JP2009068526A - 車両用クリップおよびそのクリップを用いる内装部材の取付方法 - Google Patents

車両用クリップおよびそのクリップを用いる内装部材の取付方法 Download PDF

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Abstract

【課題】作業のさらなる容易化を図ることのできる車両用クリップおよび内装部材の取付方法を提供する。
【解決手段】クリップ22は、クリップ本体23と、クリップ本体23を内側から支持するクリップキャップ24とから構成する。クリップ本体23に対向壁32a,32bを設け、対向壁32a,32bに保持孔53,54を形成する。クリップキャップ24には保持孔53,54に係合されてクリップキャップ24とクリップ本体23を軸方向で連結する係止突起60,61を形成する。クリップ本体23にクリップキャップ24を半挿入し、軸方向で連結して仮組付けする。クリップキャップ24に荷重を加え、クリップ本体23を車体側に押し込み固定する。クリップキャップ24とクリップ本体23の係合を解除し、クリップキャップ24をクリップ本体23内に完全に挿入する。
【選択図】図10

Description

この発明は、車両用クリップとそのクリップを用いる内装部材の取付方法に関するものである。
車体のピラー部に装着されるピラーガーニッシュの取付構造として、2部品から成るクリップを用いてピラーガーニッシュを車体に取り付けるものが案出されている(特許文献1参照)。
特開2001−165134号公報
ところで、現在、ピラーガーニッシュ等の内装部材に取付孔を形成し、その取付孔にクリップを挿入してクリップの頭部で内装部材を押さえ込みつつ、クリップの先端部を車体側の固定部材に押し込み固定することを検討している。
このようにクリップの頭部で内装部材を押さえ込みつつ、クリップの先端部を車体側の固定部材に押し込み固定する場合、車体に対する組み付けが比較的容易になるものの、組み付け時にクリップの頭部に大きな押圧荷重を加えるために専用の治具を用いる必要が生じる。このため、組み付け作業の容易化を図るうえでは未だ改善の余地が残っている。
そこで、この発明は、作業のさらなる容易化を図ることのできる車両用クリップおよび内装部材の取付方法を提供しようとするものである。
上記の課題を解決する請求項1に記載の発明は、車体取付部品(例えば、後述の実施形態におけるピラーガーニッシュ3)の取付孔(例えば、後述の実施形態における取付孔20)に挿入係合され、その取付孔を貫通した先端部側が車体側の固定部材(例えば、後述の実施形態における固定ブラケット25)に押し込み固定されるとともに、基端部に開口(例えば、後述の実施形態における開口56)が形成された略中空状のクリップ本体(例えば、後述の実施形態におけるクリップ本体23)と、このクリップ本体の開口に完全に挿入されて前記クリップ本体を内側から支持する本体支持部材(例えば、後述の実施形態におけるクリップキャップ24)と、を備え、前記クリップ本体と本体支持部材の間には、前記本体支持部材をクリップ本体に半挿入した状態において、前記クリップ本体と本体支持部材を軸方向で係合させる軸方向連結手段(例えば、後述の実施形態における係止突起60,61および保持孔53,54)が設けられていることを特徴とする。
この発明の場合、車体取付部品を車体に取り付けるときには、クリップ本体の基端部の開口に本体支持部材を半挿入した状態で軸方向連結手段によってクリップ本体と本体支持部材を軸方向で係合させ、その状態で本体支持部材に荷重を加え、クリップ本体の先端部側を車体側の固定部材に押し込み固定する。この後、軸方向連結手段による本体支持部材とクリップ本体の係合を解除し、本体支持部材をクリップ本体の開口に完全に挿入する。これにより、本体支持部材がクリップ本体から突出しなくなるとともに、本体支持部材がクリップ本体を内側から支持してクリップ本体の変形等を規制するようになる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用クリップにおいて、前記軸方向連結手段は、前記本体支持部材を所定の回転姿勢でクリップ本体に半挿入して設定方向に一定角度回転させた状態において、前記クリップ本体と本体支持部材とを軸方向で係合するとともに、前記本体支持部材が前記所定の回転姿勢であるときに、前記本体支持部材を前記クリップ本体に対して挿入可能とすることを特徴とする。
これにより、本体支持部材をクリップ本体に対して半挿入状態で設定方向に一定角度回転させると、本体支持部材とクリップ本体が軸方向で係合され、この状態から本体支持部材に荷重を入力すると、クリップ本体の先端部側が車体側の固定部材に押し込み固定される。この後、本体支持部材を元の回転姿勢に戻して軸方向に押し込むと、本体支持部材がクリップ本体の内部に完全に挿入される。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の車両用クリップにおいて、前記本体支持部材をクリップ本体に半挿入した状態において、前記クリップ本体に対する本体支持部材の回転方向を規制する規制機構を備えていることを特徴とする。
これにより、規制機構によって規定された方向にのみ本体支持部材の回転操作が許容されるようになる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用クリップにおいて、前記本体支持部材には、本体支持部材部をクリップ本体に半挿入して両者を軸方向で係合した状態において、前記本体支持部材に入力された軸方向に沿う荷重を前記クリップ本体に伝達する荷重伝達部(例えば、後述の実施形態における荷重伝達部63)を備えていることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、車体取付部品の取付孔に挿入係合され、その取付孔を貫通した先端部側が車体側の固定部材に押し込み固定されるとともに、基端部に開口が形成された略中空状のクリップ本体と、このクリップ本体の開口に完全に挿入されて前記クリップ本体を内側から支持する本体支持部材と、を備えた車両用クリップを用いた内装部材の取付方法であって、前記本体支持部材をクリップ本体に半挿入した状態において、前記クリップ本体と本体支持部材を軸方向で係合させる工程と、前記本体支持部材を軸方向に押圧することにより前記クリップ本体と本体支持部材の係合を維持したまま前記クリップ本体を車体側の固定部材に押し込み固定する工程と、前記クリップ本体と本体支持部材の軸方向の係合を解除して、前記本体支持部材をクリップ本体に完全に挿入する工程と、から成ることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の内装部材の取付方法において、前記クリップ本体と本体支持部材の軸方向の係合を解除して、前記本体支持部材をクリップ本体に完全に挿入する工程は、前記本体支持部材をクリップ本体に対して所定角度回転させる工程を含むことを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、本体支持部材を軸方向連結手段によってクリップ本体に半挿入状態で軸方向で係合し、本体支軸部材に荷重を入力することによってクリップ本体を車体側の固定部材に押し込み固定することができるため、専用の治具等を用いることなく車体取付部品を容易に車体に取り付けることができる。また、クリップ本体を車体側の固定部材に押し込み固定した後には、本体支持部材をクリップ本体に完全に挿入することにより、クリップ本体を内側から支持することができるとともに、見栄えを向上させることができる。
請求項2に記載の発明によれば、本体支持部材をクリップ本体に対して一方に回転させて両者を係合し、回転を戻して本体支持部材をクリップ本体に挿入できるようになっているため、作業者による連続した操作によって車体に対する組み付けを効率良く行なうことができる。
請求項3に記載の発明によれば、規制機構による一定の規則に従った場合にのみ本体支持部材の回転操作が許容されるため、クリップ本体と本体支持部材の組み付けの誤りを未然に防止することができる。
請求項4に記載の発明によれば、本体支持部材をクリップ本体に軸方向で係合した状態において、本体支持部材に入力された押し込み荷重を荷重伝達部を介してクリップ本体に伝達できるため、本体支持部材を通したクリップ本体の押し込みを容易に、かつ確実に行なうことができる。
請求項5に記載の発明によれば、本体支持部材をクリップ本体に半挿入した状態においてクリップ本体と本体支持部材を軸方向で係合して、本体支持部材を軸方向に押圧することによりクリップ本体と本体支持部材の係合を維持したままクリップ本体を車体側の固定部材に押し込み固定し、その後にクリップ本体と本体支持部材の軸方向の係合を解除して本体支持部材をクリップ本体に完全に挿入するため、極めて簡単な操作によって車体取付部品を容易に車体に取り付けることができる。
請求項6に記載の発明によれば、クリップ本体と本体支持部材の軸方向の係合を解除して本体支持部材をクリップ本体に完全に挿入する際には、本体支持部材をクリップ本体に対して所定角度回転させるため、本体支持部材とクリップ本体の係合の解除からクリップ本体に対する挿入までを本体支持部材に対する連続した一連の操作によって効率良く行うことができる。
以下、この発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明においては、特別に断らない限り、上下、左右、前後等の方向については車両を基準として言うものとする。
図1は、クーペタイプの車両の側面図であり、同図中1は、車両のルーフ部2と車体後方側の側面を連結するリヤピラー(ピラー部)である。この車両はクーペタイプの車両であるため、リヤピラー1はルーフ部2から車体の後方側に向かって緩やかに下方傾斜している。
リヤピラー1とルーフ部2の各車内側には、内装部材であるピラーガーニッシュ3とルーフライニング4とが夫々取り付けられている。ルーフ部2の側端部(ルーフサイドレール部)からリヤピラー1の一部にかけては、カーテンエアバッグ装置のエアバッグ5(図7の断面図参照)が折り畳まれた状態で取り付けられ、そのエアバッグ5の収納部がルーフライニング4とピラーガーニッシュ3によって車室内側から覆い隠されている。
図2,図5は、ピラーガーニッシュ3を車室の外側方向から見た斜視図と分解斜視図であり、図3,図4は、ルーフライニング4の後部側の下縁領域とピラーガーニッシュ3の連接部を車室の内側方向から見た斜視図と分解斜視図である。
これらの図に示すように、ピラーガーニッシュ3は、前部側上縁領域に略L字状の切欠き部6を有するガーニッシュ本体7と、この切欠き部6を閉塞する略長方形状のガーニッシュリッド8と、ガーニッシュリッド8の裏面側に配置されてガーニッシュリッド8を主に補強する略U字状のガーニッシュフレーム9と、を備えている。ルーフライニング4の後部側の下縁領域は、ガーニッシュリッド8の前端部に接合され、ガーニッシュリッド8とともにガーニッシュ本体7の切欠き部6内に配置されている。ルーフライニング4とガーニッシュリッド8の下縁はエアバッグ5の収納部の下方に位置され、エアバッグ5の展開時にエアバッグ5の推力によって押し開かれる(エアバッグ5の展開口を開く。)ようになっている。なお、ルーフライニング4とガーニッシュリッド8は、いずれも比較的軟質で変形容易な発泡樹脂材料を主体として形成されている。また、ガーニッシュ本体7は、クリップ10や係止爪11等によってリヤピラー1や車内側の図示しないトリム部材等に係止固定されるようになっている。
ガーニッシュフレーム9は、ガーニッシュリッド8の上部領域(この例の場合、上下方向の中央位置よりも若干上方に偏寄した車内側に膨出する領域)を同リッド8の長手方向にほぼ沿って支持する上部支持フレーム部材9A(上部支持部)と、ガーニッシュリッド8とガーニッシュ本体7の間の下部側境界部aに沿うようにしてガーニッシュ本体7の切欠き部6の下端に臨んで取り付けられガーニッシュリッド8の下縁部を係止する下部係止フレーム部材9B(境界支持部)と、から成り、これらがビス止め等によって一体に結合されている。これらのフレーム部材9A,9Bは非発泡性の硬質樹脂材料によって形成されている。
上部支持フレーム部材9Aは、ガーニッシュリッド8の前端側の近傍から後端部にかけて長手方向に沿ってほぼストレートに延出する長手延出部12と、この長手延出部12の後端からガーニッシュリッド8とガーニッシュ本体7の間の後部側境界部bに沿って湾曲する湾曲延出部13を備え、湾曲延出部13の下端が下部係止フレーム部材9Bの後端部に結合されている。
ところで、ガーニッシュリッド8の後端部には、切欠き部6を超えてガーニッシュ本体7の裏面側に回り込む略矩形状の舌片部14が一体に形成されており、この舌片部14の上縁側の前後2個所がビス15によってガーニッシュ本体7と上部支持フレーム部材9Aの湾曲延出部13に対して一体に結合されている。このビス15による固定個所は、ガーニッシュ本体7、ガーニッシュリッド8およびガーニッシュフレーム9を相互に離間不能に固定する固定部を構成している。また、ガーニッシュ本体7の裏面側のこの固定部の近傍位置には車体固定用のボス部17が突設され、そのボス部17がクリップ10によってリヤピラー1に固定されるようになっている。したがって、ガーニッシュリッド8の上部領域の後端側はビス15とクリップ10を介してリヤピラー1に固定され、これらのビス15とクリップ10が上部領域の後端側の車体固定部を構成している。
舌片部14の下縁(ガーニッシュ本体7の下部側境界部aの延出方向に沿う端末のコーナー領域)には、下部側境界部aの延出方向に沿う長孔18が形成されており、ガーニッシュフレーム9側の湾曲延出部13の下縁は、この長孔18を貫通するボルト19によってガーニッシュ本体7の裏面に結合されている。そして、舌片部14の下縁は、ガーニッシュフレーム9とガーニッシュ本体7のボルト19による締結部間に配置され、長孔18部分がボルト19に対してスライドすることにより、ガーニッシュ本体7に対する下部側境界部aに沿う相対変位が許容されている。したがって、舌片部14の下縁は、ガーニッシュ本体7に対し、ボルト19と長孔18によって下部側境界部aに沿う方向の相対変位を許容され、かつ、その他の方向の相対変位を規制されている。このボルト19と長孔18による結合部は、ガーニッシュリッド8の下部領域の本体結合部を構成している。
また、ガーニッシュリッド8の上部領域のうちの前端側近傍部には略長方形状の取付孔20(貫通孔)が形成されている。そして、ガーニッシュフレーム9の上部支持フレーム部材9Aには、ガーニッシュリッド8の取付孔20の形成位置に対応して、略長方形状の貫通孔21が形成されている。これらの取付孔20と貫通孔21には、係止部材である共通のクリップ22が車内側から連続して嵌入され、それによってガーニッシュリッド8の上部領域が上部支持フレーム部材9Aに重合状態で結合されている。このクリップ22による結合部は、ガーニッシュリッド8の上部領域の前端側の車体固定部を構成している。
クリップ22は、図4に示すように、金属製のクリップ本体23と、このクリップ本体23に車内側から取り付けられる樹脂製のクリップキャップ24(本体支持部材)とから成り、クリップ本体23が主にガーニッシュリッド8とガーニッシュフレーム9をリヤピラー1側の固定ブラケット25(車体側の固定部材)に結合するとともに、クリップキャップ24が最終的にクリップ本体23を車内側から覆い隠すようになっている。
ところで、ルーフライニング4の後部側の下縁領域には、図3,図4に示すようにガーニッシュリッド8の前端部の裏面側に回り込むように延出する略矩形状の接続フランジ26が延設され、その接続フランジ26に略長方形状の貫通孔27が形成されている。また、この接続フランジ26の裏面には、ルーフライニング4の裏面とリヤピラー1の間に介在されてルーフライニング4の車室内側からの干渉衝撃を緩和する衝撃吸収部材28がビス29(図4参照)によって取付けられている。この衝撃吸収部材28は、比較的硬質の非発泡樹脂材料によって形成され、接続フランジ26の貫通孔27に対応する位置には同様の貫通孔30が形成されている。
クリップ本体23は、ガーニッシュリッド8の取付孔20の車内側の開口縁に重合される上部フランジ31aと下部フランジ31bを有するとともに、両フランジ31a,31bの付根部から挿入軸方向に断面略U字状に延出する脚部32を有し、図8の断面図に示すように、この脚部32がガーニッシュリッド8の取付孔20とガーニッシュフレーム9の貫通孔21に嵌入された後に車体側の固定ブラケット25の係止孔33に係止されるようになっている。このとき、接続フランジ26と衝撃吸収部材28は、貫通孔27,30を上部支持フレーム部材9Aの貫通孔21に位置合わせして上部支持フレーム9Aの裏面に重合され、クリップ本体23の脚部32が固定ブラケット25に係止されることによって上部支持フレーム部材9Aと固定ブラケット25の間に挟持固定される。
また、ガーニッシュフレーム9の下部係止フレーム部材9Bは、図1に示すように長手方向に離間した複数箇所がビス36によってガーニッシュ本体7の裏面側のうちの、切欠き部6の下端に沿った位置に結合されているが、下部係止フレーム部材9Bの上縁部には、図6,図7の断面図に示すように、ガーニッシュ本体7の端縁との間でガーニッシュリッド8の下縁を挟持する、先端が略コ字状に屈曲した係止フランジ37(挟持結合部)が形成されている。ガーニッシュリッド8の下端は、長手方向のほぼ全域に亙ってガーニッシュ本体7の切欠き部6に臨む端縁の裏側に差し込まれ、その端縁と下部係止フレーム部材9Bの係止フランジ37によって挟持固定される。
図9は、ガーニッシュ本体7とガーニッシュリッド8の下端側の係合部を車室の内側方向から見た分解斜視図である。
ガーニッシュリッド8の下縁のうちの前端部に近接した部位には、図9と、図5および図7に示すように、下端方向に向かって延出する補助挟持片38が延設されている。この補助挟持片38には、先端側に向かって開口する略U字状のスリット39が形成されている。また、ガーニッシュ本体7の裏面側の縁部には、切欠き部6(下部側境界部a)から幅方向(下方側)に離間した位置にボス部40が突設されており、下部係止フレーム部材9Bのこのボス部40に対応する部位には、ボス部40の先端部が嵌入される貫通孔41が形成されている。そして、ガーニッシュリッド8の下縁が係止フランジ37とガーニッシュ本体7の端縁の間に挿入状態で係止される際には、補助挟持片38のスリット39がボス部40の外周に係合されるとともに、下部係止フレーム部材9Bの貫通孔41を貫通したボス部40にビス42(補助結合部)が結合される。補助挟持片38は、これにより下部係止フレーム部材9Bとガーニッシュ本体7の間に挟持固定される。
ここで、ガーニッシュフレーム9は、以上のようにガーニッシュリッド8の上部領域を上部支持フレーム部材9Aで補強するとともに、ガーニッシュリッド8の下縁を、下部境界部aの近傍部分と下部境界部aから離間した補助挟持片38部分で2段で挟持するようになっているが、上部支持フレーム部材9Aと下部係止フレーム部材9Bに囲まれた略U字状の空間部の上方側位置には、図7に示すように折り畳まれたエアバッグ5が配置される。そして、エアバッグ5の展開時には、下方に飛び出そうとするエアバッグ5の推力によってガーニッシュ本体7と下部係止フレーム部材9Bによるガーニッシュリッド8の下縁の2段の挟持が外れ、ガーニッシュリッド8の下縁が図7中の鎖線で示すように車内側に押し開かれるようになる。なお、ガーニッシュリッド8に対する補助挟持片38での係止荷重は、係止フランジ37での係止荷重に比較して大きく設定されている。
以上説明したピラーガーニッシュ3は、ガーニッシュ本体7、ガーニッシュリッド8、ガーニッシュフレーム9が夫々別部材として構成されているが、車体に組付ける前段階ではこれらの三者が予め組み付けられる。そして、こうして予め組み付けられたピラーガーニッシュ3は車体組み付け位置にそのまま搬送され、ルーフライニング4等の他の内装部材とともにクリップ等によって車体に組み付けられる。
エアバッグ5の展開時に、エアバッグ5がガーニッシュリッド8の下縁を内側から押圧すると、ガーニッシュリッド8の下縁がガーニッシュ本体7と下部係止フレーム部材9Bによる挟持部から外れ、その下縁がクリップ22による結合部とボルト19による結合部を結ぶヒンジ支点I(図3参照)を中心として車内側に押し開かれるとともに、ガーニッシュリッド8の後端部側では、舌片部14が長孔18部分でボルト19に対して相対変位し、下部側境界部aに沿うようにして車内側に大きく引き出されるようになる。このため、ガーニッシュリッド8は、後端部側において大きな拘束力を受けることなく、エアバッグ5の展開口をスムーズにかつ大きく開口するようになる。
以下、ガーニッシュリッド8の前端部をガーニッシュフレーム9とともに、リヤピラー1側の固定ブラケット25に取り付けるクリップ22について、図10〜図14を参照して詳述する。なお、以下のクリップ22の説明においては、特別に断らない限り、最終組付け状態において、上部フランジ31aが配置される側を「上」と呼び、下部フランジ31bが配置される側を「下」と呼ぶものとする。
このクリップ22は、前述のように金属製のクリップ本体23と樹脂製のクリップキャップ24とから構成されるが、これらは最終組付け状態とは別の形態で組み付けられ、ピラーガーニッシュ3を車体に取り付ける際に、クリップ本体23の脚部32を固定ブラケット25に容易に係止させ得るように工夫されている。
クリップ本体23は、金属板をプレス成形して形成され、図10の斜視図に示すように、略矩形状の上部フランジ31aと下部フランジ31bの付根部にガーニッシュフレーム9の貫通孔21(図4参照)の内幅とほぼ同幅の対向壁32a,32bが相互に平行になるように延設され、両対向壁32a,32bの先端側が幅の狭い略U字状の連結壁50によって相互に連結されている。前述した脚部32はこれらの対向壁32a,32bと連結壁50によって構成されている。下部フランジ31bの下方側への延出長さL1は、上部フランジ31aの上方側への延出長さL2よりも長く設定され、クリップ本体23をガーニッシュリッド8に取り付けた状態においては、下部フランジ31bによるガーニッシュリッド8の押さえ込み量が上部フランジ31aによるガーニッシュリッド8の押さえ込み量よりも大きくなるようになっている。また、対向壁32a,32bの先端側領域には、それぞれ一対の係止爪51,52が切り起こして形成され、脚部32の先端部を固定ブラケット25の係止孔33(図8参照)に挿入したときに、これらの係止爪51,52が係止孔33の孔縁を前後から係止するようになっている。
各対向壁32a,32bの係止爪51,52よりも基端側位置には、略長方形状の保持孔53,54が夫々形成され、さらに、一方の対向壁32aの上部フランジ31aとの連接コーナーには、略長方形状の係止孔55が形成されている。上部フランジ31aと一方の対向壁32aの連接コーナーは緩やかに湾曲しており、係止孔55はその湾曲した領域に跨って形成されている。また、一方の対向壁32aの保持孔53と他方の対向壁32bの保持孔54は挿入軸線p方向にオフセットして配置され、一方の保持孔53の方が他方の保持孔54よりも先端部側に配置されている。
一方、クリップキャップ24は、クリップ本体23の上部フランジ31aと下部フランジ31bを車内側から覆う平板状のカバーフランジ34と、カバーフランジ34に延設されて最終的にクリップ本体23の対向壁32a,32b間の開口56に圧入固定される支持軸35とを備えている。カバーフランジ34は、支軸軸35を中心にして上下非対称に形成され、クリップ本体23側の上部フランジ31aと下部フランジ31bに対応して下方側の延出長さL3が上方側の延出長さL4よりも長く設定されている。したがって、クリップキャップ24がクリップ本体23に上下正しく装着されたときには、カバーフランジ34がクリップ本体23の上部フランジ31aと下部フランジ31bを完全に覆い隠し、クリップ本体23に上下逆向きに装着されたときには、下部フランジ31bがカバーフランジ34の下方からはみ出すことになる。
また、クリップキャップ24の支持軸35は、カバーフランジ34の裏面に長手方向(図10中の横方向)に設定幅離間して配置された一対の側壁57,57と、その側壁57,57の端面同士を連結する頂部壁58と、を備え、頂部壁58の中心部付近には軸方向に沿って延出する一対の支持壁59a,59bが突設されている。この一対の支持壁59a,59bは、側壁57,57と同方向に設定幅離間して配置されている。支持壁59a,59b自体の幅は、クリップ本体23の対向壁32a,32b間の幅よりも狭く設定され、付根部側の側壁57自体の幅は、対向壁32a,32b間の幅とほぼ同幅に設定されている。側壁57,57は、クリップキャップ24がクリップ本体23に最終的に組み付けられた状態(支持軸35が完全に挿入された状態)で、対向壁32a,32b間に圧入される。クリップ本体23は、この圧入によって脚部32を内側から支持される。
支持壁59a,59bには、挿入軸線pを挟んで相反方向に突出する係止突起60,61が形成されている。この係止突起60,61は、挿入軸線pに沿う方向で相互にオフセットするように配置されており、一方の係止突起60はクリップ本体23の一方の保持孔53に対して嵌合可能とされ、他方の係止突起61はクリップ本体23の他方の保持孔54に対して嵌合可能とされている。ただし、各係止突起60,61は先端部に円弧面が設けられ、挿入軸線pを中心とする支持軸35の回転により、対応する保持孔53,54に対して係脱し得るようになっている。
また、一方の支持壁59aの付根部には、クリップ本体23の係止孔55に嵌合可能な回転規制突起62が係止突起60と同方向に突出して形成されている。この回転規制突起62は、クリップキャップ24がクリップ本体23に対して図10に示すような正規の回転姿勢にあるときに、挿入軸線pに対して上方側に偏寄するように配置されている。これにより、クリップキャップ24の支軸軸35が正規の回転姿勢でクリップ本体23の開口56内に半挿入(支持軸35の先端側の支持壁59a,59b部分のみ挿入された状態。)され、その状態からクリップキャップ24が設定方向qに回転操作されたときには、回転規制突起が62が係止孔55内の一方の端縁に当接するまでクリップキャップ24の回転が許容され、クリップキャップ24が設定方向qにさらに回転操作されようとすると、それ以上の回転が規制される。なお、このとき係止突起60,61が対応する保持孔53,54に係合され、クリップキャップ24とクリップ本体23が軸方向で相互に結合される。また、このときクリップキャップ24の頂部壁58の両側のコーナー部付近は、クリップ本体23の上部フランジ31aと下部フランジ31bの各付根部に当接し、クリップキャップ24に挿入軸線p方向の荷重が入力されたときには、その荷重をクリップ本体23に伝達する。この頂部壁58の両側のコーナー部付近は荷重伝達部63を構成する。また、カバーフランジ34と頂部壁58の中心部の間には、両者をストレートに連結する荷重伝達壁64が設けられている。
なお、係止突起60,61と保持孔53,54はクリップキャップ24とクリップ本体23の間の軸方向連結手段を構成し、回転規制突起62と係止孔55は、クリップキャップ24とクリップ本体23の間で回転規制手段を構成する。また、係止突起60と61、保持孔53と54は、夫々前述のように挿入軸線p方向にオフセットして配置されていることから、半挿入状態からクリップキャップ24を設定方向qに回転させる場合にのみ対応するもの同士で係合し、設定方向qと逆向きに回転させようとした場合には、クリップキャップ24の回転自体を阻止するように機能する。この係止突起60、61と保持孔53、54のオフセット配置は、クリップ本体23に対するクリップキャップ24の回転方向を規制する規制機構を構成する。
ここで、クリップ22は、ピラーガーニッシュ3を車体に組付ける前段階では、クリップ本体23の脚部32がガーニッシュリッド8の取付孔20とガーニッシュフレーム9の貫通孔21とに嵌合され、クリップ本体23の脚部32の開口56にクリップキャップ24の支持軸35が半挿入状態で仮組付けされる。
このときには、まず、図10に示すようにクリップキャップ24をクリップ本体23に対して正規の回転姿勢に維持したまま支持軸35の先端部をクリップキャップ24の脚部32の開口56に挿入し、クリッップキャップ24をその状態のまま設定方向qに4分の1回転分だけ回転させる。このとき、クリップキャップ24側の係止突起60,61と回転規制突起62がそれぞれクリップ本体23側の対応する保持孔53,54と係止孔55とに係合され、図11,図12,図13(A)に示すようにクリップキャップ24とクリップ本体23とが軸方向で結合される。
そして、この状態からピラーガーニッシュ3をリヤピラー1に実際に取り付けるときには、ガーニッシュフレーム9の貫通孔21から突出したクリップ本体23の脚部32の先端部を、ルーフライニング4と衝撃吸収部材28の貫通孔30に挿入し、その状態でクリップ本体23に軸方向の荷重を入力することにより、脚部32を固定ブラケット25の係止孔33に押し込み固定する。クリップ本体23を固定ブラケット25に押し込むにあたっては、クリップ本体23に仮組み付けされてガーニッシュリッド8から突出しているクリップキャップ24のカバーフランジ34に手をあてがい、カバーフランジ34の端面を押圧することによってクリップ本体23に軸方向の荷重を加える。
こうして、クリップ本体23の脚部32を固定ブラケット25に固定した後には、図13(B)に示すように、クリップキャップ24を設定方向qと逆向きq´に4分の1回転させることによってクリップキャップ24を初期の回転姿勢に戻す。この後、クリップキャップ24を軸方向にさらに押し込み、図13(C)および図14に示すように、クリップキャップ24の支持軸35をクリップ本体23の開口56内に完全に挿入する。こうして、クリップキャップ24が最後まで押し込まれると、クリップ本体23の脚部32が支持軸35によって内側から支持されるようになるとともに、クリップ本体23の上部フランジ31aと下部フランジ31bがカバーフランジ34によって完全に覆い隠される。
以上のように、ここで用いるクリップ22は、クリップ本体23と、そのクリップ本体23の脚部32を内側から支持するクリップキャップ24とを、係止突起60,61と保持孔53,54による係合によって半挿入状態で連結し、クリップキャップ24を介してクリップ本体23に軸方向の圧入荷重を伝達できるようになっているため、専用の治具等を用いることなく、ピラーガーニッシュ3を極めて容易に車体に取り付けることができる。そして、クリップ本体23を固定ブラケット25に押し込み固定した後には、クリップキャップ24の支持軸35をクリップ本体23の脚部32の内側に完全に挿入することにより、クリップ本体23の上部フランジ31aと下部フランジ31bをクリップキャップ24のカバーフランジ34によって完全に覆い隠すことができるため、車内側からの見栄えを向上させることができる。
そして、このクリップ22を用いて内装部材であるピラーガーニッシュ3を上記の手順で車体に取り付けることにより、極めて簡単な操作によってピラーガーニッシュ3を車体に容易に取り付けることができる。
特に、上記の手順によれば、仮組付け状態にあるクリップキャップ24に軸方向の荷重を作用させて、クリップ本体23をピラーガーニッシュ3とともに車体側に押し込み、その後に、クリップキャップ24を回転させて初期の回転姿勢に戻し、クリップ本体23の脚部32内に押し込むという簡単な一連の操作で車体に対する取り付けを完了することできるため、取付け作業を極めて効率良く進めることができる。
また、このクリップ22においては、クリップキャップ24とクリップ本体23には回転規制突起62と係止孔55が設けられ、クリップキャップ24が仮組付け状態からさらに設定方向qに回転操作されるのを回転規制突起62と係止孔55の係合によって規制されるため、クリップキャップ24をクリップ本体23に対して逆向きに回転させて初期の回転姿勢に戻す場合に、クリップキャップ24を誤って設定方向qに回転させてクリップキャップ24を上下逆向きに組付けてしまうのを未然に防止することができる。
さらに、このクリップ22では、クリップキャップ24の係止突起60,61と、クリップ本体23の保持孔53,54が夫々挿入軸線p方向にオフセットして配置され、それによって正規の回転姿勢でクリップ本体23に半挿入されたクリップキャップ24が設定方向qと逆向きに回転操作されるのを規制されているため、クリップ本体23とクリップキャップ24の逆向きでの仮組付けを確実に防止することができる。
また、この実施形態においては、正規の回転姿勢と180°異なる向きでクリップキャップ24がクリップ本体23に半挿入されたときには、回転規制突起62と係止孔55との位置関係によってクリップキャップ24の設定方向qと逆向きの回転が規制されることから、クリップキャップ24がいずれの方向にも回転しなくなり、即時に誤った向きで組み付けられようとしていることを作業者に気づかせることができる。
また、このクリップ22の場合、クリップキャップ24をクリップ本体23に仮組付けした状態において、クリップキャップ24の頂部壁58上の荷重伝達部63をクリップ本体23側の上部フランジ31aと下部フランジ31bの付根部に当接させることがでるため、クリップキャップ24に入力される軸方向の押し込み荷重をクリップ本体23に、確実に、かつ効率良く伝達することができる。
なお、この発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
この発明の一実施形態を示す車両の側面図。 同実施形態を示すものであり、図1のH部に配置される内装部材を車外側から見た背面図。 同実施形態を示す内装部材を車内側から見た正面図。 同実施形態を示す内装部材を車内側から見た分解斜視図。 同実施形態を示す内装部材を車外側から見た分解斜視図。 同実施形態を示す図2のA−A断面に対応する断面図。 同実施形態を示す図2のB−B断面に対応する断面図。 同実施形態を示す図2のC−C断面に対応する断面図。 同実施形態を示す内装部材を車内側から見た分解斜視図。 同実施形態の車両用クリップの分解斜視図。 同実施形態の車両用クリップの正面図。 同実施形態を示す図11のD−D断面に対応する断面図。 同実施形態の車両用クリップの組み付け手順を(A),(B),(C)で順次に示す斜視図。 同実施形態の車両用クリップの斜視図。
符号の説明
3…ピラーガーニッシュ(車体取付部品)
23…クリップ本体
24…クリップキャップ(本体支持部材)
25…固定ブラケット(車体側の固定部材)
53,54…保持孔(軸方向連結手段)
56…開口
60,61…係止突起(軸方向連結手段)
63…荷重伝達部

Claims (6)

  1. 車体取付部品の取付孔に挿入係合され、その取付孔を貫通した先端部側が車体側の固定部材に押し込み固定されるとともに、基端部に開口が形成された略中空状のクリップ本体と、
    このクリップ本体の開口に完全に挿入されて前記クリップ本体を内側から支持する本体支持部材と、
    を備え、
    前記クリップ本体と本体支持部材の間には、前記本体支持部材をクリップ本体に半挿入した状態において、前記クリップ本体と本体支持部材を軸方向で係合させる軸方向連結手段が設けられている
    ことを特徴とする車両用クリップ。
  2. 前記軸方向連結手段は、
    前記本体支持部材を所定の回転姿勢でクリップ本体に半挿入して設定方向に一定角度回転させた状態において、前記クリップ本体と本体支持部材とを軸方向で係合するとともに、
    前記本体支持部材が前記所定の回転姿勢であるときに、前記本体支持部材を前記クリップ本体に対して挿入可能とする
    ことを特徴とする請求項1に記載の車両用クリップ。
  3. 前記本体支持部材をクリップ本体に半挿入した状態において、前記クリップ本体に対する本体支持部材の回転方向を規制する規制機構を備えていることを特徴とする請求項2に記載の車両用クリップ。
  4. 前記本体支持部材には、本体支持部材部をクリップ本体に半挿入して両者を軸方向で係合した状態において、前記本体支持部材に入力された軸方向に沿う荷重を前記クリップ本体に伝達する荷重伝達部を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用クリップ。
  5. 車体取付部品の取付孔に挿入係合され、その取付孔を貫通した先端部側が車体側の固定部材に押し込み固定されるとともに、基端部に開口が形成された略中空状のクリップ本体と、
    このクリップ本体の開口に完全に挿入されて前記クリップ本体を内側から支持する本体支持部材と、
    を備えた車両用クリップを用いた内装部材の取付方法であって、
    前記本体支持部材をクリップ本体に半挿入した状態において、前記クリップ本体と本体支持部材を軸方向で係合させる工程と、
    前記本体支持部材を軸方向に押圧することにより前記クリップ本体と本体支持部材の係合を維持したまま前記クリップ本体を車体側の固定部材に押し込み固定する工程と、
    前記クリップ本体と本体支持部材の軸方向の係合を解除して、前記本体支持部材をクリップ本体に完全に挿入する工程と、
    から成ることを特徴とする内装部材の取付方法。
  6. 前記クリップ本体と本体支持部材の軸方向の係合を解除して、前記本体支持部材をクリップ本体に完全に挿入する工程は、前記本体支持部材をクリップ本体に対して所定角度回転させる工程を含むことを特徴とする請求項5に記載の内装部材の取付方法。
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