JP2840372B2 - ヒドロキシアリールアミン化合物の製造方法 - Google Patents

ヒドロキシアリールアミン化合物の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、ポリカーボネート(PC)等の縮重合系コポ
リマーあるいはホモポリマーのモノマーとして、あるい
は単分子自体で利用可能なCTM(Charge transfer mater
ial)であり、電子写真感光体材料等として有用なヒド
ロキシアリールアミン化合物をアルコキシアリールアミ
ン化合物から高収率で効率よく製造する方法に関する。
〔従来の技術〕 ポリカーボネート(PC)等の縮重合系ポリマー(コポ
リマーあるいはホモポリマー)のモノマーとして、ある
いは単分子自体で利用可能なCTM(Charge transfer mat
erial)であり、電子写真感光体材料等として有用なヒ
ドロキシアリールアミン化合物(一般式〔II〕で表され
る化合物のうちのいくつかの化合物)の合成法として、
特開平1−105260号公報、同1−19049号公報、特開昭6
4−9964号公報、特開昭64−1728号公報等には、対応す
るメトキシアリールアミン化合物にトリメチルシリルク
ロリド[(CH33SiCl]を作用させて脱メチル化し、ヒ
ドロキシ体とする方法が開示されている。
しかしながら、これら従来の方法においては、トリメ
チルシリルクロリドによる脱メチル化反応に長時間(通
常、6〜10時間)を要する上に、反応粗生成物が灰黒色
に着色しており、このため再結晶による精製を行う前に
フロリジル等の吸着剤により粗生成物を脱色しなければ
ならず、収率が低い(70%程度が限界)という問題点が
ある。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は、前記の事情を鑑みてなされたものである。
本発明の目的は、短時間の反応で、しかも着色の少な
いヒドロキシアリールアミン化合物(一般式〔II〕で表
される化合物)を、対応するアルコキシアリールアミン
化合物(一般式〔I〕で表される化合物)から高収率で
効率よく合成することができる実用上著しく有利なヒド
ロキシアリールアミン化合物の製造方法を提供すること
にある。
〔課題を解決するための手段〕 本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意研究を重ね
た結果、脱アルキル化剤としてアルキルメルカプトアル
カリ金属塩という特定の化合物を用いることにより、短
時間(例えば、2時間程度)の反応で、しかも着色の少
ないヒドロキシアリールアミン化合物を、対応するアル
コキシアリールアミン化合物から高収率で効率よく合成
することができることを見出し、この知見に基づいて本
発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、次の一般式 〔ただし、式〔I〕中のR1及びR2は各々独立に、炭素数
1〜4のアルキル基であり、R3及びR4は各々独立に、水
素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4の
アルコキシル基であり、nは0又は1であり、p及びt
は各々独立に1〜5の整数でありX1は、 (ただし、R5は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又
は炭素数1〜4のアルコキシル基であり、sは1〜4の
整数であり、R6及びR7は各々独立に、水素原子、炭素数
1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシル基
であり、k及びjは各々独立に、1〜4の整数であり、
Yは−O−、−S−、−CH2−、−C(CH3−、 であり、mは0、1又は2であり、R8は水素原子、炭素
数1〜4のアルキル基又はアリール基である。)であ
る。〕、 で表されるアルコキシアリールアミン化合物に、アルキ
ルメルカプトアルカリ金属塩を反応させ、次いで酸処理
することを特徴とする次の一般式 〔ただし、式〔II〕中の、R9は、前記式〔I〕中のR3
はヒドロキシル基であり、R10は前記式〔I〕中のR4
はヒドロキシル基であり、n、p及びtは、それぞれ、
前記式〔I〕中のものと同様の意味を表し、X2(ただし、R11は前記式〔I〕中のR5又はヒドロキシル
基であり、sは前記〔I〕中のものと同様の意味を表
し、R12は前記式〔I〕中のR6又はヒドロキシル基であ
り、R13は前記式〔I〕中のR7又はヒドロキシル基であ
り、k、j、Y及びmは、それぞれ、前記式〔I〕中の
ものと同様の意味を表し、R14は前記式〔I〕中のR8
ある。〕 で表されるヒドロキシアリールアミン化合物の製造方法
を提供するものである。
本発明の方法においては、反応原料として前記一般式
〔I〕で表される化合物(アルコキシアリールアミン化
合物)を使用する。
前記一般式〔I〕で表される化合物において、R1及び
R2は各々独立に、炭素数1〜4のアルキル基を表すが、
このアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル
基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチ
ル基、sec−ブチル基及びtert−ブチル基を挙げること
ができる。
これらの中でも、メチル基、エチル基等が好ましく、
特に、メチル基が好ましい。
前記一般式〔I〕で表される化合物において、R3及び
R4は各々独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基
又は炭素数1〜4のアルコキシル基を表すが、このアル
キル基としては、前記例示の各種のアルキル基を挙げる
ことができ、また、そのアルコキシル基としては、メト
キシル基、エトキシル基、プロポキシル基、イソプロポ
キシル基及び各種のブトキシル基を挙げることができ
る。
R3、R4としては、前記例示の各種の基の中でも、通
常、水素原子又はメチル基が好ましい。
なお、R3又はR4がアルコキシル基の場合には、これら
のアルコキシル基は本発明の方法における脱アルキル化
反応により水酸基に変えることもできる。
前記一般式〔I〕で表される化合物において、p及び
tは各々独立に、1〜5の整数を表すが、通常は1が好
ましい。
前記一般式〔I〕で表される化合物において、X1は前
記各種の2価の基を表すが、このそれぞれのX1で表され
る基において、R5は水素原子、炭素数1〜4のアルキル
基又は炭素数1〜4のアルコキシル基を表し、R6及びR7
は各々独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又
は炭素数1〜4のアルコキシル基を表し、R8は水素原
子、炭素数1〜4のアルキル基又はアリール基を表す。
これらのR5〜R8におけるアルキル基としては、前記例
示の各種のアルキル基を挙げることができる。これらの
アルキル基の中でも、メチル基等の低級アルキル基が好
ましい。
また、前記R5〜R7におけるアルコキシル基としては、
前記例示の各種のアルコキシル基を挙げることができ
る。
なお、R5、R6又はR7がアルコキシル基の場合には、こ
れらのアルコキシル基は本発明の方法における脱アルキ
ル化反応により水酸基に変えることもできる。
R5、R6、R7としては、前記各種の基の中でも、特に、
水素原子又はメチル基が好ましい。
また、R8におけるアリール基としては、例えば、フェ
ニル基、メチルフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基
等の炭化水素6〜12程度のアリール基を挙げることがで
きる。これらの中でも、特にフェニル基等が好ましい。
前記mは、0、1又は2であるが、Yが−CH2−又は
フェニレン基以外の場合には0又は1が好ましい。な
お、mが0の場合、−(Y)−は単結合に相当する。
前記一般式〔I〕で表される化合物(すなわち、アル
コキシアリールアミン化合物)の具体例としては、前記
各種の基の種類及び数に応じて各種のアルコキシアリー
ルアミン化合物を挙げることができるが、中でも特に好
ましいものの具体例としては、例えば、次の各式で表さ
れる各種の化合物 などを例示することができる。
なお、式〔I a〕〜〔I f〕等の式〔I〕で表される化
合物において、R1O−及び−OR2が共に−N−に対してパ
ラ位又はメタ位にあるものは、それらの生成物が特に有
用となる場合が多いなどの点から反応原料として好適に
使用される。
また、同様の点から 間にあるフェニレン基が1,4−フェニレン型のものであ
るものが好ましい。
本発明の方法において反応原料として使用する前記ア
ルコキシアリールアミン化合物は、1種類単独で使用し
てもよく、2種以上を混合物等として併用してもよい。
本発明の方法においては、前記アルコキシアリールア
ミン化合物にアルキルメルカプトアルカリ金属塩を反応
させ、次いで酸処理して、反応原料であるアルコキシア
リールアミン化合物に対応するヒドロキシ体である前記
一般式〔II〕で表される化合物(すなわち、目的生成物
であるヒドロキシアリールアミン化合物)を合成する。
前記反応に供するアルキルメルカプトアルカリ金属塩
としては、次の一般式 R−SM 〔III〕 〔ただし、式〔III〕中のRはアルキル基を表し、Mは
アルカリ金属を表す。〕 で表される化合物を使用することができる。
Rとしては、通常、炭素数が1〜10程度のものが好適
である。
このRの具体例としては、例えば、前記例示の各種の
炭素数1〜4のアルキル基及びペンチル基、ヘキシル
基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の
直鎖状又は分岐状の脂肪族系アルキル基、シクロペンチ
ル、シクロヘキシル基等の脂環式アルキル基、シクロヘ
キシルメチル基等の置換アルキル基などを挙げることが
できる。
これらの中でも、前記例示の炭素数1〜4のアルキル
基、とりわけエチル基が好ましい。
前記Mとしてのアルカリ金属の具体例としては、リチ
ウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム及びセシウム
を挙げることができる。これらの中でも、リチウム、ナ
トリウム及びカリウム、とりわけナトリウムが好まし
い。
前記アルキルメルカプトアルカリ金属塩の具体例とし
ては、前記R及びMの種類及び組み合わせによって各種
のものがあるが、このうち好ましいものとしては、メチ
ルチオリチウム(CH3SLi)、エチルチオリチウム、プロ
ピルチオリチウム、イソプロピルチオリチウム、ブチル
チオリチウム、イソブチルチオリチウム、sec−ブチル
チオリオチウム、tert−ブチルチオリチウム、メチルチ
オナトリウム、エチルチオナトリウム、プロピルチオナ
トリウム、イソプロピルチオナトリウム、ブチルチオナ
トリウム、イソブチルチオナトリウム、sec−ブチルチ
オナトリウム、tert−ブチルチオナトリウム、メチルチ
オカリウム、エチルチオカリウム、プロピルチオカリウ
ム、イソプロピルチオカリウム、ブチルチオカリウム、
イソブチルチオカリウム、sec−ブチルチオカリウム及
びtert−ブチルチオカリウムを挙げることができる。好
ましくはエチルチオナトリウムが用いられる。
なお、これらのアルキルメルカプトアルカリ金属塩
は、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合物等と
して併用してもよい。
前記アルコキシアリールアミン化合物とアルキルメル
カプトアルカリ金属塩の反応は、通常、適当な溶媒中で
行うことが好ましい。
この溶媒としては、例えば、DMF、DMSO、HMPA、ニト
ロベンゼン等の比較的高沸点の極性溶媒を好適に使用す
ることができ、中でも特に、DMF等が好ましい。
なお、これらは、1種単独溶媒として使用してもよ
く、2種以上の成分からなる混合溶媒等として併用して
もよい。
前記反応に供するアルキルメルカプトアルカリ金属塩
の使用量は、反応に供するアルコキシアリールアミン化
合物の脱アルキル化されるアルコキシル基(少なくと
も、前記R1O−及び−OR2)1当量あたり、通常、1〜10
当量、好ましくは1.5〜5当量とするのが適当である。
前記反応温度としては、通常、50〜250℃、好ましく
は120〜170℃の範囲とするのが適当である。
反応時間は、通常、0.5〜10時間、好ましくは2〜5
時間である。
このようにアルコキシアリールアミン化合物とアルキ
ルメルカプトアルカリ金属塩を反応させることにより、
原料化合物のアルコキシル基(すなわち、目的生成物中
のヒドロキシル基)が−OM(ただし、Mはアルカリ金属
を表す。)の状態に変化した化合物すなわち目的とする
ヒドロキシアリールアミン化合物のアルカリ金属塩が得
られる。
このアルカリ金属塩を酸で処理することにより、−OM
を−OHに変えて目的とするヒドロキシアリールアミン化
合物を得る。
この酸処理に使用する酸としては、前記−OMと−OHに
変えることができるものであれば特に制限はなく、例え
ば、塩酸、硫酸等の無機酸あるいはスルホン酸等の有機
酸あるいはそれらの混合物などを挙げることができる。
これらの中でも、通常は塩酸が好ましい。
前記酸処理は、通常、低温ないし室温で好適に行うこ
とができる。
なお、前記酸処理の前に、前記反応を終了した後、反
応液を室温等に冷却し、例えば、水酸化ナトリウム(水
溶液)等の塩基を添加して、ヒドロキシアリールアミン
化合物のアルカリ金属塩を水溶液側に抽出し、水層と溶
媒層を層分離して、得られた水層に対して前記酸処理を
行う方法も好適に採用することができる。
以上のようにして、目的生成物であるヒドロキシアリ
ールアミン化合物すなわち前記一般式〔II〕で表される
化合物を、短時間の反応及び酸処理により収率よくかつ
効率よく合成することができる。
本発明の方法においては、前記したようにアルコキシ
アリールアミン化合物とアルキルメルカプトアルカリ金
属塩を反応させ、得られたヒドロキシアリールアミン化
合物のアルカリ金属塩を酸処理により加水分解し、目的
とするヒドロキシアリールアミン化合物を得るが、その
際の目的生成物であるヒドロキシアリールアミン化合物
(あるいはこれを含有する混合物)の分離・精製法は、
特に制限はなく、公知の方法等を適宜採用することがで
きる。
なお、前記酸処理は、通常、塩酸水溶液等の酸水溶液
を用いて行われる。
このようにして得られたヒドロキシアリールアミン化
合物を含有する粗生成物は、従来の方法により得られる
ものと比較して著しく着色が少なく、したがって、その
後の分離・精製処理が容易である。例えば、従来の場
合、粗生成物は灰黒色に着色しており、そのため、再結
晶による目的生成物の精製(純化)の前に例えばフロリ
ジル等の吸着剤によって脱色処理を施す必要があるが、
本発明の方法によって得られる粗生成物は、必ずしもそ
のような脱色処理を施す必要がなく(もちろん、所望に
応じて脱色処理を施してもよいが)、粗生成物から直
接、再結晶により、高純度のヒドロキシアリールアミン
化合物を高収率で回収することができる。
この再結晶は、その方法としては特に制限はなく、適
当な溶媒を用いて公知の方法等の各種の手法によって行
うことができる。
再結晶に用いる溶媒としては、例えば、エーテルとヘ
キサンとの混合溶媒などが好適に利用することができ
る。
以上のようにして、反応原料として用いる前記一般式
〔I〕で表される化合物に対応するヒドロキシ体である
目的生成物すなわち前記一般式〔II〕で表される化合物
(ヒドロキシアリールアミン化合物)を、高収率でかつ
効率よく得ることができる。
例えば、前記〔I a〕、〔I b〕、〔I c〕、〔I d〕、
〔I e〕及び〔I f〕からは、それぞれ、 を高収率で効率よく得ることができる。
より一般的に言うと、本発明の方法によって得られる
ヒドロキシアリールアミン化合物は、その一般式〔II〕
において、R9、R10、R11、R12及びR13が、それぞれ、反
応原料の一般式〔I〕で表される化合物における前記
R3、R4、R5、R6及びR7に対応する同様の基(ただし、
R3、R4、R5、R6及びR7のうち、アルコキシル基であるも
のはヒドロキシル基となることがあり、したがって、
R9、R10、R11、R12及びR13のうちその場合に相当するも
のはヒドロキシル基であることがある。)であり、X2
前記のようにR9〜R13のうちいずれか又は全部がヒドロ
キシル基になる場合があることを除けば、反応原料とし
て用いた一般式〔I〕で表される化合物におけるX1に対
応する同様の基であり、また、p、t、s、j、R14
Y及びmが、反応原料として用いた一般式〔I〕におけ
るそれぞれのものに対応する同様の数又は基である各種
の化合物として得られる。
以上のようにして、本発明の方法によって製造された
各種のヒドロキシアリールアミン化合物は、そのままで
も、またこれを原料とするポリカーボネートなどの重合
体としても、CTM(Charge transfer material)として
の優れた機能を有しており、したがって、電子写真感光
体材料等をはじめとする種々の分野に好適に利用するこ
とができる。
〔実施例〕
次に、本発明を実施例、比較例及び参考例によって更
に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定さ
れるものではなく、本発明の思想を逸脱しない範囲で種
々の変形及び応用が可能である。
なお、以下の実施例等における粗生成物(試料)の着
色の度合は、下記のAPHA色の測定法に従って測定された
APHA色をもって評価した。
・APHA色の測定法 試料のメタノール溶液をAPHA色(ハーゼン白金コバル
ト色)の標準色と比較し、試料とほとんど一致する標準
色のハーゼン数を試料の色相として表す。
(操作) 正確に試料5gを秤量し、室温で100mlのメタノールに
溶解させる。溶液を清浄でよく乾燥した100mlのネスラ
ー管にとり、視覚によって標準色溶液(塩化白金酸カリ
ウムK5PtCl6 1.245gと塩化コバルトCoCl2・5H2O 1gを10
0mlの濃塩酸に溶かし、水で1に希釈した溶液がAPHA
色500に相当するので、これを正しく水で希釈してハー
ゼン数の異なる標準色溶液として作成しておく。)と比
較し試料溶液にもっともよく一致する色相を有する標準
色溶液のAPHAの数値がその試料のAPHAの数値である。な
お、色相の非常によい試料は直接溶融したときの色相で
溶融APHA色を測定する方がよい。
実施例1 窒素導入管、還流冷却器を取り付けた200mlフラスコ
へ、DMF(150ml)を導入し、C2H5SNa(3.8g、0.045モ
ル)及び参考例1の方法に従って合成して得たN,N′−
ビス(4−メトキシフェニル)−N,N′−ジフェニル−
〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(10g、0.018
2モル)を溶解させ、窒素気流下で溶液を加熱還流さ
せ、3時間反応を行った。反応終了後溶液を冷却し、1.
2N NaOH水溶液(200ml)を添加した反応液をジエチル
エーテル(200ml)で3回洗浄した後、3N HClで溶液を
酸性にすると黄色沈澱物が析出した。沈澱物を水洗後濾
過し、減圧下で乾燥させると、粗、N,N′−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)−N,N′−ジフェニル−〔1,1′−
ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(8.4g 0.0160モル)
が収率89%で得られた。
なお、粗生成物のAPHA色は87であった。目的物の精製
はエーテル−ヘキサン混合溶媒の再結晶法にて行った。
実施例2 原料に4,4′−ジメトキシトリフェニルアミン、脱ア
ルキル化剤にCH3SNaを用いた以外実施例1と同様な方法
で反応を行い、4,4′−ジヒドロキシトリフェニルアミ
ン(収率93%)を得た。
なお、粗生成物のAPHA色は90であった。
実施例3 原料に、参考例1の方法に従って合成して得たN,N′
−ビス(3−メトキシフェニル)−N,N′−ジフェニル
〔フェニル〕−4,4′−ジアミンを用いた以外実施例1
と同様な方法で反応を行い、N,N′−ビス(3−ヒドロ
キシフェニル)−N,N′−ジフェニル〔フェニル〕−4,
4′−ジアミン(収率90%)を得た。
なお、粗生成物のAPHA色は85であった。
比較例1 特開昭64−9964号公報の実施例2に従い、脱アルキル
化剤に(CH33SiClとNa Iを用いて、N,N′−ビス(4
−メトキシフェニル)−N,N′−ジフェニル〔1,1′−ビ
フェニル〕−4,4′−ジアミンからN,N′−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)−N,N′−ジフェニル(1,1−ビフェ
ニル)−4,4′−ジアミンを合成した。脱アルキル化反
応に8時間を費やし、また、得られた粗生成物は、灰黒
色に着色し、収率は65%であった。粗生成物のAPHA色は
280であった。
このように、従来の方法では、反応時間が8時間と著
しく長くかかり、また、得られる粗組成物が著しく着色
しているのに対して、本発明の方法では、前記実施例1
からもわかるように、反応時間が2時間程度と短時間で
十分であり、しかも粗生成物の着色の度合が著しく小さ
いことがわかった。
参考例1 合成原料であるメトキシ基を持つアリールアミン化合
物は、J.Org.Chem.,37,4440(1972)に記載されている
合成法を参考に、メトキシ官能基を持つ2級アリールア
ミン化合物とハロゲン化アリール化合物とのウルマン反
応により合成した。収率はいずれも80%以上であった。
〔発明の効果〕
本発明によると、脱アルキル化剤として特定の化合物
であるアルキルメルカプトアルカリ金属塩を使用してい
るので、短時間の反応で、しかも着色の少ないヒドロキ
シアリールアミン化合物(一般式〔II〕で表される化合
物)を、対応するアルコキシアリールアミン化合物(一
般式〔I〕で表される化合物)から高収率で効率よく合
成することができる実用上著しく有利なヒドロキシアリ
ールアミン化合物の製造方法を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07C 215/76 C07C 213/00 CA(STN) CAOLD(STN) REGISTRY(STN)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次の一般式 〔ただし、式〔I〕中のR1及びR2は各々独立に、炭素数
    1〜4のアルキル基であり、R3及びR4は各々独立に、水
    素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4の
    アルコキシル基であり、nは0又は1であり、p及びt
    は各々独立に1〜5の整数であり、X1は、 (ただし、R5は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又
    は炭素数1〜4のアルコキシル基であり、sは1〜4の
    整数であり、R6及びR7は各々独立に、水素原子、炭素数
    1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシル基
    であり、k及びjは各々独立に、1〜4に整数であり、
    Yは−O−、−S−、−CH2−、−C(CH3−、 であり、mは0、1又は2であり、R8は水素原子、炭素
    数1〜4のアルキル基又はアリール基である。)であ
    る。〕、 で表されるアルコキシアリールアミン化合物に、アルキ
    ルメルカプトアルカリ金属塩を反応させ、次いで酸処理
    することを特徴とする次の一般式 〔ただし、式〔II〕中の、R9は、前記式〔I〕中のR3
    はヒドロキシル基であり、R10は前記式〔I〕中のR4
    はヒドロキシル基であり、n、p及びtは、それぞれ、
    前記式〔I〕中のものと同様の意味を表し、X2(ただし、R11は前記式〔I〕中のR5又はヒドロキシル
    基であり、sは前記〔I〕中のものと同様の意味を表
    し、R12は前記式〔I〕中のR6又はヒドロキシル基であ
    り、R13は前記式〔I〕中のR7又はヒドロキシル基であ
    り、k、j、Y及びmは、それぞれ、前記式〔I〕中の
    ものと同様の意味を表し、R14は前記式〔I〕中のR8
    ある。〕 で表されるヒドロキシアリールアミン化合物の製造方
    法。
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