JP2007176382A - 車両用ドア - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 アウタパネル11の結合部(接合縁11b)の前方に、車両前方からの衝撃を吸収するための衝撃吸収凹部15を設けた構成とする。
【選択図】 図1
Description
例えば、図14及び図15に示すように、アウタパネル52のベルトラインB(上端部)の後部は、窓枠55の後部に対してロウ付けRにより結合する構造がある。ここでは、アウタパネル52の上端縁に上方へ延びる前側フランジ部52aと下方へ延びる後ろ側フランジ部52bを設け、両フランジ部52a,52bを窓枠55の外面にロウ付けRして両者を結合している。
また、例えば特開平7−25238号公報に開示されているように、アウタパネルのベルトライン後部に上方向に延設された延長フランジ部を設け、延長フランジ部を窓枠後部にスポット溶接により結合する構造がある。
本発明は、車両前突時等にベルトラインB後部の窓枠への結合部に付加される衝撃を軽減することができる車両用ドアを提供することを目的とする。
請求項1記載の車両用ドアによれば、アウタパネルの窓枠への結合部の前方において、アウタパネルのベルトラインに車両前方からの衝撃を吸収するための衝撃吸収部が設けられているため、例えば車両前突時であって、当該車両用ドアにベルトラインに沿って前方からの衝撃が入力された場合に、当該衝撃がこの衝撃吸収部で吸収されてアウタパネルの上記結合部に伝わる衝撃を軽減することができる。
衝撃吸収部としては、例えばアウタパネルの上端から凹部を切り込み形成する構成、アウタパネルの板厚若しくは材質を一部変更することにより、車両前方からの衝撃に対して変形しやすくする構成とすることができる。
請求項2記載の車両用ドアによれば、上記衝撃吸収部により車両前突時等の衝撃が吸収されるとともに、ベルトラインの後部においてアウタパネルが窓枠にスポット溶接により強固に結合されているため、車両前突時等の衝撃によりアウタパネルの結合部が窓枠から剥がれるのを防止できる。
請求項4記載の車両用ドアによれば、衝撃吸収凹部がクリップ固定用の係合孔としても機能することから、別途固定用の係合孔を設ける構成に比して孔加工の手間を省くことができ、また不必要にアウタパネルの強度を低下させることがないので、衝撃吸収部において必要な衝撃吸収能を適切に設定することができる。
このドア1は、下側のドア本体部10と、このドア本体部10の上部(ベルトラインB)から上方へ張り出す窓枠20を備えている。ドア本体部10の上部にはベルトモール30がベルトラインBに沿って取り付けられている。
ドア本体部10は、アウタパネル11とインナパネル12をヘミングにより一体化したいわゆる袋構造を有している。
窓枠20は、ドア本体部10のベルトライン前部と後部との間を跨った状態に取り付けられている。この窓枠20によって、ドア本体部10内からウインドガラス(図示省略)が案内される。
本実施形態のドア1は、ベルトライン後部付近の構造に特徴を有している。その他の部位については、特に変更を要しないので、その説明を省略する。
図1には、ドア1のベルトラインB後部付近の構造が示されている。先ず、アウタパネル11は、ベルトラインBに沿った上部の範囲(図1において(I)で示す範囲、以下第1面部(I)という)が、下側の範囲(図1において(II)で示す範囲、以下第2面部(II)という)に対して緩やかな角度で車室外側に膨らむ方向に湾曲して、インナパネル12との間にウインドガラスやウインドレギュレータ等の艤装品を組み込むための空間部を形成している。このため、第1面部(I)は、第2面部(II)に対してその面方向が不連続的に変化している。上側の第1面部(I)におけるヘミング部を第1ヘミング部H1といい、下側の第2面部(II)におけるヘミング部を第2ヘミング部H2という。
これに対して、図3に示すように第1面部(I)の第1ヘミング部H1は、アウタパネル11の端縁部11aが第2ヘミング部H2とは異なって、折り返し方向に完全には折り曲げられていない。第1ヘミング部H1における端縁部11aは、第2ヘミング部H2における端縁部11aに対して曲げ方向手前約30°の位置まで折り曲げられて、鋭角状に曲げ加工されている。この第1ヘミング部H1の端縁部11aに対してインナパネル12の端縁部12aが曲げ内側に進入し、当該端縁部11aにほぼ平行に重ね合わされている。端縁部11aの先端に沿って錆止め用のシーラSが塗布されている点は、第1ヘミング部H1と同様である。
以上のことから、下側の第2ヘミング部H2についてはアウタパネル11の端縁部11aが折り返し状に完全に曲げ加工されて完全ヘミングがなされている。このため、アウタパネル11の端縁部11aに対してインナパネル12の端縁部12aが完全に相対変位不能に固定されている。これに対して、上側の第1ヘミング部H1については、アウタパネル11の端縁部11aに対してインナパネル12の端縁部12aが完全には固定されていない(不完全ヘミング部)。しかしながら、この第1ヘミング部H1においても、アウタパネル11の端縁部11aが完全な折り返し位置から曲げ方向約30°まで鋭角状に曲げ加工され、その曲げ内側にインナパネル12の端縁部12aが進入した状態とされている。このため、インナパネル12の端縁部12aは、アウタパネル11の端縁部11aに対してその面方向(図3において矢印Wで示す方向)及び板厚方向(図3において矢印Dで示す方向)への変位が規制された状態でアウタパネル11に結合されている。その結果、この第1ヘミング部H1を介して、アウタパネル11はインナパネル12に対して離間する方向(図3において上方)の変位が規制され、かつ図3において左側への相対変位が規制された状態で結合されている。
このように構成された第1ヘミング部H1により、当該第1ヘミング部H1にドア閉止時の大きな衝撃が繰り返し付加されることによっても、アウタパネル11とインナパネル12が位置ずれを生ずる結果発生するシーラ割れ(シーラSのひび割れ)や塗割れ等の不具合を大幅に低減することができる。
このスポット溶接部SP(窓枠結合部)の前側(図1及び図5において左側)には、衝撃吸収部が設けられている。本実施形態では、この衝撃吸収部として、アウタパネル11の上端縁から一定の幅及び深さで矩形の凹部15が切り込み形成されている。図6に示すようにこの凹部15は、車両前突時等において当該ドア1のベルトラインBに大きな衝撃力Pが入力された際に、変形してこれを吸収する機能を果たす。
この凹部15の前側であって、アウタパネル11の上端には、上方へ立ち上がる補助縁部11cが設けられている。この補助縁部11cの後部は、窓枠20の外面に当接されている。
本例のクリップ31の詳細が図8〜図10に示されている。ベルトモール30の前側のクリップ30と後ろ側のクリップ31が前後に対称に構成されている。本実施形態では、図示するように後ろ側のクリップ31について説明する。
このクリップ31は、ベルトモール30の端部に当接させるフランジ部31aと、このフランジ部31aのほぼ中央から側方へ突き出す状態に設けられた係合柱部31bと、この係合柱部31bの先端側に一体に設けられたクリップ本体部31cを備えている。係合柱部31b及びクリップ本体部31cをベルトモール30の端部からその内周側に差し込んで、フランジ部31aを端部に当接させた状態で当該クリップ31がベルトモール30の端部に取り付けられている。係合柱部31bは、ベルトモール30の内周側に対して適度な抵抗をもって差し込まれている。このため、クリップ31は、ベルトモール30の端部に対してがたつきなく、かつ不用意には脱落しない状態に取り付けられている。
クリップ本体部31cには、突き当て面31dと、係合爪部31eと、突き当て突起31fが設けられている。ベルトモール30は、前後のクリップ本体部31c,31cをアウタパネル11の上端縁に係合させることにより当該アウタパネル11のベルトラインBに沿って取り付けられている。ここで、後ろ側のクリップ本体部31cは、前記凹部15内に差し込まれている。後ろ側のクリップ本体部31cが凹部15内に差し込まれると、アウタパネル11の上端縁(本例では、凹部15の底部)が上記突き当て面31dにほぼ突き当てられた状態となり、かつ上記係合爪部31eがアウタパネル11の上端縁の下面側に係合される。
また、図9及び図10に示すようにクリップ本体部31cの突き当て突起31fが窓枠20の外面側に突き当てられている。この突き当て突起部31fが窓枠20の外面に突き当てられた状態とされることにより、アウタパネル11の上端縁の突き当て面31dに対する突き当て部を支点とするクリップ本体部31cの外れ方向の変位(図9において反時計回り方向の回動)が規制され、これによりベルトモール30の外れ方向の変位(図9において白抜きの矢印で示す方向であって、当該ベルトモール30の下端部30aを支点とする反時計回り方向の回動)が規制され、従って当該ベルトモール30の取り付け状態が強固に保持される。
これに対して従来のベルトモール40の取り付け構造が図11及び図12に示されている。従来のベルトモール40は、その両端にクリップ41,41を取り付け、この両クリップ41,41をアウタパネル42の上端のベルトラインに沿って取り付ける構成のもので、クリップ41は、ベルトモール40の端面に当接させるフランジ部41aと、このフランジ部41aのほぼ中央から側方へ突き出す状態に設けられた係合柱部41bと、この係合柱部41bの先端側に一体に設けられたクリップ本体部41cを備えている。以上の点は本実施形態に係るベルトモール40及びクリップ41と同様である。ところが、従来のクリップ本体部41cは、下方に延びてアウタパネル42の端縁に対して下面側に係合する係止爪部41dを備えるものの上記本実施形態に係るクリップ本体部31cが有する突き当て突起部31fに相当する部位を備えていなかった。このため、従来のクリップ本体部41cを備えたクリップ41では、ベルトモール40の上方への変位は規制されるものの、図12中矢印で示すように車幅方向の変位(がたつき)及びアウタパネル42の上端を支点とする外れ方向の回動動作(がたつき)を確実に規制することができなかった。
このように、本実施形態のベルトモール30の取り付け構造によれば、クリップ本体部31cが突き当て突起部31fを備え、この突き当て突起部31fを窓枠20の外面側に突き当てられる構成を備えることにより、ベルトモール30の上方への浮き上がりのみならず、車幅方向の変位ひいては外れ方向の回動動作を確実に規制することができる。
また、窓枠20のスポット溶接部SPの前側には、衝撃吸収部としての凹部15が設けられているので、車両前突時等においてベルトラインBに大きな衝撃Pが入力された場合に、当該凹部15が変形することにより衝撃Pを吸収することができ、この点でもアウタパネル11のインナパネル12に対する位置ずれを防止することができるので、より一層ドア1の開閉性能を維持することができる。
さらに、窓枠20の後部のドア本体部10に対する取り付けについて、通常500℃程度の高温でなされるロー付けRを廃止することができるので、そのための作業工数を低減できるとともに、当該窓枠20の面歪みを低減してその修正工数を低減することができる。
これに対して、第1面部(I)について設定された第1ヘミング部H1によれば、アウタパネル11の端縁部11aが曲げ加工において折り返し状態(完全ヘミング)の手前となる鋭角状に折り曲げられることにより、インナパネル12の端縁部12aの面方向W及び板厚方向Dの変位が規制される。このため、従来それぞれ直角に折り曲げられた状態のアウタパネル52の端縁部52cとインナパネル53の端縁部53aを相互に重ね合わせ状態に位置させた構成に比して、上記第2ヘミング部H2(完全ヘミング部)ほど両端縁部11a,12aが相互に完全に結合された状態ではないものの、当該第1面部(I)においてアウタパネル11の端縁部11aとインナパネル12の端縁部12aとの相互の位置ずれを抑制してシーラ割れや塗割れを従来よりも低減することができる。
また、上記第1ヘミング部H1によれば、アウタパネル11の端縁部11aが鋭角状に折り曲げられれば足りることから、折り返し状に曲げ加工するためには曲げ方向が相互に異なる場合に、当該第1面部(I)の第1ヘミング部h1及び第2面部(II)の第2ヘミング部H2に対応してアウタパネル11の端縁部11aの曲げ加工を型締め方向が1方向の低コストなプレス型を用いてワンショット(1回の型締め)で一度に行うことができ、この点で、車両用ドア1の構造上の強度と型設備の低コスト化を両立させることができる。
さらに、スポット溶接により窓枠20の後部をドア本体10に結合する場合を例示したが、従来のロウ付けRにより結合する形態の車両用ドアに適用することができる。
10…ドア本体部
B…ベルトライン
(I)…第1面部
(II)…第2面部
H1…第1ヘミング部
H2…第2ヘミング部
R…ロウ付け
S…シーラ
SP…スポット溶接部
11…アウタパネル
11a…端縁部、11b…接合縁
12…インナパネル
12a…端縁部、12b…接合縁
15…凹部(衝撃吸収部)
20…窓枠
30…ベルトモール
31…クリップ
31d…突き当て面、31e…係合爪部、31f…突き当て突起
40…ベルトモール
41…クリップ(従来)、41d…係止爪部
50…車両用ドア(従来)
51…ドア本体部
52…アウタパネル
55…窓枠
Claims (4)
- アウタパネルとインナパネルとにより構成されたドア本体と、前記ドア本体の上部に取り付けられた窓枠とを備え、前記アウタパネルのベルトライン後部に前記窓枠の後部に結合された結合部を備える車両用ドアであって、前記アウタパネルの前記結合部の前方において、前記アウタパネルのベルトラインに車両前方からの衝撃を吸収するための衝撃吸収部を設けた車両用ドア。
- 請求項1記載の車両用ドアであって、前記アウタパネルのベルトライン後部に上方へ立ち上がる接合縁を設け、該接合縁を窓枠にスポット溶接により結合した車両用ドア。
- 請求項1記載の車両用ドアであって、前記衝撃吸収部として、前記アウタパネルの上端縁に衝撃吸収凹部を切り込み形成した車両用ドア。
- 請求項3記載の車両用ドアであって、アウタパネルのベルトラインに沿ってベルトモールがクリップを介して取り付けられ、該クリップを前記衝撃吸収凹部に挿入して前記アウタパネルに係合させる構成とした車両用ドア。
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