JP4115269B2 - 1,3−ビス(ヒドロキシフェニル)アダマンタン類及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エポキシ樹脂、感光性樹脂又は芳香族ポリカーボネート樹脂等の耐熱性、機械強度特性の改良に優れた原料として有用な新規な1,3−ビス(ヒドロキシフェニル)アダマンタン類に関する。
さらに、本発明は、そのような1,3−ビス(ヒドロキシフェニル)アダマンタン類の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ビス(ヒドロキシフェニル)アダマンタン類、すなわちアダマンタン環骨格を有するビスフェノール類は、耐熱性が良好であることが期待される。このようなアダマンタンビスフェノール類は、従来、米国特許第3594427号公報に1,3-ジブロモ-5,7-ジメチルアダマンタンとフェノールを原料に合成された1,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)5,7-ジメチルアダマンタンが記載されている。また、特開2000−143566公報には、1,3-アダマンタンジオールとフェノールを原料に合成された1,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)アダマンタンが記載されている。さらに、特開平10−130371号公報には、2-アダマンタノンとフェノールを原料に合成された2,2-ビス(4‘-ヒドロキシフェニル)アダマンタンが記載されている。
しかしながら、これら従来知られているアダマンタンビスフェノールは、ヒドロキシフェニル基に置換基を持たないアダマンタンビスフェノール類である。
【0003】
一方、近年、エポキシ樹脂、感光性樹脂又は芳香族ポリカーボネート樹脂等の樹脂原料化合物に要求される性能が益々高度化、多様化してきており、アダマンタンビスフェノールにおいても、ヒドロキシフェニル基にアルキル置換基等各種の置換基が付いたアダマンタンビスフェノールが望まれてはいるが、それらの化合物及びその工業的に有利な製造方法は知られていない。
【0004】
【発明が解決しようとる課題】
本発明は、耐熱性等に優れた樹脂原料化合物等として有用な、新規な1,3−ビス(ヒドロキシフェニル)アダマンタン類及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【解決を解決するための手段】
本発明の1,3−ビス(ヒドロキシフェニル)アダマンタン類は、アダマンタン環の1,3位に置換基を有する4-ヒドロキシフェニル基が結合した、下記一般式(1)で表される1,3-(ヒドロキシフェニル)アダマンタン類である。
【0006】
一般式(1)
上記一般式(1)において、Rはアルキル基、シクロアルキル基又はフェニル基を表し、nは1〜3の整数を示し、またmは0〜2の整数を示し、但し、OH基の置換位置はアダマンタン基に対し2位である。
【0007】
また、本発明によれば、
一般式(2)
(式中、mは0〜2の整数である。)
で表される1,3−アダマンタンジオールと、
一般式(3)
(式中、Rはアルキル基、シクロアルキル基又はフェニル基を表し、nは1〜3の整数を示す。)
で表される置換フェノールとを酸触媒の存在下に反応させることにより、下記一般式(4)で表される1,3−ビス(ヒドロキシフェニル)アダマンタン類を工業的に実施容易な製造条件において、収率よく製造することができる。
一般式(4)
(式中、R、nおよびmは上記一般式(2)及び(3)のそれと同じである。)
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明による新規な1,3-ビス(ヒドロキシフェニル)アダマンタン類は、下記一般式(1)で表される。
【0009】
【化2】
【0010】
上記一般式(1)で表される1,3-ビス(置換4-ヒドロキシフェニル)アダマンタン類において、Rがアルキル基であるとき、アルキル基としては、炭素原子数1〜12の直鎖状ないし分岐鎖状アルキル基が好ましく、炭素原子数1〜4のアルキル基がより好ましい。それらの具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基を挙げることができる。プロピル基又はブチル基は直鎖状でも、分岐鎖状でもよい。また、Rがシクロアルキル基であるとき、炭素原子数5〜6のシクロアルキル基が好ましく、それらの具体例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基を挙げることができる。
さらに、nは1〜3の整数示し、nが2〜3の場合、Rは同一でも、異なっていてもよく、mは0〜2の整数を示し、好ましいmは0である。
したがって、本発明による、1,3-ビス(ヒドロキシフェニル)アダマンタン類の具体例としては、例えば、1,3−ビス(2-メチルー4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、1,3-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)アダマンタン、1,3−ビス(4-メチルー2−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、1,3−ビス(5-メチルー2−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、1,3-ビス(3-エチル-4-ヒドロキシフェニル)アダマンタン、1,3-ビス(3-イソプロピル-4-ヒドロキシフェニル)アダマンタン、1,3-ビス(3-s-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)アダマンタン、1,3-ビス(3-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)アダマンタン、1,3-ビス(3,6-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)アダマンタン、1,3-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)アダマンタン、1,3−ビス(3,6-ジメチルー2−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、1,3-ビス(2,3,5-トリメチル-ヒドロキシフェニル)アダマンタン、1,3-ビス(2,3,6-トリメチル-4-ヒドロキシフェニル)アダマンタン、1,3−ビス(3,4,6-トリメチルー2−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、1,3-ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)アダマンタン、1,3-ビス(2-メチル-5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)アダマンタン、1,3-ビス(3-フェニル-4-ヒドロキシフェニル)アダマンタン1,3-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-5,7-ジメチルアダマンタン、1,3-ビス(3-イソプロピル-4-ヒドロキシフェニル)-5,7-ジメチルアダマンタン、1,3-ビス(3,6-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-5,7-ジメチルアダマンタン、1,3-ビス(2,3,5-トリメチル-4-ヒドロキシフェニル)、-5,7-ジメチルアダマンタン、1,3-ビス(2,3,6-トリメチル-4-ヒドロキシフェニル)-5,7-ジメチルアダマンタン、1,3-ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)-5,7-ジメチルアダマンタン、1,3-ビス(2-メチル-5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)-5,7-ジメチルアダマンタン 、1,3-ビス(3-フェニル-4-ヒドロキシフェニル)-5,7-ジメチルアダマンタン、1,3-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-メチル-アダマンタン、1,3-ビス(3-イソプロピル-4-ヒドロキシフェニル)-4-メチル-アダマンタン、1,3-ビス(3,6-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-メチル-アダマンタン、1,3-ビス(2,3,5-トリメチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-メチル-アダマンタン、1,3-ビス(2,3,6-トリメチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-メチル-アダマンタン、1,3-ビス(2-メチル-5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)-4-メチル-アダマンタン又は1,3-ビス(3-フェニル-4-ヒドロキシフェニル)-4-メチル-アダマンタンを挙げることができる。
【0011】
本発明による1,3-ビス(ヒドロキシフェニル)アダマンタン類は酸触媒の存在下に、1,3-アダマンタンジオール類と置換フェノール類を反応させることによって得ることが出来る。
本発明において一方の原料として用いられる1,3-アダマンタンジオール類は、下記一般式(2)で表される。
【0012】
【化3】
(式中、mは0〜2の整数である。)
【0013】
上記1,3-アダマンタンジオール類は、具体的には、1,3-アダマンタンジオール、5,7-ジメチル-1,3-アダマンタンジオール、2-メチル-1,3-アダマンタンジオール又は4-メチル-1,3-アダマンタンジオール等が挙げられる。好ましくは、1,3−アダマンタンジオールである。
また、本発明において他方の原料として用いられる置換フェノール類は、下記一般式(3)で表される。
【0014】
【化4】
(R及びnは上記一般式(1)のそれと同じである。)
【0015】
上記一般式(3)の化合物として、2-メチルフェノール、2-エチルフェノール、2-イソプロピルフェノール、2-s-ブチルフェノール、2-t-ブチルフェノール、3-メチルフェノール、2,5-ジメチルフェノール、2,6-ジメチルフェノール、2,6-ジイソプロピルフェノール、2,6-ジ-t-ブチルフェノール、2-メチル-6-t-ブチルフェノール、3,-ジメチルフェノール、3-メチル-6-t-ブチルフェノール、2,3,5-トリメチルフェノール、2,3,6-トリメチルフェノール、3,5-トリメチルフェノール、2-シクロヘキシルフェノール、3-メチル-6-シクロヘキシルフェノール、2-フェニルフェノール又は2-イソプロピル-6-フェニルフェノール等を挙げることが出来る。
【0016】
上記1,3-アダマンタンジオール類と置換フェノール類の反応における使用割合は、1,3-アダマンタンジオール類に対する置換フェノールのモル比で3〜30、好ましくは6〜10の範囲で用いられる。
本発明の製造方法においては、反応に際し、酸触媒を用いる。酸触媒としては、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、カチオン交換樹脂等を挙げることが出来る。これらのうち、反応速度、反応選択性の点で、P-トルエンスルホン酸が特に好ましい。P-トルエンスルホン酸としては、通常、1水和物が用いられる。P-トルエンスルホン酸の量は、通常、原料の1,3-アダマンタンジオール類に対して、30〜80モル%、好ましくは40〜60モル%の範囲で用いられる。1,3-アダマンタンジオールと置換フェノールを酸触媒の存在下に反応させるに際して、反応溶媒は使用しなくても良いし、使用してもよい。好ましい反応溶媒としては、トルエンなどの芳香族炭化水素類が挙げられる。使用量は、原料の置換フェノール類に対して通常5〜50wt%の範囲で用いられる。また反応温度は通常60〜200℃、好ましくは80〜110℃の範囲である。このような反応条件においては、反応は通常1〜100時間程度で完結する。
【0017】
このようにして、反応させた後、得られた反応混合物に、必要に応じて、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶剤を加えて、反応混合物を溶解した後、この溶液に、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ水溶液を加え、攪拌下に中和する。次いで、中和後の油水混合液から水層を分液除去して、目的物を含む油層を得る。得られた油層から、目的とする1,3-ビス(ヒドロキシフェニル)アダマンタン類を晶析させ、これを濾過、分離して、目的物の粗結晶を得る。
さらに必要に応じて、再結晶精製等によって、目的物の精製品を得ることが出来る。
【0018】
【実施例】
【実施例1】
[1,3-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)アダマンタン]
攪拌機、温度計、還流冷却機を備えた3000mLの4つ口フラスコに、1,3-アダマンタンジオール176g(1.05モル)、2,6-ジメチルフェノール1023g(8.39モル)を仕込み、反応容器内を窒素置換した後、温度を90℃まで昇温した。次いで、この温度に保ちながら、これにP-トルエンスルホン酸・1水和物88gを加え、7時間反応を行った。
反応終了後、得られた反応混合物の温度を70℃に降温し、これにトルエン1023g及び75%リン酸水溶液2gを添加した。次いで、12%水酸化ナトリウム水溶液を加えて中和した後、水層を分離し、残った油層をイオン交換水で2回洗浄した。その後、洗浄後の油層を冷却して晶析し、これを濾別して、粗結晶を得た。この粗結晶をトルエンで洗浄し、乾燥して、目的物である1,3-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)アダマンタン230g(純度99.8%)を白色結晶として得た。
1,3-アダマンタンジオールに対する収率は58モル%であった。
融点:189℃(光透過法)
分子量:375M-(質量分析法)
プロトン核磁気共鳴スペクトル(溶媒DMSO、400MHz);式1
【0019】
【式1】
【0020】
【実施例2】
[1,3-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)アダマンタン]
攪拌機、温度計、還流冷却機を備えた2000mLの4つ口フラスコに、1,3-アダマンタンジオール155g(0.92モル)、2-メチルフェノール798g(7.4モル)を仕込み、反応容器内を窒素置換した後、温度を90℃まで昇温した。次いで、この温度に保ちながら、これにP-トルエンスルホン酸・1水和物78gを加え、47時間反応を行った。
反応終了後、得られた反応混合物の温度を80℃に降温し、これにトルエン798g及び75%リン酸水溶液2gを添加した。次いで、12%水酸化ナトリウム水溶液を加えて中和した後、水層を分離し、残った油層をイオン交換水で2回洗浄した。その後、洗浄後の油層を冷却して晶析し、これを濾別して、粗結晶をえた。この粗結晶をトルエンで再結晶した後、これをトルエンで洗浄し、乾燥して、目的物である1,3-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)アダマンタン193g(純度99.8%)を白色結晶として得た。
1,3-アダマンタンジオールに対する収率は60モル%であった。
融点:169℃(光透過法)
分子量:347M-(質量分析法)
プロトン核磁気共鳴スペクトル(溶媒DMSO、400MHz);式2
【0021】
【式2】
【0022】
【実施例3】
[1,3―ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン]
攪拌機、温度計、還流冷却機を備えた300mLの四つ口フラスコに、O−フェニルフェノール25.5g(0.15モル)、P−トルエンスルホン酸・1水和物2.1gを仕込み、反応容器内を窒素置換した後、温度を90℃まで昇温した。次いで、この温度に保ちながら、これに0−フェニルフェノール8.5g(0.05モル)、1,3−アダマンタンジオール4.2g(0.025モル)の混合溶液を1時間で加え、85時間反応を行った。
反応終了後、得られた反応混合物の温度を80℃に降温し、これにトルエン20g、イオン交換水5g及び75%リン酸水溶液0.2gを添加した。次いで、16%水酸化ナトリウム水溶液を加えて中和した後、冷却し、これを濾別して、粗結晶を得た。この粗結晶をメタノールとメチルイソブチルケトンの混合溶媒で、洗浄し濾別して、乾燥を行い、目的物である1,3―ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン2.0g(純度98.2%)を白色結晶として得た。
1,3−アダマンタンジオールに対する収率は17モル%であった。
融点:201℃(示差熱分析法)
分子量:471M ̄(質量分析法)
プロトン核磁気共鳴スペクトル(溶媒DMSO、400MHz)
【0023】
【式3】
【0024】
【実施例4】
[1,3―ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン]
攪拌機、温度計、還流冷却機を備えた300mLの四つ口フラスコに、O−シクロヘキシルフェノール26.4g(0.15モル)、P−トルエンスルホン酸・1水和物2.1gを仕込み、反応容器内を窒素置換した後、温度を90℃まで昇温した。次いで、この温度に保ちながら、これに0−シクロヘキシルフェノール8.8g(0.05モル)、1,3−アダマンタンジオール4.2g(0.025モル)の混合溶液を1時間で加え、25時間反応を行った。
反応終了後、得られた反応混合物の温度を80℃に降温し、これにトルエン10g、イオン交換水5g及び75%リン酸水溶液0.2gを添加した。次いで、16%水酸化ナトリウム水溶液を加えて中和した後、水層を分離し、残った油層をイオン交換水で2回洗浄した。その後、洗浄後の油層を冷却して晶析し、これを濾別して、粗結晶を得た。この粗結晶をトルエン及びジイソブチレンで再結晶した後、結晶を濾別した。更に、この結晶をメタノール水で再結晶した後、結晶を濾別して、乾燥を行い、目的物である1,3―ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン4.1g(純度100%)を白色結晶として得た。
1,3−アダマンタンジオールに対する収率は34モル%であった。
融点:149℃(示差熱分析法)
分子量:484M ̄(質量分析法)
プロトン核磁気共鳴スペクトル(溶媒DMSO、400MHz)
【0025】
【式4】
【0026】
【実施例5】
[1,3―ビス(3−シクロヘキシルー6―メチル−4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン]
攪拌機、温度計、還流冷却機を備えた300mLの四つ口フラスコに、2―シクロヘキシルー5−メチルフェノール28.5g(0.15モル)、P−トルエンスルホン酸・1水和物2.1gを仕込み、反応容器内を窒素置換した後、温度を70℃まで昇温した。次いで、この温度に保ちながら、これに2−シクロヘキシルー5−メチルフェノール9.5g(0.05モル)、1,3−アダマンタンジオール4.2g(0.025モル)の混合溶液を1時間で加え、その後、80℃に昇温し1時間反応を行った。
反応終了後、得られた反応混合物にトルエン60g、イオン交換水5g及び75%リン酸水溶液0.2gを添加した。次いで、16%水酸化ナトリウム水溶液を加えて中和した後、冷却し、これを濾別して、粗結晶を得た。この粗結晶をメタノール水で洗浄し、濾別して、乾燥を行い、目的物である1,3―ビス(3−シクロヘキシルー6−メチル−4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン6.2g(純度99.7%)を白色結晶として得た。
1,3−アダマンタンジオールに対する収率は48.2モル%であった。
融点:238℃(示差熱分析法)
分子量:512M ̄(質量分析法)
プロトン核磁気共鳴スペクトル(溶媒DMSO、400MHz)
【0027】
【式5】
【0028】
【実施例6】
[1,3―ビス(4―メチル−2−ヒドロキシフェニル)アダマンタン]
攪拌機、温度計、還流冷却機を備えた300mLの四つ口フラスコに、3―メチルフェノール16.2g(0.15モル)、P−トルエンスルホン酸・1水和物2.1gを仕込み、反応容器内を窒素置換した後、温度を85℃まで昇温した。次いで、この温度に保ちながら、これに3―メチルフェノール5.4g(0.05モル)、1,3−アダマンタンジオール4.2g(0.025モル)の混合溶液を1時間で加え、その後、90℃に昇温し3時間反応を行った。
反応終了後、得られた反応混合物を80℃に降温し、これにトルエン30g、イオン交換水5g及び75%リン酸水溶液0.2gを添加した。次いで、16%水酸化ナトリウム水溶液を加えて中和した後、水層を分離し、残った油層をイオン交換水で洗浄した。その後、洗浄後の油層を冷却して晶析し、これを濾別して、結晶を得た。乾燥を行い、目的物である1,3―ビス(4−メチル−2−ヒドロキシフェニル)アダマンタン5.7g(純度99.2%)を白色結晶として得た。
1,3−アダマンタンジオールに対する収率は64.9モル%であった。
融点:183℃(示差熱分析法)
分子量:347M ̄(質量分析法)
プロトン核磁気共鳴スペクトル(溶媒DMSO、400MHz)
【0029】
【式6】
【0030】
【発明の効果】
本発明の新規1,3−ビス(ヒドロキシフェニル)アダマンタン類は、アダマンタン骨格の1,3−位置に、置換基を持つ嵩高いヒドロキシフェニル基が結合したビスフェノール類であり、エポキシ樹脂、感光性樹脂又は芳香族ポリカーボネート樹脂等の原料として用いると耐熱性、機械強度特性等の改良に優れた有用な材料となる。
また、これらの新規な1,3−ビス(ヒドロキシフェニル)アダマンタン類は、1,3-アダマンタンジオールと置換フェノール類を、P-トルエンスルホン酸の存在下に反応させることにより、工業的に実施容易な反応条件において、収率良く製造することができる。
Claims (4)
- 一般式(1)
(式中、Rはアルキル基、シクロアルキル基又はフェニル基を表し、nは1〜3の整数を示し、またmは0〜2の整数を示し、但し、 OH 基の置換位置はアダマンタン基に対し2位である。)
で表される1,3−ビス(ヒドロキシフェニル)アダマンタン類。 - 1,3−ビス(4−メチル−2−ヒドロキシフェニル)アダマンタン。
- 1,3−ビス(3−シクロヘキシル−6−メチル−4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン。
- 一般式(2)
(式中、mは0〜2の整数である。)
で表される1,3―アダマンタンジオールと、
一般式(3)
(式中、Rはアルキル基、シクロアルキル基又はフェニル基を表し、nは1〜3の整数を示す。)
で表される置換フェノールとを酸触媒の存在下に反応させることを特徴とする一般式(4)
一般式(4)
(式中、R、nおよびmは上記一般式(2)および(3)のそれと同じである。)
で表される1,3−ビス(ヒドロキシフェニル)アダマンタン類の製造方法。
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