JP2009024167A - ビニル化合物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 特定の2官能フェニレンエーテルオリゴマーの非プロトン性極性溶媒溶液を、アルカリ金属のアルコキシド存在下、ビニルベンジルハライドを反応させて、特定のビニル化合物を合成する製造方法において、この反応溶液を特定量の酸性物質で酸性化した後、生成した塩を除去して得られた溶液を、特定量のアルカリ金属を含有するアルカリ性物質を添加した後、生成した塩を除去して得られた溶液を、水または水/アルコール混合溶液と混合して固形物を析出させることを特徴とするビニル化合物の製造方法。
【選択図】 なし
Description
さらなる検討を重ねた結果、本発明者等は、上記の手法によって得られた塩を除去した後の酸性溶液に、アルカリ性物質を添加することで加水分解性ハロゲンの含有量を低減できることを見いだし、本発明を完成するに至った。即ち本発明は、一般式(2)で表される2官能フェニレンエーテルオリゴマーの非プロトン性極性溶媒溶液に、
1) ビニルベンジルハライドのモル数に対して過剰のアルカリ金属のアルコキシド存在下、ビニルベンジルハライドを反応させて、一般式(1)で表されるビニル化合物を合成する工程
2) 反応終了後、アルコキシドのアルカリ金属とビニルベンジルハライドのモル数の差(A)に対して1モル倍以上のモル数(B)の酸性物質を加えて、得られた溶液(a)中に析出した塩をろ過により除去する工程
3) 酸性物質の価数を(x)とした時、
C/(xB−A)=0.1〜0.3
となるモル数(C)のアルカリ金属を含有するアルカリ性物質を加えて、得られた溶液(b)中に析出した塩をろ過により除去する工程
4) 得られたろ液を、水または水とアルコールの混合溶液に混合して、一般式(1)で表されるビニル化合物を析出させる工程
を行うことを特徴とする、一般式(1)で表されるビニル化合物の製造方法である。
C/(xB−A)=0.1〜0.3
(xは酸性物質の価数)
で表される範囲である。好ましくはアルカリ金属を含有するアルカリ性物質を加えて、得られた溶液(b)の1重量部に対してトルエン4重量部及び純水4重量部を加え撹拌、静置分離後の水相のpHが5.2〜7.0、より好ましくはpHが5.5〜6.5となる量を添加する。アルカリ金属を含有するアルカリ性物質は酸性物質と反応して塩を生成するので、イオン性不純物となる酸性物質の残存量が極めて少ないビニル化合物を製造することができる。
1)数平均分子量及び重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により求めた。試料のGPC曲線と分子量校正曲線よりデータ処理を行った。分子量校正曲線は、標準ポリスチレンの分子量と溶出時間の関係を次の式に近似して得た。
LogM = A0X3+ A1X2 + A2X + A3 + A4/X2(ここでM:分子量、X:溶出時間−19(分)、A:係数である。
2)2官能フェニレンエーテルオリゴマーの水酸基当量は、フェノール性水酸基をアセチル化した後、未反応のアセチル化試薬由来の酢酸を水酸化ナトリウムで中和滴定し、アセチル化試薬の消費量を定量して求めた。
3)pH測定にはMETTLER TOLEDO製電極Inpro4250SG/225/Pt1000を用いた。
4)ビニル化合物は、1H-NMR分析によりビニルベンジルエーテルのピークにて確認し(図1)、さらにIR分析により2官能フェニレンエーテルオリゴマーのフェノール性水酸基の約3600cm-1のピーク(図2)が、ビニル化合物(図3)では消滅していることを確認した。
5)加水分解性ハロゲン量は、ビニル化合物をジオキサンに溶解し、0.1Nの水酸化カリウムのメタノール溶液を加え、還流状態で15分間加熱攪拌したときに脱離するハロゲン量を硝酸銀水溶液で滴定して定量し、重量分率で表した。
6)溶液の定量分析はガスクロマトグラフィー(GC-14A;島津製作所製(株))、充填剤としてPEG-20M(GLサイエンス(株))を使用した。
7)Naの分析は蛍光X線分析装置RIX3000(理学電機工業(株))を使用した。
8)硬化物の誘電率、誘電正接は空洞共振摂動法により求めた。
攪拌装置、温度計、空気導入管、邪魔板のついた400Lの縦長反応器にCuBr2 28.38g (0.127mol)、N,N'-ジ-t-ブチルエチレンジアミン 21.89g(0.127mol)、n-ブチルジメチルアミン 738.86g(7.30mol)、トルエン 70.50kg、メタノール 2.98kgを仕込み、反応温度42℃にて攪拌を行い、窒素と空気とを混合して酸素濃度8%に調整した混合ガスを139 L/minの流速でバブリングを行いながら、あらかじめ トルエン 18.7kgとメタノール 24.6kgの混合溶媒に溶解させた2,2',3,3',5,5'-ヘキサメチル-(1,1'-ビフェニル)-4,4'-ジオール(以下HMBPと記す) 1,436g(5.31mol)、2,6-ジメチルフェノール 9,740g (79.72mol)、CuBr2 47.43g(0.212mmol)、N,N'-ジ-t-ブチルエチレンジアミン 36.59g (0.212mmol)、n-ブチルジメチルアミン 195.89g(1.94mol)の混合溶液を239分かけて滴下し、攪拌を行った。滴下終了後、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム 774g (1.71mol)を溶解した水 40.5kgを加え、反応を停止した。水層と有機層を分液し、純水で洗浄し、2官能フェニレンエーテルオリゴマーの反応溶液(A) 84.5kgを得た。この2官能フェニレンエーテルオリゴマーの数平均分子量は1,990、重量平均分子量は3,730、水酸基当量が890であった。
攪拌装置、温度計、空気導入管、邪魔板のついた400Lの縦長反応器にCuBr2 27.96g (0.125mol)、N,N'-ジ-t-ブチルエチレンジアミン 32.36g(0.188mol)、n-ブチルジメチルアミン 344.58g(3.41mol)、トルエン 46.10kg、メタノール 23.28kgを仕込み、反応温度42℃にて攪拌を行い、窒素と空気とを混合して酸素濃度8%に調整した混合ガスを139 L/minの流速でバブリングを行いながら、あらかじめ トルエン 30.2kgとメタノール 15.35kgの混合溶媒に溶解させたHMBP 3,592g(13.28mol)、2,6-ジメチルフェノール 8,150g(66.71mol)、CuBr2 36.45g(0.163mmol)、N,N'-ジ-t-ブチルエチレンジアミン 41.80g(0.243mmol)、n-ブチルジメチルアミン 445.81g(4.41mol)の混合溶液を241分かけて滴下し、攪拌を行った。滴下終了後、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム 391.39g (0.865mol)を溶解した水 38.63kgを加え、反応を停止した。水層と有機層を分液し、純水で洗浄し、2官能フェニレンエーテルオリゴマーの反応溶液(B) 73.05kgを得た。この2官能フェニレンエーテルオリゴマーの数平均分子量は980、重量平均分子量は1,650、水酸基当量が440であった。
攪拌装置、温度計、空気導入管、邪魔板のついた12Lの縦長反応器にCuBr2 1.04g (4.66mmol)、N,N'-ジ-t-ブチルエチレンジアミン1.20g(6.98mmol)、n-ブチルジメチルアミン12.74g(125.9mmol)、トルエン 1,700g、メタノール 830gを仕込み、反応温度40℃にて攪拌を行い、あらかじめトルエン 1,630gとメタノール 780gの混合溶媒に溶解させた4,4'-(1-メチルエチリデン)ビス(2,6-ジメチルフェノール) 109.6g(0.385mol)、2,6-ジメチルフェノール 235.5g(1.93mol)、CuBr2 1.30g(5.83mmol)、N,N'-ジ-t-ブチルエチレンジアミン1.51g(8.78mmol)およびn-ブチルジメチルアミン16.03g(158.4mmol)を窒素と空気とを混合して酸素濃度8%に調整した混合ガスを5.2 L/minの流速でバブリングを行いながら240分かけて滴下し、攪拌を行った。滴下終了後、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム14.38g(31.78mmol)を溶解した水1,690gを加え、反応を停止した。水層と有機層を分液し、純水で洗浄し、2官能フェニレンエーテルオリゴマーの反応溶液(C) 3,490gを得た。この2官能フェニレンエーテルオリゴマーの数平均分子量は1,010、重量平均分子量は1,700、水酸基当量は480であった。
攪拌装置、温度計、空気導入管、邪魔板のついた12Lの縦長反応器にCuBr2 1.04g (4.66mmol)、N,N'-ジ-t-ブチルエチレンジアミン1.20g(6.98mmol)、n-ブチルジメチルアミン12.74g(125.9mmol)、トルエン 1,700g、メタノール 830gを仕込み、反応温度40℃にて攪拌を行い、あらかじめトルエン 1,630gとメタノール 780gの混合溶媒に溶解させたHMBP 103.95g(0.385mol)、2,6-ジメチルフェノール 162.12g(1.35mol)、2,3,6-トリメチルフェノール78.74g(0.58mol)、CuBr2 1.30g(5.83mmol)、N,N'-ジ-t-ブチルエチレンジアミン1.51g(8.78mmol)およびn-ブチルジメチルアミン16.03g(158.4mmol)を窒素と空気とを混合して酸素濃度8%に調整した混合ガスを5.2 L/minの流速でバブリングを行いながら240分かけて滴下し、攪拌を行った。滴下終了後、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム14.38g(31.78mmol)を溶解した水1,690gを加え、反応を停止した。水層と有機層を分液し、純水で洗浄し、2官能フェニレンエーテルオリゴマーの反応溶液(D) 3,530gを得た。この2官能フェニレンエーテルオリゴマーの数平均分子量は990、重量平均分子量は1,680、水酸基当量は450であった。
参考例1で得た反応溶液(A) 84.5kgを40℃に加熱しながら、トルエン 64.95kgを減圧下留去し、続いてN,N-ジメチルアセトアミド 75.0kgを加えた後、80℃に加熱しながら再度減圧下留去して、2官能フェニレンエーテルオリゴマーのN,N-ジメチルアセトアミド 77.42wt%、トルエン0.02wt%溶液(A') 47.8kgを得た。次に、攪拌装置、温度計、還流管を備えた反応器に、2官能フェニレンエーテルオリゴマー溶液(A') 442.8g(OH当量で0.112mol)、ビニルベンジルクロライド(p-体:m-体=1:1、商品名CMS-P、セイミケミカル(株)製) 21.3g (0.140mol) 及びN,N-ジメチルアセトアミド 46.0gを仕込み、50℃に加熱攪拌した。反応温度を50℃に保ちながらナトリウムメトキシドのメタノール溶液(濃度:28.2wt%) 26.77g(0.140mol)を滴下し、1時間攪拌した。更にナトリウムメトキシドのメタノール溶液(濃度:28.2wt%) 2.23g(0.012mol)を滴下し、70℃に加熱して1時間攪拌した。その後、リン酸のN,N-ジメチルアセトアミド溶液(濃度:30.0wt%) 4.99g(0.015mol)を加えた。反応液3gを取りトルエン12g及び純水12gを加え撹拌した。静置分離後の水相のpHは4.0であった。生成した塩をろ過操作により除去した。塩のろ過に要した時間は2分であった。塩を除去した酸性溶液にナトリウムメトキシドのメタノール溶液(濃度:28.2wt%) 1.36g(0.0071mol)を滴下した。滴下終了後の溶液3gを取りトルエン12g及び純水12gを加え撹拌した。静置分離後の水相のpHは5.8であった。ここで生成した塩を除去した後の溶液を 454gの水に滴下することで固形化した。ろ過操作により固液分離を行い、得られた固形分を3,600gのメタノールで洗浄後、減圧乾燥して目的とするビニル化合物を106.1g(収率94%)得た。得られたビニル化合物の数平均分子量は2,390、重量平均分子量は3,890、加水分解性ハロゲン量は40ppmであり、未反応のクロロメチルスチレン及び残存Naは検出されなかった。このビニル化合物を150℃で溶融、脱気、成型し、200℃、3時間硬化を行い、硬化物を得た。硬化物の誘電特性の測定結果を表1に示した。
攪拌装置、温度計、還流管を備えた反応器に実施例1で得た2官能フェニレンエーテルオリゴマー溶液(A') 442.9g(OH当量で0.112mol)、ビニルベンジルクロライド(p-体:m-体=1:1、商品名CMS-P、セイミケミカル(株)製) 21.6g(0.142mol)及びN,N-ジメチルアセトアミド 57.0gを仕込み、50℃に加熱攪拌した。反応温度を50℃に保ちながらカリウムメトキシドのメタノール溶液(濃度:28.1wt%) 35.32g(0.142mol)を滴下し、1時間攪拌した後に、カリウムメトキシドのメタノール溶液(濃度:28.1wt%) 2.92g(0.012mol)を滴下し、70℃に加熱して1時間攪拌した。その後、リン酸のN,N-ジメチルアセトアミド溶液(濃度:30.0wt%) 5.02g (0.015mol)を加えた。反応液3gを取りトルエン12g及び純水12gを加え撹拌した。静置分離後の水相のpHは3.5であった。生成した塩をろ過操作により除去した。塩のろ過に要した時間は3分であった。塩を除去した酸性溶液にカリウムメトキシドのメタノール溶液(濃度:28.1wt%) 1.35g(0.0054mol)を滴下した。滴下終了後の溶液3gを取りトルエン12g及び純水12gを加え撹拌した。静置分離後の水相のpHは5.5であった。ここで生成した塩を除去した後の溶液を 450gの水に滴下することで固形化した。ろ過操作により固液分離を行い、得られた固形分を3,600gのメタノール及び1,000gの純水で洗浄した後、減圧乾燥して目的とするビニル化合物を105.0g(収率93%)得た。得られたビニル化合物の数平均分子量は2,360、重量平均分子量は3,860、加水分解性ハロゲン量は30ppmであり、未反応のクロロメチルスチレン及び残存Naは検出さなかった。このビニル化合物を150℃で溶融、脱気、成型し、200℃、3時間硬化を行い、硬化物を得た。硬化物の誘電特性の測定結果を表1に示した。
参考例2で得た反応溶液(B)1,640gを40℃に加熱しながら、トルエン 1,120gを減圧下留去し、続いてN,N-ジメチルアセトアミド 1,240gを加えた後、80℃に加熱しながら再度減圧下留去して、2官能フェニレンエーテルオリゴマーのN,N-ジメチルアセトアミド 75.0wt%、トルエン0.22wt%溶液(B') 991gを得た。次に、攪拌装置、温度計、還流管を備えた反応器に、2官能フェニレンエーテルオリゴマー溶液(B') 400.0g(OH当量で0.224mol)、ビニルベンジルクロライド(p-体:m-体=1:1、商品名CMS-P、セイミケミカル(株)製) 41.8g (0.274mol) 及びN,N-ジメチルアセトアミド 100.0gを仕込み、50℃に加熱攪拌した。反応温度を50℃に保ちながらナトリウムメトキシドのメタノール溶液(濃度:28.3wt%) 52.33g(0.274mol)を滴下し、1時間攪拌した。更にナトリウムメトキシドのメタノール溶液(濃度:28.3wt%) 4.77g(0.025mol)を滴下し、60℃に加熱して1時間攪拌した。その後、リン酸のN,N-ジメチルアセトアミド溶液(濃度:30.0wt%) 9.78g(0.030mol)を加えた。反応液3gを取りトルエン12g及び純水12gを加え撹拌した。静置分離後の水相のpHは4.6であった。生成した塩をろ過操作により除去した。塩のろ過に要した時間は1分であった。塩を除去した酸性溶液にナトリウムメトキシドのメタノール溶液(濃度:28.3wt%) 2.04g(0.011mol)を滴下した。滴下終了後の溶液3gを取りトルエン12g及び純水12gを加え撹拌した。静置分離後の水相のpHは5.7であった。ここで生成した塩を除去した後の溶液を 452gの水に滴下することで固形化した。ろ過操作により固液分離を行い、得られた固形分を2,400gのメタノール及び1,000gの純水で洗浄した後、減圧乾燥して目的とするビニル化合物を116.3g(収率92%)得た。得られたビニル化合物の数平均分子量は1,240、重量平均分子量は1,780、加水分解性ハロゲン量は40ppmであり、未反応のクロロメチルスチレン及び残存Naは検出されなかった。このビニル化合物を150℃で溶融、脱気、成型し、200℃、3時間硬化を行い、硬化物を得た。硬化物の誘電特性の測定結果を表1に示した。
攪拌装置、温度計、還流管を備えた反応器に実施例3で得た2官能フェニレンエーテルオリゴマー溶液(B') 400.0g(OH当量で0.224mol)、ビニルベンジルクロライド(p-体:m-体=1:1、商品名CMS-P、セイミケミカル(株)製) 41.8g (0.274mol) 及びN,N-ジメチルアセトアミド 100.0gを仕込み、50℃に加熱攪拌した。反応温度を50℃に保ちながらナトリウムメトキシドのメタノール溶液(濃度:28.3wt%) 52.34g(0.274mol)を滴下し、1時間攪拌した。更にナトリウムメトキシドのメタノール溶液(濃度:28.3wt%) 4.76g(0.025mol)を滴下し、60℃に加熱して1時間攪拌した。その後、リン酸のN,N-ジメチルアセトアミド溶液(濃度:29.7wt%) 9.87g(0.030mol)を加えた。反応液3gを取りトルエン12g及び純水12gを加え撹拌した。静置分離後の水相のpHは4.4であった。生成した塩をろ過操作により除去した。塩のろ過に要した時間は2分であった。塩を除去した酸性溶液にナトリウムメトキシドのメタノール溶液(濃度:28.3wt%) 2.19g(0.012mol)を滴下した。滴下終了後の溶液3gを取りトルエン12g及び純水12gを加え撹拌した。静置分離後の水相のpHは5.9であった。ここで生成した塩を除去した後の溶液を 230gの水と230gのメタノールの混合溶液に滴下することで固形化した。ろ過操作により固液分離を行い、得られた固形分を2,400gのメタノール及び1,000gの純水で洗浄した後、減圧乾燥して目的とするビニル化合物を113.7g(収率90%)得た。得られたビニル化合物の数平均分子量は1,270、重量平均分子量は1,820、加水分解性ハロゲン量は40ppmであり、未反応のクロロメチルスチレン及び残存Naは検出されなかった。このビニル化合物を150℃で溶融、脱気、成型し、200℃、3時間硬化を行い、硬化物を得た。硬化物の誘電特性の測定結果を表1に示した。
参考例3で得た反応溶液(C) 766gを40℃に加熱しながら、トルエン 564gを減圧下留去し、続いてN,N-ジメチルホルムアミド 605gを加えた後、80℃に加熱しながら再度減圧下留去して、2官能フェニレンエーテルオリゴマーのN,N-ジメチルホルムアミド 75.0wt%、トルエン0.30wt%溶液(C') 484gを得た。次に、攪拌装置、温度計、還流管を備えた反応器に、2官能フェニレンエーテルオリゴマー溶液(C') 400.0g(OH当量で0.208mol)、ビニルベンジルクロライド(p-体:m-体=1:1、商品名CMS-P、セイミケミカル(株)製) 36.7g (0.241mol) 及びN,N-ジメチルホルムアミド 100gを仕込み、50℃に加熱攪拌した。反応温度を50℃に保ちながらナトリウムエトキシドのエタノール溶液(濃度:28.2wt%) 58.04g(0.241mol)を滴下し、1時間攪拌した。更にナトリウムエトキシドのエタノール溶液(濃度:28.2wt%) 5.28g(0.022mol)を滴下し、60℃に加熱して1時間攪拌した。その後、リン酸のN,N-ジメチルホルムアミド溶液(濃度:30.0wt%) 8.57g(0.026mol)を加えた。反応液3gを取りトルエン12g及び純水12gを加え撹拌した。静置分離後の水相のpHは4.8であった。生成した塩をろ過操作により除去した。塩のろ過に要した時間は2分であった。塩を除去した酸性溶液にナトリウムエトキシドのエタノール溶液(濃度:28.2wt%) 2.63g(0.011mol)を滴下した。滴下終了後の溶液3gを取りトルエン12g及び純水12gを加え撹拌した。静置分離後の水相のpHは6.1であった。ここで生成した塩を除去した後の溶液を450gの水に滴下することで固形化した。ろ過操作により固液分離を行い、得られた固形分を2,400gのメタノール及び1,000gの純水で洗浄した後、減圧乾燥して目的とするビニル化合物を112.9g(収率92%)得た。得られたビニル化合物の数平均分子量は1,210、重量平均分子量は1,810、加水分解性ハロゲン量は50ppmであり、未反応のクロロメチルスチレン及び残存Naは検出されなかった。このビニル化合物を150℃で溶融、脱気、成型し、200℃、3時間硬化を行い、硬化物を得た。硬化物の誘電特性の測定結果を表1に示した。
参考例4で得た反応溶液(D) 1,026gを40℃に加熱しながら、トルエン 750gを減圧下留去し、続いてN-メチル-2-ピロリドン 550gを加えた後、80℃に加熱しながら再度減圧下留去して、2官能フェニレンエーテルオリゴマーのN-メチル-2-ピロリドン 79.2wt%、トルエン0.10wt%溶液(D') 480gを得た。次に、攪拌装置、温度計、還流管を備えた反応器に、2官能フェニレンエーテルオリゴマー溶液(D') 480.0g(OH当量で0.222mol)、ビニルベンジルクロライド(p-体:m-体=1:1、商品名CMS-P、セイミケミカル(株)製) 37.2g (0.244mol)を仕込み、50℃に加熱攪拌した。反応温度を50℃に保ちながらナトリウムメトキシドのメタノール溶液(濃度:28.2wt%) 46.72g(0.244mol)を滴下し、1時間攪拌した。更にナトリウムメトキシドのメタノール溶液(濃度:28.2wt%) 1.60g(0.023mol)を滴下し、60℃に加熱して1時間攪拌した。その後、リン酸のN-メチル-2-ピロリドン溶液(濃度:30.0wt%) 8.57g(0.026mol)を加えた。反応液3gを取りトルエン12g及び純水12gを加え撹拌した。静置分離後の水相のpHは4.9であった。生成した塩をろ過操作により除去した。塩のろ過に要した時間は2分であった。塩を除去した酸性溶液にナトリウムメトキシドのメタノール溶液(濃度:28.2wt%) 2.63g(0.011mol)を滴下した。滴下終了後の溶液3gを取りトルエン12g及び純水12gを加え撹拌した。静置分離後の水相のpHは6.3であった。ここで生成した塩を除去した後の溶液を450gの水に滴下することで固形化した。ろ過操作により固液分離を行い、得られた固形分を2,400gのメタノール及び1,000gの純水で洗浄した後、減圧乾燥して目的とするビニル化合物116.0g(収率94%)を得た。得られたビニル化合物の数平均分子量は1,280、重量平均分子量は1,860、加水分解性ハロゲン量は50ppmであり、未反応のクロロメチルスチレン及び残存Naは検出されなかった。このビニル化合物を150℃で溶融、脱気、成型し、200℃、3時間硬化を行い、硬化物を得た。硬化物の誘電特性の測定結果を表1に示した。
参考例2で得た反応溶液(B)をエバポレイターで濃縮した後、130℃にて真空乾燥を実施し、粉末の2官能フェニレンエーテルオリゴマー(B'')を得た。次に、攪拌装置、温度計、還流管を備えた反応器に、得られた粉末の2官能フェニレンエーテルオリゴマー(B'') 100.0g(OH当量で0.227mol)、及びN,N-ジメチルアセトアミド400.0gを仕込み溶液とした後、ビニルベンジルクロライド(p-体:m-体=1:1、商品名CMS-P、セイミケミカル(株)製) 39.90g (0.261mol) を仕込み、50℃に加熱攪拌した。反応温度を50℃に保ちながらナトリウムメトキシドのメタノール溶液(濃度:28.1wt%) 50.24g(0.261mol)を滴下し、1時間攪拌した。更にナトリウムメトキシドのメタノール溶液(濃度:28.1wt%) 4.57g(0.024mol)を滴下し、60℃に加熱して1時間攪拌した。その後、リン酸のN,N-ジメチルアセトアミド溶液(濃度:30.0wt%) 9.31g(0.029mol)を加えた。反応液3gを取りトルエン12g及び純水12gを加え撹拌した。静置分離後の水相のpHは4.7であった。生成した塩をろ過操作により除去した。塩のろ過に要した時間は1分であった。塩を除去した酸性溶液にナトリウムメトキシドのメタノール溶液(濃度:28.1wt%) 1.61g(0.0084mol)を滴下した。滴下終了後の溶液3gを取りトルエン12g及び純水12gを加え撹拌した。静置分離後の水相のpHは5.9であった。ここで生成した塩を除去した後の溶液を 452gの水に滴下することで固形化した。ろ過操作により固液分離を行い、得られた固形分を2,400gのメタノール及び1,000gの純水で洗浄した後、減圧乾燥して目的とするビニル化合物を116.2g(収率92%)得た。得られたビニル化合物の数平均分子量は1,230、重量平均分子量は1,770、加水分解性ハロゲン量は20ppmであり、未反応のクロロメチルスチレン及び残存Naは検出されなかった。このビニル化合物を150℃で溶融、脱気、成型し、200℃、3時間硬化を行い、硬化物を得た。硬化物の誘電特性の測定結果を表1に示した。
攪拌装置、温度計、還流管を備えた反応器に実施例1で得た2官能フェニレンエーテルオリゴマー溶液(A') 442.9g(OH当量で0.112mol)、ビニルベンジルクロライド(p-体:m-体=1:1、商品名CMS-P、セイミケミカル(株)製) 21.6g(0.141mol) 及びN,N-ジメチルアセトアミド58.0gを仕込み、50℃に加熱攪拌した。反応温度を50℃に保ちながらナトリウムメトキシドのメタノール溶液(濃度:28.2wt%) 27.10g(0.142mol)を滴下し、1時間攪拌した。更にナトリウムメトキシドのメタノール溶液(濃度:28.2wt%) 6.76g(0.035mol)を滴下し、70℃に加熱して3時間攪拌した。その後、リン酸のN,N-ジメチルアセトアミド溶液(濃度:30.0wt%) 10.49g (0.032mol)を加えた。反応液3gを取りトルエン12g及び純水12gを加え撹拌した。静置分離後の水相のpHは5.2であった。生成した塩をろ過操作により除去したが、ろ過終了までに80分を要した。この後、反応液を450gの水に滴下することで固形化した。ろ過操作により固液分離を行った後3,600gのメタノールで洗浄し、減圧乾燥して目的とするビニル化合物を87.3g(収率87%)得た。得られたビニル化合物の数平均分子量は2,330、重量平均分子量は3,740、加水分解性ハロゲン量は60ppmであり、未反応のクロロメチルスチレン及び残存Naは検出されなかった。このビニル化合物を150℃で溶融、脱気、成型し、200℃、3時間硬化を行い、硬化物を得た。硬化物の誘電特性の測定結果を表1に示した。
攪拌装置、温度計、還流管を備えた反応器に実施例3で得た2官能フェニレンエーテルオリゴマー溶液(B') 420.0g(OH当量で0.237mol)、ビニルベンジルクロライド(p-体:m-体=1:1、商品名CMS-P、セイミケミカル(株)製) 41.4g(0.271mol)及びN,N-ジメチルアセトアミド 80gを仕込み、50℃に加熱攪拌した。反応温度を50℃に保ちながらナトリウムメトキシドのメタノール溶液(濃度:28.2wt%) 51.89g(0.271mol)を滴下し、1時間攪拌した。更にナトリウムメトキシドのメタノール溶液(濃度:28.2wt%) 8.74g(0.025mol)を滴下し、60℃に加熱して1時間攪拌した。その後、リン酸のN,N-ジメチルアセトアミド溶液(濃度:30.0wt%) 10.80g (0.033mol)を加えた。反応液3gを取りトルエン12g及び純水12gを加え撹拌した。静置分離後の水相のpHは4.2であった。生成した塩をろ過操作により除去した。塩のろ過に要した時間は4分であった。塩を除去した酸性溶液を 450gの水に滴下することで固形化した。ろ過操作により固液分離を行った後2,400gのメタノール及び1,000gの純水で洗浄し、減圧乾燥して目的とするビニル化合物を115.7g(収率88%)得た。得られたビニル化合物の数平均分子量は1,270、重量平均分子量は1,820、加水分解性ハロゲン量は210ppmであり、未反応のクロロメチルスチレン及び残存Naは検出されなかった。このビニル化合物を150℃で溶融、脱気、成型し、200℃、3時間硬化を行い、硬化物を得た。硬化物の誘電特性の測定結果を表1に示した。
攪拌装置、温度計、還流管を備えた反応器に実施例1と同様にして得た2官能フェニレンエーテルオリゴマー溶液(A') 443.2g(OH当量で0.112mol)、ビニルベンジルクロライド(p-体:m-体=1:1、商品名CMS-P、セイミケミカル(株)製) 21.4g(0.140mol) 及びN,N-ジメチルアセトアミド 40gを仕込み、50℃に加熱攪拌した。反応温度を50℃に保ちながらナトリウムメトキシドのメタノール溶液(濃度:28.2wt%) 26.8g(0.140mol)を滴下し、1時間攪拌した。更にナトリウムメトキシドのメタノール溶液(濃度:28.2wt%) 2.23g(0.012mol)を滴下し、70℃に加熱して1時間攪拌した。その後、リン酸のN,N-ジメチルアセトアミド溶液(濃度:29.5wt%) 5.09g (0.015mol)を加えた。反応液3gを取りトルエン12g及び純水12gを加え撹拌した。静置分離後の水相のpHは4.1であった。生成した塩をろ過操作により除去した。塩のろ過に要した時間は2分であった。塩を除去した酸性溶液にナトリウムメトキシドのメタノール溶液(濃度:28.2wt%) 2.46g(0.013mol)を滴下した。滴下終了後の溶液3gを取りトルエン12g及び純水12gを加え撹拌した。静置分離後の水相のpHは7.2であった。ここで生成した塩を除去した後の溶液を 480gの水に滴下することで固形化した。ろ過操作により固液分離を行い、得られた固形分を3,600gのメタノールおよび1,000gの純水で洗浄後、減圧乾燥して目的とするビニル化合物を104.0g(収率92%)得た。得られたビニル化合物の数平均分子量は2,340、重量平均分子量は3,800、加水分解性ハロゲン量は30ppmであり、未反応のクロロメチルスチレンは検出されなかったが、残存Naが80ppm検出された。このビニル化合物を150℃で溶融、脱気、成型し、200℃、3時間硬化を行い、硬化物を得た。硬化物の誘電特性の測定結果を表1に示した。
Claims (10)
- 一般式(2)で表される2官能フェニレンエーテルオリゴマーの非プロトン性極性溶媒溶液に、
1) ビニルベンジルハライドのモル数に対して過剰のアルカリ金属のアルコキシド存在下、ビニルベンジルハライドを反応させて、一般式(1)で表されるビニル化合物を合成する工程
2) 反応終了後、アルコキシドのアルカリ金属とビニルベンジルハライドのモル数の差(A)に対して1モル倍以上のモル数(B)の酸性物質を加えて、得られた溶液(a)中に析出した塩をろ過により除去する工程
3) 酸性物質の価数を(x)とした時、
C/(xB−A)=0.1〜0.3
となるモル数(C)のアルカリ金属を含有するアルカリ性物質を加えて、得られた溶液(b)中に析出した塩をろ過により除去する工程
4) 得られたろ液を、水または水とアルコールの混合溶液に混合して、一般式(1)で表されるビニル化合物を析出させる工程
を行うことを特徴とする、一般式(1)で表されるビニル化合物の製造方法。
- 溶液(a)の1重量部に対してトルエン4重量部及び純水4重量部を加え撹拌、静置分離後の水相のpHが3.0以上5.0以下であることを特徴とする請求項1記載のビニル化合物の製造方法。
- 溶液(b)の1重量部に対してトルエン4重量部及び純水4重量部を加え撹拌、静置分離後の水相のpHが5.2以上7.0以下であることを特徴とする請求項1記載のビニル化合物の製造方法。
- 非プロトン性極性溶媒が、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドおよびN-メチル-2-ピロリドンからなる群から選択された1種または2種以上である請求項1記載のビニル化合物の製造方法。
- ビニルベンジルハライドが、o-ビニルベンジルクロライド、m-ビニルベンジルクロライド、p-ビニルベンジルクロライド、o-ビニルベンジルブロマイド、m-ビニルベンジルブロマイドおよびp-ビニルベンジルブロマイドからなる群から選択された1種または2種以上である請求項1記載のビニル化合物の製造方法。
- アルカリ金属のアルコキシドが、リチウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、リチウムエトキシド、ナトリウムエトキシドおよびカリウムエトキシドからなる群から選択された1種または2種以上である請求項1記載のビニル化合物の製造方法。
- 酸性物質が、リン酸、硫酸、塩酸、芳香族スルホン酸および芳香族カルボン酸からなる群から選択された1種または2種以上である請求項1記載のビニル化合物の製造方法。
- アルカリ金属を含有するアルカリ性物質がリチウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、リチウムエトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムからなる群から選択された1種または2種以上である請求項1記載のビニル化合物の製造方法。
- アルコールが、メタノール、エタノール、プロパノールおよびイソプロパノールからなる群から選択された1種または2種以上である請求項1記載のビニル化合物の製造方法。
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