JP2009041143A - 不織布用短繊維及び短繊維不織布 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分と、1,6−ヘキサンジオール50モル%以上のジオール成分とからなり、融点(Tm)が100〜150℃であり、結晶核剤を0.01〜5.0質量%含有し、かつDSCより求めた降温結晶化を示すDSC曲線が下記式(1)を満足する共重合ポリエステルからなる短繊維であって、捲縮が付与されており、繊維長が1.0〜30mmであることを特徴とする不織布用短繊維。 b/a≧0.05 (mW/mg・℃) ・・・ (1)
【選択図】図1
Description
すなわち、本発明は、次の(イ)、(ロ)を要旨とするものである。
(イ)テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分と、1,6−ヘキサンジオール50モル%以上のジオール成分とからなり、融点(Tm)が100〜150℃であり、結晶核剤を0.01〜5.0質量%含有し、かつDSCより求めた降温結晶化を示すDSC曲線が下記式(1)を満足する共重合ポリエステルからなる短繊維であって、捲縮が付与されており、繊維長が1.0〜30mmであることを特徴とする不織布用短繊維。
b/a≧0.05 (mW/mg・℃) ・・・ (1)
なお、aは、降温結晶化を示すDSC曲線における傾きが最大である接線とベースラインとの交点の温度A1(℃)と、傾きが最小である接線とベースラインとの交点の温度A2(℃)との差(A1−A2)であり、bは、ピークトップ温度におけるベースラインの熱量B1(mW)とピークトップの熱量B2(mW)との差(B1−B2)を試料量(mg)で割った値である。
(ロ)(イ)記載の不織布用短繊維を10〜90質量%含有するウエブからなり、不織布用短繊維の少なくとも一部が溶融して接着成分を成していることを特徴とする短繊維不織布。
本発明の不織布用短繊維は、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分と、1,6−ヘキサンジオール50モル%以上のジオール成分とからなり、融点(Tm)が100〜150℃である共重合ポリエステル(以下、ポリエステル(A)とする)からなるものであって、中でもポリエステル(A)のみからなることが好ましい。
b/a≧0.05 (mW/mg・℃) (1)
なお、繊維長はJIS L1015 8.4.1A法に基づき測定したものである。
(2)式:0.01T+0.10≦H/L≦0.02T+0.25
Tは単糸繊度のデシテックス(dtex)数
0.1T+3.8≦捲縮数≦0.3T+7.3 ・・・(3)式〔Tは単糸繊度のデシテックス(dtex)数〕
この捲縮数とは、JIS L1015 8.12.1に基づき測定、算出したものである。なお、捲縮数の測定において繊維長が短い場合は、捲縮付与後、カット前の繊維において測定し、繊維長25mmあたりの個数に換算する。
0.8T+0.3≦捲縮率≦1.0T+4.9・・・(4)式〔Tは単糸繊度のデシテックス(dtex)数〕
この捲縮率とは、JIS L1015 8.12.2に基づき測定、算出したものである。なお、捲縮率の測定において繊維長が短くて測定が困難となる場合は、捲縮付与後、カット前の繊維において測定し、繊維長25mmあたりの個数に換算する。
まず、ジカルボン酸成分とジオール成分とをエステル化反応またはエステル交換反応させ、結晶核剤を添加して重縮合反応を行う。重縮合反応においてポリエステルが所定の極限粘度に到達したら、ストランド状に払い出して、冷却、カットすることによりチップ化する。次に、このチップを通常の溶融紡糸装置に供給して溶融紡糸を行う。紡出糸条を冷却固化した後、一旦容器へ収納する。そして、この糸条を集束して1〜100ktex程度の糸条束とし、ローラ間で延伸倍率2〜6倍程度で延伸を施す。続いて100〜120℃で熱処理し、次いで仕上げ油剤を付与後、押込み式クリンパー等で機械捲縮を付与し、目的とする繊維長にカットして不織布用短繊維を得る。なお、(2)〜(4)式を満足する捲縮形態とするには、延伸条件(倍率、温度)及び押込み式クリンパー等の捲縮付与装置での捲縮付与条件(ニップ圧力、スタフィン圧力)を調整することにより可能である。
(a) 無機系微粒子の平均粒径
島津社製粒度分布測定装置(SALD-2000)を用いて、エチレングリコール中の試料の平均粒径の値を測定した。
(b) 無機系微粒子の比表面積
BET法により測定した。
(c)極限粘度〔η〕
フェノールと四塩化エタンとの等質量混合物を溶媒として、試料濃度0.5質量%、温度20℃の条件下で常法に基づき測定した。
(d)融点、DSCより求めた降温結晶化を示すDSC曲線
前記の方法により測定した。
(e)ポリマー組成
得られた不織布用短繊維を重水素化ヘキサフルオロイソプロパノールと重水素化クロロホルムとの容量比1/20の混合溶媒に溶解させ、日本電子社製LA-400型NMR装置にて 1H-NMRを測定し、得られたチャートの各共重合成分のプロトンのピークの積分強度から求めた。
(f)紡糸操業性
紡糸の状況により下記の2段階で評価した。
○:紡糸時の切れ糸回数が1回/トン以下であり、単糸間での溶着がない。
×:紡糸時の切れ糸回数が1回/トンを超えるか、単糸間での溶着が生じている。
(g)不織布用短繊維の乾熱収縮率(%)
前記の方法で測定した。
(h)繊維塊の生成
得られた不織布用短繊維を図3の簡易空気流撹拌試験機を用い繊維塊の生成を評価した。100gの短繊維を解綿機で予備解繊した後、サンプル送り込み用ブロア3から空気流にて撹拌タンク1に投入し、撹拌用ブロア2から20m/秒の空気流を吹き込み、攪拌タンク1内で1分間撹拌する。攪拌後の繊維をサンプリング口5より0.1g採取し、黒色紙の上に広げ、独立した繊維塊の有無を目視にて評価した。
○:繊維塊が生成していない
△:繊維塊が少量生成している
×:繊維塊が多量に生成している
(i)不織布の評価
1.ウエブ収縮率
乾式又は湿式不織布を得る際に得られたウエブから、面積A0(タテ20cm×ヨコ20cm=400cm2)のサンプルを切り取り、ポリエステル(A)の融点をTmとしたとき、このサンプルを(Tm+10)℃に設定した熱風乾燥機中に15分間放置し(熱接着処理を行い)、その後(熱接着処理後)の不織布の面積をA1とし、下式により算出するものである。ウエブ収縮率は10%以下、中でも9.0%以下であることが好ましい。
ウエブ収縮率(%)={(A0−A1)/A0}×100
2.地合(均一性)
得られた不織布表面の地合を目視にて、良好なものを○、不良なものを×として2段階で評価した。
3.柔軟性
得られた不織布を20cm×20cmに切り出してサンプルとし、パネラーによる手触りにより柔軟性に優れているものを○、柔軟性に乏しいものを×として2段階評価した。
エステル化反応缶に、TPAとEGのスラリーを連続的に供給し、温度250℃、圧力0.2MPaの条件で反応させ、滞留時間を8時間として、エステル化反応率95%の反応物を得た。この反応物を重縮合反応缶に移送し、HDを重縮合反応缶に投入し、温度240℃、常圧下で1時間攪拌した。次に、結晶核剤として平均粒径1.0μm、比表面積35m2/gのタルクを含有するEGスラリーを重縮合反応缶に投入した後、反応器内の圧力を徐々に減じ、撹拌しながら重縮合反応を約3時間行い、常法によりストランド状に払出し、チップ化した。
このようにして得られた極限粘度0.95、融点128℃の酸性分としてTPA、グリコール成分としてEG15mol%、HD85mol%からなり、結晶核剤として0.5質量%のタルクを含有する共重合ポリエステルチップを紡糸装置に供給し、紡糸温度220℃、吐出量307g/分、紡糸孔数518、紡糸速度850m/分の条件で紡糸した。次いで、紡出糸条を18℃の冷風で冷却し、引き取って未延伸糸を得た。
この未延伸糸を集束して11万dtexのトウ状にした未延伸繊維に、延伸倍率2.62倍、延伸温度50℃で延伸を行い、この後、ヒートドラム(温度110℃)で熱処理を施した。次いで、押し込み式クリンパーで捲縮付与条件をニップ圧0.39MPa、スタフィン圧0.07MPaとして、捲縮数5.5個/25mm、捲縮率4.0%の捲縮を付与した。その後、仕上げ油剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテルを主成分とする紡績用油剤を0.2質量%の付着量となるように付与した後、切断して単糸繊度2.2dtex、繊維長5mmの短繊維を得た。
得られた短繊維をバインダー繊維とし、次に示す方法で乾式不織布と湿式不織布を作成した。
〔乾式不織布〕
主体繊維として参考例1に示す短繊維を用い、バインダー繊維と主体繊維の質量比(バインダー繊維/主体繊維)70/30として、図4に示す簡易エアレイド試験機を用い、以下のようにして目付50g/m2の乾式不織布を得た。
まず、試料投入ブロア13より投入された主体繊維及びバインダー繊維は、解繊翼回転モータ15により解繊翼回転用スプロケット16を介して回転する、それぞれ5枚1組の第1解繊翼11と第2解繊翼12で解繊され飛散落下させた。落下する短繊維を、下部にあるサクションボックス14で吸引しつつ、矢印方向に移動する集綿コンベア17の上に堆積させウエブを作成し、下流にある熱処理機18にて熱処理を施し(熱処理温度:138℃)、バインダー繊維のほぼ全部を溶融させて接着成分とし、主体繊維同士を接着させて乾式不織布を得た。不織布の目付調整は、集綿コンベア17の移動速度を変化させることで行った。
〔湿式不織布〕
主体繊維として参考例1に示す短繊維を用い、バインダー繊維と主体繊維の質量比(バインダー繊維/主体繊維)70/30として、パルプ離解機(熊谷理機工業製)に投入し、3000rpmにて1分間攪拌した。その後、得られた試料を抄紙機(熊谷理機工業製角型シートマシン)に移し、アルキルホスフェート金属塩を主成分とする分散油剤を添加した後、付帯の撹拌羽根にて撹拌を行い抄紙し、湿式ウエブとした。抄紙した25×25cmの湿式不織布ウエブを箱型熱風乾燥機を用い、温度138℃、5分間熱処理を施し、バインダー繊維のほぼ全部を溶融させて接着成分とし、主体繊維同士を接着させて目付50g/m2の湿式不織布を得た。
結晶核剤のタルクの添加量を変更し、表1に示す含有量とした以外は実施例1と同様にして短繊維を得た。この短繊維をバインダー繊維とし、実施例1と同様にして乾式、湿式不織布を得た。
結晶核剤のタルクを含有しなかった以外は、実施例1と同様にして短繊維を得た。
エステル化反応缶に、TPA、HD、BDを供給し、結晶核剤として平均粒径1.0μm、比表面積35m2/gのタルクを添加し、温度230℃、圧力0.2MPaの条件で3時間撹拌し、エステル化反応を行った後、重縮合反応缶に移送した。そして、反応器内の圧力を徐々に減じ、撹拌しながら重縮合反応を約3時間行い、常法によりストランド状に払出し、チップ化した。
このようにして得られた極限粘度0.98、融点130℃の酸性分としてTPA、グリコール成分として1,4−ブタンジオール(BD)20mol%、HD80mol%からなり、結晶核剤として0.5質量%のタルクを含有する共重合ポリエステルチップを紡糸装置に供給し、紡糸温度220℃、吐出量307g/分、紡糸孔数518、紡糸速度850m/分の条件で紡糸した。次いで、紡出糸条を18℃の冷風で冷却し、引き取って未延伸糸を得た。
この未延伸糸を集束して11万デシテックスのトウ状にした未延伸繊維に、実施例1と同様にして延伸、熱処理を行い、捲縮を付与し、単糸繊度2.2dtex、繊維長5mmの短繊維を得た。
得られた短繊維をバインダー繊維とし、実施例1と同様にして乾式、湿式不織布を得た。
結晶核剤のタルクの添加量を変更し、表1に示す含有量とした以外は、実施例4と同様にして短繊維を得た。得られた短繊維をバインダー繊維とし、実施例4と同様にして乾式、湿式不織布を得た。
結晶核剤のタルクを含有しなかった以外は、実施例4と同様にして短繊維を得た。
HDの供給量を変更して重縮合反応を行い、極限粘度0.85、融点200℃の酸性分としてTPA、グリコール成分としてEG80mol%、HD20mol%からなり、結晶核剤として0.5質量%のタルクを含有する共重合ポリエステルチップを用いた以外は実施例1と同様にして短繊維を得た。得られた短繊維をバインダー繊維とし、実施例1と同様にして乾式、湿式不織布を得た。
融点が256℃、極限粘度0.61のPETを用い、通常の溶融紡糸装置を用い、紡糸温度285℃、吐出量344g/min、紡糸速度950m/minの条件で、ホール数518の丸型断面のノズルで紡出し、未延伸糸を得た。得られた未延伸糸を12.3ktexのトウに集束した後、延伸倍率3.18倍、延伸温度70℃で延伸を行い、押し込み式クリンパーで捲縮付与条件をニップ圧0.32MPa、スタフィン圧0.09MPaとして、捲縮数6.1個/25mm、捲縮率4.8%の捲縮を付与した。その後、仕上げ油剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテルを主成分とする紡績用油剤を0.2質量%の付着量となるように付与した後、切断して単糸繊度2.2dtex、繊維長5mmの短繊維を得た。
押し込み式クリンパーで捲縮を付与する条件を表2に示すように種々変更し、表2に示す捲縮部の形状、捲縮数、捲縮率のものとした以外は、実施例1と同様に行って短繊維を得、さらに、実施例1と同様にして乾式、湿式不織布を得た。
バインダー繊維として実施例1の短繊維を用い、主体繊維として参考例1に示す短繊維を用い、バインダー繊維と主体繊維の質量比(バインダー繊維/主体繊維)を表3に示す値に変更した以外は、実施例1と同様にして乾式不織布を得た。
バインダー繊維として実施例1の短繊維を用い、主体繊維として参考例1に示す短繊維を用い、バインダー繊維と主体繊維の質量比(バインダー繊維/主体繊維)を表4に示す値に変更した以外は、実施例1と同様にして湿式不織布を得た。
Claims (4)
- テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分と、1,6−ヘキサンジオール50モル%以上のジオール成分とからなり、融点(Tm)が100〜150℃であり、結晶核剤を0.01〜5.0質量%含有し、かつDSCより求めた降温結晶化を示すDSC曲線が下記式(1)を満足する共重合ポリエステルからなる短繊維であって、捲縮が付与されており、繊維長が1.0〜30mmであることを特徴とする不織布用短繊維。
b/a≧0.05 (mW/mg・℃) ・・・ (1)
なお、aは、降温結晶化を示すDSC曲線における傾きが最大である接線とベースラインとの交点の温度A1(℃)と、傾きが最小である接線とベースラインとの交点の温度A2(℃)との差(A1−A2)であり、bは、ピークトップ温度におけるベースラインの熱量B1(mW)とピークトップの熱量B2(mW)との差(B1−B2)を試料量(mg)で割った値である。 - 短繊維を構成する単糸に付与されている捲縮形態が捲縮部の最大山部において、山部の頂点と隣接する谷部の底点2点を結んだ三角形の高さ(H)と底辺の長さ(L)の比(H/L)が下記式(2)を満足し、かつ単糸繊度が0.3〜20dtexである請求項1記載の不織布用短繊維。
0.01T+0.10≦H/L≦0.02T+0.25・・・ (2)
Tは単糸繊度のデシテックス(dtex)数 - 短繊維を構成する共重合ポリエステルの融点をTmとしたとき、(Tm−30)℃における乾熱収縮率が7%以下である請求項1〜2いずれかに記載の不織布用短繊維。
- 請求項1〜3いずれかに記載の不織布用短繊維を10〜90質量%含有するウエブからなり、不織布用短繊維の少なくとも一部が溶融して接着成分を成していることを特徴とする短繊維不織布。
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