JP2008303671A - 斜面の緑化と安定化構造及び斜面安定用受圧板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】多数の貫通孔を表面から裏面まで貫通させた、多孔帯状体1を使用する。この多孔帯状体1を法枠の断面形状に近い形状に湾曲変形させるなどして、法枠骨組み3を形成する。この法枠骨組み3を斜面5上に配置し、配置した法枠骨組み3の上から砂基材4を供給する。法枠Aの間には、植生孔12を有する受圧板Bを設置して、アンカー11にて固定する。
【選択図】図1
Description
さらに特許文献1に示すように、金属の網で構成したシート状網体を湾曲させ、長さ方向に連続させ、所要位置で十字状に交差させてその上からモルタルやコンクリートを吹き付ける工法も知られている。
これらの工法では、法枠を構築するだけでなく、次の工程では法枠で囲まれた地山の露出した範囲には植生を施して景観に考慮する作業が行われている。
<1> 十文字状の法枠で囲まれた範囲に植生を施すから、その範囲では植物が青々と育って良い景観を与えることができる。
しかし、法枠自体はコンクリート、モルタル製であるから、そこだけは植物が育つことがなく、遠方から見ると白っぽい枠体として法面に浮き上がって見えて、せっかくの景観を損なってしまう。
<2> 景観を良好にするために、コンクリートなどを使用せず、斜面に網状の部材を組んで、砂などを詰めて、この砂などに植生し、斜面全体を緑化することが考えられる。
しかしながら、網状の部材から成る法枠だけでは充分な斜面の安定を得るまでは至らず、斜面の安定化工法としては物足りないものがあった。
多数の貫通孔を有する屈曲可能な多孔帯状体を、筒状、或いは斜面側が凹側となるように変形して法枠骨組みを形成し、
前記法枠骨組みを斜面上に複数配置し、
前記法枠骨組みの内部、或いは斜面側に砂基材を供給し、
前記複数の法枠骨組みと法枠骨組みとの間に、
植生孔を有する受圧板を設置してアンカーによって固定するものである。
また、本発明にかかる他の斜面の緑化と安定化構造では、
多孔帯状体は、筒の中、或いは斜面側の凹側に、間隔保持材を掛け渡して、その形状を維持するものである。
更に、本発明にかかる他の斜面の緑化と安定化構造では、
間隔保持材として、板状で、かつ多数の貫通孔を表面から裏面まで貫通させた連結多孔体を使用するものである。
更に、本発明にかかる他の斜面の緑化と安定化構造では、
間隔保持材として、線状で、両端を多孔帯状体に引っ掛けることにより多孔帯状体の形状を維持するものである。
更に、本発明にかかる他の斜面の緑化と安定化構造では、
多孔帯状体として、樹脂、又は樹脂を含む複合材料、防錆処理した金網やエキスパンドメタルによって形成した帯状体とするものである。
更に、本発明にかかる他の斜面の緑化と安定化構造では、
法枠骨組みを格子状に配置することにより、縦枠と横枠とを形成し、
格子状の縦枠と横枠が形成する升目の中に、受圧板を設置するものである。
更に、本発明にかかる他の斜面の緑化と安定化構造では、
前記法面において、前記法枠骨組みを十文字状に配置することによって、縦枠と横枠とを形成し、
十文字状の法枠骨組みの間に、受圧板を設置するものである。
更に、本発明にかかる他の斜面の緑化と安定化構造では、
法枠骨組みを設置する前に、
斜面上に、多数の貫通孔を表面から裏面まで貫通させた多孔性材料を敷設するものである。
更に、本発明にかかる他の斜面の緑化と安定化構造では、
多孔性材料として、樹脂、又は樹脂を含む複合材料によって形成した網状材、或いは防錆処理した金網やエキスパンドメタルを使用するものである。
中心部にアンカーを通すアンカー孔を有し、
中心部から放射状に複数のリブと、
前記複数のリブの先端を繋ぐ外枠部とによって、リブと外枠部と間に植生孔が形成されており、
前記外枠部の一部が切欠かれて高さが低くなった植生部を有するものである。
また、本発明にかかる他の斜面安定用受圧板は、
外枠部、リブの一方、若しくは外枠部とリブの双方に、一方の側面から他方の側面に貫通する通水孔を設けるものである。
更に、本発明にかかる他の斜面安定用受圧板は、
鋳鉄、鋼製、プラスチック、繊維強化プラスチック、再生プラスチック、等によって形成するものである。
<a> 多孔性帯状体を使用し、その中、若しくはその斜面側に植生可能な砂基材を詰めるため、法枠の上にも植生が可能である。
また、受圧板も植生孔を有しているため、植物が生育すれば、法枠のみならず、受圧板上をも植物が覆い、斜面全体の緑化が達成出来、斜面の景観は極めて良好となる。
<b>法枠の間に、受圧板を設置してアンカーによって固定するため、法枠だけでは物足りなかった斜面の安定化を、受圧板によって補うため、緑化とともに斜面安定化の面でも優れた工法となる。
<c> 法枠骨組みが法面において連続に配置されるため、地山が動いて押し出し力が生じても法枠が一体で抵抗する。
<d> 多孔帯状体を樹脂、又は樹脂を含む複合材料、或いは防錆処理した金網などを使用したため、金属を材料とした場合に起こる腐食を防止することができ、長年にわたって確実に法枠を維持することができる。また、多孔帯状体をロール状に保管することができるため、法枠を施工する時の持ち運びなどを容易にすることができる。
<e> 湾曲状態又は折り曲げ状態を維持する間隔保持材により、多孔帯状体の変形を維持すれば、法枠への植生を妨げることなく、より確実に多孔帯状体の変形を維持できる。
<f>リブと外枠部を備える受圧板の外枠部に、一部が切り欠かれて高さが低くなった植生部を有するため、植生した樹木の根が、この植生部を乗り越えて根が外枠部を跨いで生育する。
このことによって、樹木による斜面の安定化がより促進されることになる。
<g>リブと外枠部のいずれか、或いは双方に通水孔を貫通しておくことにより、上方から流れてきた肥料が水とともに通過し、受圧板の植生孔の内と外に行き渡ることになる。
法枠Aの骨組みは、多孔帯状体1によって構成する。
この多孔帯状体1は、多数の貫通孔を表面から裏面まで貫通させた材料を帯状に形成した資材である。
多数の貫通孔を表面から裏面まで貫通させた材料として、例えば合成樹脂や合成繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維を樹脂に含侵させグリッド状に一体整形した線材を格子状に結合した資材を使用する。
図6の実施例に示す多孔帯状体1は、線材を多少の間隔を介して格子状に結合した材料であるから、線材と線材の間には多くの孔が開口している。
その孔を通して後述する砂基材の吹き付け、植物の根の法面に向けた侵入などを許容することができる。
多孔帯状体1は、多数の貫通孔を有する材料であればよく、金網やエキスパンドメタルなども、網目を貫通孔として、その材料として採用できる。それらの金属製材料の場合は、亜鉛メッキ、より詳しくは亜鉛アルミニウム合金メッキなどにより防錆処理することが好ましい。
本発明では、「多孔帯状体1」を変形や屈曲させたものを、そのまま「法枠骨組み3」とすることもあるが、「多孔帯状体1」を変形や屈曲させて、多孔連結材2やスペーサー部材のような「間隔保持材」によって拘束して、「法枠骨組み3」とすることもある。
この多孔帯状体1をアーチ状に湾曲変形させて、図6と図7に示すような、断面が半円状の法枠骨組み3を形成する。
多孔帯状体1を、断面コ字状やロ字状に折り曲げ変形させて法枠骨組み3を形成し、断面を矩形としてもよい。
多孔帯状体1を、筒状に屈曲変形させて、法枠骨組み3としてもよい。筒の形状は円筒形状でもよいし、三角形や四角形などの他の多角形を成す角筒形状であってもよい。
或いは、多孔帯状体1の中間部分を波形に屈曲させて、斜面側に空間が出来るように伏せるように設置してもよい。
このように波形に屈曲させた場合は、波形部分がリブのように機能し、法枠骨組み3自体の強度が増すことになる。
ともあれ、法枠骨組み3の形状としては、法枠骨組み3と斜面5との間に形成した空間や、或いは筒形のように法枠骨組み3内部に、後に述べる砂基材4を充填できるような形状であれば広く採用可能であって、そのバリエーションは様々なものが考えられる。
湾曲変形させても拘束が解除されると、原形が1枚の平板である多孔帯状体1は、もとの平板に戻ってしまう可能性もある。
そこで、アーチ状に湾曲変形させた多孔帯状体1の中間の位置に、間隔保持材として、図6と図7に示すような多孔連結材2を取り付けて変形状態を維持させる。
この多孔連結材2も、合成樹脂製や防錆処理した金網などの建設資材であり、多数の貫通孔を表面から裏面まで貫通させた板状体である。
この多孔連結材2の端部と、多孔帯状体1とを連結するには、例えば多孔連結材2の一部に切り込みを入れてL字状の枝を形成し、この枝を多孔帯状体1の線材に係合する方法を採用することができる。
あるいは鋼線によってリングを形成し、このリングを多孔帯状体1の開口部と多孔連結材2の開口部に係合する方法を採用することもできる。
なお、変形を維持するためには、単なる棒状体の両端にフックを形成したような針金などの線状のスペーサー部材を間隔保持材として使用して、拘束することも可能である。
ことに、筒状に屈曲した多孔帯状体1は、その筒形が変形しないように、間隔保持材を筒の中に掛け渡すと好適である。
法枠骨組み3を斜面5上に設置する前に、予め斜面5上に多孔性材料7を敷設することもある。
多孔性材料としては、多孔性帯状材1と同じ多数の貫通孔が形成された材料の使用が可能であって、アラミド繊維、炭素繊維を樹脂に含浸させ、グリッド状に一体成形した線材を格子状に結合した資材などが採用できる。
或いは、金網やエキスパンドメタルの表面を、亜鉛メッキ、より詳しくは亜鉛アルミニウム合金メッキによって防錆処理したような材料も採用できる。
このような多孔性材料7を法面5上に敷設することにより、法面の土壌の流出を防ぐとともに、貫通孔からの植生も阻害しない。
この多孔性材料7の上に重ねて、前記した法枠骨組み3を設置する。
法面上に配置する。
変形させた法枠骨組み3を、隣接する法枠骨組み3との間に間隔を空けて、法枠Aを構築する予定線の延長上に連続して法面の上に敷設する。
その場合に多孔帯状体1を、法面に縦方向(上下方向)と横断方向(水平方向)方向に交差させて敷設すれば、斜面5の表面に井桁(格子)状の法枠Aを形成することができる。
ただし、井桁状、格子状ではなく、菱形状、あるいは縦、横いずれかを一方向に向けて敷設することももちろん可能である。
敷設したら、要部にアンカー6を打ち込んで法枠骨組み3の斜面上での移動を阻止する。
なお、実施例では法枠骨組み3を直接斜面5の上に敷設した場合を説明するが、前記したように斜面上に多孔性材料を敷設し、その金網の上に法枠骨組み3を敷設することも可能である。
縦枠A1の法枠骨組み3と、横枠A2の法枠骨組み3との交差部においては両者を分断せずに一体化するように構成する。
そのために、図7に示すように、縦枠A1あるいは横枠A2の一方の法枠骨組み3をつぶしたように変形させて他方の法枠骨組み3の下に配置する。
例えば一方の法枠骨組み3をアーチ状に構成した場合には、このアーチの半径を徐々に拡大してゆるいアーチとしてゆき、他の法枠骨組み3の下ではほぼ平面に近くなるまで半径を拡大させる。
このようにほぼ平面形状の法枠骨組み3を、他の法枠骨組み3の下に敷設し、交差部で上下に重なった法枠骨組み3を貫通して上方からアンカー6を打設して法面に縫い付ける。
アンカー6の長さは通常50〜150cm程度であって、その太さは10〜20mm程度であるが、法枠Aの高さなどに応じて選択され、アンカー6の長さは法枠Aの高さの2〜5倍程度が好ましい。
上記したのは、縦枠A1の法枠骨組み3と、横枠A2の法枠骨組み3を、一方の法枠骨組み3の下に、他方の法枠骨組み3を敷くようにして交差させる場合であるが、一方の法枠骨組み3を複数本平行に配置し、その間に交差する方向の法枠骨組み3を適宜間隔づつ空け、その両端を先に配置した法枠骨組み3の側面にドン付けするようにして格子状に組むことも可能である。
この場合、アンカー6は、縦横の交差部分に限らず、各法枠骨組み3を固定可能な位置を選択して行う。
或いは、縦枠A1、或いは横枠A2の双方を交差部分でドン付けするようにして格子状に組むことも可能である。
格子状に組んだ法枠とは異なり、縦枠A1と横枠A2を十文字形に組むこともある。
縦枠A1と横枠A2は、或る程度長さが連続的になる法枠骨組み3を使用し、これをクロスさせて十文字形になるように組む。交差部でアンカー6によって法面に固定するのは同じである。(図7)
このような十文字形の法枠骨組み3を、法面5上に多数個、適宜間隔を置いて設置するものである。
設置の位置は、必ずしも隣り合う縦枠A1と縦枠A1、或いは横枠A2と横枠A2とが、その延長線上に一直線に並ばなくてもよい。例えば、十文字形の法枠Aを、斜面5上に千鳥状に設置することもある。
多孔帯状体1を斜面5上に敷設した後、多孔帯状体1の上からに砂基材4を吹き付ける。
砂基材4は、例えば砂と繊維とセメントと水を混合したような公知の材料を使用する。砂や繊維を接合する材料としてセメント材料を使用するが、接合材として、例えば高分子樹脂(接着剤のようなもの)も採用可能である。
混合する繊維は、短繊維でも長繊維でもよい。或いは短繊維を2種以上混合することもある。
繊維の種類としては、合成樹脂繊維の他、ガラス繊維、スチールファイバーなど様々な繊維が採用可能である。
この砂基材4を攪拌し、コンプレッサで圧縮した空気によって、斜面5に敷設した多孔帯状体1の上から、孔を通過して内部に侵入するよう、多孔帯状体1上部から砂基材4を吹き付ける。
さらに多孔帯状体1の周囲にも、多孔帯状体1を巻き込むように砂基材4を吹き付ける。
砂基材4の吹き付けに際しては、露出した斜面5を残して、多孔帯状体1の上を対象に吹き付けるが、吹き付けの際に跳ね返った砂基材4が多孔帯状体1の周囲、すなわち露出した斜面5上に飛散することは避けられない。
しかし砂基材4は植物の生育を阻害するものでなく、植生が可能な材料であるため、たとえ露出した斜面5上に飛散して残ったとしても問題はない。
したがって従来のように、法枠Aで囲まれた内部にブルーシートを敷設して吹き付け材の飛散を阻止するというような枠内処理の作業は必要ない。
以上の施行の結果、多孔帯状体1に砂基材4の繊維が絡むことになり、大きな補強機能が得られる。
また多孔帯状体1に吹き付けた砂基材4は多孔帯状体1の孔12を通過して強制的に充填されるから、斜面5の凹凸によって、多孔帯状体1が斜面5から離れていても、斜面5に密着した法枠Aが形成される。
アーチ状などに変形させた後の多孔帯状体1の間を連結する多孔連結材2も多数の孔を開口しているから、多孔連結材2の下部の位置にも砂基材4を完全に充填することができる。
多孔性帯状材1を円筒形や多角筒形にした法枠骨組み3には、多孔性帯状材1の貫通孔を通して、筒の内部に砂基材4を充填する。
円筒形の法枠骨組み3の場合は、法枠骨組み3の幅方向両側の骨組み3下と斜面5との間にも砂基材4を吹き付け、その設置を安定化する。
法枠骨組み3の間には、受圧板Bを設置して、固定する。
図2〜図5に示す受圧板Bは、中心部にアンカー11を通すアンカー孔8を有し、その中心部から放射状に伸びる複数のリブ9と、リブ9の先端を繋ぐ外枠部10から成っている。
隣り合うリブ9・9と、外枠部10とによって囲まれた空間は、植生可能な植生孔12となっている。
外枠部10の一部には、高さが低くなるよう切欠かれた植生部13が形成されている。
植生部13の高さは、外枠部10の厚みの2/3程度である。
また植生部13が設けられているのは、外枠部10の1辺のうちの半分程度の長さである。
また、外枠部10の左右両側面間に貫通する通水孔14が開口している。
通水孔14は、外枠部10のみならず、リブ9に設けることも可能である。
図に示す実施例では、受圧板Bは、中心からリブ9が方形の外枠部10に向って伸びた四角形の形状をしているが、外枠部10として円形や他の多角形のものを採用することは可能であるし、リブ9にしても、中心部と外枠部10とを繋ぐ役目を果たせばよく、曲線状のものや、リブ9と外枠部10とが繋がった多数の植生孔12の空いた板状のものとすることも可能である。
要するに、受圧板B自体は、植生を妨げないように植生孔12を有すればよいので、その形状にこだわらない。
以上のような受圧板Bを、格子状に組んだ法枠Aの井桁の中に設置する。
斜面5に予めアンカー11を打設しておき、このアンカー11を受圧板Bのアンカー孔8に通して、受圧板Bを斜面5上に設置する。
アンカー11の受圧板Bから突出した部分にナット18を螺合して、受圧板Bを固定し、キャップ19を被せる。
実施例では、アンカー11としてロックボルトを使用しているが、アンカー引張材の上部をシースの中に通して、下部の剥き出しにした部分を削孔内にてグラウト材で定着するグラウンドアンカーなども使用可能である。
縦横の枠A1、A2の上や、法枠A1やA2で囲まれた斜面の地山が露出している部分、及び受圧板Bの上や周囲に、植生基盤材15を吹き付ける。
植生基盤材15としては、植生基材、種子、肥料、接合材などを混合した公知のものを採用することができる。
この植生基盤材15を、攪拌し、コンプレッサで圧縮した空気によって、砂基材4の吹き付けを行っていない露出した斜面5の上に吹き付け、法枠Aを完成する。
前記したように砂基材4にはセメントを混合してある。
しかし一般に砂基材4において、セメント量はきわめて少量に設定しておく。
そのために砂基材4を吹き付けた法枠Aの部分がコンクリートブロックのように強固に硬化してしまうことはなく、砂粒子間には十分な間隔が維持されている。
その結果、各法枠Aは大きな保水性を維持することが可能であり、さらに周囲から飛来した植物の種子が砂基材4に定着することも可能である。
また、法枠骨組み3を敷設していない部分は、斜面5が露出しているから、そのこの露出面に周囲から飛来した植物の種子が定着して生育することは十分に可能である。
また、法枠Aの上や、法枠Aの間や、受圧板Bの上や周囲にも、植生基盤材15を広く吹き付けてあるため、斜面5全体で、緑化を行える。
時間の経過とともに植物が生育すれば、根茎の緊縛力が大きくなることが期待できるため、経年後の法枠Aはさらに傾斜面の安定性が向上する。
図5に示すのは、樹木16の植生の断面図であって、受圧板Bの上には、雨水とともに流れてきた土砂が、肥料などと一緒に溜まることになる。
この部分に植生した樹木16は、その根17を伸ばし、受圧板Bの外枠部10の高さの低くなった植生部13を乗り越えて、植生孔12に入り込み、その下の土壌に根17を張る。
このように、樹木16が受圧板Bが設置されていても、充分にその根を四方に伸ばすことが可能であるため、植物の生育によって斜面5のより安定を図ることが可能である。
また、受圧板Bの外枠部10には通水孔14が設けられているため、水も、水と一緒に肥料なども受圧板Bの外枠部10を通り抜け、より良好な植生が図れる。
図8に示すのは、受圧板Bの他の使用態様であって、既に説明した受圧板B二枚を、植生部13が形成された面を互いに合わせ、これを斜面5上に設置する例である。
このように二枚を使用することで、斜面5の押さえに必要な荷重を大きくすることができ、植生に必要な砂基材4、または緑化資材をより厚く詰めることができる。
重ねて使用しても、植生部13は植生孔12と連通しているため、植物の根は、植生部13を通って植生孔12内部に入り込むことが可能である。
植生部13・13を向き合わせることで、植生部13・13が合わさって開口を大きくできるが、二枚の受圧板Bを、それぞれ植生部13が上面側となるように重ねることも可能である。
A1:縦枠
A2:横枠
B:受圧板
1:多孔帯状体
2:多孔連結材
3:法枠骨組み
4:砂基材
5:斜面
8:アンカー孔
9:リブ
10:外枠部
11:アンカー
12:植生孔
13:植生部
14:通水孔
15:植生基盤材
16:樹木
Claims (12)
- 多数の貫通孔を有する屈曲可能な多孔帯状体を、筒状、或いは斜面側が凹側となるように変形して法枠骨組みを形成し、
前記法枠骨組みを斜面上に複数配置し、
前記法枠骨組みの内部、或いは斜面側に砂基材を供給して法枠を形成し、
前記複数の法枠と法枠との間に、
植生孔を有する受圧板を設置してアンカーによって固定し、
斜面全体の緑化を行う斜面の緑化と安定化構造。 - 多孔帯状体は、筒の中、或いは斜面側の凹側に、間隔保持材を掛け渡して、その形状を維持したことを特徴とする
請求項1記載の斜面の緑化と安定化構造。 - 間隔保持材として、板状で、かつ多数の貫通孔を表面から裏面まで貫通させた連結多孔体を使用したことを特徴とする
請求項1又は2記載の斜面の緑化と安定化構造。 - 間隔保持材として、線状で、両端を多孔帯状体に引っ掛けることにより多孔帯状体の形状を維持することを特徴とする
請求項1又は2記載の斜面の緑化と安定化構造。 - 多孔帯状体として、樹脂、又は樹脂を含む複合材料、防錆処理した金網やエキスパンドメタルによって形成した帯状体とすることを特徴とする
請求項1,2,3又は4記載の斜面の緑化と安定化構造。 - 法枠骨組みを格子状に配置することにより、縦枠と横枠とを形成し、
格子状の縦枠と横枠が形成する升目の中に、受圧板を設置することを特徴とする
請求項1,2,3,4又は5記載の斜面の緑化と安定化構造。 - 前記法面において、前記法枠骨組みを十文字状に配置することによって、縦枠と横枠とを形成し、
十文字状の法枠骨組みの間に、受圧板を設置することを特徴とする
請求項1,2,3,4又は5記載の斜面の緑化と安定化構造。 - 法枠骨組みを設置する前に、
斜面上に、多数の貫通孔を表面から裏面まで貫通させた多孔性材料を敷設することを特徴とする
請求項1,2,3,4,5,6又は7記載の斜面の緑化と安定化構造。 - 多孔性材料として、樹脂、又は樹脂を含む複合材料によって形成した網状材、或いは防錆処理した金網やエキスパンドメタルを使用することを特徴とする
請求項8記載の斜面の緑化と安定化構造。 - 中心部にアンカーを通すアンカー孔を有し、
中心部から放射状に複数のリブと、
前記複数のリブの先端を繋ぐ外枠部とによって、リブと外枠部と間に植生孔が形成されており、
前記外枠部の一部が切欠かれて高さが低くなった植生部を有する
斜面安定用受圧板。 - 外枠部、リブの一方、若しくは外枠部とリブの双方に、一方の側面から他方の側面に貫通する通水孔を設けたことを特徴とする
請求項10記載の斜面安定用受圧板。 - 鋳鉄、鋼製、プラスチック、繊維強化プラスチック、再生プラスチック、等によって形成してなる
請求項10又は11記載の斜面安定用受圧板。
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