JP2009099418A - リチウム二次電池用正極材料及びこれを用いたリチウム二次電池 - Google Patents

リチウム二次電池用正極材料及びこれを用いたリチウム二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】高出力化と高容量化を同時に達成するリチウム二次電池用正極材料、およびこれを用いたリチウムイオン二次電池を提供すること。
【解決手段】正極活物質の二次粒子を構成する一次粒子が主として0.1μmより大きく、0.5μm未満の粒径を有する粒子であり、二次粒子の比表面積が1.1m/g以上1.6m/g以下であり、かつ、二次粒子が有するパームポロメトリー法で測定された貫通細孔の最も狭い直径が、0.1μmより大きく、0.3μm未満であることを特徴とする、リチウム二次電池用正極材料。
【選択図】図3

Description

本発明は、リチウム二次電池用正極材料及びこれを用いたリチウム二次電池に関し、特に、非水系電解液を用いた大型リチウム二次電池用正極材料及びこれを用いたリチウム二次電池に関する。
エネルギーを効率的に利用できるハイブリッド自動車用電源として、高出力・高エネルギー密度の電池が求められている。リチウム二次電池は、電池電圧が高く、軽量で高エネルギー密度であるため、ハイブリッド自動車用電池として有望である。ハイブリッド自動車用二次電池は、自動車の減速時にエネルギーを回生して電池に蓄えた後、加速アシストのための高率放電が求められている。ここで、ハイブリッド自動車応用では、10秒間の加速で所望の速度に到達するため、電池として必要な特性は、10秒間の優れた出力特性である。また近年、環境問題意識の向上から、家庭用電源などで充電も可能とした、電気自動車とハイブリッド車の特色を併せ持つ、プラグインハイブリッド車も開発が期待されている。プラグインハイブリット車に要求される二次電池特性として、従来のハイブリット車に求められる高出力化とともに、車の航続距離に影響する電池の高容量化が求められている。また、工具用二次電池も高出力化とともに高容量化が求められる機器である。
一般に、高出力化のためには電極の比表面積を増大させるために電極を構成する活物質の小粒径化及び電極中に空隙を構成することが行われる。しかし、高容量化のためには単位体積当たりの充填密度を上げることが重要となり、電極中の空隙率を低減させる必要がある。このため、高出力化と高容量化は相反することとなり、同時に達成するための技術開発が求められていた。
高出力化について以下のような検討がなされてきた。例えば、特許文献1では、正極活物質粉末の粒子形態を多孔質の球状二次粒子にすることにより、負荷特性の改良効果が確認できることを明らかにしている。また、二次粒子内の空隙、即ち、粒子内部から粒子表面に開口する細孔(オープンポア)の平均径を0.1〜1μm(水銀圧入法による測定)に最適化することにより、細孔内の電解質の移動拡散を容易にして、高率放電時の内部抵抗の増加が抑制できるとしている。以上の概念から、特許文献1は、粒子内部に構成される細孔分布及び細孔の容積を規定している。また球状二次粒子は、球状二次粒子表面から内部に貫通する多数のオープンポアを有する。しかしながら、二次粒子内に構成される細孔構造については開示されておらず、また、正極に構成される細孔構造について、特に二次粒子の表面から表面に貫通する細孔構造について開示されていない。
特許文献2では、例えば熱可塑性樹脂などを細孔形成用粒子として用いて、多孔質構造を有する正極活物質を効率よく製造する方法を開示している。その製造方法によって形成される細孔は、水銀圧入法による細孔径分布測定で、細孔径分布のピーク値が好ましくは0.03〜1μmの範囲である。しかしながら、正極活物質粒子内及び正極内に構成される貫通する細孔構造については開示されていない。
特許文献3では、正極活物質内の細孔径を規定し、電極の塗工性及び低温特性の向上について開示されている。一般に、リチウムイオン二次電池の正極作製では、正極活物質、正極の電子伝導性を向上させる導電材及びこれらを結着させる結着剤を有機溶媒と混練したスラリーをアルミ箔上に塗布する。正極活物質内部の空隙が多い場合、吸液性が高いために結着剤及び有機溶媒を吸収し、電極の剥離が発生する。以上のように、特許文献3では、電極剥離などの塗工性に関する課題解決と低温特性の向上のため、正極活物質内及び正極の平均細孔半径を、水銀圧入法で10nm以上100nm以下に規定している。しかしながら、正極活物質粒子内及び正極内の物質移動に適した貫通細孔構造(後述)については開示されていない。
特開2000−323123号公報 特開2005−158401号公報 特開2005−123179号公報
本発明の目的は、高出力化と高容量化を同時に達成するリチウム二次電池用正極材料、およびこれを用いたリチウムイオン二次電池を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、正極活物質の二次粒子の貫通型細孔構造を考案し、細孔構造が正極内でネットワーク状に結びつくことにより、リチウム二次電池の高出力化と高容量化を達成できることを見出し、本発明を完成した。
本発明の概要は以下の通りである。
(1)正極活物質の二次粒子を構成する一次粒子が主として0.1μmより大きく、0.5μm未満の粒径を有する粒子であり、二次粒子の比表面積が1.1m/g以上1.6m/g以下であり、かつ、二次粒子が有するパームポロメトリー法で測定された貫通細孔の最も狭い直径が、0.1μmより大きく、0.3μm未満であることを特徴とする、リチウム二次電池用正極材料。
(2)1μm以下の貫通細孔分布に占める前記0.1μmより大きく、0.3μm未満の範囲の貫通細孔分布の割合が、3%より大きいことを特徴とする、(1)に記載の正極材料。
(3)正極活物質が、化学式LiMnNiCo(0<a≦1.2、0.1≦x≦0.9、0.1≦y≦0.9、0.1≦z≦0.34、x+y+z=1)で表される層状複合酸化物である、(1)または(2)に記載の正極材料。
(4)中空炭素材がさらに含まれる、(1)〜(3)のいずれかに記載の正極材料。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載の正極材料が用いられたリチウムイオン二次電池。
(6)(5)に記載のリチウムイオン二次電池が電気的に複数接続された電池モジュール。
(7)以下の工程:
(a)正極活物質の原料の金属酸化物を混合し、粉砕して、主として0.1μmより大きく、0.5μm未満の粒径を有する一次粒子を作製する工程、
(b)一次粒子に結着剤を添加して造粒する工程、
(c)造粒した粒子にリチウム化合物を添加する工程、
(d)リチウム化合物添加後の粒子を大気中で850℃以下で焼成する工程、及び
(e)焼成した粒子を解砕して二次粒子を作製する工程、
を含むことを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載のリチウム二次電池用正極材料の製造方法。
(8)工程(a)で、上記0.1μmより大きく、0.5μm未満の粒径の一次粒子が金属酸化物の体積比で98%以上になるように、粉砕することをさらに含む、(7)に記載の方法。
(9)工程(b)で、中空炭素材を結着剤とともに添加することをさらに含む、(7)または(8)に記載の方法。
(10)以下の工程:
(a)正極活物質の原料の金属塩の溶液に水酸化物溶液を加え、共沈法により金属複合水酸化物の一次粒子が集合した粒子を作製する工程、
(b)一次粒子が集合した粒子にリチウム化合物を添加する工程、
(c)リチウム化合物添加後の粒子を大気中で850℃以下で焼成する工程、及び
(d)焼成した粒子を解砕して二次粒子を作製する工程、
を含むことを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載のリチウム二次電池用正極材料の製造方法。
(11)工程(a)で、粒径が0.1μmより大きく、0.5μm未満の一次粒子を体積比で98%以上含む粒子を、共沈法で作製することをさらに含む、(10)に記載の方法。
(12)工程(a)で、中空炭素材と結着剤を添加して一次粒子が集合した粒子を造粒することをさらに含む、(10)または(11)に記載の方法。
本発明によれば、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車または工具用二次電池などの高出力・高容量が必要とされる機器応用に適したリチウム二次電池を提供できる。
〔リチウム二次電池用正極材料〕
本発明のリチウム二次電池用正極材料は、正極活物質の二次粒子を構成する一次粒子の粒径が主として0.1μmより大きく、0.5μm未満の粒径を有する粒子であり、二次粒子の比表面積が1.1m/g以上1.6m/g以下であり、かつ、二次粒子が有するパームポロメトリー法で測定された貫通細孔の最も狭い直径が、パームポロメトリー法による測定で0.1μmより大きく、0.3μm未満である。
二次粒子を構成する一次粒子は、好ましくはリチウム、ニッケル、マンガン、コバルトで構成される正極活物質(Li(NiMnCo)O系)である。一次粒子の粒径は、主として0.1μmより大きく、0.5μm未満、好ましくは0.4μm未満、より好ましくは0.3μm未満である。ここで、「主として」とは、粒径が0.1μmより大きく、0.5μm未満、好ましくは0.4μm未満、より好ましくは0.3μm未満の一次粒子が、粒子体積で一次粒子全体の95%以上を占めることをいう。一次粒子の粒径が0.1μm以下であると、一次粒子が凝集した二次粒子を作製することが困難となるとともに粉体の充填密度が低下して電池のエネルギー密度が低下する。また、0.5μm以上であると二次粒子を構成する一次粒子が大きいために二次粒子の比表面積が低下して電池出力が低下する。
二次粒子は、上記一次粒子で造粒され、その比表面積は、1.1m/g以上1.6m/g以下、好ましくは、1.2m/g以上1.4m/g以下である。1.1m/g未満であると、低比表面積のために電池出力が低下し、1.6m/gを超えると、粉体の充填密度が低下して電池のエネルギー密度が低下する。
また二次粒子は貫通細孔を有する。ここで、本発明でいう「貫通細孔」または「貫通型細孔」は、二次粒子の表面から表面に貫通する細孔を指す。二次粒子の貫通細孔は、パームポロメトリー法による測定で、最も狭い直径が0.1μmより大きく、0.3μm未満である。0.1μm以下であると、二次粒子内部への電解液の移動が妨げられるために電極抵抗が上昇して電池出力が低下し、0.3μm以上であると、粉体の充填密度が低下して電池のエネルギー密度が低下する。
二次粒子の貫通細孔は、正極内でネットワーク状に結びつくことにより、リチウム二次電池の高出力化と高容量化を可能にする。
リチウム二次電池の高出力化と高容量化を同時に達成するためには、まず、所望とする放電時間で高出力化を達成するために必要な二次粒子中の空隙、即ち、細孔径を見積もる必要がある。本発明では、一例として、10秒間の放電で最も効率よくリチウムイオンが一次粒子内に移動するための条件を以下のように導いた。まず、1個の球状の一次粒子にリチウムイオンが拡散するとき、必要とされる電解液量を以下のモデルで試算した。直径Rμmの一次粒子において、10秒間の放電で消費されるリチウムイオンが含まれる電解液層の厚みをdμmとした。ここで、リチウムイオンは球状の一次粒子に対して等方的に吸蔵されると仮定した。試算に用いた正極のパラメータとして、二次粒子の比表面積と電極上に塗布した単位面積あたりの正極活物質量から算出した全比表面積を114.4cm、印加電流を22.6mA/cmとした。また、試算に用いた電解液のパラメータは、電解液のLiPF濃度を1mol、乖離度を20%とした。二次粒子の半径から10秒間の放電で正極活物質に挿入されるリチウムイオン量を計算し、必要とされる電解液層の厚みdμmを試算した結果を図1に示す。直径0.5μmの一次粒子の場合、必要とされる電解液層の厚みは0.34μmである。実際は、二次粒子は一次粒子が凝集したものであるため、隣り合う二つの一次粒子の間で必要とされる細孔の直径は上記電解液層の厚みの2倍である0.68μmである。しかしながら、一次粒子径の約2倍の細孔径を有する二次粒子の粒子強度は弱く、電極塗工プロセスで粒子が崩壊してしまう。また、直径0.2μmの一次粒子の場合でも、必要とされる電解液層の厚みは0.21μmであり、直径0.5μmの一次粒子と同様に、一次粒子径の2倍の細孔径を有する二次粒子構造が必要となってしまう。以上のように、10秒間の放電に適した電解液を二次粒子内部に保持する二次粒子構造を有する二次電池用正極材料を得ることは困難である。細孔径を大きくすることができないので、高出力化を達成するためには、二次粒子を構成する個々の一次粒子に対し、如何に効率よく電解液を供給するかが課題となる。
次に、二次粒子を構成する個々の一次粒子に効率よく電解液を供給する粒子構造について説明する。
従来の正極活物質粒子内に形成される細孔の断面構造を図2に示す。正極活物質粒子は一次粒子1が凝集した二次粒子2で構成され、二次粒子には開口部3がある。二次粒子内部にはインクボトル型細孔4(粒子表面で開口し、内部で閉塞する細孔)が存在する。高率放電を行ったとき、前述のように必要とされるリチウムイオンの供給が不足するとともに、リチウムイオンが正極活物質に挿入されたときに余るアニオンの放出も必要となり、電解液中でリチウムイオン及びアニオンが高速で移動しなければならない。しかしながら、インクボトル型細孔では、図2に示す開口部にリチウムイオンとアニオンの移動が集中し、リチウムイオン及びアニオンの高速移動を妨げてしまう。
そこで、本発明者らは図3に示す正極活物質粒子の貫通型細孔構造を考案し、これら貫通型細孔構造が正極内でネットワーク状に結びつくことにより、高出力化が達成できることを見出した。
本発明の正極活物質粒子内に形成される貫通細孔の断面構造を図3に示す。貫通細孔5では、電解液中のリチウムイオン或いはアニオンが一方の二次粒子開口部から入り、もう一方の開口部から抜けていく。この構造であれば、二次粒子を構成する個々の一次粒子に対し、効率的にリチウムイオン或いはアニオンを移動させることが可能となる。また、開口部から抜けたリチウムイオン或いはアニオンは正極中の細孔を経由して、次の二次粒子開口部に到達し、貫通細孔の開口部から抜けていく。このリチウムイオン或いはアニオンの拡散ネットワークにより、正極全体の正極活物質一次粒子に必要とされるリチウムイオン或いはアニオンの高速移動が可能となり、高率放電特性の改善を行うことができる。ここで、貫通細孔の中で、図3に示すネック部6(貫通細孔の直径をパームポロメトリー法で測定したとき、その貫通細孔で直径が最も小さい箇所)があれば、この細孔径により細孔全体のリチウムイオン及びアニオンの移動が支配されるため、貫通細孔中のネック部の評価が重要となる。
以下に、正極中の細孔構造評価方法を説明する。
正極活物質粒子内に形成される細孔を評価する手法として水銀圧入法が用いられる。一般に、正極活物質に形成される細孔を水銀圧入法で測定する場合、正極活物質に形成された開口部(オープンポア)の細孔径を評価することとなる。水銀圧入法では、開口部から水銀が進入し、細孔径及び細孔体積を評価することができる。以下に水銀圧入法による細孔分布測定の原理を示す。
円筒状細孔2rに水銀を進入させる場合、水銀の圧力をP、水銀の表面張力をγ(0.48N/m)としたとき、以下の数式(1)から細孔半径rが求められる。
r=−2rγcosθ/P (1)
上記関係から、水銀は、約3.7kPa〜200MPaの圧力で約7nm〜400μmの直径の細孔に進入でき、その範囲の細孔分布の解析が可能である。nmオーダーの細孔に水銀を進入させるには、約2000気圧の高圧が必要となる。しかし、本発明の正極材料のような比表面積が1.1m/g以上の二次粒子は、空隙が多いために高圧で試料が破壊され、1μm以下の細孔測定が困難となる。このため、図3に示した本発明の貫通細孔構造の場合、水銀圧入法では開口部の細孔径のみを評価する。
本発明の正極材料の二次粒子の貫通細孔は、前述のように、リチウムイオン或いはアニオンの移動は細孔のネック部で支配されるため、パームポロメトリー法での透過性評価が必要となる。
パームポロメトリー法は、バブルポイント法(JIS K3832)による貫通細孔評価手法である。ここで、バブルポイント法とは、多孔質試料を液体で濡らして空気圧をかけ、圧力を徐々に高めて、液体が押し出される瞬間の圧力であるバブルポイントからバブルポイント径、すなわち最大細孔径を求める手法である。バブルポイント法を応用・拡張して、空気圧と空気流量との関係を測定することにより、貫通孔の細孔径分布を求めることができる。水銀圧入法が貫通孔・半貫通孔の開口部(図3の符号3参照)を捕らえるのに対し、パームポロメトリー法は液体の透過性を支配するネック部(図3の符号6参照)を捉えることができる。
細孔直径分布は以下に示す方法で求められる。試料を濡らした状態で濡れ流動曲線、さらに、試料を乾燥した状態で乾き流動曲線を測定する。濡れ流動曲線と乾き流動曲線の交点が最小細孔径である。また、以下に示すバブルポイントの数式(2)によって、空気圧Pから細孔直径Dを求めることができる。
D=Cγ/P (2)
ここで、Cは圧力定数、γは液体の表面張力である。パームポロメトリー法では水銀よりも表面張力の低い液体を用い、約10気圧以下で1μm以下の微細細孔分布を測定する。
本発明において、パームポロメトリー法で二次粒子の貫通細孔の最も狭い細孔の直径(ネック部の直径)を測定したとき、その直径は、0.1μmより大きく、0.3μm未満である。
また、0.1μmより大きく、0.3μm未満の範囲の貫通細孔の最も狭い細孔の直径分布が、1μm以下の貫通細孔分布を100%としたときに、3%より大きいことが好ましい。3%以下であると、正極活物質中で物質移動が円滑に行われないために電極抵抗が低下せず、電池出力が低くなる。
本発明における正極活物質は、公知のリチウム、マンガン、ニッケル、コバルト等が含まれ、化学式LiMnNiCo(0<a≦1.2、0.1≦x≦0.9、0.1≦y≦0.9、0.1≦z≦0.34、x+y+z=1)で表される層状複合酸化物であることが好ましい。
また本発明の正極材料に、中空炭素材をさらに含めてもよい。中空炭素材の中空により、上記二次粒子の貫通細孔と同様の作用効果がもたらされる。中空炭素材は、アセチレンブラックなどの中空炭素材、より好ましくは中空繊維状炭素材である。中空炭素材の長さは、例えば1μm〜10μm、より好ましくは2μm〜8μmであり、中空繊維状炭素材は、例えば直径が10nmより大きく300nm未満、より好ましくは20nmより大きく80nm未満で、長さが3μm〜8μmの範囲のものが好ましい。
〔リチウム二次電池用正極材料の製造方法〕
二次粒子の中に貫通細孔を形成するためには、二次粒子を構成する一次粒子の小粒径化が重要となる。小粒径の一次粒子が凝集した二次粒子の焼結過程で、二次粒子中に細孔のネットワークが形成され、この細孔が二次粒子内を貫通する。また、そのような二次粒子を作製するためには、一次粒子の粒成長を抑制する必要がある。一次粒子が粒成長すると、粗大化した粒子により細孔ネットワークが分断されてしまう。従って、貫通細孔を有する二次粒子を得るためには、原料として小粒径化した一次粒子が必要であり、この一次粒子が凝集した二次粒子の焼成条件制御による一次粒子の成長制御が必要となる。また、粒子の結晶成長に関して、用いる正極活物質組成においても、一次粒子の成長速度が大きく異なる。特に、LiMnNiCo(0<a≦1.2、0.1≦x≦0.9、0.1≦y≦0.9、0.1≦z≦0.34、x+y+z=1)で示す正極活物質組成は、粒成長が少ないため二次粒子の中に貫通細孔を良好に形成することができ、好ましい。なお、例えば、Ni:Mn:Coの原子比が3:3.5:3.5のようにCo含有量が多いと、一次粒子が粒成長し、所望の粒子構造を作製することが難しいことがある。
これら正極材料原料を用いて造粒を行う場合、水分を多く含んだ造粒粒子を徐々に乾燥させることが好ましく、正極活物質粒子内の空隙量をコントロールすることができる。この乾燥方法として例えば、造粒装置の粉体乾燥温度において、通常の乾燥温度よりも10℃低下させることにより、空隙量を増加させることができる。
また、二次粒子中に貫通細孔を形成する他の方法として、小粒径の一次粒子と例えば中空炭素材を混合し、これを造粒した複合体を焼成して貫通細孔を有する二次粒子を作製することもできる。
ここで、電子伝導性を有する中空炭素材、より好ましくは中空繊維状炭素材を二次粒子に複合化させることが、この作製方法のポイントである。複合体を焼成した後、中空炭素材が二次粒子の中に残留してもよいし、残留しなくてもよい。中空炭素材は予め電子伝導性を有するため、焼成後に中空炭素材が二次粒子の中に残留したとしても、導電材として機能するため正極の高出力化を阻害しない。また、中空炭素材あるいは中空繊維状炭素材のネットワークが二次粒子中に形成され、リチウム二次電池の電解液は、これらの炭素材または炭素材により形成されたネットワークに沿って移動することが考えられる。
一方、二次粒子中に細孔を形成するために電子導電性を有しない繊維状の有機物で二次粒子の複合化を行った場合、一次粒子間に残留した有機物が電子伝導性を低下させ、正極の高出力化を阻害する。
本発明の正極材料の製造方法は、一次粒子を造粒して二次粒子を作製する方法(以下造粒法ともいう)、共沈法などがあり、具体的な製造方法は以下の通りである。
<造粒法による正極材料の製造方法>
以下の工程(a)〜(e)で正極材料を製造することができる。
(a)正極活物質の原料の金属酸化物を、例えばMnNiCo(0.1≦x≦0.9、0.1≦y≦0.9、0.1≦z≦0.34、x+y+z=1)となるように混合し、ビーズミルなどで粉砕して、主として0.1μmより大きく、0.5μm未満の粒径を有する一次粒子を作製する。好ましくは、0.1μmより大きく、0.5μm未満の粒径の一次粒子が、金属酸化物の体積比で98%以上を占めるように粉砕する。
(b)一次粒子に、二次粒子を造粒するための公知の結着剤、例えばポリビニルアルコール(以下、PVAと略す)を添加して、スプレードライヤーなどで造粒する。造粒後、上述のように徐々に乾燥させることが好ましい。また、結着剤とともに、中空炭素材を金属酸化物の重量に対して好ましくは1〜6%添加してもよい。
(c)造粒した粒子にリチウム化合物、例えば水酸化リチウム、炭酸リチウムなどを、例えば好ましくはリチウム:(ニッケル、コバルトおよびマンガン)=1より大きく1.2以下:1になるように添加する。
(d)リチウム化合物添加後の粒子を大気中で好ましくは750℃以上850℃以下で、好ましくは3〜10時間、焼成する。
(e)焼成した粒子を解砕して二次粒子を作製する。解砕後、分級して粗大粒子を除くことが好ましい。
<共沈法による正極材料の製造方法>
以下の工程(a)〜(d)で正極材料を製造することができる。
(a)正極活物質の原料の金属塩の混合溶液を、例えばMnNiCo(0.1≦x≦0.9、0.1≦y≦0.9、0.1≦z≦0.34、x+y+z=1)となるように調製する。混合溶液に水酸化ナトリウムなどの水酸化物溶液を加え、共沈法により金属複合水酸化物粒子を作製する。この粒子は、粒径が0.1μmより大きく、0.5μm未満の一次粒子が複数集合した球状の粒子である。好ましくは、粒径が0.1μmより大きく0.5μm未満の一次粒子を、得られた全正極活物質粉末の体積比で98%以上を占めるようにする。そのためには、正極活物質の作製において、pHを10〜11の範囲にし、一次粒子の粒径制御を行えばよい。また、共沈法で得られた粒子を上述のように徐々に乾燥させることが好ましい。
さらに、共沈法で得られた粒子に中空炭素材を金属塩の重量に対して1〜6%添加して、PVAなどの結着剤を加えてスプレードライヤーなどで更に造粒してもよい。
(b)工程(a)で作製した金属複合水酸化物粒子または造粒した粒子にリチウム化合物、例えば水酸化リチウム、炭酸リチウムなどを、例えばリチウム:(ニッケル、コバルトおよびマンガン)=0より大きく1.2以下:1になるように添加する。
(c)リチウム化合物添加後の粒子を大気中で好ましくは750℃以上850℃以下で、好ましくは3〜10時間、焼成する。
(d)焼成した粒子を解砕して二次粒子を作製する。解砕後、分級して粗大粒子を除くことが好ましい。
以上の作製方法で得られた二次粒子の貫通細孔径分布を前述のパームポロメトリー法で評価した。その結果、0.1μmより大きく0.3μm未満の貫通細孔の最も狭い直径分布の比率が、1μm以下の貫通細孔分布を100%としたときに3%より大きかった場合は、正極活物質中で物質移動が円滑に行われるために電極抵抗が低下し、以下に開示する方法で作製したリチウムイオン二次電池の出力が向上した。一方、0.1μmより大きく0.3μm未満の貫通細孔の最も狭い直径分布の比率が、1μm以下の貫通細孔分布を100%としたときに3%以下であった場合は、電極抵抗が低下せず、電池出力が低かった。
〔リチウムイオン二次電池の製造方法〕
本発明のリチウムイオン二次電池は、円筒型、積層型、コイン型、カード型等のいずれでもよく、特に限定されないが、例として、以下に円筒型リチウムイオン二次電池の製造方法を説明する。
上述のようにして作製した正極活物質の二次粒子に、黒鉛、アセチレンブラック、カーボンブラック等の導電材を添加して混合した後、さらに、N−メチル−2−ピロリジノン(以下、NMPと略す)などの溶媒に溶解させたポリフッ化ビニリデン(以下、PVDFと略す)などの結着剤を加えて混練し、正極スラリーを得る。次に、このスラリーをアルミニウム金属箔上に塗布した後、乾燥して正極板を作製する。
負極活物質であるグラファイトカーボン或いはソフトカーボンに、カーボンブラック、アセチレンブラック及び炭素繊維などの導電材を加え、混合する。これに結着剤としてNMPに溶解したPVDF或いはゴム系バインダー(SBR等)を加えた後に混練し、負極スラリーを得る。次に、このスラリーを銅箔上に塗布した後、乾燥して負極板を作製する。
上記正極及び負極板は、電極の両面にスラリーを塗布した後に乾燥する。さらに、圧延加工により緻密化し、所望の形状に裁断して電極を作製する。次に、これらの電極に電流を流すためのリード片を形成する。これら正極及び負極の間に多孔質絶縁材のセパレータを挟みこみ、これを捲回した後、ステンレスやアルミニウムで成型された電池缶に挿入する。次に、リード片と電池缶を接続した後、非水系電解液を注入し、最後に、電池缶を封缶してリチウムイオン二次電池を得る。
〔電池モジュール〕
上記リチウムイオン二次電池を使用する形態として、複数個の電池を直列に接続したリチウムイオン電池モジュールが挙げられる。本発明のリチウムイオン二次電池を用いた電池モジュールは、高出力及び高容量を両立することができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
〔実施例1〕
<造粒法による正極活物質の二次粒子の作製>
原料として、二酸化マンガン、酸化コバルト及び酸化ニッケルを使用し、原子比でNi:Mn:Co比を3:4:3となるように秤量した後に純水を加えスラリーとした。このスラリーを平均粒径が0.2μmとなるまでジルコニアのビーズミルで粉砕し、一次粒子を作製した。このスラリーにPVA溶液を固形分比に換算して1wt%添加し、更に1時間混合し、スプレードライヤーにより造粒及び乾燥させて5〜30μmの粒子を作製した。この造粒粒子に対し、Li:(NiMnCo)比が1.05:1となるように水酸化リチウム及び炭酸リチウムを加えた。次に、この粉末を850℃で3〜10時間焼成することにより層状構造の結晶を有し、その後、解砕し、分級により粒径30μm以上の粗大粒子を除去した後の粒子を二次粒子1)とし、電極作製に用いた。
<細孔分布の評価>
上記二次粒子1)を用い、正極板を以下の手順で作製した。あらかじめ結着剤のPVDFを溶媒のNMPに溶解した溶液と、二次粒子1)及び炭素系導電材とを均一に混合して正極合材スラリーを作製した。このとき、二次粒子1)、炭素系導電材及び結着剤を重量百分率比で表してそれぞれ、85:10.7:4.3の割合となるように混合した。このスラリーを、厚み20μmのアルミメッシュ上に均一に塗布した後、100℃で乾燥し、プレスにて1.5ton/cmで加圧し、約100μm厚の塗膜を形成した。
この正極板を直径13mmの円板状に切り出し、Porous Material Inc社のパームポロメーターを用いて透過性を評価した。ここで、試料を濡らす試薬としてシリコーン系Silwick(表面張力:0.019N/m)を用いた。その結果、0.1μmより大きく0.3μm未満の貫通細孔が存在し、この貫通細孔分布は、1μm以下の貫通細孔分布に占める割合が20%であった。
次に、上記正極板を2cm角に切り出し、マイクロメリティックス社製のポアサイザー9320を用い、水銀圧入法による細孔径分布測定を行った。その結果、1μm以下の細孔径分布は確認されたが、0.2μm以下の細孔径は確認できなかった。
<比表面積測定>
上記二次粒子1)を、予め120℃で乾燥させ、試料セルに充填し、これを窒素ガス中、300℃で30分間乾燥させた。次いで、試料セルを測定部に装着し、He/N混合ガスによる脱着時の信号をカウント後、BET法により比表面積を算出した。その結果、二次粒子の比表面積は、1.1m/g以上1.6m/g以下の範囲であった。
<円筒型電池評価>
円筒型電池を作製するため、二次粒子1)を用い、正極板を以下の手順で作製した。あらかじめ結着剤のPVDFを溶媒のNMPに溶解した溶液と、二次粒子1)及び炭素系導電材を均一に混合して正極合材スラリーを作製した。このとき、正極材料、炭素系導電材及び結着剤を重量百分率比で表してそれぞれ、85:10.7:4.3の割合となるように混合した。このスラリーを、厚み20μmのアルミ集電体箔上に均一に塗布した後、100℃で乾燥し、プレスにて1.5ton/cmで加圧し、約40μm厚の塗膜を形成した。この正極板を塗布幅5.4cm、塗布長さ50cmとなるよう切断し、電流を取り出すためにアルミニウム箔製のリード片を溶接し正極板を作製した。
次に、正極板と組み合わせて円筒型電池を作製するため、負極板を作製した。負極活物質のグラファイトカーボン(以下、GCと略す)を結着剤のNMPに溶解して混合した負極合材スラリーを作製した。このとき、GC材と結着剤の乾燥重量比が92:8となるようにした。このスラリーを10μmの圧延銅箔に均一に塗布した。その後、ロールプレス機により圧縮整形し、塗布幅5.6cm、塗布長さ54cmとなるよう切断し、銅箔製のリード片を溶接して負極板を作製した。
上述のようにして作製した正極板と負極板を用いて、図4に模式的に示す円筒型電池を以下の手順で作製した。始めに、正極板7と負極板8が直接接触しないように間にセパレータ9を配置して捲回して電極群を作製した。このとき、正極板のリード片13と負極板のリード片11とが電極群の互いに反対側の両端面に位置するようにした。さらに、正極板7と負極板8の配置で、正極の合材塗布部が負極の合材塗布部からはみ出すことがないようにした。また、ここで用いたセパレータ9は厚さ25μm、幅5.8cmの微多孔性ポリプロピレンフィルムとした。次に、電極群をSUS製の電池缶10に挿入し、負極リード片11を缶底部に溶接し、正極電流端子を兼ねる密閉蓋部12に正極リード片13を溶接した。この電極群を配置した電池缶10に非水電解液(エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)の体積比で1:2の混合溶媒に1.0モル/リットルのLiPFを溶解させたもの)を注入した後、パッキン15を取り付けた密閉蓋部12を電池缶10にかしめて密閉し、直径18mm、長さ65mmの円筒型電池とした。ここで、密閉蓋部12には電池内の圧力が上昇すると開裂して電池内部の圧力を逃がす開裂弁があり、密閉蓋部12と電極群の間に絶縁板14を配した。
この小型円筒型電池を0.3Cで上限電圧4.2V、下限電圧2.7Vまでの充放電を3回繰り返して初期化した。さらに、0.3Cで上限電圧4.2V、下限電圧2.7Vまでの充放電を行い、電池放電容量を測定した。次に、0.3C相当で上限電圧4.2V、5時間の定電流定電圧充電を行った後、1C相当で下限電圧2.7Vまでの定電流放電を実施し、放電前の開回路電圧と放電10秒後の電圧とを測定し、両者の差である電圧降下(ΔV)を求めた。さらに、放電電流を3C、6C相当と変え、同様の充放電を行い各放電電流(I)の電圧降下を測定した。これらの放電電流(I)と電圧降下(ΔV)をプロットし、傾きから電池抵抗を算出した。次に、電池充電状態が50%の開回路電圧と電池抵抗から電池出力を求めた。
二次粒子1)用いた円筒型電池の試験電池出力及びエネルギー密度を表1の実施例1の欄に示す。
Figure 2009099418
二次粒子1)を用いた電池の出力は3300W/kgで、エネルギー密度は86Wh/kgであった。以上のように、二次粒子1)を用いた円筒型電池では電池高出力及び高エネルギー密度を両立させることができた。
次に、この電池を直列に10本接続し、電池高出力及び高エネルギー密度を両立させた電池モジュールを得ることができた。
〔実施例2〕
<共沈法による正極活物質の二次粒子の作製>
ニッケル:マンガン:コバルトのモル比が3:4:3となるように、硫酸ニッケル、硫酸コバルト及び硫酸マンガンの混合溶液を準備し、12%水酸化ナトリウム溶液とともに、これらの溶液を反応槽に同時に添加し、pHを10〜11の範囲、反応温度を50℃〜80℃の範囲に一定に保ち、共沈法によってニッケルマンガンコバルト複合水酸化物粒子を作製した。その後、反応槽内の水酸化物スラリーを全量回収し、濾過、水洗後に乾燥させ、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物の乾燥粉末を得た。この金属複合水酸化物は、粒径0.1μmより大きく0.5μm未満の一次粒子が複数集合した球状の粒子であった。
このニッケルコバルトマンガン複合水酸化物と市販の水酸化リチウムとを、ニッケルコバルトマンガンとリチウムの原子比が1:1.05になるように秤量した後、球状の粒子の形骸が維持される程度の強さで十分に混合した。次に、この粒子を850℃で3〜10時間焼成することにより層状構造の結晶を有し、その後、解砕し、分級により粒径30μm以上の粗大粒子を除去した後の粒子を二次粒子2)とし、電極作製に用いた。
<細孔分布の評価>
上記二次粒子2)を用い、実施例1と同様に正極板を作製した。次に、実施例1と同様に透過性を評価した結果、0.1μmより大きく0.3μm未満の貫通細孔が存在し、この貫通細孔分布は、1μm以下の貫通細孔分布に占める割合が15%(上記表1の実施例2の欄参照)であった。
<比表面積測定>
上記二次粒子2)を用い、実施例1と同様に比表面積を算出した。その結果、二次粒子の比表面積は、1.1m/g以上1.6m/g以下の範囲であった。
<円筒型電池評価>
上記二次粒子2)を用い、実施例1と同様の手順で正極板、負極板及び円筒型電池を作製した。実施例1に示した方法で算出した円筒型電池の試験電池出力及びエネルギー密度を上記表1の実施例2の欄に示す。二次粒子2)を用いた電池の出力は3234W/kgで、エネルギー密度は90Wh/kgであった。以上のように、二次粒子2)を用いた円筒型電池では高出力及び高エネルギー密度を両立させることができた。
次に、この電池を直列に10本接続し、電池高出力及び高エネルギー密度を両立させた電池モジュールを得ることができた。
〔実施例3〕
<造粒法による正極活物質の二次粒子の作製>
実施例1と同様に、二酸化マンガン、酸化コバルト及び酸化ニッケルを使用し、原子比でNi:Mn:Co比を3:4:3となるように秤量した後に純水を加えスラリーとした。このスラリーを平均粒径が0.2μmとなるまでジルコニアのビーズミルで粉砕し、一次粒子を作製した。次に、このスラリーに直径が100nmより大きく300nm未満で長さが3μm〜8μmの中空カーボン繊維を酸化物原料重量に対して2%添加して混合した。さらに、このスラリーにPVA溶液を固形分比に換算して1wt%添加し、更に1時間混合し、スプレードライヤーにより造粒及び乾燥させて5〜30μmの粒子を作製した。この造粒粒子に対し、Li:(NiMnCo)比が1.05:1となるように水酸化リチウム及び炭酸リチウムを加えた。次に、この粉末を850℃で3〜10時間焼成することにより層状構造の結晶を有し、その後、解砕し、分級により粒径30μm以上の粗大粒子を除去した後の粒子を二次粒子3)とし、電極作製に用いた。
<細孔分布の評価>
上記二次粒子3)を用い、実施例1と同様に正極板を作製した。次に、実施例1と同様に透過性を評価した結果、0.1μmより大きく0.3μm未満の貫通細孔が存在し、この貫通細孔分布体は、1μm以下の貫通細孔分布に占める割合が24%(上記表1の実施例3の欄参照)であった。
<比表面積測定>
上記二次粒子3)を用い、実施例1と同様に比表面積を算出した。その結果、二次粒子の比表面積は、1.1m/g以上1.6m/g以下の範囲であった。
<円筒型電池評価>
上記二次粒子3)を用い、実施例1と同様の手順で正極板、負極板及び円筒型電池を作製した。実施例1に示した方法で算出した円筒型電池の試験電池出力及びエネルギー密度を上記表1の実施例3の欄に示す。二次粒子3)を用いた電池の出力は3531W/kgで、エネルギー密度は81Wh/kgであった。以上のように、二次粒子3)を用いた円筒型電池では高出力及び高エネルギー密度を両立させることができた。
次に、この電池を直列に10本接続し、電池高出力及び高エネルギー密度を両立させた電池モジュールを得ることができた。
また、中空カーボン繊維の代わりに中空のアセチレンブラック(粒径50nm〜100nm)を酸化物原料重量に対して3%添加した場合には、0.1μmより大きく0.3μm未満の貫通細孔が存在し、この貫通細孔分布は1μm以下の貫通細孔分布に占める割合が17%であった。さらに、電池出力は3430W/kg、エネルギー密度は80Wh/kgであり、中空カーボン繊維と同様の効果が得られた。
〔実施例4〕
<共沈法による正極活物質の二次粒子の作製>
ニッケル:マンガン:コバルトのモル比が3:4:3となるように、硫酸ニッケル、硫酸コバルト及び硫酸マンガンの混合溶液を準備し、12%水酸化ナトリウム溶液とともに、これらの溶液を反応槽に同時に添加し、pHを10〜11の範囲、反応温度を50℃〜80℃の範囲に一定に保ち、共沈法によってニッケルマンガンコバルト複合水酸化物粒子を作製した。その後、反応槽内の水酸化物スラリーを全量回収し、濾過、水洗後に乾燥させ、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物の乾燥粉末を得た。次に、この粉末に直径が100nm〜300nmで長さが3μm〜8μmの中空カーボン繊維を硫酸化物原料重量に対して2%添加して混合した。さらに、この粉末に水を加えた後にジルコニアのビーズミルで粉砕しスラリーとした。このスラリーにPVA溶液を固形分比に換算して1wt%添加し、更に1時間混合し、スプレードライヤーにより造粒及び乾燥させて5〜30μmの粒子を作製した。この造粒粒子に対し、Li:(NiMnCo)比が1.05:1となるように水酸化リチウム及び炭酸リチウムを加えた。次に、この粉末を850℃で3〜10時間焼成することにより層状構造の結晶を有し、その後、解砕し、分級により粒径30μm以上の粗大粒子を除去した後の粒子を二次粒子4)とし、電極作製に用いた。
<細孔分布の評価>
上記二次粒子4)を用い、実施例1と同様に正極板を作製した。次に、実施例1と同様に透過性を評価した結果、0.1μmより大きく0.3μm未満の貫通細孔が存在し、この貫通細孔分布は1μm以下の貫通細孔分布に占める割合が22%(上記表1の実施例4の欄参照)であった。
<比表面積測定>
上記二次粒子4)を用い、実施例1と同様に比表面積を算出した。その結果、二次粒子の比表面積は、1.1m/g以上1.6m/g以下の範囲であった。
<円筒型電池評価>
上記二次粒子4)を用い、実施例1と同様の手順で正極板、負極板及び円筒型電池を作製した。実施例1に示した方法で算出した円筒型電池の試験電池出力及びエネルギー密度を上記表1の実施例4の欄に示す。二次粒子4)を用いた電池の出力は3564W/kgで、エネルギー密度は84Wh/kgであった。以上のように、この正極活物質を用いた円筒型電池では高出力及び高エネルギー密度を両立させることができた。
次に、この電池を直列に10本接続し、電池高出力及び高エネルギー密度を両立させた電池モジュールを得ることができた。
また、中空カーボン繊維の代わりに中空のアセチレンブラックを酸化物原料重量に対して3%添加した場合には、0.1μmより大きく0.3μm未満の貫通細孔が存在し、この貫通細孔分布は1μm以下の貫通細孔分布に占める割合が18%であった。さらに、電池出力は3460W/kg、エネルギー密度は82Wh/kgであり、中空カーボン繊維と同様の効果が得られた。
〔比較例1〕
<造粒法による正極活物質の二次粒子の作製>
原料として、二酸化マンガン、酸化コバルト及び酸化ニッケルを使用し、原子比でNi:Mn:Co比を3:4:3となるように秤量した後に純水を加えスラリーとした。このスラリーを平均粒径が0.1μmとなるまでジルコニアのビーズミルで粉砕し、一次粒子とした。この遷移金属スラリーに対し、Li:(NiMnCo)比が1.03:1となるように水酸化リチウムを加えた。このスラリーにPVA溶液を固形分比に換算して1wt%添加し、更に1時間混合し、スプレードライヤーにより造粒及び乾燥させて5〜30μmの粒子を作製した。次に、この粒子を850℃で3〜10時間焼成することにより層状構造の結晶を有し、その後、解砕し、分級により粒径30μm以上の粗大粒子を除去した後の粒子を二次粒子5)とし、電極作製に用いた。
<細孔分布の評価>
上記二次粒子5)を用い、実施例1と同様に正極板を作製した。次に、実施例1と同様に透過性を評価した結果、0.1μmより大きく0.3μm未満の貫通細孔が存在し、この貫通細孔分布は1μm以下の貫通細孔分布に占める割合が30%(上記表1の比較例1の欄参照)であった。
<比表面積測定>
上記二次粒子5)を用い、実施例1と同様に比表面積を算出した。その結果、二次粒子の比表面積は、1.7m/g以上1.9m/g以下の範囲であった。
<円筒型電池評価>
上記二次粒子5)を用い、実施例1と同様の手順で正極板、負極板及び円筒型電池を作製した。しかし、二次粒子5)では粒子が混練過程で崩壊し、微粉が発生して電極表面に凝集物が形成された。円筒型電池の試験電池出力及びエネルギー密度を上記表1の比較例1の欄に示す。二次粒子5)を用いた電池の出力は2805W/kgで、エネルギー密度は79Wh/kgであった。以上のように、この正極活物質を用いた円筒型電池では、実施例1から4で得られた3000W/kgを超える高出力電池が得られなかった。
〔比較例2〕
<造粒法による正極活物質の二次粒子の作製>
原料として、二酸化マンガン、酸化コバルト及び酸化ニッケルを使用し、原子比でNi:Mn:Co比を3:4:3となるように秤量した後に純水を加えスラリーとした。このスラリーを平均粒径が0.7μmとなるまでジルコニアのビーズミルで粉砕し、一次粒子とした。この遷移金属スラリーに対し、Li:(NiMnCo)比が1.03:1となるように水酸化リチウムを加えた。このスラリーにPVA溶液を固形分比に換算して1wt%添加し、更に1時間混合し、スプレードライヤーにより造粒及び乾燥させて5〜30μmの粒子を作製した。次に、この粒子を850℃で3〜10時間焼成することにより層状構造の結晶を有し、その後、解砕し、分級により粒径30μm以上の粗大粒子を除去した後の粒子を二次粒子6)とし、電極作製に用いた。
<細孔分布の評価>
上記二次粒子6)を用い、実施例1と同様に正極板を作製した。次に、実施例1と同様に透過性を評価した結果、0.1μmより大きく0.3μm未満の貫通細孔が存在し、この貫通細孔分布は1μm以下の貫通細孔分布に占める割合が3%(上記表1の比較例2の欄参照)であった。
<比表面積測定>
上記二次粒子6)を用い、実施例1と同様に比表面積を算出した。その結果、二次粒子の比表面積は、0.7m/g以上1.0m/g以下の範囲であった。
<円筒型電池評価>
上記二次粒子6)を用い、実施例1と同様の手順で正極板、負極板及び円筒型電池を作製した。実施例1に示した方法で算出した円筒型電池の試験電池出力及びエネルギー密度を上記表1の比較例2の欄に示す。二次粒子6)を用いた電池の出力は2640W/kgで、エネルギー密度は92Wh/kgであった。以上のように、貫通細孔が少ない正極活物質を用いた円筒型電池では、実施例1から4で得られた3000W/kgを超える高出力電池が得られなかった。
〔比較例3〕
<共沈法による正極活物質の二次粒子の作製>
ニッケル:マンガン:コバルトのモル比が3:4:3となるように、硫酸ニッケル、硫酸コバルト及び硫酸マンガンの混合溶液を準備し、12%水酸化ナトリウム溶液とともに、これらの溶液を反応槽に同時に添加し、pHを10〜11の範囲、反応温度を50℃〜80℃の範囲に一定に保ち、共沈法によってニッケルマンガンコバルト複合水酸化物粒子を作製した。その後、反応槽内の水酸化物スラリーを全量回収し、濾過、水洗後に乾燥させ、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物の乾燥粉末を得た。この金属複合水酸化物は、2μm以下の一次粒子が複数集合した球状の粒子であった。
このニッケルコバルトマンガン複合水酸化物と市販の水酸化リチウムとを、ニッケルコバルトマンガンとリチウムの原子比が1:1.05になるように秤量した後、球状の粒子の形骸が維持される程度の強さで十分に混合した。次に、この粒子を850℃で3〜10時間焼成することにより層状構造の結晶を有し、その後、解砕し、正極活物質の分級により粒径30μm以上の粗大粒子を除去した後の粒子を二次粒子7)とし、電極作製に用いた。
<細孔分布の評価>
上記二次粒子7)を用い、実施例1と同様に正極板を作製した。次に、実施例1と同様に透過性を評価した結果、0.1μmより大きく0.3μm未満の貫通細孔が存在し、この貫通細孔分布は1μm以下の貫通細孔分布に占める割合が1%(上記表1の比較例3の欄参照)であった。
<比表面積測定>
上記二次粒子7)を用い、実施例1と同様に比表面積を算出した。その結果、二次粒子の比表面積は、0.7m/g以上1.0m/g以下の範囲であった。
<円筒型電池評価>
上記二次粒子7)を用い、実施例1と同様の手順で正極板、負極板及び円筒型電池を作製した。しかし、二次粒子7)では粒子が混練過程で崩壊し、微粉が発生して電極表面に凝集物が形成された。実施例1に示した方法で算出した円筒型電池の試験電池出力及びエネルギー密度を上記表1の比較例3の欄に示す。二次粒子7)を用いた電池の出力は2310W/kgで、エネルギー密度は97Wh/kgであった。以上のように、貫通細孔が少ない正極活物質を用いた円筒型電池では、実施例1から4で得られた3000W/kgを超える高出力電池が得られなかった。
〔比較例4〕
<造粒法による正極活物質の二次粒子の作製>
原料として、二酸化マンガン、酸化コバルト及び酸化ニッケルを使用し、原子比でNi:Mn:Co比を3:3.5:3.5となるように秤量した後に純水を加えスラリーとした。このスラリーを平均粒径が0.2μmとなるまでジルコニアのビーズミルで粉砕した。この遷移金属スラリーに対し、Li:(NiMnCo)比が1.03:1となるように水酸化リチウムを加えた。このスラリーにPVA溶液を固形分比に換算して1wt%添加し、更に1時間混合し、スプレードライヤーにより造粒及び乾燥させて5〜30μmの粒子を作製した。次に、この粒子を850℃で3〜10時間焼成することにより層状構造の結晶を有し、その後、解砕し、分級により粒径30μm以上の粗大粒子を除去した後の粒子を二次粒子8)とし、電極作製に用いた。
<細孔分布の評価>
上記二次粒子8)を用い、実施例1と同様に正極板を作製した。次に、実施例1と同様に透過性を評価した結果、0.1μmより大きく0.3μm未満の貫通細孔が存在し、この貫通細孔分布は1μm以下の貫通細孔分布に占める割合が1%(上記表1の比較例4の欄参照)であった。
<比表面積測定>
上記二次粒子8)を用い、実施例1と同様に比表面積を算出した。その結果、二次粒子の比表面積は、0.9m/g以上1.09m/g以下の範囲であった。
<円筒型電池評価>
上記二次粒子8)を用い、実施例1と同様の手順で正極板、負極板及び円筒型電池を作製した。しかし、二次粒子8)では粒子が混練過程で崩壊し、微粉が発生して電極表面に凝集物が形成された。実施例1に示した方法で算出した円筒型電池の試験電池出力及びエネルギー密度を上記表1の比較例4の欄に示す。二次粒子8)を用いた電池の出力は2310W/kgで、エネルギー密度は79Wh/kgであった。以上のように、貫通細孔が少ない正極活物質を用いた円筒型電池では、実施例1から4で得られた3000W/kgを超える高出力電池が得られなかった。
〔比較例5〕
<造粒法による正極活物質の二次粒子の作製>
原料として、二酸化マンガン、酸化コバルト及び酸化ニッケルを使用し、原子比でNi:Mn:Co比を3:4:3となるように秤量した後に純水を加えスラリーとした。このスラリーを平均粒径が0.2μmとなるまでジルコニアのビーズミルで粉砕し、一次粒子とした。この遷移金属スラリーに対し、Li:(NiMnCo)比が1.03:1となるように水酸化リチウムを加えた。このスラリーにPVA溶液を固形分比に換算して1wt%添加し、更に1時間混合し、スプレードライヤーにより造粒及び乾燥させて5〜30μmの粒子を作製した。次に、この粒子を950℃で3〜10時間焼成することにより層状構造の結晶を有し、その後、解砕し、分級により粒径30μm以上の粗大粒子を除去した後の粒子を二次粒子9)とし、電極作製に用いた。
<細孔分布の評価>
上記二次粒子9)を用い、実施例1と同様に正極板を作製した。次に、実施例1と同様に透過性を評価した結果、0.1μmより大きく0.3μm未満の貫通細孔が存在し、この貫通細孔分布は1μm以下の貫通細孔分布に占める割合が1%(上記表1の比較例5の欄参照)であった。
<円筒型電池評価>
上記二次粒子9)を用い、実施例1と同様の手順で正極板、負極板及び円筒型電池を作製した。実施例1に示した方法で算出した円筒型電池の試験電池出力及びエネルギー密度を上記表1の比較例5の欄に示す。二次粒子9)を用いた電池の出力は2244W/kgで、エネルギー密度は97Wh/kgであった。以上のように、貫通細孔が少ない正極活物質を用いた円筒型電池では、実施例1から4で得られた3000W/kgを超える高出力電池が得られなかった。
<比表面積測定>
上記二次粒子9)を用い、実施例1と同様に比表面積を算出した。その結果、二次粒子の比表面積は、0.8m/g以上1.0m/g以下の範囲であった。
本発明によれば、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車または工具用二次電池などの、高出力・高容量が必要とされる機器応用に適したリチウム二次電池を提供できる。
一次粒子径と電解液層の厚みの関係を示す。 従来の正極活物質粒子の断面構造を示す。 本発明の正極活物質粒子の断面構造を示す。 本発明の円筒型リチウム二次電池の切り欠き断面図である。
符号の説明
1 一次粒子
2 二次粒子
3 開口部
4 インクボトル型細孔
5 貫通細孔
6 ネック部
7 正極板
8 負極板
9 セパレータ
10 電池缶
11 負極板リード片
12 密閉蓋部
13 正極板リード片
14 絶縁板
15 パッキン

Claims (12)

  1. 正極活物質の二次粒子を構成する一次粒子が主として0.1μmより大きく、0.5μm未満の粒径を有する粒子であり、二次粒子の比表面積が1.1m/g以上1.6m/g以下であり、かつ、二次粒子が有するパームポロメトリー法で測定された貫通細孔の最も狭い直径が、0.1μmより大きく、0.3μm未満であることを特徴とする、リチウム二次電池用正極材料。
  2. 1μm以下の貫通細孔分布に占める前記0.1μmより大きく、0.3μm未満の範囲の貫通細孔分布の割合が、3%より大きいことを特徴とする、請求項1に記載の正極材料。
  3. 正極活物質が、化学式LiMnNiCo(0<a≦1.2、0.1≦x≦0.9、0.1≦y≦0.9、0.1≦z≦0.34、x+y+z=1)で表される層状複合酸化物である、請求項1または2に記載の正極材料。
  4. 中空炭素材がさらに含まれる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の正極材料。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の正極材料が用いられたリチウムイオン二次電池。
  6. 請求項5に記載のリチウムイオン二次電池が電気的に複数接続された電池モジュール。
  7. 以下の工程:
    (a)正極活物質の原料の金属酸化物を混合し、粉砕して、主として0.1μmより大きく、0.5μm未満の粒径を有する一次粒子を作製する工程、
    (b)一次粒子に結着剤を添加して造粒する工程、
    (c)造粒した粒子にリチウム化合物を添加する工程、
    (d)リチウム化合物添加後の粒子を大気中で850℃以下で焼成する工程、及び
    (e)焼成した粒子を解砕して二次粒子を作製する工程、
    を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用正極材料の製造方法。
  8. 工程(a)で、上記0.1μmより大きく、0.5μm未満の粒径の一次粒子が金属酸化物の体積比で98%以上になるように、粉砕することをさらに含む、請求項7に記載の方法。
  9. 工程(b)で、中空炭素材を結着剤とともに添加することをさらに含む、請求項7または8に記載の方法。
  10. 以下の工程:
    (a)正極活物質の原料の金属塩の溶液に水酸化物溶液を加え、共沈法により金属複合水酸化物の一次粒子が集合した粒子を作製する工程、
    (b)一次粒子が集合した粒子にリチウム化合物を添加する工程、
    (c)リチウム化合物添加後の粒子を大気中で850℃以下で焼成する工程、及び
    (d)焼成した粒子を解砕して二次粒子を作製する工程、
    を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用正極材料の製造方法。
  11. 工程(a)で、粒径が0.1μmより大きく、0.5μm未満の一次粒子を体積比で98%以上含む粒子を、共沈法で作製することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
  12. 工程(a)で、中空炭素材と結着剤を添加して一次粒子が集合した粒子を造粒することをさらに含む、請求項10または11に記載の方法。
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