JP2009050932A - 電動工具 - Google Patents

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Abstract

【課題】動力源となる直流モータの回転をトリガスイッチの操作量に応じて制御する電動工具において、モータ駆動開始時に流れる起動電流を抑制する。
【解決手段】トリガスイッチが操作されるとt0、操作継続時間ON時間が20msに達するまでt1、直流モータをPWM制御するための駆動デューティ比を起動用DUTYに設定して、直流モータを起動する。次に、ON時間が20msを越えると、ON時間が30msに達するまでt2、駆動デューティ比を50%に設定し、その後、ON時間が40msに達するまでt3は、駆動デューティ比を80%に設定する。そして、その後は、トリガスイッチの操作量に応じて駆動デューティ比を設定する。この結果、直流モータは、駆動開始後始動時間40msが経過するまでの間、段階的に加速され、起動電流を抑制して、電源電圧が低下するのを防止できる。
【選択図】図4

Description

本発明は、動力源として直流モータを備え、その回転をトリガスイッチの操作量に応じて制御する電動工具に関する。
従来、この種の電動工具には、直流モータの駆動回路として、直流モータの各端子と直流電源(バッテリ)の正極及び負極との間にそれぞれ設けられたスイッチング素子(ハイサイドスイッチ及びローサイドスイッチ)からなるブリッジ回路(換言すればインバータ回路)が設けられている。
そして、使用者がトリガスイッチを操作すると、制御回路が、その操作量に基づき、直流モータをPWM制御するための駆動デューティ比を求め、その駆動デューティ比に応じてブリッジ回路内のスイッチング素子をオン/オフさせることで、直流モータの回転を制御する。
また、電動工具においては、動力源となる直流モータの駆動時に、直流モータが機械的にロックすると、直流モータやその駆動回路に大電流が流れて、これら各部が発熱し、場合によっては焼損することがある。
このため、電動工具には、通常、直流モータの駆動時に、直流モータに流れる電流(モータ電流)がロック判定用の設定電流値に達したか否かを判断することによって、直流モータがロックしたか否かを判定し、直流モータがロックしたと判定すると、直流モータの駆動を停止する保護回路が設けられている(例えば、特許文献2等参照)。
特開2007−7784号公報 特公平4−35970号公報
ところで、上記保護回路によるロック判定は、モータ電流を検出することにより行われるが、電動工具には、回路構成を簡単にするために、モータ電流を検出する電流検出回路が設けられないことがある。
そして、このようにモータ電流を検出できない電動工具の場合、ロック判定は、直流モータに電源供給を行う直流電源(バッテリ)の電圧変動に基づき行うことができる。つまり、直流モータがロックして直流モータに過大なロック電流が流れると、直流電源から直流モータに供給される電源電圧(バッテリ電圧)が一時的に低下することから、直流モータのロック判定は、バッテリ電圧を監視することによっても行うことができる。
一方、電動工具において、トリガスイッチが操作されて、直流モータの駆動を開始する際、トリガスイッチの操作量が最大操作量となっていれば、駆動デューティ比も最大となる。そして、この場合、直流モータに流れる起動電流も大きくなることから、直流モータの駆動開始後、直流モータが正常に回転し始めるまでの間、起動電流によって電源電圧が低下することがある。
このため、電動工具において、直流モータのロック判定を電源電圧に基づき行うようにすると、直流モータの駆動開始直後には、ロック判定を正常に実行できないことになり、ロック判定は、直流モータの駆動開始後、一定時間経過後に開始しなければならなくなる。
しかし、このようにすると、直流モータが駆動開始前からロック状態にある場合には、直流モータの駆動開始後、ロック判定を開始するまでの間、過大なロック電流が流れることになり、直流モータや駆動回路を劣化させてしまうことになる。
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、動力源となる直流モータの回転をトリガスイッチの操作量に応じて制御する電動工具において、モータ駆動開始時に流れる起動電流を抑制し、延いては、電源電圧に基づくロック判定等の異常判定を、モータ駆動開始直後から実行できるようにすることを目的とする。
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載の電動工具においては、トリガスイッチが操作されると、制御手段が、ブリッジ回路を介して直流モータをPWM制御するための駆動デューティ比を設定し、駆動手段が、その設定された駆動デューティ比に従いブリッジ回路内の各スイッチング素子をオン/オフさせて、直流モータを回転させる。
そして、特に、本発明では、制御手段が、
a)トリガスイッチの操作開始後、所定の始動時間が経過するまでの間は、駆動デューティ比を、トリガスイッチの操作継続時間に対応した設定値にて段階的に増加させ、
b)トリガスイッチの操作開始後、前記始動時間が経過すると、駆動デューティ比を、トリガスイッチの操作量に応じて設定する。
このため、本発明の電動工具によれば、使用者が、当該工具を高速運転するために、トリガスイッチを最大操作量で操作したとしても、その操作開始後、所定の始動時間が経過するまでの間は、トリガスイッチの操作継続時間に応じて段階的に増加するよう駆動デューティ比が設定され、その後、始動時間が経過すると、駆動デューティ比が、トリガスイッチの最大操作量に対応した最大値に設定されることになる。
よって、本発明の電動工具によれば、従来装置に比べて、直流モータの駆動開始直後に流れる起動電流を抑制することができる。
またこのように、起動電流を抑制できることから、起動電流の増加に伴い生じる直流電源の電圧低下を防止することもできる。
従って、本発明の電動工具によれば、モータロック等の異常判定を電源電圧に基づき行うようにしても、その異常判定を、直流モータの駆動開始直後から正確に実行することができるようになり、例えば、モータ駆動開始直後に直流モータやブリッジ回路に過大なロック電流が流れて、これら各部が劣化する、といったことを防止できる。
次に、請求項2に記載の電動工具においては、制御手段が、
c)トリガスイッチの操作開始後、始動時間よりも短い起動時間が経過するまでの間は、直流モータを停止状態から回転状態に移行させるのに要する起動用駆動デューティ比を設定し、
d)トリガスイッチの操作開始後、起動時間が経過すると、トリガスイッチの操作量が、起動用駆動デューティ比に対応して予め設定された下限操作量以上であるか否かを判定し、トリガスイッチの操作量が下限操作量よりも少ないときには、駆動手段を介して直流モータへの通電を間欠的に行う間欠制御を実行する。
つまり、直流モータを起動用駆動デューティ比で運転し続けた場合、直流モータの回転速度は一定速度に収束するが、トリガスイッチの操作量が少なく、直流モータを、その一定速度よりも低速で運転させる必要があるときには、駆動デューティ比を起動用駆動デューティ比よりも小さい値に設定しなければならない。
しかし、モータ駆動開始直後から、駆動デューティ比を起動用駆動デューティ比よりも小さくすると、直流モータに保持トルクを越える回転トルクを発生させることができず、直流モータを停止状態から回転状態へと移行させることができない。
そこで、請求項2に記載の電動工具においては、トリガスイッチの操作開始後、起動時間が経過するまでの間は、駆動デューティ比として起動用駆動デューティ比を設定することで、直流モータを停止状態から回転状態に移行させ、その後、トリガスイッチの操作量が起動用駆動デューティ比に対応した下限操作量よりも少ないときには、直流モータへの通電を間欠的に行うことで、直流モータを、起動用駆動デューティ比で実現可能な回転速度よりも低速で回転させるようにしているのである。
このため、本発明の電動工具によれば、トリガスイッチの操作量に応じて制御可能な直流モータの回転速度範囲を拡大することができる。
次に、請求項3に記載の電動工具においては、制御手段が、
e)トリガスイッチの操作開始後、始動時間が経過するまでの間は、トリガスイッチの操作継続時間に応じて設定した第1の駆動デューティ比が、トリガスイッチの操作量に対応した第2の駆動デューティ比よりも大きいか否かを判断し、第1の駆動デューティ比が第2の駆動デューティ比よりも大きいときには、第2の駆動デューティ比を、駆動手段がブリッジ回路の駆動に用いる駆動デューティ比として出力する。
従って、この電動工具によれば、トリガスイッチの操作開始後、始動時間が経過するまでの間に、制御手段から駆動手段へと、トリガスイッチの操作量に対応した駆動デューティ比よりも大きな駆動デューティ比が出力されて、直流モータの回転がトリガスイッチの操作量に対応した回転速度よりも上昇するのを防止できる。
一方、本発明は、直流モータに流れる電流(モータ電流)を検出する電流検出回路を備え、その検出結果に基づきモータロック等の異常判定を行うように構成された電動工具であっても適用できるが、特に、請求項4に記載のように、制御手段が、直流電源の電源電圧が予め設定された下限電圧値よりも低いか否かを判定し、電源電圧が下限電圧値よりも低いときに直流モータの異常を検出するように構成された電動工具に適用すれば、本発明の効果をより有効に発揮することができる。
つまり、本発明(請求項1〜3)の電動工具によれば、直流モータの駆動開始直後に流れる起動電流を抑えて、その起動電流により生じる電源電圧の電圧降下を抑制することができることから、制御手段を請求項4に記載のように構成しても、直流モータの異常判定を、直流モータの駆動開始直後から正確に行うことができるようになり、本発明の効果を有効に発揮することができるようになるのである。
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明が適用された実施形態の充電式インパクトドライバ1の外観を表す斜視図である。
本実施形態の充電式インパクトドライバ1は、左右の半割ハウジング2,3を組み付けることにより形成され、下方にハンドル部4が延設された本体ハウジング5と、本体ハウジング5のハンドル部4の下端に着脱自在に装着されるバッテリパック6と、から構成されている。
また、本体ハウジング5の後方(図1の左側)は、当該充電式インパクトドライバ1の動力源となる直流モータ20(図2参照)を収納するモータ収納部7となっており、モータ収納部7よりも前方には、減速機構及び打撃機構が収納されている。
そして、本体ハウジング5の先端には、打撃機構の先端に工具ビット(図示略)を装着するためのチャックスリーブ8が突設されている。
ここで、打撃機構は、例えば、減速機構を介して回転されるスピンドルと、スピンドルと共に回転し、且つ、軸方向へ移動可能なハンマと、ハンマの前方にあって先端に工具ビットが取り付けられるアンビルと、から構成されるものであり、次のように動作する。
すなわち、打撃機構においては、直流モータ20の回転に伴いスピンドルが回転すると、ハンマを介してアンビルが回転して、工具ビットを回転させ、その後、工具ビットによるねじ締めが進みアンビルへの負荷が高まると、ハンマがコイルばねの付勢力に抗して後退してアンビルから外れ、そこからスピンドルと共に回転しつつコイルばねの付勢力で前進してアンビルに再係合することで、アンビルに間欠的な打撃を加え、増し締めを行う。
なお、この打撃機構については、従来より知られている(例えば、特開2006−218605号公報等、参照)ため、ここでは詳細な説明は省略する。
次に、本体ハウジング5のハンドル部4には、使用者がハンドル部4を握った状態で操作し得るトリガスイッチ10が設けられている。
そして、ハンドル部4内には、バッテリパック6から電源供給を受けて動作し、トリガスイッチ10が操作されているときに直流モータ20を回転させる駆動装置が収納されている。
図2は、この駆動装置の構成を表す電気回路図である。
図2に示すように、本実施形態の直流モータ20は、3相ブラシレスモータにて構成されており、直流モータ20の各相の端子は、ブリッジ回路12を介して、直流電源としてのバッテリパック6に接続されている。
ブリッジ回路12は、直流モータ20の各相の端子とバッテリパック6の正極側とを接続する、所謂ハイサイドスイッチとしての3つのスイッチング素子Q1〜Q3と、同じく直流モータ20の各相の端子とバッテリパック6の負極側とを接続する、所謂ローサイドスイッチとしての3つのスイッチング素子Q4〜Q6とから構成されている。
また、ブリッジ回路12を構成するスイッチング素子Q1〜Q6は、nチャネルのFETにて構成されており、各スイッチング素子Q1〜Q6には、ゲート−ソース間に閾値以上の駆動電圧を印加することで各スイッチング素子Q1〜Q6をオンさせるゲート回路21〜26が接続されている。
このゲート回路21〜26は、ブリッジ回路12内の各スイッチング素子Q1〜Q6を個々にオン/オフさせるためのものであり、本発明の駆動手段に相当する。
そして、各ゲート回路21〜26は、マイクロコンピュータからなる制御回路14により制御される。
すなわち、制御回路14は、トリガスイッチ10が操作されているとき、直流モータ20に設けられた回転位置センサ18からの検出信号に基づき、ゲート回路21〜26を介してブリッジ回路12内の各スイッチング素子Q1〜Q6をオン/オフさせることで、直流モータ20の各相巻線への通電電流を制御し、直流モータ20を回転させるものであり、制御回路14からゲート回路21〜26には、各スイッチング素子Q1〜Q6を駆動するための制御信号が入力される。
また、トリガスイッチ10は、使用者により操作されているとき、その操作量(引き量)に応じた信号を発生するように構成されており、制御回路14は、その信号を指令値として取り込み、トリガスイッチ10の引き量が大きいほど直流モータ20への通電電流量が多くなるよう、ブリッジ回路12の駆動デューティ比を設定する。
つまり、制御回路14は、本発明の制御手段に相当し、トリガスイッチ10からの指令値に応じて直流モータ20をPWM制御するための駆動デューティ比を設定して、この駆動デューティ比に従いブリッジ回路12内のスイッチング素子をデューティ駆動することで、直流モータ20の各相に流れる電流を制御し、直流モータ20をトリガスイッチ10の操作量に対応した速度で回転させる。
以下、このように制御回路14にて実行される制御処理を、図3に示すフローチャートに基づき説明する。
図3に示すように、制御回路14は、まずS110(Sはステップを表す)にて、トリガスイッチ10が使用者により操作されて、ON状態となっているか否かを判断する。
そして、トリガスイッチ10が使用者により操作されるか、或いは、トリガスイッチ10の操作が継続中で、S110にて、トリガスイッチ10がON状態であると判断されると、S120に移行して、トリガスイッチ10から、その操作量(換言すれば引き量)を表す指令値を読み込む。
次に、S130では、トリガスイッチ10が操作されてからの継続時間(トリガスイッチ10のON時間)が、直流モータ20を停止状態から回転状態に移行させるのに必要な起動時間(例えば20ms)を越えたか否かを判断する。
そして、トリガスイッチ10のON時間が起動時間(例えば20ms)を越えていなければ、S140に移行し、直流モータ20の駆動デューティ比として、直流モータ20の回転停止時の保持トルクを脱出し得る起動トルクを発生させるのに要する起動用駆動デューティ比(図では起動用DUTY)を設定して、ゲート回路21〜26に制御信号を出力し、再度S110に移行する。
一方、S130にて、トリガスイッチ10のON時間が起動時間(例えば20ms)を越えていると判断されると、S150に移行して、トリガスイッチ10から読み込んだ指令値(換言すれば引き量)が、起動用DUTYに対応した下限値(換言すれば下限操作量)以上か否かを判断することにより、指令値(トリガスイッチ10の引き量)がPWM制御領域にあるか否かを判断する。
そして、指令値(引き量)が下限値(下限操作量)よりも小さく、PWM制御領域になければ、直流モータ20を、起動用DUTYで制御したときの回転速度よりも低速で回転させるために、指令値(引き量)に対応した比率で直流モータ20への通電/停止を切り換える間欠制御を実行し、再度S110に移行する。なお、この間欠制御で直流モータ20への通電時に用いる駆動デューティ比には、例えば、起動用DUTYが利用される。
次に、S150にて、指令値(引き量)が下限値(下限操作量)以上で、PWM制御領域にあると判断されると、S170に移行して、トリガスイッチ10のON時間は、予め設定された設定時間(例えば30ms)を越えているか否かを判断する。なお、この設定時間(例えば30ms)は、上述の起動時間(例えば20ms)よりも長く、後述の始動時間(例えば40ms)よりも短い時間に設定されている。
そして、トリガスイッチ10のON時間が、設定時間(例えば30ms)を越えていなければ、S180に移行し、直流モータ20の駆動デューティ比(DUTY)として、予め設定された第1の駆動デューティ比(例えば50%)を設定して、ゲート回路21〜26に制御信号を出力し、再度S110に移行する。
また、S170にて、トリガスイッチ10のON時間が、設定時間(例えば30ms)を越えていると判断されると、S190に移行して、トリガスイッチ10のON時間は、予め設定された始動時間(例えば40ms)を越えているか否かを判断する。
そして、トリガスイッチ10のON時間が、始動時間(例えば40ms)を越えていなければ、S200に移行し、直流モータ20の駆動デューティ比(DUTY)として、予め設定された第2の駆動デューティ比(例えば80%)を設定して、ゲート回路21〜26に制御信号を出力し、再度S110に移行する。
一方、S190にて、トリガスイッチ10のON時間が、始動時間(例えば40ms)を越えていると判断されると、S210に移行し、トリガスイッチ10からの指令値に対応した駆動デューティ比(DUTY)を設定して、ゲート回路21〜26に制御信号を出力し、再度S110に移行する。
以上説明したように、本実施形態の充電式インパクトドライバ1においては、図4に示すように、使用者がトリガスイッチ10を操作すると(時点t0)、その後、起動時間(例えば20ms)が経過するまでの間、直流モータ20を予め設定された起動用DUTYでPWM制御することで、直流モータ20に、停止状態から回転状態に移行させるのに必要なトルクを発生させて、直流モータ20を起動する。
そして、その後トリガスイッチ10のON時間が起動時間(例えば20ms)に達すると(時点t1)、その後、トリガスイッチ10のON時間が設定時間(例えば30ms)に達するまで(時点t2)、直流モータ20を第1の駆動デューティ比(例えば50%)でPWM制御する。
また、トリガスイッチ10のON時間が設定時間(例えば30ms)に達すると、その後、トリガスイッチ10のON時間が始動時間(例えば40ms)に達するまで(時点t3)、直流モータ20を第2の駆動デューティ比(例えば80%)でPWM制御する。
この結果、直流モータ20は、トリガスイッチ10が操作されてから、始動時間(例えば40ms)が経過するまでの間、段階的に加速されることになる。
このため、本実施形態の充電式インパクトドライバ1によれば、使用者がトリガスイッチ10を最大操作量で操作したとしても、その操作開始直後から、直流モータ20の駆動デューティ比として最大値(例えば100%)が設定されることはない。
よって、本実施形態の充電式インパクトドライバ1によれば、従来装置に比べて、直流モータ20の駆動開始直後に流れる起動電流を抑制することができる。
またこのように、起動電流を抑制できることから、起動電流の増加に伴い生じる直流電源の電圧低下を防止することもできる。
従って、本実施形態の充電式インパクトドライバ1によれば、制御回路14を、「直流モータ20の駆動開始直後から電源電圧を監視し、電源電圧が予め設定された下限電圧値よりも低くなったときには、直流モータ20が機械的にロックしたと判断して、直流モータ20の駆動を停止する」、といった手順でロック判定処理を実行するよう構成することで、直流モータ20のロック時に、直流モータ20やブリッジ回路12に過大なモータ電流が流れて、これら各部が劣化するのを防止することができる。
また更に、本実施形態の充電式インパクトドライバ1においては、トリガスイッチ10のON時間が始動時間(例えば40ms)を越えると、直流モータ20の駆動デューティ比(DUTY)として、トリガスイッチ10からの指令値に対応した駆動デューティ比が設定される。
このため、始動時間の経過後、直流モータ20は、トリガスイッチ10からの指令値に応じた駆動デューティ比(DUTY)にてPWM制御され、充電式インパクトドライバ1は、使用者からの指令に応じて適正に運転されることになる。
また次に、本実施形態の充電式インパクトドライバ1においては、トリガスイッチ10のON時間が起動時間(例えば20ms)に達したときには、トリガスイッチ10からの指令値がPWM制御領域にあるか否かを判断し、指令値がPWM制御領域にない場合には、直流モータ20への通電を間欠的に行う間欠制御を実行するようにされている。
このため、本実施形態の充電式インパクトドライバ1によれば、トリガスイッチ10の操作量が小さく、直流モータ20を起動用DUTYに対応した回転速度よりも低速で駆動する必要がある場合には、直流モータ20の間欠制御によって、直流モータ20をトリガスイッチ10の操作量に対応した速度に制御することが可能となり、制御可能な回転速度範囲を拡大することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内にて、種々の態様をとることができる。
例えば、上記実施形態では、トリガスイッチ10が操作されてから所定の始動時間(例えば40ms)が経過するまでの間は、図4に示すように、駆動デューティ比(DUTY)を、「起動用DUTY」→「50%」→「80%」と段階的に増加させ、始動時間が経過すると、トリガスイッチ10からの指令値に応じて駆動デューティ比を設定するものとして説明した。
しかし、このようにすると、トリガスイッチ10からの指令値(引き量)によっては、トリガスイッチ10の操作開始後、始動時間が経過するまでの間に、直流モータ20の回転速度が使用者が要求する回転速度よりも高くなって、使用者に違和感を与えることも考えられる。
そこで、制御回路14にて駆動デューティ比を設定するのに実行される制御処理は、図5に示す手順で実行するようにしてもよい。
なお、図5に示すフローチャートは、基本的には図3に示した制御処理と同じであり、異なる点は、S175及びS195の判定処理を追加した点であることから、以下の説明では、この異なる点について説明する。
図5に示す制御処理では、トリガスイッチ10のON時間が、起動時間(例えば20ms)よりも大きく、設定時間(例えば30ms)以下であるとき(S170−YES)には、S175にて、トリガスイッチ10のON時間に対応して設定される駆動デューティ比(第1の駆動デューティ比:DUTY50%)と、トリガスイッチ10からの指令値に応じて設定される駆動デューティ比(第2の駆動デューティ比)とを比較する。
そして、第1の駆動デューティ比(DUTY50%)が第2の駆動デューティ比よりも大きいときには、S210に移行して、第2の駆動デューティ比を制御に用いる駆動デューティ比として設定し、第1の駆動デューティ比(DUTY50%)が第2の駆動デューティ比以下であるときには、S180に移行して、第1の駆動デューティ比(DUTY50%)を制御に用いる駆動デューティ比として設定する。
また、トリガスイッチ10のON時間が、設定時間(例えば30ms)よりも大きく、始動時間(例えば40ms)以下であるとき(S190−YES)には、S195にて、トリガスイッチ10のON時間に対応して設定される駆動デューティ比(第1の駆動デューティ比:DUTY80%)と、トリガスイッチ10からの指令値に応じて設定される駆動デューティ比(第2の駆動デューティ比)とを比較する。
そして、第1の駆動デューティ比(DUTY80%)が第2の駆動デューティ比よりも大きいときには、S210に移行して、第2の駆動デューティ比を制御に用いる駆動デューティ比として設定し、第1の駆動デューティ比(DUTY80%)が第2の駆動デューティ比以下であるときには、S200に移行して、第1の駆動デューティ比(DUTY80%)を制御に用いる駆動デューティ比として設定する。
このように、図5に示す制御処理では、トリガスイッチ10のON時間に応じて設定される第1の駆動デューティ比が、トリガスイッチ10からの指令値(引き量)に応じて設定される第2の駆動デューティ比以下であるときに限って、制御に用いる駆動デューティ比として第1の駆動デューティ比を設定することから、制御に用いる駆動デューティ比が第2の駆動デューティ比よりも大きくなることはない。よって、トリガスイッチ10の操作開始後、始動時間が経過するまでの間に、直流モータ20の回転速度が使用者が要求する回転速度よりも高くなるのを防止できる。
次に、上記実施形態では、直流モータ20の駆動開始後、始動時間(例えば40ms)が経過すると、駆動デューティ比は、トリガスイッチ10からの指令値(引き量)に応じて設定するものとして説明したが、この駆動デューティ比の設定には、単にトリガスイッチ10からの指令値(引き量)だけを用いるようにしてもよく、或いは、トリガスイッチ10からの指令値(引き量)に基づき直流モータ20の目標回転速度を求め、この目標回転速度と実回転速度との偏差に基づき、その偏差が零となるように駆動デューティ比を設定するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、本発明を充電式インパクトドライバに適用した場合について説明したが、本発明は、動力源として直流モータを備えた電動工具であれば、上記実施形態と同様に適用して、同様の効果を得ることができる。
また次に、上記実施形態では、ブリッジ回路12内のスイッチング素子は、全てnチャネルのFETで構成されるものとして説明したが、例えば、ハイサイドスイッチにはpチャネルのFETを使用するようにしてもよく、或いは、各スイッチング素子にバイポーラトランジスタを使用するようにしてもよい。
実施形態の充電式インパクトドライバの構成を表す説明図である。 実施形態の直流モータの駆動装置の構成を表す電気回路図である。 直流モータを駆動するために制御回路にて実行される制御処理を表すフローチャートである。 図3に示す制御処理による駆動デューティ比の設定手順を説明する説明図である。 図3に示す制御処理の変形例を表すフローチャートである。
符号の説明
1…充電式インパクトドライバ、2,3…半割ハウジング、4…ハンドル部、5…本体ハウジング、6…バッテリパック、7…モータ収納部、8…チャックスリーブ、10…トリガスイッチ、12…ブリッジ回路、Q1〜Q6…スイッチング素子、14…制御回路、18…回転位置センサ、20…直流モータ、21〜26…ゲート回路。

Claims (4)

  1. 工具ビットを駆動する直流モータと、
    直流電源から前記直流モータへの通電経路上に設けられた複数のスイッチング素子からなるブリッジ回路と、
    使用者により操作されるトリガスイッチと、
    該トリガスイッチが操作されているとき、前記ブリッジ回路を介して前記直流モータをPWM制御するための駆動デューティ比を設定する制御手段と、
    該制御手段にて設定された駆動デューティ比に従い、前記ブリッジ回路内のスイッチング素子をオン/オフさせて、前記直流モータを回転させる駆動手段と、
    を備え、
    前記制御手段は、
    前記トリガスイッチの操作開始後、所定の始動時間が経過するまでの間は、前記駆動デューティ比を、前記トリガスイッチの操作継続時間に対応した設定値にて段階的に増加させ、
    前記トリガスイッチの操作開始後、前記始動時間が経過すると、前記駆動デューティ比を、前記トリガスイッチの操作量に応じて設定することを特徴とする電動工具。
  2. 前記制御手段は、
    前記トリガスイッチの操作開始後、前記始動時間よりも短い起動時間が経過するまでの間は、前記直流モータを停止状態から回転状態に移行させるのに要する起動用駆動デューティ比を設定し、
    前記トリガスイッチの操作開始後、前記起動時間が経過すると、前記トリガスイッチの操作量が前記起動用駆動デューティ比に対応して予め設定された下限操作量以上であるか否かを判定して、前記トリガスイッチの操作量が前記下限操作量よりも少ないときには、前記駆動手段を介して前記直流モータへの通電を間欠的に行う間欠制御を実行することを特徴とする請求項1に記載の電動工具。
  3. 前記制御手段は、
    前記トリガスイッチの操作開始後、前記始動時間が経過するまでの間は、前記トリガスイッチの操作継続時間に応じて設定した第1の駆動デューティ比が、前記トリガスイッチの操作量に対応した第2の駆動デューティ比よりも大きいか否かを判断し、第1の駆動デューティ比が第2の駆動デューティ比よりも大きいときには、該第2の駆動デューティ比を、前記駆動手段が前記ブリッジ回路の駆動に用いる駆動デューティ比として出力することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電動工具。
  4. 前記制御手段は、
    前記トリガスイッチが操作されているとき、前記直流電源の電源電圧が予め設定された下限電圧値よりも低いか否かを判定し、電源電圧が下限電圧値よりも低いときには、前記直流モータの異常を検出することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の電動工具。
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