よりなるカバープレートを前記ベースプレートにスポット溶接して、前記継手部を前記カバープレートにより覆うようにしたことを特徴とする鋼矢板の構造体。
- 前記ベースプレート及びカバープレートは、チタン板またはチタン合金板より形成されていることを特徴とする請求項1に記載の鋼矢板の構造体。
- 前記ベースプレートは、鋼矢板の接続前にあらかじめ重防食被覆上に固定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の鋼矢板の構造体。
- 前記ベースプレートが、半硬化状態の重防食被覆上に載置されることにより重防食被覆上に固定されることを特徴とする請求項3に記載の鋼矢板の構造体。
- 前記防食シートが、防錆剤を含浸した繊維シートであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の鋼矢板の構造体。
- 請求項1に記載の鋼矢板の構造体に使用され、一方の面に重防食被覆が施された断面がハット形状の鋼矢板であって、該鋼矢板の爪部近傍の重防食被覆上に、継手部を覆うカバープレートを溶接して取り付けるためのベースプレートが、爪部に沿って鋼矢板と電気的に絶縁して固定されていることを特徴とする鋼矢板。
- 前記ベースプレートが、チタン板またはチタン合金板より形成されていることを特徴とする請求項6に記載の鋼矢板。
- 前記ベースプレートが、半硬化状態の重防食被覆上に載置されることにより重防食被覆上に固定されていることを特徴とする請求項6または7に記載の鋼矢板。
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