JP2009102391A - 水性アクリロニトリルプロセス流の操作および/または処理によるオキシダントの低減 - Google Patents

水性アクリロニトリルプロセス流の操作および/または処理によるオキシダントの低減 Download PDF

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Abstract

【課題】水性アクリロニトリルプロセス流の操作および/または処理によるオキシダントの低減を提供すること。
【解決手段】アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルからなる群から選択される不飽和モノニトリルを製造する方法であって:対応する不飽和モノニトリルを含有する反応器流出液を生成する工程と;クエンチカラムに移動させる工程と;吸収カラムに移動させる工程と;該不飽和モノニトリルを含有する該底部流を、該不飽和モノニトリルを回収し精製する回収精製部に移動させる、工程と;少なくとも1個の水性プロセス流を再循環させて、該方法の効率を改善する工程と、を包含し、改良点が、少なくとも1個の水性流を、該プロセス流に再循環する前に処理して、そのpHを低下させ、それにより、該水性再生流中に存在する痕跡不純物の量を低減する工程を包含する、方法。
【選択図】図1

Description

(発明の属する技術分野)
本発明は、水性アクリロニトリルプロセス流の操作および/または処理によるオキシダントの低減に関する。
(従来の技術)
アクリロニトリル生成物は、非常に厳しい仕様に合わなければならない。これは、アクリロニトリルが、非常に多くの重合反応において、モノマーとして使用されており、ある種の不純物で汚染されることは、この重合反応を危うくするという点で、非常に望ましくない特徴であるからである。このような不純物には、種々のニトリル、過酸化物およびそれらの前駆体が挙げられる。アクリロニトリル生成物の仕様には、正ヨウ素試験を示す化合物の濃度が、任意の100万分の1部の2/10(0.2ppm)であることが必要である。この試験の検定は、既知量の過酸化水素に対して行われる。このような痕跡濃度の化合物は、同定するのが困難であり、そして、単離および分解するのはさらに困難であることが明らかである。痕跡不純物の分解は、以下の2つの要因により、さらに複雑となる:(a)不飽和ニトリルを製造するプロセスのどの時点で、該不純物を分解すべきかを正確に決定する必要性;および(b)所望生成物に新たな汚染物を導入することなく、該不純物を分解することの重要性。不純物は、一般に、反応器において、α,β−モノオレフィン性不飽和ニトリルを製造する反応段階で、導入される。しかしながら、特に、これらの不純物が、数ppmを超えない濃度範囲で存在し得ると考えられるときに、このプロセスの他の工程(すなわち、希酸での中和、水での抽出など)によって、好ましくない不純物が導入されることは、極めて起こりやすい。
プロピレンおよびイソブチレンのアンモ酸化により、それぞれ、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルを製造する方法および触媒は、非常に多くの米国特許(第2,481,826号、第2,904,580号、第3,044,966号、第3,050,546号、第3,197,419号、第3,198,750号、第3,200,084号、第3,230,246号および第3,248,340号を含めて)に記述されている。
オレフィン(プロピレンまたはイソブチレン)が、例えば、アンモニアおよび分子酸素と反応して、対応する不飽和ニトリル(例えば、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリル)を生成するときには、また、比較的に少量の種々の化合物(例えば、シアン化水素、飽和脂肪族ニトリル(例えば、アセトニトリル)、比較的に低分子量のカルボニル化合物(例えば、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、アクロレイン、メタクロレインなど))、および痕跡量の他の化合物(これらは、一般に、亜硝酸塩、過酸化物およびそれらの前駆体として記述できる)が生成する。所望の反応生成物は、適切な溶媒(例えば、水)中での吸収により回収され、この工程中、さらなる重い有機化合物が形成され得る。さらに好ましくは、この反応生成物は、まず、希酸(例えば、硫酸−これは、この反応器流出物中で存在する過剰のアンモニアを中和するように作用する)でのクエンチに次いで、水中での吸収により、回収される。
プロピレンのアンモ酸化での反応生成物は、抽出蒸留カラム(回収カラムと呼ばれる)の「リッチ」吸収水(”rich”absorber water)から分離される。この回収カラムからの塔頂は、アクリロニトリルおよび水の共沸混合物であり、その底部は、他の蒸留カラム(ストリッパーカラムと呼ばれる)で除去したアクリロニトリルを含有する水性流である。メタクリロニトリルの製造用のプラントでは、回収されるニトリルは、メタクリロニトリルであり、回収される副生成物は、イソブチレンから形成された対応する化合物である。
所望のモノオレフィン性不飽和ニトリル(例えば、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリル)の回収および精製方法は、米国特許第3,352,764号;第2,904,580号;第3,044,966号;および第3,198,750号に記述されている。
アクリロニトリル、アセトンおよび水を含有する混合物を分離する際に伴う問題の論述、ならびに総量の追加水の存在下での蒸留による分離を達成する手段は、米国特許第2,681,306号に示されている。
少量の種々の飽和カルボニル化合物からの類似の混合物の分離に伴う問題の論述は、米国特許第3,149,055号に見られる。
不純物として対応する不飽和脂肪族アルデヒドおよびシアン化水素と共に所望の不飽和ニトリルを含有する不純混合物から、実質的に純粋な不飽和脂肪族ニトリルを製造する方法は、米国特許第2,836,614号に開示されている。
少量の飽和カルボニル化合物から、不飽和ニトリル(例えば、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリル)を分離するさらに他の方法は、米国特許第3,185,636号に開示されている。
亜硝酸塩含有ニトリルに添加するいずれかの化合物は、痕跡不純物および添加化合物の反応生成物が、この生成物流から容易に分離および排出できるように、この生成物カラム中のニトリルの精製前に添加するのが好ましい。この添加された化合物はまた、「スカベンジャー」とも呼ばれ、いずれかの水溶性アルカリ化合物は、効果的なスカベンジャーとして作用する。このスカベンジャーを添加する論理的位置は、その吸収剤、ストリッパーカラム、または回収カラムまたは同時に1個以上のカラムのいずれかである。このスカベンジャーを添加する好ましい位置は、この後で記述のように、その回収カラムの塔頂にて、比較的に希薄な水溶液としてである。所望のニトリルが、この回収カラム中の水との共沸混合物として、塔頂で蒸留されるとき、望ましくない不純物およびスカベンジャーの水溶性反応生成物をその水相に抽出して、この生成物から該不純物を除去することが可能である。
この生成物である不飽和脂肪族ニトリル(例えば、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリル)は、クエンチタワーにて、向流接触によって、酸性化水流で冷却される。このクエンチタワーからの気体は、吸収剤の底部に導かれ、ここで、アクリロニトリル、アセトニトリルおよび他の比較的に溶解性の気体が吸収される。吸収されなかった気体は、スタックに導かれ、そして捨てられる。
従来、この吸収剤の底部からの流れは、リッチ水流として知られているが、回収カラムに導かれ、そこで、抽出的に蒸留される。この回収カラムは、いずれかの適切な接触手段であり得、ここで、液体および蒸気が、多数の伝達ゾーンおよびステージで、向流的に接触される。この回収カラムからの塔頂蒸気は、アクリロニトリルに富んでおり、他の成分は、主に、水およびシアン化水素であり、望ましくない不純物(例えば、亜硝酸塩、亜硝酸塩の特徴を有する化合物、およびそれらの前駆体)で汚染されている。この塔頂蒸気は、凝縮されて、デカンターに集められ、その液体は、液液相分離を受け、密でない層は、有機相であり、密な低層は、水相である。この有機相は、主に、水およびシアン化水素で汚染されたアクリロニトリルであるが、さらに精製するために、回収される。この水相は、この回収カラムの上部部分に還流される。
さらに、特許文献1は、水で汚染された不飽和モノニトリル(例えば、アクリロニトリル)から、痕跡不純物(例えば、ニトリル、過酸化物およびそれらの前駆体)を除去する方法を開示している。この特許文献1に開示された方法では、不飽和ニトリルおよび水の部分的に凝縮した共沸混合物に、アルカリ溶液を添加する必要があり、ここで、この共沸混合物は、抽出蒸留カラム(特に、回収カラム)から得た塔頂流として、得られる。このアルカリ溶液の効果は、この痕跡不純物の反応生成物を、この共沸混合物の水相に抽出して、その有機相を比較的に不純物のない状態にすることがある。次いで、この共沸混合物は、デカンターに移され、ここで、液液相分離が起こる。次いで、この粗アクリロニトリルを含有する有機相は、さらに精製するために除去され、この間、この反応生成物を含有する水相は、この回収カラムに再循環される。本発明は、アクリロニトリルの回収および精製の改良方法に関し、ここで、痕跡不純物(例えば、オキシダント(oxidant))は、水性の再生アクリロニトリルプロセス流から除去される。
米国特許第3,442,771号明細書
水性アクリロニトリルプロセス流の操作および/または処理によるオキシダントの低減を提供すること。
本発明は、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルからなる群から選択される不飽和モノニトリルを製造する方法であって:
触媒の存在下にて、反応器ゾーンで、プロピレンおよびイソブチレンからなる群から選択されるオレフィン、アンモニアおよび酸素を反応させて、対応する不飽和モノニトリルを含有する反応器流出液(reactor effluent)を生成する工程と;
該不飽和モノニトリルを含有する該反応器流出液を、クエンチカラムに移動させる工程であって、ここで、該不飽和モノニトリルを含有する該反応器流出液は、少なくとも、第一の水性流と接触されて、該反応器流出液が冷却される、工程と;
該不飽和モノニトリルを含有する該冷却反応器流出液を、吸収カラムに移動させる工程であって、ここで、該不飽和モノニトリルを含有する該反応器流出液は、少なくとも、第二の水性流と接触されて、底部流(bottom stream)としての該不飽和モノニトリルが、該吸収カラムから分離され、そして除去される、工程と;
該不飽和モノニトリルを含有する該底部流を、該不飽和モノニトリルを回収し精製する回収精製部(recovery and purification section)に移動させる、工程と;
少なくとも1つの水性プロセス流を再循環(recycle)させて、該方法の効率を改善する工程と、を包含し、
ここで、改良点が、少なくとも1個の水性流を、該プロセス流に再循環する前に処理して、そのpHを低下させ、それにより、該水性再生流中に存在する痕跡不純物の量を低減する工程を包含する方法に関する。
1つの実施態様では、上記方法において、上記処理された水性再生流が、上記回収カラム内に再循環される。
1つの実施態様では、上記方法において、上記処理された水性再生流が、前記クエンチカラム内に再循環される。
1つの実施態様では、上記方法において、上記オレフィンが、プロピレンであるように選択される。
1つの実施態様では、上記方法において、上記反応ゾーンが、流動床反応器であるように選択される。
1つの実施態様では、上記方法において、少なくとも2個の水性再生流が、そのpHを低くするように処理される。
1つの実施態様では、上記方法において、上記水性プロセス流が、上記プロセスへの再入(re−entry)の前に、そのpHを低減するように、酸で処理される。
1つの実施態様では、上記方法が、水および不飽和モノニトリルを含有する少なくとも1種の不均一共沸混合物を形成する工程と;
該不飽和モノニトリルを該水から分離する前に、該共沸混合物中の水と該不飽和モノニトリルとの比を上げる工程と;
該水を、より低いpHで、前記プロセスに再循環させる工程と、をさらに包含する。
本発明の目的は、アクリロニトリルの製造中に得られる水性の再生アクリロニトリルプロセス流において、その痕跡オキシダント不純物を低減することにある。
本発明の他の目的は、回収カラムに入る水性の再生プロセス流からの痕跡オキシダントおよび/または不純物を低減することにある。
本発明のさらに他の目的は、クエンチカラムに入る水性の再生プロセス流からの痕跡オキシダントおよび/または不純物を低減することにある。
本発明のさらに他の目的および利点は、一部には、以下の記述で示されるか、一部には、この記述から明らかとなるか、または本発明の実施により習得できる。本発明の目的および利点は、上記の特許請求の範囲で特に指摘された手段および組合せによって、実現され達成できる。
本発明によれば、水性アクリロニトリルプロセス流の操作および/または処理によるオキシダントの低減が提供される。
本発明の好ましい実施態様の模式図である。
(発明の実施の形態)
本明細書中で具体化され広範に記述されているように、本発明の目的に従って上述の目的を達成するために、本発明の方法は、触媒の存在下にて、反応器ゾーンで、プロピレンおよびイソブチレンからなる群から選択されるオレフィン、アンモニアおよび酸素を反応させて、対応する不飽和モノニトリル(すなわち、メタクリロニトリルまたはアクリロニトリル)を含有する反応器流出液を生成する工程と;該不飽和モノニトリルを含有する該反応器流出液を、クエンチカラムに移動させる工程であって、ここで、該不飽和モノニトリルを含有する該反応器流出液は、少なくとも、第一の水性流と接触されて、該反応器流出液が冷却される、工程と;該不飽和モノニトリルを含有する該冷却反応器流出液を、吸収カラムに移動させる工程であって、ここで、該不飽和モノニトリルを含有する該反応器流出液は、少なくとも、第二の水性流と接触されて、底部流としての該不飽和モノニトリルが、該吸収カラムから分離され、そして除去される、工程と;該不飽和モノニトリルを含有する該底部流を、該不飽和モノニトリルを回収し精製する回収精製部に移動させる、工程と;少なくとも1個の水性プロセス流を再循環させて、該方法の効率を改善する工程と、を包含し、ここで、改良点が、少なくとも1個の水性流を、該プロセス流に再循環する前に処理して、そのpHを低下させ、それにより、該水性再生流中に存在する痕跡不純物の量を低減する工程を包含する。上で使用する「処理する」との用語は、このプロセス流への再入前の処理だけでなく、このプロセス流への再入時に、直ちに、この再生流を処理することを含める意図であることを理解すべきである。
本発明の好ましい実施態様では、この再生水流は、そのpHを低減するために、酸で処理される。好ましくは、この酸は、鉱酸(例えば、硫酸)または有機酸(例えば、酢酸、アクリル酸、ギ酸またはグリコール酸)であり得、これらは、コストの考慮、入手可能性、相溶性、冶金学などにより、決定される。
本発明の他の好ましい実施態様では、高いpHを有する水性再生プロセス流は、このプロセス中の再生流の再入点を、このプロセス中の低いpHを有する位置にルート変更することにより、処理され、それにより、このプロセス流へのその再入時に、この流れのpHが本質的に低下する。
本発明のさらに好ましい実施態様では、処理した水性再生流は、この回収カラムに入る。
本発明のさらに好ましい実施態様では、処理した水性再生流は、このクエンチカラムに入る。
本発明の他の好ましい実施態様では、このオレフィンは、プロピレンである。
本発明のさらに他の好ましい実施態様では、この反応ゾーンは、流動床反応器である。
本発明のさらに好ましい実施態様では、この水性プロセス流の処理は、この共沸混合物中の水とアクリロニトリルとの容量比を改良して、それにより、この水相により、さらに多くのオキシダント/不純物を抽出できるようにする工程を包含する。
以下は、本発明の特定の実施態様のさらに詳細な記述である。ここで、そのα,β−モノオレフィン性不飽和ニトリルは、アクリロニトリルであり、使用する吸収媒体は、水であり、その飽和脂肪族ニトリルは、アセトニトリルである。
この図を参照すると、リッチ水の供給流は、3で示す供給トレイ(これは、分別プレートを備え付けた回収カラム1の頂部への経路の約2/3にある)にて、回収カラム1に導入されることが分かる。他の液体−蒸気接触手段(例えば、カラムパッキングなど)は使用できるが、ふるいトレイが好ましい。塔頂2で蒸留した蒸気は、蒸気凝縮器4(これは、二重凝縮器である)で凝縮される。次いで、この凝縮物は、デカンター5に通され、ここで、相分離が起こる。その有機層(粗アクリロニトリル相)は、さらに精製するために除去され、その水層(アクリロニトリル枯渇(depleted)水相)は、回収カラム1の上部部分に戻される。この水層の還流は、このカラムで望ましい操作特性に従って、供給トレイ3、または回収カラム1の頂部近傍、または供給トレイ3と頂部2との間にて、回収カラム1に戻してもよい。この頂部プレートよりも低い位置で、この水層還流をこの回収カラムに導入する利点は、水層還流が、望ましくない痕跡不純物で形成された反応生成物を含む望ましくない水溶性有機成分(これは、この頂部プレート上でフラッシュし、結果的に、この水層還流の流れに蓄積する傾向がある)の蓄積を回避することがある。本発明の方法は、この水層還流がこの供給トレイの下に導入されたとしても、操作可能であるが、そのようにする特別な理由はないことは、当業者に明らかである。この供給プレートの下の水性還流の戻り点が低くなるほど、より多くのアクリロニトリルを、回収カラム1の底部部分からストリッピングしなければならなくなる。
この凝縮物の水相から有機相を分離するには、他の手段を使用してもよい。例えば、この凝縮物は、シリカゲル、モレキュラーシーブなどのような物質を通って、直接、流すことができ、これらは、水および水に溶解した成分を優先的に除去する。重い水相から軽い有機相を分離するのに、液液遠心分離もまた、使用できる。
回収カラム1の底部で必要な煮沸物を生成するのに要する熱効率は、いずれかの従来のリボイラー装置での熱移動、例えば、カラム1の底部またはその近傍(6で示すように)での液体の除去、および熱サイホン型リボイラー7でのこの液体の熱交換により、提供できる。この熱サイホン型リボイラーからの溶出液は、8にて、回収カラム1の底部に戻される。生蒸気(live steam)9は、回収カラム1の必要な熱効率を補足するかまたは置き換えるかのいずれかのために、注入できる。アクリロニトリルに富んだ底部流は、回収カラム1から、ストリッパーカラム(このフローダイヤグラムでは示されていない)に導かれる。
本発明のプロセスでは、回収カラム1の頂部に入る水再生流は、この回収カラムに入る流れのpHを上げるために、処理される。この処理は、鉱酸(例えば、硫酸)または有機酸(例えば、酢酸、アクリル酸、ギ酸、またはグリコール酸)でなされ、これらは、コストの考慮、入手可能性、相溶性、冶金学などにより、決定できる。さらに、このプロセスの再入前の低pHでの再生流の温度、滞留、時間および他の特徴は、有用な生成物との相溶性に依存して、最小にされるかまたは上げる(extend)ことができる。
例えば、そのpHを6.5〜7.0から2.0に低下させ、測定された過酸化物のレベルを半分までに低下させるために、この回収カラムの水性再生流に、硫酸を添加できる。この再生流の温度および滞留時間が、この回収カラムからこのクエンチカラムへと物質を輸送するのに必要な値からのみ増加する場合、測定された過酸化物はさらに低減すると予想される。次いで、この流れは、このクエンチカラムに戻され、クエンチカラムのpHを維持するのに必要な酸における当量を低減する形で使用する程度の硫酸が回収され得る。以下の実施例1は、この処理手順を模擬することを意図する。
(実施例1)
100ppmの亜硫酸ナトリウムスパイク(spike)を、模擬回収デカンター水(pH7、重炭酸塩で緩衝した、7%アクリロニトリル、3%シアン化水素)に添加した。次いで、この水を、硫酸で、pH5.5、4.0、3.0および2.0まで処理した。コントロールとして、この試料の一部を、pH7.0で未処理のままとした。これらの試料を、過酸化物を含まないアセトニトリル中で希釈して、その濃度を、この試験の検定範囲にした後、標準的なヨウ素試験(ACRN−18−1)を用いて、過酸化物を測定した。このコントロール試料は、97ppmと測定され、pH5.5、4.0、3.0、および2.0に処理した試料は、それぞれ、86ppm、72ppm、56ppmおよび47ppmと測定した。次いで、この過酸化物の低下が、主として、不可逆的であることを確認するために、処理した試料を、アンモニアの添加により、pH5.5(典型的なクエンチpH)までにした。次いで、測定過酸化物レベルは、86ppm、78ppm、61ppmおよび53ppmであった。
先に述べたように、本発明の実施により想定される別の処理手順には、以前の再生位置と比較して、このプロセス中で、より低いpHが存在する位置まで、この再生流をルート変更(reroute)することがある。例えば、この回収デカンター水相は、典型的には、70ppmまでの測定過酸化物を含有するが、通常、6〜8の間のpHを有する回収カラムに戻して再循環される。本発明のこの局面を実施する際に、この流れは、このクエンチカラムにルート設定され、これは、より低いpH(例えば、5.8〜5.3)で制御されると想定される。この再生に起因すると考えられるクエンチ液体中で測定した過酸化物の増加は、この再生流中に存在する量よりも低いと予想される。再生中の温度および滞留時間は、測定した過酸化物をさらに低減するために、高めることができる。以下で示した実施例2は、本発明のこの局面のシミュレーションである。
(実施例2)
100ppmの亜硝酸塩イオンスパイク(アクリロニトリルプロセス流中のオキシダントの一部または全部は、それが、亜硝酸塩または亜硝酸誘導体であり、かつそのように挙動すると考えられている)を、模擬回収カラム供給物、模擬クエンチ水、およびコントロールとしての脱塩(demineralized)水に添加した。これらの試料を、過酸化物を含まないアセトニトリル中で希釈して、その濃度を、この試験の検定範囲にした後、標準的なヨウ素試験(ACRN−18−1)を用いて、過酸化物を測定した。このコントロール試料は、100ppmと測定し、この模擬回収カラム供給物試料は、98ppmと測定され、そして模擬クエンチ水試料は、75ppmと測定された。
最後に、この再生流の処理は、このアクリロニトリルプロセス中に発生した不均一共沸混合物中のアクリロニトリルに対する水の比を変えることにより、達成できることも想定されている。この水相中の測定過酸化物レベルは、この共沸混合物中のアクリロニトリル相中のレベルよりもずっと高くできる。このことは、特に、この共沸混合物が、そのpHをほぼ中性に制御した位置および/またはその水相自体のpHをほぼ中性に制御した位置で発生する場合に、あてはまる。従って、このような凝縮物から分離する水の容量を増加させるいずれの方法によっても、より多いオキシダントをこの水性再生流に抽出できる。そこでは、それは、本明細書中で開示のように、経路を設定するかまたは処理して、その測定過酸化物レベルが低減でき、次いで、再循環できる。この回収デカンター水相に関する本発明のこの部分を実施することは、非常に有利である。
以下の実施例3は、本発明のこの局面のシミュレーションである。
(実施例3)
亜硝酸塩スパイク(5ppm)アクリロニトリル試料を調製した。このアクリロニトリルの90mlを、pH7重炭酸塩緩衝水(模擬回収デカンター水相)10mlと共に振とうして、この共沸組成物をほぼ模擬した。相を分離し、そして各相において、標準的なヨウ素試験を用いて、過酸化物を測定した。このアクリロニトリル相は、0.80ppmの測定過酸化物を含有しており、これは、最初に添加した全体量の43%に相当し、その水相は6.7ppmの測定過酸化物を含有しており、これは、その全体量の52%に相当する。この試験を繰り返したが、代わりに、90:20の容量比を用いた。そのアクリロニトリル相を測定すると、この時点での過酸化物0.55ppm、30%であり、その水相は、4.4ppm、68%であった。90:30の容量比では、そのアクリロニトリル相は、0.35ppmの測定過酸化物を含有し、添加した初期の全体量の19%であり、その水相は、3.2ppmであり、その全体量の75%であった。
アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルからなる群から選択される不飽和モノニトリルを製造する方法であって:触媒の存在下にて、反応器ゾーンで、プロピレンおよびイソブチレンからなる群から選択されるオレフィン、アンモニアおよび酸素を反応させて、対応する不飽和モノニトリルを含有する反応器流出液を生成する工程と;該不飽和モノニトリルを含有する該反応器流出液を、クエンチカラムに移動させる工程であって、ここで、該不飽和モノニトリルを含有する該反応器流出液は、少なくとも、第一の水性流と接触されて、該反応器流出液が冷却される、工程と;該不飽和モノニトリルを含有する該冷却反応器流出液を、吸収カラムに移動させる工程であって、ここで、該不飽和モノニトリルを含有する該反応器流出液は、少なくとも、第二の水性流と接触されて、底部流としての該不飽和モノニトリルが、該吸収カラムから分離され、そして除去される、工程と;該不飽和モノニトリルを含有する該底部流を、該不飽和モノニトリルを回収し精製する回収精製部に移動させる、工程と;少なくとも1個の水性プロセス流を再循環させて、該方法の効率を改善する工程と、を包含し、ここで、改良点が、少なくとも1個の水性流を、該プロセス流に再循環する前に処理して、そのpHを低下させ、それにより、該水性再生流中に存在する痕跡不純物の量を低減する工程を包含する、方法。
1 回収カラム
2 塔頂
3 供給トレイ
4 蒸気凝縮器
5 デカンター
7 熱サイホン型リボイラー

Claims (1)

  1. 本明細書中に記載の不飽和モノニトリルを製造する方法。
JP2009011454A 1998-05-13 2009-01-21 水性アクリロニトリルプロセス流の操作および/または処理によるオキシダントの低減 Withdrawn JP2009102391A (ja)

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