JP2008304583A - ブラックレジスト用感光性樹脂組成物及びこれを用いた遮光膜並びにカラーフィルター - Google Patents

ブラックレジスト用感光性樹脂組成物及びこれを用いた遮光膜並びにカラーフィルター Download PDF

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Abstract

【課題】厚膜の場合でもパターン寸法安定性に優れ、パターン密着性、エッジのシャープ性等が良好なパターンを形成でき、熱焼成工程で熱硬化収縮による表面粗度の悪化が生じず、遮光材としてカーボン等の導電性材料を用いた場合でも体積抵抗の低下のないブラックレジスト用感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(イ)光硬化性樹脂及び/又は光硬化性単量体、(ロ)黒色有機顔料、混色有機顔料及び遮光材から選ばれる少なくとも1種以上の遮光性顔料、及び(ハ)粒状シリカを含有して成るブラックレジスト用感光性樹脂組成物において、(ハ)成分の粒状シリカの一次粒子径の平均値が10〜50nm、遮光性顔料(ロ)と粒状シリカ(ハ)との一次粒子径の平均値の比((ハ)/(ロ))が0.2〜5.0、及び組成物中の粒状シリカ(ハ)と遮光性顔料(ロ)との重量比((ハ)/(ロ))が0.1〜1.0であるブラックレジスト用感光性樹脂組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、感光性アルカリ水溶液現像型のブラックレジスト用感光性樹脂組成物、及びこれを用いて形成した遮光膜、並びにカラーフィルターに関し、特に透明基板上に微細な遮光膜を形成するのに好適なブラックレジスト用感光性樹脂組成物、及び遮光膜、並びにカラーフィルターに関するものである。
カラーフィルターは、通常、ガラス、プラスチックシート等の透明基板の表面に黒色のマトリックスを形成し、続いて、赤、緑、青等の3種以上の異なる色相を順次、ストライプ状あるいはモザイク状等の色パターンで形成される。パターンサイズはカラーフィルターの用途並びにそれぞれの色により異なるが5〜700μm程度である。また、重ね合わせの位置精度は数μm〜数十μmであり、寸法精度の高い微細加工技術により製造されている。
カラーフィルターの代表的な製造方法としては、染色法、印刷法、顔料分散法、電着法等がある。これらのうち、特に、色材料を含有する光重合性組成物を、透明基板上に塗布し、画像露光、現像、必要により硬化を繰り返すことでカラーフィルター画像を形成する顔料分散法は、カラーフィルター画素の位置、膜厚等の精度が高く、耐光性・耐熱性等の耐久性に優れ、ピンホール等の欠陥が少ないため、広く採用されている。
ブラックマトリックスは赤、緑、青の色パターンの間に格子状、ストライプ状又はモザイク状に配置するのが一般的であり、各色間の混色抑制によるコントラスト向上あるいは光漏れによるTFTの誤動作を防ぐ役割を果たしている。このため、ブラックマトリックスには高い遮光性が要求される。従来、ブラックマトリクスはクロム等の金属膜で形成する方法が一般的であった。この手法は透明基板上にクロム等の金属を蒸着しフォトリソ工程を経てクロム層をエッチング処理するものであるため、薄い膜厚で高遮光性が高精度で得られる。その反面、製造工程が長く、且つ生産性の低い手法であり、高コスト、エッチング処理の廃液などによる環境問題が生じる等の問題を抱えている。
そこで、これらの問題を解決するものとして、特許文献1では感光性樹脂を含有したフォトリソグラフィー法を提案している。しかしながら、この方法で得た樹脂遮光膜についても、クロム等の金属膜によるブラックマトリックスと同等の遮光性(光学濃度)を発現させるためには、遮光性顔料等の含有量を多くする必要があるが、樹脂ブラックマトリックスのように光全波長領域において遮光能力が要求される場合では、紫外線を照射させて光硬化する過程で、遮光性顔料が紫外線を吸収するため、1)露光された部分でも膜厚方向に対する架橋密度の差が発生し、塗膜表面で十分光硬化しても、基底面では光硬化しにくいこと、2)露光部分と未露光部分における架橋密度の差をつけるのが著しく困難なこと、3)現像液に不溶な多量な遮光性顔料を配合するため現像性の低下が著しいこと等、ブラックレジストの光感度、解像性、密着性、現像性、エッジ形状のシャープ性等という点で課題があり、遮光性がより高く、又はインパターンに伴うエッジ形状のシャープなブラックマトリクスの開発が求められてきた。
近年、高明彩化・高精細化を達成するため、カラーフィルター関連材料の一つである、樹脂ブラックマトリックスは、膜厚1μm程度の薄膜での使用範囲が主流であったが、従来以上に高遮光化が要求されていており、膜厚1.5μmを超える樹脂ブラックマトリックスも新たにでてきた。
また、最近ではカラーフィルター・オン・アレイ技術を導入したパネルが注目を浴びている。この技術はカラーフィルター基板とTFTアレイ基板を一体化させたもので、二つの基板の精密な位置合わせが不要で、カラーフィルターの赤、青、緑の各画素を限界にまで微細化することができるため、パネルの高精細化に繋がる。このようなカラーフィルター・オン・アレイ用の樹脂ブラックマトリックスは、高い遮光性を必要とするため、膜厚2μm以上が要求されている。
しかし、樹脂ブラックマトリックスの膜厚が増大するにつれて、露光された部分での膜厚方向に対する架橋密度の差が拡大するため、高感度化を達成し良好な形状のブラックパターンを得ることは一層難しくなる。更に、その後の熱焼成過程において、露光された部分での膜厚方向に対する架橋密度の差があるため、塗膜表面と基板付近での熱硬化収縮に差が生じて塗膜表面粗度が増大し表面平滑性が悪化し表面に皺が発生する、その後の赤、青、緑の各画素の形成に悪影響を及ぼす。露光条件や熱焼成条件を変更することで表面粗度の増大を防止することはできるが、パターニング特性や信頼性特性が損なう可能性が高く好ましくない。
特許文献2では、特定の芳香族エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との反応物を更に多塩基酸カルボン酸又はその無水物と反応させて得られた不飽和基含有化合物を樹脂主成分として含むブラックレジストが、高遮光率を有し、フォトリソグラフィー法によるファインパターンの形成が容易であって、しかも、絶縁性、耐熱性、密着性、室温保存安定性にも優れた遮光性薄膜形成用組成物となることを報告している。しかし、特許文献2もブラックマトリックスの標準的な膜厚である1μm付近の薄膜用のブラックレジストについて述べており、1.5μmを超えるような膜厚に関する光硬化性、現像特性については触れていない。
厚膜であることを特徴とするカラーフィルター関連材料の例示が、特許文献3〜5などにみられる。しかし、特許文献3は、露光及び熱焼成工程を有さない印刷法でのカラーフィルター形成法に関する内容であるだけでなく、樹脂ブラックマトリックスではなく、レッド、ブルー、グリーンなどのカラーマトリックスの形成法に関する内容である。特許文献4は、背面光によって厚膜を形成する方法であるが、これもブラックではなく、ブルーを遮光膜として利用しており遮光性の点で十分でなく、更に、通常プロセスとは異なる背面露光を行うため、生産性や歩留まりの点で課題が残る。特許文献5は、カラーフィルター用保護膜に関する内容である。
熱焼成後の表面粗度増大を防止する手法の一つとして、ブラックレジストの熱硬化収縮を小さくすればよく、バインダー樹脂の分子量を増大することが一般的に有効であるが、光硬化性・現像特性の悪化・剥離現像などが生じてしまい、現像マージンが十分広く良好なパターン形状を得ることと、塗膜の表面粗度の増大が発生しないことがトレードオフの関係にあり、両立させることは厚膜樹脂ブラックマトリックスの場合、非常に困難であるため、顔料分散法によって得られる樹脂ブラックマトリックスにおいて、樹脂ブラックマトリックス膜厚が1.5μmを超える厚膜であるようなブラックレジスト用感光性樹脂組成物やこれを用いて形成された遮光膜に関する報告は過去にはみられない。
また、高遮光化の手段として、遮光材を大量に使用することも試みられているが、遮光材としてカーボン等の導電性材料を使用した場合、ブラックマトリックスの体積抵抗が低下し、表示装置等の信頼性を低下させる問題があった。
特開平4−177202号公報 特開平8−278629号公報 特開平5−045513号公報 特開平5−181000号公報 特開平5−288926号公報
従って、本発明の目的は、上記の問題を解決して1.5μmを超える厚膜の場合でも、パターン寸法安定性に優れ、かつ現像マージン、パターン密着性、パターンのエッジ形状のシャープ性が良好なパターンを形成することができ、また、その後の熱焼成工程においても塗膜表面が平滑で熱硬化収縮による表面粗度の悪化が生じず、遮光材としてカーボン等の導電性材料を用いた場合でも体積抵抗の低下のないようなブラックレジスト用感光性樹脂組成物を提供することにある。また、本発明の他の目的は、このブラックレジスト用感光性樹脂組成物を用いて形成した遮光膜並びにカラーフィルターを提供することにある。
すなわち本発明は、(イ)光硬化性樹脂及び/又は光硬化性単量体、(ロ)黒色有機顔料、混色有機顔料及び遮光材から選ばれる少なくとも1種以上の遮光性顔料、及び(ハ)粒状シリカを含有して成るブラックレジスト用感光性樹脂組成物において、(ハ)成分の粒状シリカの一次粒子径の平均値が10〜50nmであり、かつ遮光性顔料(ロ)と粒状シリカ(ハ)との一次粒子径の平均値の比((ハ)/(ロ))が0.2〜5.0の範囲であり、また前記組成物中の粒状シリカ(ハ)と遮光性顔料(ロ)との重量比((ハ)/(ロ))が0.1〜1.0の範囲であることを特徴とするブラックレジスト用感光性樹脂組成物である。
また本発明は、上記ブラックレジスト用感光性樹脂組成物を透明基板上に塗布、乾燥した後、(a)紫外線露光装置による露光、(b)アルカリ水溶液による現像、(C)熱処理の各工程を必須として得られる遮光膜であって、テーパ角が60°以上であることを特徴とする遮光膜である。
更に本発明は、ブラックマトリックスとしての遮光性隔壁が上記遮光膜からなり、かつ膜厚が1.5〜4μmであるインクジェットプロセスカラーフィルター向けカラーフィルターである。
本発明のブラックレジスト用感光性樹脂組成物は、例えば1.5μmを超えるような厚膜のブラックマトリックスを得た場合でも、パターン寸法安定性に優れ、かつ現像マージン、パターン密着性、パターンのエッジ形状のシャープ性が良好なパターンを形成することができる。また、その後の熱焼成工程において、塗膜表面が平滑で熱硬化収縮による表面粗度の悪化が生じず、更には遮光材としてカーボン等の導電性材料を用いた場合でも体積抵抗の低下を可及的に低減できる。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明の組成物は、(イ)〜(ハ)成分を必須成分として含有する。ここで、(イ)成分である光硬化性樹脂は、例えば、次のような不飽和基含有化合物であることが好ましい。すなわちビスフェノール類から誘導される2個のグリシジルエーテル基を有するエポキシ化合物に、(メタ)アクリル酸(これは「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」の意味である)を反応させ、得られたヒドロキシ基を有する化合物に多塩基酸カルボン酸又はその無水物を反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート酸付加物である。ここで、ビスフェノール類から誘導されるエポキシ化合物とは、ビスフェノール類とエピハロヒドリンを反応させて得られるエポキシ化合物を意味する。かかるエポキシ化合物及び該エポキシ化合物より誘導される不飽和基含有化合物(エポキシ(メタ)アクリレート酸付加物)は、前記特許文献2等により公知であり、かかる化合物が広く使用できる。
上記の場合、(イ)成分である光硬化性樹脂は、エチレン性不飽和二重結合とカルボキシル基とを併せ持つため、ブラックレジスト用感光性樹脂組成物に優れた光硬化性、良現像性、パターニング特性を与え遮光膜の物性向上をもたらす。すなわち、(イ)成分である光硬化性樹脂は、好ましくは、下記一般式(1)で表されるエポキシ化合物から誘導される。このエポキシ化合物はビスフェノール類から誘導される。したがって、ビスフェノール類を説明することによって、不飽和基含有化合物が理解されるので、好ましい具体例をビスフェノール類により説明する。
Figure 2008304583
(但し、式中、R1及びR2は、独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、フェニル基又はハロゲン原子のいずれかであり、Xは‐CO‐、−SO2−、‐C(CF32−、−Si(CH32‐、−CH2‐、−C(CH32‐、−O−、下記式で表される9,9−フルオレニル基
Figure 2008304583
又は不存在を示し、nは0〜10の整数である)
好ましい不飽和基含有化合物を与えるビスフェノール類としては、次のようなものが挙げられる。ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジメチルシラン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ジメチルシラン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)ジメチルシラン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)エーテル等を含む化合物や、Xが前記の9,9−フルオレニル基である9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フルオロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)フルオレン等や、更には4,4'−ビフェノール、3,3'−ビフェノール等の化合物が挙げられる。
(イ)成分である光硬化性樹脂は、上記のようなビスフェノール類から誘導されるエポキシ化合物から得ることができるが、かかるエポキシ化合物の他にフェノールノボラック型エポキシ化合物や、クレゾールノボラック型エポキシ化合物等も2個のグリシジルエーテル基を有する化合物を有意に含むものであれば使用することができる。また、ビスフェノール類をグリシジルエーテル化する際に、オリゴマー単位が混入することになるが、式(1)におけるnの平均値が0〜10、好ましくは0〜2の範囲であれば、本樹脂組成物の性能には問題はない。
また、このようなエポキシ化合物と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られたエポキシ(メタ)アクリレート分子中のヒドロキシ基と反応し得る多塩基酸カルボン酸又はその酸無水物としては、例えば、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、クロレンド酸、メチルテトラヒドロフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等やその酸無水物、更には、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸等の芳香族多価カルボン酸やその酸二無水物等が挙げられる。そして、酸無水物と酸二無水物の使用割合については、露光、アルカリ現像操作によって微細なパターンを形成するのに適した割合を選択することができる。
(イ)成分の光硬化性樹脂については、その1種のみを使用しても、2種以上の混合物を使用することもできる。また、エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との反応、この反応で得られたエポキシ(メタ)アクリレートと多塩基酸又はその酸無水物との反応は、上記特許文献2等で公知の方法を採用することができるが、特に限定されるものではない。
また、本発明における(イ)成分は、光により硬化(重合)するものであればよいため、感光性樹脂組成物が未硬化の状態では樹脂化していない成分(単量体)のみが含まれる場合を含む。すなわち、(イ)成分として用いられる光硬化性単量体としては、少なくとも1個以上のエチレン性不飽和結合を有する光重合性モノマーであり、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するモノマーや、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類を挙げることができ、これらの化合物は、その1種のみを単独で使用できるほか、2種以上を併用して使用することもできる。
本発明のブラックレジスト用感光性樹脂組成物は、(イ)成分の光重合性の化合物を含むものであるが、これを光硬化させるために光重合開始剤を含むことが好ましい。光重合開始剤は紫外線光照射によりラジカル種を発生し、光重合性の化合物に付加してラジカル重合を開始させ、樹脂組成物を硬化させる。
光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、N,N’テトラメチル-4,4’-ジアミノベンゾフェノン、4-メトキシ-4'-ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4'-ジエチルアミノベンゾフェノン、2-エチルアントラキノン、フェナントレン等の芳香族ケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル類、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン、2-(o-クロロフェニル)-4,5-フェニルイミダゾール2量体、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(m-メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2-(o-フルオロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール2量体、2-(o-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール2量体、2、4,5-トリアリールイミダゾール2量体、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)−ブタノン、2-トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル-5-(p-シアノスチリル)-1,3,4-オキサジアゾール、2-トリクロロメチル-5-(p-メトキシスチリル)-1,3,4-オキサジアゾール等のハロメチルチアゾール化合物、2,4,6-トリス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-メチル−4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-フェニル-4、6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-クロロフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロRメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-メトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(3,4,5-トリメトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-メチルチオスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン等のハロメチル−S−トリアジン系化合物、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパノン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-[4-モルフォリノフェニル]-ブタノン-1,1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニルケトン等の光重合開始剤、特表2004−534794号公報に記載されているようなオキシムエステル系開始剤が挙げられる。
これらの光重合開始剤は、単独又は2種以上を混合して使用することができる。また、それ自体では光重合開始剤や増感剤として作用しないが、上記の化合物と組み合わせて用いることにより、光重合開始剤や増感剤の能力を増大させ得るような化合物を添加することもできる。そのような化合物としては、例えば、ベンゾフェノンと組み合わせて使用すると効果のあるトリエタノールアミン等の第3級アミンを挙げることができる。
光重合開始剤の使用量は、(イ)成分の合計100重量部を基準として7〜20重量部が適している。光重合開始剤の配合割合が7重量部未満の場合には、光重合の速度が遅くなって、感度が低下し、一方、20重量部を超える場合には、感度が強すぎて、パターン線幅がパターンマスクに対して太った状態になり、マウクに対して忠実な線幅が再現できない、又は、パターンエッジがぎざつきシャープにならないといった問題が生じるおそれがある。
(ロ)成分の黒色有機顔料、混色有機顔料又は遮光材などの遮光性顔料としては、耐熱性、耐光性及び耐溶剤性に優れたものであることが好ましい。ここで、黒色有機顔料としては、例えばペリレンブラック、シアニンブラック等が挙げられる。混色有機顔料としては、赤、青、緑、紫、黄色、シアニン、マゼンタ等から選ばれる少なくとも2種以上の顔料を混合して擬似黒色化されたものが挙げられる。遮光材としては、カーボンブラック、酸化クロム、酸化鉄、チタンブラック、アニリンブラック、シアニンブラックを挙げることができ、2種以上を適宜選択して用いることもできるが、特にカーボンブラックが、遮光性、表面平滑性、分散安定性、樹脂との相溶性が良好な点で好ましい。
(ロ)成分の配合割合については、上記の(イ)成分及び光重合開始剤成分の合計100重量部に対して、50〜150重量部であることがよい。50重量部より少ないと、遮光性が十分でなくなる。150重量部を越えると、本来のバインダーとなる感光性樹脂の含有量が減少するため、現像特性を損なうと共に膜形成能が損なわれるという好ましくない問題が生じる。
(ハ)成分の粒状シリカとしては、気相反応又は液相反応といった製造法や、形状(球状、非球状)に制限されることはないが、凝集性が少なく分散性に優れる点で、気相法により合成した非晶質性粒状シリカであることが好ましい。粒状シリカの一次粒子径の平均値は、カーボンブラックの種類に応じて適宜選定されるが、10〜50nmの範囲であることが必要であり、好ましくは、15〜40nmの範囲である。この比が10nmに満たないと、樹脂組成物中のシリカの分散安定性が十分保持できず、また50nmを超えると塗布膜の表面粗さが大きくなり、良好なカラーフィルターを形成できなくなる。
また、遮光性顔料(ロ)と粒状シリカ(ハ)との一次粒子径の平均値の比((ハ)/(ロ))は0.2〜5.0の範囲であることが必要であり、好ましくは、0.3〜4.0の範囲である。この比が0.2に満たないと、長期の分散安定性が保持できなくなり、また、5.0を超えると、基板上に塗布、乾燥した後、紫外線露光装置による露光、アルカリ水溶液による現像、熱処理の各工程を経て得られる遮光膜の基板密着性が悪化し、フォトリソグラフィー工程において有効な画素形成能が発揮できなくなる。
さらに、粒状シリカ(ハ)と遮光性顔料(ロ)との重量比((ハ)/(ロ))は0.1〜1.0の範囲であることが必要であり、好ましくは、0.2〜0.9の範囲である。この比が0.1に満たないと、基板上に塗布、乾燥した後、紫外線露光装置による露光、アルカリ水溶液による現像、熱処理の各工程を経て得られる遮光膜について、体積抵抗値が低下し、テーパ角が60°未満になり、皺発生が顕著となって表面粗さが大きくなるなど、本発明の効果が十分発揮できなくなる。また、1.0を超えると、実用膜厚において、ブラックマトリックスとして必要とされる遮光効果が得られなくなる。
また、遮光性顔料(ロ)および粒状シリカ(ハ)の合計重量と感光性樹脂組成物中の樹脂固形分(R)の重量との重量比([(ロ)+(ハ)]/(R))が0.4〜2.2の範囲であることが好ましい。ただし、ここで樹脂固形分とは、レジスト全固形分(硬化後に固形分として残るもの)から顔料ならびに粒状シリカ成分などレジスト中に粒子として分散されたものを除いたものをいう。この比が0.4に満たない場合は皺発生が顕著となって表面粗さが大きくなり、反対に2.2を超えるとフォトリソグラフィー工程におけるパターン形成が困難となる。
本発明のブラックレジスト用感光性樹脂組成物においては、上記(イ)〜(ハ)成分の他に溶剤を使用することが好ましい。溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類、α−もしくはβ−テルピネオール等のテルペン類等、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリドン等のケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、セロソルブ、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の酢酸エステル類等が挙げられ、これらを用いて溶解、混合させることにより、均一な溶液状の組成物とすることができる。
また、本発明のブラックレジスト用樹脂組成物には、必要に応じて硬化促進剤、熱重合禁止剤、可塑剤、充填材、溶剤、レベリング剤、消泡剤等の添加剤を配合することができる。熱重合禁止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、tert-ブチルカテコール、フェノチアジン等を挙げることができ、可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、トリクレジル等を挙げることができ、また、消泡剤やレベリング剤としては、例えば、シリコン系、フッ素系、アクリル系の化合物を挙げることができる。
本発明のブラックレジスト用樹脂組成物は、上記(イ)〜(ハ)成分又はこれらと溶剤を主成分として含有する。溶剤を除いた固形分(固形分には硬化後に固形分となるモノマーを含む)中に、(イ)〜(ハ)成分が合計で70wt%以上、好ましくは80wt%、より好ましくは90wt%以上含まれることが望ましい。樹脂組成物における溶剤の含有割合は、塗工に用いる塗工機によって最適とされる粘度範囲は変化するが、50〜90wt%の範囲が望ましい。
また、本発明のカラーフィルター遮光膜については、上述した本発明のブラックレジスト用感光性樹脂組成物を用いてフォトリソグラフィー法により形成される。その製造工程としては、先ず、感光性樹脂組成物を溶液にして基板表面に塗布し、次いで溶媒を乾燥させた(プリベーク)後、このようにして得られた被膜の上にフォトマスクをあて、紫外線を照射して露光部を硬化させ、更にアルカリ水溶液を用いて未露光部を溶出させる現像を行ってパターンを形成し、更に後乾燥としてポストベークを行う方法が挙げられる。
感光性樹脂組成物の溶液を塗布する基板としては、ガラス、透明フィルム(例えば、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルスルフォン等)上にITO、金等の透明電極が蒸着あるいはパターニングされたもの等が用いられる。
この感光性樹脂組成物の溶液を基板に塗布する方法としては、公知の溶液浸漬法、スプレー法の他、ローラーコーター機、ランドコーター機やスピナー機を用いる方法等の何れの方法をも採用することができる。これらの方法によって、所望の厚さに塗布した後、溶剤を除去する(プリベーク)ことにより、被膜が形成される。プリベークはオーブン、ホットプレート等により加熱することによって行われる。プリベークにおける加熱温度及び加熱時間は使用する溶剤に応じて適宜選択され、例えば80〜120℃の温度で1〜10分間行われる。
プリベーク後に行われる露光は、露光機によって行なわれ、フォトマスクを介して露光することによりパターンに対応した部分のレジストのみを感光させる。露光機及びその露光照射条件は適宜選択され、超高圧水銀灯、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、遠紫外線灯等の光源を用いて露光を行い、塗膜中のブラックレジスト用樹脂組成物を光硬化させる。
露光後のアルカリ現像は、露光されない部分のレジストを除去する目的で行われ、この現像によって所望のパターンが形成される。このアルカリ現像に適した現像液としては、例えば、アルカリ金属やアルカリ土類金属の炭酸塩の水溶液、アルカリ金属の水酸化物の水溶液等を挙げることができるが、特に炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム等の炭酸塩を0.05〜3重量%含有する弱アルカリ性水溶液を用いて20〜30℃の温度で現像するのがよく、市販の現像機や超音波洗浄機等を用いて微細な画像を精密に形成することができる。
このようにして現像した後、180〜250℃の温度、及び20〜100分の条件で熱処理(ポストベーク)が行われる。このポストベークは、パターニングされた遮光膜と基板との密着性を高めるため等の目的で行われる。これはプリベークと同様に、オーブン、ホットプレート等により加熱することによって行われる。本発明のパターニングされた遮光膜は、以上のフォトリソグラフィー法による各工程を経て形成される。
本発明のブラックレジスト用樹脂組成物は、前述の通り、露光、アルカリ現像等の操作によって微細なパターンを形成するのに適しているが、従来のスクリーン印刷によりパターンを形成しても、同様な遮光性、密着性、電気絶縁性、耐熱性、耐薬品性に優れた遮光膜を得ることができる。
本発明のブラックレジスト用感光性樹脂組成物は、コ−ティング材として好適に用いることができ、特に液晶の表示装置あるいは撮影素子に使われるカラーフィルター用インキ、及びこれにより形成される遮光膜はカラーフィルター、液晶プロジェクション用のブラックマトリックス等として有用である。更には、本発明のブラックレジスト用感光性樹脂組成物は、上記のようにカラー液晶ディスプレーのカラーフィルターインクの他に、カラー液晶表示装置、カラーファクシミリ、イメージセンサー等の各種の多色表示体インク材料としても使用できる。
<遮光材含有分散液の製造例A-1〜A-8ならびにa-1〜a-3>
表1に示す一次粒子径の樹脂被服カーボンブラック(三菱化学社製MS18E)ならびに粒状シリカ(日本アエロジル社製アエロジル)を合わせて濃度20重量%になるようにし、高分子分散剤濃度5重量%ならびにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとともにビーズミルにて分散を行い、固形分25%の分散液A-1〜A-6とした。同様にカーボンブラックにかえて、チタンブラック(三菱マテリアル製)もしくは混色有機顔料ブラック(御国色素製)を用いて分散液A-7〜A-8を調製した。
Figure 2008304583
調製された分散液の粘度をE型粘度計、20rpm、25.0±0.5℃にて測定を行った。さらに室温にて1ヶ月放置後、および40℃にて1週間保管後の粘度を測定したところ、その粘度変化率が10%未満であった(表中には○で標記)。また、遮光性顔料および粒状シリカの一次粒子径の平均値は、透過型電子顕微鏡により粒径観察を行ない、無作為に100個の粒子を選定して粒子の長軸長と短軸長を計測し、これらの相加平均により求めた。なお、凝集塊やアグリゲイトを構成している場合、一次粒子とはこれらを構成する粒子を指す。また、表1中に記した遮光性顔料および粒状シリカの粒径は、いずれも上記方法で得られた一次粒子径の平均値を表す。
製造例9の分散液a-1は粒状シリカを含まない分散液であり、a-2は平均粒径(一次粒子径の平均値)が5nmの粒状シリカを混合したものであるが、保存時に粘度が10%以上変化し、分散安定性に難があった(表中には×で標記)。分散液a-3は平均粒径(一次粒子径の平均値)が50nm超の粒状シリカを混合したものである。
<ブラックレジスト用感光性樹脂組成物の調製>
前記分散液と表2記載の各成分をそれぞれ表中に示した割合で混合した上で、シランカップリング剤 S-510(信越化学製)0.23部とともにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えて全量100重量部、固形分濃度20重量%とした。さらにシリコン系界面活性剤 SH3775(花王製)0.01重量部を加えて、2μmのポリプロピレン製メンブレンフィルターを用いて0.2kg/cm2加圧にてろ過し、ブラックレジスト用感光性樹脂組成物を調製した。なお、表中記載の各成分を以下にあげる。
(B)-1:フルオレン骨格を有するエポキシアクリレートの酸無水物重縮合物のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(樹脂固形分濃度=56.1重量%、新日鐵化学(株)製 商品名V259ME)
(B)-2:重量平均分子量30000、酸価100のN−エチルマレイミド/メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(樹脂固形分濃度=36.7重量%)(N−エチルマレイミド:メタクリル酸:ベンジルメタクリレート=29:20:51mol%)
(C)-1:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートとの混合物(日本化薬(株)製 商品名 DPHA)
(D)-1:光重合開始剤、IRGACURE OXE01 (チバスペシャリティケミカルズ製)
(D)-2:光重合開始剤、IRGACURE OXE02 (チバスペシャリティケミカルズ製)
Figure 2008304583
上記で得られた各ブラックレジスト用感光性樹脂組成物を、スピンコーターを用いて125mm×125mmのガラス基板上にポストベーク後の膜厚が2.1μmとなるように塗布し、80℃で1分間プリベークした。その後、露光ギャップを80μmに調整し乾燥塗膜の上に、ライン/スペース=20μm/20μmのネガ型フォトマスクを被せ、I線照度30mW/cm2の超高圧水銀ランプで100mj/cm2の紫外線を照射し感光部分の光硬化反応を行った。
次に、この露光済み塗板を0.05%水酸化カリウム水溶液中、23℃にて1kgf/cm2圧シャワー現像を行い、パターンが観察された時間を現像抜け時間(BT秒)とし、さらに20秒の現像を行った後、5kgf/cm2圧のスプレー水洗を行い、塗膜の未露光部を除去しガラス基板上に画素パターンを形成し、その後、熱風乾燥機を用いて230℃にて30分間熱ポストベークした。各実施例、及び比較例における得られたブラックマトリックスの評価項目と方法は以下の通りである。
塗布異物:スピンコート後の塗膜に放射状スジが観察された場合を×<不良>、観察されなかった場合を○<良好>とした。
感度:ステップマスクを用いて、BT(ブレイクタイム)+20秒にて残膜が観測される露光量(mj/cm2)を測定した。
現像密着性:BT(ブレイクタイム)+40秒において20μmパターンが残っている場合を○、剥離したものを×とした。
パターン直線性:ポストベーク後の20μmラインを顕微鏡で観察し、ギザツキが観測された場合を×、ない場合を○とした。
膜厚ならびに表面粗度:触針式膜厚計(テンコール(株)製 )を用いて測定した。表面粗度はブラックマトリックス表面上2mm幅に置けるRa(Å)とした。
テーパ形状:現像時間が抜け時間+10〜30秒において、ポストベーク後の20μmライン断面を操作型電子顕微鏡で観察し、基板とBMテーパ部のなす角度が常に60°以上を○、60°未満を△、円弧形状の場合を×とした。
パターン密着性:ピーリングテストで20μmパターンの剥がれが認められないものを○<良好>、認められるものを×<不良>と評価した。
PCT密着性:ポストベーク実施済みのパターン形成基板を、121℃、100%RH、2atm、24時間の条件下においてPCT(プレッシャー・クッカー)テストを実施後、20μmパターン部にセロハンテープを貼り付けピーリングテストを行うことで、20μmパターンの剥がれが認められないものを○<良好>、認められるものを×<不良>と評価した。
OD測定:ポストベーク後2.1μmの塗膜を用いて、大塚電子製OD計を用いて測定、1μmあたりのOD値として記載した。
体積抵抗値:全面にクロム蒸着したガラス基板上に前述と同様にしてポストベーク後2.1μm膜厚の塗膜を形成した。塗膜上に10mmφのAl蒸着膜を形成し、Cr−Al間に1〜10Vの電圧を印加し、電流値を測定して、抵抗を求めた。
実施例1〜12においてはいずれもテーパ角は60°以上であり、ポストベーク後の皺発生が見られず、また表面粗度(表面粗さRa:JIS B0601-1994)が120Åを超えることはなかった。一方、粒状シリカの存在しない比較例1ならびに比較例2ではテーパは常に円弧形状であった。また、5nm粒径のシリカを用いた比較例3は分散液の安定性が悪く、ブラックインキ塗布時に放射状のムラが観測された。70nm粒径のシリカを用いた比較例4の場合は、現像時のパターン密着性並びにPCT密着が良くなかった。
<実施例13〜16、比較例5及び6>
実施例1、比較例1及び比較例2で用いた感光性樹脂組成物において、露光量を50、100、150及び200mJ/cm2と増加したとき、ポストベーク後の露光面の表面粗度及び皺発生状況を観察した。結果を表3に示す。シリカ含有の場合の実施例はいずれも皺発生がなく感度を向上させることが可能となった。しかし、比較例では露光量増加と共に皺の発生が顕著となり、また感度を増加させると表面粗度が大きくなり、皺が発生した。
Figure 2008304583
<実施例17>
実施例13〜16で用いた樹脂組成物を用い、開口部が300μm×100μmならびにBMライン30μm、膜厚2.1μmの遮光性隔壁を有するマトリックスを形成した。その後、酸素大気圧プラズマで3秒間処理した後に、CF4大気圧プラズマにて3秒間処理を行った。この遮光性隔壁(遮光膜)上に水またはブチルカルビトールアセテート(BCA)を用いて、静的接触角を測定したところ、それぞれ100°、50°を示した。このブラックマトリックス中にむかって、東芝テック製インクジェットヘッドを用い、粘度9mPa.sec、固形分濃度20%のレッド、ブルー、グリーンのインキを打ち込み、230℃にてポストベークを行い、カラーフィルターを形成した。その結果、良好なカラーフィルターを得ることができた。

Claims (8)

  1. (イ)光硬化性樹脂及び/又は光硬化性単量体、(ロ)黒色有機顔料、混色有機顔料及び遮光材から選ばれる少なくとも1種以上の遮光性顔料、及び(ハ)粒状シリカを含有して成るブラックレジスト用感光性樹脂組成物において、(ハ)成分の粒状シリカの一次粒子径の平均値が10〜50nmであり、かつ遮光性顔料(ロ)と粒状シリカ(ハ)との一次粒子径の平均値の比((ハ)/(ロ))が0.2〜5.0の範囲であり、また前記組成物中の粒状シリカ(ハ)と遮光性顔料(ロ)との重量比((ハ)/(ロ))が0.1〜1.0の範囲であることを特徴とするブラックレジスト用感光性樹脂組成物。
  2. 請求項1記載のブラックレジスト用感光性樹脂組成物であって、遮光性顔料(ロ)および粒状シリカ(ハ)の合計重量と前記組成物中の樹脂固形分(R)の重量との重量比([(ロ)+(ハ)]/(R))が0.4〜2.2の範囲であることを特徴とするブラックレジスト用感光性樹脂組成物。
  3. (イ)成分の光硬化性樹脂が、下記一般式(1)
    Figure 2008304583
    (但し、式中、R1及びR2は、独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、フェニル基又はハロゲン原子のいずれかであり、Xは‐CO‐、−SO2−、‐C(CF32−、−Si(CH32‐、−CH2‐、−C(CH32‐、−O−、下記式で表される9,9−フルオレニル基
    Figure 2008304583
    又は不存在を示し、nは0〜10の整数である)で表されるエポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との反応物を更に多塩基酸カルボン酸又はその無水物と反応させて得られた不飽和基含有化合物からなることを特徴とする請求項1又は2に記載のブラックレジスト用感光性樹脂組成物。
  4. (ロ)成分の遮光材がカーボンブラックである請求項1〜3のいずれかに記載のブラックレジスト用感光性樹脂組成物。
  5. 基板上に塗布、乾燥した後、(a)紫外線露光装置による露光、(b)アルカリ水溶液による現像、及び(C)熱処理の各工程を必須として得られる遮光膜の表面粗さ(Ra)が120Å以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のブラックレジスト用感光性樹脂組成物。
  6. 基板上に塗布、乾燥した後、(a)紫外線露光装置による露光、(b)アルカリ水溶液による現像、及び(C)熱処理の各工程を必須として得られる遮光膜の体積抵抗値が1010Ωcm以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のブラックレジスト用感光性樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のブラックレジスト用感光性樹脂組成物を透明基板上に塗布、乾燥した後、(a)紫外線露光装置による露光、(b)アルカリ水溶液による現像、及び(C)熱処理の各工程を必須として得られる遮光膜であって、テーパ角が60°以上であることを特徴とする遮光膜。
  8. ブラックマトリックスとしての遮光性隔壁が請求項7記載の遮光膜からなり、かつ膜厚が1.5〜4μmであるインクジェットプロセスカラーフィルター向けカラーフィルター。
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